JP2002052735A - インクカートリッジ - Google Patents

インクカートリッジ

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JP2002052735A
JP2002052735A JP2000241351A JP2000241351A JP2002052735A JP 2002052735 A JP2002052735 A JP 2002052735A JP 2000241351 A JP2000241351 A JP 2000241351A JP 2000241351 A JP2000241351 A JP 2000241351A JP 2002052735 A JP2002052735 A JP 2002052735A
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ink
storage chamber
sheet
ink cartridge
impregnating material
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JP2000241351A
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Shinichi Kato
真一 加藤
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたって放置した場合でも、極端に
顔料粒子濃度が高くて(又は低くて)過度に色の濃い
(又は薄い)インクをインクジェット記録装置へ供給す
ることを防止できるインクカートリッジを提供する。 【解決手段】 含浸インク液を保持してインク収納室3
から除去可能で、一表面がインク収納室3のインク液と
接触し、反対側表面がインク収納室壁面と接触した状態
で配置されたシート状含浸材6a,b;シート状含浸材
をインク収納室の外部へ排出できる取出口8a,b;シ
ート状含浸材をインク収納室の外側へ引き出す引出手段
61a,b;及びインク収納室の封止手段81a,bを
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクカートリッ
ジに関する。本発明は、特に、顔料インク含浸多孔質保
持体充填型のインクカートリッジに適用するのが好まし
い。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置へのインク供給
には、従来からインクカートリッジが広範に使用されて
いる。例えば、カラー印刷用のインクカートリッジは、
各色のインク毎にインク収納室とインク供給手段とを備
えており、インクジェット記録装置の所定位置に取付け
ることによって、前記のインク供給手段と、インクジェ
ット記録装置側に設けたインク吸入口とが連結され、イ
ンクカートリッジからインクジェット記録装置へインク
が供給される。
【0003】また、インクカートリッジにおいては、前
記のインク収納室にウレタンフォームなどの多孔質体を
充填したタイプも広範に利用されている。これは、液状
インクを多孔質体に含浸させた状態でインク収納室に充
填したタイプのインクカートリッジであり、インクの安
定供給を主な目的としている。
【0004】一方、インクジェット記録方法において
は、染料インクに代わり、顔料インクの使用が拡がって
いる。顔料インクを用いる場合でも、インクカートリッ
ジを利用するのが便利であり、多孔質保持体充填型のイ
ンクカートリッジを利用するのが更に有利である。
【0005】しかしながら、顔料インクは水性分散液で
あるため、顔料粒子の沈降という問題がある。例えば、
倉庫や販売店の棚上などにて、インクカートリッジの状
態で長期間放置されると、インクカートリッジのインク
収納室内部で顔料粒子が徐々に沈降する。例えば、イン
ク供給手段が設けられているインクカートリッジの底面
を下側にして長期間放置されると、インク収納室の内部
で底部から上部の方向に顔料粒子の濃度傾斜が発生し、
底部には、顔料粒子濃度が高く、過度に色の濃い層が生
じ、上部には顔料粒子濃度が低く、過度に色の薄い層が
生じる。このままの状態で、インクカートリッジをイン
クジェット記録装置に装着して印刷を行うと、インク液
の取込口も一般的に底部付近に設けられているので、最
初に、顔料粒子濃度の高い層からインクが供給され、過
度に色の濃い印刷物が生じる。逆に、インク供給手段が
設けられているインクカートリッジの底面を上側にして
長期間放置した後で、インクカートリッジをインクジェ
ット記録装置に装着して印刷を行うと、インク液の取込
口から、最初に、顔料粒子濃度の低い層からインクが供
給されるので、過度に色の薄い印刷物が生じる。このよ
うに、いずれの場合にも、均一な顔料濃度のインクを安
定に供給する目的を達成することができなくなる。
【0006】また、インクカートリッジの外側形状は、
一般的に直方体型であり、保存される際に重力方向の下
側になる面は一定ではなく、各面がそれぞれ下側になっ
て保存される可能性がある。しかも、複数個のインクカ
ートリッジを1つの紙製ケースなどの内部に詰めて保存
する場合も多く、その際に、各インクカートリッジの上
下方向などを揃えないで紙製ケースに詰めることも多い
ので、各インクカートリッジ毎に、顔料粒子の濃度傾斜
が発生する方向がまちまちになる可能性があり、一般的
にインク収納室の底面付近に設けられているインク取込
口からは種々の濃度のインク液が取込まれる可能性があ
る。
【0007】インクカートリッジのインク収納室が液状
インクをそのまま収納するタイプである場合は、インク
ジェット記録装置への装着前にインクカートリッジを充
分に振ることにより内部のインク液を撹拌し、顔料粒子
の分散状態を均一化することも可能であるが、多孔質保
持体充填型のインクカートリッジの場合には、インク液
を多孔質保持体に含浸させた状態でインク収納室に充填
しているため、インクカートリッジを振っても、顔料粒
子を均一分散化することは極めて困難であるか、事実上
不可能な場合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、多孔質保持体充填型の顔料インクカートリッジを、
重力方向に関して任意の位置関係で長期間にわたって放
置した場合であっても、極端に顔料粒子濃度が高くて過
度に色の濃いインク(又は、極端に顔料粒子濃度が低く
て過度に色の薄いインク)をインク取込口から取込んで
インクジェット記録装置へ供給することを防止する手段
を提供することにある。
【0009】更に、多孔質保持体充填型の顔料インクカ
ートリッジを、重力方向に関して特定の位置関係で長期
間にわたって放置し、インク収納室内部に顔料粒子濃度
が高くて過度に色の濃い層と、顔料粒子濃度が低くて過
度に色の薄い層が生じても、これらの過度に色の濃いイ
ンク(又は、過度に色の薄いインク)をインク取込口か
ら取込んでインクジェット記録装置へ供給することを防
止する手段を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
より、(1)含浸させたインク液を保持した状態でイン
ク収納室から除去することができ、一方の表面がインク
収納室に充填されているインク液と接触し、反対側表面
が前記インク収納室の内部壁面と接触した状態で前記イ
ンク収納室内部に配置されたシート状含浸材、(2)前
記シート状含浸材をインク収納室の外部へ排出すること
ができる取出口、(3)前記シート状含浸材を前記取出
口から前記インク収納室の外側へ引き出すことのできる
引出手段、及び(4)前記シート状含浸材の排出前及び
排出後に前記取出口を封鎖してインク収納室を封止状態
にすることのできる封止手段を有することを特徴とす
る、インクカートリッジによって解決することができ
る。
【0011】本発明の好ましい態様のインクカートリッ
ジにおいては、前記シート状含浸材が1枚又はそれ以上
からなり、前記インク収納室の内部壁面の実質的に全面
を覆う状態で配置されている。
【0012】本発明の別の好ましい態様のインクカート
リッジにおいては、前記シート状含浸材が、前記インク
収納室における或る一面の壁面の少なくとも一部(より
好ましくは全面)を覆う状態で配置されている。この態
様においては、前記シート状含浸材が、前記インク収納
室における或る一面の壁面と、その壁面の対向面とに、
それら壁面の少なくとも一部(より好ましくは全面)を
覆う状態で配置されていることが好ましい。更に、前記
シート状含浸材が、前記インク収納室においてインク取
込口が設けられた底面及び/又はその対向面に相当する
上面の少なくとも一部(より好ましくは全面)を覆う状
態で配置されていることが好ましい。
【0013】本発明の好ましい態様のインクカートリッ
ジにおいては、インク液が通過可能な仕切膜を介して、
前記シート状含浸材がインク液と接触する。
【0014】本発明の更に好ましい態様のインクカート
リッジにおいては、前記仕切膜を介して、前記シート状
含浸材が顔料インク含浸多孔質保持体と接触する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に沿って本発明の
特定の態様を説明する。
【0016】図1は、本発明のインクカートリッジ1の
模式的断面図である。
【0017】図1に示すとおり、本発明のインクカート
リッジ1は、その外壁を構成するハウジング2、その内
部に形成されるインク収納室3、及びインク供給手段5
を含む。インク供給手段5は、一般的に、インク収納室
3の底面に設けられる。ハウジング2の内部に設けたイ
ンク収納室3には、その内側壁面に沿ってシート状含浸
材6が配置されており、その内側に多孔質保持体4を充
填することができる。多孔質保持体4には、顔料インク
液が含浸されている。カラー印刷用のインクカートリッ
ジ1の場合には、複数個のインク収納室3が存在し、各
インク収納室3にそれぞれのインク液を含浸した多孔質
保持体4が充填され、それぞれのインク収納室3にイン
ク供給手段5を設け、更にシート状含浸材6を設けるこ
とが好ましい。
【0018】多孔質保持体4とシート状含浸材6との間
には、インク液が通過可能な多数の細孔71を有する仕
切膜7を設けることができる。シート状含浸材6は、一
方の表面が、その全面で前記インク収納室3の内部壁面
と密着して接触しており、反対側表面が仕切膜7を介し
て、インク収納室3内の多孔質保持体4に充填されてい
るインク液と接触している。多孔質保持体4に充填され
ているインク液は、仕切膜7の細孔71を通過してシー
ト状含浸材6にも含浸されることができる。
【0019】本発明のインクカートリッジ1のインク収
納室3の立体形状は、特に限定されないが、一般的には
直方体である。インク収納室3の立体形状が直方体であ
る場合には、インク収納室3の内側壁面は、6面とな
る。図1に示す本発明のインクカートリッジ1は、その
6面の全てにシート状含浸材6を配置した態様であり、
2つのシート状含浸材6a,6bによってそれぞれ3面
ずつを覆っている。各シート状含浸材6a,6bは、そ
れぞれ、引出紐61a,61bと連結している。引出紐
61a,61bは、シート状含浸材6a,6bと連結し
ている一端とは別の端部62a,62bが、取出口8
a,8bを通って、ハウジング2の外側まで露出してい
る。従って、引出紐61a,61bの露出端部62a,
62bを引き出すと、各シート状含浸材6a,6bが取
出口8a,8bを通ってインク収納室の外部へ排出され
る。取出口8a,8bの外側には、前記シート状含浸材
の排出前及び排出後に前記取出口を封鎖してインク収納
室を封止状態にすることのできる封止手段81a,81
bを設ける。
【0020】インクカートリッジ1の底部に設けられた
インク供給手段5は、多孔質保持体4に含浸されている
インクをインクジェット記録装置に供給する手段であ
り、インクカートリッジ1をインクジェット記録装置の
所定位置に設置することにより、インクジェット記録装
置側に設けたインク吸入手段(図示せず)と連結して、
インク供給が可能な状態になる。インク供給手段5は、
多孔質保持体4と接するインク取込口51、そのインク
取込口51に設けたフィルタ52、インク取込口51と
インク出口54との間に設けたインク通路53、及びイ
ンク出口54付近に設けた刺針貫通用膜55を含む。
【0021】前記の刺針貫通用膜55は、インクカート
リッジ1の使用前(すなわち、インクジェット記録装置
の所定位置に取付ける前)は、前記インク通路53より
内部側を密封状態に保つことができる。しかし、インク
カートリッジ1をインクジェット記録装置の所定位置に
取付けると、インクジェット記録装置側のインク吸入口
の先端部に設けたインク吸入用刺針によって破断され、
インク通路53とインク吸入用刺針とを連絡させること
ができる。インク液は、インク吸入用刺針からインクジ
ェット記録装置内のインク案内管を経て、プリンタヘッ
ドまで輸送される。
【0022】前記のインク供給手段5のインク出口54
には、必要により、シール手段9を設けることができ
る。シール手段9を設けることにより、インク通路53
及びインク収納室3の密封性を向上することができる。
シール手段9は、例えば、インク出口54への粘着及び
剥離可能なシート材であることができる。更に、前記の
刺針貫通用膜55の内側(インク通路53側)に、刺針
シール固定手段56を設けて、刺針貫通用膜55を破断
した後の刺針を密封状態で固定することができる。刺針
シール固定手段は、例えば、ドーナツ状のゴムパッキン
であることができる。
【0023】さて、図1に示した本発明のインクカート
リッジ1が長期間に亘って或る面を重力方向の下方向に
向けたままで放置されると、インク収納室3の内部で顔
料粒子の沈降が起きるので、顔料粒子の濃度勾配が発生
し、重力方向の底面に相当する面には過度に色の濃い層
が生じ、重力方向の上面に相当する面には過度に色の薄
い層が生じる。しかし、これらの過度に色の濃い層及び
過度に色の薄い層は、それぞれ多孔質保持体4には形成
されず、多孔質保持体4の外側に配置されたシート状含
浸材6に含まれることになる。
【0024】図1に示した本発明のインクカートリッジ
1においては、インク収納室3の内側壁面の6面の全て
にシート状含浸材6a,6bが配置されているので、イ
ンクカートリッジ1のいずれの面を重力方向の下方向に
向けて放置した場合でも、前記の過度に色の濃い層及び
過度に色の薄い層が、必ずシート状含浸材6a,6bに
含まれることになり、多孔質保持体4には形成されな
い。従って、図1に示した本発明のインクカートリッジ
1をインクジェット記録装置の所定位置に取付ける前
に、引出紐61a,61bを引き出して、各シート状含
浸材6a,6bを取出口8a,8bからインク収納室3
の外部へ排出すると、前記の過度に色の濃い層及び過度
に色の薄い層も同時にインク収納室3の外部へ排出され
る。こうして、本発明のインクカートリッジ1において
は、インク供給手段5から過度に色の濃い層及び過度に
色の薄い層がインクジェット記録装置へ供給されること
を防止することができる。
【0025】図1に示す態様の本発明のインクカートリ
ッジ1において、前記シート状含浸材6a,6bの取出
口8a,8bの位置及び形状は、前記シート状含浸材6
a,6bを排出する際に、前記シート状含浸材からイン
ク液が実質的に絞り出されない位置及び形状であるかぎ
り、特に限定されない。例えば、各シート状含浸材6
a,6bの取出口8a,8bの位置は、各シート状含浸
材6a,6bが覆う3面に共通する角(頂点)とするこ
とができる。また、この角(頂点)は、インク供給手段
5のインク取込口51から最も離れた位置となるように
選択するのが好ましい。また、各シート状含浸材6a,
6bの取出口8a,8bの位置は、各シート状含浸材6
a,6bが覆う3面に共通する3辺とすることもでき
る。更に、インク収納室3の内側壁面の全6面を覆うシ
ート状含浸材の枚数も、2枚に限定されず、各面をそれ
ぞれ1枚のシート状含浸材で覆い、それらを共通の辺
(又は頂点)に設けた取出口から同時に排出することも
できる。
【0026】なお、インクカートリッジ1の保存時に、
インク供給手段5を備えた底部が重力方向の下方向にな
って放置されると、図1に示すように、フィルタ52の
上にも、顔料粒子の沈降層4aが形成される。しかしな
がら、インクジェット記録装置では、一般的に、インク
カートリッジ交換時に、新しく取付けられたインクカー
トリッジに対して一連の処理からなる交換クリーニング
操作を行う。これらの交換クリーニング操作には、イン
クカートリッジの各インク収納室からそれぞれ一定量の
インクを吸引して廃棄する処理が含まれる。沈降層4a
が形成された前記インクカートリッジ1に対して、この
交換クリーニング操作における吸引処理が実施される
と、フィルタ52の上に形成されていた沈降層4aが吸
引除去され、フィルタ52は、好適な顔料粒子濃度を有
するインク液を含浸している多孔質保持体4と直接に接
触することができる。従って、その後の印刷工程におい
ては、好適な顔料粒子濃度を有するインク液を供給する
ことができる。
【0027】本発明のインクカートリッジにおいて、保
存時の重力方向を一定の方向に規制することができる場
合には、保存中に前記の過度に色の濃い層及び/又は過
度に色の薄い層が発生する面が特定されるので、それら
の面にのみシート状含浸材を配置させることができる。
こうした状態で保存するには、インクカートリッジ又は
その保存用容器に保存時の上下関係を表記するか、ある
いは、重力指向性を有するインクカートリッジ保存用容
器を用いることができる。重力指向性を有する保存用容
器を用いる態様を図2に示す。図2では、図1と同じ部
分は同じ参照番号で示す。
【0028】図2は、インクカートリッジ1を収納した
保存容器10を載置台20の上に置いた状態を模式的に
示す断面図である。保存容器10は、その保存容器10
の外壁を構成する筐体部11を含む。筐体部11は、そ
の内部に、インクカートリッジ1を収納する空間として
インクカートリッジ収納室14を提供し、更に、インク
カートリッジ1を着脱自在に保持することのできるイン
クカートリッジ保持手段11aを含む。筐体部11の内
側底部には、重り部12を設ける。重り部12は、必要
により、重り部固定手段12aによって筐体部11の内
側底部に固定する。また、保存容器10には、一般的に
はその上部に、インクカートリッジ1の挿入及び取出し
用の開口部があり、その開口部には蓋部13を設けても
よいが、設けなくてもよい。図2に示すとおり、蓋部1
3の内側に抑え手段13aを設け、インクカートリッジ
1をその上面から抑えて保持し、保存容器10が回転し
た場合でも、インクカートリッジ保持手段11a上にイ
ンクカートリッジ1を保持可能にすることができる。蓋
部を備えていない態様の保存容器においては、筐体部の
内側やインクカートリッジ保持手段に同様の抑え手段を
設けることができる。
【0029】筐体部11において、底部外側表面15は
球状面である。球状面としては、具体的には、球体表
面、楕球体(例えば、ラグビーボール様楕球体又は鶏卵
様楕球体)の表面、又は円柱体側面の表面などを挙げる
ことができる。
【0030】図2に示すように、保存容器10におい
て、筐体部11の底部外側表面15は球状面であり、内
側底部に重り部12を有しているので、保存容器10を
載置台20の上に置くと、筐体部11の底部外側表面1
5の底部極15aで載置台20の表面と接触する状態で
安定的に静止する。例えば、保存容器10を、前記の底
部極15aから外れた位置で載置台20の表面と接触す
るように置くと、「起き上がり小法師(こぼし)」のよ
うに、その保存容器10は、載置台20の表面上で前記
の底部極15aを中心にした往復的転がり運動を繰り返
すが、往復運動の振幅が徐々に減少し、最終的には底部
極15aで載置台20の表面と接触する状態で安定に静
止する。また、その静止状態で、仮に重り部12が存在
しなければ保存容器10を倒すことができるような力を
横方向から与えても、前記と同様な往復的転がり運動を
繰り返した後で、前記と同様な安定的静止状態に戻るこ
とができる。
【0031】保存容器10においてインクカートリッジ
1をインクカートリッジ保持手段11a上に保持する際
には、図2に示すとおり、インク供給手段13を備えた
底部を重力方向の最下部とする状態で保持することがで
きる。この状態でインクカートリッジ1を収納・保存し
ている保存容器10は、前記のとおり重力指向性を有し
ているので、インクカートリッジ1は、その保存期間中
の実質的にほとんどの時間に亘り、インク供給手段5を
備えた底部を重力方向の最下部とする状態で保存され
る。この保存期間が長期間になると、顔料粒子の沈降が
発生し、前記の過度に色の濃い層及び過度に色の薄い層
が生じる。しかしながら、インクカートリッジ1のイン
ク収納室3の底面及び上面には、シート状含浸材6a,
6bが設置されているので、前記の過度に色の濃い層及
び過度に色の薄い層はシート状含浸材6a,6bに含ま
れることになり、多孔質保持体4には形成されない。従
って、インクカートリッジ1をインクジェット記録装置
の所定位置に取付ける前に、引出紐61a,61bを引
き出して、各シート状含浸材6a,6bを取出口8a,
8bからインク収納室3の外部へ排出すると、前記の過
度に色の濃い層及び過度に色の薄い層も同時にインク収
納室3の外部へ排出される。こうして、本発明のインク
カートリッジ1においては、インク供給手段5から過度
に色の濃い層及び過度に色の薄い層がインクジェット記
録装置へ供給されることを防止することができる。図2
に示す態様の本発明のインクカートリッジ1において
も、前記シート状含浸材6a,6bの取出口8a,8b
の位置及び形状は、前記シート状含浸材6a,6bを排
出する際に、前記シート状含浸材からインク液が実質的
に絞り出されない位置及び形状であるかぎり、特に限定
されないが、各シート状含浸材6a,6bの一方の端部
が接する1辺の全体に取出口8a,8bを設けるのが好
ましい。なお、インク供給手段5のフィルタ上に形成さ
れる顔料粒子沈降層は、前記と同様に交換クリーニング
操作によって除去することができる。
【0032】本発明において使用するシート状含浸材
は、インク液を含浸して保持することができ、含浸させ
たインク液を保持した状態でインク収納室から除去する
ことができる材料からなる。こうした性質を有する材料
は特に限定されるものではないが、例えば、多孔質保持
体と同じ材料(例えば、合成樹脂フォーム)、シート状
布帛(例えば、織物、編み物、又は不織布)、あるいは
シート状紙(例えば、濾紙)からなることができる。
【0033】本発明によるインクカートリッジを保存す
る際に、インク供給手段を設けた底面以外の側面を重力
方向の最下部とする状態で保存することが保証される場
合には、前記の過度に色の濃い層及び過度に色の薄い層
が形成される面のいずれか一方(好ましくは両方)にシ
ート状含浸材を設ければよい。
【0034】インクカートリッジは、一般に包装カバー
に包まれており、インクカートリッジをインクジェット
記録装置に取付ける前には、その包装カバーを破ってそ
の中からインクカートリッジを取り出す操作を行う。従
って、本発明のインクカートリッジにおいても、これを
1つずつ包装カバーに包み、包装カバーを破ってその中
からインクカートリッジを取り出す操作と、前記の引出
手段としての引出紐による引き出し操作とを、相互に連
関させて、インクカートリッジの取り出し操作と同時
に、前記シート状含浸材を前記取出口から前記インク収
納室の外側へ引き出すようにすることが好ましい。ま
た、インクカートリッジの外側にシート状含浸材廃棄用
バッグを配置し、前記インク収納室の外側へ引き出した
シート状含浸材が廃棄用バッグに自動的に収納されるよ
うにして、シート状含浸材からインク液が漏れ出ないよ
うにするのが好ましい。
【0035】本発明のインクカートリッジは、インク含
浸多孔質保持体を含むインクカートリッジに適用するの
が好適であるが、多孔質保持体を含まないインクカート
リッジに適用することもできる。また、本発明のインク
カートリッジが、インク含浸多孔質保持体を含むインク
カートリッジである場合には、顔料インク含浸多孔質保
持体を含むインクカートリッジに適用するのが好適であ
るが、染料インク含浸多孔質保持体を含むインクカート
リッジに適用することもできる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、顔料インク含浸多孔質
保持体充填型インクカートリッジを長期間にわたって収
納・保存した場合であっても、極端に顔料粒子濃度が高
く、過度に色の濃いインクをインクジェット記録装置の
プリンタヘッドへ供給することを防止し、良好な濃度範
囲のインク液のみを安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクカートリッジの模式的断面図で
ある。
【図2】本発明の別の態様のインクカートリッジを収納
した保存容器を載置台の上に置いた状態を模式的に示す
断面図である。
【符号の説明】
1・・・インクカートリッジ 2・・・ハウジング 3・・・インク収納室 4・・・多孔質保持体 4a・・・沈降層 5・・・インク供給手段 6,6a,6b・・・シート状含浸材 7・・・仕切膜 8a,8b・・・取出口 9・・・シール手段 10・・・インクカートリッジ保存容器 11・・・筐体部 11a・・・インクカートリッジ保持手段 12・・・重り部 12a・・・重り部固定手段 13・・・蓋部 13a・・・抑え手段 14・・・インクカートリッジ収納室 15・・・底部外側表面 15a・・・底部極 20・・・載置台 51・・・インク取込口 52・・・フィルタ 53・・・インク通路 54・・・インク出口 55・・・刺針貫通用膜 56・・・刺針シール固定手段 61a,61b・・・引出紐 62a,62b・・・露出端部 71・・・細孔 81a,81b・・・密封手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)含浸させたインク液を保持した状
    態でインク収納室から除去することができ、一方の表面
    がインク収納室に充填されているインク液と接触し、反
    対側表面が前記インク収納室の内部壁面と接触した状態
    で前記インク収納室内部に配置されたシート状含浸材、
    (2)前記シート状含浸材をインク収納室の外部へ排出
    することができる取出口、(3)前記シート状含浸材を
    前記取出口から前記インク収納室の外側へ引き出すこと
    のできる引出手段、及び(4)前記シート状含浸材の排
    出前及び排出後に前記取出口を封鎖してインク収納室を
    封止状態にすることのできる封止手段を有することを特
    徴とする、インクカートリッジ。
  2. 【請求項2】 前記シート状含浸材が1枚又はそれ以上
    からなり、前記インク収納室の内部壁面の実質的に全面
    を覆う状態で配置されている、請求項1に記載のインク
    カートリッジ。
  3. 【請求項3】 前記シート状含浸材が、前記インク収納
    室における或る一面の壁面の少なくとも一部を覆う状態
    で配置されている、請求項1に記載のインクカートリッ
    ジ。
  4. 【請求項4】 前記シート状含浸材が、前記インク収納
    室における或る一面の壁面と、その壁面の対向面とに、
    それら壁面の少なくとも一部を覆う状態で配置されてい
    る、請求項3に記載のインクカートリッジ。
  5. 【請求項5】 前記シート状含浸材が、前記インク収納
    室においてインク取込口が設けられた底面及び/又はそ
    の対向面である上面の少なくとも一部を覆う状態で配置
    されている、請求項3に記載のインクカートリッジ。
  6. 【請求項6】 インク液が通過可能な仕切膜を介して、
    前記シート状含浸材がインク液と接触する、請求項1〜
    5のいずれか一項に記載のインクカートリッジ。
  7. 【請求項7】 前記仕切膜を介して、前記シート状含浸
    材が顔料インク含浸多孔質保持体と接触する、請求項6
    に記載のインクカートリッジ。
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