JP2002060304A - 昆虫忌避材料及びフラボノイド誘導体の抽出方法 - Google Patents
昆虫忌避材料及びフラボノイド誘導体の抽出方法Info
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Abstract
もなく安全で、しかも取扱い容易な新規な昆虫忌避材料
を提供する。 【解決手段】 主成分としてフラボノイド誘導体を含有
するもの、特に植物より抽出されたフラボノイド誘導体
を含有する昆虫忌避材料である。上記フラボノイド誘導
体は、タキシフォリン、クエルセチン、ナリンゲニン、
ミリセチン、アロマデンドリン、及びイソサクラチネン
よりなる群から選択されるものが好ましい。
Description
避に有効な昆虫忌避材料、及びその主成分であるフラボ
ノイド誘導体を抽出する方法に関するものである。本発
明の昆虫忌避材料は、木材等の植物より抽出されたフラ
ボノイド誘導体という天然成分を主成分として含有して
いる為、従来の合成薬剤等を用いた昆虫忌避材料に比
べ、燃焼等の廃棄に伴う有害ガスの発生、環境破壊・環
境汚染等の問題もなく、シロアリ等の昆虫類を有効に忌
避できる点で極めて有用である。また、本発明の抽出方
法によれば、水のみを用いたとしても、有効成分である
フラボノイド誘導体を収率良く抽出することができ、し
かもその程度は、有機溶剤を用いた抽出方法と概ね同程
度であり、且つ、有機溶剤を用いた場合に比べ、抽出操
作が簡易で、有機溶剤の回収作業も不要である、等の効
果も奏する点で、極めて有用である。
被害を防止する為に、従来では、主に木質材料等に防蟻
剤を塗布・含浸したり、床下土壌表面へ防蟻剤を散布し
たり、或いは防蟻成分含有シート材料を敷設する等の方
法が採用されていた。
は、VOC(volatile organic compound)の発生とい
う問題を抱えている為、有害物質使用に対する規制が強
まる風潮のなか、使用が厳しく制限される傾向にある。
一方、防蟻剤を含浸する方法(主に無機成分や金属成分
を有効成分として含有する加圧注入処理方法)を用いれ
ば、防蟻剤を塗布・散布する場合に見られたVOC発生
問題は生じないものの、これら防蟻剤の廃棄に伴う環境
汚染(例えば燃焼に伴う無機成分または重金属を含有す
る灰の発生等)をどの様に解決するかが新たな問題とし
て提起される。更に従来の防蟻剤のなかには、近年問題
となっている環境ホルモン様物質が含まれていることが
指摘され、魚類を始めとする環境生物への悪影響、ひい
ては環境破壊への懸念が生じている。
目してなされたものであり、その目的は、人体や環境へ
の悪影響がなく一定期間経過の後速やかに分解・消失す
るため蓄積性等の問題もなく安全で、しかも取扱いも容
易な新規な昆虫忌避材料、及びその主成分であるフラボ
ノイド誘導体を効率よく抽出する方法を提供することに
ある。
発明の昆虫忌避材料は、主成分としてフラボノイド誘導
体を含有する点、特に植物より抽出されたフラボノイド
誘導体を含有するところに要旨を有するものである。本
発明において、上記フラボノイド誘導体がタキシフォリ
ン、クエルセチン、ナリンゲニン、ミリセチン、アロマ
デンドリン、及びイソサクラチネンよりなる群から選択
されるもの;上記フラボノイドを担体に担持させた忌避
材料はいずれも好ましい態様である。本発明の昆虫忌避
材料は、特にシロアリ忌避材料として有用である。
方法は、植物よりフラボノイド誘導体を抽出する方法で
あって、該植物から予め水可溶成分を除去した後、熱水
で抽出するところに要旨を有するものである。
材料は、主成分としてフラボノイド誘導体を含有すると
ころに特徴を有するものである。上記フラボノイド誘導
体はアカマツ、クロマツ、カラマツ等のマツ科の木材;
バラ科の広葉樹等を始め植物界に広く分布しており、植
物より抽出したフラボノイド誘導体を含有する忌避材料
は本発明の範囲内に包含される。上記フラボノイド誘導
体としては例えば下記の化合物が代表的に例示される。
植物より抽出されたフラボノイド誘導体が昆虫忌避材
料、とりわけシロアリ忌避材料として有用であることを
見出した点に最重要ポイントがあり、当該誘導体がこの
様な作用を発揮することは今まで知られておらず新規で
ある。フラボノイドについては、従来は、フラボノイド
誘導体のうち例えばフラボノールは利尿作用のあるもの
が多いとか、瀉下作用、毛細血管強化作用を有するとい
った程度のことが知られているに過ぎないからである。
特に限定されず、例えばナリンゲニン、イソサクラチネ
ン、サクラネチン等のフラバノン;タキシフォリン、ア
ロマデンドリン等のフラバノノール;クエルセチン、ミ
リセチン、フィセチン等のフラボノール;ゲニステイン
等のイソフラボン;フロレチン等のカルコン;ジヒドロ
カルコン;カテキン等のフラバノール;カテキン酸;フ
ラボン;フラバン−3,4−ジオール;フラバン−3−
オール;アントシアニジン;オーロン等が挙げられる。
これらは単独で使用しても良いし2種以上を併用しても
構わない。このうち忌避作用等の点で好ましいのは、ナ
リンゲニン、イソサクラチネン等のフラバノン;タキシ
フォリン、アロマデンドリン等のフラバノノール;クエ
ルセチン、ミリセチン等のフラボノールであり、このな
かでも更に好ましいのはタキシフォリン、クエルセチ
ン、ナリンゲニン、ミリセチン、アロマデンドリン、イ
ソサクラチネンであり、特に好ましいのはタキシフォリ
ンである。
殺傷するのではなく、当該シロアリ等が、建築物等へ侵
入したり木質材料へ接触することを阻止するものであ
り、これにより所望の効果が発揮される。この様に本発
明はシロアリ等を忌避するものであって生態系に影響を
及ぼすものではないから、自然界のサイクルを破壊する
恐れがない点で環境にも配慮したものと言える。
ノイドをそのまま使用することができる。或いは、フラ
ボノイドを担体に担持させて使用しても良い。この担持
方法は特に限定されず、通常用いられる方法を採用する
ことができる。以下、マツ科の木材を用いた代表的な抽
出方法について説明する。
熱水、または有機溶媒で抽出する。このうち前者の方
法、即ち、予め水可溶成分を除去した後、熱水で抽出す
る、という水−熱水抽出方法を採用すれば、後者の方法
(メタノール等の有機溶剤で抽出する方法)と概ね同程
度の収率レベルで、有効成分であるフラボノイド誘導体
を抽出することができ、しかも、有機溶剤を用いた場合
に比べ、抽出操作が簡易で、有機溶剤の回収作業も不要
である、等の効果も奏する点で、極めて有用である。
基づき、具体的に説明する。図1は、カラマツからフラ
ボノイド誘導体を水−熱水で抽出する工程を示す概略図
であるが、これは本発明の水−熱水抽出法の代表例を示
すものであって、これに限定する趣旨では決してない。
粉状にし、篩にかけて直径0.5mm(32メッシュ)
以上の粒子を除去して木粉を得る(図示せず)。
水を加え、室温(約20℃前後)で12〜48時間(よ
り好ましくは18〜24時間)抽出する工程を1〜3回
(より好ましくは1〜2回)繰返す。ここで、木粉と水
の比率は、重量比率で概ね、1:3〜1:8(より好ま
しくは1:5〜1:6)とすることが推奨される。
木粉中に含まれる糖類等の水可溶成分は濾液に移行し、
フラボノイド類は残渣に残留することになる。この残渣
に水を加え、洗浄する。濾液と洗浄液を合わせて減圧留
去し、凍結乾燥して淡褐色の粉末抽出物を得る。
を更に熱水抽出する。具体的には、抽出残渣に水を加
え、60〜90℃(より好ましくは70〜80℃)で2
4〜96時間(より好ましくは24〜48時間)抽出す
る。ここで、抽出残渣と水の比率は、重量比率で概ね、
1:5〜1:15(より好ましくは1:8〜1:10)
とすることが推奨される。
する。濾液と洗浄液を合わせ、溶媒を減圧留去し、凍結
乾燥すると、フラボノイド誘導体を主に含有する濃褐色
の粉末抽出物が得られる。
用しても良いし、水溶液や乳化剤等により水分散系の形
で使用しても良い。更に、当該抽出物を担体へ直接担持
し、強力なフィジカルバリアー(物理的障害)として使
用することもできる。本発明に用いられる担体としては
特に限定されず、ゼオライト、シラス、軽石粉砕物等の
無機担体;活性炭、活性炭素繊維等の有機担体;吸水性
ポリマー、ポリビニルアルコール、グリコールエーテル
等の高分子担体等が挙げられる。
ー等により精製し、得られた各フラボノイド成分を、水
や有機溶媒で所定濃度に調整した後、そのまま使用した
り、若しくは担体に担持して使用しても良い。或いは、
上記フラボノイドをマイクロカプセル等に包埋させた態
様で使用しても構わない。上記フラボノイドの濃度は、
例えば担体に担持させる場合、担体に対し重量比で0.
005%以上(より好ましくは0.05%以上)、10
%以下(より好ましくは2%以下)に調整することが推
奨される。また、担体を担持させずに抽出液を溶媒に希
釈して使用する場合には3%以上(より好ましくは5%
以上)に調整することが好ましい。
成分として含有するものであり、その他、本発明の作用
に悪影響を及ぼさない範囲で通常用いられる成分(固着
剤、展着剤等)を添加することもできる。
施する具体的態様は以下の通りである。例えば水分散系
の忌避材料であれば、床下土壌表面に散布したり木質材
料に塗布して使用することができる。また、担体に担持
させた忌避材料は、床下土壌表面に散布したり密閉空間
に放置する等の方法が有用である。特にシロアリは、枠
組壁工法住宅(所謂2×4工法住宅)やプレハブ住宅等
の壁体内空間を侵入経路とするケースが多いことから、
本発明の忌避材料を、当該壁体内空間に散布または投入
する等の方法が有効である。また、近年の住宅は、居住
空間の熱効率改善という目的で、多量の断熱材(発泡ウ
レタン、発泡スチレン等の発泡性樹脂等)を使用してい
るが、本発明の忌避材料は、これら断熱材製造段階で原
料と混合しても良く、これにより、シロアリ等の昆虫を
効率よく忌避することができる。上記発泡性樹脂は従来
より特にシロアリが好んで営巣、活動することが知られ
ており、本発明の忌避材料を用いれば、この様な発泡性
樹脂の使用に基づく被害を完全に阻止できる点で極めて
有用である。
述べる。ただし、下記実施例はこの発明を制限するもの
ではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施
することは全てこの発明の技術範囲に包含される。
出液を担体に担持させた忌避材料を用い、シロアリの忌
避効果を調べたものである。
以下の木粉にした後、水−熱水またはメタノールで抽出
して得られた抽出物を精製し、タキシフォリンを得た。
尚、「水−熱水による抽出法」及び「メタノールによる
抽出法」の詳細は、後記する実施例5に記載の通りであ
り、「水−熱水による抽出法」における熱水抽出温度は
80℃とした。
ゼオライト(宇部興産製、粒度1.5〜3mm)に重量
比で1%,0.5%,0.1%,0.05%のメタノー
ル溶液となる様に含浸させた後、日本木材保存協会規格
・第13号に規定する「土壌処理用防蟻剤の防蟻効力試
験方法」に準拠した(処理区長さ3cm)土壌貫通によ
る試験を実施した。散布量は3kg/m2とした。尚、
比較の為に、ゼオライトのみの対照群についても同様に
試験した。得られた結果を表1に示す。
ずゼオライトのみを用いた対照群(No.5)では、8
時間以内にシロアリが全数貫通したのに対し、本発明の
忌避材料をゼオライトに担持させたNo.1〜4では、
シロアリの貫通を一部または完全に抑えることができ
た。特にタキシフォリン濃度が0.1%以上の場合に
は、シロアリの貫通は全く見られなかった。しかも、い
ずれの場合もシロアリは全数健全であり、生態系に全く
悪影響を及ぼさないことも確認できた。
は実施例1と同様にして本発明のシロアリ忌避効果を調
べた。尚、比較の為に、ゼオライトのみ対照群に加え、
土壌のみの無処理群についても同様に試験した。得られ
た結果を表2に示す。
ずにゼオライトのみを用いた対照群(No.5)/土壌
のみの無処理群(No.6)では、3日以内/1日以内
にシロアリが全数貫通したのに対し、本発明の忌避材料
をゼオライトに担持させたNo.1〜4では、シロアリ
の貫通を一部または完全に抑えることができた。特にタ
キシフォリン濃度が0.1%以上の場合には、シロアリ
の貫通は全く見られなかった。しかも、いずれの場合も
シロアリは全数健全であり、生態系に全く悪影響を及ぼ
さないことも確認できた。
製することにより、含有量の多い順でタキシフォリン、
アロマデンドリン、クエルセチンの三成分を主に含有す
る抽出液を得た。軽石の粉砕物(大江化学工業製「パミ
スター」、粒子径0.4〜2.4mm)に対し、上記三
成分の合計量が重量比で0.5%,0.1%,0.05
%のメタノール溶液となる様に含浸させた後、実施例1
と同様にして試験した。得られた結果を表3に示す。
る忌避材料を用いた場合には、0.05%以上の濃度で
シロアリの貫通を完全に抑えられることが分かった。
接使用し、シロアリの忌避効果を調べたものである。
シフォリンを、0.5%,0.1%,0.05%の濃度
になる様メタノールで希釈した。得られた溶液を、日本
木材保存協会規格・第11号に規定する「塗布・吹付け
・浸せき処理用木材防蟻剤防蟻の防蟻効力試験方法」に
準拠して試験を行った。尚、比較の為に、カラマツ心材
のみ、アカマツ心材のみを用いた対照群についても同様
に試験した。得られた結果を表4に示す。
を用いた場合(No.4)は、シロアリが積極的に食害
したのに対し、本発明忌避材料を塗布ししたNo.1〜
3は、いずれもシロアリの試験材への接近が少なく、そ
の効果は、カラマツを用いた場合(No.5)と同程度
に優れていた。
用性を明らかにすべく、メタノールによる抽出法と比較
検討した。
篩にかけて直径0.5mm(32メッシュ)以上の粒子
を除去した。この木粉300gに脱イオン水(4.5d
m3)を加え、室温(約20℃)で24時間抽出した。
この様にして得られた抽出液を濾過し、残渣を脱イオン
水で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、30℃以下の温
度で減圧留去し、凍結乾燥して冷水による淡褐色の粉末
抽出物(CW−E)を得た。
6dm3を加え、表5に示す種々の温度(60℃、80
℃、または100℃)で48時間抽出した。各抽出液を
濾過した後、濾液と洗浄液を合わせて減圧留去し、凍結
乾燥することにより熱水による濃褐色の粉末抽出物を得
た(各抽出物を抽出温度に応じて夫々、60−E、80
−E、および100−Eとする)。
た。具体的には、上述したカラマツの木粉200gにメ
タノール1.2dm3を加え、12時間抽出する操作を
4回繰返し、抽出物(M−E)を得た。
マトグラフィーで精製し、フラボノイド誘導体の収率
(%)及び各フラボノイド誘導体の含有量(%)を測定
した。これらの結果を表5に併記する。
80℃に制御して抽出した水−熱水による本発明例であ
るが、No.5の如く抽出温度を100℃に高めた場合
に比べ、フラボノイド類の抽出率(収率)が非常に高
く、各フラボノイド成分も多く含まれていた。
水抽出したNo.4のフラボノイド誘導体の収率は0.
83%であり、メタノールで抽出したNo.1の収率
(1.08%)と比較しても約80%の優れた抽出効果
が得られた。
体や環境への悪影響がなく蓄積性等の問題もなく安全
で、しかも取扱いも容易な優れた昆虫忌避材料を提供す
ることができた。
工程を示す概略図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 主成分としてフラボノイド誘導体を含有
することを特徴とする昆虫忌避材料。 - 【請求項2】 植物より抽出されたフラボノイド誘導体
を含有することを特徴とする昆虫忌避材料。 - 【請求項3】 前記フラボノイド誘導体はタキシフォリ
ン、クエルセチン、ナリンゲニン、ミリセチン、アロマ
デンドリン、及びイソサクラチネンよりなる群から選択
されるものである請求項1または2に記載の昆虫忌避材
料。 - 【請求項4】 前記フラボノイドを担体に担持させたも
のである請求項1〜3のいずれかに記載の昆虫忌避材
料。 - 【請求項5】 シロアリ忌避材料として用いられるもの
である請求項1〜4のいずれかに記載の昆虫忌避材料。 - 【請求項6】 植物よりフラボノイド誘導体を抽出する
方法であって、該植物から予め水可溶成分を除去した
後、熱水で抽出することを特徴とする抽出方法。
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JP2001169175A JP4947608B2 (ja) | 2000-06-05 | 2001-06-05 | フラボノイド誘導体の抽出方法 |
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- 2001-06-05 JP JP2001169175A patent/JP4947608B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2015144731A1 (fr) | 2014-03-24 | 2015-10-01 | Institut National De La Recherche Agronomique | NOUVEAUX FLAVONOÏDES O-α-GLUCOSYLÉS SUR LE CYCLE B, PROCÉDÉ D'OBTENTION ET UTILISATIONS |
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