JP2002030196A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物

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JP2002030196A JP2000218614A JP2000218614A JP2002030196A JP 2002030196 A JP2002030196 A JP 2002030196A JP 2000218614 A JP2000218614 A JP 2000218614A JP 2000218614 A JP2000218614 A JP 2000218614A JP 2002030196 A JP2002030196 A JP 2002030196A
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村 茂 木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、プ
ロピレン系ブロック共重合体(1)40〜97重量%と、エ
チレン含量60〜90モル%のエチレン・α- オレフィンラ
ンダム共重合体ゴム2〜30重量%と、微粉末の無機充填
剤1〜30重量%とからなる。(1)はMg、Ti、ハロゲン、
電子供与体およびAlを含有する触媒を用いて調製さ
れ、23℃n-デカン不溶成分のmmmm分率が97.5%以上、極
限粘度が0.4〜2.0dl/g、(1)における割合が50〜80重
量%であり、該供重合体の23℃n-デカン可溶成分の極限
粘度が1.0〜10.0dl/g、プロピレンから誘導される構成
単位/エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα-
オレフィンから誘導される全構成単位の重量比が40/60
〜80/20であり、(1)における割合が50〜20重量%で
ある。 【効果】安価で流動性、剛性と耐衝撃性に優れ、しか
も、低光沢を呈する高級感のある成形品を調製すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、剛性に優れるとともに、
耐衝撃性にも優れたポリオレフィン樹脂組成物に関し、
さらに詳しくは、特に特定のプロピレン系ブロック共重
合体を主成分とするポリオレフィン樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】プロピレン系ブロック共重合体た
とえば結晶性プロピレン重合体部(樹脂部)と非晶性プ
ロピレン・エチレン共重合体部(ゴム部)とからなるプ
ロピレン系ブロック共重合体、オレフィン系エラストマ
ーおよび微粉末の無機充填剤からなるポリオレフィン樹
脂組成物は、剛性が高く、かつ耐低温衝撃性が優れてい
ることから、自動車部品、家電部品等に広く使用されて
いる。
【0003】これらの用途の中でも、特に優れた耐低温
衝撃強度の要求される自動車部品用途では、高い耐衝撃
強度が要求されるため、従来は、プロピレン系ブロック
共重合体に、エチレン・プロピレンゴム等のオレフィン
系エラストマーやスチレン系のエラストマーを大量に配
合して耐衝撃強度を向上させ、これらの配合による剛性
の低下を防止するために、更にタルク等の無機充填剤を
大量に配合することが考えられたが、無機充填剤を大量
に配合し過ぎる耐衝撃強度が低下するという問題があっ
た。
【0004】ポリオレフィン樹脂組成物の耐衝撃性を向
上させる手段の1つとして、プロピレンブロック共重合
体のゴム分を増加させることが考えられるが、従来、プ
ロピレンブロック共重合体粒子においては、ゴム部の量
が多くなるにつれて、この重合体粒子が粘着しあうた
め、重合体の流動性が低下してしまったり、またプロピ
レン系ブロック共重合体粒子を気相重合で製造する場合
は、重合器の壁に重合体粒子が粘着して、重合を停止し
なければならない等のトラブルを招くことがあり、プロ
ピレン系ブロック共重合体粒子におけるゴム部の割合が
制限されていた。
【0005】プロピレン系ブロック共重合体、オレフィ
ン系エラストマーおよび微粉末の無機充填剤とからなる
ポリオレフィン樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる手段
の1つとして、特開平9−506319号公報では、第
一の重合工程でマグネシウム、チタンおよびハロゲンを
必須成分とする固体状チタン触媒成分を用いて、結晶性
ポリプロピレン部分を製造し、第二の重合工程でいわゆ
るメタロセン触媒を用いて、非晶性プロピレン・エチレ
ン共重合体部分を製造して得られるプロピレン系ブロッ
ク共重合体を使用する技術が開示されている。
【0006】しかしながら、この技術では、第一の重合
工程後、触媒を失活させる工程が必要であり、プロピレ
ン系ブロック共重合体の製造工程が複雑になるという欠
点がある。ところで、自動車、家電用途に使用されるポ
リオレフィン製の成形品は、光沢が要求される用途があ
る一方、光沢が低い成形品は高級感があるところから、
低光沢が要求される用途がある。
【0007】したがって、流動性に優れ、剛性と耐衝撃
性に優れる成形品、しかも、低光沢を呈する成形品をも
調製することが可能で、自動車用内外装材用途に好適な
ポリオレフィン樹脂組成物の出現が望まれている。
【0008】
【発明の目的】本発明の第1の目的は、剛性と耐衝撃性
に優れる成形品を調製することができる、自動車用内外
装材用途に好適なポリオレフィン樹脂組成物を提供する
ことにある。本発明の第2の目的は、安価で流動性に優
れるポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
【0009】本発明の第3の目的は、低光沢を呈する成
形品を調製することが可能なポリオレフィン樹脂組成物
を提供することにある。
【0010】
【発明の概要】本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物
は、プロピレン系ブロック共重合体(A)40〜97重
量%と、エチレン含量が60〜90モル%であるエチレ
ン・α- オレフィンランダム共重合体ゴム(B)2〜3
0重量%と、微粉末の無機充填剤(C)1〜30重量%
とからなるポリオレフィン樹脂組成物であり、該プロピ
レン系ブロック共重合体(A)は、触媒成分としてマグ
ネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体およびアルミ
ニウムを含有するオレフィン重合用触媒を用いて調製さ
れ、(a)該共重合体(A)の23℃n-デカン不溶成分
13C−NMRで測定されるペンタッドアイソタクティ
シティ(mmmm分率)が、97.5%以上であり、
(b)該23℃n-デカン不溶成分の135℃デカリン中
で測定される極限粘度[η]ncが、0.4〜2.0dl
/gであり、(c)該23℃n-デカン不溶成分のプロピ
レン系ブロック共重合体(A)における割合が50〜8
0重量%であり、(d)該共重合体(A)の23℃n-デ
カン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で測定される極
限粘度[η]naが、1.0〜10.0dl/gであり、
(e)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレンから誘導
される構成単位/エチレンおよび/または炭素原子数4
〜10のα- オレフィンから誘導される全構成単位の重
量比が40/60〜80/20であり、(f)該23℃
n-デカン可溶成分のプロピレン系ブロック共重合体
(A)における割合が50〜20重量%であることを特
徴としている。
【0011】前記プロピレン系ブロック共重合体(A)
の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で
測定される極限粘度[η]naと、23℃n-デカン不溶成
分の135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]nc
との比([η]na/[η]nc)が4〜8であることが望
ましい。前記プロピレン系ブロック共重合体(A)は、
マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体
を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期
律表第I族〜第III族金属を含む有機金属化合物触媒成
分[b]と、外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高
立体規則性触媒の存在下に、第一の重合工程で、プロピ
レン、またはプロピレンとエチレンおよび/または炭素
原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段
または多段で、液状プロピレンを溶媒とする塊状重合
法、または気相重合法により重合させてプロピレン単独
重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数
4〜10のα-オレフィン含量が5重量%以下のプロピ
レン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を形成し、
次いで、第二の重合工程において、前記第一の重合工程
で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン
・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プ
ロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10
のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で気
相重合法により共重合させてゴム状プロピレン・α- オ
レフィン共重合体の粒子を形成させることにより調製さ
れたブロック共重合体であることが好ましい。
【0012】前記固体状チタン触媒成分[a]は、アル
コール成分を含有するマグネシウム化合物と、四塩化チ
タンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物である
ことが好ましい。前記外部電子供与体触媒成分[c]
は、ジエーテル化合物および/またはシラン化合物であ
ることが好ましい。
【0013】前記第一の重合工程で形成されたプロピレ
ン単独重合体粒子またはエチレンおよび/または炭素原
子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプ
ロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の空隙
率は、10〜50%であることが好ましい。なお、本明
細書においては、「エチレン」を「α- オレフィン」に
含めて取り扱うこととする。また、「重合」は、単独重
合だけでなく、共重合をも含めて用いる場合がある。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリオレフィ
ン樹脂組成物について具体的に説明する。本発明に係る
ポリオレフィン樹脂組成物は、プロピレン系ブロック共
重合体(A)とエチレン・α- オレフィンランダム共重
合体ゴム(B)と微粉末の無機充填剤(C)とからな
る。
【0015】プロピレン系ブロック共重合体(A) 本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体
(A)は、触媒成分としてマグネシウム、チタン、ハロ
ゲン、電子供与体(内部電子供与体および/または外部
電子供与体)およびアルミニウムを含有する触媒を用い
て調製される、プロピレンとエチレンおよび/または炭
素原子数4〜10のα- オレフィンとからなる。
【0016】本発明で用いられるプロピレン系ブロック
共重合体(A)は、23℃n-デカン溶媒により、23℃
n-デカン不溶成分と23℃n-デカン可溶成分とに分別す
ることができる。[23℃n-デカン不溶成分] 本発明で用いられるプロピ
レン系ブロック共重合体(A)の23℃n-デカン不溶成
分は、n-デカン溶媒を用い、プロピレン系重合体を13
0℃で完全に溶解した後冷却し、濾過分離を23℃で行
なったときに得られる固体部(樹脂成分)であり、プロ
ピレンから誘導される構成単位を85〜100モル%、
好ましくは95〜100モル%の量で、プロピレン以外
の炭素原子数2〜10のα- オレフィンたとえばエチレ
ンから誘導される構成単位を0〜15モル%、好ましく
は0〜5モル%の量で含有しているプロピレン単独重合
部分またはプロピレン・エチレンランダム共重合体等の
結晶性のプロピレン・α- オレフィン共重合部分であ
る。
【0017】このようなプロピレン以外の炭素原子数2
〜10のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、1-ブテン、3-メチル-1- ブテン、1-ペンテン、3-メ
チル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセ
ン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの
組合わせなどが挙げられる。この23℃n-デカン不溶成
分は、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]
ncが0.4〜2.0dl/g、好ましくは0.5〜1.
6dl/g、特に好ましくは0.7〜1.4dl/gで
ある。
【0018】また、この23℃n-デカン不溶成分は、13
C−NMRで測定されるペンタッドアイソタクティシテ
ィ(I5)[ペンタッド分率(mmmm分率)]が97.
5%以上、好ましくは98.0%以上である。このペン
タッドアイソタクティシティ(I5)が97.5%以上で
あるプロピレン系ブロック共重合体(A)は、剛性に優
れる成形品を調製することができる。
【0019】なお、このペンタッドアイソタクティシテ
ィ(I5)は、エイ・ザムベル (A, Zambelli) らによ
り、Macromolecules 6, 925 (1973) に提案された方
法、すなわち13C−NMR法(核磁気共鳴法)によって
測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位で
のアイソタクティック分率であり、プロピレン単位が5
個連続してアイソタクティック結合したプロピレンモノ
マー単位の分率である。
【0020】13C−NMRスペクトルにおけるピークの
帰属は、Macromolecules 8, 687 (1975)の記載に基づい
て行なわれる。13C−NMRは、フーリエ変換NMR
[500MHz(水素核測定時)]装置を用いて、周波
数125MHzで、20,000回の積算測定すること
により、シグナル検出限界を0.001まで向上させて
測定することができる。
【0021】また、上記のような23℃n-デカン不溶成
分は、ASTM D1238に準拠して、230℃、
2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート
(MFR)が、10〜200g/10分、好ましくは2
0〜150g/10分であることが望ましい。23℃n-
デカン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体(A)
における割合は、55〜85重量%、好ましくは60〜
80重量%、特に好ましくは65〜75重量%である。
【0022】[23℃n-デカン可溶成分]本発明で用い
られるプロピレン系ブロック共重合体(A)の23℃n-
デカン可溶成分は、実質的にプロピレン系ブロック共重
合体(A)の非晶質部分(ゴム成分)であり、プロピレ
ン系ブロック共重合体(A)中のプロピレンとエチレン
および/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンと
の共重合部分、主としてエチレンとプロピレンとの共重
合部分である。
【0023】炭素原子数4〜10のα- オレフィンとし
ては、具体的には、1-ブテン、3-メチル-1- ブテン、1-
ペンテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセンお
よびこれらの組合わせなどが挙げられる。本発明で用い
られるプロピレン系ブロック共重合体(A)の23℃n-
デカン可溶成分は、エチレンおよび/または炭素原子数
4〜10のα- オレフィンから誘導される構成単位を2
0〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、特に好
ましくは30〜45モル%の量で含有し、プロピレンか
ら誘導される構成単位を80〜40モル%、好ましくは
70〜50モル%、特に好ましくは70〜55モル%の
量で含有している。
【0024】また、この23℃n-デカン可溶成分は、1
35℃デカリン中で測定される極限粘度[η]naが1.
0〜10dl/g、好ましくは2〜9dl/g、特に好
ましくは3〜8dl/gである。プロピレン系ブロック
共重合体(A)は、(23℃n-デカン可溶成分の135
℃デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]na)/
(23℃n-デカン不溶成分の135℃デカリン中で測定
される極限粘度[η]nc)が4〜8、好ましくは4.5
〜7.5、特に好ましくは5〜7の範囲にあることが望
ましい。この[η]na/[η]ncが上記範囲内にあるプ
ロピレン系ブロック共重合体(A)を用いると、低光沢
を呈する成形品を調製できるポリオレフィン樹脂組成物
が得られる。また、このプロピレン系ブロック共重合体
(A)は、ジェル等が殆どなく流動性が優れているの
で、流動性に優れるポリオレフィン樹脂組成物を得るこ
とができる。
【0025】23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブ
ロック共重合体(A)における割合は、45〜15重量
%、好ましくは40〜20重量%、特に好ましくは35
〜25重量%の範囲である。本発明で用いられるプロピ
レン系ブロック共重合体(A)は、前述のような高結晶
性の23℃n-デカン不溶成分とともに、上記のような2
3℃n-デカン可溶成分を上記の特定割合で含有している
ため、剛性に優れるとともに耐衝撃性にも優れる成形品
を調製することができる。
【0026】[プロピレン系ブロック共重合体(A)]
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体
(A)は、粒子状であることが好ましく、具体的には、
平均粒径が0.8〜10mm、好ましくは1〜5mm、
特に好ましくは1.0〜4mmであり、見かけ嵩密度が
0.25〜0.80g/ml、好ましくは0.30〜
0.50g/mlであり、落下秒数が5〜15秒/100m
l-ポリマー、好ましくは5〜10秒/100ml-ポリマーの
粒子であることが望ましい。
【0027】なお、ポリマー粒子の落下秒数は、下記の
ように測定される。バイブレーターを装着した直径86
mm、長さ168mm、出口直径10.5mmの円筒型
ロートに100mlのプロピレン系ブロック共重合体
(A)を入れる。バイブレーターでロートを振動させな
がら、100mlのプロピレン系ブロック重合体(A)
が落下する時間(秒)を測定する。
【0028】また、本発明で用いられるプロピレン系ブ
ロック共重合体(A)は、そのTダイ成形フィルム中に
含有される直径0.1mm以上のゴム塊数が、5個/1
00cm2以下であることが望ましい。上記のような本
発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(A)
は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230
℃、2.16kg荷重)が、0.1〜150g/10分、好ま
しくは1.0〜100g/10分、特に好ましくは5〜
50g/10分であることが望ましい。
【0029】MFRが上記範囲内あるプロピレン系ブロ
ック共重合体は、流動性、成形性に優れており、大型品
に成形することもできる。[プロピレン系ブロック共重合体(A)の製造方法]
記のような、本発明で用いられるプロピレン系ブロック
共重合体(A)は、たとえば特定の触媒の存在下に、第
一の重合工程において、プロピレン単独重合体粒子、ま
たはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα-
オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレ
フィンランダム共重合体粒子を形成し、次いで、第二の
重合工程において、上記プロピレン単独重合体粒子また
はプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の
存在下に、ゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体
の粒子を形成させることにより得られる。
【0030】本発明においては、上記プロピレン・α-
オレフィンランダム共重合体および/またはゴム状プロ
ピレン・α- オレフィン共重合体中に、炭素原子数4〜
10のα- オレフィンから誘導される構成単位を含んで
いてもよい。本発明で用いられる特定の触媒は、具体的
には、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成
分、好ましくはマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分
[a]と、周期律表第I族〜第III族金属たとえばアル
ミニウムを含む有機金属化合物触媒成分[b]と、外部
電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒な
どが挙げられる。
【0031】(固体状チタン触媒成分[a])固体状チ
タン触媒成分[a]の調製に用いられるマグネシウム化
合物としては、還元性を有するマグネシウム化合物およ
び還元性を有しないマグネシウム化合物を挙げることが
できる。ここで、還元性を有するマグネシウム化合物と
しては、たとえばマグネシウム・炭素結合あるいはマグ
ネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げ
ることができる。
【0032】このような還元性を有するマグネシウム化
合物の具体的な例としては、ジメチルマグネシウム、ジ
エチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチ
ルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマ
グネシウム、ジデシルマグネシウム等のジアルキルマグ
ネシウム;エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグ
ネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグ
ネシウム、アミノ塩化マグネシウム等のアルキルマグネ
シウムハライド;ブチルエトキシマグネシウム等のアル
コキシマグネシウム;エチルブチルマグネシウム、オク
チルブチルマグネシウム等の異なるアルキル基を有する
マグネシウム化合物;ブチルマグネシウムハライド等の
モノアルキルマグネシウムハライドなどを挙げることが
できる。
【0033】これらのマグネシウム化合物は、単独で用
いることもできるし、後述する有機アルミニウム化合物
と錯化合物を形成していてもよい。また、これらのマグ
ネシウム化合物は、液体であっても固体であってもよ
い。還元性を有しないマグネシウム化合物の具体的な例
としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化
マグネシウム、弗化マグネシウム等のハロゲン化マグネ
シウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグ
ネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ
塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のア
ルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネ
シウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウム等のフェノ
キシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イ
ソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-
オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシ
ウム等のアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシ
ウム、ジメチルフェノキシマグネシウム等のアリロキシ
マグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸
マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などを挙
げることができる。
【0034】これらの還元性を有しないマグネシウム化
合物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物か
ら誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導し
た化合物であってもよい。還元性を有しないマグネシウ
ム化合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘
導するには、たとえば還元性を有するマグネシウム化合
物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合
物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アル
コールなどの化合物と接触させればよい。
【0035】なお、本発明において、マグネシウム化合
物は、上記の還元性を有するマグネシウム化合物および
還元性を有しないマグネシウム化合物の外に、上記のマ
グネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物あ
るいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さら
に、上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であっ
てもよい。
【0036】本発明においては、これらの中でも、マグ
ネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等のM
g(OR12-pp(ここで、R1は炭化水素基、好まし
くは炭素原子数1〜10程度の炭化水素基であり、Xは
ハロゲンを示し、pは0≦p≦2である。)で表わされ
るマグネシウム化合物が好ましく用いられる。本発明に
おいて、固体状チタン触媒成分[a]の調製に用いられ
るチタン化合物としては、たとえばTi(OR)g4-g
(Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0
≦g≦4である)、あるいはTi(OR)h4-h(Rお
よびXは上記と同じであり、0≦h≦3である)で示さ
れる4価のチタン化合物を挙げることができる。より具
体的には、TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラ
ハロゲン化チタン;TiCl3等のトリハロゲン化チタ
ン;Ti(OCH3)Cl3 、Ti(OC25)Cl3
Ti(On-C49)Cl3 、Ti(OC25)Br3、T
i(Oiso-C49)Br3等のトリハロゲン化アルコキシ
チタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl
2、Ti(On-C492Cl2、Ti(OC252Br2
等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH3
3Cl、Ti(OC253Cl、Ti(On-C493
l、Ti(OC253Br等のモノハロゲン化トリアル
コキシチタン;Ti(OCH34、Ti(OC254
Ti(On-C494、Ti(Oiso-C494、Ti(O-
2- エチルヘキシル)4等のテトラアルコキシチタンなど
を挙げることができる。
【0037】これらの中では、ハロゲン含有チタン化合
物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましく、さらに好
ましくは四塩化チタンが用いられる。これらチタン化合
物は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせ
て用いてもよい。さらに、これらのチタン化合物は、炭
化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに
希釈されていてもよい。
【0038】本発明において、固体状チタン触媒成分
[a]の調製に際して、電子供与体(内部電子供与体)
を用いることが好ましい。電子供与体としては、有機カ
ルボン酸エステル、好ましくは多価カルボン酸エステル
または多価アルコールの有機カルボン酸エステルが挙げ
られ、具体的には、下記式で表わされる骨格を有する化
合物が用いられる。
【0039】
【化1】
【0040】上記の式において、R1は、置換または非
置換の炭化水素基であり、R2、R5、R6は、それぞれ
独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭化水素基
であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原
子、置換もしくは非置換の炭化水素基である。なお、R
3、R4は、少なくとも一方が置換または非置換の炭化水
素基であることが好ましい。また、R3とR4とは互いに
連結されて環状構造を形成していてもよい。
【0041】置換の炭化水素基としては、N、O、Sな
どの異原子を含む置換の炭化水素基が挙げられ、たとえ
ば−C−O−C−、−COOR、−COOH、−OH、
−SO3H、−C−N−C−、−NH2などの構造を有す
る置換の炭化水素基が挙げられる。これらの中では、R
1、R2の少なくとも一方が、炭素原子数が2以上のアル
キル基である、ジカルボン酸から誘導されるジエステル
が好ましい。
【0042】多価カルボン酸エステルの具体例として
は、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハ
ク酸ジエチル、α- メチルグルタル酸ジイソブチル、マ
ロン酸ジブチルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロ
ン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチル
マロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチ
ルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソ
ブチルマロン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジ
エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチ
ル、マレイン酸ジイソオクチル、マレイン酸ジイソブチ
ル、ブチルマレイン酸ジイソブチル、ブチルマレイン酸
ジエチル、β- メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチ
ルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2- エチルヘキシ
ル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソブチル、シ
トラコン酸ジイソオクチル、シトラコン酸ジメチル等の
脂肪族ポリカルボン酸エステル;1,2-シクロヘキサンカ
ルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジイ
ソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸
ジエチル等の脂肪族ポリカルボン酸エステル;フタル酸
モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチ
ル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸エチルイソブチル、フタル酸モノノルマルブチル、
フタル酸エチルノルマルブチル、フタル酸ジn-プロピ
ル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フ
タル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ペンチル、フタル酸
ジイソペンチル、フタル酸ジn-ヘキシル、フタル酸ジイ
ソヘキシル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジイソヘ
プチル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジイソオクチ
ル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2- エチルヘキ
シル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フ
タル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、
ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリ
エチル、トリメリット酸ジブチル等の芳香族ポリカルボ
ン酸エステル;3,4-フランジカルボン酸等の異節環ポリ
カルボン酸から誘導されるエステルなどを挙げることが
できる。
【0043】多価カルボン酸エステルの他の例として
は、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セ
バシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セバ
シン酸n-オクチル、セバシン酸ジ-2- エチルヘキシル等
の長鎖ジカルボン酸から誘導されるエステルなどを挙げ
ることができる。これらの多価カルボン酸エステルの中
では、前述した一般式で表わされる骨格を有する化合物
が好ましく、中でも、フタル酸、マレイン酸、置換マロ
ン酸などと、炭素原子数2以上のアルコールとから誘導
されるエステルがさらに好ましく、フタル酸と炭素原子
数2以上のアルコールとの反応により得られるジエステ
ルが特に好ましい。
【0044】本発明では、固体状チタン触媒成分を調製
するに際して、多価カルボン酸エステル以外の電子供与
体を必要に応じて用いることができる。このような電子
供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケト
ン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエ
ステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシ
ラン等の含酸素電子供与体;アンモニア、アミン、ニト
リル、イソシアネート等の含窒素電子供与体などを用い
ることができる。
【0045】より具体的には、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オク
タノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オ
レイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチ
ルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、イソプロピルベンジルアルコール等の炭素原子数
1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾール、キ
シレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、
ノリルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等の
低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜20のフ
ェノール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベ
ンゾキノン等の炭素原子数3〜15のケトン類;アセト
アルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデ
ヒド等の炭素原子数2〜15のアルデヒド類;ギ酸メチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピ
ル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピレン酸
エチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢
酸エチル、メタクリル酸エチル、クロトン酸エチル、シ
クロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息
香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息
香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェ
ニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル
酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、
アニス酸メチル、シクロヘキセンカルボン酸ジn-ヘキシ
ル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリ
ン、フタリド、炭酸エチレン等の炭素原子数2〜30の
有機酸エステル;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリ
ド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド等の炭素原
子数2〜15の酸ハライド類;メチルエーテル、エチル
エーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ア
ミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフ
ェニルエポキシ-p- メンタン等の炭素原子数2〜20の
エーテル類やジエーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミ
ド、トルイル酸アミド等の酸アミド類;メチルアミン、
エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピ
ペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、
ピコリン、テトラメチレンジアミン等のアミン類;アセ
トニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリ
ル類;無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸等の酸無
水物などが用いられる。
【0046】本発明に係るプロピレン系ブロック共重合
体の製造方法では、固体状チタン触媒成分[a]は、ア
ルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタ
ンとの反応生成物、特に炭化水素溶媒中での反応生成物
であると、第一の重合工程で得られる重合体が多孔質に
なるため好ましい。また、上記のようなマグネシウム化
合物、チタン化合物および内部電子供与体を接触させる
際に、下記のような粒子状担体を用い、担体担持型の固
体状チタン触媒成分[a]を調製することもできる。
【0047】このような担体としては、たとえば、Al
23、SiO2、B23、MgO、CaO、TiO2、Z
nO、Zn2O、SnO2、BaO、ThOおよびスチレ
ン-ジビニルベンゼン共重合体等の樹脂などを挙げるこ
とができる。これらの担体の中でも、好ましくはSiO
2、Al23、MgO、ZnO、Zn2Oなどを挙げるこ
とができる。中でも、比表面積、細孔容積の大きなSi
2、MgOが特に好ましい。
【0048】本発明においては、固体状チタン触媒成分
[a]は、無機多孔微粉体に担持させたものであること
が好ましい。担持された固体状チタン触媒成分[a]の
比表面積は、200〜800m2/gであることが好ま
しい。これら固体状チタン触媒成分[a]の具体的な製
造方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。 (1)マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素
溶媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させ
て、固体を析出させた後、または析出させながらチタン
化合物と接触反応させる方法。 (2)マグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯体
を、炭化水素中で有機金属化合物と接触、反応させた
後、チタン化合物を接触反応させる方法。 (3)マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素
溶媒を含む溶液と、無機または有機担体との混合物か
ら、マグネシウム化合物の担持された無機または有機担
体を調製し、次いでチタン化合物を接触させる方法。 (4)アルコキシ基含有マグネシウム化合物を、炭化水
素中でハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。
このとき電子供与体を1回は用いる。 (5)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子
供与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方
法。 (6)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子
供与体からなる錯体を、炭化水素中で有機金属化合物と
接触させた後、チタン化合物と接触反応させる方法。
【0049】これらのうちでは、(1)と(5)の方法
が好ましい。固体状チタン触媒成分[a]を構成する各
成分の接触条件は、本発明の効果が認められる限り任意
のものでありうるが、一般的には、次の条件が好まし
い。各成分の接触温度は、−50℃〜200℃程度、好
ましくは0〜100℃である。接触方法としては、回転
ボールミル、振動ミル、ジェットミル、媒体撹拌粉砕機
などによる機械的な方法、不活性希釈剤の存在下に撹拌
により各成分を接触させる方法などがある。
【0050】この接触の際に使用する不活性希釈剤とし
ては、脂肪族または芳香族の炭化水素およびハロゲン化
炭化水素などが挙げられる。具体的には、ヘキサン、ヘ
プタン、シクロヘキサン、n-デカン等の飽和炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳
香族炭化水素、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレ
ン、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水
素などが挙げられる。中でも、沸点が90〜150℃程
度のn-デカンまたは芳香族炭化水素類たとえばトルエ
ン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく用いられる。
【0051】固体状チタン触媒成分[a]を調製する際
に用いられる上述したような各成分の使用量は、調製方
法によって異なり一概に規定できないが、たとえばマグ
ネシウム化合物1モル当たり、電子供与体は約0.01
〜5モル、好ましくは0.05〜2モルの量で、チタン
化合物は約0.01〜500モル、好ましくは0.05
〜300モルの量で用いられる。
【0052】このようにして得られた固体状チタン触媒
成分[a]は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
必要に応じて電子供与体を必須成分として含有してい
る。この固体状チタン触媒成分[a]において、ハロゲ
ン/チタン(原子比)は約4〜200、好ましくは約5
〜100であり、前記電子供与体/チタン(モル比)約
0.1〜10、好ましくは約0.2〜約6であり、マグ
ネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、好ましく
は約20〜50であることが望ましい。
【0053】この固体状チタン触媒成分[a]は、市販
のハロゲン化マグネシウムと比較すると、結晶サイズの
小さいハロゲン化マグネシウムを含み、通常その比表面
積が約50m2/g以上、好ましくは約80〜1,000
2/g、より好ましくは約200〜800m2/gであ
る。このような固体状チタン触媒成分[a]は、その平
均粒径が10〜500μm、好ましくは20〜300μ
m、さらに好ましくは30〜200μmであることが好
ましい。
【0054】なお、固体状チタン触媒成分[a]の平均
粒径は、下記のようにして測定することができる。具体
的には、デカン溶媒に濃度が1〜5重量%になるように
固体状チタン触媒成分[a]を投入して調製した分散液
を空気と接触させないよう窒素雰囲気下で光学顕微鏡撮
影用プレパラート上に採取する。そして、その上部をカ
バーガラスで覆った後、触媒の粒子群を光学顕微鏡を用
いて100〜400倍の倍率で撮影する。撮影した画像
により、その任意に選んだ100個の触媒粒子について
長軸と短軸を測定し、その和の1/2の値を触媒粒径と
する。そして、横軸を触媒粒径、縦軸を該触媒粒径以下
の触媒粒子の個数とし、上記100個の触媒粒子に関
し、対数確率紙上にプロットする。該プロットを結んで
得られる曲線に基づき触媒粒子の個数が50個に相当す
る触媒粒径を平均粒径(D50)と見なす。一方、触媒粒
子の個数が16個に相当する触媒粒径(D16)を求め、
50とD16との比(D50/D16)を算出し、これを幾何
標準偏差(δg)とする。
【0055】また、固体状チタン触媒成分[a]は、好
ましくは真球状、楕円球状、顆粒状等の形状を有してお
り、粒子のアスペクト比が好ましくは3以下、さらに好
ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。こ
のアスペクト比は、触媒粒径群を光学顕微鏡で観察し、
その際に選んだ50個の触媒粒子について長軸と短軸を
測定することにより求められる。
【0056】(有機金属化合物触媒成分[b])本発明
の製造方法で固体状チタン触媒成分[a]とともに用い
られる周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物
触媒成分[b]としては、下記のようなトリアルキルア
ルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキ
ルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウム
ジハライド等の有機アルミニウム化合物が好適である。
【0057】なお、有機アルミニウム化合物は、使用す
るチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することが
できる。このような有機アルミニウム化合物としては、
たとえば (i)R1 mAl(OR2npq (式中、R1およびR2は、炭素原子を通常1〜15個、
好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互
いに同一でも異なってもよい。Xは、ハロゲン原子を表
わし、0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、
qは0≦q<3の数であって、しかも、m+n+p+q
=3である)で表わされる有機アルミニウム化合物、 (ii)N1AlR1 m (式中、N1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同
じ)で表わされる第I族金属とアルミニウムとの錯アル
キル化物、 (iii)R122 (式中、R1およびR2は上記と同様である。M2はM
g、ZnまたはCdである)で表わされる第II族または
第III族のジアルキル化合物が用いられる。
【0058】前記の(i)に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のような化合物を例示できる。 一般式R1 mAl(OR23-m (式中、R1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは
1.5≦m≦3の数である)、 一般式R1 mAlX3-m (式中、R1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好まし
くは0<m<3である)、 一般式R1 mAlH3-m (式中、R1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3
である)、 一般式R1 mAl(OR2np (式中、R1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされる化合物などを挙げることができ
る。 (i)に属するアルミニウム化合物としては、より具体
的には、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニ
ウム等のトリアルキルアルミニウム;トリイソプレニル
アルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム;ジエチ
ルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブト
キシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチ
ルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウム
セスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアル
コキシド、R1 2.5Al(OR20.5などで表わされる平
均組成を有する部分的に、アルコキシ化されたアルキル
アルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチ
ルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミ
ド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミ
ニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロ
リド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキル
アルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジク
ロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアル
ミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライ
ドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウ
ム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニ
ウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド;エ
チルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジ
ヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなど、そ
の他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エ
チルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウ
ムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロ
ミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化され
たアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0059】また、(i)に類似する化合物としては、
酸素原子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結
合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、たとえば、
【0060】
【化2】
【0061】などを挙げることができる。(外部電子供
与体触媒成分[c])本発明の製造方法において、固体
状チタン触媒成分[a]および周期律表第I族〜第III
族金属の有機金属化合物触媒成分[b]とともに任意成
分好ましくは必須成分として触媒を構成する外部電子供
与体触媒成分[c]として、内部電子供与体として用い
られる前記化合物の他に、下記のような一般式[Ia]
で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
【0062】 RnSi(OR')4-n …[Ia] [式中、RおよびR'は、炭化水素基であり、0<n<
4である] 上記のような一般式[Ia]で示される有機ケイ素化合
物としては、具体的には、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメト
キシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチ
ルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス
o-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシ
ラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジ
エトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラ
ン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシ
ルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デ
シルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、γ- クロルプロピルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチ
ルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、
iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシ
シラン、γ- アミノプロピルトリエトキシシラン、クロ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメ
トキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-
ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリ
エトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラ
ン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキ
シシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、
ビニルトリス(β- メトキシエトキシシラン)、ビニル
トリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロ
キサンなどが用いられる。
【0063】このうち、エチルトリエトキシシラン、n-
プロピルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビス
p-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシ
シラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘ
キシルメチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエ
トキシシラン、2-ノルボルナンメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
【0064】さらに電子供与体触媒成分[c]として、
下記のような一般式[IIa]で示される有機ケイ素化合
物を用いることもできる。 SiR12 m(OR33-m …[IIa] [式中、R1は、シクロペンチル基もしくはアルキル基
を有するシクロペンチル基であり、R2は、アルキル
基、シクロペンチル基およびアルキル基を有するシクロ
ペンチル基からなる群より選ばれる基であり、R3は、
炭化水素基であり、mは0≦m≦2である。] 上記式[IIa]において、R1は、シクロペンチル基も
しくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、R
1としては、シクロペンチル基以外に、2-メチルシクロ
ペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシク
ロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基などのア
ルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることができ
る。
【0065】また、式[IIa]において、R2は、アル
キル基、シクロペンチル基もしくはアルキル基を有する
シロペンチル基のいずれかの基であり、R2としては、
たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、または
1として例示したシクロペンチル基およびアルキル基
を有するシクロペンチル基を同様に挙げることができ
る。
【0066】また、式[IIa]において、R3は、炭化
水素基であり、R3としては、たとえばアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化
水素基を挙げることができる。これらのうちでは、R1
がシクロペンチル基であり、R2がアルキル基またはシ
クロペンチル基であり、R3がアルキル基、特にメチル
基またはエチル基である有機ケイ素化合物を用いること
が好ましい。
【0067】このような有機ケイ素化合物として、具体
的には、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチル
シクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシク
ロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエ
トキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジシクロペ
ンチルジメトキシシラン、ビス(2-メチルシクロペンチ
ル)ジメトキシシラン、ビス(2,3-ジメチルシクロペン
チル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシ
シラン等のジアルコキシシラン類;トリシクロペンチル
メトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、
ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペン
チルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエ
トキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラ
ン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペ
ンチルジメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラ
ン類などを挙げることができる。
【0068】これらの電子供与体のうち、有機カルボン
酸エステル類あるいは有機ケイ素化合物類が好ましく、
外部電子供与体触媒成分[c]としては、ジエーテル化
合物および/またはシラン化合物が好ましい。本発明の
重合方法においては、固体状チタン触媒成分[a]は、
重合容積1リットル当りTi原子に換算して、通常は約
0.0001〜0.5ミリモル、好ましくは約0.00
6〜0.1ミリモルの量で用いられる。また、有機金属
化合物触媒成分[b]は、重合系中の予備重合触媒成分
中のチタン原子1モルに対し、金属原子が、通常約1〜
2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるよう
な量で用いられる。さらに、外部電子供与体触媒成分
[c]は、必要に応じて用いられ、固体状チタン触媒成
分[a]中のチタン原子1モル当り、通常、0.1〜1
00モル、好ましくは0.5〜50モル、特に好ましく
は1〜30モルの量で用いられることが好ましい。
【0069】(予備重合)本発明では、上記のようなオ
レフィン重合用触媒を形成する固体状チタン触媒成分
[a]にα- オレフィンを予備重合させて、予備重合触
媒成分を形成して用いることが触媒崩壊に伴うプロピレ
ン系ブロック共重合体の微粉の発生を抑制するため好ま
しい。
【0070】この予備重合は、上記のような固体状チタ
ン触媒成分[a]に、たとえば不活性な炭化水素媒体の
共存下に、炭素原子数2〜10のα- オレフィンを重合
または共重合させることにより行なわれる。炭素原子数
2〜10のオレフィンとしては、たとえばエチレン、プ
ロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプ
テン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1- ブテン、3,
3-ジメチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチ
ル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘキセン、3,5,5-トリメ
チル-1- ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシク
ロヘキサンなどが挙げられ、これらのうち、プロピレ
ン、3-メチル-1- ブテン、3,3-ジメチル-1- ブテン、3-
メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘキセン、3,5,5-ト
リメチル-1- ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニル
シクロヘキサンなどが好ましく用いられる。
【0071】予備重合に用いられる不活性炭化水素媒体
としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯
油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキ
サン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エ
チレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。これ
らのうち、脂肪族炭化水素を用いることが好ましく、特
に沸点180℃以下の脂肪族炭化水素を用いることが好
ましい。
【0072】予備重合の際の反応温度は、生成する予備
重合体が実質的に不活性炭化水素媒体中に溶解しないよ
うな温度であることが好ましく、通常約−20〜+10
0℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましく
は0〜+40℃であることが望ましい。予備重合におい
ては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
本発明では、予備重合は、上記のような固体状チタン触
媒成分[a]1g当り0.01〜2000g、好ましく
は1〜500g、特に好ましくは2〜200gの予備重
合体が生成するように行なうことが望ましい。
【0073】予備重合は、バッチ式、半連続式あるいは
連続式のいずれの方法で行なってもよい。本発明で用い
られるプロピレン系ブロック共重合体(A)の製造方法
においては、前記したオレフィン重合用触媒の存在下
に、第一の重合工程で、プロピレン、またはプロピレン
と少量のプロピレン以外のα- オレフィンとを含む混合
物を重合させて、プロピレン単独重合体粒子、またはプ
ロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を製造
する。
【0074】この工程は、バッチ重合でも、連続重合で
あってもよいが、連続重合が好ましい。連続重合の場
合、1つの重合器を用いる1段でも2以上の重合器を用
いる2段以上の多段であってもよい。プロピレンの重合
は、溶媒懸濁法、液状プロピレンを溶媒とする塊状重合
法、気相重合法などによって行なうことができるが、液
状プロピレンを溶媒とする塊状重合法で行なうことが最
も好ましい。
【0075】溶媒懸濁重合の場合、重合溶媒としては、
重合不活性な炭化水素を用いることができる。このよう
な不活性炭化水素としては、具体的には、予備重合の際
に用いられる炭化水素が挙げられる。これらのうち、脂
肪族炭化水素が好ましく、特に沸点180℃以下の脂肪
族炭化水素を用いることが好ましい。また、水素(連鎖
移動剤)を用いて、ポリプロピレンの分子量を調節する
ことができる。重合は、通常、重合温度が約−50〜2
00℃、好ましくは約50〜100℃で、常圧〜100
kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2の圧力
下で実施される。
【0076】上記のようなプロピレンの重合工程におい
ては、プロピレンを単独重合させることが好ましいが、
プロピレンに少量のプロピレン以外の炭素原子数2〜1
0のオレフィンを加えて共重合させることもできる。プ
ロピレン以外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンと
しては、たとえば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、
1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、3-メ
チル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1-
ペンテンなどを用いることができ、これらを組合せて用
いてもよい。
【0077】このようなプロピレン以外のα- オレフィ
ンは、このα- オレフィンから誘導される構成単位が、
最終的にポリプロピレン成分中に、5モル%以下、好ま
しくは4モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下の
量で存在するように用いられる。このようにして形成さ
れるポリプロピレン成分は、メルトフローレート(MF
R;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が、10〜50
0g/10分、好ましくは10〜300g/10分であ
ることが望ましい。
【0078】好ましい方法としては、第一の重合工程で
気相重合により結晶性プロピレン重合体部を生成した
後、第二の重合工程で気相重合により非晶性プロピレン
・α-オレフィン共重合体部を生成する方法、あるいは
モノマーを溶媒として結晶性プロピレン重合体部を生成
した後、気相重合により、非晶性プロピレン・α- オレ
フィン共重合部を生成する方法が挙げられる。また、特
に気相重合工程に酸素、アルコールなどの反応性試薬を
添加することにより、一層粒子性状の良好な重合体粒子
が得られる。
【0079】上記のようなオレフィン重合用触媒を用い
て、オレフィンの(共)重合を行なうと、粒子性状が良
好なプロピレン系ブロック共重合体、特に非晶性プロピ
レン・α- オレフィン共重合体部を多量に含んでいて
も、ブロッキングなどが生ぜず、しかも粒度分布が良好
であり、粒子性状に優れたプロピレン系ブロック共重合
体粒子を製造しうる。
【0080】本発明では、オレフィンの重合温度は、通
常、約0〜130℃、好ましくは約20〜100℃に、
圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは
約2〜50kg/cm2に設定される。第一の重合工程
で重合されたプロピレン単独重合体、もしくはプロピレ
ン・エチレン共重合体等のプロピレン・α- オレフィン
ランダム共重合体の135℃デカリン中での極限粘度
[η]は、0.4〜2.0dl/g、好ましくは0.8
〜1.6dl/g、特に好ましくは1.0〜1.5dl
/gの範囲である。
【0081】本発明の製造方法における第一の重合工程
で製造された重合体粒子は、多孔質でかつ大粒径である
という特徴を有する。たとえば本発明で用いられるプロ
ピレン系ブロック共重合体の製造方法では、重合体粒子
の平均粒径は、0.8〜8mm、好ましくは1.0〜5
mm、特に好ましくは1.0〜4mmの範囲である。ま
た、本発明の製造方法における第一の重合工程で製造さ
れた重合体粒子の細孔容積は、0.1〜2cc/g、好
ましくは0.2〜1cc/gである。
【0082】また、比表面積は、5〜500m2/g、
好ましくは10〜100m2/gの範囲にある。本発明
の製造方法においては、第一の重合工程に引き続く第二
の重合工程において、好ましくは触媒を新たに添加する
ことなく、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原
子数4〜10のα- オレフィンとの混合物を重合してゴ
ム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の粒子を形成
させる。
【0083】ゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合
体のプロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよ
び/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘
導される全構成単位の重量比は、40/60〜80/2
0、好ましくは50/50〜75/25、特に好ましく
は55/45〜70/30の範囲である。また、ゴム状
プロピレン・α- オレフィン共重合体のプロピレンブロ
ック共重合体(A)全体における割合は、45〜15重
量%、好ましくは40〜20重量%、特に好ましくは3
5〜25重量%の範囲にある。
【0084】第二の重合工程は、気相重合方法に拠るこ
とが好ましい。この気相重合方法は、バッチ重合法でも
よいが、連続重合法が好ましい。また連続重合法に拠る
場合、単一の重合器からなる単段でもよいし、複数の段
からなっていてもよい。第二の重合工程で製造されたゴ
ム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の135℃デ
カリン溶媒中で測定される極限粘度[η]は、1.0〜
10.0dl/g、好ましくは1.5〜8.0dl/
g、特に好ましくは2.0〜6.0dl/gの範囲にあ
ることが望ましい。
【0085】第一の重合工程、および第二の重合工程を
経て製造されたプロピレン系ブロック共重合体(A)粒
子の平均粒径は、0.8〜10mm、好ましくは1〜5
mm、特に好ましくは1.0〜4mmの範囲にあること
が望ましい。本発明の方法で製造されたプロピレン系ブ
ロック共重合体(A)粒子の嵩密度は、0.25〜0.
50g/ml、特に好ましくは0.30〜0.40g/
mlの範囲にあることが望ましい。
【0086】本発明においては、プロピレン系ブロック
共重合体(A)は、プロピレン系ブロック共重合体
(A)、エチレン・α- オレフィンランダム共重合体ゴ
ム(B)および無機充填剤(C)の合計量100重量%
に対して、40〜97重量%、好ましくは50〜90重
量%、さらに好ましくは60〜90重量%の割合で用い
られる。
【0087】エチレン・α- オレフィンランダム共重合
体ゴム(B) 本発明で用いられるエチレン・α- オレフィンランダム
共重合体ゴム(B)は、エチレンと炭素原子数3〜20
のα- オレフィンとのランダム重合体ゴムであり、密度
(ASTM D 1505)が通常、0.850g/cm3以上0.
891g/cm3未満、好ましくは0.865g/cm3
以上0.889g/cm3未満、さらに好ましくは0.
855g/cm3以上0.887g/cm3未満である。
【0088】このような炭素原子数3〜20のα- オレ
フィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、
1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ペン
テン、1-ヘプテン、1-オクテンおよび1-デセンなどが挙
げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィ
ン、特に炭素原子数4〜8のα- オレフィンが好まし
い。
【0089】本発明で用いられるエチレン・α- オレフ
ィンランダム共重合体ゴム(B)は、メルトフローレー
ト(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)が通常
0.001〜15g/10分、好ましくは0.005〜
15g/10分、さらに好ましくは0.01〜10g/
10分である。このエチレン・α- オレフィンランダム
共重合体ゴム(B)の屈折率は、1.4700〜1.4
950、好ましくは1.4720〜1.4950、さら
に好ましくは1.4750〜1.4950であることが
望ましい。この屈折率は、ASTM D 542の方法に
準じ、アッベ屈折率計を用いてナトリウム線(λ0=5
89.3nm)で測定する。
【0090】このようなエチレン・α- オレフィンラン
ダム共重合体ゴム(B)は、エチレンから導かれる構成
単位を60〜90モル%(エチレン含量)、好ましくは
70〜88モル%の量で、上記のような炭素原子数3〜
20のα- オレフィンから導かれる構成単位を10〜3
0モル%、好ましくは12〜30モル%の量で含有して
いることが望ましい。
【0091】エチレン・α- オレフィンランダム共重合
体ゴム(B)としては、具体的にはエチレン・1-ブテン
ランダム共重合体ゴム、エチレン・1-オクテンランダム
共重合体ゴムなどが好ましく用いられる。本発明におい
ては、エチレン・α- オレフィンランダム共重合体ゴム
(B)は、プロピレン系ブロック共重合体(A)、エチ
レン・α- オレフィンランダム共重合体ゴム(B)およ
び無機充填剤(C)の合計量100重量%に対して、2
〜30重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ま
しくは5〜25重量%の割合で用いられる。
【0092】微粉末の無機充填剤(B) 本発明で用いられる微粉末の無機充填剤(B)は、平均
粒径が0.1〜3μm、好ましくは0.5〜2.7μm
である。このような微粉末の無機充填剤(B)として
は、具体的には、微粉末タルク、カオリナイト、焼成ク
レー、バイロフィライト、セリサイト、ウォラスナイト
等の天然珪酸または珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重
質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、酸
化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウム等の酸化物、含水珪
酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水
珪酸等の合成珪酸または珪酸塩などの粉末状充填剤;マ
イカなどのフレーク状充填剤;塩基性硫酸マグネシウム
ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸ア
ルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Process
ed Minefal Fiber)、ソノトライト、チタン酸カリ、エ
レスタダイトなどの繊維状充填剤;、ガラスバルン、フ
ライアッシュバルンなどのバルン状充填剤などを用いる
ことができる。
【0093】本発明では、これらのうちでもタルクの微
粉末が好ましく用いられる。なお、タルクの平均粒径
は、液相沈降方法によって測定することができる。ま
た、本発明で用いられる無機充填剤(B)、特にタルク
は、無処理であっても予め表面処理されていてもよい。
この表面処理の例としては、具体的には、シランカップ
リング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、
有機チタネート、樹脂酸、ポリエチレングリコールなど
の処理剤を用いる化学的または物理的処理が挙げられ
る。このような表面処理が施されたタルクを用いると、
ウェルド強度、塗装性、成形加工性にも優れたポリオレ
フィン樹脂組成物を得ることができる。
【0094】上記のような無機充填剤(B)は、単独で
用いることができるし、また2種以上組み合わせて用い
ることができる。本発明においては、微粉末の無機充填
剤(C)は、プロピレン系ブロック共重合体(A)、エ
チレン・α- オレフィンランダム共重合体ゴム(B)お
よび無機充填剤(C)の合計量100重量%に対して、
1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、さらに好
ましくは5〜20重量%の割合で用いられる。
【0095】ポリオレフィン樹脂組成物 本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、少なくとも
プロピレン系ブロック共重合体(A)と、エチレン・α
- オレフィンランダム共重合体ゴム(B)と、微粉末の
無機充填剤(C)とを上記した特定の割合で含有してい
る。本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、上記の
ような各成分に加えて、必要に応じて、水添ブロック共
重合体、他の樹脂類、他のエラストマー、各種添加剤な
どを含有していてもよい。
【0096】上記水添ブロック共重合体としては、芳香
族ビニルから導かれるブロック重合単位(X)と、共役
ジエンから導かれるブロック重合単位(Y)とからなる
芳香族ビニル化合物・共役ジエンブロック共重合体の水
添物が挙げられる。このような構成の芳香族ビニル化合
物・共役ジエンブロック共重合体の形態は、たとえばX
(YX)n または(XY)n [nは1以上の整数]で
示される。
【0097】このうち、X(YX)m 、特にX−Y−
Xの形態のものが好ましく、具体的に は、ポリスチレ
ン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック
共重合体、ポリスチレン−ポリイソプレン・ブタジエン
−ポリスチレンブロック共重合体が好ましい。このよう
な水添ブロック共重合体としては、具体的には、スチレ
ン・イソプレンブロック共重合体の水添物(SEP)、
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水
添物(SEPS;ポリスチレン・ポリエチレン/プロピ
レン・ポリスチレンブロック共重合体)、スチレン・ブ
タジエンブロック共重合体の水添物(SEB)、スチレ
ン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物
(SEBS;ポリスチレン・ポリエチレン/ブチレン・
ポリスチレンブロック共重合体)などが挙げられ、より
具体的には、HYBRAR(商品名;クラレ(株)
製)、クレイトン(Kraton)G(シェル化学(株)
製)、キャリフレックスTR(シェル化学(株)製)、
ソルプレン(フィリップスペトロリファム社製)、ユー
ロプレンSOLT(アニッチ社製)、タフプレン(旭化
成(株)製)、ソルプレン−T(日本エラストマー社
製)、JSRTR(日本合成ゴム社製)、電化STR
(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、
タフテック(旭化成(株)製)(以上、商品名)などが
挙げられる。
【0098】上記の他の樹脂類としては、熱可塑性樹脂
または熱硬化性樹脂を用いることができ、具体的には、
ポリ1-ブテンなどのα- オレフイン単独重合体またはα
- オレフィン共重合体、α- オレフィンとビニルモノマ
ーとの共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレンな
どの変性オレフィン重合体、ナイロン、ポリカーボネー
ト、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
フェニレンオキサイド、石油樹脂、フェノール樹脂など
を用いることができる。
【0099】上記の他のエラストマーとしては、上記エ
チレン・α- オレフィンランダム共重合体ゴム(B)以
外のオレフィンを主成分とする非晶性弾性共重合体、共
役ジエン系ゴムなどを挙げることができる。また、上記
の添加剤としては、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐
熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止
剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和
剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物等
の流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤などが挙げられ
る。
【0100】本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物
は、上記のような各成分を同時に、または逐次的に、た
とえばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラ
ーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して混練し
た後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリー
ミキサーなどで溶融混練することによって得られる。こ
れらのうちでも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミ
キサーなどの混練性能に優れた装置を使用すると、各成
分がより均一に分散された高品質のポリオレフィン樹脂
組成物を得ることができため好ましい。
【0101】
【発明の効果】本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物
は、安価で流動性に優れ、剛性と耐衝撃性に優れる成形
品を提供することができる。しかも、低光沢を呈する高
級感のある成形品を調製することができる。本発明に係
るポリオレフィン樹脂組成物は、上記のような効果を有
するので、広範な用途に利用することができ、特に自動
車用内外装材、電気部品筐体などの用途に好適に用いら
れる。
【0102】自動車内装材としては、たとえばドアトリ
ム、フロントピラーガーニッシュ、センターピラーガー
ニッシュ、リアクォータトリム、キッキングプレート、
ドアポケットなどを挙げることができる。また、自動車
外装材としては、たとえばバンパーなどを挙げることが
できる。
【0103】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記の実施例、比較例において、各物性は以下の
ようにして測定した。 (1)MFR MFRは、ASTM D1238に準拠して、230
℃、2.16kg荷重下で測定した。 (2)曲げ弾性率(FM) 曲げ弾性率(FM)は、ASTM D790に準拠して
下記の条件で測定した。
【0104】<試験条件> 試験片 :12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×1
27mm(長さ) スパン間:100mm 曲げ速度:2mm/分 (3)アイゾット衝撃強度(IZ) アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D256に
準拠して下記の条件で測定した。
【0105】<試験条件> 温 度:−30℃ 試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64
mm(長さ) ノッチは機械加工 (4)光沢 光沢は、日本電色工業(株)製NDH−300Aグロス
メーターを用いて60゜−60゜(照射角−受光角)の
条件で測定した。
【0106】
【実施例1】[前重合触媒の調製]下記のようにして調
製した固体触媒成分70g、トリエチルアルミニウム3
6ml、2,5-ジメチル-3,3-ビス(メトキシメチル)ヘ
プタン12mlおよびヘプタン70リットルを内容量2
00リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に
保ち、プロピレンを210g挿入し、60分間撹拌後、
固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプ
タン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度
この操作を繰り返し、前重合触媒のスラリーを調製し
た。 <固体触媒成分の調製>窒素ガスで充分に置換され、撹
拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに、ジエ
トキシマグネシウム10gおよびトルエン500mlを
装入し、懸濁状態とした。この中に、室温の四塩化チタ
ン500mlを装入し、撹拌しながら50℃まで昇温
し、次いで、ジ-iso-オクチルフタレート52mlを添
加後、さらに昇温して100℃でジエチルフタレート1
5mlを添加し、次いで、系内の温度を115℃に昇温
して室温での粘度が100cStのジメチルポリシロキ
サン40mlを添加して2時間反応させた。反応終了
後、上澄み液を除去し、トルエン800mlおよび四塩
化チタン200mlを用いて100℃で15分間処理
し、さらにトルエン1000mlを用いて100℃で3
回洗浄した。その後ステアリン酸ナトリウム8g、トル
エン800mlおよび四塩化チタン200mlを新たに
加え、100℃で2時間撹拌しながら処理し、その後4
0℃のn-ヘプタン1000mlを8回洗浄して固体触媒
成分を得た。この固体触媒成分中のTi含有量を測定し
たところ、2.5重量%であった。 [重合]内容量66リットルの環状反応器に、プロピレ
ンを30kg/時間、水素を350Nリッター/時間、
上記触媒スラリーを固体触媒成分(a1)として0.3
g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部
電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン
0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない
満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器
の温度は65℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0107】次いで、上記のようにして得られたスラリ
ーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に
送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へ
は、プロピレンを15kg/時間、水素を260Nリッ
ター/時間で供給した。重合温度59℃、圧力3.4M
Paでプロピレンの重合を行なった。次いで、上記重合
を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を
行なった後、内容量480リットルの気相重合器に連続
的にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチ
レンとプロピレンとの気相共重合を行なった。この共重
合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比
[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.46、水
素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エ
チレン+プロピレン)]0.03、重合温度70℃、圧
力0.5MPaの条件で行なった。
【0108】上記のようにして得られたプロピレン系ブ
ロック共重合体の性状等を第1表に示す。 [ポリオレフィン樹脂組成物およびその成形品の調製]
得られたプロピレン系ブロック共重合体70重量部と、
エチレン・1-ブテンランダム共重合体ゴム[商品名 タ
フマーA1050、三井化学(株)製、以下、EBRと
称する場合がある]14重量部と、タルク[充填剤;富
士タルク工業(株)製K−1(商標)、平均粒子径2μ
m]16重量部とを、二軸押出機により210℃で溶融
混練し、ペレタイザーを用いてポリオレフィン樹脂組成
物のペレットを調製した。
【0109】得られた組成物を角板型の金型を用いて成
形温度230℃、金型温度30℃で射出成形機[(株)
新潟鉄工所右製NN220α] により射出成形して成
形品を調製し、この成形品の光沢を上記方法に従って測
定した。また、この成形品について、曲げ弾性率および
−30℃でのアイゾット衝撃強度を上記方法に従って測
定した。これらの結果を第2表に示す。
【0110】
【比較例1】[前重合触媒の調製]実施例1で用いた固
体触媒成分と同じ固体触媒成分70g、トリエチルアル
ミニウム13mlおよびヘプタン65リットルを内容量
200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃
に保ち、プロピレンを195g挿入し、60分間撹拌
後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、
ヘプタン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。
再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製し
た。 [重合]内容量66リットルの環状反応器に、プロピレ
ンを30kg/時間、水素を270Nリッター/時間、
上記触媒スラリーを固体触媒成分(a2)として0.3
g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部
電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラ
ン(DH)0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の
存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。
環状反応器の温度は65℃であり、圧力は3.6MPa
であった。
【0111】次いで、上記のようにして得られたスラリ
ーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に
送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へ
は、プロピレンを15kg/時間、水素を220Nリッ
ター/時間で供給した。重合温度64℃、圧力3.4M
Paで重合を行なった。次いで、上記重合を行なって得
られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なった後、
内容量480リットルの気相重合器に連続的にポリプロ
ピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピ
レンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレ
ンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/
(エチレン+プロピレン)]0.4、水素とエチレンお
よびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピ
レン)]0.01、重合温度70℃、圧力0.5MPa
の条件で行なった。
【0112】上記のようにして得られたプロピレン系ブ
ロック共重合体の性状等を第1表に示す。 [ポリオレフィン樹脂組成物およびその成形品の調製]
実施例1において、実施例1で得られたプロピレン系ブ
ロック共重合体の代わりに、この比較例1で得られたプ
ロピレン系ブロック共重合体を用いた以外は、実施例1
と同様に行なった。成形品の物性結果を第2表に示す。
【0113】
【実施例2】[重合]内容量66リットルの環状反応器
に、プロピレンを30kg/時間、水素を350Nリッ
ター/時間、上記実施例1で用いた触媒スラリー[固体
触媒成分(a1)]を0.3g/時間、トリエチルアル
ミニウム1ml/時間、外部電子供与体としてジシクロ
ペンチルジメトキシシラン0.4ml/時間を連続的に
供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを
塊状重合した。環状反応器の温度は65℃であり、圧力
は3.6MPaであった。
【0114】次いで、上記のようにして得られたスラリ
ーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に
送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へ
は、プロピレンを15kg/時間、水素を260Nリッ
ター/時間で供給した。重合温度59℃、圧力3.4M
Paで重合を行なった。次いで、上記重合を行なって得
られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なった後、
内容量480リットルの気相重合器に連続的にポリプロ
ピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピ
レンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレ
ンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/
(エチレン+プロピレン)]0.43、水素とエチレン
およびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロ
ピレン)]0.11、重合温度70℃、圧力0.5MP
aの条件で行なった。
【0115】上記のようにして得られたプロピレン系ブ
ロック共重合体の性状等を第1表に示す。 [ポリオレフィン樹脂組成物およびその成形品の調製]
実施例1において、実施例1で得られたプロピレン系ブ
ロック共重合体の代わりに、この実施例2で得られたプ
ロピレン系ブロック共重合体を用いた以外は、実施例1
と同様に行なった。成形品の物性結果を第2表に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/10 C08L 23/10 (72)発明者 橋 本 幹 夫 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 株 式会社グランドポリマー内 (72)発明者 木 村 茂 大阪府堺市築港新町三丁目1番地 株式会 社グランドポリマー内 (72)発明者 橋 詰 聡 大阪府堺市築港新町三丁目1番地 株式会 社グランドポリマー内 Fターム(参考) 4J002 BB052 BB152 BP031 FD016 GN00 4J028 AA01A AB01A AC09A BA01A BA01B BA02B BB00A BB01B BC05A BC06A BC07A BC15B BC16B BC17B BC25B BC34B CA15A CB27C CB42A CB92C EA02 EB02 EB04 EB05 EB06 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 ED01 ED02 ED03 ED04 EF01 FA01 FA04 FA09 GA01 GA05 GA07 GA09 GA15 GA21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレン系ブロック共重合体(A)40
    〜97重量%と、 エチレン含量が60〜90モル%であるエチレン・α-
    オレフィンランダム共重合体ゴム(B)2〜30重量%
    と、 微粉末の無機充填剤(C)1〜30重量%とからなるポ
    リオレフィン樹脂組成物であり、 該プロピレン系ブロック共重合体(A)は、 触媒成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン、電子
    供与体およびアルミニウムを含有するオレフィン重合用
    触媒を用いて調製され、(a)該共重合体(A)の23
    ℃n-デカン不溶成分の13C−NMRで測定されるペンタ
    ッドアイソタクティシティ(mmmm分率)が、97.
    5%以上であり、(b)該23℃n-デカン不溶成分の1
    35℃デカリン中で測定される極限粘度[η]ncが、
    0.4〜2.0dl/gであり、(c)該23℃n-デカ
    ン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体(A)にお
    ける割合が50〜80重量%であり、(d)該共重合体
    (A)の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶
    媒中で測定される極限粘度[η]naが、1.0〜10.
    0dl/gであり、(e)該23℃n-デカン可溶成分の
    プロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよび/
    または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導さ
    れる全構成単位の重量比が40/60〜80/20であ
    り、(f)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブ
    ロック共重合体(A)における割合が50〜20重量%
    であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記プロピレン系ブロック共重合体(A)
    の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で
    測定される極限粘度[η]naと、23℃n-デカン不溶成
    分の135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]nc
    との比([η]na/[η]nc)が4〜8であることを特
    徴とする請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記プロピレン系ブロック共重合体(A)
    が、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供
    与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、
    周期律表第I族〜第III族金属を含む有機金属化合物触
    媒成分[b]と、外部電子供与体触媒成分[c]とを含
    む高立体規則性触媒の存在下に、 第一の重合工程で、プロピレン、またはプロピレンとエ
    チレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフ
    ィンとを含む混合物を1段または多段で、液状プロピレ
    ンを溶媒とする塊状重合法、または気相重合法により重
    合させてプロピレン単独重合体粒子、またはエチレンお
    よび/または炭素原子数4〜10のα-オレフィン含量
    が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム
    共重合体粒子を形成し、 次いで、第二の重合工程において、前記第一の重合工程
    で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン
    ・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プ
    ロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10
    のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で気
    相重合法により共重合させてゴム状プロピレン・α- オ
    レフィン共重合体の粒子を形成させることにより調製さ
    れたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1
    または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記固体状チタン触媒成分[a]が、アル
    コール成分を含有するマグネシウム化合物と、四塩化チ
    タンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物である
    ことを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィン樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】前記外部電子供与体触媒成分[c]が、ジ
    エーテル化合物および/またはシラン化合物であること
    を特徴とする請求項3に記載のポリオレフィン樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】前記第一の重合工程で形成されたプロピレ
    ン単独重合体粒子またはエチレンおよび/または炭素原
    子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプ
    ロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の空隙
    率が10〜50%であることを特徴とする請求項5に記
    載のポリオレフィン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記微粉末の無機充填剤(B)の平均粒径
    が0.1〜3μmであることを特徴とする請求項1に記
    載のポリオレフィン樹脂組成物。
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