JP2002048009A - 膜型気化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機関の冷間始動の際にバイスタータを作動さ
せると、バイスタータの燃料通路となる円筒部で、燃料
槽からの空気通路と外部空気の取入口が連通するように
する。 【解決手段】 気化器の定圧燃料室２５からの燃料通路
３２を逆止弁３３とバイスタータ２０の円筒部４０とを
経て吸気路１６の絞り弁４７よりも下流側部分へ開口し
た膜型気化器において、バイスタータ２０の円筒部４０
に燃料槽４６からの空気通路４４と外部空気の取入口３
９とを接続する位置と、円筒部４０から燃料通路３２と
空気通路４４と取入口３９とを遮断する位置とに切り換
える弁体４１を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は動力鋸、刈払機など
の携帯作業機に搭載される内燃機関の膜型気化器に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】膜型気化器を搭載する内燃機関では、通
常の運転で定圧燃料室からの燃料が逆止弁、燃料ジエツ
ト、燃料供給管の燃料噴孔を経て吸気路へ吸引される
が、機関の冷間始動の際は混合気を濃くかつ量を多くす
るために、定圧燃料室からの燃料がバイスタータ（燃料
増量機構）で外部空気と混合されて、吸気路の絞り弁よ
りも下流側部分へ吸引される。バイスタータでは定圧燃
料室の燃料と外部空気とが混合されて吸気路へ供給され
るものであるから、バイスタータの作動中は機関の通常
の運転よりも定圧燃料室の燃料が余分に機関へ供給され
ることとなり、ほぼ密閉の構造になつている燃料槽が一
時的に負圧の状態になり、十分な燃料量が吸気路へ補給
されなくなることがあり、機関の始動操作に時間がかか
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の
問題に鑑み、機関の冷間始動の際にバイスタータを作動
させると、バイスタータの燃料通路となる円筒部で、燃
料槽からの空気通路と外部空気の取入口が連通するよう
に構成した膜型気化器を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の構成は気化器の定圧燃料室からの燃料通路
を逆止弁とバイスタータの円筒部とを経て吸気路の絞り
弁よりも下流側部分へ開口した膜型気化器において、前
記バイスタータの円筒部に燃料槽からの空気通路と外部
空気の取入口とを接続する位置と、前記円筒部から前記
燃料通路と前記空気通路と前記取入口とを遮断する位置
とに切り換える弁体を備えたことを特徴とする。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明では機関の始動に先立ち、
バイスタータの弁体を作動位置にすると、燃料槽からの
空気通路と外部空気の取入口がバイスタータで連通し、
燃料槽の内部を大気圧に保つ。定圧燃料室と燃料供給管
とを結ぶ燃料通路には逆止弁が備えられているので、吸
引ポンプを操作すると、定圧燃料室の燃料蒸気が燃料槽
へ吸い戻され、燃料槽の新たな燃料が定圧燃料室へ吸い
込まれる。燃料槽が大気圧に保たれているので、定圧燃
料室の燃料交換が円滑に達せられる。

【０００６】次いで、機関の始動操作（クランキング）
を行うと、定圧燃料室の燃料が逆止弁を経てバイスター
タの円筒部へ吸引され、取入口からの外部空気と混合し
ながら、吸気路の絞り弁よりも下流側部分へ吸引され、
燃料量の不足を来すことがない。機関の暖機後は、バイ
スタータの弁体を非作動位置に回動すると、定圧燃料室
からの燃料通路と燃料槽からの空気通路と取入口とが閉
じられる。

【０００７】

【実施例】図１に示すように、機関の吸気口（図示せ
ず）には、断熱管６３とガスケツト６２を介して膜型気
化器の本体１５の出口１５ｂが接続される。図示の気化
器は、公知のロータリ絞り弁式のものであり、吸気路１
６と直交する円筒形の弁室５７が本体１５に形成され、
弁室５７に絞り孔４７ｂを有する絞り弁４７が回動可能
かつ昇降可能に嵌挿される。絞り弁４７から弁室５７を
閉鎖する蓋板５３を貫通する弁軸４７ａの上端に絞り弁
レバー５１が結合され、絞り弁レバー５１の下側のカム
面５１ａと蓋板５３のフオロア５２とからカム機構が構
成される。絞り弁レバー５１により絞り弁４７を戻しば
ね５４の力に抗して加速方向へ回動すると、絞り孔４７
ｂが吸気路１６と連通する開度が増加し、また、絞り弁
４７の弁軸４７ａから絞り孔４７ｂへ突出し、かつ燃料
供給管５６へ嵌挿されるニードル５５が、燃料供給管５
６の燃料噴孔５６ａから上昇し、燃料噴孔５６ａの開度
が増加する。不動の燃料供給管５６は本体１５の底部の
通孔５８へ嵌合支持され、燃料ジエツト５９、逆止弁６
６を経て定圧燃料供給機構Ａの定圧燃料室２５へ連通さ
れる。

【０００８】気化器本体１５の下部に燃料ポンプ１１と
定圧燃料供給機構Ａが構成される。すなわち、燃料ポン
プ１１は本体１５の下面に膜１０を挟んで中間壁体１７
を結合し、膜１０の上側にばね８ａを収容する脈動圧室
８を、膜１０の下側にポンプ室９をそれぞれ区画され
る。燃料ポンプ１１は４行程機関では断熱管６３の吸気
路６３ａの脈動する吸気負圧を、取入口６１ａ、通路６
１を経て脈動圧室８へ導入し、２行程機関ではクランク
室の脈動圧を脈動圧室８へ導入することにより、燃料槽
４６の燃料を通路１４、入口管１３、逆止弁１２、通路
１２ａを経てポンプ室９へ吸引し、通路１２ａ、逆止弁
７を経て通路７ａへ吐き出す。

【０００９】定圧燃料供給機構Ａは中間壁体１７の下面
に膜２９を挟んで中間壁体５０を結合し、膜２９の上側
に定圧燃料室２５を、膜２９の下側に大気室３０を区画
される。定圧燃料室２５の内部にレバー２８が支軸２７
により回動可能に支持される。レバー２８の一端部は流
入弁２に係合され、流入弁２はばね２４の力を受けて通
路７ａの端部の弁座へ当接するように構成される。レバ
ー２８の他端部は膜２９の中心突片へ当接可能とされ、
膜２９の上面に作用する吸気負圧と膜２９の下面に作用
する大気圧との力がばね２４の力よりも大きくなると、
レバー２８が時計方向へ回動して流入弁２が開き、通路
７ａから燃料が定圧燃料室２５へ補給され、こうして、
定圧燃料室２５は所定量の燃料を所定圧に保持する。定
圧燃料室２５の燃料は逆止弁６６、燃料ジエツト５９、
燃料供給管５６の燃料噴孔５６ａ、絞り孔４７ｂを経て
吸気路１６へ供給される。図示の実施例では、燃料の滞
留を防ぐために機関の吸気口と気化器本体１５との間に
接続される吸気路６３ａを有する断熱管６３よりも内径
が小さい、アルミニウムなどの熱伝導性の大なる金属か
らなるスリーブ２６が、気化器の吸気路１６の出口に配
設される。

【００１０】中間壁体５０の下面にスポイド６９を環状
の押え板７８により結合し、中間壁体５０のポンプ室７
０の内部に吸入弁と吐出弁を備えた茸型の複合弁７１に
支持して吸引ポンプ６８が構成される。

【００１１】上述のような膜型気化器は例えば特開昭59
-20551号公報により公知であり、機関のいかなる姿勢
（例えば横転された状態）でも、燃料ポンプ１１により
定圧燃料室２５へ送られた燃料が、機関の吸気負圧によ
り燃料供給管５６の燃料噴孔５６ａから吸気路１６へ吸
引される。

【００１２】本発明によれば定圧燃料室２５が通路３
２、逆止弁３３、バイスタータ２０、通路３１を経て吸
気路１６の絞り弁４７よりも下流側部分、図示の実施例
では断熱管６３の吸気路６３ａへ開口される。バイスタ
ータ２０はカツプ形のハウジング３７の円筒部３６へ、
端部フランジを一体に備えた弁体４１を嵌挿してなり、
弁体４１の軸心に内端側から穿設した円筒部４０が、ハ
ウジング３７の端壁の出口３４を経て通路３１へ接続さ
れる。ハウジング３７の周壁には逆止弁３３の下流側の
燃料通路に連通する入口３５と、燃料槽４６の内部から
延びる空気通路４４と連通する入口３８と、外部空気の
取入口３９とが設けられる。一方、円筒部４０の端部の
絞り４０ａから延びる径方向の通路３５ａが入口３５
と、径方向の通路４２が入口３８と、径方向の通路４３
が取入口３９と、それぞれ接続可能に構成される。

【００１３】次に、本発明による膜型気化器の作動につ
いて説明する。機関の始動に先立ち、バイスタータ２０
の弁体４１を図示の位置へ回動すると、定圧燃料室２５
からの燃料通路３２が逆止弁３３、入口３５、通路３５
ａを経て円筒部４０へ、外部空気の取入口３９が通路４
３を経て円筒部４０へ、燃料槽４６からの空気通路４４
が、入口３８、通路４２を経て円筒部４０へそれぞれ連
通する。吸引ポンプ６８のスポイド６９を押し潰してか
ら手放すと、定圧燃料室２５の燃料蒸気が通路６７へ流
れ、複合弁７１の傘部７１ａを押し開いてポンプ室７０
へ吸い込まれる。この時、逆止弁３３の働きにより外部
空気がバイスタータ２０を経て定圧燃料室２５へ吸引さ
れることはない。次いで、スポイド６９を押し潰すと、
ポンプ室７０の燃料蒸気が複合弁７１の偏平な中空軸部
７１ｂを押し開き、通路７２を経て燃料槽４６へ戻され
る。スポイド６９を繰返し押し潰すことにより、定圧燃
料室２５へ燃料槽４６の新たな燃料が通路１４、入口管
１３、逆止弁１２、通路１２ａを経てポンプ室９へ吸引
され、さらに逆止弁７、通路７ａ、流入弁２を経て定圧
燃料室２５へ吸引される。

【００１４】次いで、機関の始動操作（クランキング）
を行うと、定圧燃料室２５の燃料が逆止弁３３を経てバ
イスタータ２０の円筒部４０へ吸引され、外部空気が取
入口３９から円筒部４０へ吸引される燃料と混合しなが
ら、出口３４、通路３１、断熱管６３の吸気路６３ａを
経て機関へ吸入される。定圧燃料室２５から逆止弁６
６、燃料ジエツト５９、燃料供給管５６、燃料噴孔５６
ａ、吸気路１６へ流れる燃料と吸気路１６へ流れる空気
との混合気に、バイスタータ２０からの混合気が加えら
れ、機関が円滑に始動される。機関の始動後は、バイス
タータ２０の弁体４１を約４５゜回動すると、入口３
５，３８、取入口３９が閉じられ、バイスタータ２０を
通る燃料は流れなくなり、通常の運転になる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は上述のように、気化器の定圧燃
料室からの燃料通路を逆止弁とバイスタータの円筒部と
を経て吸気路の絞り弁よりも下流側部分へ開口した膜型
気化器において、前記バイスタータの円筒部に燃料槽か
らの空気通路と外部空気の取入口とを接続する位置と、
前記円筒部から前記燃料通路と前記空気通路と前記取入
口とを遮断する位置とに切り換える弁体を備えたもので
あり、機関の始動に先立ちバイスタータの弁体を作動位
置に回動すると、定圧燃料室からの燃料通路が逆止弁を
経て弁体の円筒部へ連通し、同時に外部空気の取入口と
燃料槽からの空気通路とが円筒部へそれぞれ連通するの
で、燃料槽の内部が大気圧に保たれる。吸引ポンプの操
作により燃料槽の燃料が円滑に定圧燃料室へ補給され、
機関の始動操作に伴い、定圧燃料室の燃料がバイスター
タを経て吸気路の絞り弁よりも下流側部分へ供給され、
機関の円滑な始動が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る膜型気化器の側面断面図である。

【符号の説明】

２：流入弁 ７：逆止弁 ８：脈動圧室 ９：ポンプ室
１０：膜 １１：燃料ポンプ １２：逆止弁 １５：
気化器本体 １６：吸気路 ２０：バイスタータ２５：
定圧燃料室 ２８：レバー ２９：膜 ３０：大気室
３１：通路 ３２：燃料通路 ３３：逆止弁 ３４：出
口 ３５：入口 ３５ａ：通路 ３６：円筒部 ３７：
ハウジング ３８：入口 ３９：取入口 ４０：円筒部
４０ａ：絞り ４１：弁体 ４３：出口 ４４：空気
通路 ４６：燃料槽 ４７：絞り弁 ４７ｂ：絞り孔
５１：絞り弁レバー ５１ａ：カム面 ５２：フオロア
５３：蓋 ５４：戻しばね ５５：ニードル ５６：燃
料供給管 ５６ａ：燃料噴孔 ５７：弁室 ５９：燃料
ジエツト ６１ａ：取入口 ６３：断熱管 ６３ａ：吸
気路 ６６：逆止弁 ６８：吸引ポンプ ６９：スポイ
ド ７０：ポンプ室 ７１：複合弁 ７１ａ：傘部 ７
１ｂ：中空軸部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】気化器の定圧燃料室からの燃料通路を逆止
   弁とバイスタータの円筒部とを経て吸気路の絞り弁より
   も下流側部分へ開口した膜型気化器において、前記バイ
   スタータの円筒部に燃料槽からの空気通路と外部空気の
   取入口とを接続する位置と、前記円筒部から前記燃料通
   路と前記空気通路と前記取入口とを遮断する位置とに切
   り換える弁体を備えたことを特徴とする膜型気化器。
2. 【請求項２】前記バイスタータはカツプ形のハウジング
   の内部に前記弁体を回動可能に嵌挿し、該弁体の軸心に
   設けた軸方向の円筒部を、前記吸気路に連なる前記ハウ
   ジングの端壁の出口に常時連通し、前記弁体の回動によ
   り前記円筒部から径方向に延びる第１の通路を前記燃料
   通路に連なる第１の入口に、第２の通路を前記空気通路
   に連なる第２の入口に、第３の通路を外部空気の取入口
   にそれぞれ連通可能に構成した、請求項１に記載の膜型
   気化器。