JP2002034768A - 制電カーペット - Google Patents

制電カーペット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体に帯電した静電気を瞬時し、しかも確実
に吸収除去することができる制電カーペットを提供する
こと。 【解決手段】 パイル糸打ち込み用基布13と、この基
布12表面に接着された放電シート13と、前記基布1
2及び放電シート13に打ち込まれたパイル糸14と、
パイル糸14を打ち込んだ基布12及び放電シート13
の裏面側に形成されたバッキング層15とからなる制電
カーペット11において、前記放電シート13表面に導
電性粉末16を含む樹脂コーティング層17と導電性金
属蒸着層18とを形成すると共に、この放電シート13
の両表面に前記基布12を接着したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車床面に敷
設されるカーペットやマット、コンピュータのオペレー
ション用チェアマット、部屋の出入口に敷設される床面
用マット、エレベータ内やエレベータホールの開閉扉前
に敷設される床面用マット、玄関マット、或はフロアカ
ーペットなどとして用いられる制電カーペットに関す
る。詳細には人体に帯電した静電気を瞬時に、しかも確
実に吸収除去することができる制電カーペットに関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
制電カーペットとしては、本出願人が出願した特開平2
−14936号公報において提案したものがある。この
制電カーペット1は、図7に示すように、パイル糸4が
打ち込まれている基布2裏面に、導電性繊維を使用して
形成した繊維シートであって、シート表面に前記導電性
繊維の先端がアンテナのように多数突出していて、静電
気を空中放電させる機能を持つ放電シート6を接着剤9
を介して接着し、この放電シート6の裏側にバッキング
層7を形成したものである。
【0003】そして、この制電カーペット1に接触する
ことにより、人体に帯電した静電気は、制電カーペット
1に瞬時に吸収され、かつ空中放電されて静電気が除去
できるになっていた。
【0004】ところがこの制電カーペットにあっては、
10KVの帯電圧を約3KVまで減衰させることができ
る能力を持ってはいるものの、人によっては3KVの帯
電圧であっても、金属類などに接地したときに電撃ショ
ックを感じる場合もあり、より高性能な制電カーペット
が求められていた。
【0005】本発明者は、このような要望に応えるべ
く、人体に帯電した静電気を瞬時に、しかもより確実に
吸収除去できる制電カーペットについて鋭意研究を重
ね、ここに本発明を完成させた。
【0006】すなわち本発明は、人体に帯電した静電気
を瞬時に、しかも確実に吸収除去することができる制電
カーペットを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、パイル糸打ち込み用基布
と、この基布表面に接着された放電シートと、前記基布
及び放電シートに打ち込まれたパイル糸と、パイル糸を
打ち込んだ基布及び放電シートの裏面側に形成されたバ
ッキング層とからなる制電カーペットにおいて、前記放
電シート表面に導電性粉末を含む樹脂コーティング層と
導電性金属蒸着層とを形成すると共に、この放電シート
の両表面に前記基布を接着したことを特徴とする制電カ
ーペットをその要旨とした。
【0008】請求項2記載の発明は、導電性粉末がカー
ボン粉末であることを特徴とする制電カーペットをその
要旨とした。
【0009】請求項3記載の発明は、導電性金属蒸着層
が凹凸加工された合成樹脂フィルムに導電性金属を蒸着
した金属蒸着フィルムであることを特徴とする制電カー
ペットをその要旨とした。
【0010】請求項4記載の発明は、導電性金属蒸着層
が放電シートの一方表面に導電性金属を直接蒸着した金
属蒸着層であることを特徴とする制電カーペットをその
要旨とした。
【0011】請求項5記載の発明は、導電性金属がアル
ミニウムであることを特徴とする制電カーペットをその
要旨とした。
【0012】請求項6記載の発明は、パイル糸が先端を
鋭角にカットされた導電性繊維を含むことを特徴とする
制電カーペットをその要旨とした。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の制電カーペットを
図面に従って詳細に説明する。本発明の制電カーペット
は、例えば自動車床面に敷設されるカーペットやマッ
ト、コンピュータのオペレーション用チェアマット、部
屋の出入口に敷設される床面用マット、エレベータ内や
エレベータホールの開閉扉前に敷設される床面用マッ
ト、玄関マット、或はフロアカーペットなどとして用い
られる。
【0014】図1及び図2に示すように、この制電カー
ペット11は、パイル糸打ち込み用基布12と、この基
布12表面に接着された放電シート13と、前記基布1
2及び放電シート13に打ち込まれたパイル糸14と、
パイル糸14を打ち込んだ基布12及び放電シート13
の裏面側に形成されたバッキング層15とからなる。
【0015】基布12は、不織布、メッシュ、ポリアミ
ド系織布などの多孔性シートを所定の形状に裁断したも
のである。この基布12は放電シート13の両面に積層
一体化されている。
【0016】放電シート13は、炭素繊維、導電性セラ
ミック繊維、金属繊維、あるいは合成繊維に導電性粉末
や導電性金属を付着(メッキ)したり練り込んだりした
導電性繊維を使用して形成された繊維シート表面にその
導電性繊維の一部がアンテナのように突出しているもの
であり、人体に帯電した静電気を吸収すると共に、この
シート13表面にアンテナのように突出する導電性繊維
の一部から空中放電させる機能を持つシートである。
【0017】このような放電シート13としては、例え
ば特開昭62−156395号公報に記載されたものの如く、導
電性繊維3〜15重量%、ポリエステル繊維等の合成繊維
20〜70重量%、残部木材パルプ及び接着剤からなる紙が
好ましい。
【0018】特開昭62−156395号公報記載の放電シート
13の場合、導電性繊維及び合成繊維の繊度としては、
ともに1ないし5d、繊維長は3〜6mmであることが好ま
しい。またこの放電シート13は、これら導電性繊維、
合成繊維、木材パルプ及び接着剤を上記範囲内の比率で
混合し、この混合物を叩解機を通して更に細断して均一
な混合物とした後、湿式抄紙法によって製造される。
【0019】このように製造された放電シート13の1
平方センチメートル当りには、50本以上の導電性繊維
(図示しない)が同放電シート13表面より垂直方向或
いは斜め方向に不規則に突出しており、この突出部より
静電気が空中放電するようになっている。
【0020】尚、放電シート13としては、上に例示し
たものに限らず、導電性繊維を使用して織成または編成
した織布や編み物、不織布などを挙げることができる。
【0021】図3〜5図に示すように、この放電シート
13表面には導電性粉末16を含む樹脂コーティング層
17と導電性金属蒸着層18とが形成されている。これ
ら樹脂コーティング層17及び導電性金属蒸着層18
は、放電シート13の持つ静電気吸収性能や空中放電性
能を高めると共に、パイル糸14の打ち込みに際し、放
電シート13の放電構造が容易に破壊されないように、
これを保持するに十分な形態保持性を付与するものであ
る。
【0022】図3及び図4に示すように、樹脂コーティ
ング層17及び導電性金属蒸着層18は、放電シート1
3の一方面に樹脂コーティング層17、他方面に導電性
金属蒸着層18を形成するなど、別々に設けてもよく、
図5に示すように放電シート13の一方面側に導電性金
属蒸着層18、その上面に樹脂コーティング層17と言
った具合に積層して形成することもできる。
【0023】特に図5に示す形態は、放電シート13の
他方面側には樹脂コーティング層17や導電性金属蒸着
層18が形成されず開放状態となるので、放電シート1
3本来のシート表面にアンテナのように突出する導電性
繊維による空中放電機能が十分に発揮される。
【0024】樹脂コーティング層17は、例えばカーボ
ン、導電性のセラミックス、金属などの導電性粉末16
を水又はアルコール中に合成樹脂と共に分散したエマル
ジョンを放電シート13に塗布し、乾燥させることで形
成することができる。
【0025】この場合、放電シート13の樹脂コーティ
ング層17を形成した側面は、放電シート13を構成す
る繊維表面に樹脂を介して導電性粉末16が付着するこ
とになり、当該放電シート13の電気容量はより大きく
なる。この結果、人体に帯電した静電気をより効果的に
吸収できるようになる。また放電シート13表面はコー
ティングされた樹脂によって補強されるので機械的強度
が向上し、パイル糸14の打ち込みに際し、放電シート
13の放電構造が容易に破壊されないようになる。
【0026】導電性金属蒸着層18は、図3に示すよう
に、アルミニウム、金、銀、銅などの導電性金属を合成
樹脂フィルム(好ましくは導電性樹脂をフィルム化した
もの)表面に蒸着したもの、あるいは図4に示すよう
に、放電シート13表面に導電性金属を直接蒸着したも
のである。図3に示す形態では、合成樹脂フィルムが凹
凸加工(エンボス加工)されていて、起伏に富む表面形
状を有していることから、その表面に導電性金属を蒸着
したとき、導電性金属蒸着層18の凸部がアンテナとな
って空中放電性能を持つようになり、放電シート13の
放電性能をより高めることになる。
【0027】図4に示す形態は、放電シート13表面に
導電性金属を蒸着したものであり、放電シート13表面
側の構成繊維表面に導電性金属が直接付着し、放電シー
ト13の表面形状がそのまま導電性金属蒸着層18とし
て映し出されている。このため、より効果的に静電気が
空中放電されるようになる。
【0028】前述した如く放電シート13や導電性金属
蒸着層18は、踏み付けたりしたときに加わる外力やパ
イル糸14の打ち込みに際に加わる外力で容易にその構
造が破損されてしまうので、これらを保護する目的で放
電シート13の両表面には前記基布12が接着されてい
る。この場合、接着剤は付着量を多くしすぎたり、全面
接着したりすると、放電シート13や導電性金属蒸着層
18、あるいは樹脂コーティング層17の機能を阻害す
る恐れがあるので、この点を考慮して接着剤の付着量、
付着形態を適宜決定するとよい。また接着剤には、カー
ボンなどの導電性粉末を含ませておけば電気容量が増
し、静電気の吸収性能がより向上することになる。
【0029】上記の如く積層一体化された基布12及び
放電シート13にはパイル糸14が打ち込まれている。
図6に示すようにパイル糸14は、複数本の合成繊維
に、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、あるいは合
成繊維に導電性粉末や導電性金属を付着(メッキ)した
り練り込んだりした導電性繊維19を複数本加えて束
ね、これを撚り合わせて所定の太さに設けたものであ
る。
【0030】そしてこのパイル糸14を前記基布12及
び放電シート13を貫通させ略U字状となるように打ち
込むのである。こうしてパイル糸14が打ち込まれたと
き、当該制電カーペット11に人体が接触すると、人体
に帯電する静電気はパイル糸14に含まれる導電性繊維
19を通じて前記放電シート13へと導かれる。
【0031】またパイル糸14に含まれる導電性繊維1
9の先端は鋭角にカットされており、この導電性繊維1
9の先端がアンテナとなって人体から流れた静電気の一
部が空中放電されるようになっている。
【0032】こうしてパイル糸14が打ち込まれた基布
12及び放電シート13の内側面にバッキング層15が
形成されている。尚、図面に示す形態では、バッキング
層15の形成に先立って、基布12及び放電シート13
の内側面にSBRによるプレコートがなされていて、当
該カーペットの製造時の際のパイル糸14の抜け止めが
なされている。
【0033】バッキング層15は、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン共重合体(SBS)、アクリル樹脂、ウレ
タン樹脂などの高分子、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イ
ソプレンゴム(IR)などのゴム系高分子、またはこれ
らを複数種混合したものによって構成されている。図面
に示すバッキング層15には、防音性、成形性、機械的
強度に優れるSBSを用いた。
【0034】尚、バッキング層15内には、カーボンブ
ラックや炭酸カルシウム、硫酸バリウムあるいは繊維な
どのフィラーを充填することもできる。バッキング層1
5の裏面側にはズレ防止用突起20が形成されている。
【0035】このように構成した制電カーペットにあっ
ては、当該制電カーペットに人体が接触することによ
り、人体に帯電した静電気が、パイル糸の導電性繊維及
び放電シートを通して吸収され、かつ空中放電されるよ
うになっており、静電気の放電により人体が受ける電撃
ショックを完全に解消できるようになっている。
【0036】
【発明の効果】本発明の制電カーペットにあっては、放
電シート表面に導電性粉末を含む樹脂コーティング層と
導電性金属蒸着層とを形成すると共に、この放電シート
の両表面に前記基布を接着したので、放電シートの持つ
静電気吸収性能や空中放電性能をより向上すると共に、
パイル糸の打ち込みに際し、放電シートの放電構造が容
易に破壊されないだけの十分な形態保持性を有してい
て、人体に帯電した静電気を瞬時に、しかも確実に吸収
除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の制電カーペットを示した一部破断斜
視図である。
【図2】 同じく本発明の制電カーペットの要部拡大断
面図である。
【図3】 本発明の制電カーペットにおける放電シート
を示した拡大断面図である。
【図4】 放電シートの別例を示した拡大断面図であ
る。
【図5】 放電シートのさらに別の例を示した拡大断面
図である。
【図6】 パイル糸を示した拡大斜視図である。
【図7】 従来の制電カーペットを示す要部拡大断面図
である。
【符号の説明】
12・・・基布 13・・・放電シート 14・・・パイル糸 15・・・バッキング層 16・・・導電性粉末 17・・・樹脂コーティング層 18・・・導電性金属蒸着層 19・・・導電性繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 11/00 C (72)発明者 山田 耕平 岐阜県羽島郡笠松町北及1682番地 株式会 社大和内 Fターム(参考) 3B088 FB03 FB04 FB05 FC01 3B120 AC09 AD07Y AD17Y BA37 EA10 EB08 4F100 AA37D AB01E AB10E AD00 AD11 AK01D AK01E AK27 AK27J AK29 AK29J AK41 AK46 AK73 AN02 AN02J AR00B AS00C BA05 BA07 CB00 DD01E DE01D DG01E DG02 DG07E DG08E DG10 DG11A DG11E DG12 DG15 DG16E EC08E EH66E GB33 GB48 GB81 JG01D JG01E JG03 JG03B 4L031 BA02 BA04 CB13 DA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パイル糸打ち込み用基布と、この基布表
    面に接着された放電シートと、前記基布及び放電シート
    に打ち込まれたパイル糸と、パイル糸を打ち込んだ基布
    及び放電シートの裏面側に形成されたバッキング層とか
    らなる制電カーペットにおいて、 前記放電シート表面に導電性粉末を含む樹脂コーティン
    グ層と導電性金属蒸着層とを形成すると共に、この放電
    シートの両表面に前記基布を接着したことを特徴とする
    制電カーペット。
  2. 【請求項2】 導電性粉末がカーボン粉末であることを
    特徴とする請求項1記載の制電カーペット。
  3. 【請求項3】 導電性金属蒸着層が凹凸加工された合成
    樹脂フィルムに導電性金属を蒸着した金属蒸着フィルム
    であることを特徴とする請求項1記載の制電カーペッ
    ト。
  4. 【請求項4】 導電性金属蒸着層が放電シートの一方表
    面に導電性金属を直接蒸着した金属蒸着層であることを
    特徴とする請求項1記載の制電カーペット。
  5. 【請求項5】 導電性金属がアルミニウムであることを
    特徴とする請求項1、3及び4のいずれかに記載の制電
    カーペット。
  6. 【請求項6】 パイル糸が先端を鋭角にカットされた導
    電性繊維を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の制電カーペット。
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