JP2002058449A - 麦若葉末の製造方法 - Google Patents

麦若葉末の製造方法

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JP2002058449A
JP2002058449A JP2000251613A JP2000251613A JP2002058449A JP 2002058449 A JP2002058449 A JP 2002058449A JP 2000251613 A JP2000251613 A JP 2000251613A JP 2000251613 A JP2000251613 A JP 2000251613A JP 2002058449 A JP2002058449 A JP 2002058449A
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young leaves
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Shinji Tsuzaki
慎二 津崎
Kinya Takagaki
欣也 高垣
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Toyo Shinyaku Co Ltd
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Toyo Shinyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性食物繊維量を増加させた、食感の優れ
た麦若葉末を提供すること。 【解決手段】 麦若葉を植物組織分解酵素で処理するこ
とによって、水溶性が増加し、食感に優れ、食後血糖値
の上昇抑制効果を有し、さらにコレステロールの吸収抑
制などの効果が期待される麦若葉末を得る。さらにGA
BA富化処理工程を追加することにより、コレステロー
ルの吸収抑制、食後血糖値の上昇抑制効果に加えて血圧
降下効果も期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物組織分解酵素
処理によって、水溶性食物繊維量が増加し、食感および
食後血糖値の上昇抑制効果が向上した麦若葉末に関す
る。
【0002】
【従来の技術】麦若葉は、ビタミン類、ミネラル類、食
物繊維に富み、抗高血圧効果、有害物質の吸着、腸内環
境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急
上昇防止、スーパーオキサイドディスムターゼ(SO
D)を活性化するなどの効果を有する健康食品として注
目を浴びている。現在、麦若葉が食品素材として用いら
れる場合、主に麦若葉末(特許第2544302号公
報)として、または麦若葉搾汁粉末として用いられてい
る。麦若葉末は、主として水または湯に溶かして飲用す
るが、その場合、沈澱物が多く、飲み残しが生じるとい
う問題がある。
【0003】このような沈澱物、飲み残しは、不溶性の
食物繊維と考えられるが、これを水溶性食物繊維に変え
ることができれば、コレステロールの吸収抑制、食後血
糖値の上昇抑制効果などの効果が期待されるうえ、麦若
葉末が有効に利用される。
【0004】そこで、麦若葉末を総合的に利用するため
に、食物繊維の改質、新たな効果の付与が求められてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、麦若
葉末の水溶性食物繊維量を増加させ、水に溶けやすく食
感のよい麦若葉末を提供するとともに、新たな効果を麦
若葉末に付与することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討したところ、麦若葉の製造過
程において、植物組織分解酵素処理を行うことによっ
て、水溶性食物繊維量が増加し、水に溶けやすくなった
麦若葉末を得られることを見出して本発明を完成するに
至った。
【0007】本発明は、麦若葉末の製造方法を提供し、
この方法は、 a)収穫した麦若葉を洗浄する工程; b)この麦若葉をスラリー化する工程; c)このスラリー化物に植物組織分解酵素を作用させる
工程; d)この植物組織分解酵素処理した麦若葉をブランチン
グする工程; e)ブランチングした麦若葉を冷却する工程; f)得られた麦若葉を乾燥させる工程;および g)乾燥した麦若葉を粉砕する工程、 を包含する。
【0008】好ましい実施態様では、上記植物組織分解
酵素は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼか
らなる群から選択される少なくとも1つの酵素である。
【0009】好ましい実施態様においては、前記d)の
ブランチング処理の前にγ−アミノ酪酸富化処理を行う
工程を含む。
【0010】本発明はまた、上記の方法で製造される麦
若葉末を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の麦若葉末の原料として
は、例えば、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などの麦類の
若葉(茎を含んでも良い)が用いられる。これらの麦若
葉は、収穫後、時間が経つに従って、麦若葉の緑色が褪
色するので、なるべく迅速に処理される。好ましくは、
分けつ開始期ないし出穂開始前期(背丈が20〜40c
m程度)に収穫した若葉を用いることが最適であり、よ
り好ましくは、大麦の若葉が用いられる。
【0012】麦若葉は、収穫後、水等で洗浄し、水気を
切って、そのまま処理するか、あるいは適切な長さ(例
えば10cm)に切断し、処理して用いられる。
【0013】麦若葉のスラリー化は、ミキサー、ジュー
サー、ブレンダー、マスコロイダーなどにより行われ、
麦若葉は、どろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)に
なる。
【0014】スラリー化した麦若葉は、植物組織分解酵
素で処理される。植物組織分解酵素とは、植物の細胞
壁、細胞膜、細胞間物質など(以下、細胞壁などという
ことがある)を分解する能力を有するものであり、例え
ば、セルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼなどが
挙げられる。これらの植物組織分解酵素の1種またはそ
れらを組み合わせた混合物を、スラリー化した麦若葉に
添加して、酵素処理を行う。
【0015】植物組織分解酵素の添加方法は、特に限定
されないが、予め水に溶解させて酵素溶液とし、これを
スラリー化した麦若葉に添加することが好ましい。その
際の酵素溶液の濃度は、好ましくは0.003〜0.1
重量%程度であり、より好ましくは0.005〜0.0
7重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%で
ある。
【0016】酵素処理の温度は、通常は酵素反応に適し
た温度、好ましくは20〜50℃、より好ましくは30
〜45℃、さらに好ましくは35〜45℃である。50
℃を超えると酵素が失活するので好ましくない。また、
処理時間は、細胞壁などが分解するために十分な時間、
好ましくは15分〜2時間、より好ましくは30分〜1
時間である。植物組織分解酵素の処理のpHは、用いる
酵素にもよるが、一般的にpH3〜6が好ましく、4〜
6がより好ましい。
【0017】次いで、麦若葉に、酵素を失活させるた
め、および変質(褪色などの変色を含む)を防ぐための
処理(ブランチング処理)が行われる。ブランチング処
理は、処理される形態に応じて種々の方法が用いられる
が、これには例えば、熱水処理、蒸煮処理などが挙げら
れ、この処理により、麦若葉由来の素材は、褪色せずに
緑色を保持し、風味の変化を生じなくなる。
【0018】熱水処理は、例えば、特許第254430
2号公報に記載の方法により行われ得る。すなわち、ス
ラリー化した麦若葉を入れた容器を中に浸して行われ
る。
【0019】植物組織分解酵素処理された麦若葉の細片
化物は、例えば、常圧、または加圧下もしくは減圧下、
80〜150℃にて1分間〜1時間処理される。
【0020】本発明では、上記のような麦若葉をブラン
チング処理する前にγ−アミノ酪酸(以下、GABAと
いうことがある)富化処理を施してもよい。GABA
は、降圧作用を有しているので、麦若葉末に血圧降下作
用が期待される。なお、麦若葉にはGABAが含まれて
いるがブランチング処理によりほとんど消失すること、
およびGABA富化処理した後ブランチング処理を行う
とGABAが麦若葉中に残留することは、本発明者らが
初めて見出したものである。
【0021】GABA富化処理は、例えば、a)麦若葉
の洗浄工程の後、b)のスラリー化工程の後、c)の植
物組織分解酵素処理工程の後、または、c)と同時に行
ってもよい。
【0022】GABA富化処理にはいくつかの方法があ
るが、例えば、赤外線処理する、嫌気処理する、一定温
度で保存する(保温処理)、グルタミン酸またはその塩
あるいはこれらを含む食物(以下、グルタミン酸などと
いう)と接触させる(以下、グルタミン酸処理という)
などの方法が挙げられる。
【0023】赤外線処理は、例えば、400W程度の赤
外線照射装置を用いて、被処理物の水分が蒸発しない様
に密閉し、20〜50℃、好ましくは30〜45℃で、
10分〜24時間、好ましくは1〜6時間保持すること
により行われる。
【0024】嫌気処理とは、ほとんど酸素を含まない
か、無酸素の気体で処理することを意味する。真空状態
も含む。気体としては窒素ガス、二酸化炭素が好ましく
用いられる。保温処理および嫌気処理の時間は、10分
〜24時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。保
温処理および嫌気処理の温度は、約20〜50℃が好ま
しく、約30〜45℃がより好ましい。
【0025】グルタミン酸処理もGABA含量を増加さ
せる。麦若葉の表面および内部に存在する酵素によって
グルタミン酸がGABAに変化するので、GABA含有
量が増加する。グルタミン酸処理には、麦若葉をグルタ
ミン酸などを含む溶液に浸漬する方法、スラリー化した
麦若葉にグルタミン酸などを添加する方法がある。
【0026】グルタミン酸の塩としては、例えば、グル
タミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミ
ン酸カルシウム、グルタミン酸マグネシウムなどの、当
業者に公知のグルタミン酸塩が挙げられる。
【0027】グルタミン酸などは直接添加してもよい
し、高濃度で含有する溶液として添加してもよい。グル
タミン酸などは、好ましくは緑色植物に対して0.01
〜40重量%、より好ましくは0.02〜20重量%、
より好ましくは0.05〜10重量%添加される。
【0028】グルタミン酸処理は、通常約20〜50
℃、好ましくは25〜45℃にて行われる。pHは通常
3.5〜9.0、好ましくは4.0〜8.0、より好ま
しくは4.5〜7.0、最も好ましくは5.0〜6.0
である。GABA富化処理の時間は、10分〜24時間
でよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に
増加する。
【0029】さらに、必要に応じて、反応溶液にピリド
キサールリン酸、食塩などの無機塩化物などを添加する
ことにより、または、有機酸もしくはATPなどの阻害
剤が反応系から取り除かれ、それによってGABA富化
効率を高めることができる。
【0030】無機塩化物としては、例えば、塩化ナトリ
ウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マ
グネシウムなどの当業者が通常用いる無機塩化物が挙げ
られる。にがり、粗塩などを用いても良い。これらは、
任意の濃度で添加され得るが、通常、終濃度が0.05
〜20%、好ましくは0.1〜10%となるように添加
される。例えば、100g(湿重量)の大麦の若葉を3
%のグルタミン酸ナトリウム溶液(pH6.0)に30
℃にて5時間浸漬した場合、塩化ナトリウムを終濃度で
1重量%となるように添加すれば、添加しない場合と比
較してGABAは3割程度増加される。
【0031】麦若葉末に含まれるGABAの量は、その
調製方法によって異なり、従来法(特許第254430
2号)により調製された麦若葉末に含まれるGABAの
量は、多くとも約10mg/100gである。これに対
して、本発明におけるGABA富化処理を施した後にブ
ランチング処理して調製された麦若葉末は、少なくとも
20mg/100g以上のGABAを含み、通常50m
g/100g以上、好ましくは100mg/100g以
上、より好ましくは200mg/100g以上、さらに
好ましくは、500mg/100g以上のGABAを含
む。
【0032】本発明が、b)スラリー化する工程を含む
こと、並びにグルタミン処理の温度、pHが植物組織分
解酵素の反応条件とほぼ同じであることを考慮すると、
植物組織分解酵素処理工程と同時にGABA富化処理が
行うことが効率的である。
【0033】麦若葉は、上記の工程(必要に応じてGA
BA富化処理工程を含む)を経て、ブランチング処理を
行った後、乾燥粉末化される。
【0034】乾燥粉末化は、水分量が10%以下、好ま
しくは5%以下となるように行われ、必要に応じてさら
に粉砕して得ることができる。
【0035】乾燥の方法としては、熱風乾燥、高圧蒸気
乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥などの当業者が
通常用いる方法が挙げられる。熱風乾燥などの加熱によ
る乾燥は、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは
50〜80℃にて、加温により麦類の緑色が変色しない
時間行われる。また、デキストリン、シクロデキストリ
ン、デンプン、マルトースなどの賦形剤などを添加した
後、噴霧乾燥または凍結乾燥することもできる。
【0036】粉砕は既知の方法に従い、例えば、クラッ
シャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて行うこと
ができる。
【0037】上記のようにして得られた麦若葉末は、さ
らに、必要に応じて、例えば、気流殺菌、高圧殺菌、加
熱殺菌などの当業者に公知の任意の技術により殺菌され
得る。
【0038】得られた麦若葉末は、そのまま飲食に供す
ることができるが、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、
乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合
し、用途に応じて粉末、顆粒、錠剤などの形態に成形す
ることもでき、さらに、各種の飲食品に配合して飲食に
供することができる。例えば、顆粒とする方法は、従来
の(減圧)濃縮乾固、フリーズドライ、スプレードラ
イ、流動層造粒、圧延造粒などが用いられる。
【0039】また、得られた麦若葉末は、健康食品の素
材として知られる食品素材と組み合わせて処方すること
ができる。種々の食品素材を、麦若葉末と組み合わせて
処方すれば、その天然に含有する成分と、麦若葉が含有
するビタミン類、ミネラル類、食物繊維などの成分との
相加効果および/または相乗効果により、従来にない食
品素材を提供することができる。麦若葉由来の素材と組
み合わせられる他の素材は一般に市販されており容易に
入手可能である。あるいは本明細書の開示に従い、一般
に当業者に公知の方法を用いて原料素材から調製するこ
とができる。
【0040】麦若葉末は、天然の麦若葉が含有するビタ
ミン類、ミネラル類、食物繊維などが、それらの機能を
発揮するに十分な量で、選択された1種またはそれ以上
の食品素材と混合される。選択された1種またはそれ以
上の食品素材は、当業者に公知の形態、通常粉末形態
で、麦若葉由来の素材と混合される。ローヤルゼリー、
ビタミン、プロテイン、カルシウム、キトサン、レシチ
ンなどが配合され、さらに糖液や調味料を加えて味を整
えることもできる。そしてこれらは、用途または好みに
応じて、液状の食品として供することができる。あるい
はハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、
錠剤もしくは丸剤としてか、または粉末状、顆粒状、茶
状、ティーバック状もしくは、飴状などの形状に成形さ
れ得る。これらは、その形状または好みに応じて、その
まま食されても良いし、あるいは水、湯もしくは牛乳な
どに溶いて飲んでも良いし、または成分を浸出させてか
ら飲んでも良い。麦若葉由来の素材と選択された食品素
材の混合割合は、通常、1:9〜9:1(重量比)の範
囲、好ましくは、1:4〜4:1(重量比)の範囲であ
る。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明がこの実施例により制限されないことはいうまで
もない。
【0042】この実施例においては、植物組織分解酵素
としてスミチームACおよびスミチームMC(ともに商
品名:新日本化学工業(株)製)を用いた。スミチーム
ACおよびスミチームMCの性状は以下の通りである。 (1)スミチームACは、Aspergillus nigerより産生
されるセルラーゼであり、他にヘミセルラーゼ、ペクチ
ナーゼなども含有する。 (2)スミチームMCは、Rhizopus種より産生される植
物組織分解酵素である。
【0043】(実施例1〜3)約30cmに成長した大
麦の若葉を摘み取り、水洗して水きりを行い、長さ約1
0cmに切り揃えた。切り揃えた大麦若葉100gを、
ミキサーにてスラリー化した後、水を125g加えた。
実施例1はスミチームACを、実施例2はスミチームM
Cを、実施例3はスミチームACとスミチームMCの等
量混合物を用いて処理を行った。実施例1および2で
は、それぞれ、0.5重量%水溶液を用いて、最終濃度
0.05重量%の植物組織分解酵素濃度となるように、
実施例3では、1.0重量%水溶液を用いて、最終濃度
0.1重量%の植物組織分解酵素濃度となるように反応
液に添加し、40℃にて1時間インキュベートした。反
応後の麦若葉スラリーを、100℃、20分間、熱処理
し、直ちに、2〜7℃の冷水で約5分間冷却した。冷却
後、水分含量が5%以下となるように乾燥機中70℃に
て18時間乾燥した。これを石臼で粉砕して200メッ
シュを90%が通過する程度に粉砕して大麦若葉末を得
た。
【0044】なお、麦若葉の生葉をスラリー化し、植物
繊維分解酵素を添加することなく、ブランチング処理を
行い、以降、実施例1〜3と同様に処理して大麦若葉末
を調製し、比較例1とした。
【0045】(実施例4)約30cmに成長した大麦の
若葉を摘み取り、水洗して水きりを行い、長さ約10c
mに切り揃えた。切り揃えた大麦若葉100gをミキサ
ーにてスラリー化した後、水を125g加えた。このス
ラリーのpHを5.0に調整し、スミチームACとスミ
チームMCの等量混合物1.0重量%水溶液を、最終濃
度0.1重量%となるように添加した。さらに30重量
%のグルタミン酸ナトリウム溶液を、最終濃度が3%と
なるように添加して、GABA富化処理を行った。混合
液を40℃で4時間攪拌した。これを100℃、20分
間熱処理し、直ちに2〜7℃の冷水に移し、約5分間冷
却した。冷却後、実施例1〜3と同様に処理して、大麦
若葉末を得た。
【0046】また、スミチームAC、スミチームMCに
よる酵素処理を行わず、GABA富化処理(グルタミン
酸ナトリウム添加)のみを行った後、比較例1と同様に
ブランチング処理およびその後の処理を行って、大麦若
葉末を調製し、比較例2とした。
【0047】得られた実施例1〜4、比較例1〜2の大
麦若葉末について、(1)水溶性食物繊維含量、(2)
保存安定性、(3)風味、および(4)色差について、
以下のように評価した。
【0048】(1)水溶性食物繊維含量はProsky
らの方法(J. Assoc. Off. Anal. Chem. 71, 1017, (19
88))に準じて測定した。
【0049】(2)保存安定性は、保存中の麦若葉末の
緑色が褪色する程度を観察することにより評価した。簡
潔には、麦若葉末をそれぞれ殺菌した後、アルミパック
に封入した。温度40℃、湿度70〜75%のインキュ
ベーター中で1ヶ月間静置した麦若葉末と、冷暗所(1
0℃)に1ヶ月保存した麦若葉末とを、視覚的に色調を
比較した。表1において、色調は±を基準とし、+が多
いほど基準よりも緑が鮮やかなことを示す。
【0050】(3)風味については、製造直後の麦若葉
末を賞味して判断した。±を基準とし、+が多いほど基
準よりも風味がよいことを示す。
【0051】(4)色差については、上記冷暗所(10
℃)で1ヶ月保存した麦若葉末について色差計(Σ9
0:日本電色(株))を用いて、JISZ8729に基
づいてLab表色系に沿って色度を測定した。表1中の
a値が負で大きいほど、緑色が単色の緑色に近いことを
示す。
【0052】水溶性食物繊維含量およびGABA含量に
ついては表1に、保存安定性、風味、および色差につい
ては表2に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】この表1から、酵素処理により水溶性食物
繊維含量が増加し、全食物繊維に対する水溶性食物繊維
の割合が増加したことがわかる。また、表2より、風味
は従来の製法によるものより優れており、特にざらつき
感が少なく、飲み易いこと、水に溶かしたときの沈澱物
が少なくなったことがわかる。
【0056】さらに、GABA富化処理した実施例4で
は、GABA含量は、約6倍に増加しており、これによ
り、降圧効果が期待される。
【0057】なお、GABA含量はアミノ酸自動分析機
を用いて以下の条件にて測定した。 <アミノ酸自動分析計操作条件> 機 種:JLC−500/V(日本電子株式会社) カラム:LCR−6,4mm×90mm(日本電子株式会社) 移動相:クエン酸リチウム緩衝液(日本電子株式会社) P−21(pH 2.98, Li 0.105 mol/l) 0→16.3 min P−12(pH 3.28, Li 0.26 mol/l) 16.3→36.1 min P−13(pH 3.46, Li 0.80 mol/l) 36.1→56.0 min P−14(pH 2.83, Li 1.54 mol/l) 56.0→63.4 min P−15(pH 3.65, Li 1.54 mol/l) 63.4→80.0 min 反応液:ニンヒドリン・ヒドリダンチン試液(和光純薬工業株式会社) 温 度:カラム 35℃(0→16.3 min), 64℃(15.3→31.0 min) 44℃(31.0→44.4 min), 72℃(63.4→80.0min) 反応槽 135℃ 流 量:移動相 0.50 ml/min 反応液 0.30 ml/min 測定波長: 570 nm
【0058】(実施例5)実施例3および比較例1で得
られた、それぞれの大麦若葉末を用いて、食後血糖値の
上昇抑制効果を確認した。それぞれボランティアの健常
者5人に全く同じ食事を摂ってもらい、食後直ちに大麦
若葉末3gを100mlの水に溶いたもの摂取してもら
った。食後30分間隔で採血し、血糖値を小型血糖測定
機(グルテストエースGT−1640、株式会社三和化
学研究所)で測定し、食前の血糖値との差を求めた。結
果を表3に示す。表3の値は、それぞれ5人の平均値で
ある。
【0059】
【表3】
【0060】表3から、水溶性食物繊維の含量が増加し
た実施例3の大麦若葉末は、食後血糖値の上昇抑制効果
を有することがわかる。なお、健常者の空腹時の血糖値
は、平均で89.0mg/dlであり、食後0.5時間
での最高血糖値は、比較例1の大麦若葉末を摂取した健
常者で、133.2mg/dlであった。本発明の方法
で得られる麦若葉末には、食後血糖値の上昇抑制効果の
他にも、コレステロールの吸収抑制、血圧降下効果など
の効果が期待される。
【0061】
【発明の効果】本発明によって、水溶性食物繊維量が増
加し、かつ水に溶けやすくて食感がよく、食後血糖値の
上昇抑制効果を有し、さらにコレステロールの吸収抑
制、血圧降下効果などの効果が期待される麦若葉末を提
供することが可能になった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性食物繊維が増加した麦若葉末の製
    造方法であって a)収穫した麦若葉を洗浄する工程; b)該麦若葉をスラリー化する工程; c)該スラリー化物に植物組織分解酵素を作用させる工
    程; d)該植物組織分解酵素処理した麦若葉をブランチング
    する工程; e)ブランチングした麦若葉を冷却する工程; f)得られた麦若葉を乾燥させる工程;および g)乾燥した麦若葉を粉砕する工程、 を含む、方法。
  2. 【請求項2】 前記植物組織分解酵素が、セルラーゼ、
    ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼからなる群から選択され
    る少なくとも1つの酵素である、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記d)のブランチング処理の前にγ−
    アミノ酪酸富化処理を行う工程を含む、請求項1または
    2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかの項に記載の
    方法で製造される、麦若葉末。
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