JP2002030321A - 溶銑の脱硫方法及び脱硫装置 - Google Patents
溶銑の脱硫方法及び脱硫装置Info
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- JP2002030321A JP2002030321A JP2000213751A JP2000213751A JP2002030321A JP 2002030321 A JP2002030321 A JP 2002030321A JP 2000213751 A JP2000213751 A JP 2000213751A JP 2000213751 A JP2000213751 A JP 2000213751A JP 2002030321 A JP2002030321 A JP 2002030321A
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、低回転速度のインペラ翼で溶銑を攪
拌して、該溶銑の脱硫を行なっても、従来並みの脱硫効
率が確保でき、且つインペラ翼の寿命を従来より延長可
能な溶銑の脱硫方法及び装置を提供することを目的とし
ている。 【解決手段】溶銑を保持するほぼ円形平断面の精錬容器
と、該溶銑に脱硫剤を添加する脱硫剤投入手段と、複数
枚の翼を有し、回転軸をほぼ鉛直にして溶銑に浸漬し、
回転するインペラとを備えた溶銑の脱硫装置において、
前記複数枚の翼のうち、少なくとも一枚を他の翼より高
くした。
拌して、該溶銑の脱硫を行なっても、従来並みの脱硫効
率が確保でき、且つインペラ翼の寿命を従来より延長可
能な溶銑の脱硫方法及び装置を提供することを目的とし
ている。 【解決手段】溶銑を保持するほぼ円形平断面の精錬容器
と、該溶銑に脱硫剤を添加する脱硫剤投入手段と、複数
枚の翼を有し、回転軸をほぼ鉛直にして溶銑に浸漬し、
回転するインペラとを備えた溶銑の脱硫装置において、
前記複数枚の翼のうち、少なくとも一枚を他の翼より高
くした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の脱硫方法及
び装置に係わり、特に、脱硫剤を添加した溶銑を機械撹
拌して脱硫する技術に関する。
び装置に係わり、特に、脱硫剤を添加した溶銑を機械撹
拌して脱硫する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑から鋼を製造するには、溶銑が含有
する不純物元素である硫黄をできるだけ除去する必要が
ある。そのため、溶銑の脱硫方法や脱硫装置に関して
は、従来より研究開発が盛んに行なわれ、実用化された
技術も多い。その一つに、取鍋等の精錬容器に保持した
溶銑中に脱硫剤を投入すると共に、翼を有するインペラ
と称する回転体の軸を、平断面視で溶銑の中心位置にほ
ぼ鉛直に浸漬して回転させ、該溶銑を撹拌することで脱
硫効率を高める技術がある。
する不純物元素である硫黄をできるだけ除去する必要が
ある。そのため、溶銑の脱硫方法や脱硫装置に関して
は、従来より研究開発が盛んに行なわれ、実用化された
技術も多い。その一つに、取鍋等の精錬容器に保持した
溶銑中に脱硫剤を投入すると共に、翼を有するインペラ
と称する回転体の軸を、平断面視で溶銑の中心位置にほ
ぼ鉛直に浸漬して回転させ、該溶銑を撹拌することで脱
硫効率を高める技術がある。
【0003】例えば、特公昭42−12343号公報
は、前記インペラの取鍋半径方向における翼の代表幅を
取鍋内径の1/10〜1/3とし、該インペラの回転軸
を150〜300rpmという高速で一定方向に回転さ
せて脱硫する技術を開示している。また、特公昭45−
31054号公報は、上記技術を改良し、インペラ翼の
有効表面積比を0.09〜0.96とし、上記と同様に
溶銑の中心で一定方向に90〜300rpmの速度で回
転させる技術としている。この場合、インペラ翼の有効
表面積比とは、翼が長方体の場合、次式で表される。
は、前記インペラの取鍋半径方向における翼の代表幅を
取鍋内径の1/10〜1/3とし、該インペラの回転軸
を150〜300rpmという高速で一定方向に回転さ
せて脱硫する技術を開示している。また、特公昭45−
31054号公報は、上記技術を改良し、インペラ翼の
有効表面積比を0.09〜0.96とし、上記と同様に
溶銑の中心で一定方向に90〜300rpmの速度で回
転させる技術としている。この場合、インペラ翼の有効
表面積比とは、翼が長方体の場合、次式で表される。
【0004】{(x・a+2x・b)h}/H・d ここで、H;溶銑浴の深さ、d;精錬容器内径、x;翼
の枚数、a;翼の厚み、b;翼の幅、h;翼の高さ さらに、特開昭57−12291号公報は、脱硫効率を
一層向上させるため、精錬容器である取鍋を、側壁から
底部にかけてひづめ型に切り欠いたり、ひづめ型耐火物
を埋め込んで特殊な形状にすると共に、インペラを正逆
方向に一定時間間隔で交互に切り換えて回転させる技術
を提案している。この回転を正逆方向へ交互に切り換え
るだけの技術としては、特公昭63−6605号公報記
載のものもある。
の枚数、a;翼の厚み、b;翼の幅、h;翼の高さ さらに、特開昭57−12291号公報は、脱硫効率を
一層向上させるため、精錬容器である取鍋を、側壁から
底部にかけてひづめ型に切り欠いたり、ひづめ型耐火物
を埋め込んで特殊な形状にすると共に、インペラを正逆
方向に一定時間間隔で交互に切り換えて回転させる技術
を提案している。この回転を正逆方向へ交互に切り換え
るだけの技術としては、特公昭63−6605号公報記
載のものもある。
【0005】加えて、特公昭61−223115号公報
は、取鍋内で溶銑の流れを乱して撹拌を強めるため、溶
銑中に邪魔板を設けるようにした技術を、あるいは特公
平4−099212号公報は、上記したインペラの正逆
交互回転に加えて、インペラ軸に上下2段に翼を配設し
た技術を開示している。さらに加えて、特開平10−1
47810号公報は、インペラの回転によって脱硫剤が
取鍋の側壁側に流れ、その部分に停滞するのを防止する
ため、脱硫剤を中央部へ戻すかき寄せ冶具を設ける技術
を、特開平10−317037号公報は、インペラ翼の
形状を台形にして流動する溶銑の表面を、中央部寄りで
盛り上がらせる技術を提案している。
は、取鍋内で溶銑の流れを乱して撹拌を強めるため、溶
銑中に邪魔板を設けるようにした技術を、あるいは特公
平4−099212号公報は、上記したインペラの正逆
交互回転に加えて、インペラ軸に上下2段に翼を配設し
た技術を開示している。さらに加えて、特開平10−1
47810号公報は、インペラの回転によって脱硫剤が
取鍋の側壁側に流れ、その部分に停滞するのを防止する
ため、脱硫剤を中央部へ戻すかき寄せ冶具を設ける技術
を、特開平10−317037号公報は、インペラ翼の
形状を台形にして流動する溶銑の表面を、中央部寄りで
盛り上がらせる技術を提案している。
【0006】そして、これらの技術により、現在では、
溶銑中の硫黄をかなり低い値にまで効率良く低減できる
ようになっている。
溶銑中の硫黄をかなり低い値にまで効率良く低減できる
ようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
技術では、インペラを高速で回転しなければ、比重の軽
い脱硫剤(主としてCaO)を溶銑中に分散できないの
で、キャスタブル製のインペラ翼の溶損が激しくて寿命
が短いばかりでなく、修繕費が嵩むという問題が残され
ている。しかも、このインペラ翼の寿命が短いことは、
脱硫装置の稼働率を低下させるので、溶銑の脱硫に時間
がかかり過ぎるという問題もある。さらに、正逆回転さ
せる技術では、使用装置の製作やメンテナンスに費用が
かかり、また稼動させるためのシーケンスが複雑になっ
て、作業が従来より難しくなるという問題もある。加え
て、取鍋にかき寄せ冶具、邪魔板、ひづめ型耐火物の埋
設等、付帯手段をつけると、装置の製作やメンテナンス
のための費用が一層上昇し、経済的には好ましくない。
技術では、インペラを高速で回転しなければ、比重の軽
い脱硫剤(主としてCaO)を溶銑中に分散できないの
で、キャスタブル製のインペラ翼の溶損が激しくて寿命
が短いばかりでなく、修繕費が嵩むという問題が残され
ている。しかも、このインペラ翼の寿命が短いことは、
脱硫装置の稼働率を低下させるので、溶銑の脱硫に時間
がかかり過ぎるという問題もある。さらに、正逆回転さ
せる技術では、使用装置の製作やメンテナンスに費用が
かかり、また稼動させるためのシーケンスが複雑になっ
て、作業が従来より難しくなるという問題もある。加え
て、取鍋にかき寄せ冶具、邪魔板、ひづめ型耐火物の埋
設等、付帯手段をつけると、装置の製作やメンテナンス
のための費用が一層上昇し、経済的には好ましくない。
【0008】本発明は、かかる事情に鑑み、低回転速度
のインペラ翼で溶銑を攪拌して、該溶銑の脱硫を行なっ
ても、従来並みの脱硫効率が確保でき、且つインペラ翼
の寿命を従来より延長可能な溶銑の脱硫方法及び装置を
提供することを目的としている。
のインペラ翼で溶銑を攪拌して、該溶銑の脱硫を行なっ
ても、従来並みの脱硫効率が確保でき、且つインペラ翼
の寿命を従来より延長可能な溶銑の脱硫方法及び装置を
提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、インペラ翼の回転速度を低速にすることに
着眼して鋭意研究を進め、その成果を本発明に具現化し
た。
成するため、インペラ翼の回転速度を低速にすることに
着眼して鋭意研究を進め、その成果を本発明に具現化し
た。
【0010】すなわち、本発明は、ほぼ円形平断面の精
錬容器に溶銑を保持し、該溶銑に、脱硫剤を添加すると
共に、回転軸をほぼ鉛直にして、複数枚の翼を有するイ
ンペラを浸漬、回転させ、溶銑を撹拌する溶銑の脱硫方
法において、前記複数枚の翼のうち少なくとも一枚を他
の翼より高めて、前記溶銑の浴面近傍に、強制的な乱流
を発生させることを特徴とする溶銑の脱硫方法である。
錬容器に溶銑を保持し、該溶銑に、脱硫剤を添加すると
共に、回転軸をほぼ鉛直にして、複数枚の翼を有するイ
ンペラを浸漬、回転させ、溶銑を撹拌する溶銑の脱硫方
法において、前記複数枚の翼のうち少なくとも一枚を他
の翼より高めて、前記溶銑の浴面近傍に、強制的な乱流
を発生させることを特徴とする溶銑の脱硫方法である。
【0011】また、本発明は、溶銑を保持するほぼ円形
平断面の精錬容器と、該溶銑に脱硫剤を添加する脱硫剤
投入手段と、複数枚の翼を有し、回転軸をほぼ鉛直にし
て溶銑に浸漬し、回転するインペラとを備えた溶銑の脱
硫装置において、前記複数枚の翼のうち、少なくとも一
枚を他の翼より高くしたことを特徴とする溶銑の脱硫装
置である。
平断面の精錬容器と、該溶銑に脱硫剤を添加する脱硫剤
投入手段と、複数枚の翼を有し、回転軸をほぼ鉛直にし
て溶銑に浸漬し、回転するインペラとを備えた溶銑の脱
硫装置において、前記複数枚の翼のうち、少なくとも一
枚を他の翼より高くしたことを特徴とする溶銑の脱硫装
置である。
【0012】本発明によれば、従来並みの脱硫効率を維
持して、インペラの回転速度を従来より低減できるよう
になる。その結果、インペラ翼の溶損速度が低減してそ
の寿命が延長したばかりでなく、修繕費が低減した。ま
た、脱硫装置の稼働率が上昇するので、溶銑の脱硫時間
が短くなり、生産性も向上した。さらに、インペラを正
逆回転させる必要がないので、使用装置の製作やメンテ
ナンスに費用がかかったり、また稼動させるためのシー
ケンスが複雑になって、作業が従来より難しくなるとい
う問題も解消された。加えて、取鍋にかき寄せ冶具、邪
魔板、ひづめ型耐火物の埋設等、付帯手段をつける必要
もなくなった。
持して、インペラの回転速度を従来より低減できるよう
になる。その結果、インペラ翼の溶損速度が低減してそ
の寿命が延長したばかりでなく、修繕費が低減した。ま
た、脱硫装置の稼働率が上昇するので、溶銑の脱硫時間
が短くなり、生産性も向上した。さらに、インペラを正
逆回転させる必要がないので、使用装置の製作やメンテ
ナンスに費用がかかったり、また稼動させるためのシー
ケンスが複雑になって、作業が従来より難しくなるとい
う問題も解消された。加えて、取鍋にかき寄せ冶具、邪
魔板、ひづめ型耐火物の埋設等、付帯手段をつける必要
もなくなった。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯を
交え、本発明の実施形態について説明する。
交え、本発明の実施形態について説明する。
【0014】まず、発明者は、既存の機械撹拌式脱硫装
置の1/5規模で溶銑脱硫のシュミレーション・モデル
実験を行なった。その実験では、図2に示すように、透
明アクリル板製の模型取鍋1に、溶銑を凝するものとし
て水2を保持し、脱硫剤を凝するものとして比重が0.
5のポリプロピレン粒子3を用いた。また、インペラ4
には、1/5規模で実機に幾何学に相似する板状の翼を
4枚有するものを用いた。そして、そのうちの1枚は、
図3に示すように、他の3枚より1.3倍の高さとし
た。つまり、翼の下端位置は同じとし、上端のみを長く
したのである。なお、図4は、従来のインペラの形状を
示している。
置の1/5規模で溶銑脱硫のシュミレーション・モデル
実験を行なった。その実験では、図2に示すように、透
明アクリル板製の模型取鍋1に、溶銑を凝するものとし
て水2を保持し、脱硫剤を凝するものとして比重が0.
5のポリプロピレン粒子3を用いた。また、インペラ4
には、1/5規模で実機に幾何学に相似する板状の翼を
4枚有するものを用いた。そして、そのうちの1枚は、
図3に示すように、他の3枚より1.3倍の高さとし
た。つまり、翼の下端位置は同じとし、上端のみを長く
したのである。なお、図4は、従来のインペラの形状を
示している。
【0015】これらのインペラ4を別々に、図2に示す
ように、模型取鍋1に保持した水2に浸漬した後、この
水2に一定量のポリプロピレン粒子3を添加すると共
に、所定の回転速度(50〜260rpm)で回転す
る。その際、インペラ4の回転軸(撹拌軸)l5は、模
型取鍋1の中心あるいは該中心から所定距離だけ離れた
(つまり、偏心させた)位置に、種々変更して配置する
ようにした(撹拌軸と模型取鍋中心との距離は、該取鍋
半径の0.05、0.1とした)。また、溶銑中での脱
硫剤の分散状態に見立てるポリプロピレン粒子3の分散
状態は、模型取鍋1の外からのビデオ撮影によって評価
した。つまり、ビデオの静止画像から水中に分散してい
るポリプロピレン粒子3の個数を数え、実機相当の回転
数における分散個数をべースに各回転数での相対評価を
行った。なお、モデル実験でのインペラ回転数の上記実
機相当の回転数は、下記に基づき演算で定めることがで
きる。
ように、模型取鍋1に保持した水2に浸漬した後、この
水2に一定量のポリプロピレン粒子3を添加すると共
に、所定の回転速度(50〜260rpm)で回転す
る。その際、インペラ4の回転軸(撹拌軸)l5は、模
型取鍋1の中心あるいは該中心から所定距離だけ離れた
(つまり、偏心させた)位置に、種々変更して配置する
ようにした(撹拌軸と模型取鍋中心との距離は、該取鍋
半径の0.05、0.1とした)。また、溶銑中での脱
硫剤の分散状態に見立てるポリプロピレン粒子3の分散
状態は、模型取鍋1の外からのビデオ撮影によって評価
した。つまり、ビデオの静止画像から水中に分散してい
るポリプロピレン粒子3の個数を数え、実機相当の回転
数における分散個数をべースに各回転数での相対評価を
行った。なお、モデル実験でのインペラ回転数の上記実
機相当の回転数は、下記に基づき演算で定めることがで
きる。
【0016】液体の回転撹拌の強さは、容器壁面での液
体の盛上り高さ(通常、容器内径dで無次元化した盛り
上がり高さT/dを用いる)で評価できることが知られ
ている。ここで、Tは液体の盛り上り高さである。そこ
で、発明者は、実機と水モデルでの相似対条件を決める
ため、両者の無次元盛り上り高さが同一となる条件で、
回転数(実機の回転数n,水モデルの回転数n′)と容
器内径(実機の容器内径d,水モデルの容器内径d′)
との関係を実験によって整理したところ、次式が成り立
つことを見出した。
体の盛上り高さ(通常、容器内径dで無次元化した盛り
上がり高さT/dを用いる)で評価できることが知られ
ている。ここで、Tは液体の盛り上り高さである。そこ
で、発明者は、実機と水モデルでの相似対条件を決める
ため、両者の無次元盛り上り高さが同一となる条件で、
回転数(実機の回転数n,水モデルの回転数n′)と容
器内径(実機の容器内径d,水モデルの容器内径d′)
との関係を実験によって整理したところ、次式が成り立
つことを見出した。
【0017】n=n′×(d/d′)-0.14 従って、実機の1/5の縮尺の水モデルを使用する場
合、水モデルでの回転数mと同等の無次元盛上り高さが
得られる実機での回転数n(実機相当の回転数)は、n
=0.8mとなる。
合、水モデルでの回転数mと同等の無次元盛上り高さが
得られる実機での回転数n(実機相当の回転数)は、n
=0.8mとなる。
【0018】上記の水によるシュミレーション・モデル
実験の一例として、回転軸を模型取鍋1の中心とし、従
来のインペラを使用した場合(図中の記号イ)及び1枚
の翼を他の3枚より高くした場合(記号ロ)でのポリプ
ロピレン粒子3の分散結果を、図5に示す。図5は、横
軸をインペラの回転数(水モデルと実機相当の2種類)
と、縦軸をポリプロピレン(見なし脱硫剤)の水中分散
度としてデータを整理したものであるが、縦軸の水中分
散度は、実機相当のインペラ回転数(180rpm)で
の分散個数を1.0として相対比較値で示してある。
実験の一例として、回転軸を模型取鍋1の中心とし、従
来のインペラを使用した場合(図中の記号イ)及び1枚
の翼を他の3枚より高くした場合(記号ロ)でのポリプ
ロピレン粒子3の分散結果を、図5に示す。図5は、横
軸をインペラの回転数(水モデルと実機相当の2種類)
と、縦軸をポリプロピレン(見なし脱硫剤)の水中分散
度としてデータを整理したものであるが、縦軸の水中分
散度は、実機相当のインペラ回転数(180rpm)で
の分散個数を1.0として相対比較値で示してある。
【0019】図5より、インペラ4の一枚の翼が他の3
枚より高い(図3参照)と、従来のすべて同じ高さの翼
を有するインペラを回転させた場合と同等な分散が得ら
れる回転数(180rpm)を100rpmまでに低減
できることがわかる。この現象は、アクリル板を通して
の観察により、以下のように推察される。
枚より高い(図3参照)と、従来のすべて同じ高さの翼
を有するインペラを回転させた場合と同等な分散が得ら
れる回転数(180rpm)を100rpmまでに低減
できることがわかる。この現象は、アクリル板を通して
の観察により、以下のように推察される。
【0020】従来のインペラ(図4参照)を使用した時
のポリプロピレン粒子(模擬脱硫剤)の水中への分散
は、回転数を大きくしていくと、水の中央部が凹み、そ
こにポリプロピレン粒子が集まって、それら粒子がやが
てインペラ翼の上端部に到達することで開始する。従っ
て、この事実より、インペラ翼の浸漬深さを浅くすれ
ば、低回転速度でも、分散が開始すると考えられる。
のポリプロピレン粒子(模擬脱硫剤)の水中への分散
は、回転数を大きくしていくと、水の中央部が凹み、そ
こにポリプロピレン粒子が集まって、それら粒子がやが
てインペラ翼の上端部に到達することで開始する。従っ
て、この事実より、インペラ翼の浸漬深さを浅くすれ
ば、低回転速度でも、分散が開始すると考えられる。
【0021】しかしながら、従来のインペラのように、
4枚の翼の上端が同一高さにあると、水(模擬溶銑)
は、回転方向に流れる。そのため、実際の工程では、イ
ンペラ軸に陣笠のように地金が付着し、脱硫剤がインペ
ラ翼の上端位置へ到達するのを阻害する。つまり、脱硫
剤の分散が不十分となり、脱硫効率を低下させる結果に
なる。
4枚の翼の上端が同一高さにあると、水(模擬溶銑)
は、回転方向に流れる。そのため、実際の工程では、イ
ンペラ軸に陣笠のように地金が付着し、脱硫剤がインペ
ラ翼の上端位置へ到達するのを阻害する。つまり、脱硫
剤の分散が不十分となり、脱硫効率を低下させる結果に
なる。
【0022】これに対して、一枚の翼を他の3枚より高
くした場合には、水浴面に強制的に乱流を発生させるよ
うになるので、ポリプロピレン粒子の分散開始位置が低
回転速度でも上方に移行し易くなる。また、水を実際の
溶銑とした場合には、インペラ軸に地金が付着しなくな
る。そこで、発明者は、このような効果を生じさせる強
制的な乱流を、溶銑浴面の近傍に発生させる手段を付与
すること、及びその手段の一例としての撹拌装置を本発
明としたのである。
くした場合には、水浴面に強制的に乱流を発生させるよ
うになるので、ポリプロピレン粒子の分散開始位置が低
回転速度でも上方に移行し易くなる。また、水を実際の
溶銑とした場合には、インペラ軸に地金が付着しなくな
る。そこで、発明者は、このような効果を生じさせる強
制的な乱流を、溶銑浴面の近傍に発生させる手段を付与
すること、及びその手段の一例としての撹拌装置を本発
明としたのである。
【0023】なお、上記例では、1枚の翼の高さを他の
3枚より高くしたが、本発明はそれに限ることはない。
つまり、浴面に乱流を起こさせる条件にあれば良いの
で、インペラの有する翼の数によっては、2枚以上を高
くしても良い。また、高さの差についても、1.3倍に
限ることはなく、適切な程度の乱流を起こさせる差であ
れば良い。発明者の別の実験によれば、1.05〜1.
3倍の範囲が好ましい。1.05倍未満だとインペラの
翼数が如何なる数であっても、生じる乱流が不十分であ
り、1.5倍超えだと、脱硫効率へ与える効果が飽和す
るからである。
3枚より高くしたが、本発明はそれに限ることはない。
つまり、浴面に乱流を起こさせる条件にあれば良いの
で、インペラの有する翼の数によっては、2枚以上を高
くしても良い。また、高さの差についても、1.3倍に
限ることはなく、適切な程度の乱流を起こさせる差であ
れば良い。発明者の別の実験によれば、1.05〜1.
3倍の範囲が好ましい。1.05倍未満だとインペラの
翼数が如何なる数であっても、生じる乱流が不十分であ
り、1.5倍超えだと、脱硫効率へ与える効果が飽和す
るからである。
【0024】
【実施例】台車に載置した図1に示す溶銑鍋1に、表1
に示す組成の溶銑2を350トン装入し、該溶銑鍋1を
インペラ4の設置してある脱硫場に搬送して、インペラ
4の直下に配置した。そして、インペラ4の回転軸5が
溶銑鍋1の平断面視で中心位置になるよう、台車6の移
動で調整した。ついで、該溶銑に、投入手段7(生石灰
を主成分とした脱硫剤を貯蔵するホッパ8とそれを落下
させるシュート9とで形成)を介して、溶銑1トンあた
り2.4kgの脱硫剤3を添加してからインペラ4の回
転を始め、溶銑2を撹拌した。なお、インペラは、高ア
ルミナ質耐火物製であり、3枚の翼の高さを855m
m,1枚の翼の長さを1120mmとし、それら翼の下
端は、溶銑2の静止湯面から溶銑深さで1/2の位置に
なるよう溶銑中に浸漬した。また、回転数75rpm、
撹拌時間は15分間である。
に示す組成の溶銑2を350トン装入し、該溶銑鍋1を
インペラ4の設置してある脱硫場に搬送して、インペラ
4の直下に配置した。そして、インペラ4の回転軸5が
溶銑鍋1の平断面視で中心位置になるよう、台車6の移
動で調整した。ついで、該溶銑に、投入手段7(生石灰
を主成分とした脱硫剤を貯蔵するホッパ8とそれを落下
させるシュート9とで形成)を介して、溶銑1トンあた
り2.4kgの脱硫剤3を添加してからインペラ4の回
転を始め、溶銑2を撹拌した。なお、インペラは、高ア
ルミナ質耐火物製であり、3枚の翼の高さを855m
m,1枚の翼の長さを1120mmとし、それら翼の下
端は、溶銑2の静止湯面から溶銑深さで1/2の位置に
なるよう溶銑中に浸漬した。また、回転数75rpm、
撹拌時間は15分間である。
【0025】
【表1】 かかる条件で多数チャージ行なった実施成績を、溶銑鍋
1の中心にインペラ4の回転軸5を配置し、回転数14
0rpmとした従来の脱硫方法での実施成績と比較して
表2に示す。表2より、本発明によれば、従来よりも著
しく低いインペラの回転数で、従来と同等の脱硫効率が
得られるので、インペラ4の寿命を延長できることが明
らかである。つまり、従来より安価に溶銑2の脱硫が実
施できるようになると共に、インペラの補修や交換に要
するダウンタイムを低減できる。
1の中心にインペラ4の回転軸5を配置し、回転数14
0rpmとした従来の脱硫方法での実施成績と比較して
表2に示す。表2より、本発明によれば、従来よりも著
しく低いインペラの回転数で、従来と同等の脱硫効率が
得られるので、インペラ4の寿命を延長できることが明
らかである。つまり、従来より安価に溶銑2の脱硫が実
施できるようになると共に、インペラの補修や交換に要
するダウンタイムを低減できる。
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、脱硫
効率を従来より低減させずに、インペラの回転数を低減
した操業が可能となる。その結果、インペラ翼の溶損速
度が低減してその寿命が延長したばかりでなく、修繕費
が低減した。また、脱硫装置の稼働率が上昇するので、
溶銑の脱硫時間が短くなり、生産性も向上した。さら
に、インペラを正逆回転させる必要がないので、使用装
置の製作やメンテナンスに費用がかかったり、また稼動
させるためのシーケンスが複雑になって、作業が従来よ
り難しくなるという問題も解消された。加えて、取鍋に
かき寄せ冶具、邪魔板、ひづめ型耐火物の埋設等、付帯
手段をつける必要もなくなった。つまり、溶銑の脱硫が
従来より格段と安価に実施できるようになった。
効率を従来より低減させずに、インペラの回転数を低減
した操業が可能となる。その結果、インペラ翼の溶損速
度が低減してその寿命が延長したばかりでなく、修繕費
が低減した。また、脱硫装置の稼働率が上昇するので、
溶銑の脱硫時間が短くなり、生産性も向上した。さら
に、インペラを正逆回転させる必要がないので、使用装
置の製作やメンテナンスに費用がかかったり、また稼動
させるためのシーケンスが複雑になって、作業が従来よ
り難しくなるという問題も解消された。加えて、取鍋に
かき寄せ冶具、邪魔板、ひづめ型耐火物の埋設等、付帯
手段をつける必要もなくなった。つまり、溶銑の脱硫が
従来より格段と安価に実施できるようになった。
【図1】本発明の実施に用いた脱硫装置を示す縦断面図
である。
である。
【図2】本発明に係る脱硫方法をなすに至った実験で使
用した透明アクリル板製の模型取鍋とインペラを示す図
である。
用した透明アクリル板製の模型取鍋とインペラを示す図
である。
【図3】本発明に係る脱硫装置に採用したインペラの一
例を示す斜視図である。
例を示す斜視図である。
【図4】従来のインペラを示す斜視図である。
【図5】シュミレーション・モデル実験で得たポリプロ
ピレン粒子の分散比が1となる回転数とインペラ回転軸
の偏心程度との関係を示す図である。
ピレン粒子の分散比が1となる回転数とインペラ回転軸
の偏心程度との関係を示す図である。
1 模型取鍋(精錬容器、溶銑鍋等) 2 水(溶銑) 3 ポリプロピレン粒子(脱硫剤) 4 インペラ 5 回転軸 6 台車 7 脱硫剤投入手段 8 ホッパ 9 シュート 10 インペラ翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉澤 元達 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4K014 AA02 AB01 AB03 AC01 AC08 AD23
Claims (2)
- 【請求項1】 ほぼ円形平断面の精錬容器に溶銑を保持
し、該溶銑に、脱硫剤を添加すると共に、回転軸をほぼ
鉛直にして、複数枚の翼を有するインペラを浸漬、回転
させ、溶銑を撹拌する溶銑の脱硫方法において、 前記複数枚の翼のうち少なくとも一枚を他の翼より高め
て、前記溶銑の浴面近傍に、強制的な乱流を発生させる
ことを特徴とする溶銑の脱硫方法。 - 【請求項2】 溶銑を保持するほぼ円形平断面の精錬容
器と、該溶銑に脱硫剤を添加する脱硫剤投入手段と、複
数枚の翼を有し、回転軸をほぼ鉛直にして溶銑に浸漬
し、回転するインペラとを備えた溶銑の脱硫装置におい
て、 前記複数枚の翼のうち、少なくとも一枚を他の翼より高
くしたことを特徴とする溶銑の脱硫装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000213751A JP2002030321A (ja) | 2000-07-14 | 2000-07-14 | 溶銑の脱硫方法及び脱硫装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000213751A JP2002030321A (ja) | 2000-07-14 | 2000-07-14 | 溶銑の脱硫方法及び脱硫装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002030321A true JP2002030321A (ja) | 2002-01-31 |
Family
ID=18709451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000213751A Withdrawn JP2002030321A (ja) | 2000-07-14 | 2000-07-14 | 溶銑の脱硫方法及び脱硫装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002030321A (ja) |
-
2000
- 2000-07-14 JP JP2000213751A patent/JP2002030321A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071002 |