JP2002035971A - レーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接方法

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JP2002035971A JP2000218411A JP2000218411A JP2002035971A JP 2002035971 A JP2002035971 A JP 2002035971A JP 2000218411 A JP2000218411 A JP 2000218411A JP 2000218411 A JP2000218411 A JP 2000218411A JP 2002035971 A JP2002035971 A JP 2002035971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端面が相互に突き合わされた2本の管の突き
合わせ部を、速くかつ効率よく溶接することができるレ
ーザ溶接方法を提供する。 【解決手段】 2本のレーザ光61,63を、並行し
て、それぞれ内周面60と外周面62との両側から、突
き合わせ部54の内周面60および外周面62に向けて
照射するので、いずれか一方のレーザ光61,63で、
突き合わせ部54を鋼管52,53の厚み方向に完全に
溶融させる必要がなくなる。したがって、いずれか一方
のみのレーザ光61,63が溶融すべき金属量が少なく
なるので、重力による溶融金属の垂れ下がり量が少なく
なり、溶接作業が阻害されない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端面が相互に突き
合わされた2本の管の突き合わせ部に、レーザ光を照射
することによって、突き合わせ部を加熱溶融し、2本の
管を接合するレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来技術のマルチトーチ化さ
れた自動MAG(Metal Active Gas)溶接装置によっ
て、V形開先が形成された2本の管2の突き合わせ部5
を溶接する方法を示す図であり、図12(a)は溶接前
の突き合わせ部5を示す図であり、図12(b)は溶接
後の溶接部30を示す図である。外部に臨んで開口する
V形開先が形成された突き合わせ部5を溶接するとき、
2つのトーチ1a,1bを、管2の外周面31に電極3
を臨ませた状態で管2の外部に配置し、この各トーチ1
a,1bを管軸4まわりに管2の外周に沿って、同一回
転方向に移動させながら、溶接する。
【0003】図13は、他の従来技術のマルチトーチ化
した自動MAG溶接装置によって、X形開先が形成され
た2本の管2の突き合わせ部7を溶接する方法を示す図
であり、図14(a)は溶接前の突き合わせ部7を示す
図であり、図14(b)は溶接後の溶接部32を示す図
である。外部に臨んで開口するX形開先が形成された突
き合わせ部7を溶接するとき、2つのトーチ1c,1d
を、その電極部3を管2の外周面31に臨ませた状態で
管2の外部に配置し、1つのトーチ1eを、管2の内周
面33に臨ませた状態で管2の内部に配置し、これらの
各トーチ1c〜1eを管軸4まわりに管2の外周および
内周に沿って、同一回転方向に移動させながら溶接す
る。
【0004】図15は、さらに他の従来技術のプラズマ
アーク溶接方法によって、突き合わせ部9を溶接する方
法を示す図であり、図16(a)は溶接前の突き合わせ
部9を示す図であり、図16(b)は溶接後の溶接部3
4を示す図である。プラズマアーク溶接方法は、管2を
固定したまま、溶接棒11を管2の外周に沿って移動さ
せて、突き合わせ部9を全周にわたって溶接する、いわ
ゆる「全姿勢溶接」が困難であるため、溶接棒11の先
端12を略鉛直下向き(図15の下方)に保持した状態
で溶接する必要がある。すなわち、略水平に配置された
2本の管2の突き合わせ部9の上半分を、管2の外部に
配置された溶接棒11aを、管軸4まわりに外周面31
に沿って双方向に移動させて溶接し、突き合わせ部9の
下半分を、管2の内部に配置された溶接棒11bを、管
軸4まわりに内周面33に沿って双方向に移動させて溶
接する。
【0005】図17は、さらに他の従来技術の1パス電
子ビーム溶接方法によって、2本の管2の突き合わせ部
13を溶接する方法を示す図であり、図18(a)は溶
接前の突き合わせ部13を示す図であり、図18(b)
は溶接後の溶接部35を示す図である。1パス電子ビー
ム溶接方法(EBW:Electron-Beam Welding)で突き
合わせ部13を溶接するとき、この突き合わせ部13の
溶接雰囲気を真空にし、管2の内部に設けられ、電子ビ
ーム出射孔を管2の内周面33に臨ませた1つの電子銃
14が、管軸4まわりに内周面33に沿って移動しなが
ら、突き合わせ部13の内周面33に向けて1本の電子
ビーム15を照射することによって、突き合わせ部13
を管2の厚み方向に完全に溶融させて、各管2を接合す
る。
【0006】図19は、さらに他の従来技術の1パスレ
ーザ溶接方法によって、2本の管2の突き合わせ部17
を溶接する方法を示す図であり、図20(a)は溶接前
の突き合わせ部17を示す図であり、図20(b)は溶
接後の溶接部36を示す図である。1パスレーザ溶接方
法で突き合わせ部17を溶接するとき、管2の内部に設
けられ、レーザ出射口を管2の内周面に臨ませた1つの
レーザ出力ヘッド18が、管軸4まわりに内周面33に
沿って移動しながら、突き合わせ部17の内周面33に
向けて1本のレーザ19を照射することによって、突き
合わせ部17を管2の厚み方向に完全に溶融させて、各
管2を接合する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した自動MAG溶
接装置による溶接方法は、この自動MAG溶接装置が低
価格であるという利点を有するが、図12(b)および
図14(b)に示すように、ビード6,8が多盛層とな
るので、効率よく高速度で溶接するためには、図11お
よび図13に示すように、複数個のトーチ1を同時に使
用する必要がある。しかしながらこのMAG溶接方法
は、基本的に溶接速度が遅く、マルチトーチ化したとし
ても、溶接完了までの総施工時間が長いといった問題が
ある。さらに、マルチトーチ化することによって、自動
MAG溶接装置の構成が複雑化し、メンテナンスコスト
が増加するといった問題がある。
【0008】上述したプラズマアーク溶接方法は、装置
が比較的低価格であるという利点を有するが、溶接速度
が遅く、さらに一回の溶接操作(1パス)における金属
の溶け込み量が少ない。したがって、厚肉の管2同士を
溶接する場合では、図16(b)に示すように、まず当
接部20を溶接してビード10aを形成し、次に開先部
21aを溶接してビード10bを形成し、さらに開先部
21bを溶接してビード10cを形成する3パス施工が
必要となり、溶接完了までの施工時間が長くかかるとい
った問題がある。
【0009】上述した1パス電子ビーム溶接方法は、高
速度および低歪で溶接することができるという利点を有
するが、図18(b)に示すように、形成されるビード
16が細くなるため、突き合わせ部17の各管2の端面
23を厳密に加工する必要があり、開先のギャップ許容
度が少なくなるといった問題がある。さらに、溶接雰囲
気を真空にする必要があるので、真空チャンバを必要と
し、装置全体が大型化および複雑化する。したがって、
装置が高価になってしまう。また、溶接仕上がりが、外
部環境の影響を受け易く、さらに真空チャンバ内を真空
引きするための施工待ち時間があるなどといった問題が
ある。
【0010】1パスレーザ溶接方法は、高速度および低
歪で溶接できるという利点を有し、さらに突き合わせ部
17の溶接雰囲気を真空にする必要がないので、真空チ
ャンバを必要とせず、装置が小形化するといった利点を
有する。しかしながら、図20(b)に示すように、形
成されるビード22が太くなる。すなわち電子ビーム溶
接方法に比べて溶融金属量が多くなるので、全姿勢溶接
を安定して行うことが困難であるといった問題がある。
特に、略水平に配置された各管2の突き合わせ部17の
上半分を溶接するとき、溶融金属の重力による垂れ下が
りによって、安定した溶接作業が阻害されることがあ
る。また一本のレーザ光を用いて、管2を厚み方向に完
全に溶融させる必要があるので、レーザ光の出力エネル
ギが大きくなってしまう。したがって、大出力のレーザ
光を発生させるために、極めて大出力のレーザ発振器を
必要とし、装置全体が高価になるとともに、メンテナン
スコストが嵩むといった問題がある。
【0011】したがって本発明の目的は、端面が相互に
突き合わされた2本の管の突き合わせ部を、高速度およ
び高効率で溶接するとともに、装置を小形化および簡略
化し、さらに外部環境の影響を受けることなく、安定し
て溶接することができるレーザ溶接方法を提供すること
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、略水平に配置され、端面が相互に突き合わされた2
本の管の突き合わせ部に、レーザ光を照射することによ
って、突き合わせ部を加熱溶融し、2本の管を接合する
レーザ溶接方法において、前記突き合わせ部の内周面側
と外周面側との両側から、突き合わせ部の内周面および
外周面に向けて、並行してレーザ光を照射することを特
徴とするレーザ溶接方法である。
【0013】本発明に従えば、略水平に配置され、端面
が相互に突き合わされた2本の管の突き合わせ部に、内
周面側と外周面側との両側からレーザ光を照射すること
によって、この突き合わせ部が加熱溶融され、2本の管
が接合される。すなわち、複数本のレーザ光を、それぞ
れ内周面と外周面との両側から、突き合わせ部に照射す
る構成であるため、内周面側および外周面側のいずれか
一方側からのレーザ光の照射によって、突き合わせ部を
管の厚み方向に完全に溶融させる必要がない。したがっ
て、従来技術の1パスレーザ溶接方法に比べて、内周面
側または外周面側から照射されるレーザ光によって、溶
融すべき金属量が少なくなるので、重力による溶融金属
の垂れ下がりが少なくなり、垂れ下がり量の多い場合に
比べて、溶接部への外部環境の影響が少なくて済み、安
定した溶接が可能となる。また、突き合わせ部の内周面
側と外周面側とを、並行して溶接する構成であるので、
従来技術に比べて、作業効率の低下が防がれ、高品位の
溶接が実現される。また、内周面側および外周面側のい
ずれか一方のレーザ光によって、管の全厚みを溶融させ
る必要がないので、比較的レーザ出力の低いレーザ光を
使用することができる。したがってこのレーザ光を発生
するためのレーザ発生源は、低出力のレーザ光を発生す
る既存のレーザ発生源でよく、これによって溶接装置を
安価に提供することができる。
【0014】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の
構成において、前記突き合わせ部の内周面および外周面
のうち鉛直下方に臨む面に照射されるレーザ光の照射位
置が、前記管の周方向に沿って一方向に移動し、前記突
き合わせ部の内周面および外周面のうち鉛直上方に臨む
面に照射されるレーザ光の照射位置が、前記鉛直下方に
臨む面に照射されるレーザ光の照射位置に追従して、前
記管の周方向に沿って同一方向に移動することを特徴と
する。
【0015】本発明に従えば、略水平に配置された2本
の管の突き合わせ部の上半分の第1領域では、内周面が
鉛直下方に臨み、外周面が鉛直上方に臨む。この第1領
域を溶接するとき、内周面側から内周面に向けて照射さ
れる第1レーザ光の照射位置が、先行して、管の周方向
に沿って一方側に移動し、外周面側から外周面に向けて
照射される第2レーザ光の照射位置が、内周面側の第1
レーザ光の照射位置に追従して、管の周方向に沿って、
同一回転方向に移動する。
【0016】また、突き合わせ部の下半分の第2領域で
は、外周面が鉛直下方に臨み、内周面が鉛直上方に臨
む。この第2領域を溶接するとき、外周面側から外周面
に向けて照射される第2レーザ光の照射位置が、先行し
て、管の周方向に沿って一方側に移動し、内周面側から
内周面に向けて照射される第1レーザ光の照射位置が、
外周面側の第2レーザ光の照射位置に追従して、管の周
方向に沿って、同一回転方向に移動する。
【0017】なお、第1領域と第2領域との境界部分で
は、追従している第1および第2レーザ光の照射位置
は、先行している第1および第2レーザ光の照射位置を
追い越して、先行する。
【0018】上述のように、各第1および第2レーザ光
の照射位置の移動を制御することによって、先行するレ
ーザ光によって形成された第1キーホールと追従するレ
ーザ光によって形成された第2キーホールとが連通す
る。したがって、突き合わせ部に気孔が形成されるなど
といった不具合が生じない。また、突き合わせ部の厚み
の鉛直上方側領域の金属は、先行するレーザ光によって
予熱された後に、追従するレーザ光によって溶融される
ので、鉛直上方側領域の溶融金属の温度が高く、この鉛
直上方側領域の溶融金属が硬化するまでの時間が長くな
る。したがって、溶融金属が硬化するまでに、溶接部の
気泡が抜け出すことができるので、ブローホールを防止
することができる。また、突き合わせ部の鉛直下方側領
域の溶融金属は、比較的速く硬化するので、この鉛直下
方側領域の重力による溶融金属の垂れ下がりを防止でき
る。また、追従するレーザ光は30°程度以下の前進角
を持って照射されてもよい。前進角を持って照射される
ことで、追従レーザ光によって形成された溶融金属内の
気泡が、同光で形成されたキーホールに抜け出すことが
できるので、ブローホールを防止することができる。こ
のように、欠陥を修復しながら、溶接を行うことができ
るので、高品質な溶接継手を得ることができる。
【0019】請求項3記載の本発明は、請求項1または
2記載の構成において、前記突き合わせ部の内周面およ
び外周面に向けて照射される各レーザ光のレーザ出力を
一定に保持した状態で、各レーザ光の照射位置の前記管
の周方向に沿う一方向への移動速度を制御することによ
って、突き合わせ部の内周面側のビードと、外周面側の
ビードとの前記管の厚み方向の重なり量を全周にわたっ
て、ほぼ一定に保持することを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、突き合わせ部の内周面側
のビードと外周面側のビードとの管の厚み方向の重なり
量が、管の全周に渡って、ほぼ一定に保持されるので、
溶接部の強度および応力が、管の全周にわたってほぼ均
一と成る。したがって、溶接部および管の歪みが低減さ
れる。また、レーザ光のレーザ出力を一定に保持するの
で、このレーザ光の発生源として、レーザ出力の可変形
のレーザ光発生源を使用する必要がなく、溶接装置の構
成が単純化する。
【0021】請求項4記載の本発明は、請求項1または
2記載の構成において、前記突き合わせ部の内周面およ
び外周面に向けて照射される各レーザ光の照射位置の前
記管の周方向に沿う一方向への移動速度を一定に保持し
た状態で、各レーザ光のレーザ出力を制御することによ
って、突き合わせ部の内周面側のビードと、外周面側の
ビードとの前記管の厚み方向の重なり量を全周にわたっ
て、ほぼ一定に保持することを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、突き合わせ部の内周面側
のビードと外周面側のビードとの管の厚み方向の重なり
量が、管の全周にわたって、ほぼ一定に保持されるの
で、溶接部の強度および応力が、管の全周にわたってほ
ぼ均一と成る。したがって、溶接完了後の溶接部および
管の歪みが低減される。また、各レーザ光の管の周方向
に沿う方向の移動速度を一定に保持するので、レーザ光
を出射するレーザ出力ヘッドの移動機構の構成を単純化
することができる。
【0023】請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の
いずれか一つに記載の構成において、前記突き合わせ部
の内周面および外周面に向けて照射される各レーザ光
は、一つのレーザ光発生源から出力されたレーザ光を分
光することによって得られることを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、各レーザ光は、1つのレ
ーザ発生源から得られた一本のレーザ光を分光すること
によって、得られる。したがって、溶接装置は、1つの
レーザ発生源を備えているだけでよく、装置台数を減ら
すことができ、溶接装置を低価格で提供することができ
る。
【0025】請求項6記載の本発明は、請求項1〜5の
いずれか一つに記載の構成において、前記突き合わせ部
を溶接した後、突き合わせ部の内周面側あるいは内周面
および外周面の両面側に形成されたビードに向けて、溶
接時よりも出力エネルギの低いレーザ光を照射すること
を特徴とする。
【0026】本発明に従えば、突き合わせ部の内周面側
あるいは内周面および外周面の両面側に形成されたビー
ドに、溶接時よりも低い出力エネルギである、たとえば
焦点をぼかしたレーザ光が照射され、これによってビー
ドの表面が部分的に溶融されて、滑らかになる。したが
って、管内を流れる流体の流れ抵抗が可及的に少なくな
り、圧力損失が少なくなる。また、外周面側に形成され
たビード表面が滑らかになることで、外観品質が不良な
場合、改良できる。
【0027】
【発明の実施の形態】まず、本発明のレーザ溶接方法を
実現する実施の一形態のレーザ溶接装置51について説
明する。図1は、レーザ溶接装置51を示す図である。
レーザ溶接装置51は、2本の鋼管52,53を固定す
る管固定機構56と、2本の鋼管52,53の突き合わ
せ部54の内周面60側に配置される第1レーザ出力ヘ
ッド57と、突き合わせ部54の外周面62側に配置さ
れる第2レーザ出力ヘッド58と、レーザ発振器59
と、レーザ発振器59と第1および第2レーザ出力ヘッ
ド57,58とを接続するレーザ導光ファイバケーブル
65とによって構成される。
【0028】管固定機構56は、略水平に配置され、端
面55が相互に突き合わされる2本の鋼管52,53の
突き合わせ部54を、外周面62側から把持して固定す
るとともに、各鋼管52,53の管軸64が同軸となる
ように、各鋼管52,53の位置決めを行う部材であ
る。
【0029】第1レーザ出力ヘッド57は、レーザ出射
口87を突き合わせ部54の内周面60に対向させた状
態で、突き合わせ部54の内周面60側に配置され、各
鋼管52,53に共通な管軸64を中心として、内周面
60に沿って、移動可能に設けられる。この第1レーザ
出力ヘッド57は、レーザ出射口87から突き合わせ部
54の内周面60に向けて、第1レーザ光61を出射す
る。
【0030】第2レーザ出力ヘッド58は、レーザ出射
口87を突き合わせ部54の外周面62に対向させた状
態で、突き合わせ部54の外周面62側に配置され、鋼
管52,53に共通な管軸64を中心として、外周面6
2に沿って、上記第1レーザ出力ヘッド57と同一方向
に移動可能に設けられる。この第2レーザ出力ヘッド5
8は、レーザ出射口87から突き合わせ部54の外周面
62に向けて、第2レーザ光63を出射する。
【0031】レーザ発振器59は、ハウジング68と、
このハウジング68内部に収納され、一本のレーザ光6
9を出力するレーザ発生源66と、このレーザ発生源6
6で出力された一本のレーザ光69を2本の第1および
第2レーザ光61,63に分光するハーフミラーなどの
分光手段67とを含んで構成される。この分光手段67
によって分光された第1および第2レーザ光61,63
が、レーザ導光ファイバ65を介して、第1および第2
レーザ出力ヘッド57,58に入力される。このよう
に、2本の第1および第2レーザ光61,63は、1つ
のレーザ発生源66で出力された一本のレーザ光69を
分光することによって得られるので、レーザ溶接装置5
1は、1つのレーザ発生源66を備えているだけでよ
い。したがって、装置台数を減らすことができ、レーザ
溶接装置51を低価格で提供することができる。また、
上記レーザ発生源66によって出力されるレーザ光69
は、YAGレーザなどのパルスレーザまたは炭酸ガスレ
ーザなどの連続発振レーザなどが使用される。
【0032】次に、第1および第2レーザ出力ヘッド5
7,58について詳細に説明する。この第1および第2
レーザ出力ヘッド57,58は、図2に示す直筒形のレ
ーザ出力ヘッド71または図3に示す屈折筒形のレーザ
出力ヘッド72が用いられる。なお、図2および図3に
おいて、同一の作用を有する部材については同一の参照
符を付す。
【0033】図2に示すように、直筒形レーザ出力ヘッ
ド71は、両端部が開口し、一端部(図2の上方)にレ
ーザ導光ファイバケーブル65が接続される出力ヘッド
筐体73と、出力ヘッド筐体73の他端部側(図2の下
方)に設けられる先細状の溶接ノズル76と、出力ヘッ
ド筐体73の内部に設けられる波長選択ミラー77、リ
コリメートレンズ74および集光レンズ75と、出力ヘ
ッド筐体73の側壁の開口部83から外方に屈曲して設
けられる中空の屈曲部84と、屈曲部84の端部に設け
られるCCDカメラなどの溶接部観察装置78とによっ
て構成される。
【0034】レーザ発振器59(図1参照)から出力さ
れたレーザ光85は、レーザ導光ファイバケーブル65
内の光ファイバ79を通って、出力ヘッド筐体73の内
部に入光される。光ファイバ79を出たレーザ光85
は、波長選択透過ミラー77を透過し、リコリメートレ
ンズ74によって、その幅が一定に保持され、集光レン
ズ75によって集光されて、溶接ノズル76の先端のレ
ーザ出射口87から出射される。溶接部から出力ヘッド
筐体73内部に入光された可視光81は、波長選択ミラ
ー77によって、開口部83側に反射され、屈曲部84
に入光される。屈曲部84に入光された可視光81は、
屈曲部84の傾斜壁86によって、溶接部観察装置78
側に反射され、かつ集光された後、溶接部観察装置78
に入光される。また、溶接ノズル76には、矢符82に
示すように、不活性ガスなどのシールドガスが導入さ
れ、レーザ出射口87から導出される。
【0035】図3に示すように、屈折筒形レーザ出力ヘ
ッド72は、T字状の3方向に臨んで開口する第1〜第
3開口部89〜91を有する出力ヘッド筐体92と、出
力ヘッド筐体92の第1開口部89側に設けられる先細
状の溶接ノズル76と、出力ヘッド筐体73の内部に設
けられる波長選択ミラー77、リコリメートレンズ74
および集光レンズ75と、出力ヘッド筐体92の第2開
口部90側に設けられるCCDカメラなどの溶接部観察
装置78とによって構成される。レーザ導光ファイバケ
ーブル65は、出力ヘッド筐体92の第3開口部91側
に接続される。
【0036】レーザ発振器59から出力されたレーザ光
85は、レーザ導光ファイバケーブル65内の光ファイ
バ79を通って、出力ヘッド筐体73の内部に入光され
る。このレーザ光85は、リコリメートレンズ74によ
って、その幅が一定に保持される。リコリメートレンズ
74を通過したレーザ光85は、波長選択ミラー77に
よって、第1開口部89側に反射され、集光レンズ75
によって集光された後、溶接ノズル76の先端のレーザ
出射口87から出射される。溶接部から出力ヘッド筐体
73の内部に入光した可視光81は、波長選択ミラー7
7によって、第2開口部90側に反射され、集光レンズ
88によって、集光された後、溶接部観察装置78に入
光する。また、溶接ノズル76には、矢符82に示すよ
うに、不活性ガスなどのシールドガスが導入され、レー
ザ出射口87から導出される。
【0037】次に図4〜図7を参照して、本発明のレー
ザ溶接方法について説明する。図4は、本発明のレーザ
溶接方法を説明するための簡略図であり、図5は溶接完
了後の溶接部126を示す図であり、図6は溶接途中の
状態を示す斜視図であり、図7は図6の仮想線で囲まれ
る領域93を拡大して示す図である。まず接合すべき2
本の鋼管52,53を、その各管軸64同士を同軸にし
た状態で略水平に配置し、各鋼管52,53の各端面5
5を相互に突き合わせて、管固定機構56で各鋼管5
2,53を固定する。
【0038】次に、2本の鋼管52,53の突き合わせ
部54の内部98に設けられた第1レーザ出力ヘッド5
7を、管軸64を中心軸として内周面60に沿って、一
回転方向(矢符100方向)に移動させながら、内周面
60に向けて第1レーザ光61を照射する。これに並行
して、突き合わせ部54の外部99に設けられた第2レ
ーザ出力ヘッド58を管軸64を中心軸として外周面6
2に沿って、第1レーザ出力ヘッド57と同一回転方向
(矢符101方向)に移動させながら、外周面62に向
けて第2レーザ光62を照射する。このように、2つの
レーザ出力ヘッド57,58から突き合わせ部54に第
1および第2レーザ光61,63が照射されることによ
って、この突き合わせ部54が、全周にわたって、加熱
溶融され、2本の鋼管52,53が接合される。このよ
うに、突き合わせ部54の内周面60側と外周面62側
とを並行して溶接するので、従来技術に比べて、作業効
率の低下が防がれる。
【0039】さらに詳しく述べると、突き合わせ部54
の上半分の第1領域102では、内周面60が鉛直下方
に臨み、外周面62が鉛直上方に臨む。この第1領域1
02を溶接するとき、内部98から内周面60に向けて
照射される第1レーザ光61の照射位置が、先行して、
内周面60に沿って一方側(図5から見て時計方向)に
移動し、外部99から外周面62に向けて照射される第
2レーザ光63の照射位置が、第1レーザ光61の照射
位置の移動に追従して、外周面62に沿って、同一回転
方向(図5から見て時計方向)に移動するように、第1
および第2レーザ出力ヘッド57,58の移動を制御す
る。
【0040】また、突き合わせ部54の下半分の第2領
域103では、外周面62が鉛直下方に臨み、内周面6
0が鉛直上方に臨む。この第2領域103を溶接すると
き、外部99から外周面62に向けて照射される第2レ
ーザ光63の照射位置が、先行して、外周面62に沿っ
て一方側(図5から見て時計方向)に移動し、内部98
から内周面60に向けて照射される第1レーザ光61の
照射位置が、外周面62の第2レーザ光63の照射位置
の移動に追従して、内周面60に沿って、同一回転方向
(図5から見て時計方向)に移動するように、第1およ
び第2レーザ出力ヘッド57,58を制御する。
【0041】また、第1領域102と第2領域103と
を分断する第1境界位置104で、第2レーザ光63が
第1レーザ光61の照射位置を、追い越して先行し、第
2境界位置105で、第1レーザ光61の照射位置が第
2レーザ光の照射位置を、追い越して先行するように、
第1および第2レーザ出力ヘッド57,58を制御す
る。
【0042】また図6および図7に示すように、第1レ
ーザ光61および第2レーザ光63は、これらいずれか
一方のレーザ光のみによって、突き合わせ部54を、厚
み方向に完全に溶融しないように照射される。すなわ
ち、第1レーザ光61は、その焦点112が鋼管52の
厚み方向中心線114よりも、わずかに外周面62側
(図7の上方)に突出して配置されるように照射され、
第2レーザ光63は、その焦点113が鋼管52の厚み
方向中心線114よりも、わずかに内周面60側(図7
の下方)に突出して配置されるように照射される。した
がって、第1および第2レーザ光61,63として、比
較的レーザ出力の低いレーザ光を使用することができ
る。したがって、レーザ光発生源66(図1参照)は、
低出力のレーザ光を発生する既存のレーザ光発生源でよ
い。これによって、レーザ溶接装置51を安価に提供す
ることができる。
【0043】また上述したように、各レーザ光61,6
3のいずれか一方のレーザ光のみによって、突き合わせ
部54は厚み方向に完全に溶融されないので、従来技術
の1パスレーザ溶接方法に比べて、各一本の第1および
第2レーザ光61,63がそれぞれ溶融すべき金属量は
少なくなる。したがって、重力による溶融金属の垂れ下
がり量が少なくなる。これによって、従来技術のよう
に、垂れ下がり量の多い場合に比べて、溶接部への外部
環境の影響が少なくて済み、安定した溶接が可能とな
る。
【0044】上述したように、第1および第2レーザ出
力ヘッド57,58の移動および第1および第2レーザ
光61,63の照射深さを制御することによって、突き
合わせ部54の厚み方向鉛直上方側領域107は、先行
するレーザ光61によって予熱された後に、追従するレ
ーザ光62によって溶融される。したがって、鉛直上方
側領域107の溶融金属の温度が高く、この領域107
の溶融金属が硬化するまでの時間が長い。これによっ
て、溶融金属が硬化するまでに、発生した気泡がこの領
域107から外部に抜け出すことができるので、ブロー
ホールを防止することができる。また、突き合わせ部5
4の鉛直下方側領域108は、先行するレーザ光61の
みによって、加熱されるだけであるので、溶融金属は比
較的速く硬化する。したがって、この領域108の溶融
金属の垂れ下がりを防止できる。このように、欠陥を修
復しながら、溶接を行うことができるので、高品質な溶
接継手を得ることができる。
【0045】さらに、図6および図7に示すように、先
行する第1レーザ光61によって形成された第1キーホ
ール105と、これに追従する第2レーザ光62によっ
て形成された第2キーホール106とが、常に連通する
ように、第1および第2レーザ出力ヘッド57,58の
移動速度を制御することが好ましい。これによって、溶
接部126に気孔が形成されるなどといった不具合が生
じない。
【0046】このとき、溶接部126の内周面60側の
第1ビード109と外周面62側の第2ビード110と
の鋼管52の厚み方向の重なり量が、管の全周にわたっ
て、ほぼ一定に保持されることが好ましい。このよう
に、第1および第2ビード109,110の重なり部1
15の重なり量をほぼ一定にすることによって、溶接部
126の強度および応力が鋼管52の全周にわたってほ
ぼ均一と成り、溶接部111および溶接後の鋼管52,
53の歪みが、従来技術の溶接方法に比べて低減され
る。
【0047】なお、上記第1および第2ビード109,
110の重なり量を、ほぼ一定に保持する方法として、
レーザ出力ヘッド57,58から照射されるレーザ光6
1,63のレーザ出力を一定に保持した状態で、レーザ
光61,63の照射位置の移動速度を制御する方法があ
る。すなわち、レーザ出力が一定の状態で、レーザ出力
ヘッド57,58の移動速度を制御する。この方法で
は、第1および第2レーザ光61,63のレーザ出力を
一定に保持するので、レーザ発振器59(図1参照)と
して、可変エネルギ形のレーザ発振器を使用する必要が
なく、レーザ溶接装置51の構成が単純化する。
【0048】また、上記第1および第2ビード109,
110の重なり量を、ほぼ一定に保持する他の方法とし
て、レーザ光61,63の照射位置の移動速度を一定に
保持した状態、すなわちレーザ出力ヘッド57,58の
移動速度を一定に保持した状態で、レーザ光61,63
のレーザ出力を制御する方法がある。この方法では、レ
ーザ出力ヘッド57,58を移動させる移動機構の構成
を単純化することができる。
【0049】また前述したように、レーザ出力ヘッド5
7,58は、溶接部観察装置78を備えているので、溶
接作業中に、溶接部126の状態を監視することがで
き、欠陥の発生をすぐに検出することができる。
【0050】また、突き合わせ部5の内周面側に形成さ
れた第1ビード109に、溶接時よりも低い出力エネル
ギである、たとえば焦点をぼかしたレーザ光が照射する
ことが好ましい。つまり、突き合わせ部5の内周部ある
いは内周部および外周部の両面を、化粧盛溶接すること
が好ましい。これによってビードの表面が部分的に溶融
されて、滑らかになる。したがって、管内の流体の流れ
抵抗が可及的に少なくなり、圧力損失が少なくなる。ま
た、外周面側に形成されたビード表面が滑らかになるこ
とで、外観品質が不良な場合、改良できる。
【0051】図8は、レーザ溶接装置51の制御系統を
示すブロック図である。レーザ溶接装置51は、前述の
機械的構成に加えて、レーザ溶接装置51を制御する制
御部123と、第1および第2レーザ出力ヘッド57,
58の管軸64まわりの角度位置を検出する位置検出手
段118と、第1および第2レーザ出力ヘッド57,5
8のレーザ出射口87(図2および図3参照)と突き合
わせ部54の内周面60または外周面62との間の距離
を検出する対物距離検出手段119と、先行するレーザ
出力ヘッドの加工条件が複数記憶された第1加工条件デ
ータベース120と、追従するレーザ出力ヘッドの加工
条件が複数記憶された第2加工条件データベース121
と、先行して移動するレーザ出力ヘッドによって、溶融
された部分の溶け込み深さを算出するための情報が記憶
された第3加工条件データベース122とを備える。
【0052】すなわち制御部123は、溶接部観察装置
78によって観察された溶け込み深さ情報と、位置検出
手段118によって検出された角度位置情報と、対物距
離検出手段119によって検出された対物距離情報とに
基づいて、第1〜第3加工条件データベース120〜1
22から最適な加工条件を選択し、この選択された加工
条件に基づいて、第1および第2レーザ出力ヘッド5
7,58およびレーザ発振器59を制御する。
【0053】次に、図9および図10を参照して、制御
部123の制御方法について説明する。図9は、制御部
123が先行するレーザ出力ヘッド(略鉛直上方に向け
てレーザ光を出射する第1または第2レーザ出力ヘッド
57,58)を制御する方法を示すフローチャートであ
り、図10は制御部123が追従するレーザ出力ヘッド
(略鉛直下方に向けてレーザ光を出射する第1または第
2レーザ出力ヘッド57,58)を制御する方法を示す
フローチャートである。
【0054】まず図9を参照して、先行するレーザ出力
ヘッドの制御について説明する。ステップs0で溶接作
業を開始すると、ステップs1に進み、位置検出手段1
18が先行するレーザ出力ヘッドの角度位置を検出し、
対物距離検出手段119が先行するレーザ出力ヘッドと
突き合わせ部54の内周面または外周面との距離を検出
する。次にステップs2に進み、位置検出手段118お
よび対物距離検出手段119の検出結果に基づいて第1
加工条件データベース120から、最適な加工条件を選
択し、ステップs3で、この選択された加工条件に基づ
いて、突き合わせ部54に向けてレーザ光を出射する。
次にステップs4に進み、溶接部観察装置78で溶接途
中の溶接部126を観察し、ステップs5で、この観察
結果に基づいて、第3加工条件データベース122か
ら、溶融金属の溶け込み深さを算出し、ステップs6
で、算出した溶け込み深さを第2加工条件データベース
121に出力する。その後、ステップs7で、溶接終端
部を検知すると、ステップs8に進み、溶接終端処理を
行う。またステップs7で、溶接終端部が検知されなけ
れば、ステップs1に戻り、上述の制御を繰り返す。
【0055】次に、図10を参照して追従するレーザ出
力ヘッドの制御について説明する。ステップt0で、追
従するレーザ出力ヘッドの移動が開始されるとステップ
t1に進み、位置検出手段118が追従するレーザ出力
ヘッドの角度位置を検出し、対物距離検出手段119が
追従するレーザ出力ヘッドと突き合わせ部54の内周面
または外周面との距離を検出する。次にステップt2に
進み、位置検出手段118および対物距離検出手段11
9の検出結果に基づいて、先行するレーザ出力ヘッドに
よって溶融された金属の溶け込み深さ情報が入力された
第2加工条件データベース120から、最適な加工条件
を選択し、ステップt3で、この選択された加工条件に
基づいて、突き合わせ部54に向けてレーザ光を出射す
る。次にステップt4に進み、溶接部観察装置78でレ
ーザ光が照射されている溶接部を観察する。その後ステ
ップt5で、溶接終端部を検知すると、ステップt6に
進み、溶接終端処理を行って、ステップt7で溶接作業
が終了する。またステップt6で、溶接終端部が検知さ
れなければ、ステップt1に戻り、上述の制御を繰り返
す。
【0056】上述してきたように、本発明のレーザ溶接
方法では、突き合わせ部54を溶融するための熱源とし
て、レーザ光61,63を使用しているので、突き合わ
せ部54を高速度で厚み方向に溶融することができ、し
たがって高速度で溶接を完了することができる。また、
電子ビーム溶接方法のように、溶接部の雰囲気を真空に
する必要がないので、真空チャンバを必要とせず、レー
ザ溶接装置51の小型化および単純化を図ることができ
る。さらに、真空にするまでの溶接施工の待ち時間を必
要としないので、電子ビーム溶接方法に比べて、溶接作
業の総施工時間が短くて済む。また、電子ビーム溶接方
法に比べて、形成されるビード109.110が大きい
ので、各鋼管52,53の端面55を厳密に加工する必
要がなく、この端面55の開先のギャップ許容度が大き
い。
【0057】また、以上に説明した本発明のレーザ溶接
方法は、たとえばパイプライン敷設作業において好適に
実施され、さらに大容量のガスなどの流体を輸送するた
めの大径の管および高圧輸送に耐えるための厚板の管を
接続するときに、特に好適に実施される。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、レーザ
光を、それぞれ内周面と外周面との両側から、突き合わ
せ部に照射するので、いずれか一方側のレーザ光で、突
き合わせ部を管の厚み方向に完全に溶融させる必要がな
くなる。したがって、いずれか一方側のレーザ光が溶融
すべき金属量が少なくなるので、重力による溶融金属の
垂れ下がり量が少なくなり、溶接作業が阻害されること
が防がれる。また、突き合わせ部の内周面側と外周面側
とを、並行して溶接する構成であるので、従来技術に比
べて作業効率が低下しない。また、いずれか一方側のレ
ーザ光のみによって管の厚み方向に完全に溶融させる必
要がないので、比較的レーザ出力の低いレーザ光を使用
することができる。
【0059】請求項2記載の本発明によれば、先行する
レーザ光によって形成された第1キーホールと追従する
レーザ光によって形成された第2キーホールとが連通す
るおで、突き合わせ部に気孔が形成されるなどといった
不具合が生じない。また、突き合わせ部の厚みの鉛直上
方側領域の金属は、先行するレーザ光によって予熱され
た後に、追従するレーザ光によって溶融されるので、鉛
直上方側領域の溶融金属の温度が高く、この鉛直上方側
領域の溶融金属が硬化するまでの時間が長くなる。した
がって、溶融金属が硬化するまでに、溶接部の気泡が抜
け出すことができるので、ブローホールを防止すること
ができる。また、突き合わせ部の鉛直下方側領域の溶融
金属は、比較的速く硬化するので、この鉛直下方側領域
の重力による溶融金属の垂れ下がりを防止できる。
【0060】請求項3記載の本発明によれば、突き合わ
せ部の内周面側のビードと外周面側のビードとの管の厚
み方向の重なり量が、管の全周に渡って、ほぼ一定に保
持されるので、溶接部の強度および応力が、管の全周に
わたってほぼ均一と成り、溶接部および管の歪みが低減
される。また、レーザ光のレーザ出力を一定に保持する
ので、レーザ出力の可変形のレーザ光発生源を使用する
必要がない。
【0061】請求項4記載の本発明によれば、突き合わ
せ部の内周面側のビードと外周面側のビードとの管の厚
み方向の重なり量が、管の全周にわたって、ほぼ一定に
保持されるので、溶接部の強度および応力が、管の全周
にわたってほぼ均一と成り、溶接完了後の溶接部および
管の歪みが低減される。また、各レーザ光の移動速度を
一定に保持するので、レーザ光を出射するレーザ出力ヘ
ッドの移動機構の構成を単純化することができる。
【0062】請求項5記載の本発明によれば、各レーザ
光は、1つのレーザ発生源から得られた一本のレーザ光
を分光することによって、得られるので、装置台数を減
らすことができ、レーザ溶接装置を低価格で提供するこ
とができる。
【0063】請求項6記載の本発明によれば、突き合わ
せ部の内周面側に形成されたビードの表面が部分的に溶
融されて、滑らかになる。したがって、管内を流れる流
体の流れ抵抗が可及的に少なくなり、圧力損失が少なく
なる。
【0064】また、外周面側に形成されたビードの表面
が部分的に滑らかになることで、外観品質が不良な場
合、改良できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ溶接装置51を示す図である。
【図2】直筒形レーザ出力ヘッド71を示す図である。
【図3】屈折筒形レーザ出力ヘッド72を示す図であ
る。
【図4】本発明のレーザ溶接方法を説明するための図で
ある。
【図5】溶接完了後の溶接部126を示す図である。
【図6】溶接途中の状態を示す図である。
【図7】図6の仮想線で囲まれる領域93を拡大して示
す図である。
【図8】レーザ溶接装置51の制御系統を示すブロック
図である。
【図9】先行するレーザ出力ヘッドを制御する方法を示
すフローチャートである。
【図10】追従するレーザ出力ヘッドを制御する方法を
示すフローチャートである。
【図11】自動MAG溶接装置で、V形開先が形成され
た2本の管2の突き合わせ部5を溶接する方法を示す図
である。
【図12】(a)は、溶接前の突き合わせ部5を示す図
であり、(b)は溶接後の溶接部30を示す図である。
【図13】自動MAG溶接装置で、X形開先が形成され
た2本の管2の突き合わせ部5を溶接する方法を示す図
である。
【図14】(a)は、溶接前の突き合わせ部7を示す図
であり、(b)は溶接後の溶接部32を示す図である。
【図15】プラズマアーク溶接方法で、突き合わせ部9
を溶接する方法を示す図である。
【図16】(a)は、溶接前の突き合わせ部9を示す図
であり、(b)は溶接後の溶接部34を示す図である。
【図17】1パス電子ビーム溶接方法で、突き合わせ部
13を溶接する方法を示す図である。
【図18】(a)は、溶接前の突き合わせ部13を示す
図であり、(b)は溶接後の溶接部35を示す図であ
る。
【図19】1パスレーザ溶接方法で、突き合わせ部17
を溶接する方法を示す図である。
【図20】(a)は、溶接前の突き合わせ部17を示す
図であり、(b)は溶接後の溶接部36を示す図であ
る。
【符号の説明】
51 レーザ溶接装置 52,53 鋼管 54 突き合わせ部 55 端面 56 管固定機構 57 第1レーザ出力ヘッド 58 第2レーザ出力ヘッド 59 レーザ発振器 61 第1レーザ光 63 第2レーザ光 109 第1ビード 110 第2ビード 115 重なり部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略水平に配置され、端面が相互に突き合
    わされた2本の管の突き合わせ部に、レーザ光を照射す
    ることによって、突き合わせ部を加熱溶融し、2本の管
    を接合するレーザ溶接方法において、 前記突き合わせ部の内周面側と外周面側との両側から、
    突き合わせ部の内周面および外周面に向けて、並行して
    レーザ光を照射することを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記突き合わせ部の内周面および外周面
    のうち鉛直下方に臨む面に照射されるレーザ光の照射位
    置が、前記管の周方向に沿って一方向に移動し、 前記突き合わせ部の内周面および外周面のうち鉛直上方
    に臨む面に照射されるレーザ光の照射位置が、前記鉛直
    下方に臨む面に照射されるレーザ光の照射位置に追従し
    て、前記管の周方向に沿って同一方向に移動することを
    特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記突き合わせ部の内周面および外周面
    に向けて照射される各レーザ光のレーザ出力を一定に保
    持した状態で、各レーザ光の照射位置の前記管の周方向
    に沿う一方向への移動速度を制御することによって、突
    き合わせ部の内周面側のビードと、外周面側のビードと
    の前記管の厚み方向の重なり量を全周にわたって、ほぼ
    一定に保持することを特徴とする請求項1または2記載
    のレーザ溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記突き合わせ部の内周面および外周面
    に向けて照射される各レーザ光の照射位置の前記管の周
    方向に沿う一方向への移動速度を一定に保持した状態
    で、各レーザ光のレーザ出力を制御することによって、
    突き合わせ部の内周面側のビードと、外周面側のビード
    との前記管の厚み方向の重なり量を全周にわたって、ほ
    ぼ一定に保持することを特徴とする請求項1または2記
    載のレーザ溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記突き合わせ部の内周面および外周面
    に向けて照射される各レーザ光は、一つのレーザ光発生
    源から出力されたレーザ光を分光することによって得ら
    れることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記
    載のレーザ溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記突き合わせ部を溶接した後、突き合
    わせ部の内周面側あるいは内周面および外周面の両面側
    に形成されたビードに向けて、溶接時よりも出力エネル
    ギの低いレーザ光を照射することを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか一つに記載のレーザ溶接方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008290080A (ja) * 2007-05-22 2008-12-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼板のレーザ溶接方法及び溶接装置
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US7612313B2 (en) * 2006-02-23 2009-11-03 Yamazaki Mazak Corporation Pipe seam detection device of three-dimensional laser beam machine
JP2016182620A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 日立造船株式会社 管のレーザ溶接方法及びその溶接方法を用いて製造されるコイル

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