JP2002033072A - 四極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回路 - Google Patents

四極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回路

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JP2002033072A
JP2002033072A JP2000217533A JP2000217533A JP2002033072A JP 2002033072 A JP2002033072 A JP 2002033072A JP 2000217533 A JP2000217533 A JP 2000217533A JP 2000217533 A JP2000217533 A JP 2000217533A JP 2002033072 A JP2002033072 A JP 2002033072A
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digital
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quadrupole
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JP2000217533A
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Tetsuya Abe
哲也 阿部
Seiji Hiroki
成治 廣木
Satoshi Hamada
智 浜田
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Japan Atomic Energy Agency
Original Assignee
REMFF CRAFT KK
Japan Atomic Energy Research Institute
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が簡単で、調整が簡単で、小型で、安価
な四極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回路を提
供することにある。 【解決手段】 マイクロプロセッサにより次の動作が全
てディジタルに行われる。ディジタル可変高周波発振手
段50により周波数可変のディジタル高周波電圧を発生
する。ディジタル包絡線検出手段54により四極子電極
印加電圧の包絡線がディジタルに検出され、ディジタル
比較手段58により基準ノコギリ波と比較され誤差が生
成され、ディジタルPID制御手段60により誤差が係
数に変換され、ディジタル乗算手段52により高周波電
圧と係数とが乗算され、その後D/A変換されて、増幅
・昇圧後に四極子電極に印加される。直流電圧も検出さ
れたディジタル包絡線値からディジタル可変増幅手段6
4により生成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧以下の真空
圧力を計測する圧力測定器における分圧測定用四極子質
量分析計用の四極子電極印加電圧発生回路に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】圧力測定器における分圧測定用四極子質
量分析計では、四極子電極の対向電極同士を接続し、こ
れに高周波電圧と直流電圧の、ある一定の比率で加えた
ものを電極に印加することで、特定の質量−電荷数比
(M/e)に対応するイオンのみを選択的にふるい分け
る、いわゆる質量分離作用を行わせる。四極子質量分析
計では通常、M/e=1から連続的な質量スペクトルを
得るために、高周波電圧と直流電圧を基準ノコギリ波で
変調させた電圧を四極子電極に印加する。
【0003】四極子質量分析計の四極子電極に印加され
る制御された電圧を発生する従来の典型的な回路を図3
に示す。図3のように水晶発振器101で発振させた正
弦波の高周波電圧(周波数は約1MHz、2MHz、3
MHz及び5MHzのうちの1つである。)をある程度
の大きさに高周波増幅器1(RFAMP1)102で増
幅し、コントロール回路(図示せず)から入力される基
準ノコギリ波120と乗算器103で乗算して、その高
周波の振幅を振幅変調する。変調出力は、高周波トラン
ス109を駆動する高周波増幅器2(RFAMP2)1
04に送られ、高周波トランス109の一次側コイル1
09a1を駆動する。高周波トランス109で100V
程度の高周波電圧は一気に1000V以上にまで昇圧さ
れ、別に送られてくる直流電圧と重畳されて四極子電極
115に印加される。高周波トランス109の二次側を
形成する2つのコイル109b1、109b2のそれぞ
れには並列に可変コンデンサ110、111が接続さ
れ、水晶発振器101の発振周波数に同調するようにそ
の静電容量が調整される。そして、同調を取ることによ
り回路は並列共振状態となり、高周波電圧の最大電圧が
得られると共に、駆動する高周波増幅器2(RFAMP
2)104の電力も最小になる。高周波トランス109
では、四極子電極印加電圧を監視するため、高周波トラ
ンス109の一次側に別巻線のコイル109a2が設け
られ、四極子電極印加電圧に比例した高周波電圧が直接
検出される(なお、二次側に分圧回路を挿入する検出も
あり得る)。検出された高周波電圧は、検波回路108
で包絡線検波され、ローパスフィルタ107で脈動成分
が除去され、更にコントロール回路からの基準ノコギリ
波120の電圧と比較器105により比較され、次いで
誤差を訂正するためPID制御器106に送られる。高
周波電圧に重畳される直流電圧は、高周波電圧とある一
定の比を保たねばならないので、先の高周波電圧の検波
電圧を取り出して、それをもとにして+DC増幅器(+
DCAMP)112及び−DC増幅器(−DCAMP)
113で増幅して大きさが同じで正負の1対の直流電圧
を生成して高周波トランス109の二次側のそれぞれの
コイル109b1、109b2を介して四極子電極に印
加する。なお、二次側コイル109b1と109b2と
の間に挿入されているコンデンサ114は、高周波電圧
を通し、直流電圧の通過を阻止するためのものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の四極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回路は、
個々のアナログ回路を組み合わせていたため、個々の素
子の温度特性や周波数特性、直線性や安定性などがまち
まちであったため、制御された電圧を発生するための回
路全体として必要な性能を満たすために複雑な補正回路
を更に組み込んだり、複雑な調整を必要とされていた。
このため部品点数が多くなり、調整のための作業時間も
多くなり、コストダウンも難しく、回路の嵩も大きく小
型化ができなかった。
【0005】詳細には、水晶発振器の発振周波数に同調
するための高周波トランス109の二次側の同調回路の
コンデンサ110及び111に可変コンデンサを用いて
いるため、静電容量が経時的に変化しやすく、測定中に
さえしばしば再調整が必要であり、また、調整毎の調整
のばらつきに起因する質量分析誤差も問題であった。な
お、コンデンサを固定型にして、水晶発振器を可変周波
数発振器にするのは発振器に可変容量ダイオード、可変
コンデンサ等を用いたりすることになるため、発振周波
数の温度及び経時変動が質量分析に必要な範囲に収まら
ず実用性がない。
【0006】質量分析は、最適な解像度を得るために、
被測定質量により、最適な周波数が異なり、最適な周波
数としては例えば1MHz、2MHz、3MHz、5M
Hzと大きく離れている。図3に示されるような従来の
アナログ構成では、1MHzから5MHzまでをカバー
するため水晶発振器、同調回路等に選択型を採用する
と、安定性に欠け使用に耐える装置にすることは極めて
難しかった。そのため、1MHzから5MHzまでをカ
バーするには各周波数に対して独立に図3の回路を構成
する必要があり、従って4個の回路を設けることにな
り、極めて高価となるので、現実にそのような使用は行
われてなく、1つの周波数の高周波電圧を発生する回路
のみを用いて感度を犠牲にして測定していた。
【0007】また、正確で安定に測定するためには、測
定中に高周波電圧と直流電圧との比は極めて一定であ
る、例えば10-5のオーダの変動内にあることが必要で
ある。そのため+DCAMP 112及び−DCAMP
113は、可変抵抗器用いて利得を変えられるような
可変DC増幅器を採用している。しかしながら、可変抵
抗器は機械式のワイパーを用いているため振動や機械的
ショックのため抵抗値が変動し、また気中にされされて
いる抵抗体の吸湿性や電食等のため接触抵抗の変動が生
じるので、可変DC増幅器の利得もそれに伴い変動し、
その結果高周波電圧と直流電圧の比を測定に必要な変動
内に維持することが極めて困難であった。実際には、測
定中に可変DC増幅器の利得の温度や経時変動が生じる
とその都度、熟練を要する調整を長時間行っていた。
【0008】本発明の課題は、構成が簡単で、調整が簡
単で、小型で、安価な四極子質量分析計用四極子電極印
加電圧発生回路を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、四極子に直流と高周波の重畳電圧を印加して質量分
離作用を行わせる本発明の四極子質量分析計用四極子電
極印加電圧発生回路は、高周波電圧発生部、当該高周波
電圧発生部で発生され前記四極子に印加された高周波電
圧に基づいて直流電圧を生成する直流電圧生成部、及び
前記高周波電圧発生部で発生された高周波電圧を昇圧し
かつ前記の生成された直流電圧を昇圧された高周波電圧
に重畳して前記四極子電極に印加する昇圧・重畳部とを
備え、当該昇圧・重畳部は高周波の周波数に同調する周
波数同調部を有し、かつ前記周波数同調部が固定の同調
周波数を有するよう構成されており、前記高周波電圧発
生部が、ディジタルに可変の周波数の高周波電圧を発生
するディジタル可変高周波数電圧発生手段を備えること
を特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の四
極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回路の一好適
実施形態を説明する。図1は、本発明の四極子質量分析
計用四極子電極印加電圧発生回路の一好適実施形態をブ
ロック図である。図1において、図3における参照番号
と同一の参照番号を付した構成要素は同じ又は類似の構
成要素を示し、その説明を繰り返さない。図1におい
て、参照番号10はマイクロプロセッサを、参照番号1
2はマイクロプロセッサ10に接続された外部メモリ
を、参照番号14はマイクロプロセッサ10に接続され
クロック信号を与える水晶発振器を、参照番号16はマ
イクロプロセッサ10に接続され条件を設定あるいは情
報を入力するための設定・入力装置を、参照番号18は
マイクロプロセッサ10に接続されそれから出力される
情報を表示するディスプレイを、参照番号20はマイク
ロプロセッサ10に接続されたリレー群を、参照番号2
2はマイクロプロセッサ10に接続されそれから出力さ
れたディジタルの高周波電圧をアナログ形式に変換して
RFAMP 104に出力するディジタル/アナログ
(以下「D/A」と記す。)変換器を、参照番号24は
高周波トランス109の一次側コイル109a2に接続
され、検出された四極子印加電圧に比例した高周波電圧
を増幅する(実際には減衰させる)減衰とバッファ機能
を有する高周波増幅器を、参照番号26は高周波増幅器
24に接続されそれからのアナログの高周波電圧をディ
ジタル形式に変換してマイクロプロセッサ10に出力す
るアナログ/ディジタル(以下「A/D」と記す。)変
換器を、参照番号28はA/D変換器26からのディジ
タル高周波電圧をマイクロプロセッサ10において処理
・生成(後述)されたディジタル直流電圧を受け取って
アナログ形式に変換するD/A変換器をそれぞれ示す。
マイクロプロセッサ10は、中央演算処理装置(以下
「CPU」と記す。)30、タイマ32、メモリ34及
びI/Oインタフェース36を含む。更に、高周波トラ
ンス109の二次側コイル109b1及び109b2の
各両端間にはそれぞれ固定静電容量を有するコンデンサ
C1a、C2a、C3a、C4a、C1b、C2b、C
3b、C4bが、リレー群20のリレー1、2、3、4
の対応スイッチS1a、S2a、S3a、S4a、S1
b、S2b、S3b、S4bを介して接続されている。
コンデンサC1a、C2a、C3a、C4a、C1b、
C2b、C3b、C4bは、各コンデンサと高周波トラ
ンス109の二次側コイル109b1及び109b2の
それぞれと1MHz、2MHz、3MHz、5MHzの
それぞれに同調(共振)する固定静電容量値を有する。
ここでは、コンデンサC1a、C1bの静電容量値は1
MHzの同調周波数を有する値であり、コンデンサC2
a、C2bの静電容量値は2MHzの同調周波数を有す
る値であり、コンデンサC3a、C3bの静電容量値は
3MHzの同調周波数を有する値であり、コンデンサC
4a、C4bの静電容量値は5MHzの同調周波数を有
する値であるとする。外部メモリ12、設定・入力装置
16、ディスプレイ18、リレー群20、D/A変換器
22、A/D変換器26及びD/A変換器28は、マイ
クロプロセッサ10とはそのI/Oインタフェース36
を介してそれぞれ接続されている。
【0011】図2は、マイクロプロセッサ10、外部メ
モリ12及び水晶発振器14により実行される機能を示
す図である。これらの構成要素が以下に説明するように
機能するためのプログラムがメモリ34に記憶されてお
り、CPU 30は各機能を実行するためのプログラム
をメモリ34から適時読み出して実行する。参照番号5
0は、CPU 30、水晶発振器14、外部メモリ12
及びタイマ32からなりディジタルに可変高周波数の電
圧を発振するディジタル可変高周波発振手段を示す。参
照番号52はディジタル可変高周波発振手段50からの
ディジタル高周波電圧にある係数(後述)を乗算してD
/A変換器22に出力するディジタル乗算手段を、参照
番号54はA/D変換器26からのディジタル高周波電
圧を受け取りその包絡線をディジタルに検出するディジ
タル包絡線検出手段を、参照番号56は基準のノコギリ
波をディジタルに発生するディジタル・ノコギリ波発生
手段を、参照番号58はディジタル包絡線検出手段54
からの検出されたディジタル包絡線値とディジタル・ノ
コギリ波発生手段56からのディジタルの基準ノコギリ
波とを受け取りディジタル比較してその誤差を生成する
ディジタル比較手段を、参照番号60はディジタル比較
手段58からのディジタル誤差をディジタルに増幅して
ディジタル誤差に対応した係数を生成するディジタルP
ID制御手段を、参照番号62は後述の自動同調のため
開ループにするためディジタルPID制御手段60とデ
ィジタル乗算手段52との間の接続を切るためのディジ
タル・スイッチ手段を、参照番号64はディジタル包絡
線検出手段54からの検出されたディジタル包絡線値を
ディジタルで可変に増幅できるディジタル可変増幅手段
をそれぞれ示す。
【0012】次に図1及び図2に示される本発明のディ
ジタル構成型の四極子質量分析計用四極子電極印加電圧
発生回路の動作を説明する。ディジタルに正弦波を生成
する方法としては、いわゆるアナログ発振回路をマイク
ロプロセッサ10でディジタル的にシミュレーションす
る方法、関数発生を用いる方法、メモリに正弦波の角度
(又は時間)に対応する例えば1周期分の波形データを
ディジタルで記憶しておきそれを読み出す方法等が知ら
れている。本発明は、ディジタルに正弦波を生成できれ
ばその生成方法には制限されず、いずれの方法も用いる
ことが可能である。ここでは、説明の容易さのため、メ
モリに正弦波の波高値を読み出す方法を用いて説明す
る。外部メモリ12に正弦波の所定の角度(即ち時間)
毎の波高値の例えば1周期分をディジタル・データとし
て予め記憶しておく。水晶発振器14はクロック信号用
であり、例えば60MHzで発振してマイクロプロセッ
サ10に供給され、CPU 30及びタイマ32に与え
られる。CPU 30はこのクロック信号で動作してい
る。例えば1MHzのディジタル正弦波を発生する場合
には、CPU 30は、タイマ32を1MHzに対応す
る外部メモリ12からのディジタル正弦波データの読出
し間隔に設定(具体的には、タイマの読出しパルス発生
までの1MHz対応クロック数を設定)し、タイマ32
は水晶発振器14からのクロック信号をカウントして1
MHzに対応する読出し間隔毎に読出しパルスを発生す
る。CPU 30はその読出しパルス毎に外部メモリ1
2からディジタル正弦波の波高値を順次読出し、1MH
zの周波数のディジタル正弦波即ちディジタル高周波電
圧を生成する。2MHz、3MHz及び5MHzの場合
も同様にしてそれぞれの周波数のディジタル正弦波即ち
ディジタル高周波電圧を生成することができる。いずれ
の周波数のディジタル高周波電圧を発生するかは設定・
入力装置16で設定し、CPU 30はI/Oインタフ
ェース36を介して与えられたその設定信号に応答して
タイマ32の対応する読出し間隔を設定する。自動同調
のため発生ディジタル正弦波の周波数をディジタルに掃
引する動作は次のとおりである。中心周波数が1MHz
の場合を説明する。設定・入力装置16により自動同調
を設定すると、その設定信号をCPU 30はI/Oイ
ンタフェース36を介して受け取る。CPU 30はこ
の信号に応答して、タイマ32の読出しパルス発生まで
のクロック数を1MHzの場合より所定の数変えて設定
する。タイマ32は、設定された1MHzのクロック数
から所定の数異なるクロック数にクロックのカウント数
が一致したとき読出しパルスを発生する。外部メモリ1
2は1MHzに対して所定の数異なるクロック数に対応
した時間分長い(又は短い)間隔で読み出され、それに
より所定の数異なるクロック数に対応する周波数偏移を
生じたディジタル正弦波即ちディジタル高周波電圧が発
生される。なお、ディジタル正弦波の振幅は掃引範囲内
で一定である。このような動作を次々と1MHzに対応
するクロック数を所定の数異なるクロック数の整数倍変
える(ずらす)のを繰り返して、ディジタル的に周波数
を掃引する。2MHz等の他の周波数においても同様に
動作して周波数掃引が行われる。ディジタル可変高周波
発振手段50は、このように周波数を可変にすることが
でき、その周波数安定度は水晶発振器14のクロック信
号の周波数安定度と同じであるので極めて安定であり、
この安定度はアナログの可変周波数発振器では実現でき
ないものである。
【0013】設定・入力装置16で1MHzを選択して
設定した場合、CPU 30はI/Oインタフェース3
6を介して与えられたその設定信号に応答してリレー群
20のリレー1をI/Oインタフェース36を介して駆
動して、対応するスイッチS1a及びS1bをオンし、
コンデンサC1a及びC1bを高周波トランス109の
二次側コイル109b1及び109b2のそれぞれに並
列接続させ、1MHzの同調回路を形成する。同様に、
2MHzの場合は、設定・入力装置16において2MH
zの設定により、CPU 30はリレー群20のリレー
2を駆動して、対応するスイッチS2a及びS2bをオ
ンし、コンデンサC2a及びC2bを二次側コイル10
9b1及び109b2に並列接続させて2MHzの同調
回路を形成する。3MHz及び5MHzも同様であるの
で説明を省く。
【0014】再び、高周波電圧の周波数が1MHzを設
定した場合について説明続ける。前述したように、ディ
ジタル可変高周波発振手段50で1MHzのディジタル
正弦波、即ち1MHzのディジタル高周波電圧が発生さ
れ、そのディジタル高周波電圧はディジタル乗算手段5
2を介してD/A変換器22に供給され、そこでディジ
タル高周波電圧はアナログに変換され、例えばほぼ1V
のオーダのアナログの高周波電圧が得られる。このアナ
ログ高周波電圧はRFAMP 104に与えられ、そこ
で増幅され、例えばほぼ100Vのアナログ高周波電圧
となり、高周波トランス109で例えばほぼ1000V
に昇圧される。昇圧された高周波電圧は1MHzの同調
回路(二次側コイル109b1、109b2及びコンデ
ンサC1a、C1b)を介して四極子電極115に印加
される。四極子電極印加電圧を監視するため、高周波ト
ランス109の一次側コイル109a2により四極子電
極印加電圧に比例した高周波電圧が取り出され、高周波
増幅器24でA/D変換器26が処理するのに適切な大
きさまで減衰される。なお、四極子電極印加電圧に比例
した高周波電圧の取り出しは二次側に分圧回路を挿入し
て取り出してもよく、本発明はいずれの取り出し方でも
よい。減衰されたアナログの高周波電圧はA/D変換器
26によりディジタル形式に変換され、ディジタル包絡
線検出手段54に与えられる。ディジタル形式の高周波
電圧の包絡線をディジタルに検出するのは、例えば既知
の極大値を見つける方法を利用すれば容易に実行でき
る。本発明は、包絡線をディジタル的に検出する方法に
制限されるものではない。図1に示す従来例のようにダ
イオード等の非線形素子を用いた包絡線検出はダイオー
ド等の非線形素子の温度及び経時変動により包絡線検出
レベルが変動し、精度及び安定性に欠け、その都度の再
調整等を必要としたが、本発明は、上記のようにディジ
タル処理を行って包絡線を検出するので、従来例のよう
な問題は全く発生しない。
【0015】ディジタル・ノコギリ波発生手段56によ
りディジタルに基準のノコギリ波を発生するのは、所定
の間隔で増分させればよく、多くの既知の方法があり、
本発明はいずれの方法であってもよい。なお、従来例の
ようにディジタル・ノコギリ波発生手段56は、外部の
コントロール回路で構成してもよい。ディジタル包絡線
検出手段54からの検出されたディジタルの包絡線デー
タ及びディジタル・ノコギリ波発生手段56で発生され
たディジタルの基準ノコギリ波はディジタル比較手段5
8に与えられる。ディジタル比較手段58によるディジ
タル誤差の生成は、例えば入力された2つの数値の差を
とればよく、本発明の既知のいずれのディジタルに比較
して誤差を生成する方法を用いてもよい。ディジタル比
較手段58からのディジタル誤差はディジタルPID制
御手段60に与えられる。ディジタルPID制御手段6
0は、ディジタル誤差に対応したディジタルの係数を生
成する。変換されたディジタル係数はディジタル・スイ
ッチ手段62を介してディジタル乗算手段52に与えら
れる。ディジタル乗算手段52は、ディジタル可変高周
波発振手段50からのディジタル高周波電圧に係数kを
乗算する。この操作は、単なる数値の乗算であるのであ
り、いずれのディジタル処理手法を用いてもよい。ディ
ジタル・スイッチ手段62がオンの閉ループにおいて、
ディジタルPID制御手段60を用いてディジタル比較
手段58の出力誤差がゼロとなるよう制御される動作は
従来例の図1のアナログ構成と同様であるのでその説明
は省く。なお、ディジタル・スイッチ手段62のオンと
はディジタル乗算手段52で乗算を実行させ、オフとは
乗算を実行させないことであるので、CPU 30によ
るその操作は容易である。
【0016】ディジタル包絡線検出手段54からのディ
ジタル包絡線データはディジタル可変増幅手段64に与
えられる。ディジタル可変増幅手段64の操作は、入力
値をある係数だけ拡大(又は縮小)する単純な乗算操作
である。この係数は、高周波電圧と直流電圧との比が所
望の比となるよう設定・入力装置16から設定される。
従来例では、高周波電圧と直流電圧との比は固定で変え
ることができなかったが、本発明は、上記のように直流
電圧、その結果高周波電圧と直流電圧との比を容易に変
えることができ、しかも直流電圧の大きさをディジタル
処理で調整できるので温度や経時変化もない。
【0017】次に、自動同調の動作について1MHzの
場合を例に説明する。なお、他の周波数帯でも動作は全
く同様である。設定・入力装置16で自動同調を設定す
ると、CPU 30はI/Oインタフェース36を介し
て受け取った自動同調の設定に応答してメモリ34に格
納されている自動同調プログラムを読み出して処理を実
行する。ディジタル可変高周波発振手段50は前述のよ
うに1MHzの近傍でタイマ32を用いて振幅一定で周
波数掃引を行う。ディジタル可変高周波発振手段50は
掃引範囲内の各周波数でディジタル正弦波を発生して、
それをディジタル乗算手段52に供給する。自動同調モ
ードでは、開ループで行うためディジタル・スイッチ手
段62をオフ状態にする。ディジタル・スイッチ手段6
2のオフは、CPU 30によるディジタル処理ではデ
ィジタルPID制御手段60からのデータをディジタル
可変高周波発振手段50からのディジタル正弦波データ
に乗算しなければよい。従って、ディジタル可変高周波
発振手段50からのディジタル正弦波即ちディジタル高
周波電圧はディジタル乗算手段52を単に通過しD/A
変換器22にそのまま与えられる。時間に対して振幅一
定のディジタル高周波電圧が高周波トランス109に与
えられるので、ディジタル包絡線検出手段54で検出さ
れるディジタル包絡線値はディジタル高周波電圧の振幅
値となる。従って、ディジタル包絡線検出手段54によ
り検出されるディジタル包絡線値は、四極子電極115
に印加される高周波電圧に比例した高周波電圧の振幅値
を表し、同調回路(二次側コイル109b1、109b
2及びコンデンサC1a、C1b)の同調周波数にディ
ジタル可変高周波発振手段50により発生されたディジ
タル高周波電圧の周波数と一致したとき最大値を取り、
周波数ずれがある場合には小さくなる。CPU 30
は、掃引範囲内の各周波数に対してディジタル包絡線検
出手段54で検出された高周波電圧の振幅値をディスプ
レイ18に例えば周波数対振幅値のグラフとして表示す
る。表示された波形は単峰性の形になる。その最大値を
示す周波数がオペレータにより読取られ、設定・入力装
置16でその周波数値が入力される。CPU 30は入
力された周波数値に応答し、ディジタル可変高周波発振
手段50は入力された周波数でディジタル正弦波即ちデ
ィジタル高周波電圧を発生する。なお、この実施形態で
はある用途上同調周波数をオペレータにより入力する方
法を採用しているが、本発明は、検出された高周波電圧
の振幅値の最大値を判定しその最大値に対応する周波数
のディジタル正弦波即ちディジタル高周波電圧をディジ
タル可変高周波発振手段50により発生させるプログラ
ムを組み込んでもよい。この場合には完全な自動同調が
可能となる。以上説明したようなディジタル処理による
自動同調は、容易かつ正確に同調を取ることができ、し
かも同調後の周波数安定性もディジタル可変高周波発振
手段50が可変周波数型であることによる低下はない。
【0018】なお、上記実施形態においては、マイクロ
プロセッサを用いたが、プログラマブルICロジック等
いずれの他の同等の機能を有するデバイスを用いてもよ
い。
【0019】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で次のような作用効果を奏する。従来の複雑な補正回路
や繁雑な調整作業を不要にし、大幅なコストダウンを実
現することができる。
【0020】ディジタル可変高周波発振手段を採用する
ことによりディジタルに周波数を可変にすることがで
き、その結果周波数安定度が固定周波数発振器のそれと
同じになり極めて良く実用に耐え得るものが実現でき
る。
【0021】本発明の一局面により、従来不可能であっ
た被測定質量に応じて複数の異なる高周波数を有する高
周波電圧を1つの回路で構成することができ、1つの回
路で常に最適感度の状態で測定ができ、回路の小型化が
著しく可能となる。
【0022】本発明の別の局面により、直流電圧の大き
さをディジタルで調整するので、調整が容易で、直流電
圧の温度や経時変化がなく、そして高周波電圧対直流電
圧比の微小な調整が可能でかつ極めて安定である。
【0023】本発明のまた別の局面によるディジタル処
理による自動同調は、容易かつ正確に同調を取ることが
でき、しかも同調後の周波数安定性も極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の四極子質量分析計用四極子電
極印加電圧発生回路の一好適実施形態をその制御回路を
中心に示したブロック図である。
【図2】図2は、マイクロプロセッサ10、外部メモリ
12及び水晶発振器14により実行される機能を示す図
である。
【図3】図3は、従来の典型的な四極子質量分析計用四
極子電極印加電圧発生回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 マイクロプロセッサ 12 外部メモリ 14 水晶発振器 16 設定・入力装置 18 ディスプレイ 20 リレー群 22、28 D/A変換器 24 高周波増幅器 26 A/D変換器 30 CPU 32 タイマ 34 メモリ 36 I/Oインタフェース 50 ディジタル可変高周波発振手段 52 ディジタル乗算手段 54 ディジタル包絡線検出手段 56 ディジタル・ノコギリ波発生手段 58 ディジタル比較手段 60 ディジタルPID制御手段 62 ディジタル・スイッチ手段 64 ディジタル可変増幅手段 C1a、C2a、C3a、C4a コンデンサ C1b、C2b、C3b、C4b コンデンサ S1a、S2a、S3a、S4a リレー・スイッチ S1b、S2b、S3b、S4b リレー・スイッチ 109 高周波トランス 115 四極子電極 109a1、109a2 一次側コイル 109b1、109b2 二次側コイル 104 RFAMP 112 +DCAMP 113 −DCAMP
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣木 成治 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の1 日本原子力研究所那珂研究所内 (72)発明者 浜田 智 神奈川県藤沢市亀井野473−1 有限会社 レムフクラフト内 Fターム(参考) 5C038 JJ06 JJ07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四極子に直流と高周波の重畳電圧を印加
    して質量分離作用を行わせる四極子質量分析計用四極子
    電極印加電圧発生回路であって、高周波電圧発生部、当
    該高周波電圧発生部で発生され前記四極子に印加された
    高周波電圧に基づいて直流電圧を生成する直流電圧生成
    部、及び前記高周波電圧発生部で発生された高周波電圧
    を昇圧しかつ前記の生成された直流電圧を昇圧された高
    周波電圧に重畳して前記四極子電極に印加する昇圧・重
    畳部とを備え、当該昇圧・重畳部は高周波の周波数に同
    調する周波数同調部を有する、四極子質量分析計用四極
    子電極印加電圧発生回路において、 前記周波数同調部が固定の同調周波数を有するよう構成
    されており、 前記高周波電圧発生部が、ディジタルに可変の周波数の
    高周波電圧を発生するディジタル可変高周波数電圧発生
    手段を備えることを特徴とする四極子質量分析計用四極
    子電極印加電圧発生回路。
  2. 【請求項2】 前記昇圧・重畳部は、高周波電圧を昇圧
    する昇圧トランスを有し、 前記周波数同調部は、前記昇圧トランスの二次側コイル
    を含み、かつ当該二次側コイルに並列に選択可能に接続
    される複数の固定静電容量の同調用コンデンサを備える
    ことを特徴とする請求項1記載の四極子質量分析計用四
    極子電極印加電圧発生回路。
  3. 【請求項3】 前記直流電圧発生部は、前記四極子に印
    加された高周波電圧の包絡線をディジタルに検出するデ
    ィジタル包絡線検出手段と、当該検出されたディジタル
    包絡線の大きさをディジタルに可変増幅して所望の高周
    波電圧と直流電圧との比となる直流電圧を生成するディ
    ジタル可変増幅手段とを含むことを特徴とする請求項1
    記載の四極子質量分析計用四極子電極印加電圧発生回
    路。
  4. 【請求項4】 前記ディジタル可変周波数電圧発生手段
    により発生される高周波電圧の周波数が前記周波数同調
    部の固定同調周波数と一致するよう前記ディジタル可変
    周波数電圧発生手段を制御するディジタル自動同調手段
    を更に備えることを特徴とする請求項1記載の四極子質
    量分析計用四極子電極印加電圧発生回路。
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