JP2002035820A - 極細線用スリップ型伸線機 - Google Patents
極細線用スリップ型伸線機Info
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Abstract
なく、またワイヤと案内キャプスタンおよび駆動キャプ
スタンとの間でスリップを起こさせたまま、そしてキズ
発生などの伸線欠陥や断線を発生させることなく、極細
線が製造できるスリップ型伸線機を提供する。 【解決手段】 案内キャプスタンのワイヤとの接触面の
中心線平均表面粗さ(Ra)が0.05μm以下であ
り、かつ、駆動キャプスタンのワイヤとの接触面の中心
線平均表面粗さ(Ra)が0.005〜0.05μmで
ある。
Description
的接続に用いられるボンディングワイヤなどの軟質極細
線用のスリップ型伸線機に関する。
100μm程度のものが一般的に用いられている。この
ようなボンディングワイヤは、通常、Au、Cu、Al
などの金属や、これらの金属を主要元素とし他の元素を
微量添加した合金からなる鋳塊を溝ロールなどにより素
線にし、スリップ型伸線機を用いて所望の線径まで伸線
加工した後、焼鈍することにより製造する。
のワイヤの断面積が減少する(細線になる)につれて伸
線速度が速くなるのに合わせて、案内キャプスタンおよ
び駆動キャプスタン(これらのキャプスタンを含める場
合は、以下単に「キャプスタン」という)の径を大きく
していくコーン型と、キャプスタンの径が一定であるロ
ール型の二種類がある。コーン型およびロール型にはそ
れぞれ長所と短所とがあり、用途に応じて使い分けられ
ている。また、ボンディング作業では、製造したボンデ
ィングワイヤを所定の長さにスプールに巻いたものを用
いる。
するスリップ型伸線機の概略構成図である。図1におい
て、伸線機は、複数次に亘って伸線する複数の伸線ダイ
ス1と、伸線ダイス1の上流側に位置して伸線ダイス1
にワイヤ2を複数次に亘って送り出す案内キャプスタン
3と、伸線ダイス1の下流側に位置して伸線ダイス1か
ら出るワイヤ2を複数次に亘って引張る駆動キャプスタ
ン4とからなる。素線は第1次案内キャプスタン3・1
から送られ第1次伸線ダイス1・1を通過した後、第1
次駆動キャプスタン4・1に巻きつけられて第2次案内
キャプスタン3・2に送られる。第2次案内キャプスタ
ン3・2に送られたワイヤ2は第2次案内キャプスタン
3・2から第2次伸線ダイス1・2を通過した後、第2
次駆動キャプスタン4・2に巻きつけられて第3次案内
キャプスタン3・3に送られる。
第n次案内キャプスタン3・nに送られたワイヤ2は第
n次案内キャプスタン3・nから第n次伸線ダイス1・
nを通過して所定の細い線径に伸線加工された後、第n
次駆動キャプスタン4・nに巻きつけられて第(n+
1)次案内キャプスタン3・(n+1)に送られる。こ
こで、nは1以上の整数である。そして、第(n+1)
次案内キャプスタン3・(n+1)からスプール5に巻
き取られる。このような伸線では、案内キャプスタン3
および駆動キャプスタン4の周速をワイヤの送り速度よ
り僅かに速くして、ワイヤ2と案内キャプスタン3およ
び駆動キャプスタン4と間でスリップを起こさせてい
る。
半導体組み立てコストの削減のために、従来より細い線
径(例えば10〜20μm)の極細線が求められるよう
になってきている。しかし、ワイヤは、線径が細くなる
につれ抗張力が激減して小さくなる上に軟質であるた
め、極細線を製造しようとすると、キャプスタンに巻き
込まれて断線する現象が多発するという問題点があっ
た。
材の粘度を低くする方法や、ワイヤの送り速度とキャプ
スタンの周速とをできるだけ一致させる方法が考えられ
る。しかし、潤滑材の粘度を低くする方法では、ワイヤ
の潤滑性が低下するため引抜き力が増大して、キズなど
の伸線欠陥や断線が誘発される。ボンディングワイヤ表
面の加工欠陥は、製品不良の一種であり、厳しく管理さ
れる。また、送り速度と周速とを一致させる方法では、
引抜き加工のための十分な駆動力が得られず、伸線加工
に支障をきたす。
鑑み、従来通りに潤滑材の粘度を特に低くすることな
く、またワイヤとキャプスタンとの間でスリップを起こ
させたまま、そしてキズなどの伸線欠陥や断線を発生さ
せることなく、極細線が製造できるスリップ型伸線機を
提供することを目的とする。
明の極細線用スリップ型伸線機は、案内キャプスタンの
ワイヤとの接触面の中心線平均表面粗さ(Ra)(以下
「案内Ra」という)が0.05μm以下、好ましくは
0.01μm以下であり、通常0.001μm以上であ
る。かつ、駆動キャプスタンのワイヤとの接触面の中心
線平均表面粗さ(Ra)(以下「駆動Ra」という)が
0.005〜0.05μmである。キャプスタンは、材
質がセラミックスであるのが好ましい。
機は、案内Raおよび駆動Raを可能な限り低く抑えた
ものである。これにより、ワイヤとそれに接触するキャ
プスタンとの摩擦係数が低減するので、ダイス方向にか
かる摩擦力が減少し、ワイヤ張力が増加する。そのた
め、ワイヤは弛まず、キャプスタン回転に巻き込まれて
断線することがなくなる。また、キャプスタンのワイヤ
と接触する表面が滑らかであるため、キャプスタンによ
るボンディングワイヤ表面欠陥の発生が抑えられる。従
って、案内Raおよび駆動Raは小さい方がよく、0.
05μm以下とする必要がある。特に、案内Raを0.
01μm以下とすると、案内キャプスタンへのワイヤの
巻き込みが皆無となる。しかし、送り出しに必要な最少
の摩擦力を維持しなければならない。通常、案内Raは
0.001μm程度まで低くすることができる。
0.005μm以上とする必要がある。何故なら、駆動
キャプスタンはワイヤとの摩擦力によりダイス引抜きの
駆動力が付加されるので、摩擦力が極度に低下すると該
駆動力の不足を招く。ダイス引抜きの駆動力が不足する
と、ワイヤの張力が増加する。それと同時に、線径が細
くなってワイヤの抗張力が低くなるために、巻き込みに
よらないで断線するからである。
性、防錆性などの観点からセラミックスとするのが望ま
しい。セラミックスの具体例に、アルミナ、ジルコニ
ア、イットリア、炭化珪素、窒化珪素などを挙げること
ができる。
も、ロール型でもよい。特に、ロール型は、従来、線径
がまだ太い最初のダイス付近では、ワイヤ速度とキャプ
スタンの周速との差が非常に大きい(キャプスタンの周
速が圧倒的に大きい)ために、ワイヤがキャプスタンに
巻き込まれやすかった。従って、案内Raおよび駆動R
aを低減させたロール型の本発明スリップ型伸線機は、
巻き込み防止に非常に効果的である。
に説明する。
9.999重量%のAuにCaを10重量ppm添加し
た合金鋳塊を作製し、溝ロールにて圧延した後、伸線加
工を繰り返して、線径が38.0μmの素線を得た。
20.0μmになるまで上記素線を伸線した。なお、伸
線条件は次の通りである。
タンの最終研磨で遊離砥粒仕上げをすることにより、案
内Raおよび駆動Raを種々の値に調整した(表1参
照)。なお、これら案内Raおよび駆動Raの値は、表
面粗さ測定装置(東京精密(株)製surfcom47
5A型)を用いて得た。
率:9.4%。
アルキルエーテルを主成分とした水溶性潤滑剤を容量に
て20倍(実施例1〜5、比較例1、2、3、5)およ
び100倍(比較例4)に希釈したもの(表1参照)。
式):10%(実施例1〜5、比較例1〜4)および3
%(比較例5)(表1参照)。
周速(キャプスタンの径および回転速度から求める)、
d:伸線速度) (7)総伸線長:500km。
上がりのボンディングワイヤの表面欠陥を観察した。こ
れらの方法は次の通りである。
プスタンに巻き込まれたことによる断線の回数と、それ
以外の箇所で断線した回数とを区別して集計した。
ボンディングワイヤの表面を無作為に20視野採取し、
40倍の実体顕微鏡で欠陥の有無・多少を観察した。
3および比較例5において巻き込み以外によって起こっ
た断線(8回(比較例3)、7回(比較例5))の大部
分は最終線径である20.0μmのダイスの直後で起き
た。また、伸線上がりのボンディングワイヤ(線径2
0.0μm)の抗張力は150mNであった。
分かる。
駆動Raを所定範囲に制御したために、巻き込みによる
断線回数が大幅に減少し、かつボンディングワイヤ表面
欠陥の発生がない。また、巻き込みによらない断線回数
も少ない。
たために、巻き込みによる断線が多発しそれが大部分を
占め、また駆動Raを大きくしたために、ボンディング
ワイヤの一部に表面欠陥が見られた。
たために、巻き込みによる断線回数が減少している。し
かし、駆動Raを大きくしたために、ボンディングワイ
ヤの一部に表面欠陥が見られた。
さくしたために、巻き込みによる断線が起きていない。
また、案内Raおよび駆動Raが小さいために、ボンデ
ィングワイヤ表面欠陥の発生がない。しかし、駆動Ra
を小さくしすぎたために、巻き込みによらない断線回数
が増大している。これは、駆動キャプスタンによる駆動
力が低下したためワイヤの張力が増加し、最も抗張力の
低い最終ダイス通過後に断線したものと考えられる。
を防止するために、潤滑剤成分の濃度を下げて潤滑剤の
粘度を低下させた。その結果、巻き込みによる断線回数
が大幅に減少しているが、ボンディングワイヤ表面欠陥
は逆に悪化している(比較例1参照)。これは、潤滑剤
の潤滑性が乏しくなったためと考えられる。
を防止するために、スリップ率を低くして、ワイヤの送
り速度とキャプスタンの周速との差を小さくした。その
結果、巻き込みによる断線回数が大幅に減少している
が、巻き込みによらない断線回数が増大している(比較
例1参照)。これは、駆動キャプスタンでの駆動力低下
が影響しているためと考えられる。なお、案内Raおよ
び駆動Raは大きくしたままなので、比較例1と同様に
ボンディングワイヤの一部に表面欠陥が観察されてい
る。
来通りに潤滑材の粘度を特に低くすることなく、またワ
イヤとキャプスタンとの間でスリップを起こさせたま
ま、そしてキズなどの伸線欠陥や断線を発生させること
なく、極細線が製造できる。
型伸線機の概略構成図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 案内キャプスタンのワイヤとの接触面の
中心線平均表面粗さ(Ra)が0.05μm以下であ
り、駆動キャプスタンのワイヤとの接触面の中心線平均
表面粗さ(Ra)が0.005〜0.05μmである極
細線用スリップ型伸線機。 - 【請求項2】 案内キャプスタンのワイヤとの接触面の
中心線平均表面粗さ(Ra)が0.001μm以上であ
る請求項1に記載の極細線用スリップ型伸線機。 - 【請求項3】 案内キャプスタンのワイヤとの接触面の
中心線平均表面粗さ(Ra)が0.01μm以下である
請求項1または2に記載の極細線用スリップ型伸線機。 - 【請求項4】 案内キャプスタンは、材質がセラミック
スである請求項1、2または3に記載の極細線用スリッ
プ型伸線機。 - 【請求項5】 駆動キャプスタンは、材質がセラミック
スである請求項1に記載の極細線用スリップ型伸線機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000221634A JP3767339B2 (ja) | 2000-07-24 | 2000-07-24 | 極細線用スリップ型伸線機 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3767339B2 JP3767339B2 (ja) | 2006-04-19 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005297037A (ja) * | 2004-04-14 | 2005-10-27 | Tanaka Electronics Ind Co Ltd | 極細線への伸線方法 |
JP2007307587A (ja) * | 2006-05-18 | 2007-11-29 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 極細線伸線方法および極細線伸線装置 |
JP2019025506A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 京セラ株式会社 | キャプスタンロール |
-
2000
- 2000-07-24 JP JP2000221634A patent/JP3767339B2/ja not_active Expired - Fee Related
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