JP2002030762A - 鉄筋連結用スリーブ継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄筋を入れ易いスリーブ継手を提供する。 【解決手段】 スリーブ継手２０は、筒形状をなし、そ
の端部の内周は、端面にに向かうにしたがって拡径され
るとともに、端面に開口するテーパ部２１となってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、一直線上に配さ
れた２本の鉄筋を連結するスリーブ継手に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】例えば、特開平８−２１８５５４号公報
に記載のスリーブ継手は、筒形状をなしており、この継
手の両端から２本の鉄筋が挿入される。これら鉄筋と継
手の内周との間にグラウト材が充填されることによっ
て、鉄筋どうしの連結がなされる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のスリーブ継
手では、両端の内周に、環状の突起（絞り部）が設けら
れ、この環状突起によって端面の開口が小さく絞られて
いる。これは、連結状態においてグラウト材が外に抜け
出るのを規制するためであるが、その一方で、連結操作
の際の鉄筋の挿入がしづらいという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第１の特徴は、筒形状をなし、両端から２
本の鉄筋が挿入され、少なくとも一方の鉄筋と内周との
間にグラウト材が充填されることにより、鉄筋どうしを
連結するスリーブ継手において、端部の内周が、端面に
向かうにしたがって拡径するとともに上記端面に開口す
るテーパ部になっていることにある。

【０００５】本発明の第２の特徴は、上記テーパ部より
奥の内周が、上記グラウト材の充填による連結を担う充
填部となっており、この充填部と上記テーパ部との間
に、充填部より小径で上記鉄筋との隙間が狭い絞り部が
介在されていることにある。本発明の第３の特徴は、上
記絞り部が、上記テーパ部の奥端と同径の円筒面をなし
ていることにある。

【０００６】本発明の第４の特徴は、２本の鉄筋がグラ
ウト材により連結されるようになっており、軸方向の中
央の内周には、環状の肉盛り部が形成されており、この
肉盛り部を上記グラウト材のための注入孔が径方向に貫
通していることにある。

【０００７】本発明の第５の特徴は、２本の鉄筋がグラ
ウト材により連結されるようになっており、軸方向の中
央に、内部を２つに分ける壁が設けられ、この壁を挟ん
で両側に、上記２つの内部空間にそれぞれ連なる一対の
グラウト注入孔が形成されていることにある。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の第１実施形態を、
図１を参照して説明する。図１は、一直線上に配された
２本の異形鉄筋１０をスリーブ継手２０で連結した連結
構造を示したものである。スリーブ継手２０は、筒形状
をなしている。この継手２０の内周は、両端部に配され
た一対のテーパ部２１と、これらテーパ部２１の奥端に
連なる一対の絞り部２２と、これら絞り部２２の間に配
された充填部２３とで構成されている。

【０００９】テーパ部２１は、継手２０の端面に向かう
にしたがって拡径されるとともに、この端面に開口して
いる。絞り部２２は、テーパ部２１の奥端と同径の円筒
面をなしている。この絞り部２２の内径は、鉄筋１０の
外径（リブ１１及びフシ１２の厚さ分を含む）とほぼ等
しいか僅かに大きい。充填部２３は、絞り部２２より大
径の長い円筒面をなしており、これら絞り部２２と充填
部２３との間に段差２４が形成されている。充填部２３
の軸方向の中央には、径方向内側に盛り上がった肉盛り
部２５が形成されている。肉盛り部２５は、継手２０の
周方向に延びる環状をなし、軸方向の両端に向かうにし
たがって盛り上がり高さが小さくなっている。

【００１０】この肉盛り部２５の中央部をグラウト注入
孔２６が径方向に貫通している。このグラウト注入孔２
６から鉄筋１０と継手２０の内周、特に充填部２３との
間に、グラウト材３０が充填されている。これによっ
て、鉄筋１０と継手２０が連結され、ひいては２本の鉄
筋１０どうしが連結されている。グラウト材３０には、
エポキシモルタルなどの有機系のものが用いられている
が、特にこれに限定されるものではなく、無機系であっ
てもよい。

【００１１】作用を説明する。スリーブ継手２０では、
テーパ部２１によって端面の開口２１ａが大きくなって
いるので、鉄筋１０の挿入に際し、鉄筋１０と継手２０
の軸芯が多少ずれていても、この鉄筋１０の端部を開口
２１ａ内に容易に位置させることができる。しかも、鉄
筋１０の端部をテーパ部２１に摺擦させることによっ
て、挿入が進むにしたがって軸ずれを矯正することがで
きる。さらに、円筒面をなす絞り部２２によって継手２
０と鉄筋１０を容易に平行にすることができる。このよ
うにして、鉄筋１０を継手２０内へ容易に軸を一致させ
て挿入することができる。

【００１２】充填部２３は、内径が大きいので、挿入さ
れた鉄筋１０との間に十分な隙間を形成することがで
き、この隙間にグラウト材３０を十分に充填でき、グラ
ウト材３０による連結強度を確保できる。このグラウト
材３０が段差２４に引っ掛かることによって、連結強度
を確実に確保できる。さらに、絞り部２２と鉄筋１０と
の間が狭いので、充填部２３内のグラウト材３０がテー
パ部２１へ抜け出るのが阻止され、連結強度をより確実
に確保できる。しかも、絞り部２２が軸方向に長さを有
しているので、グラウト材３０の抜けを確実に阻止で
き、ひいては連結強度をより一層確実に確保できる。

【００１３】この連結構造では、継手２０の中央部に、
端部よりも大きな引張り荷重が働くが、この中央部には
肉盛り部２５が設けられているので、上記の大きな引張
り荷重に対して十分に耐えることができる。特に、注入
孔２６の周りには応力集中が起き易いが、これに対して
も肉盛り部２５によって十分に耐えることができる。ま
た、肉盛り部２５は軸方向の両端に向かうにしたがって
連続的に盛り上がり高さが小さくなっているので、肉盛
り部２５の両端に応力集中が発生することはない。

【００１４】次に、本発明の第２実施形態を、図２を参
照して説明する。この実施形態では、スリーブ継手２０
の軸方向の中央に、内部を２つに分ける壁２７が設けら
れている。これによって、充填部２３も２つに分かれて
いる。これら充填部２３にそれぞれ挿入された鉄筋１０
は、壁２７に当たることによって挿入量が規制されてい
る。壁２７を挟んで両側には、各充填部２３内（各内部
空間）に連なる一対の注入孔２６が形成されている。こ
れら注入孔２６からグラウト材３０がそれぞれ充填され
ている。壁２７は、上記第１実施形態の肉盛り部２５と
同様に、継手２０の中央部に働く引張り荷重に対して十
分に対抗することができる。

【００１５】本発明は、上記の実施形態に制約されるも
のでなく、種々の形態を採用することができる。例え
ば、１本の鉄筋１０だけがグラウト材３０を介して継手
２０に連結され、他方の鉄筋１０は、継手２０に圧着や
螺合等の機械的手段により連結されていてもよい。円筒
面をなす絞り部２２を無くし、テーパ部２１の奥端に直
接段差２４を介して充填部２３を連ね、テーパ部２１の
奥端が、充填部２３内のグラウト材３０の抜けを阻止す
る「絞り部」として提供されるようにしてもよい。充填
部２３に、周方向に延びる環状突起や軸方向に延びる縦
突起等のグラウト材３０の付着性を高めるための突起を
設けてもよい。第１実施形態において、継手２０の軸心
から肉盛り部２５までの距離を、鉄筋１０の半径より小
さくなるようにし、肉盛り部２５に鉄筋１０の端部を当
てることによって、挿入量を規制してもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の第１の特
徴によれば、鉄筋を継手の端面の開口内へ容易に入れる
ことができ、芯出しも容易にできる。本発明の第２の特
徴によれば、絞り部によって充填部内のグラウト材がテ
ーパ部へ抜け出るのを阻止することができ、連結強度を
確実に確保できる。本発明の第３の特徴によれば、絞り
部が軸方向に長さを有しているので、グラウト材の抜け
を一層確実に阻止でき、連結強度を一層確実に確保でき
る。本発明の第４の特徴によれば、継手の中央部に働く
比較的大きな引張り荷重に対して十分な耐力を確保でき
る。また、中央の１つの注入孔から両端に向けてグラウ
ト材を充填することができる。本発明の第５の特徴によ
れば、鉄筋の挿入量を規制することができる。また、２
つの注入孔から同時にグラウト材を注入でき、充填時間
を短縮できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る連結構造の断面図
である。

【図２】本発明の第２実施形態に係る連結構造の断面図
である。

【符号の説明】

１０ 異形鉄筋 ２０ スリーブ継手 ２１ テーパ部 ２２ 絞り部 ２３ 充填部 ２４ 段差 ２５ 肉盛り部 ２６ 注入孔 ２７ 壁 ３０ グラウト材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒形状をなし、両端から２本の鉄筋が挿
   入され、少なくとも一方の鉄筋と内周との間にグラウト
   材が充填されることにより、鉄筋どうしを連結するスリ
   ーブ継手において、 端部の内周が、端面に向かうにしたがって拡径するとと
   もに上記端面に開口するテーパ部になっていることを特
   徴とする鉄筋連結用スリーブ継手。
2. 【請求項２】 上記テーパ部より奥の内周が、上記グラ
   ウト材の充填による連結を担う充填部となっており、こ
   の充填部と上記テーパ部との間に、充填部より小径で上
   記鉄筋との隙間が狭い絞り部が介在されていることを特
   徴とする請求項１に記載の鉄筋連結用スリーブ継手。
3. 【請求項３】 上記絞り部が、上記テーパ部の奥端と同
   径の円筒面をなしていることを特徴とする請求項２に記
   載の鉄筋連結用スリーブ継手。
4. 【請求項４】 ２本の鉄筋がグラウト材により連結され
   るようになっており、軸方向の中央の内周には、環状の
   肉盛り部が形成されており、この肉盛り部を上記グラウ
   ト材のための注入孔が径方向に貫通していることを特徴
   とする請求項１〜３の何れかに記載の鉄筋連結用スリー
   ブ継手。
5. 【請求項５】 ２本の鉄筋がグラウト材により連結され
   るようになっており、軸方向の中央に、内部を２つに分
   ける壁が設けられ、この壁を挟んで両側に、上記２つの
   内部空間にそれぞれ連なる一対のグラウト注入孔が形成
   されていることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記
   載の鉄筋連結用スリーブ継手。