JP2002037679A - 異種部材を接合してなる複合部材及び該複合部材の製造方法 - Google Patents

異種部材を接合してなる複合部材及び該複合部材の製造方法

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JP2002037679A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合部において気密性を有すると共に、熱サ
イクル特性、及び熱衝撃特性をも有する複合部材及び該
複合部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 セラミックス基材1と金属部材7を接合
してなる複合部材であって、セラミックス基材1の表面
に活性金属箔4、及び活性金属箔4上にAuからなるろ
う材5が配置され、活性金属箔4及びろう材5が加熱さ
れて接合層6が形成され、接合層6の表面に金属部材7
が配置されて加圧加熱され、接合層6と金属部材7とが
固相接合されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、異種部材を接合
してなる複合部材に関し、さらに詳しくは、特定のろう
材を使用して固相接合により接合された複合部材及び該
複合部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 異種部材の接合、例えば、セラミック
ス基材と金属製部材との接合には、ろう材を用いる方法
があるが、高温での接合後の冷却操作中に、異種部材
間、あるいはこれら異種部材を接合するために使用した
ろう材と部材との熱膨張率の差に起因する熱応力が発生
し、接合界面に剥離を生じたり、また、一方の部材が脆
弱な場合には、接合界面近傍にクラックを生じたりし
て、所望の接合強度や気密性を得られないことがある。
製造過程でこれらの異常が発生した製品は、不良品とし
て処分せざるを得ないためにこれら複合部材の製品のコ
ストを押し上げる一因となっている。また、使用時に熱
サイクルがかかる場合には、これらの異常が一定期間の
使用後に発生して、製品の信頼性を低下させる一因とも
なっている。
【0003】 異種部材をろう材を用いて接合する場合
には、セラミックス基材とろう材との濡れを確保するた
めにセラミックス基材の接合面の表面を金属、例えば、
Ni等の金属でメッキした後、両部材を適当な間隔をお
いて向かい合わせて配置させ、この間隔にろう材を流し
込み、接合させる方法が通常採用されている。また、金
属メッキ処理がなくてもセラミックス基材表面に窒化
物、酸化物等の反応層を形成することで濡れを確保する
ことができるTi等の添加物をろう材中に加える手法も
ある。しかしながらこれらの方法では、何らかの手段で
接合部に生ずる熱応力を低下させる配慮を行わないと、
熱応力に対して脆弱なセラミックス基材側にしばしばク
ラックが形成されたり、接合部に剥離を生じたりして、
結合強度ばかりでなく複合部材として要求される気密性
などの各種性能に影響を及ぼす場合がある。とりわけ、
窒化アルミニウム等低強度の部材を金属材料等の異種部
材と上記の問題を抑止しつつ接合することは非常に難し
い。
【0004】 上記問題点を解決するために、低い応力
によって塑性変形が起こる低耐力の金属、例えばAuの
みからなるろう材を使用し、液相接合によって基材と金
属部材を接合する方法を考えることができる。しかし、
この方法においては、金属部材としてNi、Co、Ko
var等を用いた場合、これらの成分(Fe、Ni、C
o)がAu中へと拡散してしまい、Auの耐力が上昇
し、その結果熱サイクル及び熱衝撃によってセラミック
ス基材にクラックが生ずることになる。また、Au−1
8Niろう材と電気伝導体(Mo)を接合すると、ろう
材中のNiとMoが反応し脆性組織を形成することが知
られている。従って、接合部が熱サイクル及び熱衝撃等
に曝された際の耐久特性が低くなり、また、急速に劣化
してしまい使用できなくなるといった問題点がある。
【0005】 さらに、金属部材としてKovarを用
いた場合、基材とKovarとの接合の際に、ろう材中
にKovarを構成する成分(Fe、Ni、Co)が拡
散し、電気伝導性の低い金属間化合物層を形成するため
に、熱サイクル特性の劣化、当該部位での以上発熱の生
起等の問題点もあった。
【0006】 一方、Auと固溶しない金属を金属部材
として使用することも考えることができ、この条件に合
致する金属材料としては、W、Mo等を挙げることがで
きる。しかしこれらの金属材料は、大気中高温条件下に
おいては酸化が激しく、かかる条件下に晒される半導体
ウエハーを設置するためのサセプター等に用いるための
金属部材としては使用することができないといった問題
を有している。
【0007】 上記の問題を解決する手法として、接合
構造を工夫する試みも行われている。例えば特開平10
−209255号公報において、半導体ウエハーを設置
するためのサセプターとして、図3に示す構造に係るセ
ラミックス基材と電力供給用コネクターの接合構造が開
示されている。図3においてはセラミックス基材1に、
孔14が設けられている。孔14にはセラミックス基材
1中にあらかじめ埋設されたセラミックス基材1と近似
の熱膨張係数を有するたとえばMo等の金属部材17が
露出している。また孔14内に筒状雰囲気保護体9が挿
入されている。雰囲気保護体9の内側に電力供給用コネ
クター16と応力緩和用の低熱膨張体15が挿入されて
いる。雰囲気保護体9とコネクター16はろう材5によ
って気密に接合されており、低熱膨張体15および雰囲
気保護体9は金属部材17に対してろう材5によって気
密に接合されている。この接合構造によれば低熱膨張体
15と金属部材7が接合時の残留応力を緩衝され、また
Mo等の金属部材17の酸化は雰囲気保護体9によって
押さえられているので、耐力の高いろう材、たとえば前
記のAu−18Niろうをもって接合しても、接合時に
セラミックス基材1に割れを生ずることはなくまた、接
合部が高温ヒーター使用時の熱サイクル及び熱衝撃等に
曝された際の耐久信頼性も高い。しかし当該接合構造
は、部品点数が多くなること、雰囲気保護体9と金属部
材17の接合を完全に行わないと、金属部材17の酸化
による劣化を生ずるので、非常に高い生産管理能力が要
求されること等の問題点を有している。
【0008】 また、特開平11−278951号公報
においては、半導体ウエハーを設置するためのサセプタ
ーとして、図4に示す構造に係るセラミックス基材にお
いて、Kovar等の耐蝕性金属製リング23を、セラ
ミックス製サセプター22の背面22bに接合するに当
たって、発生する熱応力緩和のためこれら部材構造を、
例えば、図5、図6に示す形状にする接合体及び接合方
法が開示されている。すなわち、部材構造をこれら形状
とすることで熱応力緩和には有効であるが、セラミック
スが脆弱である場合、前記公報において開示されたよう
な、ろう材を溶融させて金属部材とセラミックス基材と
の接合を行なう方法では、金属部材の溶出によるろう材
変質が生起し、前記公報で開示される接合構造への配慮
のみでは熱応力緩和効果が十分でなくセラミックス基材
破損等の不具合を生じる場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、このよう
な従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、接合部において気密性を
有すると共に、熱サイクル特性、及び熱衝撃特性をも有
する複合部材及び該複合部材の製造方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、セラミックス基材と金属部材を接合してなる複合部
材であって、該セラミックス基材の表面に活性金属箔、
及び該活性金属箔上にAuからなるろう材が配置され、
該活性金属箔及びろう材が加熱されて接合層が形成さ
れ、該接合層の表面に前記金属部材が配置されて加圧加
熱され、該接合層と前記金属部材とが固相接合されてな
ることを特徴とする複合部材が提供される。
【0011】 本発明においては、セラミックス基材が
窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、
マグネシア、スピネル、炭化珪素のいずれかであること
が好ましい。またセラミックス基材に、Mo、W、もし
くはMoとWの合金からなる電気伝導体がその表面の一
部がセラミックス基材の外部に露出した状態で埋設され
ていてもよい。
【0012】 また、本発明においては、金属部材がN
i、Co、Fe、Crのいずれかよりなる金属部材であ
ることが好ましく、金属部材がNi、Co、Fe、Cr
のいずれかを主な構成要素とする合金からなる金属部材
であることも同様に好ましい。
【0013】 さらに、本発明においては、活性金属箔
がTi、Nb、Hf、Zrのいずれかであることが好ま
しい。なお、本発明の複合部材は半導体ウエハーを設置
するサセプターに好適に用いることができる。
【0014】 一方、本発明によれば、セラミックス基
材と金属部材を接合する複合部材であって、該セラミッ
クス基材の表面に活性金属箔と、該活性金属箔上にAu
からなるろう材を配置して加熱し、該セラミックス基材
の表面に該ろう材からなる接合層を形成する第一工程を
備え、該接合層の表面に該金属部材を配置して加圧加熱
し、該接合層と該金属部材を固相接合する第二工程を備
えていることを特徴とする複合部材の製造方法が提供さ
れる。
【0015】 本発明においては、セラミックス基材が
窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、
マグネシア、スピネル、炭化珪素のいずれかであること
が好ましい。またセラミックス基材に、Mo、W、もし
くはMoとWの合金からなる電気伝導体がその表面の一
部がセラミックス基材の外部に露出した状態で埋設され
ていてもよい。
【0016】 また、本発明においては、金属部材がN
i、Co、Fe、Crのいずれかよりなる金属部材であ
ることが好ましく、金属部材がNi、Co、Fe、Cr
のいずれかを主な構成要素とする合金からなる金属部材
であることも同様に好ましい。さらに、本発明において
は、活性金属箔としてTi、Nb、Hf、Zrのいずれ
かを好適に用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当
業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良
等が加えられることが理解されるべきである。
【0018】 図1は、本発明に係る複合部材の製造方
法の一実施態様を示す模式図であり、(a)は第一工
程、(b)は第二工程を示す模式図である。第一工程に
おいては、セラミックス基材1の表面を覆うように活性
金属箔4とAuからなるろう材5を配置し、加熱により
接合層6を形成する。続く第二工程においては、接合層
6の表面に金属部材7を配置し、加圧加熱による固相接
合を行って複合部材を製造する。
【0019】 第一工程において用いる活性金属箔4は
セラミックス基材1に対して活性であり、セラミックス
基材1とAuからなるろう材5の界面において反応生成
物層を形成する。従って、セラミックス基材1に対する
Auからなるろう材4の濡れ性が改善され、良好な気密
性を有する接合層6が形成される。また、この反応生成
物層が形成されることにより、活性金属箔4を構成する
金属元素が当該界面でほとんど消費し尽くされAu中に
残留しないので、Auからなるろう材5の耐力値が上昇
するといった現象が起こることもない。
【0020】 また、本発明における他の実施態様とし
ては、前述のセラミックス基材にMo、W、もしくはM
oとWの合金からなる電気伝導体が、その電気伝導体の
表面の一部がセラミックス基材の外部に露出した状態で
埋設されていてもよい。図2は、本発明に係る複合部材
の製造方法の他の実施態様を示す模式図であり、(a)
は第一工程、(b)は第二工程を示す模式図である。セ
ラミックス基材1には、Moメッシュ2とそれに導通す
るよう配置された電気伝導体(Mo)3が埋設されてい
る。第一工程においては、セラミックス基材1と電気伝
導体(Mo)3の表面を覆うように活性金属箔4とろう
材5を配置し、加熱により接合層6を形成する。続く第
二工程においては、接合層6の表面に金属部材7を配置
し、加圧加熱による固相接合を行って複合部材を製造す
る。
【0021】 第一工程において用いる活性金属箔4は
セラミックス基材1に対して活性であり、セラミックス
基材1とAuからなるろう材5、並びに、電気伝導体
(Mo)3とAuからなるろう材5との界面において反
応生成物層を形成する。従って、セラミックス基材1に
対するAuからなるろう材5の濡れ性が改善され、同時
に気密性が確保されることから、セラミックス基材1に
埋設された電気伝導体(Mo)3が外気に晒さらされる
ことはなく、電気伝導体の酸化劣化が起こり難いといっ
た利点を有している。
【0022】 セラミックス基材の原材料としてAlN
(窒化アルミニウム)、活性金属箔としてTiを用いた
場合では、加熱することによりAlNとろう材の界面に
おいてTiNの薄膜層を形成する。このとき、TiはA
lNとの反応によって全て消費されることとなり、従っ
てTiがろう材に固溶することがなく、ろう材の低耐力
特性が維持された接合層を形成するといった効果を有す
る。この場合、Auに対するTiの量は、0.03〜1
0%が好ましく、0.1〜2%がさらに好ましい。0.
03%より少ない場合には接合不具合が発生する可能性
があり、また、10%超の場合では、Au中にTiが残
留することで、Auの耐力上昇によるAlNの割れ発生
が生起し得るからである。
【0023】 本発明に係る複合部材の製造方法におい
ては、Auからなるろう材を使用することを特徴として
いる。Auは低耐力特性を有する軟質金属であり、熱衝
撃により発生する熱応力を塑性変形により緩和するとい
った特徴を有するろう材となり得るものである。従っ
て、本発明に係る、Auからなるろう材を使用して製造
した複合部材は熱衝撃にも強く、また、熱サイクル特性
も向上している。
【0024】 このとき使用するAuからなるろう材の
量は接合部の形状等によっても異なるが、配置した活性
金属箔を覆うことができればよく、加熱により溶融させ
得る範囲内において任意に選択できることはいうまでも
ない。また、ろう材として用いる金属は、混合すること
により熱応力を塑性変形により緩和するといった特徴が
損なわれない限りにおいて、混合して使用することを何
ら妨げるものではない。
【0025】 また、第二工程において加圧加熱による
固相接合を採用することにより、金属部材の成分が接合
層に固溶することを抑止することが可能である。従っ
て、固相接合の際の加熱温度はろう材の融点よりも低い
温度で行われることが好ましく、例えば本発明の如くA
uからなるろう材を使用する場合においては、750〜
1000℃が好ましく、850〜950℃がさらに好ま
しい。このことにより、従来の製造方法である液相接合
の場合において問題となっている、接合層への金属成分
の固溶による耐力値の上昇といった現象が起こることは
ない。上述のように、本発明に係る複合部材は、第一工
程と第二工程からなる接合工程によって製造するため、
接合層を形成する、Auからなるろう材の低耐力特性が
保持され、熱サイクル及び熱衝撃に対する信頼性の向上
した複合部材を提供することが可能である。
【0026】 また、本発明の複合部材及びその製造方
法においては、セラミックス基材が窒化アルミニウム、
窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、スピネ
ル、炭化珪素のいずれかであることが好ましい。セラミ
ックス基材は、活性金属箔との加熱加工によって反応を
生ずるものであれば良く、前記各種の材質を用いること
ができる。なお、上記材質がそれそれ単独でセラミック
ス基材を構成することに限られるものではなく、上記材
質を組み合わせてセラミックス基材を構成しても構わな
い。従って、これらの材質を単独、あるいは、組み合わ
せてなるセラミックス基材を適宜選択することにより、
耐熱温や硬度等の用途に応じた複合部材、および、これ
らを組み込んだ機器類を提供することが可能である。
【0027】 さらに、本発明の複合部材及びその製造
方法においては、金属部材がNi、Co、Fe、Crの
いずれかよりなる、あるいは、Ni、Co、Fe、Cr
のいずれかを主な構成要素とする合金からなる金属部材
であることが好ましい。これらの金属、あるいは合金
は、Auからなるろう材と固相接合する際に当該ろう材
中にこれらの金属成分が固溶することはなく、従って、
Auからなるろう材の有する低耐力特性等を何ら損なう
ことはなく、熱サイクル特性や熱衝撃特性に優れた複合
部材を提供することが可能である。なお、ここでいうN
i、Co、Fe、Crのいずれかを主な構成要素とする
合金とは、Ni、Co、Fe、Crのいずれかの金属元
素の物理的特性が顕著に表れる含有率であることを指
し、Ni+Co+Fe+Crの含有率が50wt%以上
の合金を意味する。さらに、上述の金属部材は、図1に
示すような形状に限定されるものではなく、円柱状、角
柱状、尖塔状、リング状等、その他いかなる形状であっ
ても構わない。
【0028】 また、これらの金属、あるいは合金は、
大気中、800℃における耐酸化性試験においても酸化
され難く、半導体製造において使用される半導体ウエハ
ー設置用のサセプターの給電用金属端子として使用する
ために必要な耐酸化性を有していると共に、金属端子と
して使用するために必要な電気伝導性にも優れている。
従って、前記高温ヒーター用の部材を構成することがで
き、さらには、安価で入手し易い点からみても、これら
の金属は好ましい。
【0029】 なお、本発明の複合部材及びその製造方
法においては、活性金属箔がTi、Nb、Hf、Zrの
いずれかであることが好ましい。これらの活性金属箔
は、ろう材たるAuに一旦固溶したのちセラミックス基
材と窒化物等の反応生成物を形成するためにセラミック
ス基材に対するろう材の濡れ性が良好となる。また、こ
れらの活性金属の所定量を箔状にして用いることによ
り、ほぼ全て界面における反応によって消費されるた
め、金属がろう材にほとんど残存することはない。従っ
て、ろう材の耐力を低く維持してその塑性変形による緩
衝効果で被接合材の熱応力の低減を図ることができ、ま
た埋設されたMoが外気に晒されるといった不具合も解
消することができ、これらによって気密性に信頼のある
接合層を形成することができるために長期使用にも耐え
得る複合部材を提供することができる。
【0030】 なお、本発明のセラミックス基材と金属
部材を接合してなる複合部材は、その優れた熱サイクル
特性や熱衝撃耐性を生かし、半導体製造装置において半
導体ウエハーを設置するためのサセプター、より具体的
には内蔵する金属電極や金属発熱体によって静電チャッ
ク機能やヒーター機能を発揮する機器に組み込まれる複
合部材として好適に採用することができる。
【0031】
【実施例】 次に本発明の実施例について説明するが、
本発明が以下の実施例に限定されるものでないことはい
うまでもない。 (実施例1)内部にMoメッシュ(直径φ0.12mm
のMo線を1インチあたり50本の密度で編んだ金網)
及びこれに導通する電気伝導体(粒径1〜100μmの
Mo粉末を成形した成形体:直径φ3mm)を埋設した
AlN基材(直径φ200×厚さ20mm)の前記電気
伝導体の埋め込まれている部位を穿孔して該電気伝導体
を露出させ、その電気伝導体ならびにその周囲を含む表
面にTi箔(5μm)と純Auろう材(厚さ0.3m
m)を配置し、真空雰囲気下、1100℃、10min
加熱処理を行い、AlN基材上にろう付けを行った。接
合層上にNi端子(直径φ5mm)を配置し、真空雰囲
気下、870℃、30min、荷重1kgfの加圧加熱
処理による固相接合を行って、ろう材にNi端子を接合
し、計3個の試料(試料No.1〜3)を作製した。室
温付近まで徐冷した複合部材の断面構造の写真を図7、
及び接合部付近の断面構造の拡大写真を図8に示す。な
お、Ni端子を接合する際の時間を10minとする以
外は上記と同様の操作を繰り返し、計3個の試料(試料
No.4〜6)を作製した。上記の方法により作製した
本発明に係る複合部材は、図8に示すようにAlN基材
にクラックを生じることはなかった。これは、純Auろ
う材にNi、Tiが固溶することなく純Auろう材の低
耐力特性が維持され、純Auろう材とAlN基材の熱膨
張率差により発生する応力を緩衝することができたため
と考えられる。
【0032】 試料No.1〜3について、引張強度の
測定を行った。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】 試料No.4〜6について、700℃、
100サイクルの熱サイクル試験を行い、その後、引張
強度の測定を行った。結果を表2に示す。また、熱サイ
クル試験後の接合部付近の断面構造の拡大写真を図9に
示す。
【0035】
【表2】
【0036】 熱サイクル試験後も引張強度が低下する
ことがなく、またAlN基材にクラックが生ずることも
なかった(図9)。よって、本発明の複合部材の優れた
特性を確認することができた。
【0037】(比較例1)内部にMoメッシュ(直径φ
0.12mmのMo線を1インチあたり50本の密度で
編んだ金網)及びこれに導通する電気伝導体(粒径1〜
100μmのMo粉末を成形した成形体:直径φ3m
m)を埋設したAlN基材(直径φ200×厚さ20m
m)の前記電気伝導体の埋め込まれている部位を穿孔し
て該電気伝導体を露出させ、その電気伝導体ならびにそ
の周囲を含む表面にTi箔(5μm)とAu−18Ni
ろう材(厚さ0.3mm)を配置し、真空雰囲気下、1
100℃、10min加熱処理による液相接合を行って
AlN基材上にNi端子(直径φ5mm)を接合した。
室温付近まで徐冷した複合部材の、接合部付近の断面構
造の拡大写真を図10に示す。上記の方法により作製し
た複合部材は、図10に示すようにAlN基材にクラッ
クを生じた。これはAu−18Niろう材の耐力値がA
lNに比して高く、ろう材とAlN基材の熱膨張率差に
より発生する応力を緩衝することができなかったためと
考えられる。
【0038】(比較例2)内部にMoメッシュ(直径φ
0.12mmのMo線を1インチあたり50本の密度で
編んだ金網)及びこれに導通する電気伝導体(粒径1〜
100μmのMo粉末を成形した成形体:直径φ3m
m)を埋設したAlN基材(直径φ200×厚さ20m
m)の前記電気伝導体の埋め込まれている部位を穿孔し
て該電気伝導体を露出させ、その電気伝導体ならびにそ
の周囲を含む表面にTi箔(5μm)と純Auろう材
(厚さ0.3mm)及び、Ni端子(直径φ5mm)を
配置し、真空雰囲気下、1100℃、10min加熱処
理による液相接合を行ってAlN基材上にNi端子を接
合した。室温付近まで徐冷した複合部材の、接合部付近
の断面構造の拡大写真を図11に示す。なお、接合後の
ろう材層を一部採取して組成分析を行ったところ、Au
−43.4wt%Niであり、純Auろう材にNiが固
溶していることを確認した。上記の方法により作製した
複合部材は、図11に示すようにAlN基材にクラック
を生じた。これは純Auろう材にNi、Tiが固溶して
純Auろう材の耐力値が上昇し、純Auろう材とAlN
基材の熱膨張率差により発生する応力を緩衝することが
できなかったためと考えられる。
【0039】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の複合部
材は接合層としてAuからなるろう材を有し、また、接
合層と金属部材が固相接合によって接合されていること
から、熱サイクル特性や熱衝撃特性に優れている。さら
に、本発明の複合部材の製造方法は、所定の工程によっ
て上述した特性を有する複合部材を簡便に製造すること
のできる優れた製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る複合部材の製造方法の一実施態
様を示す模式図であり、(a)は第一工程、(b)は第
二工程を示す模式図である。
【図2】 本発明に係る複合部材の製造方法の他の実施
態様を示す模式図であり、(a)は第一工程、(b)は
第二工程を示す模式図である。
【図3】 半導体ウエハーを設置するためのサセプター
(従来品)の、接合構造の一例を示す断面図である。
【図4】 半導体ウエハーを設置するためのサセプター
(従来品)の、接合構造の別の例を示す断面図である。
【図5】 リングとサセプタ−との接合形態(従来品)
の一例を示す部分断面図である。
【図6】 リングとサセプタ−との接合形態(従来品)
の別の例を示す部分断面図である。
【図7】 実施例1により作製した複合部材の断面構造
である金属組織及びセラミック材料の組織の写真であ
る。
【図8】 実施例1により作製した複合部材の、接合部
付近の断面構造である金属組織及びセラミック材料の組
織の拡大写真である。
【図9】 実施例1により作製した複合部材の、熱サイ
クル試験後の接合部付近の断面構造である金属組織及び
セラミック材料の組織の拡大写真である。
【図10】 比較例1により作製した複合部材の、接合
部付近の断面構造である金属組織及びセラミック材料の
組織の拡大写真である。
【図11】 比較例2により作製した複合部材の、接合
部付近の断面構造である金属組織及びセラミック材料の
組織の拡大写真である。
【符号の説明】
1…セラミックス基材、2…Moメッシュ、3…電気伝
導体(Mo)、4…活性金属箔、5…ろう材、6…接合
層、7…金属部材、8…金属端子、9…雰囲気保護体、
14…孔、15…低熱膨張体、16…電力供給用コネク
ター、17…金属部材、20…半導体収容容器、21…
チャンバー、22…サセプター、22a…ウエハー設置
面、22b…サセプタ−の背面、23…耐蝕性金属製リ
ング、24…ウエハー、25…サセプタ−とリングとの
設置面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 20/00 310 B23K 20/00 310L 310N // B23K 101:40 101:40 103:16 103:16

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基材と金属部材を接合して
    なる複合部材であって、 該セラミックス基材の表面に活性金属箔、及び該活性金
    属箔上にAuからなるろう材が配置され、該活性金属箔
    及びろう材が加熱されて接合層が形成され、 該接合層の表面に前記金属部材が配置されて加圧加熱さ
    れ、該接合層と前記金属部材とが固相接合されてなるこ
    とを特徴とする複合部材。
  2. 【請求項2】 該セラミックス基材に、Mo、W、もし
    くはMoとWの合金からなる電気伝導体が、該電気伝導
    体の表面の一部が該セラミックス基材の外部に露出した
    状態で埋設されている請求項1記載の複合部材。
  3. 【請求項3】 セラミックス基材が窒化アルミニウム、
    窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、スピネ
    ル、炭化珪素のいずれかである請求項1又は2記載の複
    合部材。
  4. 【請求項4】 金属部材がNi、Co、Fe、Crのい
    ずれかよりなる金属部材である請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の複合部材。
  5. 【請求項5】 金属部材がNi、Co、Fe、Crのい
    ずれかを主な構成要素とする合金からなる金属部材であ
    る請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合部材。
  6. 【請求項6】 活性金属箔がTi、Nb、Hf、Zrの
    いずれかである請求項1〜5のいずれか一項に記載の複
    合部材。
  7. 【請求項7】 半導体ウエハーを設置するためのサセプ
    ターに用いられる請求項1〜6のいずれか一項に記載の
    複合部材。
  8. 【請求項8】 セラミックス基材と金属部材を接合する
    複合部材であって、 該セラミックス基材の表面に活性金属箔と、該活性金属
    箔上にAuからなるろう材を配置して加熱し、該セラミ
    ックス基材の表面に該ろう材からなる接合層を形成する
    第一工程を備え、 該接合層の表面に該金属部材を配置して加圧加熱し、該
    接合層と該金属部材を固相接合する第二工程を備えてい
    ることを特徴とする複合部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 該セラミックス基材に、Mo、W、もし
    くはMoとWの合金からなる電気伝導体が、該電気伝導
    体の表面の一部が該セラミックス基材の外部に露出した
    状態で埋設されている請求項8記載の複合部材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 セラミックス基材が窒化アルミニウ
    ム、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ス
    ピネル、炭化珪素のいずれかである請求項8又は9記載
    の複合部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属部材がNi、Co、Fe、Crの
    いずれかよりなる金属部材である請求項8〜10のいず
    れか一項に記載の複合部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 金属部材がNi、Co、Fe、Crの
    いずれかを主な構成要素とする合金からなる金属部材で
    ある請求項8〜10のいずれか一項に記載の複合部材の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 活性金属箔がTi、Nb、Hf、Zr
    のいずれかである請求項8〜12のいずれか一項に記載
    の複合部材の製造方法。
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