JP2004134703A - 端子付き回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】通電容量が大きく基板の割れが少なく、信頼性および耐久性に優れ、高出力・高容量の半導体モジュールの組立工程を簡略化でき大電力用パワーデバイス用回路基板として好適な端子付き回路基板を提供する。
【解決手段】窒化珪素セラミックスを主成分とするセラミックス基板12の少なくとも一方の表面に金属回路板3,4を接合し、この金属回路板3の表面にさらに外部端子17をろう付けにより一体に接合した端子付き回路基板11であり、上記ろう付けにより接合される外部端子17の接合部の厚さが3mm以上であることを特徴とする端子付き回路基板11である。
【選択図】 図1
【解決手段】窒化珪素セラミックスを主成分とするセラミックス基板12の少なくとも一方の表面に金属回路板3,4を接合し、この金属回路板3の表面にさらに外部端子17をろう付けにより一体に接合した端子付き回路基板11であり、上記ろう付けにより接合される外部端子17の接合部の厚さが3mm以上であることを特徴とする端子付き回路基板11である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は端子付き回路基板に係り、特に通電容量が大きく基板の割れが少なく、信頼性および耐久性に優れ、高出力・高容量の半導体モジュールの組立工程を簡略化でき大電力用パワーデバイス用回路基板として好適な端子付き回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、所定の配線パターン形状に形成した金属回路板をセラミックス基板上に直接接合したり、活性金属を含有するろう材層を介してセラミックス基板上に一体に接合したセラミックス回路基板またはセラミックス基板表面に一体に接合した金属板をエッチングによりパターニングして形成したセラミックス回路基板が各種電子機器や半導体装置に広く使用されている。
【0003】
特に発熱量が大きい高出力半導体素子を搭載する大電力パワートランジスタに用いられるセラミックス回路基板においては、回路基板全体の放熱性を良好にするため、セラミックス基板として高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム(AlN)基板を用いる一方、金属回路板としては同じく高い通電容量と熱伝導率とを有する銅(Cu)などの金属板が使用されている。
【0004】
図2は従来のセラミックス回路基板の構成例を示す断面図である。このセラミックス回路基板1は、例えばAl2O3やAlNなどのセラミックス焼結体から成るセラミックス基板2表面に銅などから成る金属回路板3等を直接配置した状態で加熱し、加熱によって発生する金属成分と酸素との共晶化合物を接合材としてセラミックス基板2表面に銅などの金属板を直接強固に接合するDBC法(ダイレクトボンディングカッパー法)やAg−Cu−Ti系ペーストなど活性金属を含有した接合用ろう材を介してセラミックス基板2と金属回路板3とを一体に接合する活性金属法などによって製造されていた。
【0005】
またセラミックス基板2の裏面には、基板2表面側の金属回路板3とセラミックス基板2との熱膨張差による反りを防止する等のために、裏金属板(裏銅板)4が一体に接合されている。さらに、表面側の金属回路板3の所定位置に、Pb−Sn系半田から成る接合材層5を介して半導体素子(Siチップ)6が接合される。また、回路基板1から電力を導出するための外部端子(電力端子)7が、同じくPb−Sn系半田から成る接合材層5を介して金属回路板3に接合される。
【0006】
特に上記セラミックス回路基板を大電力パワーデバイス用半導体回路基板として利用する場合、回路基板から外部へ大電力を取り出す必要があることから、通電容量が大きい太い端子もしくは小容量であれば多数の外部端子を回路基板に取付けてパワーモジュールとする必要がある。この場合、モジュール作製時に半田付けにて外部端子を接合する方法もしくはAl太線から成るのワイヤボンディングを多数配線する方法を用いることにより、回路基板の必要電力に対応した通電容量を有する電力端子を形成する方式が一般的に採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半田付けにより外部端子を接続する構成では、半導体素子(Siチップ)が搭載された状態で、半田溶融のための加熱接合操作が実施されるため、半導体素子に作用する熱履歴が問題になり易く品質上の欠陥を生じ易い。また、Ag−Cu系のろう材と比較して接合温度が低い低融点のPb−Sn系半田を接合材として使用した場合には、半導体素子に対する熱影響が相対的に少ない利点がある反面、半田自体が脆性を有するため経時的に接合強度が低下しやすく,回路基板としての信頼性が低くなるという問題点があった。
【0008】
また、窒化アルミニウム(AlN)基板のように脆弱なセラミックス基板に接合した金属回路板表面に、断面積が大きく通電容量が高い外部端子を接合した場合には、繰返して作用する熱応力によってセラミックス基板に割れが発生し易く、回路基板としての信頼性および耐久性が低下し易いという問題点もある。
【0009】
さらに、回路基板から外部に大電力を取り出すための電力端子として多数のワイヤボンディングを打設する場合には回路基板上に広面積のボンディングスペースを確保する必要があるためモジュールが必然的に大きくなり、このモジュールを使用した半導体装置の小型化が困難になるという問題点もあった。さらに、ボンディング操作そのものも多数回に及ぶため、モジュールへの加工時間および製造コストが増大化する問題点もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するために成されたものであり、特に通電容量が大きく基板の割れが少なく、信頼性および耐久性に優れ、高出力・高容量の半導体モジュールの組立工程を簡略化でき大電力用パワーデバイス用回路基板として好適な端子付き回路基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために、通電容量が大きい大型の外部端子を安定した状態で接合できる構造について鋭意検討した。その結果、特に構造強度および靭性値に優れた窒化けい素(Si3O4)基板に金属回路板を接合し、さらにこの金属回路板の表面に外部端子をろう付けにより接合したときに、外部端子が大型のものであっても、熱応力によるセラミックス基板の割れや損傷が少なく、通電容量が大きく信頼性および耐久性に優れ、モジュールの組立工程を簡略化できる端子付きセラミックス回路基板が初めて得られるという知見を得た。
【0012】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち本発明に係る端子付き回路基板は、窒化珪素セラミックスを主成分とするセラミックス基板の少なくとも一方の表面に金属回路板を接合し、この金属回路板表面にさらに外部端子をろう付けにより一体に接合した端子付き回路基板であり、上記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが3mm以上であることを特徴とする。
【0013】
また上記端子付き回路基板において、前記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが5mm以上であることが、回路基板の通電容量を高める上で好ましい。
【0014】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を接合するろう材が、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有するAg−Cu共晶組成を有することが、接合強度をさらに高めて回路基板の耐久性を改善する上で好ましい。
【0015】
また上記端子付き回路基板において、前記セラミックス基板を構成する窒化珪素セラミックスの熱伝導率が60W/m・K以上であることが、回路基板の放熱性を高め、半導体装置の高容量化および高出力化に対応させる上で好ましい。
【0016】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を金属回路板表面に接合した後に、外部端子表面にめっき層を形成して保護することにより、外部端子の耐食性を高めることができ、端子付き回路基板の耐久性を高める上で好ましい。
【0017】
また上記端子付き回路基板において、前記金属回路板の厚さを0.2mm以上とすることにより、金属回路板の通電容量をより高めることが可能になるため好ましい。
【0018】
本発明の端子付き回路基板を構成するセラミックス基板としては、特に大型の外部端子をろう付けにより強固に接合した場合においても、われや損傷を生じることがなく熱応力に十分耐える構造強度や破壊靭性値を有する窒化けい素セラミックスを主成分とする焼結体から成るセラミックス基板が使用される。特に窒化けい素(Si3N4)焼結体は他のセラミックス焼結体と比較して本来的に高い曲げ強度を有し、また熱抵抗を減少させるために薄く形成することが可能であるため、本発明の端子付き回路基板の構成材料として好適である。
【0019】
具体的には、本出願人に係る先行出願である特開2000−34172号公報に記載されているような、3点曲げ強度が650MPa以上、破壊靭性値が6.0MN/m3/2以上であり、1.5体積%以下の気孔率および60W/m・K以上の高熱伝導性を有し、粒界相の少なくとも一部を結晶化させた高熱伝導性窒化けい素焼結体から成る窒化けい素基板を使用することが好適である。
【0020】
上記高強度高熱伝導性窒化けい素焼結体は、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5質量%,Mgを酸化物に換算して0.3〜3.0質量%,不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.3質量%以下含有し、窒化けい素結晶および粒界相から成るとともに粒界相中における結晶化合物相の粒界相全体に対する割合が20%以上であるように構成される。
【0021】
さらに上記高強度高熱伝導性窒化けい素焼結体は以下のような製造方法により調製される。すなわち、酸素を1.7質量%以下、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.3質量%以下、α相型窒化けい素を90質量%以上含有し、平均粒径1.0μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5質量%,Mgを酸化物に換算して0.3〜3.0質量%と、必要に応じてCaおよびSrの少なくとも一方を酸化物に換算して1.5質量%以下添加した原料混合体を成形して成形体を調製し、得られた成形体を脱脂後、温度1700〜1900℃で常圧焼結または雰囲気加圧焼結し、上記焼結温度から、上記希土類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷することにより製造される。
【0022】
上記製造方法において使用され、焼結体の主成分となる窒化けい素粉末としては、焼結性、強度および熱伝導率を考慮して、酸素含有量が1.7質量%以下、好ましくは0.5〜1.5質量%、Al,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bなどの不純物陽イオン元素含有量が合計で0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下に抑制されたα相型窒化けい素を90質量%以上、好ましくは93質量%以上含有し、平均粒径が1.0μm以下、好ましくは0.4〜0.8μm程度の微細な窒化けい素粉末を使用することができる。
【0023】
平均粒径が1.0μm以下の微細な原料粉末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気孔率が2.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれも減少する。
【0024】
またAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bの不純物陽イオン元素も熱伝導性を阻害する物質となるため、60W/m・K以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.3質量%以下とすることにより達成可能である。特に同様の理由により、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.2質量%以下とすることが、さらに好ましい。ここで通常の窒化けい素焼結体を得るために使用される窒化けい素粉末には、特にFe,Alが比較的に多く含有されているため、Fe,Alの合計量が上記不純物陽イオン元素の合計含有量の目安となる。
【0025】
さらに、β相型と比較して焼結性に優れたα相型窒化けい素を90質量%以上含有する窒化けい素原料粉末を使用することにより、高密度の焼結体を製造することができる。
【0026】
特に上記セラミックス基板を構成する窒化珪素セラミックスの熱伝導率を60W/m・K以上とすることにより、回路基板の放熱性を高めることが可能になり、回路基板を使用した半導体装置の高容量化および高出力化に十分に対応させることが可能になる。
【0027】
また金属回路板および外部端子を構成する金属としては、特に限定されないが銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの電気伝導性を有するに金属材料が使用される。特に電気伝導性および熱伝導率(放熱性)を高める観点から銅(Cu)から成る金属回路板が好適に使用できる。
【0028】
上記金属回路板は、特に高い接合強度を実現するために、前記活性金属法やDBC法などの接合方法によって窒化けい素セラミックス基板表面に接合することが望ましい。そして、接合した金属回路板の所定位置に、活性金属法に準拠したろう付けにより接合材層を形成して外部端子を接合することにより、本発明に係る端子付き回路基板が調製される。
【0029】
また上記金属回路板の厚さを0.2mm以上とすることにより、回路基板の通電容量をさらに高めることが可能になり、より高出力化に対応した端子付き回路基板が得られる。
【0030】
本発明に係る端子付き回路基板において、上記金属回路板を接合するための接合材層を構成するろう材は、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有するAg−Cu共晶組成(おおよそ72%Ag−28%Cu)を有することが好ましい。上記接合材層は、このろう材組成物を有機溶媒中に分散して調製した接合用組成物ペーストをセラミックス基板表面にスクリーン印刷する等の方法で形成される。
【0031】
上記接合用組成物ペーストの具体例としては、質量%でCuを15〜35%、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有し、残部が実質的にAgから成る組成物を有機溶媒中に分散して調製した接合用組成物ペーストを使用すると良い。また、錫(Sn)等を10〜15質量%含有させた組成でも良い。上記活性金属はセラミックス基板に対するろう材の濡れ性を改善して高い接合強度を実現するための成分であり、特に窒化けい素基板に対して有効である。上記活性金属の含有量が5質量%を超えるように過量に添加しても上記改善効果の増加は少ない。
【0032】
上記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上とすることにより、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い回路基板が得られる。特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた回路基板が得られる。
【0033】
また本発明に係る端子付き回路基板において、前記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを5mm以上とすることにより、さらに通電容量を高めることが可能になり、より高出力化に対応した端子付き回路基板が得られる。
【0034】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を金属回路板表面に接合した後に、外部端子表面にめっき層を形成して保護することにより、外部端子の耐食性を高めることができ、端子付き回路基板の耐久性を高める上で好ましい。ここで上記めっき層としては、ニッケル(Ni)や金(Au)から成るめっき層を1〜5μm程度の厚さで形成することが望ましい。
【0035】
なお、上記外部端子を金属回路板表面に接合する前にめっき層を形成した場合には、接合界面においてろう材が十分に付かないことがあり、外部端子の接合強度が大幅に低下する危険性がある。そのため上記外部端子にめっき層を形成して保護する場合には、外部端子を金属回路板表面に接合した後にめっき処理を実施することが好ましい。
【0036】
上記構成に係る端子付き回路基板によれば、特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し金属回路基板上にろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上としているため、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い端子付き回路基板が得られる。換言すれば、構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板が得られる。
【0037】
すなわち、セラミックス基板として窒化珪素を用いており、この窒化珪素はセラミックス自身の機械的特性に優れており、高いろう付け温度に起因する熱応力に対しても十分な耐性を有し、さらには大型の電力導出用の外部端子を接合した際の接合界面の応力にも耐え得ることが可能であり、耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板を実現することができる。
【0038】
また、予め回路基板に外部端子(電力端子)が接合されているため、この回路基板を使用するモジュールの組立工程が簡略化され、さらには外部端子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る端子付き回路基板の実施形態について以下の実施例および添付図面を参照して具体的に説明する。
【0040】
【実施例1〜5】
表1に示すように、60〜90W/m・Kの熱伝導率と厚さとを有する窒化珪素焼結体から成る各種セラミックス基板の表面側に、表1に示す接合材組成を有するろう材を使用した活性金属法により、表1に示す厚さを有するCu回路板を金属回路板として一体に接合する一方、各セラミックス基板の裏面側に、厚さ0.2mmのCu板を裏金属板として一体に接合した。なお、上記活性金属法による接合時の加熱温度は750〜800℃とした。
【0041】
一方、表1に示す材質(Cu)から成り、上記窒化けい素基板上の金属回路板に対する接合部の厚さT(図1参照)がそれぞれ表1に示す値であり、幅が10mmであるL字型の側面形状を有する外部端子をそれぞれ調製した。
【0042】
次に、上記のように調製した各外部端子を、それぞれ組成が60%Ag−10%Sn−30%CuであるBAG18ろう材箔を介装した状態で金属回路板の所定位置に当接し温度750℃に加熱することにより、各Cu製のL字状外部端子を金属回路板表面に接合して、各実施例に係る端子付き回路基板を多数製造した。
【0043】
各実施例に係る端子付き回路基板11は、図1に示すように、窒化けい素基板12の表面側にCuから成る金属回路板3がAg−Cu系ろう材から成る活性金属接合材層を介して一体に接合される一方、裏面側にCuから成る裏金属板4が同じく活性金属接合材層を介して一体に接合されており、さらに、金属回路板3の所定位置にBAG18ろう材から成る接合材層15を介して外部端子17が強固に接合された構造を有する。
【0044】
【比較例1〜6】
一方、比較例として表1に示すような熱伝導率と厚さとを有する窒化アルミニウム(AlN)焼結体またはアルミナ(Al2O3)から成るセラミックス基板の表面側に、実施例1〜5と同様に活性金属法により、表1に示す厚さを有するCu回路板を金属回路板として一体に接合する一方、各セラミックス基板の裏面側に、厚さ0.2mmのCu板を裏金属板として一体に接合した。なお、上記活性金属法による接合時の加熱温度は750〜800℃とした。
【0045】
一方、表1に示す材質(Cu)から成り、上記各セラミックス基板上の金属回路板に対する接合部の厚さT(図1参照)がそれぞれ表1に示す値であり、幅が10mmであるL字型の側面形状を有する外部端子をそれぞれ調製した。
【0046】
次に、上記のように調製した各外部端子を、組成がPb−50%SnであるPb−Sn共晶半田を用い温度400℃に加熱することにより、各Cu製のL字状外部端子を金属回路板表面に接合して、各比較例に係る端子付き回路基板を多数製造した。
【0047】
上記のように調製した各実施例および比較例に係る端子付き回路基板について、その耐久性および信頼性を評価するために下記のような耐熱サイクル試験(ヒートサイクル試験:TCT)を実施し、各回路基板におけるクラック発生状況を比較調査した。耐熱サイクル試験は、温度−40℃から+125℃までの範囲で加熱し、引き続いて温度+125℃から−40℃まで冷却するまでを1サイクルとする昇温−降温サイクルを300サイクル以上繰返して付加するものとした。そして300サイクル経過後において、セラミックス基板に割れ・損傷を生じた欠陥数や金属回路板に剥離等の欠陥を生じた割合を測定して、下記表1に示す測定結果を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1に示す結果から明らかなように、セラミック基板として構造強度に優れた窒化けい素基板の金属回路板にろう付けによって外部端子を接合した各実施例に係る端子付き回路基板においては、300サイクルの耐熱サイクル試験を実施した後においても、窒化けい素基板の割れ・損傷が皆無であり、優れた耐久性と信頼性とを有することが確認できた。
【0050】
一方、従来の窒化アルミニウム(AlN)焼結体またはアルミナ(Al2O3)から成るセラミックス基板を用い、さらにPb−Sn共晶半田を用いて外部端子を金属回路板表面に接合した各比較例に係る端子付き回路基板においては、繰り返しの熱応力によってセラミックス基板の接合部や半田接合部で破壊を生じ、回路基板としての耐久性および信頼性が低いことが再確認された。
【0051】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る端子付き回路基板によれば、特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し金属回路基板上にろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上としているため、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い端子付き回路基板が得られる。換言すれば、構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板が得られる。
【0052】
すなわち、セラミックス基板として窒化珪素を用いており、この窒化珪素はセラミックス自身の機械的特性に優れており、高いろう付け温度に起因する熱応力に対しても十分な耐性を有し、さらには大型の電力導出用の外部端子を接合した際の接合界面の応力にも耐え得ることが可能であり、耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板を実現することができる。
【0053】
また、予め回路基板に外部端子(電力端子)が接合されているため、この回路基板を使用する大電力パワーモジュールの組立工程が簡略化され、さらには外部端子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端子付き回路基板の一実施例の構成を示す断面図。
【図2】従来のセラミックス回路基板を使用したモジュールの構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1 セラミックス回路基板
2 セラミックス基板(AlN基板、Al2O3基板)
3 金属回路板(Cu回路板)
4 裏金属板(裏銅板)
5 接合材層(Pb−Sn系半田)
6 半導体素子(Siチップ)
7 外部端子(電力端子)
11 端子付き回路基板
12 窒化けい素基板(Si3N4基板)
15 接合材層(BAG18ろう材層)
17 外部端子(電力端子)
【発明の属する技術分野】
本発明は端子付き回路基板に係り、特に通電容量が大きく基板の割れが少なく、信頼性および耐久性に優れ、高出力・高容量の半導体モジュールの組立工程を簡略化でき大電力用パワーデバイス用回路基板として好適な端子付き回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、所定の配線パターン形状に形成した金属回路板をセラミックス基板上に直接接合したり、活性金属を含有するろう材層を介してセラミックス基板上に一体に接合したセラミックス回路基板またはセラミックス基板表面に一体に接合した金属板をエッチングによりパターニングして形成したセラミックス回路基板が各種電子機器や半導体装置に広く使用されている。
【0003】
特に発熱量が大きい高出力半導体素子を搭載する大電力パワートランジスタに用いられるセラミックス回路基板においては、回路基板全体の放熱性を良好にするため、セラミックス基板として高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム(AlN)基板を用いる一方、金属回路板としては同じく高い通電容量と熱伝導率とを有する銅(Cu)などの金属板が使用されている。
【0004】
図2は従来のセラミックス回路基板の構成例を示す断面図である。このセラミックス回路基板1は、例えばAl2O3やAlNなどのセラミックス焼結体から成るセラミックス基板2表面に銅などから成る金属回路板3等を直接配置した状態で加熱し、加熱によって発生する金属成分と酸素との共晶化合物を接合材としてセラミックス基板2表面に銅などの金属板を直接強固に接合するDBC法(ダイレクトボンディングカッパー法)やAg−Cu−Ti系ペーストなど活性金属を含有した接合用ろう材を介してセラミックス基板2と金属回路板3とを一体に接合する活性金属法などによって製造されていた。
【0005】
またセラミックス基板2の裏面には、基板2表面側の金属回路板3とセラミックス基板2との熱膨張差による反りを防止する等のために、裏金属板(裏銅板)4が一体に接合されている。さらに、表面側の金属回路板3の所定位置に、Pb−Sn系半田から成る接合材層5を介して半導体素子(Siチップ)6が接合される。また、回路基板1から電力を導出するための外部端子(電力端子)7が、同じくPb−Sn系半田から成る接合材層5を介して金属回路板3に接合される。
【0006】
特に上記セラミックス回路基板を大電力パワーデバイス用半導体回路基板として利用する場合、回路基板から外部へ大電力を取り出す必要があることから、通電容量が大きい太い端子もしくは小容量であれば多数の外部端子を回路基板に取付けてパワーモジュールとする必要がある。この場合、モジュール作製時に半田付けにて外部端子を接合する方法もしくはAl太線から成るのワイヤボンディングを多数配線する方法を用いることにより、回路基板の必要電力に対応した通電容量を有する電力端子を形成する方式が一般的に採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半田付けにより外部端子を接続する構成では、半導体素子(Siチップ)が搭載された状態で、半田溶融のための加熱接合操作が実施されるため、半導体素子に作用する熱履歴が問題になり易く品質上の欠陥を生じ易い。また、Ag−Cu系のろう材と比較して接合温度が低い低融点のPb−Sn系半田を接合材として使用した場合には、半導体素子に対する熱影響が相対的に少ない利点がある反面、半田自体が脆性を有するため経時的に接合強度が低下しやすく,回路基板としての信頼性が低くなるという問題点があった。
【0008】
また、窒化アルミニウム(AlN)基板のように脆弱なセラミックス基板に接合した金属回路板表面に、断面積が大きく通電容量が高い外部端子を接合した場合には、繰返して作用する熱応力によってセラミックス基板に割れが発生し易く、回路基板としての信頼性および耐久性が低下し易いという問題点もある。
【0009】
さらに、回路基板から外部に大電力を取り出すための電力端子として多数のワイヤボンディングを打設する場合には回路基板上に広面積のボンディングスペースを確保する必要があるためモジュールが必然的に大きくなり、このモジュールを使用した半導体装置の小型化が困難になるという問題点もあった。さらに、ボンディング操作そのものも多数回に及ぶため、モジュールへの加工時間および製造コストが増大化する問題点もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するために成されたものであり、特に通電容量が大きく基板の割れが少なく、信頼性および耐久性に優れ、高出力・高容量の半導体モジュールの組立工程を簡略化でき大電力用パワーデバイス用回路基板として好適な端子付き回路基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために、通電容量が大きい大型の外部端子を安定した状態で接合できる構造について鋭意検討した。その結果、特に構造強度および靭性値に優れた窒化けい素(Si3O4)基板に金属回路板を接合し、さらにこの金属回路板の表面に外部端子をろう付けにより接合したときに、外部端子が大型のものであっても、熱応力によるセラミックス基板の割れや損傷が少なく、通電容量が大きく信頼性および耐久性に優れ、モジュールの組立工程を簡略化できる端子付きセラミックス回路基板が初めて得られるという知見を得た。
【0012】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち本発明に係る端子付き回路基板は、窒化珪素セラミックスを主成分とするセラミックス基板の少なくとも一方の表面に金属回路板を接合し、この金属回路板表面にさらに外部端子をろう付けにより一体に接合した端子付き回路基板であり、上記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが3mm以上であることを特徴とする。
【0013】
また上記端子付き回路基板において、前記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが5mm以上であることが、回路基板の通電容量を高める上で好ましい。
【0014】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を接合するろう材が、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有するAg−Cu共晶組成を有することが、接合強度をさらに高めて回路基板の耐久性を改善する上で好ましい。
【0015】
また上記端子付き回路基板において、前記セラミックス基板を構成する窒化珪素セラミックスの熱伝導率が60W/m・K以上であることが、回路基板の放熱性を高め、半導体装置の高容量化および高出力化に対応させる上で好ましい。
【0016】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を金属回路板表面に接合した後に、外部端子表面にめっき層を形成して保護することにより、外部端子の耐食性を高めることができ、端子付き回路基板の耐久性を高める上で好ましい。
【0017】
また上記端子付き回路基板において、前記金属回路板の厚さを0.2mm以上とすることにより、金属回路板の通電容量をより高めることが可能になるため好ましい。
【0018】
本発明の端子付き回路基板を構成するセラミックス基板としては、特に大型の外部端子をろう付けにより強固に接合した場合においても、われや損傷を生じることがなく熱応力に十分耐える構造強度や破壊靭性値を有する窒化けい素セラミックスを主成分とする焼結体から成るセラミックス基板が使用される。特に窒化けい素(Si3N4)焼結体は他のセラミックス焼結体と比較して本来的に高い曲げ強度を有し、また熱抵抗を減少させるために薄く形成することが可能であるため、本発明の端子付き回路基板の構成材料として好適である。
【0019】
具体的には、本出願人に係る先行出願である特開2000−34172号公報に記載されているような、3点曲げ強度が650MPa以上、破壊靭性値が6.0MN/m3/2以上であり、1.5体積%以下の気孔率および60W/m・K以上の高熱伝導性を有し、粒界相の少なくとも一部を結晶化させた高熱伝導性窒化けい素焼結体から成る窒化けい素基板を使用することが好適である。
【0020】
上記高強度高熱伝導性窒化けい素焼結体は、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5質量%,Mgを酸化物に換算して0.3〜3.0質量%,不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.3質量%以下含有し、窒化けい素結晶および粒界相から成るとともに粒界相中における結晶化合物相の粒界相全体に対する割合が20%以上であるように構成される。
【0021】
さらに上記高強度高熱伝導性窒化けい素焼結体は以下のような製造方法により調製される。すなわち、酸素を1.7質量%以下、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.3質量%以下、α相型窒化けい素を90質量%以上含有し、平均粒径1.0μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5質量%,Mgを酸化物に換算して0.3〜3.0質量%と、必要に応じてCaおよびSrの少なくとも一方を酸化物に換算して1.5質量%以下添加した原料混合体を成形して成形体を調製し、得られた成形体を脱脂後、温度1700〜1900℃で常圧焼結または雰囲気加圧焼結し、上記焼結温度から、上記希土類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷することにより製造される。
【0022】
上記製造方法において使用され、焼結体の主成分となる窒化けい素粉末としては、焼結性、強度および熱伝導率を考慮して、酸素含有量が1.7質量%以下、好ましくは0.5〜1.5質量%、Al,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bなどの不純物陽イオン元素含有量が合計で0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下に抑制されたα相型窒化けい素を90質量%以上、好ましくは93質量%以上含有し、平均粒径が1.0μm以下、好ましくは0.4〜0.8μm程度の微細な窒化けい素粉末を使用することができる。
【0023】
平均粒径が1.0μm以下の微細な原料粉末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気孔率が2.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれも減少する。
【0024】
またAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bの不純物陽イオン元素も熱伝導性を阻害する物質となるため、60W/m・K以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.3質量%以下とすることにより達成可能である。特に同様の理由により、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.2質量%以下とすることが、さらに好ましい。ここで通常の窒化けい素焼結体を得るために使用される窒化けい素粉末には、特にFe,Alが比較的に多く含有されているため、Fe,Alの合計量が上記不純物陽イオン元素の合計含有量の目安となる。
【0025】
さらに、β相型と比較して焼結性に優れたα相型窒化けい素を90質量%以上含有する窒化けい素原料粉末を使用することにより、高密度の焼結体を製造することができる。
【0026】
特に上記セラミックス基板を構成する窒化珪素セラミックスの熱伝導率を60W/m・K以上とすることにより、回路基板の放熱性を高めることが可能になり、回路基板を使用した半導体装置の高容量化および高出力化に十分に対応させることが可能になる。
【0027】
また金属回路板および外部端子を構成する金属としては、特に限定されないが銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの電気伝導性を有するに金属材料が使用される。特に電気伝導性および熱伝導率(放熱性)を高める観点から銅(Cu)から成る金属回路板が好適に使用できる。
【0028】
上記金属回路板は、特に高い接合強度を実現するために、前記活性金属法やDBC法などの接合方法によって窒化けい素セラミックス基板表面に接合することが望ましい。そして、接合した金属回路板の所定位置に、活性金属法に準拠したろう付けにより接合材層を形成して外部端子を接合することにより、本発明に係る端子付き回路基板が調製される。
【0029】
また上記金属回路板の厚さを0.2mm以上とすることにより、回路基板の通電容量をさらに高めることが可能になり、より高出力化に対応した端子付き回路基板が得られる。
【0030】
本発明に係る端子付き回路基板において、上記金属回路板を接合するための接合材層を構成するろう材は、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有するAg−Cu共晶組成(おおよそ72%Ag−28%Cu)を有することが好ましい。上記接合材層は、このろう材組成物を有機溶媒中に分散して調製した接合用組成物ペーストをセラミックス基板表面にスクリーン印刷する等の方法で形成される。
【0031】
上記接合用組成物ペーストの具体例としては、質量%でCuを15〜35%、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有し、残部が実質的にAgから成る組成物を有機溶媒中に分散して調製した接合用組成物ペーストを使用すると良い。また、錫(Sn)等を10〜15質量%含有させた組成でも良い。上記活性金属はセラミックス基板に対するろう材の濡れ性を改善して高い接合強度を実現するための成分であり、特に窒化けい素基板に対して有効である。上記活性金属の含有量が5質量%を超えるように過量に添加しても上記改善効果の増加は少ない。
【0032】
上記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上とすることにより、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い回路基板が得られる。特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた回路基板が得られる。
【0033】
また本発明に係る端子付き回路基板において、前記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを5mm以上とすることにより、さらに通電容量を高めることが可能になり、より高出力化に対応した端子付き回路基板が得られる。
【0034】
さらに上記端子付き回路基板において、前記外部端子を金属回路板表面に接合した後に、外部端子表面にめっき層を形成して保護することにより、外部端子の耐食性を高めることができ、端子付き回路基板の耐久性を高める上で好ましい。ここで上記めっき層としては、ニッケル(Ni)や金(Au)から成るめっき層を1〜5μm程度の厚さで形成することが望ましい。
【0035】
なお、上記外部端子を金属回路板表面に接合する前にめっき層を形成した場合には、接合界面においてろう材が十分に付かないことがあり、外部端子の接合強度が大幅に低下する危険性がある。そのため上記外部端子にめっき層を形成して保護する場合には、外部端子を金属回路板表面に接合した後にめっき処理を実施することが好ましい。
【0036】
上記構成に係る端子付き回路基板によれば、特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し金属回路基板上にろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上としているため、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い端子付き回路基板が得られる。換言すれば、構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板が得られる。
【0037】
すなわち、セラミックス基板として窒化珪素を用いており、この窒化珪素はセラミックス自身の機械的特性に優れており、高いろう付け温度に起因する熱応力に対しても十分な耐性を有し、さらには大型の電力導出用の外部端子を接合した際の接合界面の応力にも耐え得ることが可能であり、耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板を実現することができる。
【0038】
また、予め回路基板に外部端子(電力端子)が接合されているため、この回路基板を使用するモジュールの組立工程が簡略化され、さらには外部端子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る端子付き回路基板の実施形態について以下の実施例および添付図面を参照して具体的に説明する。
【0040】
【実施例1〜5】
表1に示すように、60〜90W/m・Kの熱伝導率と厚さとを有する窒化珪素焼結体から成る各種セラミックス基板の表面側に、表1に示す接合材組成を有するろう材を使用した活性金属法により、表1に示す厚さを有するCu回路板を金属回路板として一体に接合する一方、各セラミックス基板の裏面側に、厚さ0.2mmのCu板を裏金属板として一体に接合した。なお、上記活性金属法による接合時の加熱温度は750〜800℃とした。
【0041】
一方、表1に示す材質(Cu)から成り、上記窒化けい素基板上の金属回路板に対する接合部の厚さT(図1参照)がそれぞれ表1に示す値であり、幅が10mmであるL字型の側面形状を有する外部端子をそれぞれ調製した。
【0042】
次に、上記のように調製した各外部端子を、それぞれ組成が60%Ag−10%Sn−30%CuであるBAG18ろう材箔を介装した状態で金属回路板の所定位置に当接し温度750℃に加熱することにより、各Cu製のL字状外部端子を金属回路板表面に接合して、各実施例に係る端子付き回路基板を多数製造した。
【0043】
各実施例に係る端子付き回路基板11は、図1に示すように、窒化けい素基板12の表面側にCuから成る金属回路板3がAg−Cu系ろう材から成る活性金属接合材層を介して一体に接合される一方、裏面側にCuから成る裏金属板4が同じく活性金属接合材層を介して一体に接合されており、さらに、金属回路板3の所定位置にBAG18ろう材から成る接合材層15を介して外部端子17が強固に接合された構造を有する。
【0044】
【比較例1〜6】
一方、比較例として表1に示すような熱伝導率と厚さとを有する窒化アルミニウム(AlN)焼結体またはアルミナ(Al2O3)から成るセラミックス基板の表面側に、実施例1〜5と同様に活性金属法により、表1に示す厚さを有するCu回路板を金属回路板として一体に接合する一方、各セラミックス基板の裏面側に、厚さ0.2mmのCu板を裏金属板として一体に接合した。なお、上記活性金属法による接合時の加熱温度は750〜800℃とした。
【0045】
一方、表1に示す材質(Cu)から成り、上記各セラミックス基板上の金属回路板に対する接合部の厚さT(図1参照)がそれぞれ表1に示す値であり、幅が10mmであるL字型の側面形状を有する外部端子をそれぞれ調製した。
【0046】
次に、上記のように調製した各外部端子を、組成がPb−50%SnであるPb−Sn共晶半田を用い温度400℃に加熱することにより、各Cu製のL字状外部端子を金属回路板表面に接合して、各比較例に係る端子付き回路基板を多数製造した。
【0047】
上記のように調製した各実施例および比較例に係る端子付き回路基板について、その耐久性および信頼性を評価するために下記のような耐熱サイクル試験(ヒートサイクル試験:TCT)を実施し、各回路基板におけるクラック発生状況を比較調査した。耐熱サイクル試験は、温度−40℃から+125℃までの範囲で加熱し、引き続いて温度+125℃から−40℃まで冷却するまでを1サイクルとする昇温−降温サイクルを300サイクル以上繰返して付加するものとした。そして300サイクル経過後において、セラミックス基板に割れ・損傷を生じた欠陥数や金属回路板に剥離等の欠陥を生じた割合を測定して、下記表1に示す測定結果を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1に示す結果から明らかなように、セラミック基板として構造強度に優れた窒化けい素基板の金属回路板にろう付けによって外部端子を接合した各実施例に係る端子付き回路基板においては、300サイクルの耐熱サイクル試験を実施した後においても、窒化けい素基板の割れ・損傷が皆無であり、優れた耐久性と信頼性とを有することが確認できた。
【0050】
一方、従来の窒化アルミニウム(AlN)焼結体またはアルミナ(Al2O3)から成るセラミックス基板を用い、さらにPb−Sn共晶半田を用いて外部端子を金属回路板表面に接合した各比較例に係る端子付き回路基板においては、繰り返しの熱応力によってセラミックス基板の接合部や半田接合部で破壊を生じ、回路基板としての耐久性および信頼性が低いことが再確認された。
【0051】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る端子付き回路基板によれば、特に構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し金属回路基板上にろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さを3mm以上としているため、通電容量が高く、かつ接合部の信頼性が高い端子付き回路基板が得られる。換言すれば、構造強度に優れた窒化けい素基板を採用し、ろう付けによって外部端子を強固に接合しているため、接合部の厚さが3mm以上である大型の外部端子を接合した場合においても、窒化けい素基板に割れや損傷が発生することが少なく耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板が得られる。
【0052】
すなわち、セラミックス基板として窒化珪素を用いており、この窒化珪素はセラミックス自身の機械的特性に優れており、高いろう付け温度に起因する熱応力に対しても十分な耐性を有し、さらには大型の電力導出用の外部端子を接合した際の接合界面の応力にも耐え得ることが可能であり、耐久性および信頼性に優れた端子付き回路基板を実現することができる。
【0053】
また、予め回路基板に外部端子(電力端子)が接合されているため、この回路基板を使用する大電力パワーモジュールの組立工程が簡略化され、さらには外部端子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端子付き回路基板の一実施例の構成を示す断面図。
【図2】従来のセラミックス回路基板を使用したモジュールの構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1 セラミックス回路基板
2 セラミックス基板(AlN基板、Al2O3基板)
3 金属回路板(Cu回路板)
4 裏金属板(裏銅板)
5 接合材層(Pb−Sn系半田)
6 半導体素子(Siチップ)
7 外部端子(電力端子)
11 端子付き回路基板
12 窒化けい素基板(Si3N4基板)
15 接合材層(BAG18ろう材層)
17 外部端子(電力端子)
Claims (6)
- 窒化珪素セラミックスを主成分とするセラミックス基板の少なくとも一方の表面に金属回路板を接合し、この金属回路板表面にさらに外部端子をろう付けにより一体に接合した端子付き回路基板であり、上記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが3mm以上であることを特徴とする端子付き回路基板。
- 請求項1記載の端子付き回路基板において、前記ろう付けにより接合される外部端子の接合部の厚さが5mm以上であることを特徴とする端子付き回路基板。
- 請求項1記載の端子付き回路基板において、前記外部端子を接合するろう材が、Ti,ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の活性金属を5質量%以下含有するAg−Cu共晶組成を有することを特徴とする端子付き回路基板。
- 請求項1記載の端子付き回路基板において、前記セラミックス基板を構成する窒化珪素セラミックスの熱伝導率が60W/m・K以上であることを特徴とする端子付き回路基板。
- 請求項1記載の端子付き回路基板において、前記外部端子を金属回路板表面に接合した後に、外部端子表面にめっき層が形成されていることを特徴とする端子付き回路基板。
- 請求項1記載の端子付き回路基板において、前記金属回路板の厚さが0.2mm以上であることを特徴とする端子付き回路基板。
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