JP2002039260A - 空気圧式能動型防振装置 - Google Patents

空気圧式能動型防振装置

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JP2002039260A JP2000230829A JP2000230829A JP2002039260A JP 2002039260 A JP2002039260 A JP 2002039260A JP 2000230829 A JP2000230829 A JP 2000230829A JP 2000230829 A JP2000230829 A JP 2000230829A JP 2002039260 A JP2002039260 A JP 2002039260A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防振すべき振動に対して高度に対応した波形
の空気圧変動を作用空気室に及ぼすことが出来、作用空
気室に対する高調波成分の圧力変動の伝達が抑えられる
ことにより、防振を目的とする周波数域の振動を、他の
周波数域の振動状態の悪化を可及的に回避しつつ、有効
に低減せしめ得る、改良された構造の空気圧式能動型防
振装置を提供すること。 【解決手段】 加振部材34を挟んで受圧室40と反対
側に設けた作用空気室54に対して、外部空気通路60
を通じて空気圧変動を及ぼす空気圧経路56とは異なる
位置に、作用空気室54の圧力が及ぼされて弾性変形せ
しめられることにより、作用空気室54に生ぜしめられ
る防振すべき振動の高調波成分の圧力変動を吸収し得
る、弾性壁部材64を配設した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、非圧縮性流体が封入された流体
室を備え、該流体室における内圧や流体流動をコントロ
ールすることによって防振特性を適当に調節することの
出来る能動型の防振装置に係り、特に、空気圧変動を利
用して流体室における内圧や流体流動を入力振動に応じ
てコントロールするようにした空気圧加振式の能動型防
振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、防振対象物における振動を抑え
る防振装置の一種として、互いに離隔配置された第一の
取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で弾性連結
せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて
内部に非圧縮性流体が封入された流体室を形成すると共
に、かかる流体室における圧力変動や流体流動を積極的
に調節する加振機構を設けて、第一又は第二の取付部材
が取り付けられる防振対象部材の振動を相殺的乃至は積
極的に低減せしめるようにした能動型の防振装置も提案
されている。
【0003】そして、本願出願人は、そのような能動型
防振装置の一種として、空気圧を利用して流体室におけ
る圧力変動や流体流動を調節する加振機構を構成した空
気圧式の能動型防振装置を、先に、特開平10−184
769号公報や特開平10−184770号公報等にお
いて明らかにした。このような防振装置においては、電
磁駆動手段等の加振手段を防振装置内部に組み込む必要
がなく、部品点数の減少や製作性の向上が図られて、小
型化や軽量化等も有利に達成され得るのであり、例え
ば、自動車用エンジンマウントやボデーマウント等への
適用が検討されている。
【0004】ところで、かくの如き空気圧加振式の能動
型防振装置においては、加振力を発生する作用空気室に
対して圧力変化を及ぼすために、例えば、作用空気室
が、エア給排路を通じて切換弁に接続せしめられ、切換
弁の切換作動によって、作用空気室が、互いに異なる圧
力を有する二つの空気圧源に交互に繰り返し連通せしめ
られるようにされる。より具体的には、例えば、二つの
空気圧源として負圧源と大気を採用して、切換弁の切換
作動を適当な周期で行い、作用空気室に対する負圧供給
と大気開放を繰り返すことにより、流体室に対して、切
換弁の切換作動周期に対応した周波数の内圧変動乃至は
流体流動を及ぼすようにされる。
【0005】しかしながら、このような先の出願に係る
構造の防振装置について、本発明者が更なる検討を加え
たところ、切換弁の切換作動等によって生ぜしめられ
て、エア給排路を通じて作用空気室に及ぼされる空気圧
の変動が、切換弁の切換周期等に対応した目的とする周
波数成分だけでなく、それ以外の副次的な高調波成分を
も内在し易いことが見い出された。そして、かかる高調
波成分を有する空気圧変動が作用空気室に及ぼされる
と、防振すべき振動に対応しない周波数成分を有する内
圧変動が流体室に生ぜしめられることによって、防振効
果に悪影響が及ぼされるおそれがあったのである。具体
的には、例えば、自動車用のエンジンマウントにおい
て、アイドリング振動に対して能動的な防振効果を得る
ことを目的として、30Hz程度の周波数域で切換弁を切
換作動させると、アイドリング振動の能動的防振に有効
な30Hz前後の周波数域の空気圧変動だけでなく、二次
成分である60Hz前後の周波数域の空気圧変動も作用空
気室に及ぼされてしまうために、60Hz前後での振動状
態が逆に悪化してしまうおそれがあったのである。な
お、このような高調波成分の発生は、空気圧変化をON
/OFF的乃至はパルス的な切換弁の切換作動によって
行っていること等に起因するものであろうと推考され
る。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、防振すべき振動に対して高度に対応した波
形の空気圧変動を作用空気室に及ぼすことが出来、作用
空気室に対する高調波成分の圧力変動の伝達が抑えられ
ることにより、防振を目的とする周波数域の振動を、他
の周波数域の振動状態の悪化を可及的に回避しつつ、有
効に低減せしめ得る、改良された構造の空気圧式能動型
防振装置を提供することにある。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0008】すなわち、本発明の第一の態様は、互いに
離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体
ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の
一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形
成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を変位可能に
弾性支持された加振部材で構成する一方、該加振部材を
挟んで該受圧室と反対側に作用空気室を設け、外部空気
通路を通じて及ぼされる空気圧変動を該作用空気室に及
ぼして、該加振部材を弾性的に加振変位させることによ
り、該受圧室の圧力変動を制御せしめ得るようにした空
気圧式能動型防振装置において、前記外部空気通路を通
じて前記作用空気室に空気圧変動を及ぼす空気圧経路と
は異なる位置に、前記作用空気室の圧力が及ぼされて弾
性変形せしめられることにより該作用空気室に生ぜしめ
られる防振すべき振動の高調波成分の圧力変動を吸収し
得る弾性壁部材を配設したことを、特徴とする。
【0009】このような本態様に係る能動型防振装置に
おいては、防振すべき振動に対応した周波数域の圧力変
動を含む空気圧変動が、外部空気通路を通じて作用空気
室に及ぼされると、かかる空気圧変動が加振部材に対す
る加振力として作用することにより、受圧室に圧力変動
が及ぼされて、受圧室における流体の流動作用乃至は調
圧作用に基づいて、振動に対する相殺的乃至は積極的な
防振効果が発揮されることとなる。また、そこにおい
て、作用空気室に空気圧変動が及ぼされると、弾性壁部
材も弾性変形せしめられることとなり、この弾性壁部材
の弾性変形によって、作用空気室における、防振すべき
振動に対応した圧力変動の高調波成分が低減されるので
あり、以て、作用空気室に惹起される圧力変動の高調波
成分に起因する防振性能の低下、延いては防振対象部材
の振動状態の悪化が軽減乃至は回避されて、全体として
優れた防振効果が発揮され得るのである。
【0010】すなわち、作用空気室における目的とする
周波数での圧力制御は、例えば、作用空気室を異なる圧
力値の空気圧源に対して交互に切換接続したり、或い
は、特定圧力値の空気圧源に作用空気室を常時連通せし
めた状態下で、異なる圧力値の空気圧源に対する作用空
気室の連通を周期的にON/OFFすること等によって
行われることとなるが、このような圧力制御によって作
用空気室に生ぜしめられる圧力変動は、一般に、防振を
目的とする周波数域での大きな圧力変動と、それに比し
て十分に小さい圧力変動幅を有する高調波成分の圧力変
動を含むことが、本発明者によって確認されている。
【0011】それ故、本態様の防振装置においては、弾
性壁部材を配設して作用空気室の圧力変動を吸収せしめ
たことによって、防振を目的とする周波数域での作用空
気室の圧力変動幅を十分に確保しつつ、高調波成分の圧
力変動を小さく抑えることが出来るのであり、それによ
って、目的とする振動に対しては有効な防振効果が発揮
され得ると共に、高調波成分の周波数域における防振性
能や振動状態も良好に確保され得るのである。
【0012】しかも、弾性壁部材は、外部空気通路を通
じて前記作用空気室に空気圧変動を及ぼす空気圧経路と
は異なる位置に配設されていることから、作用空気室に
及ぼされる空気圧変動そのものを、作用空気室に配設さ
れた加振部材に及ぼされる前の段階で吸収することがな
いのであり、作用空気室に空気圧変動を及ぼす空気圧伝
達経路上の略最終位置に配設されることから、弾性壁部
材の弾性変形によって、加振部材に及ぼされる空気圧変
動が必要以上に小さくなってしまうことが一層有利に回
避され得る。しかも、空気圧の伝達経路的に、加振部材
と弾性壁部材が並列的に配設されることから、加振部材
に対する空気圧の伝達が、弾性壁部材によってフィルタ
的に制限されてしまうようなこともなく、加振部材への
空気圧伝達効率が十分に確保され得る。
【0013】なお、本態様において、加振部材は、作用
空気室の壁部の一部を構成する流体密性のものであっ
て、作用空気室と受圧室の相対的な圧力変化に基づいて
変位が許容されるものであれば良く、例えば、ゴム弾性
板によって加振部材を構成し、それ自体の弾性変形によ
って変位を許容することも可能であり、或いは、金属や
合成樹脂等の硬質材で加振部材を構成し、その外周縁部
をゴム弾性体等の弾性材で弾性的に支持せしめて弾性変
位を許容するようにしても良い。また、弾性壁部材は、
流体密性のものであって、弾性的な変形乃至は変位に基
づいて、作用空気室における高調波成分の空気圧変動を
吸収,軽減し得るものであれば良く、例えば、ゴム弾性
板によって弾性壁部材を構成したり、金属や合成樹脂等
の硬質材の外周縁部分をゴム弾性体等の弾性材で弾性的
に支持せしめることによって構成することが可能であ
る。更にまた、かかる弾性壁部材は、作用空気室とは別
体の配設領域を形成し、作用空気室に空気圧変動を及ぼ
す空気圧経路とは異なる空気通路を通じて、作用空気室
の空気圧変動が及ぼされるようにすることも可能である
が、特に、作用空気室の一部を弾性壁部材で流体密に仕
切って、作用空気室の壁部の一部を弾性壁部材で構成せ
しめて、該弾性壁部材を作用空気室に直接に面して配設
すると共に、弾性壁部材を挟んで作用空気室と反対側
に、該弾性壁部材の弾性的な変形乃至は変位を許容する
中空室を形成することが望ましく、それによって、防振
装置の内部に対して、小さな配設スペースで、弾性壁部
材を組み込むことが可能となる。
【0014】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置におい
て、前記弾性壁部材をゴム弾性壁で構成して、該ゴム弾
性壁にマス部材を弾性支持せしめることにより振動系を
形成したことを、特徴とする。このような本態様におい
ては、弾性壁部材の共振作用を利用して特定周波数域で
の作用空気質の圧力変動に対する低減効果を向上させる
ことが出来るのであり、それ故、例えば、問題となる高
調波成分の周波数域において、弾性壁部材の振幅を共振
作用を利用して大きく確保することにより、防振すべき
振動周波数域での作用空気室の空気圧変動を十分に確保
しつつ、問題となる高調波成分での作用空気室の圧力変
動をより有効に低減せしめることが可能となるのであ
る。
【0015】更にまた、本発明の第三の態様は、前記第
二の態様に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置に
おいて、前記弾性壁部材における固有振動数を、問題と
なる高調波成分と略同じ周波数域か、それよりも低周波
数域で且つ防振すべき振動の周波数より高周波数域にチ
ューニングしたことを、特徴とする。このような本態様
においては、弾性壁部材の共振作用に基づいて、防振す
べき振動の周波数域と、問題となる高調波成分の周波数
域で、作用空気室に及ぼされる空気圧変動の位相を変更
設定することが出来る。それ故、防振すべき振動の周波
数域での空気圧変動と、高調波成分の周波数域での空気
圧変動に位相差がある場合には、その位相差を考慮して
弾性壁部材の固有振動数を調節することにより、防振す
べき振動の周波数域では、作用空気室における有効な圧
力変動を確保しつつ、問題となる高調波成分の周波数で
は、弾性壁部材の変形乃至は変位に基づいて、作用空気
室における圧力変動を一層効果的に軽減乃至は解消せし
めることが可能となるのである。なお、弾性壁部材にお
ける固有振動数の調節は、例えば、弾性壁部材を構成す
るゴム弾性壁のばね特性と、マス部材の質量を、変更設
定することによって、容易に行うことが可能である。な
お、問題となる高調波成分の周波数:fは、防振すべき
振動周波数、換言すれば能動的防振効果を得るために作
用空気室に及ぼしている圧力変動の周波数をf0とする
と、一般に、下記(1)式または(2)式で表される。
【0016】 f=N×f0 ・・・(1) f=(0.5+N)×f0 ・・・(2) 但し、上式において、Nは、1,2,3・・・の自然数
である。
【0017】そして、特に問題となる高調波成分は、一
般に、N=1である時の(1)式または(2)式で特定
される高調波成分の周波数:fとされる。
【0018】さらに、本発明の第四の態様は、前記第一
乃至第三の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能
動型防振装置において、前記弾性壁部材を、前記加振部
材よりも大きな壁ばね剛性をもって形成したことを、特
徴とする。このような本態様においては、弾性壁部材の
弾性変形が、それ自体の壁ばね剛性によって有利に制限
されることにより、作用空気室に及ぼされた空気圧変動
の弾性壁部材による吸収が軽減されて、その分、加振部
材に対して加振力が一層効率的に及ぼされるのである。
なお、弾性壁部材および加振部材の壁ばね剛性とは、作
用空気室に対して単位量の容積変化を生ぜしめるために
弾性壁部材または加振部材に作用せしめることが必要と
される圧力変化量に対応する値として認識することが出
来る。
【0019】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記弾性壁部材の弾性変形量を制
限するストッパ手段を設けたことを、特徴とする。この
ような本態様においては、弾性壁部材の弾性変形が、ス
トッパ手段によって制限されることから、作用空気室に
及ぼされた空気圧変動の弾性壁部材による吸収が軽減さ
れて、その分、加振部材に対して加振力が一層効率的に
及ぼされるのである。なお、本態様においては、弾性壁
部材の弾性変形に伴う防振すべき振動周波数域での作用
空気室の圧力変動量の低下、延いては防振すべき振動に
対する能動的防振効果の低下が、ストッパ手段による弾
性壁部材の弾性変形量の制限作用に基づいて抑えられる
ことから、弾性壁部材の壁ばね剛性を小さく設定するこ
とが可能となって、例えば、加振部材よりも小さく設定
することも可能であり、それによって、問題となる高調
波成分の圧力変動に対する弾性壁部材の弾性変形に基づ
く低減効果の更なる向上が図られ得る。
【0020】なお、本態様におけるストッパ手段として
は、例えば、弾性壁部材の少なくとも一方の側に硬質の
ストッパ部材を所定距離を隔てて対向配置せしめて、該
ストッパ部材への当接によって弾性壁部材の弾性変形量
を制限する構造や、或いは、弾性壁部材を構成するゴム
弾性体に対して、その弾性変形量を制限し得る帆布等の
拘束部材を固着せしめた構造など、弾性壁部材の弾性変
形量を制限し得る各種の構造が採用可能である。
【0021】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記弾性壁部材を挟んで前記作用
空気室と反対側に、該弾性壁部材の弾性変形を許容する
空間を形成すると共に、該空間を大気中に連通せしめた
ことを、特徴とする。このような本態様においては、弾
性壁部材の弾性変形が、その背後に形成された空間によ
って安定して許容され得るのであり、特に、該空間を大
気に連通せしめたことにより、温度変化等に伴う空間の
圧力変化、延いては弾性壁部材のばね特性の変化が防止
されて、防振特性の安定化が図られ得るのである。
【0022】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、壁部の一部が可撓性膜で構成され
て容積変化が許容される平衡室を形成すると共に、該平
衡室に非圧縮性流体を封入せしめて、該平衡室を前記受
圧室に連通する第一のオリフィス通路を形成したこと
を、特徴とする。このような本態様においては、振動入
力時に受圧室と平衡室の間に生ぜしめられる相対的な圧
力変動に基づいて、第一のオリフィス通路を通じての流
体流動が生ぜしめられることとなる。それ故、かかる流
体の共振作用等の流動作用を利用して、例えば、加振部
材の加振作用に基づいて発揮される能動的な防振効果の
更なる向上を図ることが可能であり、或いは、加振部材
の加振作用に基づく能動的な防振効果が発揮される振動
とは異なる周波数域の振動に対して、第一のオリフィス
通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく受動的
な防振効果を得ることが可能となる。
【0023】また、本発明の第八の態様は、前記第一乃
至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記第二の取付部材によって支持
されて前記受圧室を流体密に仕切る仕切部材を設けるこ
とにより、該受圧室を、壁部の一部が前記本体ゴム弾性
体で構成された主液室と、壁部の一部が前記加振部材で
構成された副液室によって構成すると共に、それら主液
室と副液室を相互に連通する第二のオリフィス通路を設
けたことを、特徴とする。このような本態様において
は、加振部材の空気圧加振に基づいて副液室に生ぜしめ
られる圧力変動が、第二のオリフィス通路を通じて、主
液室に及ぼされることにより、目的とする能動的な防振
効果が発揮されることとなる。そこにおいて、第二のオ
リフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流
動作用を利用することによって、副液室と主液室の間で
の圧力伝達効率を特定の周波数域で向上させることが出
来るのであり、それ故、例えば、防振すべき振動周波数
域に第二のオリフィス通路をチューニングすることによ
って、防振すべき振動に対して発揮される能動的防振効
果の更なる向上が図られ得ると共に、作用空気室に生ぜ
しめられる高調波成分の受圧室への伝達を第二のオリフ
ィス通路で抑制せしめて、かかる高調波成分の空気圧変
動による防振特性への悪影響を一層低減せしめることが
可能となる。
【0024】また、本発明の第九の態様は、前記第一乃
至第八の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記弾性壁部材を、互いに独立し
て複数設けると共に、それら各弾性壁部材における弾性
特性を相互に異ならせたことを、特徴とする。このよう
な本態様においては、各弾性壁部材の壁ばね剛性や許容
される弾性変位量乃至は弾性変形量を相互に異ならせた
り、或いは各弾性壁部材の固有振動数を相互に異ならせ
ることによって、互いに異なる周波数域で問題となる複
数の次成分の高調波の空気圧変動に対して、それぞれ有
効な低減効果を得ることが可能となる。
【0025】また、本発明の第十の態様は、前記第一乃
至第九の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能動
型防振装置において、前記空気圧経路上に切換バルブ手
段を設けて、該切換バルブ手段により、前記作用空気室
を圧力値の異なる空気圧源に交互に択一的に接続せしめ
ることによって、該作用空気室に圧力変動を及ぼすよう
にしたことを、特徴とする。このような本態様において
は、電磁式や電気モータ式などの電気制御可能なアクチ
ュエータによって、作用空気室への空気圧源の接続をO
N/OFF的に切換制御することによって、作用空気室
に対して目的とする周波数域の空気圧変動を容易に及ぼ
すことが出来る。そこにおいて、本態様においては、前
述の如き弾性壁部材を用いた特定構造の高調波成分の圧
力変動の低減機構が併せて採用したことにより、空気圧
源のON/OFF的な切換制御に起因して問題となり易
い、作用空気室における高調波成分の圧力変動による悪
影響も有利に軽減乃至は回避されて、防振すべき振動に
対して有効な防振効果が発揮され得るのである。
【0026】また、本発明の第十一の態様は、前記第一
乃至第十の何れかの態様に従う構造とされた空気圧式能
動型防振装置において、前記第一の取付部材を自動車の
パワーユニットとボデーの何れか一方に取り付けると共
に、それらパワーユニットとボデーの他方に対して、前
記第二の取付部材を取り付けることにより、該パワーユ
ニットを該ボデーに対して防振支持せしめるようにした
ことを、特徴とする。このような本態様に従えば、本発
明に従う構造とされた自動車用エンジンマウントが有利
に実現され得るのであり、それによって、例えば、アイ
ドリング振動に対して有効な能動的防振効果を、アイド
リング高次成分に対する防振特性の低下を伴うことな
く、有利に得ることが可能となるのである。
【0027】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0028】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての自動車用エンジンマウント10が、示されてい
る。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔
てて対向配置された第一の取付部材および第二の取付部
材としての第一の取付金具12および第二の取付金具1
4を有していると共に、それら両取付金具12,14が
本体ゴム弾性体16によって連結されており、第一の取
付金具12と第二の取付金具14の各一方が、パワーユ
ニット側とボデー側の何れかに取り付けられることによ
り、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめる
ようになっている。なお、かかるエンジンマウント10
においては、自動車への装着時にパワーユニットの分担
荷重が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が圧
縮変形せしめられる。また、そのような装着状態下、防
振すべき振動が、第一の取付金具12と第二の取付金具
14の略対向方向(図1中の上下方向)に入力されるよ
うになっている。以下の説明中、上方および下方とは、
原則として、図1中の上方および下方をいうものとす
る。
【0029】より詳細には、第一の取付金具12は、そ
れぞれ略有底円筒形状の上金具18と下金具20が、各
開口側で互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結され
ることにより、中空構造をもって形成されている。な
お、上金具18の底壁部には、外方に突出する取付ボル
ト22が固設されており、この取付ボルト22によっ
て、第一の取付金具12がパワーユニット側またはボデ
ー側に取り付けられるようになっている。
【0030】また一方、第二の取付金具14は、円環ブ
ロック形状の支持金具24と円板形状の底金具26が、
互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結されることに
よって構成されており、全体として略厚肉円板形状を有
していると共に、上面中央部には、上方に向かって開口
する凹所28が形成されている。なお、底金具26に
は、底面上に突出する取付ボルト29が立設されてお
り、この取付ボルト29によって、第二の取付金具14
がボデー側またはパワーユニット側に取り付けられるよ
うになっている。
【0031】そして、この第二の取付金具14が、第一
の取付金具12に対して、軸方向下方に所定距離を隔て
て対向位置せしめられており、それらの間に介装された
本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0032】本体ゴム弾性体16は、厚肉のテーパ筒形
状を有しており、その小径側開口部が、第一の取付金具
12を構成する下金具20の外周面に対して加硫接着さ
れて流体密に固着されている一方、その大径側開口部に
連結リング30が加硫接着されており、かかる連結リン
グ30が、第二の取付金具14を構成する支持金具24
の上面に流体密に重ね合わされてボルト固定されること
によって、大径側開口部が第二の取付金具14に対して
固着されている。なお、本体ゴム弾性体16の軸方向中
間部分には、弾性変形の安定化を図り座屈等を防止する
ための拘束リング32が加硫接着されている。
【0033】また、第二の取付金具14に形成された凹
所28の開口部には、加振部材としての所定厚さのゴム
弾性板34が配設されており、該ゴム弾性板34の外周
縁部が支持金具24の内周縁部に加硫接着されることに
よって、凹所28の開口部分がゴム弾性板34により流
体密に覆蓋されている。更に、ゴム弾性板34には、そ
の中央部分に円板形状の金属板36が加硫接着されてい
ると共に、この金属板36の周りを所定距離を隔てて囲
むようにして金属リング38が加硫接着されており、ゴ
ム弾性板34のばね特性が調節されていると共に、その
不規則な変形が防止されるようになっている。なお、金
属板36の外周部分には、適数個の貫通孔37が形成さ
れており、これらの貫通孔37にゴム弾性板34のゴム
が充填されていることによって、金属板36のゴム弾性
板34への固着強度の向上が図られている。
【0034】これにより、第一の取付金具12と第二の
取付金具14の間には、下金具20とゴム弾性板34の
対向面間に位置して、本体ゴム弾性体16にて周壁部が
構成されてなる受圧室40が形成されており、該受圧室
40には水やアルキレングリコール,ポリアルキレング
リコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されて
いる。そして、この受圧室40には、第一の取付金具1
2と第二の取付金具14の間に振動が入力された際、本
体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って、内圧変動が惹起
されるようになっている。
【0035】一方、第一の取付金具12の中空内部に
は、薄肉のゴム膜からなる可撓性膜42が、その外周縁
部を上下金具18,20間で挟持されることによって配
設されており、それによって、第一の取付金具12の中
空内部が、可撓性膜42を挟んで、上金具18側と下金
具20側とに、流体密に二分されている。そして、可撓
性膜42を挟んで、上金具18側には、通孔44を通じ
て外部空間に連通されて、可撓性膜42の変形を許容す
る空気室46が形成されている一方、下金具20側に
は、内部に受圧室40と同じ非圧縮性流体が封入され
て、可撓性膜42の変形に基づいて容積変化が容易に許
容される平衡室48が形成されている。
【0036】また、受圧室40と平衡室48の間の隔壁
を構成する下金具20の底壁部には、円板形状のオリフ
ィス金具50が重ね合わされてボルト固定されており、
それら下金具20とオリフィス金具50の重ね合わせ面
間に、周方向に一周弱の長さで延びて、受圧室40と平
衡室48を連通する第一のオリフィス通路としてのオリ
フィス通路52が形成されている。これにより、振動入
力時には、受圧室40と平衡室48の内圧差に基づい
て、それら両室40,48間で、オリフィス通路52を
通じての流体流動が生ぜしめられるようになっており、
以て、このオリフィス通路52を通じて流動せしめられ
る流体の共振作用に基づいて、シェイク振動に対する減
衰効果等の所定の防振効果が発揮されるようになってい
る。
【0037】また一方、第二の取付金具14において
は、凹所28の開口部がゴム弾性板34で覆蓋されてお
り、それによって、ゴム弾性板34を挟んで受圧室40
と反対側には、密閉された作用空気室54が形成されて
いる。また、底金具26には、この作用空気室54に連
通せしめられた空気給排路56が形成されている。かか
る空気給排路56は、凹所28の底面中央に開口して軸
方向下方に向かって所定深さで延びると共に、その下端
部から軸直角方向に屈曲して半径方向に延びて、底金具
26の外周面に開口せしめられている。また、空気給排
路56の外周側開口部には、外方に向かって突出する円
筒形状のポート58が圧入固定されており、このポート
58に対して、外部空気通路としての空気圧管路60が
外挿されて接続されるようになっている。そして、空気
圧管路60から、空気給排路56を通じて、作用空気室
54に空気圧変動が外部から及ぼされるようになってい
る。
【0038】さらに、図2に要部が拡大されて示されて
いるように、作用空気室54の壁部を構成する底金具2
6には、空気給排路56の開口部の傍らに位置して、上
方に向かって開口する円形のポケット状凹部62が形成
されている。そして、このポケット状凹部62の開口部
近くに、弾性壁部材としてのゴム弾性壁64が、軸直角
方向に広がって配設されている。このゴム弾性壁64
は、全体に亘って略一定の厚さ寸法を有する円板形状を
呈しており、外周縁部には、円形の嵌着金具66が加硫
接着されている。そして、この嵌着金具66がポケット
状凹部62に圧入固定されることにより、ゴム弾性壁6
4が、ポケット状凹部62の開口部分に展張状態で配設
されており、該ゴム弾性壁64によってポケット状凹部
62が流体密に覆蓋されている。これにより、ポケット
状凹部62の内部には、作用空気室54からゴム弾性壁
64によって流体密に仕切られた空間としての空所68
が形成されていると共に、かかる空所68が、底壁部に
貫設された連通孔70を通じて、外部空間に常時接続さ
れている。
【0039】要するに、かかるゴム弾性壁64によって
作用空気室54の壁部の一部が構成されていると共に、
ゴム弾性壁64を挟んで、作用空気室54と反対側に
は、所定容積の空所68が形成されており、ゴム弾性壁
64の弾性変形が許容されるようになっている。
【0040】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10は、自動車への装着状態下において、ポート58に
対して外部空気通路としての空気圧管路60が接続せし
められ、この空気圧管路60と空気給排路56を通じ
て、作用空気室54が、切換バルブ72に接続される。
そして、この切換バルブ72の切換作動に従って、作用
空気室54が、空気圧源としての負圧タンク74と大気
中とに択一的に連通せしめられるようにされる。要する
に、切換バルブ72の切換操作によって、作用空気室5
4には、負圧と大気圧とが、択一的に及ぼされることと
なり、切換バルブ72を適当な周期で切換作動せしめる
ことによって、作用空気室54に対して、切換周期に対
応した周波数を有する周期的な空気圧変動が生ぜしめら
れるようにされる。
【0041】そこにおいて、ゴム弾性板34は、作用空
気室54が大気中に接続された状態では、それ自体の弾
性による復元力に基づいて、略平板形状に保持されてい
るが、作用空気室54に負圧を及ぼすと、ゴム弾性板3
4が、その弾性に抗して下方(作用空気室54側)に変
形変位せしめられることとなり、また、その状態から負
圧を解除すると、ゴム弾性板34が、その弾性に基づく
復元力によって上方(受圧室40側)に復元変形変位せ
しめられることとなる。その結果、ゴム弾性板34が、
切換バルブ72のバルブ操作に応じて、上下に往復変位
(振動)せしめられることとなるのである。
【0042】従って、このようにゴム弾性板34が加振
されることによって、受圧室40の内圧が変化せしめら
れてマウント防振特性が調節されるのであり、それ故、
例えば、アイドリング振動等の振動入力時にゴム弾性板
34をアイドリング振動に応じた周波数と位相で加振し
て受圧室40の内圧変動を吸収乃至は軽減することによ
り、振動伝達が抑えられて有効な防振効果が発揮される
のである。また、それに加えて、シェイク振動の入力時
等には、振動入力時にゴム弾性板34を入力振動に応じ
た周波数で加振して受圧室40の内圧変動を積極的に生
ぜしめることにより、オリフィス通路52を通じての流
体流動量を増大せしめて、オリフィス通路52を流動せ
しめられる流体の流動作用に基づく防振効果の向上を図
ることも可能である。
【0043】また、そこにおいて、かかるエンジンマウ
ント10にあっては、作用空気室54の壁部の一部がゴ
ム弾性壁64で構成されていることにより、別途駆動手
段の弾性壁部材を組み込む必要がなく、エンジンマウン
ト10内に小さな配設スペースで弾性壁部材を組み込む
ことが可能とされる。
【0044】従って、上述の如き構造とされた自動車用
エンジンマウント10においては、防振を目的とするア
イドリング振動の周波数域では、能動的防振効果を有利
に確保しつつ、高調波成分であるアイドリング二次振動
の周波数域では、作用空気室54における空気圧変動
が、ゴム弾性壁64で吸収されることによって一層有利
に軽減乃至は回避され得るのであり、以て、高調波成分
の周波数域での不良な防振特性が一層有利に軽減乃至は
回避され得て、全体として優れた防振効果が発揮され得
るのである。
【0045】しかも、ゴム弾性壁64は、空気圧管路6
0を通じて作用空気室54に空気圧変動を及ぼす空気給
排路56とは異なる位置に配設されていることから、作
用空気室54に及ぼされる空気圧変動を、作用空気室5
4に配設されたゴム弾性板34に及ぼされる前の段階で
吸収することが回避されるのであり、作用空気室54に
空気圧変動を及ぼす空気圧伝達経路上の略最終位置に配
設されることから、ゴム弾性壁64の弾性変形によっ
て、ゴム弾性板34に及ぼされる空気圧変動が必要以上
に小さくなってしまうことが一層有利に回避され得る。
【0046】また、本実施形態では、空気圧の伝達経路
上に、ゴム弾性板34とゴム弾性壁64が並列的に配設
されることから、ゴム弾性板34に対する空気圧の伝達
率が、ゴム弾性壁64によってフィルタ的に制限される
ことなく、十分に確保され得る。
【0047】また、特に、本実施形態では、ゴム弾性壁
64の背後(図中における下方)に形成された空所68
が、大気中に連通されていることにより、温度変化等に
伴う空所68の圧力変化、延いてはゴム弾性壁64のば
ね特性の変化が防止されて、全体として更なる防振効果
が発揮され得るのである。
【0048】次に、図3〜4には、本発明の第二の実施
形態としての自動車用エンジンマウント76が、示され
ている。なお、本実施形態は、第一の実施形態のエンジ
ンマウント10に比して、ゴム弾性壁64の別の形態例
を示すものであり、第一の実施形態と同様な構造とされ
た部材および部位については、それぞれ、図中に、第一
の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの
詳細な説明を省略する。
【0049】すなわち、本実施形態のエンジンマウント
76においては、弾性壁部材78が、マス部材80の外
周縁部に対して環状ゴム弾性壁82が加硫接着された構
造とされている。マス部材80は、金属等の高比重材で
形成されており、厚肉円板形状を有している。そして、
このマス部材80の外周面に対して、径方向外方に延び
る円環板形状を有する環状ゴム弾性壁82が加硫接着さ
れていると共に、環状ゴム弾性壁82の外周面には嵌着
金具66が加硫接着されている。要するに、本実施形態
の弾性壁部材78は、環状ゴム弾性壁82の内外周面に
対して、マス部材80と嵌着金具66が加硫接着された
一体加硫成形品として形成されている。
【0050】そして、この弾性壁部材78が、第一の実
施形態と同様に、嵌着金具66がポケット状凹部62に
圧入固定されることによって、展張状態でポケット状凹
部62の開口部分に組み付けられており、それによっ
て、作用空気室54から流体密に仕切られた空所68が
形成されている。
【0051】このような構造とされた本実施形態のエン
ジンマウント76においては、作用空気室54に圧力変
動が及ぼされると、第一の実施形態と同様に、ゴム弾性
板34に加振力が及ぼされて能動的な防振効果が発揮さ
れると共に、弾性壁部材78にも加振力が及ぼされて弾
性変形せしめられる。そこにおいて、かかる弾性壁部材
78においては、マス部材80をマスとし、環状ゴム弾
性壁82をバネとする一つのマス−バネ系からなる振動
系が構成されており、特定の周波数域で共振状態となる
ように、マス部材80の質量や環状ゴム弾性壁82のバ
ネ定数が調節されることによって、その固有振動数が設
定されている。
【0052】具体的には、例えば、アイドリング二次成
分よりも僅かに小さな周波数域に、かかる振動系の固有
振動数がチューニングされており、それによって、かか
る固有振動数では、防振を目的とするアイドリング振動
の周波数域とは異なる位相で共振状態とされるようにな
っている。これにより、アイドリング振動の周波数域で
は、作用空気室54の圧力変動を吸収しない位相で加振
変位せしめられる一方、高調波成分であるアイドリング
二次振動の周波数域では、作用空気室54に惹起される
アイドリング二次成分の空気圧変動を積極的に吸収し得
る位相で、且つ大きな振幅で共振的に変位作動せしめら
れるようになっている。
【0053】従って、このような本実施形態のエンジン
マウント76においては、防振を目的とするアイドリン
グ振動の周波数域では、有効な能動的防振効果を十分に
確保しつつ、高調波成分であるアイドリング二次振動の
周波数域では、作用空気室54における空気圧変動が、
弾性壁部材78の共振的な変位によって一層有利に軽減
乃至は解消され得るのであり、その結果、高調波成分の
周波数域での防振特性の悪化が一層有利に軽減乃至は回
避され得て、全体として優れた防振効果が発揮され得る
のである。
【0054】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、か
かる実施形態における具体的な記載によって、何等、限
定的に解釈されるものでない。
【0055】例えば、ゴム弾性壁64やポケット状凹部
62、延いては作用空気室54の具体的形状や構造は、
要求される防振特性や、取付けられるエンジンマウント
の形状等に応じて適宜に変更されるものであって、何
等、限定されるものでない。
【0056】具体的には、例えば、図5に示されている
ように、ポケット状凹部62を、前記第一及び第二の実
施形態に比して浅底構造とすると共に、ゴム弾性壁64
の上方側に金属や合成樹脂等によって形成された硬質の
ストッパ部材84を所定距離を隔てて対向位置するよう
に固設せしめた構造としても良い。即ち、ポケット状凹
部62の開口部が硬質のストッパ部材84によって覆蓋
されており、これらストッパ部材84とポケット状凹部
62の対向面間において、ゴム弾性壁64が、板厚方向
で所定量の弾性変形が許容され得るように隙間を隔てて
配設された構造とすることも可能である。これにより、
ゴム弾性壁64がストッパ部材84乃至はポケット状凹
部62の底部に対して当接することによって、ゴム弾性
壁64の弾性変形量が制限され得るのであり、以て、作
用空気室54に及ぼされた空気圧変動のゴム弾性壁64
による吸収が制限されて、その分、ゴム弾性板34に及
ぼされる加振力が、効率的に伝達され得るのである。な
お、ストッパ部材84は、ポケット状凹部62の開口部
を覆蓋するプレート形状とされていると共に、作用空気
室54の空気圧をゴム弾性板34に及ぼすための多数の
貫通孔85が形成されている。また、図5においては、
その理解を容易とするために、第一の実施形態と同様な
構造とされた部材および部位については、それぞれ、図
中に、第一の実施形態と同一の符号を付しておくことと
する。
【0057】また、圧縮エアが容易に得られる場合に
は、負圧力に代えて正圧力を利用してゴム弾性板34を
変形変位させても良く、更にまた、負圧乃至は正圧の範
囲内で圧力を増減させることによってゴム弾性板34を
変形変位させることも、勿論可能である。
【0058】また、前記実施形態の如く、負圧力と正圧
力の何れか一方だけを大気圧と組み合わせて用いて、ゴ
ム弾性板34を変形変位させる場合には、ゴム弾性板3
4自体の弾性による復元変位力を補助するために、ゴム
弾性板34と第二の取付金具14の間に、コイルスプリ
ング等の付勢手段を配設することも、有効である。
【0059】また、前記実施形態では、単一構造とされ
た受圧室40の壁部が、本体ゴム弾性体16とゴム弾性
板34で構成されており、受圧室40に対して、本体ゴ
ム弾性体40の弾性変形に伴う圧力変動と、ゴム弾性板
34の加振に伴なう圧力変動が、何れも、直接に及ぼさ
れるようになっていたが、その他、例えば、特開平10
−184770号公報等に記載されているように、第二
の取付金具14によって支持されて受圧室40を流体密
に二分する仕切部材を設けて、該仕切部材を挟んだ両側
に、本体ゴム弾性体16で壁部の一部が構成された主液
室と、ゴム弾性板34で壁部の一部が構成された副液室
を形成すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通
する第二のオリフィス通路を設けることも可能であり、
このような構造を採用すれば、ゴム弾性板34の駆動に
よって副液室に生ぜしめられた圧力変動を、第二のオリ
フィス通路を通じて流動する流体の共振作用を利用して
主液室に伝達せしめることにより防振特性を、より効率
的に能動制御することが可能となる。また、第二のオリ
フィス通路を流動せしめられる流体の反共振作用によっ
て、共振周波数を超えた高周波数域での圧力伝達が抑制
されることから、高調波成分に起因する防振特性の低下
が、一層有利に低減乃至は回避され得るといった利点も
ある。
【0060】更にまた、オリフィス通路52や平衡室4
8は、マウント要求特性に応じて採用されるものであっ
て、必ずしも設ける必要はない。また、マウント要求特
性によっては、互いに異なるチューニングが施されたオ
リフィス通路52を複数設けることも可能である。
【0061】さらに、前記実施形態では、何れも、第一
の取付部材と第二の取付部材が主たる振動入力方向とな
る一方向だけで離隔して対向配置された構造のエンジン
マウントに対して適用したものの一具体例を示したが、
その他、本発明は、例えば、特開平10−184769
号公報等に記載されているように、第一の取付部材とし
ての軸部材の外周側に離隔して、第二の取付部材として
の外筒部材を配設すると共に、それら第一の取付部材と
第二の取付部材の径方向対向面間に本体ゴム弾性体を配
設して弾性連結せしめた、例えば、FF型(フロントエ
ンジン・フロントドライブ型)の自動車用エンジンマウ
ント等に好適に用いられる円筒型の防振装置などにも、
同様に適用可能である。
【0062】更にまた、本発明は、振動発生側部材と防
振すべき対象部材の間に介装される防振連結体や防振支
持体の如き防振装置の他、防振対象部材に対して直接に
取り付けられて該防振対象部材の振動を相殺的乃至は積
極的に低減せしめる能動型の制振器にも適用可能であ
る。具体的には、例えば、前記第一の取付部材と前記第
二の取付部材の何れか一方を防振すべき対象物に取り付
けることにより、それら第一の取付部材と第二の取付部
材の他方をマス系とすると共に、前記本体ゴム弾性体を
バネ系とする一つの副振動系を構成せしめること等によ
って、防振対象物に対する能動的制振器が、有利に構成
され得る。
【0063】加えて、前記実施形態では、本発明を自動
車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示し
たが、本発明は、その他、自動車用のボデーマウントや
デフマウント、サスペンションブッシュ等、或いは自動
車以外の各種装置や構造物における防振装置として、広
い範囲に亘って適用可能であることは、勿論である。
【0064】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施されるものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0065】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた空気圧式能動型防振装置において
は、作用空気室の圧力変動幅を目的とする防振周波数域
で充分に確保しつつ、作用空気室における高調波成分の
圧力変動を、作用空気室の壁部の一部として構成された
弾性壁部材の共振的な変位によって、小さく抑えること
が出来るのであり、それ故、防振を目的とする振動の周
波数域を含む広い周波数域において優れた防振性能を得
ることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの要部を拡大
して示す縦断面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図4】図3に示されたエンジンマウントの要部を拡大
して示す縦断面図である。
【図5】第一の実施形態におけて採用され得るゴム弾性
壁のストッパ構造の一具体例を示す、図2に対応した縦
断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 34 ゴム弾性板 40 受圧室 54 作用空気室 56 空気給排路 60 空気圧管路 64 ゴム弾性壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 13/00 630D Fターム(参考) 3D035 CA05 CA35 3J047 AA03 CB05 CB10 CC01 CD12 DA02 FA02 FA04 3J048 AA03 AB11 AD03 AD06 BA02 BE02 BF02 CB18 CB22 CB24 DA01 EA07 EA15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに離隔配置された第一の取付部材と
    第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本
    体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が
    封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の
    別の一部を変位可能に弾性支持された加振部材で構成す
    る一方、該加振部材を挟んで該受圧室と反対側に作用空
    気室を設け、外部空気通路を通じて及ぼされる空気圧変
    動を該作用空気室に及ぼして、該加振部材を弾性的に加
    振変位させることにより、該受圧室の圧力変動を制御せ
    しめ得るようにした空気圧式能動型防振装置において、 前記外部空気通路を通じて前記作用空気室に空気圧変動
    を及ぼす空気圧経路とは異なる位置に、前記作用空気室
    の圧力が及ぼされて弾性変形せしめられることにより該
    作用空気室に生ぜしめられる防振すべき振動の高調波成
    分の圧力変動を吸収し得る弾性壁部材を配設したことを
    特徴とする空気圧式能動型防振装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性壁部材をゴム弾性壁で構成し
    て、該ゴム弾性壁にマス部材を弾性支持せしめることに
    より、かかる弾性壁部材において振動系を形成した請求
    項1に記載の空気圧式能動型防振装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性壁部材における振動系の固有振
    動数を、問題となる高調波成分と略同じ周波数域か、そ
    れよりも低周波数域で且つ防振すべき振動の周波数より
    高周波数域にチューニングした請求項2に記載の空気圧
    式能動型防振装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性壁部材が、前記加振部材よりも
    大きな壁ばね剛性をもって形成されている請求項1乃至
    3の何れかに記載の空気圧式能動型防振装置。
  5. 【請求項5】 前記弾性壁部材の弾性変形量を制限する
    ストッパ手段を設けた請求項1乃至4の何れかに記載の
    空気圧式能動型防振装置。
  6. 【請求項6】 前記弾性壁部材を挟んで前記作用空気室
    と反対側に、該弾性壁部材の弾性変形を許容する空間を
    形成すると共に、該空間を大気中に連通せしめた請求項
    1乃至5の何れかに記載の空気圧式能動型防振装置。
  7. 【請求項7】 壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積
    変化が許容される平衡室を形成すると共に、該平衡室に
    非圧縮性流体を封入せしめて、該平衡室を前記受圧室に
    連通する第一のオリフィス通路を形成した請求項1乃至
    6の何れかに記載の空気圧式能動型防振装置。
  8. 【請求項8】 前記第二の取付部材によって支持されて
    前記受圧室を流体密に仕切る仕切部材を設けることによ
    り、該受圧室を、壁部の一部が前記本体ゴム弾性体で構
    成された主液室と、壁部の一部が前記加振部材で構成さ
    れた副液室によって構成すると共に、それら主液室と副
    液室を相互に連通する第二のオリフィス通路を設けた請
    求項1乃至7の何れかに記載の空気圧式能動型防振装
    置。
  9. 【請求項9】 前記弾性壁部材を、互いに独立して複数
    設けると共に、それら各弾性壁部材における弾性特性を
    相互に異ならせた請求項1乃至8の何れかに記載の空気
    圧式能動型防振装置。
  10. 【請求項10】 前記空気圧経路上に切換バルブ手段を
    設けて、該切換バルブ手段により、前記作用空気室を圧
    力値の異なる空気圧源に交互に択一的に接続せしめるこ
    とによって、該作用空気室に圧力変動を及ぼすようにし
    た請求項1乃至9の何れかに記載の空気圧式能動型防振
    装置。
  11. 【請求項11】 前記第一の取付部材を自動車のパワー
    ユニットとボデーの何れか一方に取り付けると共に、そ
    れらパワーユニットとボデーの他方に対して、前記第二
    の取付部材を取り付けることにより、該パワーユニット
    を該ボデーに対して防振支持せしめるようにした請求項
    1乃至10の何れかに記載の空気圧式能動型防振装置。
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