JP2002053377A - 窒化珪素成形体とそれを用いた窒化珪素焼結体の製造方法、並びに窒化珪素焼結体 - Google Patents

窒化珪素成形体とそれを用いた窒化珪素焼結体の製造方法、並びに窒化珪素焼結体

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JP2002053377A
JP2002053377A JP2000241183A JP2000241183A JP2002053377A JP 2002053377 A JP2002053377 A JP 2002053377A JP 2000241183 A JP2000241183 A JP 2000241183A JP 2000241183 A JP2000241183 A JP 2000241183A JP 2002053377 A JP2002053377 A JP 2002053377A
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Kazuyuki Tokura
和志 戸倉
Hiroshi Yokota
博 横田
Hideyuki Emoto
秀幸 江本
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高強度高靱性で、熱伝導率が90W/mK以上
と高く、しかも回路層との接合強度の高い、耐熱サイク
ル特性を大幅に改善された窒化珪素基板を提供する。 【解決手段】窒化珪素粉末に、マグネシウムの化合物
と、イットリウム及びランタニド族の群からなる1種以
上の酸化物とを添加した混合粉末を成形してなる表面粗
さ(Ra値)が0.3μm以下である平板状の窒化珪素
質成形体を用い、窒素加圧下、1750〜1900℃の
所定の焼成温度下で焼結する窒化珪素焼結体の製造方
法。また、前記方法で得られる表面粗さ(Ra値)が
0.6μm以下である回路基板用窒化珪素焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術的分野】本発明は、パワーモジュー
ル用基板をはじめ、自動車、機械装置等の幅広い分野で
使用される回路基板に係り、セラミックス焼結体と回路
材との接合強度に優れ且つ機械強度及び熱伝導率などの
放熱特性に優れた回路基板用窒化珪素焼結体及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアルミナ(Al23)焼結体な
どのように絶縁性に優れたセラミック基板の表面に、導
電性を有する回路材を接合し、さらに回路層の所定位置
に半導体素子を搭載する回路基板が広く普及している。
【0003】近年、回路基板の小型化、半導体素子の高
集積化、高出力化等が進むに従い、これらの回路基板に
おける放熱性及び信頼性の一層の向上が望まれている。
この様な材料としては酸化ベリリウム(BeO)を添加
した炭化珪素(SiC)や窒化アルミニウム(AlN)
等が開発されている。しかし、SiCやAlNは熱伝導
率は高いが、強度や破壊靱性といった機械的特性が低い
ため、耐熱サイクル特性や取り扱い時の強度等に問題が
あった。
【0004】窒化珪素焼結体は、常温及び高温で化学的
に安定な材料であり、優れた機械的特性を有するので、
セラミック基板の中でも高信頼性を要求される分野、た
とえば自動車用及び工作機械用パワーモジュール基板と
して適した材料である。
【0005】従来の窒化珪素質焼結体からなるセラミッ
ク基板は、窒化珪素粉末に焼結助剤を添加し、成形した
後、得られた成形体を1600〜2200℃の高温で所
定時間焼成し、得られた焼結体を所望の形状、表面粗さ
に研削研磨加工した後、回路材を接合し、更に回路層の
所定位置に半導体素子を搭載したものが用いられてい
る。
【0006】窒化珪素焼結体は、強度や破壊靱性などの
機械的特性に優れるため、構造材料への適用が進んでい
る材料ではあるが、SiCやAlNに比べて熱伝導率が
低いため、高い放熱特性が要求される電気絶縁基板への
適用は十分に進んでいなかった。
【0007】窒化珪素の熱伝導率が低い理由は、窒化珪
素を緻密化させるために添加した焼結助剤の一部が、窒
化珪素粒中に固溶したり、粒界に偏在したりするため、
フォノン(セラミックス内で熱を伝達する媒体)が散乱
されることが原因である。例えば、一般的焼結助剤であ
るY23とAl23を添加した焼結体では熱伝導率が2
0W/mK、窒化珪素基板の現行品では70W/mK程
度である。
【0008】窒化珪素焼結体を高熱伝導率化しようとす
ると、焼成時に焼結体の窒化珪素粒子が成長して表面粗
さが増加するために、金属回路材料と焼結体からなる基
板との接触面積が減少し、十分な接着強度が得られない
という問題が顕著となる。
【0009】更に、窒化珪素焼結体で90W/mK以上
の熱伝導率を達成することのできる従来公知の方法で
は、焼成時の窒化珪素粒子が成長するために表面粗さが
増加する。
【0010】前記表面粗さの増加は、回路基板のハンド
リング時に回路材料が剥離するだけでなく、半導体素子
の作動に伴う繰り返しの熱サイクルを受けて回路層と焼
結体の接合部に剥離が発生することがあり、耐熱サイク
ル特性及び信頼性が必ずしも十分でないという問題を引
き起こしている。
【0011】焼結体と回路との接合強度を高めるために
は、窒化珪素焼結体の表面粗さを小さくする必要があ
り、その方法として、窒化珪素質焼結体をダイヤモンド
ホイール等で表面研削し、表面粗さを小さくしてから接
合する方法が考えられる。しかし、表面研削操作を施す
ことは工程数、工数を増加させ、コストアップの原因に
なっていた。表面研削工程を簡素化し、ホーニング処理
またはブラスト処理する方法にて除去するだけで回路材
接合に適した表面粗さの窒化珪素基板を得る方法が望ま
れていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に
鑑みてなされたものであり、窒化珪素焼結体が本来備え
る高強度高靱性を活かし、さらに熱伝導率が90W/m
K以上と高く放熱性が優れるとともに、ホーニング処理
等の簡素な処理で十分に平滑な焼結体表面が得られ、焼
結体と回路層との接触面積を実質的に増加させて接合強
度を高め、基板のハンドリング時における回路材の剥離
等の異常発生を防止し、耐熱サイクル特性を大幅に改善
された窒化珪素基板を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、本発明者が上
記目的を達成するために、窒化珪素質焼結体を得るため
の焼結助剤の種類、量、成型体の製法、表面粗さ、更に
は焼結条件に関して鋭意検討した結果、強度、破壊靱性
等の機械的特性に優れ且つ従来のものより表面粗さが小
さく、回路材との接着強度が高くできる窒化珪素質基材
を、単にその原料に用いられる窒化珪素成形体の表面粗
さを制御することによって達成できるという知見を得
て、本発明に至ったものである。
【0014】即ち、本発明は、窒化珪素粉末に、マグネ
シウムの化合物と、イットリウム及びランタニド族の群
からなる1種以上の酸化物とを添加した混合粉末を成形
してなる平板状の成形物であって、少なくとも一主面の
表面粗さ(Ra値)が0.3μm以下であることを特徴
とした窒化珪素質成形体である。
【0015】また、本発明は、窒化珪素粉末に、マグネ
シウムの化合物と、イットリウム及びランタニド族の群
からなる1種以上の酸化物とを添加した混合粉末を成形
して、少なくとも一主面の表面粗さ(Ra値)が0.3
μm以下である平板状の成形物を得て、前記成形体を窒
素加圧下、1750〜1900℃の所定の焼成温度下で
焼結したことを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法で
ある。
【0016】また、本発明は、三点曲げ強さが500M
Pa以上、熱伝導率が90W/mK以上であり、しか
も、少なくとも一主面の表面粗さ(Ra値)が0.6μ
m以下であることを特徴とする回路基板用窒化珪素焼結
体であり、当該窒化珪素焼結体を用いてなることを特徴
とする窒化珪素回路基板である。
【0017】
【発明の実施の形態】窒化珪素焼結体は、柱状のβ型窒
化珪素粒子が複雑に絡み合った焼結体組織を呈してお
り、この組織が強度、破壊靱性等の機械的特性に大きく
寄与している。また、焼結体中の気孔は、欠陥として作
用し強度特性に影響を及ぼす。窒化珪素質焼結体におい
ては、これらの欠陥をも含めた焼結組織を適正化するこ
とが、強度及び破壊靱性などの機械的特性に優れた焼結
体を得るため重要である。
【0018】本発明の窒化珪素成形体は、イットリウム
(Y)及びランタノイド族元素からなる群から選ばれる
1種を酸化物、さらにマグネシウムの化合物を含有する
ものである。窒化珪素の焼結助剤に関しては、Al23
に例示されるような窒化珪素と固溶する焼結助剤を用い
て得られる従来公知の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素粒
子内に前記アルミナ等の焼結助剤が固溶した部分が欠陥
として存在するために、フォノンを散乱し、熱伝導率を
低下させる。これに対して、本発明の窒化珪素質成形体
では、窒化珪素と固溶しないイットリウム(Y)及びラ
ンタノイド族元素を含有するものであり、更に、前記焼
結助剤の効果を助長し、しかも窒化珪素と固溶しないマ
グネシウム化合物を含有したものであるので、これを用
いて焼結することで、90W/mK以上の高熱伝導率を
有する窒化珪素焼結体を容易に得ることができる。
【0019】また、本発明の窒化珪素成形体は、平板状
の成形物であって、少なくとも一主面の表面粗さ(Ra
値)が0.3μm以下であることを特徴としている。こ
の構成要件を具備しているので、少なくとも一主面が
0.6μm以下の表面粗さ(Ra値)を有する板状の窒
化珪素焼結体を容易に得ることが出来、これを回路基板
用途に適用したときに、回路層とセラミックス基板間の
接合力が強く、信頼性の高いセラミックス回路基板を得
ることができる。
【0020】本発明の窒化珪素成形体の製作において
は、焼結体原料の混合物をボールミル、万能混合機等公
知の混合装置で均一に混合する。得られた混合粉末は、
必要に応じて、分散剤、バインダー、水、有機溶剤等を
添加した後、乾式プレス成形法、湿式プレス成形法、泥
しょう鋳込成形法、押出成形法、ドクターブレード法等
のシートを成形するに好適ないろいろの成形方法に供さ
れるが、各成形法に応じて分散剤、バインダー等を添加
する場合には、成形前にニーダーまたは3本ロール等に
よる混練を行うことが好ましい。
【0021】本発明の窒化珪素成形体を得る方法として
は、前記の通りに、乾式プレス成形法、湿式プレス成形
法、泥しょう鋳込成形法、押出成形法、ドクターブレー
ド法等の従来公知の成形方法が考えられるが、量産を行
う上では、平板状の成形体を連続的に製造できる押出成
形法またはドクターブレード法が好ましい。
【0022】本発明の窒化珪素成形体は、前述の通り
に、押出し法又はドクターブレード法により好ましく作
製され、相対密度は前記分散剤やバインダーを除いた部
分が50〜65%である。押出し法又はドクターブレー
ド法で本発明の窒化珪素成形体を得ようとする場合、例
えばメチルセルロース、カードラン(多糖質バインダ
ー)、ピオポリー(武田製薬))等の有機質或いは無機
質の添加剤が加えられた後、平板状に付形され、乾燥さ
れ、必要に応じて前記添加剤を除去するための加熱処理
(脱脂処理)を加えられた後、焼結操作に提供される。
【0023】また、本発明は、前記平板状の成形物を窒
素加圧下、1750〜1900℃の所定の焼成温度下で
焼結したことを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法で
ある。本発明において、焼成温度は1750〜1900
℃が好ましく、1775〜1850℃が更に好ましい範
囲である。焼成温度が低いと焼結体が緻密化阻害を起こ
し、焼成温度が高いと窒化珪素の粗大粒子が成長し、表
面粗さが増大する。また、窒化珪素の粗大粒子が増加す
ると、粗大粒子が焼結体に曲げ応力が加えわった時に破
壊源として作用するため、焼結体の曲げ強度が低下す
る。
【0024】本発明の窒化珪素焼結体の製造方法におい
て、焼結時の雰囲気は1MPa以下の窒素加圧下で行う
ことが好ましい。窒化珪素を焼結させる場合、窒化珪素
の分解を抑制するために窒素分圧を高めた加圧条件とす
る必要がある。しかし、1MPaを超える窒素加圧条件
を満たそうとすると、HIP等の特殊な炉を必要とし、
設備費が高くなり、安価な窒化珪素焼結体を提供し難く
なり、好ましくない。
【0025】上記方法で得られる本発明の窒化珪素質焼
結体は、その一主面の表面粗さ(Ra値)が0.6μm
以下であり、三点曲げ強さが500MPa以上であり、
熱伝導率が90W/mK以上という特徴を有する。
【0026】窒化珪素焼結体の表面粗さが0.6μmを
越えると、回路基板に用いたときに、回路材と焼結体と
の間に十分な接着強度が得られず、たとえば半導体素子
を搭載した回路基板として作動させた時に、半導体素子
等から発生する熱により回路材と基板とが剥離するとい
う現象が生じることがある。窒化珪素焼結体からなる回
路用基板では、前記構成要件を満足するときに10kN
/m以上、好ましい場合には、15kN/mのピール強
度が達成できる。
【0027】更に、窒化珪素焼結体の表面粗さは、窒化
珪素焼結体の熱伝導率を高くしようとすると顕著とな
り、熱伝導率を90W/mK以上としようとすると、従
来公知の方法では前記表面粗さ範囲を達成し得なかっ
た。本発明の窒化珪素焼結体は高い熱伝導率を維持しな
がらも、0.6μm以下と表面粗さが小さい特性を併せ
持つ特徴がある。
【0028】本発明者の実験的検討結果に依れば、熱伝
導率が70W/mK程度の窒化珪素焼結体を得る場合
に、その表面粗さ(Ra値)は焼成前の成形体のそれよ
りも約0.1μm程度増加するので、表面粗さ0.4〜
0.5μmの表面凹凸の多い成形体を用いても、ダイヤ
モンドホイール研削をせずにブラスト処理のみで表面粗
さが0.6μm以下の焼結体を得ることは容易である。
しかしながら、90W/mK以上の高熱伝導率の窒化珪
素焼結体を得ようとすると、成形体の表面粗さより0.
3μm程度大きな表面粗さを有する焼結体しか得られな
いので、窒化珪素焼結体の表面粗さが0.6μm以下と
なるようにするためには、用いる成形体の表面粗さを
0.3μm以下にする必要がある。逆に、表面粗さが
0.3μm以下の成形体を用いることにより、これを比
較的穏やかな条件下で焼結させることにより、表面粗さ
が0.6μm以下で、しかも90W/mK以上の高熱伝
導率を併せ持つ窒化珪素焼結体を得られることを本発明
者は見出したものである。
【0029】本発明の窒化珪素質焼結体は、三点曲げ強
さが500MPa以上である。三点曲げ強さが前記値よ
りも低い場合、パワーモジュール用基板として用いる場
合の機械的特性が不十分となり、高い信頼性を要求され
る用途に用いることができなくなることがある。また、
同じ理由から、破壊靱性値が6MPam1/2以上である
ことが好ましい。
【0030】なお、本発明の窒化珪素質焼結体の相対密
度は、95%以上であることが好ましく、更に好ましく
は97%以上である。相対密度が95%未満では、焼結
体中の気孔量が多くなり過ぎ、これらが欠陥となり強度
の低下をもたらし、十分な強度特性が得られなくなる
し、焼結体中の気孔は、フォノンを散乱し熱伝導率の低
下をも引き起こすからである。
【0031】本発明の窒化珪素質焼結体は、熱伝導特
性、電気絶縁性並びに機械的特性に優れることが要求さ
れる回路基板等に用いることができる。例えば、パワー
モジュール用の回路基板等では、従来、回路基板に求め
られていた電気絶縁性に加え、高い熱伝達性能と機械的
特性が要求されてきている。本発明の窒化珪素焼結体を
用いた回路基板は、窒化珪素質焼結体が強度、破壊靱性
等の機械的特性が優れている為、ヒートサイクル等の熱
応力や基板自体に対する曲げ応力に対し、高い信頼性を
有することができるし、窒化珪素本来の高い電気絶縁性
を有しているので、厳しい使用条件で用いられる回路基
板にも適している。
【0032】更に、本発明の窒化珪素回路基板は、前記
の高強度、高熱伝導性を有し、しかも回路と密着性に優
れる窒化珪素焼結体を用いているので、一般的なセラミ
ックス回路基板であるアルミナ回路基板に比べて、高信
頼性の回路基板である。
【0033】
【実施例】〔実施例1〜6〕窒化珪素粉末に酸化イット
リウム及び酸化マグネシウムを混合して全体を100質
量部とし、更にバインダー35質量部(ユケン工業製セ
ランダー)を添加して万能混合機で混合した。次に、こ
れらの混合粉末をボールミルで均一に混練してペースト
状とし、押出成形した後、乾燥し、成形体の表面粗さを
測定した後、打ち抜き加工を行い、550℃で加熱脱脂
して、80×30×1mmの成形体を得た。
【0034】得られた成形体は、窒化ホウ素(BN)製
の坩堝に厚さ2mmのBNスペーサーを挟んで積層し、
カーボンヒーターの電気炉で表1に示す窒素ガス圧力、
焼成温度、焼成時間の条件で焼結し、焼結体を作製し
た。
【0035】次に、前記の焼結体の密度を、アルキメデ
ス法で測定した後、ブラスト処理し、触針式表面粗さ計
で焼結体の表面粗さを測定し、さらに板状のままでレー
ザーフラッシュ法により熱伝導率測定後、室温の3点曲
げ強さを評価した。更に、強度試験体をダイヤモンド砥
粒で鏡面研磨し、JIS−R1607に準じてIF法に
よる破壊靭性の評価を行った。なお、成形体の表面粗さ
についても触針式表面粗さ計で測定した。これらの結果
を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】〔比較例1〜6〕実施例1と同一配合の粉
末、バインダー及び水をヘンシェルミキサーで混合し
た。次に、これらの混合粉末を混練せずに押出成形し、
1晩自然乾燥した後、成形体の表面粗さを測定してから
打ち抜き、550℃にて加熱脱脂して、80×30×1
mmの成形体を得た。
【0038】得られた成形体は、窒化ホウ素(BN)製
の坩堝に厚さ3mmのBNスペーサーを挟んで積層し、
カーボンヒーターの電気炉で表1に示す窒素ガス圧力、
焼成温度、焼成時間の条件で焼結し、焼結体を作製し
た。得られた焼結体は、表面ブラスト処理加工により2
5mm×50mm×0.6mmの形状の平板とした。得
られた焼結体の表面粗さ、密度、3点曲げ強度を表1に
示す。
【0039】次に、前記窒化珪素平板の両面に活性金属
含有ろう材(Ag−Cu−Ti:80−15−5(質量
比))を30μmの厚さでスクリーン印刷し、回路側に
0.3mm厚の銅板及び裏面に0.15mm厚の銅板を
載置し、10-3Pa台の真空雰囲気下、温度850℃で
30分間加熱した。その後、冷却して複合体を得た。
【0040】この複合体について、板厚0.3mmの銅
板側を研磨し、パターニング用レジストを印刷し、熱硬
化後、塩化第二鉄水溶液に浸漬エッチングしてパターン
を形成した。更に、回路間に残存する接合材を除くた
め、銅板部を酸性フッ化アンモニウム水溶液に浸触させ
た後、水洗してパターン形成した回路基板を作製した。
【0041】〔実施例7〕実施例6の焼結体に上述の方
法で金属回路材を接合し、回路材のピール強度を測定し
た結果、18.4kN/mであった。次に、−70℃か
ら350℃の温度幅で20回のヒートショック試験を行
った。ヒートサイクル試験後の回路パターンと窒化珪素
質焼結体の剥離を超音波探針装置で調べたが、剥離は認
められなかった。また、−40℃から150℃の温度幅
で3000回のヒートサイクル試験を行った。ヒートサ
イクル試験後も回路の剥離は認められなかった。
【0042】〔比較例7〕比較例1の焼結体に上述の方
法で金属回路材を接合し、回路材のピール強度を測定し
た結果、9.5kN/mであった。次に、−70℃から
350℃の温度幅で20回のヒートショック試験を行っ
た。ヒートショック試験2サイクル目に金属回路材端部
と焼結体の間に剥離が確認され、5サイクル目に金属回
路材が完全に剥離した。また、−40℃から150℃の
温度幅でヒートサイクル試験を実施したところ、500
サイクル目に超音波探針像で回路材の端部に剥離が認め
られた。
【0043】〔実施例8〜12〕窒化珪素粉94質量
部、酸化イットリウム粉6質量部、酸化マグネシウム粉
1質量部に、ポリビニルブチラール6質量部、ブチルテ
レフタレート3質量部、グリセリントリオレート1質量
部、並びにトルエン60質量部を配合し、窒化珪素ボー
ルを30重量部を投入し、ボールミル回転台上で1時間
混合した。得られたスラリーをドクターブレード法によ
りPETフイルム上に広げ、風乾後、120℃で3時間
乾燥した後、成形体の表面粗さを測定してから打ち抜
き、550℃にて加熱脱脂して、40×80×1mmの
成形体を得た。
【0044】〔比較例8〜12〕窒化珪素粉94質量
部、酸化イットリウム粉6質量部、酸化マグネシウム粉
1質量部に、ポリビニルブチラール6質量部、ブチルテ
レフタレート3質量部、グリセリントリオレート1質量
部、並びにトルエン60質量部を配合し、ナイロンポッ
トにて1時間混合した。得られたスラリーをドクターブ
レード法によりPETフイルム上に広げ、風乾後、12
0℃で3時間乾燥した後、成形体の表面粗さを測定して
から打ち抜き、550℃にて加熱脱脂して、40×80
×1mmの成形体を得た。
【0045】得られた成形体は、窒化ホウ素(BN)製
の坩堝に厚さ3mmのBNスペーサーを挟んで積層し、
カーボンヒーターの電気炉で表1に示す窒素ガス圧力、
焼成温度、焼成時間の条件で焼結し、焼結体を作製し
た。得られた焼結体は、表面ブラスト処理加工により2
5mm×48mm×0.6mmの形状の平板とした。得
られた焼結体の表面粗さ、密度、3点曲げ強度を表2に
示す。
【0046】
【表2】
【0047】次に、前記窒化珪素平板の両面に活性金属
含有ろう材(Ag−Cu−Ti:80−15−5(質量
比))を30μmの厚さでスクリーン印刷し、回路側に
0.3mm厚の銅板及び裏面に0.15mm厚の銅板を
載置し、10-3Pa台の真空雰囲気下、温度850℃で
30分間加熱した。その後、冷却して複合体を得た。
【0048】この複合体について、板厚0.3mmの銅
板側を研磨し、パターニング用レジストを印刷し、熱硬
化後、塩化第二鉄水溶液に浸漬エッチングしてパターン
を形成した。更に、回路間に残存する接合材を除くた
め、銅板部を酸性フッ化アンモニウム水溶液に浸触させ
た後、水洗してパターン形成した回路基板を作製した。
【0049】〔実施例14〕実施例12の焼結体に上述
の方法で金属回路材を接合し、回路材のピール強度を測
定した結果、17.8kN/mであった。次に、−70
℃から350℃の温度幅で20回のヒートショック試験
を行った。ヒートサイクル試験後の回路パターンと窒化
珪素質焼結体の剥離を超音波探針装置で調べたが、剥離
は認められなかった。また、−40℃から150℃の温
度幅で3000回のヒートサイクル試験を行った。ヒー
トサイクル試験後も回路の剥離は認められなかった。
【0050】〔比較例14〕比較例8の焼結体に上述の
方法で金属回路材を接合し、回路材のピール強度を測定
した結果、9.4kN/mであった。次に、−70℃か
ら350℃の温度幅で20回のヒートショック試験を行
った。ヒートショック試験2サイクル目に金属回路材端
部と焼結体の間に剥離が確認され、5サイクル目に金属
回路材が完全に剥離した。また、−40℃から150℃
の温度幅でヒートサイクル試験を実施したところ、10
00サイクル目に超音波探針像で回路材の端部に剥離が
認められた。
【0051】
【発明の効果】本発明の窒化珪素質焼結体は、強度、破
壊靱性の機械的特性が良好で熱伝導率が90W/mK以
上と高く、しかも焼結体の表面粗さが低いため、金属回
路材との接着面はホーニング処理またはブラスト処理の
みで表面が十分に平滑になるために焼成後の表面研削処
理を必要とせず、焼結体板材と金属回路材の接着強度が
15kN/m以上と高い特徴を有している。
【0052】本発明の窒化珪素回路基板は、前記特徴の
ある窒化珪素焼結体を用いているので、ヒートサイクル
試験及びヒートショック試験のような厳しい温度変化に
も十分対応できる程信頼性が高く、パワーモジュール用
基板をはじめ、自動車、機械装置等の幅広い分野で使用
される各種構造部品の板状素材として利用することがで
きる。
【0053】本発明の窒化珪素成形体並びにそれを用い
る窒化珪素焼結体の製造方法は、前記窒化珪素焼結体
を、更に前記窒化珪素回路基板を確実に、容易に供給す
ることが出来るので、産業上非常に有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA06 BA08 BA09 BA32 BB06 BB08 BB09 BB32 BC52 BC54 BD03 BD14 BD15 BE33 BE35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素粉末に、マグネシウムの化合物
    と、イットリウム及びランタニド族の群からなる1種以
    上の酸化物とを添加した混合粉末を成形してなる平板状
    の成形物であって、少なくとも一主面の表面粗さ(Ra
    値)が0.3μm以下であることを特徴とする窒化珪素
    成形体。
  2. 【請求項2】窒化珪素粉末に、マグネシウムの化合物
    と、イットリウム及びランタニド族の群からなる1種以
    上の酸化物とを添加した混合粉末を成形して、少なくと
    も一主面の表面粗さ(Ra値)が0.3μm以下である
    平板状の成形物を得て、前記成形体を窒素加圧下、17
    50〜1900℃の所定の焼成温度下で焼結したことを
    特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】三点曲げ強さが500MPa以上、熱伝導
    率が90W/mK以上であり、しかも、少なくとも一主
    面の表面粗さ(Ra値)が0.6μm以下であることを
    特徴とする回路基板用窒化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】請求項3記載の窒化珪素焼結体を用いてな
    ることを特徴とする窒化珪素回路基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007189112A (ja) * 2006-01-16 2007-07-26 Denki Kagaku Kogyo Kk 窒化珪素基板およびそれを用いた回路基板、モジュール。
JP2011097049A (ja) * 2009-10-01 2011-05-12 Hitachi Metals Ltd 窒化珪素回路基板およびその製造方法
JP2013010329A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Taiheiyo Cement Corp セラミックス成形体及び焼結体並びにこれらの製造方法

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