JP2002058967A - 逆浸透分離方法 - Google Patents

逆浸透分離方法

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JP2002058967A
JP2002058967A JP2001207341A JP2001207341A JP2002058967A JP 2002058967 A JP2002058967 A JP 2002058967A JP 2001207341 A JP2001207341 A JP 2001207341A JP 2001207341 A JP2001207341 A JP 2001207341A JP 2002058967 A JP2002058967 A JP 2002058967A
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osmosis membrane
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Hiroyuki Yamamura
弘之 山村
Masaru Kurihara
優 栗原
Katsunosuke Maeda
勝之助 前田
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Toray Industries Inc
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    • Y02A20/131Reverse-osmosis

Abstract

(57)【要約】 【目的】高濃度溶液である海水から高い収率、少ないエ
ネルギー、より安価に高効率に淡水をより安定に得るこ
とが可能な分離方法を提供する。 【解決手段】逆浸透膜モジュールユニットを多段に配置
してなり、かつ、次段の逆浸透膜モジュールユニットの
逆浸透膜の合計有効膜面積がその次段の逆浸透膜モジュ
ールユニットの前段に配置した逆浸透膜モジュールユニ
ットの逆浸透膜の合計有効膜面積の40〜60%の範囲
にある逆浸透分離装置を用いて海水を処理して濃縮水と
透過水とに分離するに際し、逆浸透分離装置を、前段の
逆浸透膜モジュールユニットから得られる濃縮水を昇圧
して後段の逆浸透膜モジュールユニットに供給するとと
もに各段の逆浸透膜モジュールユニットから得られる透
過水量の合計が1段目の逆浸透膜モジュールユニットに
供給する海水量の50%以上になるように運転する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高濃度溶液を逆浸
透分離するための新規な高濃度溶液の逆浸透分離方法に
関するものである。本発明によって、高濃度溶液から高
い収率、少ないエネルギー、費用で低濃度溶液を得るこ
とができ、一方では濃縮液を従来の逆浸透法より一層高
い濃度、少ないエネルギー、費用で得ることができる分
離方法を提供することができる。本発明の方法は、特に
海水の淡水化に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】混合物の分離に関して、溶媒(例えば
水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術に
は様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資
源のためのプロセスとして膜分離法が利用されてきてい
る。膜分離法のなかには、精密濾過(MF;Micro
filtration)法、限外濾過(UF;Ultr
afiltration)法、逆浸透(RO;Reve
rse Osmosis)法がある。さらに近年になっ
て逆浸透と限外濾過の中間に位置する膜分離(ルースR
OあるいはNF;Nanofiltration)とい
う概念の膜分離法も現われ使用されるようになってき
た。例えば逆浸透法は海水または低濃度の塩水(かん
水)を脱塩して工業用、農業用または家庭用の水を提供
することに利用されている。逆浸透法によれば、塩分を
含んだ水を浸透圧以上の圧力をもって逆浸透膜を透過さ
せることで、脱塩された水を製造することができる。こ
の技術は例えば海水、かん水、有害物を含んだ水から飲
料水を得ることも可能であるし、また、工業用超純水の
製造、排水処理、有価物の回収などにも用いられてき
た。
【0003】特に逆浸透膜による海水淡水化は、蒸発の
ような相変化がないという特徴を有しており、エネルギ
ー的に有利である上に運転管理が容易であり、広く普及
を始めている。
【0004】逆浸透膜で溶液を分離する場合は、溶液の
溶質濃度によって定まる溶液自身の持つ化学ポテンシャ
ル(これを浸透圧で表わすことができる)以上の圧力で
溶液を逆浸透膜面に供給する必要があり、たとえば海水
を逆浸透膜モジュールで分離する場合は、最低30at
m程度以上、実用性を考慮すると少なくとも50atm
程度以上の圧力が必要となり、これ以上の圧力に加圧さ
れないと充分な逆浸透分離性能は発現されない。
【0005】逆浸透膜による海水淡水化の場合を例にと
ると、通常の海水淡水化技術では海水から真水を回収す
る割合(収率)は高々40%であり、海水供給量に対し
て40%相当量の真水が膜を透過して得られる結果、逆
浸透膜モジュールの中で海水濃度が3.5%から6%程
度にまで濃縮されることになる。このように海水から収
率40%の真水を得るという逆浸透分離操作を行うため
には、濃縮水の濃度に対応する浸透圧(海水濃縮水濃度
6%に対しては約45atm)以上の圧力が必要であ
る。真水の水質がいわゆる飲料水レベルに対応でき、か
つ充分な水量を得るためには、実際には、濃縮水濃度に
対応する浸透圧よりも約20atm(この圧力を有効圧
力と呼ぶ)程度高めの圧力を逆浸透膜に加えることが必
要であり、海水淡水化用逆浸透膜モジュールは60から
65atm程度の圧力をかけて収率40%という条件で
運転されるのがふつうであった。
【0006】海水供給量に対する真水の収率は、直接コ
ストに寄与するものであり、収率は高いほど好ましい
が、実際に収率を上げることについては限度があった。
すなわち、収率を上げると、非常に高い圧力が必要であ
るという理由は言うまでもないが、濃縮水中の海水成分
の濃度が高くなり、ある収率以上では炭酸カルシウムや
硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどの塩、いわゆ
るスケール成分濃度が溶解度以上になって逆浸透膜の膜
面に析出して膜の目つまりを生じさせる問題がある。
【0007】現在の(最高収率として広く認識されてい
る)収率40%程度においては、これらのスケール成分
の析出の心配は小さく特に対応は不要であるが、それ以
上の収率で逆浸透膜の運転操作を行おうとすると、これ
らのスケール成分の析出防止のために、塩の溶解性を高
めるスケール防止剤を添加することが必要となる。しか
しながら、スケール防止剤を添加したとしても上記のス
ケール成分の析出を抑制できるのは濃縮水濃度で10か
ら11%程度である。このため、塩水濃度3.5%の海
水を淡水化する場合では、物質収支的に収率は65から
68%程度が限度であり、また原海水の変動異種成分の
影響などを考慮すると、逆浸透膜海水淡水化プラントを
安定に運転できうる可能性のある実際の収率限度は60
%程度であると認識される。
【0008】実用的に海水淡水化を行う場合は、前述の
ように、濃縮水濃度によって決まる濃縮水浸透圧よりも
20atm程度高い圧力を逆浸透膜モジュールに付与す
る必要がある。海水濃度3.5%の場合の、収率60%
に相当する濃縮水濃度は8.8%であり、この浸透圧は
約70atmとなる。その結果、逆浸透膜には90at
m程度の圧力を付与する必要がある。
【0009】逆浸透膜エレメントは、通常複数本の逆浸
透膜のエレメントを1本の圧力容器に直列に装填した状
態(これをモジュールと称す)で使用され、実際のプラ
ントではこのモジュールを多数本並列に設置して使用さ
れる。海水淡水化の収率というのは、プラント全体に供
給される全供給海水に対する全透過水量の割合であり、
通常の条件では、モジュールが並列に設置されているの
で、モジュール1本あたりの供給量とモジュール1本か
ら得られる透過水量の割合(モジュール内の各エレメン
トからの透過水量の合計)と一致する。ここで、モジュ
ール内部の各エレメントから得られる透過水は、例えば
1モジュールが逆浸透膜エレメント6本から構成され、
1モジュールに198m3/日の海水を供給し、合計7
8m3/日の真水が得られる場合(収率40%)は、実
際に起こっている現象をシミュレーションしてみると、
1本目のエレメントで18から19m3/日、2本目の
エレメントで15から17m3/日、3本目からも徐々
に減っていき、合計して78m3/日の透過水となる。
このように、各エレメントからの透過水収率は小さいが
モジュール全体の透過水の総量としては、供給水に対し
て40%と大きな収率が達成されることになる。
【0010】一方、逆浸透膜分離装置の運転条件設定に
ついて考慮する必要のある事項としては、ファウリング
(膜面汚れ)の防止と濃度分極の防止がある。ファウリ
ングの防止は、具体的には1本の逆浸透膜エレメントか
ら得られる透過水量をある値(耐ファウリング許容Fl
ux)以上にしないということで、この値を越えて透過
水を採取すると、そのエレメントの膜面汚れが加速され
ることになり好ましくない。この耐ファウリング許容F
luxは膜素材やエレメント構造によっても異なるが、
通常、高性能の逆浸透膜の場合では、0.75m3/m2
・日 程度であり、膜面積26.5m2の逆浸透膜エレ
メント(以下、全て逆浸透膜エレメントの膜面積は2
6.5m2を適用して話を進める)では20m3/日に相
当する。すなわち、ファウリング防止のために、1エレ
メントの透過水量は20m3/日以下に保つことが必要
である。
【0011】ここでいう濃度分極の防止というのは、主
にモジュール内部で上流側エレメントから下流側エレメ
ントに向かうに従って供給水の量が低下しており、最終
のエレメントに流れる供給水の膜面流速が低下すること
による濃度分極の防止である。濃度分極が生じると膜性
能を十分に発揮できないばかりでなく、ファウリングの
発生を加速し、逆浸透膜エレメントの寿命低下を引き起
こす。このため、最終エレメント(膜面積26.5m2
の場合)の濃縮水流量は50m3/日程度以上に保って
置く必要がある。
【0012】逆浸透膜海水淡水化装置を従来の最高収率
レベルの約40%で運転する場合は、単にモジュールを
複数本並列に配列させて圧力65atm(温度20℃の
場合)で運転し、透過水の全量に対して供給海水量を
2.5倍に設定することで、上記のファウリングおよび
濃度分極の防止条件は十分に満足されており、安定な運
転が行われてきた。また、特にモジュール内部の各エレ
メントの透過水のバランスや濃縮水のスケール成分析出
などを考慮することなどは必要なかった。
【0013】また、逆浸透膜海水淡水化装置の淡水化コ
ストの更なるコスト低減をめざしていく場合は、収率を
高めることが非常に重要であり、前述のように、海水濃
度3.5%の海水淡水化収率としては60%程度まで高
めることが望ましく、適量のスケール防止剤の添加を前
提として、運転圧力としては、濃縮水の浸透圧よりも約
20atm高い90atmの圧力で運転することが必要
となる。
【0014】一方、スケール防止剤は水処理施設や蒸発
法の淡水化装置などを始め逆浸透膜装置においても使用
されているがその目的は主にシリカ、金属塩類などのス
ケール物質の装置内での析出を抑制することであり、特
にシリカスケール成分の多い水を処理する際に用いられ
てきた。
【0015】例えば、特開昭53−30482号公報に
はあらかじめ供給液をキレート樹脂に接触させてカルシ
ウムやマグネシウムなどを低減した後逆浸透処理を行な
うことで逆浸透膜の寿命が延びることが、特開昭52−
151670号公報、特開平4−4022号公報には燐
酸塩を添加して逆浸透装置内のスケール発生を防止する
方法が開示されている。また、特開昭63−21877
3号公報、特開平4−99199号公報、特公平5−1
4039号公報には電着塗料や銅メッキの廃水にキレー
ト剤を添加して逆浸透濃縮することで塗料や銅の回収を
行なう方法が開示されている。さらに、特開昭63−6
9586号公報および特開平2−293027号公報で
は塩素、あるいは酸化剤と燐酸塩を添加した溶液を供給
して逆浸透膜装置の殺菌と安定運転を行なう方法が開示
されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように、同一の圧力容器内部に複数本の逆浸透膜エレメ
ントを直列に配列させたモジュールを、複数本並列に配
置した状態で90atmの圧力をかけて、淡水化収率6
0%の運転を行おうとすると、モジュール内部の上流側
のエレメント(1本目または2本目のエレメント)から
得られる透過水量が許容値以上に大きくなりすぎて、こ
れらのエレメントに濃度分極およびファウリングという
現象が生じてエレメントの目つまりや寿命低下が生じ、
その結果、長期にわたる逆浸透膜装置の安定運転を行う
ことが非常にむずかしくなる。淡水収率60%の海水淡
水化では、モジュールの入り口から出口にかけては、物
質収支的に海水濃度は3.5%から8.8%にまで、浸
透圧は26atmから70atmにまで変化している。
一方、操作圧力は入り口から出口にかけて、90atm
でほぼ一定であるために、真水を透過させるのに必要な
有効圧力(操作圧力と浸透圧の差)は64atmから2
0atmまでと大きく変化している。すなわち、モジュ
ール内部の1番目と最後段エレメントとの透過水量の比
率はこの有効圧比率の64:20と同程度となる。すな
わち一本目のエレメントの透過水量が激増し、耐ファウ
リング許容値である20m3/日を軽く越える透過水量
が得られ、ファウリングが非常に生じ易くなるという問
題があった。しかし、収率60%という条件では操作圧
力90atmというのは必須であるために操作圧力を低
下させることができず、結局、収率60%の運転を行う
ことは適当ではなく、もし、無理矢理運転したとして
も、ファウリングが加速されるという問題が生じるため
に長期の安定運転は不可能であった。また、どうしても
収率60%運転を行おうとすれば、エレメント1本の透
過水量を低下させた低性能エレメントをあえて使用し
て、エレメント数を増加させて運転するなどという、非
経済的な方向を指向した運転条件を選定せざるを得なか
った。
【0017】また、上記内容は、簡単のためにスパイラ
ル型逆浸透膜エレメントを例にとり説明しているが、中
空糸膜型モジュールの場合でも内部では同様の現象と同
様の問題が生ずる。
【0018】本発明は、高濃度溶液である海水から高い
収率、少ないエネルギー、より安価に高効率に淡水をよ
り安定に得ることができる分離方法を提供することにあ
り、特に、海水から60%という高い収率で、かつ少な
いエネルギーで真水を効率的に、かつ安定的に得るため
の分離方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を有
する。すなわち、(1)「逆浸透膜モジュールユニット
を多段に配置してなり、かつ、次段の逆浸透膜モジュー
ルユニットの逆浸透膜の合計有効膜面積がその次段の逆
浸透膜モジュールユニットの前段に配置した逆浸透膜モ
ジュールユニットの逆浸透膜の合計有効膜面積の40〜
60%の範囲にある逆浸透分離装置を用いて海水を処理
して濃縮水と透過水とに分離するに際し、逆浸透分離装
置を、前段の逆浸透膜モジュールユニットから得られる
濃縮水を昇圧して後段の逆浸透膜モジュールユニットに
供給するとともに各段の逆浸透膜モジュールユニットか
ら得られる透過水量の合計が1段目の逆浸透膜モジュー
ルユニットに供給する海水量の50%以上になるように
運転することを特徴とする逆浸透分離方法」、(2)
「飲料水基準を満足する透過水を得る、上記の逆浸透分
離方法」、(3)「前段の逆浸透膜モジュールユニット
で得られる透過水量の30〜70%の範囲の透過水量が
次段の逆浸透膜モジュールユニットで得られるように運
転する、上記いずれかの逆浸透分離方法」、(4)「n
段目の逆浸透膜モジュールユニットの操作圧力P(n)と
n+1段目の逆浸透膜モジュールユニットの操作圧力P
(n+1)とが次式の範囲内になるように運転する、上
記いずれかの逆浸透分離方法 1.15 ≦ P(n+1)/P(n) ≦1.8」、 (5)「各段における逆浸透膜モジュールユニットの操
作圧力と濃縮液の浸透圧との差が50atm未満になる
ように運転する、上記いずれかの逆浸透分離方法」、
(6)「1段目の逆浸透膜モジュールユニットの操作圧
力が70atm以下になるように運転する、上記いずれ
かの逆浸透分離方法」、(7)「最終段の逆浸透膜モジ
ュールユニットの操作圧力が120atm以下になるよ
うに運転する、上記いずれかの逆浸透分離方法」、
(8)「最終段の逆浸透膜モジュールユニットから得ら
れる濃縮水の圧力エネルギーを用いて1段目の逆浸透膜
モジュールユニットに供給する海水を昇圧する、上記い
ずれかの逆浸透分離方法」、(9)「供給水にスケール
防止剤を添加する、上記いずれかの逆浸透膜分離方
法」、(10)「膜濾過した海水を1段目の逆浸透膜モ
ジュールユニットに供給する、上記いずれかの逆浸透分
離方法」である。
【0020】そして、かかる本願発明の構成は、該逆浸
透膜分離装置が3段以上の場合、特定の2段の間で満足
されることが必要であるが、すべての段の間で満足され
ることは必須ではない。
【0021】本発明において、逆浸透膜分離装置とは供
給液の取水部分、逆浸透膜部分から少なくともなる。逆
浸透膜部分は造水、濃縮、分離などの目的で被処理液を
加圧下で逆浸透膜モジュールに供給し、透過液と濃縮液
に分離するための部分をいい、通常は逆浸透膜エレメン
トと耐圧容器からなる逆浸透膜モジュール、加圧ポンプ
などで構成される。該逆浸透膜部分に供給される被分離
液は前処理部分で通常、殺菌剤、凝集剤、さらに還元
剤、pH調整剤などの薬液添加と砂濾過、活性炭濾過、
保安フィルターなどによる前処理(濁質成分の除去)が
行なわれる。例えば、海水の脱塩の場合には、取水部分
で海水を取込んだ後、沈殿池で粒子などを分離し、また
ここで殺菌剤を添加して殺菌を行なう。さらに、塩化鉄
などの凝集剤を添加して砂濾過を行なう。ろ液は貯槽に
貯められ、硫酸などでpHを調整した後高圧ポンプに送
られる。この送液中に亜硫酸水素ナトリウムなどの還元
剤を添加して逆浸透膜素材を劣化させる原因となる殺菌
剤を消去し、保安フィルターを透過した後、高圧ポンプ
で昇圧されて逆浸透モジュールに供給されることもしば
しば行われる。ただし、これらの前処理は、用いる供給
液の種類、用途に応じて適宜採用される。
【0022】ここで逆浸透膜とは、被分離混合液中の一
部の成分、例えば溶媒を透過させ他の成分を透過させな
い半透性の膜である。その素材には酢酸セルロース系ポ
リマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニ
ルポリマーなどの高分子素材がよく使用されている。ま
たその膜構造は膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻
密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大
きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層
の上に別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する
複合膜がある。膜形態には中空糸、平膜がある。しか
し、本発明の方法は、逆浸透膜の素材、膜構造や膜形態
によらず利用することができいづれも効果がある。代表
的な逆浸透膜としては、例えば酢酸セルロース系やポリ
アミド系の非対称膜およびポリアミド系、ポリ尿素系の
活性層を有する複合膜などがあげられる。これらのなか
でも、酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複
合膜に本発明の方法が有効であり、さらに芳香族系のポ
リアミド複合膜では効果が大きい。
【0023】逆浸透膜エレメントとは上記逆浸透膜を実
際に使用するために形態化したものであり平膜は、スパ
イラル、チューブラー、プレート・アンド・フレームの
エレメントに組み込んで、また中空糸は束ねた上でエレ
メントに組み込んで使用することができるが、本発明は
これらの逆浸透膜エレメントの形態に左右されるもので
はない。
【0024】逆浸透膜モジュールユニットとは上述の逆
浸透膜エレメントを1〜数本圧力容器の中に収めたモジ
ュールを並列に配置したものでその組合せ、本数、配列
は目的に応じて任意に行なうことができる。
【0025】本発明においては該逆浸透膜モジュールユ
ニットを複数用いることと、その配列に特徴がある。該
逆浸透膜モジュールユニットの配列は供給液あるいは濃
縮液の流れが直列であることが重要であり、すなわちひ
とつの逆浸透膜モジュールユニットの濃縮液が次の逆浸
透膜モジュールユニットの供給液となる。ここで、本発
明の逆浸透分離装置の基本的な構成の例を図1に基づい
て説明する。図1は、本発明の技術を採用した海水淡水
化プラントの例であり、濃度3.5%の通常海水から6
0%という非常に高い収率で真水を得る為の設備であ
り、2基の逆浸透膜モジュールユニットと1台の加圧ポ
ンプ、および1台のブースターポンプからなる逆浸透分
離装置を模式的に示したものである。海水は、前処理
(図示されていない)で濁質成分を除去された後、加圧
ポンプ1によって60〜65atmに加圧され、1段目
の逆浸透膜モジュールユニットに供給される。1段目の
逆浸透膜ユニットで、供給液は膜を透過した低濃度の透
過液と膜を透過しない高濃度の濃縮液とに分離される。
次に、透過液はそのまま利用されるが、濃縮液はその圧
力の60〜65atm(簡単のために圧力損失を無視す
る)から、収率60%の高濃度濃縮水の分離に必須の9
0atmにまでブースターポンプ2によってさらに昇圧
され、2段目の逆浸透膜モジュールユニットに供給さ
れ、再度逆浸透分離が行われて2段目透過液と同濃縮液
とに分離される。この逆浸透膜プラントの供給水の総量
と1段目透過液と2段目の透過液の合計との比率が淡水
収率であり、今回の場合は60%となる。
【0026】図1は、2段の逆浸透膜モジュールユニッ
トと1台の加圧ポンプ、1台のブースターポンプが組み
合わされた逆浸透分離装置(濃縮水昇圧2段法とよぶ)
であるが、段数、ポンプの数についてはこの限りではな
く、任意に設定することができる。
【0027】収率については、装置全体のエネルギー抗
すと低減を考慮して50%以上とし、好ましくは55%
以上である。特に60%程度という理論限界の値に近い
領域で本発明の効果が著しく発揮される。
【0028】2段または複数段の逆浸透膜モジュールユ
ニットへの供給原水を加圧する場合、1台の加圧ポンプ
と1台または複数台のブースターポンプが使用される。
加圧ポンプは供給原水を供給原水の浸透圧以上に加圧す
るためのもので汎用の高圧ポンプと呼ばれるものであ
る。圧力は供給原水の浸透圧(厳密には供給原水の浸透
圧と透過水の浸透圧との「浸透圧差」であるが、簡単の
ために「浸透圧」で表現する。)より大きいことが必須
条件であり、より好ましくは、1段目逆浸透膜モジュー
ルユニットの濃縮水浸透圧よりも20atm程度高い圧
力に設定することが良いが該浸透圧よりも50atm以
上にしないことが望ましい。すなわち、海水淡水化の場
合では総合的な電力コストを考慮すると1段目のモジュ
ールユニットの操作圧力は70atm以下であることが
最も好ましい。最終段のモジュールユニットの操作圧力
は、最終段のモジュールユニットの濃縮水浸透圧よりも
約20atm高い圧力が望ましい。収率60%の海水淡
水化の場合はコストを考慮すると操作圧力90atmが
好ましいが、濃度が高いために超高脱塩率膜(結果的に
透過水量が小さくなる傾向にある)を使用する場合など
も考慮すると更に圧力を高めることも可能である。しか
し、逆浸透膜エレメントの透過側の流路に障害を与える
ことなく運転するためには、圧力は約120atm(浸
透圧+50atm))以下であることが望ましい。ま
た、モジュールユニット段数を多段にして、各段の圧力
はブースターポンプで少しづつ昇圧する事もエネルギー
コスト低減に効果が大きく、任意に設定することができ
る。ここにおいて、発明者らは淡水化コストを低減しう
る多段昇圧式の海水淡水化システムの検討を行った結
果、モジュールユニット各段の操作圧力については、n
段目の操作圧力P(n)とn+1段目の操作圧力P(n
+1)との間に、「1.15≦P(n+1)/P(n)
≦1.8、」という関係があることが好ましく、また、
より好ましくは、「1.3≦P(n+1)/P(n)≦
1.6」が良いということを見出した。
【0029】もちろん、本願発明において、n段目とn
+1段目との関係が限定されている場合、すべての段か
ら選ばれる少なくとも1つの任意のn段目に付いて当て
はまれば充分である。
【0030】ブースターポンプというのは、前段であら
かじめ昇圧された前段濃縮水の圧力を更に昇圧して次段
の逆浸透膜モジュールの供給水として供給するものであ
るが、1段目の昇圧よりも軽度の昇圧(通常は10at
m〜30atm)を行うことができれば良いが、あらか
じめ昇圧された液をブースターポンプの吸い込み側ケー
シング内に送り込む必要があるために、ブースターポン
プの吸い込み側ケーシングはしかるべき耐圧性を有して
いる必要があり、少なくとも、50atmの吸い込み側
耐圧性を有していることが必須である。特に、ケーシン
グ、軸シール材の耐圧性確保は非常に重要である。この
ような耐圧性が確保されておりさえすれば、ブースター
ポンプの種類、構造は特に限定しない。
【0031】本発明によれば、かりにファウリングの影
響を無視して従来の単純1段法で操作圧力90atmの
運転を実施した場合と、圧力容器の選定が異なってく
る。単純1段法の90atm運転では、逆浸透膜エレメ
ントはもちろん、複数本のエレメントを収納する圧力容
器まで90atmに耐える耐圧が必要であるが、本発明
では1段目モジュールユニットは例えば60atm程度
と比較的低圧の運転を実施できるので、圧力容器の耐圧
レベルを下げることができ、経済的メリットが大きい。
ただし、最終段の圧力容器については80から100a
tmでの運転が実施できるように少なくとも80atm
以上の耐圧性を有していることが必要である。
【0032】本発明の逆浸透分離方法においては海水を
供給液とする。海水は高濃度で高い浸透圧を有する液体
であるので本発明の効果が発揮される。
【0033】溶質の濃度についても特に限定しないが、
溶質濃度として0.5重量%以上であることが好まし
い。また、特に好ましくは、高い浸透圧を有している海
水または塩分濃度1%程度以上の高濃度かん水を供給し
た場合に特に本発明の効果が発揮される。
【0034】本発明においては複数の逆浸透膜モジュー
ルユニットを設けることができるが、段数については前
述のとおり任意に設定することができる。また、特にコ
スト面を考慮するとモジュールユニットの数は、2段ま
たは3段であることが最も好ましい。多段の逆浸透膜モ
ジュールユニットを設けた場合、各段の供給液に対して
濃縮液の流量は減少しているので、同じ本数のモジュー
ルユニットを設置する場合は、後段になるほど1モジュ
ールあたりの供給水量が少なくなって濃度分極が生じ易
くなるので、各段のユニットを構成するモジュール本数
は、段数に従って減らしていき、モジュール1本あたり
の供給水流量が極端に小さくなることを防止することが
望ましい。本発明においては、多段に配置した逆浸透膜
モジュールにおいて、次段の逆浸透膜モジュールユニッ
トの逆浸透膜有効膜面積の合計が前段の40〜60%の
範囲になるように低減させる。また、各段の透過水量に
ついても同様の理由により減少させていくことがプラン
ト全体のバランスを保つ上で好ましい。各段のモジュー
ル本数が決定されていてもブースターポンプによる昇圧
圧力を選ぶことで透過水量を広く設定することが可能で
あるが、装置全体のエネルギーコストの低減を考慮する
と、多段に配置した逆浸透膜モジュール装置において次
段の透過水量は前段の30〜70%の範囲で低減させる
ことが最も好ましい。
【0035】本発明ではモジュールユニットを多段にし
て、後段のモジュール数を最適に低減させていくことに
よって、逆浸透膜モジュールの供給側膜面流速の急激な
低下を防止することができる。膜面流速にも最適値が存
在しており、各段によって膜面流速に大きな差異がある
ことは好ましくない。各段のモジュールユニットを流れ
る海水の膜面流速の差異を小さくして、濃度分極を起こ
さない安定運転を行うためには、各段の逆浸透膜モジュ
ールユニットの濃縮水の膜面流速について、最も大きい
膜面流速を有するモジュールユニットの濃縮水膜面流速
(最大濃縮水膜面流速)と、最も小さい膜面流速を有す
るモジュールユニットの濃縮水膜面流速(最小濃縮水膜
面流速)とが、「最大濃縮水膜面流速/最小濃縮水膜面
流速≦1.5」、好ましくは、「最大濃縮水膜面流速/
最小濃縮水膜面流速≦1.3」、という関係になるよう
に運転することが最も好ましい。
【0036】本発明において最終段の逆浸透膜モジュー
ルユニットからの濃縮水は、圧力エネルギーを持ってお
り、このエネルギーを回収して再使用することが好まし
い。最終段の濃縮水のエネルギー回収方法としては、タ
ービン、水車などによって、前段または任意の段のブー
スターポンプまたは1段目の加圧ポンプの軸動力の不可
低減を行う方法ができる。しかしながら、回収エネルギ
ーを余らせることなく活用するためには、この濃縮水
を、最も大きなエネルギーが必要とされている1段目モ
ジュールユニットの加圧ポンプに直結するエネルギー回
収タービンに直接戻して同加圧ポンプのエネルギーを回
収する方式が最良である。
【0037】本発明は、特に高収率の海水淡水化をめざ
しており、安定運転のためには、スケール防止剤の添加
が有用である。また、本発明において逆浸透膜装置の供
給液に添加するスケール防止剤とは溶液中の金属、金属
イオンなどと錯体を形成し、金属あるいは金属塩を可溶
化させるもので、有機や無機のイオン性のポリマーある
いはモノマーが使用できる。イオン性のポリマーとして
はポリアクリル酸、スルホン化ポリスチレン、ポリアク
リルアミド、ポリアリルアミンなどの合成ポリマーやカ
ルボキシメチルセルロース、キトサン、アルギン酸など
の天然高分子が使用できる。有機系のモノマーとしては
エチレンジアミン四酢酸などが使用できる。無機系スケ
ール防止剤としてはポリ燐酸塩などが使用できる。これ
らのスケール防止剤の中では入手のしやすさ、溶解性な
ど操作のしやすさ、価格の点から特にポリ燐酸塩、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)が本発明において好適
に用いられる。ポリ燐酸塩とはヘキサメタ燐酸ナトリウ
ムを代表とする分子内に2個以上の燐原子を有し、アル
カリ金属、アルカリ土類金属と燐酸原子などにより結合
した重合無機燐酸系物質をいう。代表的なポリ燐酸塩と
しては、ピロ燐酸4ナトリウム、ピロ燐酸2ナトリウ
ム、トリポリ燐酸ナトリウム、テトラポリ燐酸ナトリウ
ム、ヘプタポリ燐酸ナトリウム、デカポリ燐酸ナトリウ
ム、メタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、
およびこれらのカリウム塩などがあげられる。
【0038】また、これらスケール防止剤の添加濃度は
供給液中の少なくともスケール成分を取込める量であれ
ば充分であるが、費用や溶解にかかる時間などの操作性
を考慮すると一般的には0.01〜100ppmであ
り、正確には供給水の水質に依存するが通常、海水の場
合では0.1〜50ppmが好ましく、さらに好ましく
は1〜20ppmである。添加量が0.01ppmより
も少ない場合にはスケールの発生を充分に抑制できない
ため、膜性能の劣化が起こる。また、100ppm以上
ではスケール防止剤自体が膜表面に吸着して造水量を低
下させたり、水質を悪化させるため好ましくない。ただ
し、多量にスケール物質や金属類を含む供給液では数十
〜数百ppmの添加が必要な場合もある。
【0039】本発明においては、従来の単純一段法では
困難であった海水淡水化の高収率運転が可能となり、淡
水化コストの大幅削減と運転の安定化の向上が期待され
るが、多段に配列させたモジュールユニットの供給水を
あらかじめ超清澄化させておくことによって、一層の運
転安定化が図られる。すなわち、本発明者らは、鋭意検
討の結果、洗浄可能な中空糸膜濾過装置による海水の処
理が、海水淡水化前処理水の超清澄化手段として非常に
大きな効果を持つことを見出した。これは、海水を多数
の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜モジュールで濾過して
清澄海水を得るものであるが、中空糸膜表面の汚れを物
理洗浄手段によって除去しつつ、長期にわたって使用で
きるような中空糸膜を使用することが前提である。中空
糸膜の物理洗浄手段としては、濾過水の逆方向流水洗浄
や空気によるエアーフラッシング、またはスクラビング
洗浄などを採用することができる。
【0040】本発明で使用する中空糸膜モジュールとし
ては中空糸膜束の端部を接着剤で固めた後で切断により
中空糸膜内部を開孔させてなる中空糸膜モジュールであ
り、特に構造は問わないが、物理洗浄の手段と組み合わ
せて最適形状を採用することができる。特に好ましく
は、タンク形状の容器の中に、複数本の中空糸膜エレメ
ントを装填した形状のモジュールが大容量化に適してお
り、最も好ましい。中空糸膜モジュールを構成する中空
糸膜としては、多孔質の中空糸膜であれば特に限定しな
いが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、
ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、ポリア
クリロニトリル、その他の材質を選定することができ
る。この中で特に好ましい中空糸膜素材としては、アク
リロニトリルを少なくとも一成分とする重合体からなる
中空糸膜が適当である。アクリロニトリル系重合体の中
でも最も好ましいものとしては、アクリロニトリルを少
なくとも50モル%以上、好ましくは60モル%以上と
該アクリロニトリルに対して共重合性を有するビニル化
合物一種または二種以上を50%以下、好ましくは0か
ら40モル%とからなるアクリロニトリル系共重合体で
ある。また、これらアクリロニトリル系重合体二種以
上、さらに他の重合体との混合物でも良い。上記ビニル
化合物としては、アクリロニトリルに対して共重合性を
有する公知の化合物であれば良く、特に限定されない
が、好ましい共重合成分としては、アクリル酸、イタコ
ン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビ
ニル、アリルスルホン酸ソーダ,p−スチレンスルホン
酸ソーダ等を例示することができる。
【0041】もちろん、本発明は海水淡水化以外の多く
の逆浸透膜分離操作、例えば化学プロセス用途、食品分
離用途などに広く適用できる。
【0042】
【実施例】実施例1 標準条件(圧力56atm、3.5%海水、温度25
℃、収率12%)で脱塩率99.5%、造水量15m3
/日の性能を有した膜面積26.5m2のポリアミド系
逆浸透膜を使用し、これを1つの圧力容器内に6本入れ
たモジュールを並列に4本組込んだ第1段目のモジュー
ルユニットと、同モジュールを2本組込んだ第2段目の
モジュールユニットと、供給水である海水を昇圧して1
段目のモジュールユニットに供給する加圧ポンプと、第
1段目のモジュールユニットの濃縮水を更に加圧して第
2段目のモジュールユニットに供給するブースターポン
プを有した図1に示す逆浸透膜分離装置を製作し、海水
淡水化実験を行った。2段目濃縮水は1段目の高圧ポン
プに直結したエネルギー回収タービンに戻してエネルギ
ー回収を行った。1段目高圧ポンプで汲み上げた海水を
65atmにまで加圧して1段目の逆浸透膜モジュール
に供給し、1段目の濃縮水(63atm)はブースター
ポンプで90atmにまで加圧した。この結果、海水供
給量770m3/日に対して、1段目透過水量300m3
/日、2段目透過水量162m3/日の飲料水基準を満
足する真水を得た。収率は60%であった。1段目モジ
ュールユニットの最上流側のエレメントの透過水量は1
8m3/日であり、透過水1m3あたりの電力消費量は
4.5kWhであった。
【0043】比較例1 実施例1と同じ逆浸透膜エレメントを1本の圧力容器内
に6エレメント装填したモジュール6本からなる逆浸透
膜モジュールユニットと、海水を昇圧してモジュールユ
ニットに供給する加圧ポンプからなる図2に示す逆浸透
膜分離装置を製作し、海水淡水化実験を行った。加圧ポ
ンプ圧力90atmにおいて、1段目透過水量498m
3/日の真水を収率60%で得ることができた。最上流
側のエレメントの透過水量は、22m3/日と耐ファウ
リング許容値を越えており、長期にわたる使用は不適当
な状態であることがわかった。透過水1m3あたりの電
力消費量は、4.9kWhであった。
【0044】実施例2 分子量40万、外径500μm、内径350μmのポリ
アクリロニトリル中空糸膜12000本からなる膜面積
15m2の中空糸膜モジュール7本を1台のステンレス
容器に収納してなる中空糸膜モジュールユニットに1パ
スで海水を通水し、濾過処理を行った。濾過流量は、1
00m3/日であり、濾過操作圧力は0.5atmであ
った。濾過処理前の海水の濁度は3.0、膜の目詰まり
度を表す指標のFI(ファウリングインデックス)値
は、測定不能(FI≧6.5)であったが、濾過処理後
の海水の濁度は0.1、FI値は1以下であった。この
海水を用いて、標準条件(圧力56atm,3.5%海
水、温度25度、収率12%)で脱塩率99.5%,造
水量3.75m3/日の性能を有した膜面積6.6m2
ポリアミド系逆浸透膜エレメント8本(エレメント2本
入りモジュール4本使用)を前段に、エレメント4本
(同モジュール2本使用)を後段に組み込んだ図1に示
す濃縮水昇圧法の逆浸透膜装置を製作し、1段目圧力6
5atm,2段目圧力90atmで海水淡水化の連続運
転を実施した。この結果、海水から透過水40m3/日
を収率60%で得ることができた。2000時間の連続
運転によっても、この条件において透過水が得られる量
(25度C換算値)は変化認められなかった。
【0045】実施例3 前処理に中空糸膜モジュールユニットを使用する代わり
に、凝集砂濾過装置を使用した以外は実施例2と同等の
海水淡水化実験を実施した。凝集砂濾過装置は凝集剤と
して塩化第二鉄を添加しており、濾過処理後の水質は、
濁度0.6,FI値は4.5であった。実施例2と同じ
条件で2000時間連続運転した結果、同じ操作条件で
透過水量は、36m3/日と、約3%の低下が認められ
た。
【0046】
【発明の効果】本発明により、高濃度溶液である海水か
ら高い収率、少ないエネルギー、より安価に高効率に低
濃度溶液の淡水をより安定に得ることが可能な分離方法
が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の逆浸透膜装置の一例を示すフロー図で
ある。
【図2】従来技術の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:加圧ポンプ 2:1段目逆浸透膜モジュールユニット 3:1段目透過液 4:1段目濃縮液 5:エネルギー回収装置 6:供給液 7:ブースターポンプ 8:2段目逆浸透膜モジュールユニット 9:2段目透過液 10:2段目濃縮液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/44 C02F 1/44 G Fターム(参考) 4D006 GA01 GA02 GA03 HA01 HA21 HA41 HA61 JA53Z KA01 KA03 KA12 KA41 KA51 KA54 KA57 KB13 KC01 KC03 KC14 KD03 KD08 KD30 KE03R KE06R KE07R MA01 MA02 MA03 MA04 MA06 MC18 MC21 MC33 MC36 MC38 MC39 MC48 MC54 MC58 MC62

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】逆浸透膜モジュールユニットを多段に配置
    してなり、かつ、次段の逆浸透膜モジュールユニットの
    逆浸透膜の合計有効膜面積がその次段の逆浸透膜モジュ
    ールユニットの前段に配置した逆浸透膜モジュールユニ
    ットの逆浸透膜の合計有効膜面積の40〜60%の範囲
    にある逆浸透分離装置を用いて海水を処理して濃縮水と
    透過水とに分離するに際し、逆浸透分離装置を、前段の
    逆浸透膜モジュールユニットから得られる濃縮水を昇圧
    して後段の逆浸透膜モジュールユニットに供給するとと
    もに各段の逆浸透膜モジュールユニットから得られる透
    過水量の合計が1段目の逆浸透膜モジュールユニットに
    供給する海水量の50%以上になるように運転すること
    を特徴とする逆浸透分離方法。
  2. 【請求項2】飲料水基準を満足する透過水を得る、請求
    項1に記載の逆浸透分離方法。
  3. 【請求項3】前段の逆浸透膜モジュールユニットで得ら
    れる透過水量の30〜70%の範囲の透過水量が次段の
    逆浸透膜モジュールユニットで得られるように運転す
    る、請求項1または2に記載の逆浸透分離方法。
  4. 【請求項4】n段目の逆浸透膜モジュールユニットの操
    作圧力P(n)とn+1段目の逆浸透膜モジュールユニッ
    トの操作圧力P(n+1)とが次式の範囲内になるよう
    に運転する、請求項1〜3のいずれかに記載の逆浸透分
    離方法。 1.15 ≦ P(n+1)/P(n) ≦1.8
  5. 【請求項5】各段における逆浸透膜モジュールユニット
    の操作圧力と濃縮液の浸透圧との差が50atm未満に
    なるように運転する、請求項1〜4のいずれかに記載の
    逆浸透分離方法。
  6. 【請求項6】1段目の逆浸透膜モジュールユニットの操
    作圧力が70atm以下になるように運転する、請求項
    1〜5のいずれかに記載の逆浸透分離方法。
  7. 【請求項7】最終段の逆浸透膜モジュールユニットの操
    作圧力が120atm以下になるように運転する、請求
    項1〜6のいずれかに記載の逆浸透分離方法。
  8. 【請求項8】最終段の逆浸透膜モジュールユニットから
    得られる濃縮水の圧力エネルギーを用いて1段目の逆浸
    透膜モジュールユニットに供給する海水を昇圧する、請
    求項1〜7のいずれかに記載の逆浸透分離方法。
  9. 【請求項9】供給水にスケール防止剤を添加する、請求
    項1〜8のいずれかに記載の逆浸透膜分離方法。
  10. 【請求項10】膜濾過した海水を1段目の逆浸透膜モジ
    ュールユニットに供給する、請求項1〜9のいずれかに
    記載の逆浸透分離方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011069329A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Hitachi Plant Technologies Ltd 水車及びこれを用いた海水淡水化プラント
WO2023017778A1 (ja) * 2021-08-10 2023-02-16 東洋紡株式会社 膜分離システム

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