JP2002050349A - アルカリ電池用負極及びこれを用いたアルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用負極及びこれを用いたアルカリ電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電前と放電後の水素ガス発生量を抑制で
き、しかも水銀やカドミウムおよび鉛といった有害物質
を含まないアルカリ電池用負極、及びこれを用いたアル
カリ電池を提供する。 【解決手段】 ビスマスイオンと反応して錯体を形成す
る化合物として、一般式(CnH2nOH)3N(nは
自然数)で表されるトリアルカノールアミンを添加して
アルカリ電池用負極を作製する。このような負極を用い
てアルカリ電池を作製する。あるいは、ビスマスイオン
と反応して錯体を形成する化合物として、一般式(C5
H10NS2)nX(nは自然数)で表されるジエチル
ジチオカルバミン酸塩を添加してアルカリ電池用負極を
作製する。また、このような負極を用いてアルカリ電池
を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、放電前と放電後
の水素ガス発生の抑制および負荷放電特性の向上に有効
な微量の金属およびインヒビターを含有したアルカリ電
池用負極及びこれを用いたアルカリ電池に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池用の亜鉛粉末は通常アトマ
イズ法により製造され、多くは比較的丸いイモ状の粒子
形状をしている。表面積の大きい粉末の亜鉛を負極に使
用しているので、電解液中での反応性に優れ、そのため
この種のアルカリ電池は大電流放電に適している。その
反面、表面積が大きいことから負極亜鉛が電解液中で腐
食されやすい。そこで、古くは多量の水銀を用いて耐食
性を維持したが、廃電池中の水銀による環境汚染問題に
対する懸念から、アルカリ電池の無水銀化への努力がな
されてきた。
【0003】即ち、亜鉛粉末を水銀でアマルガム化する
ことを廃止し、代りに、適当な合金元素を微少量添加し
た亜鉛基合金の粉末を負極活物質とすることで、その耐
食性および電池特性を改善しようとするものである。そ
して、このような観点から盛んに研究が行われ、腐食防
止に効果的な合金元素がいくつか見いだされている。例
えばビスマス、アルミニウム、インジウム、ガリウム、
リチウム、ナトリウムなどである。その結果、これらの
金属を添加することによって、亜鉛負極の腐食を防ぎ、
水素の発生を防止した実用に耐える無水銀アルカリ電池
が実現されている。
【0004】これらの金属のうち、ビスマスは安価であ
り且つ水素過電圧が高いため、特に多用されている。そ
こで、本発明者らはビスマスを亜鉛に対して単独に添加
することによる有効性や問題点を検証するために、電池
の水素ガス発生の試験をして、放電前の電池貯蔵中のガ
ス発生量と放電後のガス発生量との測定を行った。
【0005】この際、放電前のガス発生量の測定にあた
っては、ビスマスが添加された亜鉛基合金粉を酸化亜鉛
の飽和した40重量%KOH溶液とともにガスピペット
に入れ、約60℃の温度で3日間保存したときの水素ガ
スの発生量を測定した。そして、このガス発生量から次
式を用いてガス発生指数Kを算出し、このとき添加する
ビスマス量を変化させて対応するガス発生指数Kの変化
を求めることとした。 K=ガス発生量[cc]/(亜鉛基合金粉量[g]×保
存日数[day])
【0006】また、放電後のガス発生量の測定にあたっ
ては、ビスマスが単独に添加された亜鉛基合金粉を図1
の縦断面図に示す構成の電池に用い、この電池を約20
℃の温度で、2Ωの抵抗に接続して過放電させ、放電終
止電圧が0Vに至った後のガス発生量を測定した。そし
て、このとき添加するビスマス量を変化させて対応する
ガス発生量の変化を求めることとした。また、ガス発生
量の測定は、放電させた電池を流動パラフィンとともに
ガスピペットに入れて、この状態で約60℃の温度で3
日間保存し、保存中に電池から排出された水素ガスの量
を測定することとした。
【0007】このとき用いた図1に示す電池の具体的な
構成は、JIS規格に基づく単1型のアルカリ電池であ
って、有底円筒型の電池ケース1の内部に発電要素が収
納されてその開口部に封口ガスケット2を介して負極端
子板3をかしめ付けることにより電池内部を密封してお
り、その発電要素としては、負極端子板3に電気的に接
続した集電棒4が封口ガスケット2の中心を貫通し、集
電棒4の外周を取巻くようにして負極5、セパレータ
6、及び二酸化マンガンを主体とする正極合剤7が同心
状に充填されている。この負極は、酸化亜鉛を飽和させ
てなる40重量%のKOH溶液を34重量%とし、この
KOH溶液に対して亜鉛基合金粉を65重量%、及びゲ
ル化剤としてポリアクリル酸とポリアクリル酸ソーダと
を各0.5重量%ずつ混合してゲル状としたものを用い
た。
【0008】
【表1】 そして、上記の水素ガス発生試験の結果、表1に示すよ
うに、放電前のガス発生量は、ビスマスを単独に添加す
ることによって効果的に抑えられていることが確認でき
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ビスマスを単
独に添加しただけの亜鉛基合金粉にあっては、表1に示
すように、放電後のガス発生量はビスマスの添加量を増
やすに連れて大きくなっていく。つまり、放電後にガス
発生が増加すれば漏液や電池の破裂などの不具合をもた
らす虞があるから、あまり多くのビスマスを添加するこ
とはできず、よって放電前のガス発生の抑制効果も未だ
十分とは言えず、放電前と放電後の水素ガスの発生を抑
制し得るように改善することが望まれる。
【0010】そこで、本発明は、放電前と放電後の水素
ガス発生量を抑制でき、しかも水銀やカドミウムおよび
鉛といった有害物質を含まないアルカリ電池用負極、及
びこれを用いたアルカリ電池を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のアルカリ電池用
負極は、ビスマスイオンと反応して錯体を形成する化合
物を添加してなる(請求項1)。
【0012】また、本発明のアルカリ電池用負極は、ビ
スマスイオンと反応して錯体を形成する化合物として、
一般式(CnH2nOH)3N(nは自然数)で表され
るトリアルカノールアミンを添加してなる(請求項
2)。
【0013】さらに、本発明のアルカリ電池用負極は、
亜鉛粉に対して、化学式(C2H4OH)3Nで表され
るトリエタノールアミンを20〜5000wt ppmの濃度
で添加してなる(請求項3)。
【0014】さらにまた、本発明のアルカリ電池用負極
は、ビスマスイオンと反応して錯体を形成する化合物と
して、一般式(C5H10NS2)nX(nは自然数)
で表されるジエチルジチオカルバミン酸塩を添加してな
る(請求項4)。
【0015】また、本発明のアルカリ電池用負極は、亜
鉛粉に対して、化学式(C5H10NS2)2Znで表
されるジエチルジチオカルバミン酸亜鉛を50〜100
00wt ppmの濃度で添加してなる(請求項5)。
【0016】本発明のアルカリ電池は、前述した各発明
のアルカリ電池用負極を用いてなる(請求項6)。
【0017】
【発明の実施の形態】==実施例1== 純亜鉛にBiを0.06重量%添加した亜鉛粉:65重
量%に、ゲル化剤としてポリアクリル酸およびポリアク
リル酸ソーダをそれぞれ0.5重量%添加するととも
に、酸化亜鉛の飽和した40重量%KOH溶液を34重
量%加えて負極用ゲルを作製した。これにトリエタノー
ルアミンを0〜10000wt ppmの範囲で添加した負極
により、単3型アルカリ電池を作製した。これらの電池
の特性を試験するために、1500mAで定電流放電を
おこなって、終止電圧:0.9Vにおける放電時間を測
定するとともに、電池を放電していない未使用の状態、
3.9Ωで2時間放電した部分放電状態、および10Ω
で48時間放電した過放電状態という三つの状態で放電
した電池を60℃で5日間(過放電のみ8時間)保存し
た後の電池内のガス発生量を測定した。これらの測定結
果を表2に示した。なお、表中の数値は、負極用ゲルに
トリエタノールアミンを添加していない負極による電池
における測定値を100とした相対値である。
【0018】
【表2】
【0019】表2を参照すると、まず、未使用の状態の
電池と、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態の電池
とにおけるガス発生量については、トリエタノールアミ
ンの添加量に関わらずあまり変化がないことが分かる。
10Ωで48時間放電した過放電状態の電池について
は、トリエタノールアミンを20wt ppm添加した時点で
ガス発生量が88%に抑えられ、その後添加量を増やす
毎にガス発生量は減少し続けることが分かる。一方、1
500mAで放電したときの放電時間に関しては、放電
時間が90%以下にならないことが実用的に望ましい条
件である。表2から、トリエタノールアミンの添加量が
20wt ppmのときに放電時間が向上しはじめ、100wt
ppm添加したところでピークに達し、その後放電時間は
減少して、10000wt ppm添加すると放電時間が87
%に短縮されてしまうことが分かる。そこで、上記放電
時間の条件と、ガス発生量とを考えあわせると、トリエ
タノールアミンの添加量は20〜5000wt ppmとする
のが適当であることが分かる。
【0020】さて、本発明では、トリエタノールアミン
等のトリアルカノールアミンを亜鉛基合金粉に添加する
ことによりガス発生量を抑制することができるが、その
理由としては次のようなことが考えられる。
【0021】ビスマスを含有する亜鉛基合金粉を用いた
アルカリ電池においては、放電の進行とともに亜鉛がイ
オン化して電解液中へ溶解する。これと同時に、多少の
ビスマスもイオン化して溶解する。ところが、ビスマス
は亜鉛に比べて化学的安定性に優れるため固体として互
いに凝集して再析出する。このため、残存する活性亜鉛
との間で局部電池が形成され、ここにおける電子の授受
反応により電池内で水素ガスが生成されると推測され
る。
【0022】一方、ビスマスイオンと反応して錯体を形
成するトリエタノールアミン等のトリアルカノールアミ
ンは、溶解状態のビスマスイオンのみをキレートする作
用を有する。このため、ビスマスイオンは凝集すること
なく沈殿し、再析出することはない。その結果、水素ガ
スを発生させる原因となる電子の授受反応が抑制される
ため、過放電時にもガス発生量を相当抑制することがで
きるものと推測される。
【0023】==実施例2== 純亜鉛にBiを0.05重量%、Snを0.075重量
%、Zrを0.05重量%添加した亜鉛粉:65重量%
に、ゲル化剤としてポリアクリル酸およびポリアクリル
酸ソーダをそれぞれ0.5重量%添加するとともに、酸
化亜鉛の飽和した40重量%KOH溶液を34重量%加
えて負極用ゲルを作製した。これにトリエタノールアミ
ンを0〜10000wt ppmの範囲で添加した負極により
単3型アルカリ電池を作製した。これらの電池の特性を
試験するために、1500mAで定電流放電をおこなっ
て終止電圧:0.9Vにおける放電時間を測定するとと
もに、電池を放電していない未使用の状態、3.9Ωで
2時間放電した部分放電状態、および10Ωで48時間
放電した過放電状態という三つの状態で放電した電池を
60℃で5日間(過放電のみ8時間)保存した後の電池
内のガス発生量を測定した。これらの測定結果を表3に
示した。なお、表中の数値は、負極用ゲルにトリエタノ
ールアミンを添加していない負極による電池における測
定値を100とした相対値である。
【0024】
【表3】
【0025】表3を参照すると、まず、未使用の状態の
電池と、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態の電池
とにおけるガス発生量については、トリエタノールアミ
ンの添加量に関わらずあまり変化がないことが分かる。
10Ωで48時間放電した過放電状態の電池について
は、トリエタノールアミンを20wt ppm添加した時点で
ガス発生量が90%に抑えられ、その後添加量を増やす
毎にガス発生量は減少し続けることが分かる。一方、1
500mAで放電したときの放電時間に関しては、放電
時間が90%以下にならないことが実用的に望ましい条
件である。表3から、トリエタノールアミンの添加量が
10wt ppmのときに放電時間が向上しはじめ、20〜1
00wt ppm添加したところでピークに達し、その後放電
時間は減少して、10000wt ppm添加すると放電時間
が84%に短縮されてしまうことが分かる。そこで、上
記放電時間の条件と、ガス発生量とを考えあわせると、
トリエタノールアミンの添加量は20〜5000wt ppm
とするのがやはり適当であることが分かる。
【0026】以上、実施例1および2より、Biを含む
亜鉛粉にトリエタノールアミン等のトリアルカノールア
ミンを添加してなる負極を用いたアルカリ電池において
は、その放電特性を低下させずに、過放電時のガス発生
量を相当抑制することができることが分かった。
【0027】==実施例3== 純亜鉛にBiを0.06重量%添加した亜鉛粉:65重
量%に、ゲル化剤としてポリアクリル酸およびポリアク
リル酸ソーダをそれぞれ0.5重量%添加するととも
に、酸化亜鉛の飽和した40重量%KOH溶液を34重
量%加えて負極用ゲルを作製した。これにジエチルジチ
オカルバミン酸亜鉛を0〜20000wt ppmの範囲で添
加した負極により、単3型アルカリ電池を作製した。こ
れらの電池の特性を試験するために、1500mAで定
電流放電をおこなって、終止電圧:0.9Vにおける放
電時間を測定するとともに、電池を放電していない未使
用の状態、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態、お
よび10Ωで48時間放電した過放電状態という三つの
状態で放電した電池を60℃で5日間(過放電のみ8時
間)保存した後の電池内のガス発生量を測定した。これ
らの測定結果を表4に示した。なお、表中の数値は、負
極用ゲルにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛を添加して
いない負極による電池における測定値を100とした相
対値である。
【0028】
【表4】
【0029】表4を参照すると、まず、未使用の状態の
電池と、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態の電池
とにおけるガス発生量については、ジエチルジチオカル
バミン酸亜鉛の添加量に関わらずあまり変化がないこと
が分かる。10Ωで48時間放電した過放電状態の電池
については、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛を50wt
ppm添加した時点でガス発生量が87%に抑えられ、そ
の後添加量を増やす毎にガス発生量は減少し続けること
が分かる。一方、1500mAで放電したときの放電時
間に関しては、放電時間が90%以下にならないことが
実用的に望ましい条件である。表4から、ジエチルジチ
オカルバミン酸亜鉛の添加量が50wt ppmのときに放電
時間がピークに達し、その後放電時間は減少して、20
000wtppm添加すると放電時間が84%に短縮されて
しまうことが分かる。そこで、上記放電時間の条件と、
ガス発生量とを考えあわせると、ジエチルジチオカルバ
ミン酸亜鉛の添加量は50〜10000wt ppmとするの
が適当であることが分かる。
【0030】さて、本発明では、ジエチルジチオカルバ
ミン酸亜鉛等のジエチルジチオカルバミン酸塩を亜鉛基
合金粉に添加することによりガス発生量を抑制すること
ができるが、その理由としては次のようなことが考えら
れる。ビスマスを含有する亜鉛基合金粉を用いたアルカ
リ電池においては、放電の進行とともに亜鉛がイオン化
して電解液中へ溶解する。これと同時に、多少のビスマ
スもイオン化して溶解する。ところが、ビスマスは亜鉛
に比べて化学的安定性に優れるため固体として互いに凝
集して再析出する。このため、残存する活性亜鉛との間
で局部電池が形成され、ここにおける電子の授受反応に
より電池内で水素ガスが生成されると推測される。
【0031】一方、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等
のジエチルジチオカルバミン酸塩は、ビスマスイオンと
沈殿物を生成する。このため、ビスマスイオンは凝集す
ることなく沈殿し、再析出することはない。その結果、
水素ガスを発生させる原因となる電子の授受反応が抑制
されるため、過放電時にもガス発生量を相当抑制するこ
とができるものと推測される。
【0032】==実施例4== 純亜鉛にBiを0.05重量%、Snを0.075重量
%、Zrを0.05重量%添加した亜鉛粉:65重量%
に、ゲル化剤としてポリアクリル酸およびポリアクリル
酸ソーダをそれぞれ0.5重量%添加するとともに、酸
化亜鉛の飽和した40重量%KOH溶液を34重量%加
えて負極用ゲルを作製した。これにジエチルジチオカル
バミン酸亜鉛を0〜20000wt ppmの範囲で添加した
負極により単3型アルカリ電池を作製した。これらの電
池の特性を試験するために、1500mAで定電流放電
をおこなって、終止電圧:0.9Vにおける放電時間を
測定するとともに、電池を放電していない未使用の状
態、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態、および1
0Ωで48時間放電した過放電状態という三つの状態で
放電した電池を60℃で保存した後の電池内のガス発生
量を測定した。これらの測定結果を表5に示した。な
お、表中の数値は、負極用ゲルにジエチルジチオカルバ
ミン酸亜鉛を添加していない負極による電池における測
定値を100とした相対値である。
【0033】
【表5】
【0034】表5を参照すると、まず、未使用の状態の
電池と、3.9Ωで2時間放電した部分放電状態の電池
とにおけるガス発生量については、ジエチルジチオカル
バミン酸亜鉛の添加量に関わらずあまり変化がないこと
が分かる。10Ωで48時間放電した過放電状態の電池
については、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛を50wt
ppm添加した時点でガス発生量が89%に抑えられ、そ
の後添加量を増やす毎にガス発生量は減少し続けること
が分かる。一方、1500mAで放電したときの放電時
間に関しては、放電時間が90%以下にならないことが
実用的に望ましい条件である。表5から、ジエチルジチ
オカルバミン酸亜鉛を添加するにつれて放電時間は減少
して、20000wt ppm添加すると放電時間が83%に
短縮されてしまうことが分かる。そこで、上記放電時間
の条件と、ガス発生量とを考えあわせると、ジエチルジ
チオカルバミン酸亜鉛の添加量は50〜10000wt p
pmとするのがやはり適当であることが分かる。
【0035】以上、実施例3および4より、ビスマスイ
オンと反応して錯体を形成する化合物としてジエチルジ
チオカルバミン酸亜鉛等のジエチルジチオカルバミン酸
塩を添加してなる負極を用いたアルカリ電池において
は、その放電特性を低下させずに、過放電時のガス発生
量を相当抑制することができることが分かった。
【0036】
【発明の効果】ビスマスイオンと反応して錯体を形成す
る化合物として、トリエタノールアミン等のトリアルカ
ノールアミンを添加してなる負極を用いたアルカリ電池
においては、その放電特性を低下させずに、過放電時の
ガス発生量を相当抑制することができる。
【0037】さらに、ビスマスイオンと反応して錯体を
形成する化合物として、ジエチルジチオカルバミン酸亜
鉛等のジエチルジチオカルバミン酸塩を添加してなる負
極を用いたアルカリ電池においては、その放電特性を低
下させずに、過放電時のガス発生量を相当抑制すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用しうる従来と共通した亜鉛基合金
粉体を用いたアルカリ電池の縦断面図である。
【符号の説明】
1 電池ケ―ス 2 封口ガスケット 3 負極端子板 4 集電棒 5 負極 6 セパレ―タ 7 正極合剤
フロントページの続き (72)発明者 松井 一雄 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 太田 廣彦 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 Fターム(参考) 5H024 AA03 AA14 BB07 CC02 CC14 DD17 EE09 FF07 FF40 HH01 5H050 AA18 BA04 CB13 DA03 DA09 EA22 EA29 GA10 HA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスマスイオンと反応して錯体を形成す
    る化合物を添加してなることを特徴とするアルカリ電池
    用負極。
  2. 【請求項2】 ビスマスイオンと反応して錯体を形成す
    る化合物として、一般式(CnH2nOH)3N(nは
    自然数)で表されるトリアルカノールアミンを添加して
    なることを特徴とするアルカリ電池用負極。
  3. 【請求項3】 亜鉛粉に対して、化学式(C2H4O
    H)3Nで表されるトリエタノールアミンを20〜50
    00wt ppmの濃度で添加してなることを特徴とするアル
    カリ電池用負極。
  4. 【請求項4】 ビスマスイオンと反応して錯体を形成す
    る化合物として、一般式(C5H10NS2)nX(n
    は自然数)で表されるジエチルジチオカルバミン酸塩を
    添加してなることを特徴とするアルカリ電池用負極。
  5. 【請求項5】 亜鉛粉に対して、化学式(C5H10N
    S2)2Znで表されるジエチルジチオカルバミン酸亜
    鉛を50〜10000wt ppmの濃度で添加してなること
    を特徴とするアルカリ電池用負極。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載のアル
    カリ電池用負極を用いたことを特徴とするアルカリ電
    池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0660871A (ja) * 1992-08-07 1994-03-04 Nippon Oil Co Ltd アルカリ蓄電池用亜鉛負極及びその製造方法

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