JP2002030100A - IgY(ΔFc)抗体の作製およびその使用 - Google Patents

IgY(ΔFc)抗体の作製およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 卵黄から抗体(IgYΔFc)を調製および精製す
る方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、家禽鶏を抗原で免疫する工
程、該鶏に産まれた卵からの全抗体を部分的に精製する
工程、および該抗原に対して生じた抗体を免疫アフィニ
ティー精製する工程を包含し、ここで、免疫アフィニテ
ィー精製工程における抗体と抗原との結合は、pHが4-7
の範囲内および50 mM未満のイオン強度下で行なわれ
る。本発明はまた、それにより生産されるIgY(ΔFc)抗
体および新規IgY(ΔFc)抗体の種々の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鳥類卵黄からIgY
(ΔFc)抗体を調製および精製する方法、並びにそれによ
り作製されるIgY(ΔFc)抗体に関する。本発明は、興味
ある病因物質を定量的および定性的に分析するための、
新規なIgY(ΔFc)抗体の使用にも関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】抗体は、多くの生物学的調
査および臨床的応用において、広く使用されている。過
免疫された哺乳動物から得られた血清は、ポリクローナ
ル抗体の最も一般的な供給源である。そのような免疫血
清に由来する抗体は、「免疫グロブリン」と呼ばれる一
群のタンパク質に属し、その中でも免疫グロブリンG(Ig
G)が最も豊富である。IgG分子は、3つのドメイン、す
なわち2つのFab領域および1つのFc領域からなる。Fab
部分は、主として、抗原結合に関与する。Fc部分は、抗
原との結合能力を有しないが、補体固定およびFcレセプ
ター結合のような抗体の幾つかの生物学的活性を指令す
る。
【0003】免疫診断の技術においては、IgG分子のFc
領域は、Fcレセプターに結合して補体システムを活性化
し、哺乳動物血清中のリウマチ因子と反応し得るので、
無傷のIgG分子は、哺乳動物血清に関与する検出システ
ムおよび免疫学的アッセイにおける使用に好適ではな
い。IgG分子のFc部分の除去は、干渉の低下をもたらす
(E. Lamoyi, Methods in Enzymology 121:652-663(198
6))。
【0004】免疫療法における抗体の幾つかの提案され
た使用は、患者を、中毒化した細菌毒素またはヘビ毒で
処置すること(例えば、米国特許第5,340,923号および米
国特許第5,601,823号を参照)、および致死的な腸内大腸
菌細菌症に対する新生仔ブタの防御(例えば、H. Brusso
wら、J. Clin. Microbiol. 25:982(1987);およびC.O.T
acketら、New Eng. J. Med. 318:1240(1988)を参照)を
含む。抗体分子のFcフラグメントは、免疫グロブリンの
最も抗原性の部分であることが公知(E.M. Akitaら、J.
Immunol Methods 162:155-164(1993))であるので、F(a
b')2フラグメントの形成をもたらす同部分の開裂は、免
疫グロブリン分子上に多くの可能性のあるアレルギー誘
発性部位を有意に減少させ、このため、免疫グロブリン
を投与されたヒトまたは動物に有利である。
【0005】最近、2価のF(ab')2抗体フラグメント
が、免疫診断テストでより有用であり(M. Muratsugu
ら、J. Colloid Interface Sci 147:378(1991);および
J.L. Ortega-Vinuesaら、J. Immunol Methods 90:29(19
96))、哺乳動物血清に関与する免疫アッセイの開発に、
親IgGよりも好適であることが示された。
【0006】F(ab')2抗体フラグメントは、しかしなが
ら、臨床診断キットにおいて期待されるほどには広範囲
な使用を見い出していない。これは、IgGのペプシン消
化およびその後のクロマトグラフィー精製によって慣用
的に産生される、F(ab')2フラグメントの大規模生産の
困難さ及びコスト不効率に起因し得る。
【0007】アヒル類およびその系統発生的に近い類縁
系および、カメのような幾種かの爬虫類は、3種類の血
清免疫グロブリンを有する:マクロ分子の免疫グロブリ
ンIgM(アヒルでは、800kDa)、並びに沈降係数7.8S(アヒ
ルでは、180kDa)および5.7S(アヒルでは、130kDa)をそ
れぞれ有する低分子量IgGの2つのイソ型 (E.R. Unanue
ら、J. Exp. Med. 121:697-714(1965);H.M.Grey、J. I
mmunol 98:811-819(1967);およびB. Zimmermanら、Bio
chemistry 10:482-448(1971))。鳥類IgGは、卵黄中での
それらの存在ゆえに、しばしばIgYと呼ばれる。5.7S Ig
Yは、より短い重鎖で構成され、7.8S IgYのF(ab')2フラ
グメントと構造的および抗原的に類似しており(図1)、
この事実は、共にIgYのイソ型を示すIgY(7.8S IgYに等
価)およびIgY(ΔFc)(5.7S IgYに等価)の命名を導いた
(K.E. Magorら、J. Immunol. 149:2627-2633(1992))。
【0008】感染した又は実験的に免疫したトリで行な
われた研究は、アヒル抗体が、補体固定およびFcレセプ
ター結合を含む多くの生物学的エフェクター機能におい
て不充分であるが、対応する抗原に対するそれらの結合
活性を犠牲にすることはないことを示した(G.W. Litman
ら、Immunochemistry 10:323(1973);およびT.E. Toth
ら、Avian Dis. 25:17-28(1981))。これは、アヒル抗体
反応の量的に主要な成分を構成するIgY(ΔFc)抗体の、F
c-等価領域の明らかな欠如に合理的に起因し得る。従っ
て、F(ab')2フラグメントの構造的および機能的アナロ
ーグであるように見えるIgY(ΔFc)抗体は、抗体作製の
有望な方法が見い出され得、その活性に関する好適な物
理的要件が同定され得るならば、免疫学的使用に多大な
利点を提供し得るであろうと考えられている。
【0009】鳥類卵黄抗体は、哺乳動物抗体がそうであ
るように、研究および臨床応用の両方に有用な特性を発
揮することが報告されている(例えば、米国特許第5,34
0,923号;米国特許第5,585,098号;米国特許第5,601,82
3号;および米国特許第5,976,519号を参照)。産卵鶏由
来の卵黄は、過免疫された哺乳動物血清と比較して安価
であり、取り扱いがより好都合で安全である。より重要
なこととして、卵黄抗体は、現代の動物保護規制条例下
での監視に耐えられ得る(A. Polsonら、Immunol.Commu
n. 9:475(1980);およびB. Gottsteinら)。これらの事
実は、抗体の商業的供給源としての卵黄の、可能性のあ
る使用を示唆する。
【0010】卵黄からIgYを単離し精製する努力が、為
されている。例えば、寒天、ペクチン(1989年2月8日に
公開された特開昭64-38098号公報)、デキストラン硫酸
(J.C.Jenseniusら、J. Immunol. Methods 46:63(198
1))、天然ガム(H. Hattaら、J. Foods Science 53:425
(1988))およびポリエチレングリコール(PEG)(A. Polson
ら、Immunol. Invest. 14:323(1985);A. Polsonに発行
された米国特許第4,550,019号も参照)を含む材料が、非
水性の生物学的分子、主として脂質および卵黄顆粒を沈
殿させ、それにより、豊富な卵黄抗体を含む水溶性相を
回収するのに使用された。A. Hasslらは、PEG精製され
た分画からの卵黄抗体をさらに単離するために、疎水性
相互作用クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマト
グラフィーで構成される2段階クロマトグラフィー法を
開発した(A. HasslおよびH Aspock、J. Immunol. Metho
ds 110:225(1988))。Akitaらは、IgYを単離する改善さ
れた方法を記載しており、そこでは、卵黄を大量の水で
希釈し、得られた上清をサイズ排除クロマトグラフィー
および/またはイオン交換クロマトグラフィーに供する
ことにより、卵黄抗体は鶏卵から抽出された(E. M. Aki
taら、J. Immunol. Methods. 160:207(1993);およびE.
M. AkitaおよびS. Nakai、J. Food Sci. 57:629(199
3))。
【0011】しかしながら、これらの研究および特許の
全ては、IgY(ΔFc)抗体のみの精製よりむしろ、鳥類卵
からの卵黄抗体(それは、少なくともIgYおよびIgY(ΔF
c)を含む)の全ポピュレーションの単離に焦点を置くだ
けである。さらに、IgY(ΔFc)抗体は、アヒルおよびガ
チョウを含むカモ目に属する鳥に存在するのみなので、
ニワトリおよびシチメンチョウのようなキジ目の鳥に為
される単離方法は、IgY(ΔFc)抗体の成功する精製を示
唆しない。
【0012】1989年に、Higginsは、過免疫されたアヒ
ル血清から抗体を調製することを試みたが、pH8.0およ
び0.5M NaClでアフィニティー精製された抗体は、一般
に、効果的な沈降または凝集反応を示すことができなか
った(D.A. Higgins、Comp. Biochem. Physiol. 93B:135
-144(1989))。アヒル抗体沈降素を形成するための最適
なpH値は、Higginsが文献中で主張したように、pH8.5〜
pH9.05の範囲である。それ以来、IgY(ΔFc)抗体の単離
およびその可能性のある使用に関するいかなる決定的研
究も報告されていない。
【0013】従って、当分野には、その活性を維持しな
がら、抗体プールから所望のIgY(ΔFc)抗体の容易な単
離を提供する、迅速で、コスト効果的な高処理量の方法
が必要とされている。さらに、当分野には、様々な免疫
診断的および免疫治療的使用のための、新しいタイプの
F(ab')2抗体として作用する、実質的に精製されたIgY
(ΔFc)に対する必要性がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述のような卵黄抗体に
対する産業的要件を満たす広い研究が為されている。驚
くべきことに、本発明者は、鳥類卵黄からのIgY(ΔFc)
抗体の成功する単離が、免疫アフィニティー精製の間
に、抗原と抗体との間の相互作用のための最適な結合条
件下で、単純化された手順により容易に達成され得るこ
とを見い出した。本発明の方法により、新しいタイプの
F(ab')2抗体、即ち、実質的に精製されたIgY(ΔFc)が、
経済的に高収率で容易に作製され得、そのように作製さ
れたIgY(ΔFc)抗体は、広く様々な免疫学的使用に準備
される。
【0015】従って、本発明の目的は、鶏によって産卵
された卵から、IgYΔFc抗体を調製する方法を提供する
ことである。該方法は、一般に、家禽鶏を免疫原で免疫
する工程、該鶏に産まれた卵からの全抗体を部分的に精
製する工程、および該免疫原に対して生じた抗体を免疫
アフィニティー精製する工程を包含し、ここで、免疫ア
フィニティー精製工程における抗体と免疫原/抗原との
結合は、弱酸および低イオン強度の環境で行なわれる。
特に、抗体-抗原の相互作用は、最適な結果を得るため
に、pHが4-7の範囲内および50 mM未満のイオン強度下で
行なわれる。
【0016】従って、本発明は、卵黄からIgY(ΔFc)を
調製する方法を提供し、該方法は、 (a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生
じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程; (b)免疫された鶏の卵黄を集め、それから非水性の生物
学的分子および顆粒を除去して、それにより卵黄抗体を
含む水溶性分画を得る工程; (c)水溶性分画を、pHが4-7の範囲内および50 mM未満の
イオン強度下で、その上に抗原が固定されている不活性
支持体マトリックスを通過させ、固定化抗原と卵黄抗体
との免疫複合体を形成させる工程;および (d)固定化抗原から卵黄抗体を解離させ溶出させる工
程、を包含する。
【0017】本発明の他の目的は、本発明の方法により
作製される新規なIgY(ΔFc)抗体を提供することであ
る。本発明のさらに他の目的は、そのようにして得られ
たIgY(ΔFc)抗体の臨床および研究用の使用を提供する
ことである。コスト効果および調製の容易さに加えて、
本発明によるIgY(ΔFc)抗体は、哺乳動物血清中の補体
システムおよびリウマチ因子に不活性であるという利
点、および哺乳動物IgGと乏しい交叉反応性を有すると
いう利点を有し、こうして、哺乳動物血清を含む免疫学
的アッセイにおいて干渉を最小にとどめて使用するのに
特に好適である。当業者に公知のように、抗体は、臨
床、研究および他の用途のために単一試薬の形態で存在
し、または市販キット中に活性成分として含まれ得る。
【0018】本発明の他の具体的な目的は、興味ある病
因物質の免疫アッセイのための、本発明方法によって作
製されるIgY(ΔFc)抗体を含む試薬を提供することであ
る。
【0019】本発明のさらに他の目的は、免疫アッセイ
の方法および該免疫アッセイを行なうための市販用キッ
トを提供することであり、ここで、抗体、好ましくは本
発明により精製された病因物質に対するIgY(ΔFc)抗体
は、興味ある病因物質の存在下または非存在下に、病因
物質に結合する最適条件下でインキュベートされ、それ
により、定量的または定性的に病因物質を分析する。本
発明によれば、最適条件は、4-7の範囲内のpHおよび50
mM未満のイオン強度である。
【0020】本発明の上記および他の目的および特徴
は、下記の好ましい実施態様の説明を添付の図面と共に
参照して明らかになる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明によれば、卵黄からIgY(Δ
Fc)を調製する方法は、一般に、(1)産卵鶏の免疫工程;
(2)卵黄の部分的精製工程;(3)免疫アフィニティー精製
工程;および(4)抗体の溶出工程を包含し得る。
【0022】(1)産卵鶏の免疫 雌のカモ目のトリ、好ましくはアヒル(duck)またはガチ
ョウを、抗原で免疫して、興味ある抗体(1種または複
数種)を生じさせる。抗原は、病原性もしくは非病原性
の細菌、ウイルス、真菌、原生動物、線虫などのような
微生物、毒素またはホルモンのような天然に生じる又は
合成のタンパク質、天然に生じる又は合成のオリゴペプ
チド、組換えタンパク質もしくはそのフラグメント、お
よび抗体産生を刺激し得る任意の他の材料、およびそれ
らの組合せを含むが、それに限定されない。
【0023】抗体は、トリ血清またはトリにより産卵さ
れた卵のいずれかから得られることが予想される。しか
しながら、上述のように、卵から抗体を集めることは、
コストの面から通常好ましい。産卵鶏は、IgYとIgY(ΔF
c)の両イソ型を、血清から卵黄に移動させる。原理的に
は、アヒル卵は卵黄中に、約1-4mg IgY/mlおよび約3-12
mg IgY(ΔFc)/mlを含み、従って、それぞれの卵は、恐
らく、15-80mg IgYおよび45-240mg IgY(ΔFc)を提供し
得る。産生された卵黄の大容量は、任意の所与の時間に
わたり、トリから安全に獲得し得る血清の量を大幅に上
回る。さらに、卵黄抗体の抽出は、費用のかかる投資な
しに大規模に行ない得る。
【0024】鶏を選択された抗原で免疫する技術は、当
業者に周知である。それは、特定の様式の免疫化を指示
することを意図しない。本発明は、全ての様式の免疫化
を包含し、それは、皮下、皮内、筋肉内、および静脈内
注射を含む好適な経路による、抗原の接種によって行な
われ得る。
【0025】好ましくは、免疫応答を増強するために、
好適なアジュバントが、抗原と組合せて投与される。よ
り好ましくは、或る用量のフロイント完全アジュバント
が、単独で若しくは、必要に応じてフォローアップ量の
フロイント不完全アジュバントと組合せて使用され得
る。好適なアジュバントの使用は、免疫された鶏の卵中
に長期間にわたって高い抗体力価を維持するのに非常に
有効であり、それにより、所望の抗体を効果的に産生す
るのが可能になることが見い出されている。
【0026】免疫化の間、雌鶏は、0日目に抗原を最初
に接種され、その後、間隔をおいて抗原を受ける。初期
免疫と最初のブースター投与との間の間隔、および個々
のブースター投与の間の間隔は、抗原の特異的性質に依
存し、好ましくは少なくとも2週間である。通常は、初
期免疫後10週間で、抗原に対する多量の反応性抗体が鶏
の体内で産生され、その鶏によって産卵される。鶏の血
清および卵中の、抗原に対する特異的抗体の存在および
力価レベルは、当分野で公知の多くの方法によって確認
され得る。
【0027】(2)卵黄の部分的精製 卵黄中の、大部分の非水性生物学的分子および顆粒なら
びに、好ましくは大部分の非関連タンパク質を除去する
ために、部分的精製の手順が行われる。そのような目的
を達成するのに有効な任意の慣用されている方法は、本
発明において有用であり、その代表例は、不要な物質を
同時沈殿させるためのPEG、デキストラン硫酸またはア
ルギン酸ナトリウム、カラギーナンおよびキサンタンガ
ムのような天然ガムの使用、並びに抗体豊富な水性相を
得るための水性緩衝液または水の使用を含む。
【0028】本発明の好ましい実施態様では、先ず、卵
黄を卵白から分離し、その後、蒸留水で洗浄して、可能
な限りアルブメン(albumen)を取り除く。卵黄を包む卵
黄膜に穴をあけ、続いて、分離された卵黄分画を、有効
量の水性緩衝液または水で希釈して、卵黄の懸濁液を形
成する。好ましくは、集められた卵黄を、約1:2〜約1:4
0 v/vの比で、より好ましくは約1:5〜約1:30 v/vの比
で、水性緩衝液または蒸留水で希釈する。pH値は、部分
的精製の段階の間、決定的ファクターであると報告され
ている(E.M. AkitaおよびS. Nakai、J. Food Sci. 57:6
29(1993))。卵黄抗体を最良に回収するために、pHは、
好ましくは約5-7の範囲内セットされる。望ましくは、
この工程での温度は、約0℃〜60℃の範囲内である。卵
黄の懸濁液は、均一な混合物を形成するためにゆっくり
と攪拌され、続いて、水性および非水性相を形成するの
に充分な時間、静置される。次に、リポタンパク質、リ
ン脂質、ステロールなどのような非水性の生物学的分子
を含む非水溶性の物質が、遠心分離によって水性卵黄懸
濁液から除去される。続いて、得られた抗体含有上清
は、デカント、吸引または当分野で公知の他の類似の方
法により、粘性沈殿物から分離され得る。
【0029】必要に応じて、しかし好ましくは、卵黄上
清は、抗体の沈殿物を生じるために、高濃度の非変性塩
で更に処理される。卵黄抗体の沈殿に有用な塩の例は、
NaCl、Na2SO4、(NH4)2SO4、KCl、CaCl2、およびMgSO4
含むが、それらに限定されない。好ましいのは、Na2SO4
および(NH4)2SO4である。抗体を沈殿させるための塩濃
度は重要であり、塩のタイプに依存して、通常は、卵黄
上清の最終体積に基づき、塩の15重量%超35重量%未満
の量で、好ましくは、20重量%〜30重量%の範囲で、存
在する。
【0030】(3)免疫アフィニティー精製 本明細書中で使用されるとき、用語「免疫アフィニティ
ー精製」または「免疫アフィニティークロマトグラフィ
ー」は、特異的抗原に関する抗体の吸着特性に基づく、
或るタイプの分離法を指す。即ち、特定の条件下で特定
の抗原に結合する抗体が、その条件下で非結合抗体から
分離される。本発明は、免疫グロブリンおよび非抗原結
合免疫グロブリン以外のタンパク質を含む、非関連タン
パク質を排除するための、免疫アフィニティー精製の使
用を包含する。より重要なこととして、本発明による免
疫アフィニティー精製手順は、本発明の主要な目的、即
ち、IgYを含む卵黄抗体の全ポピュレーションからの所
望のIgY(ΔFc)抗体の実質的に分離を、劇的に達成す
る。
【0031】本発明によれば、免疫アフィニティー精製
は、不溶性支持体上に固定された抗原から構成される
「抗原マトリックス」の使用によって行なわれる。支持
体のタイプは、本発明の免疫アフィニティー精製に決定
的ではない。抗原の共有結合に好適で、所望の抗体とそ
の上に固定された抗原との間の相互作用に不活性である
任意の慣用されている支持体材料が、有用である。通
常、支持体は、Pharmaciaから市販されているCNBr活性
化されたSepharose 4Bのような、架橋されたアガロース
または架橋されたデキストランから作製される。
【0032】段階(2)で部分的に精製された抗体は、
「結合緩衝液」中に溶解され、抗原マトリックス上に適
用されて、その結果、固定抗原と卵黄抗体との免疫複合
体が形成される。抗原-抗体相互作用に不活性で、所望
の結合条件を維持するのに有用な任意の緩衝液システム
が、本発明で有用である。好ましくは、結合緩衝液は、
リン酸緩衝液、MES(2-[N-モルホリノ]エタンスルホン
酸)緩衝液およびビス-Tris緩衝液からなる群から選択
され、その中でも、20mM濃度でのMES緩衝液が最も好ま
しい。
【0033】本明細書中で使用される用語「フロースル
ー」は、抗原マトリックスを通過する抗体溶液を示し、
非結合物質の大部分を含むことが意図される。
【0034】免疫アフィニティー精製の分野での一般的
知識に基づき、約7-9のpHおよび150mM超のイオン強度下
での免疫複合体の形成が、通常は推奨される。しかしな
がら、この条件下では、卵黄抗体、特にアヒルの卵黄に
由来するものは、クロマトグラフィー支持体上に固定さ
れた抗原と、最大でも余り容易には結合しないように見
える。活性な抗体は、フロースルー中に、更に存在して
いた。本発明による方法では、IgY(ΔFc)抗体の免疫ア
フィニティー精製に使用される条件は、独特である。本
発明では、卵黄から調製された抗体は、弱酸および低イ
オン強度の環境、即ち、4-7の範囲のpHおよび50mM未満
のイオン強度で、最適に結合する。好ましくは、抗体
は、5-6の範囲内、より好ましくは5.6-5.8の範囲内のpH
で、固定抗原と相互作用した。本発明に開示される結合
条件下では、検出可能な活性抗体は、フロースルー中に
見い出されなかった。
【0035】(4)抗体の溶離 本明細書中で使用されるとき、用語「溶出液」は、抗原
マトリックスを通過し「溶離液」を含む抗原マトリック
スに結合された抗体を解離し得る化学的溶液を指す。一
般に、卵黄抗体-抗原相互作用を破壊する溶離条件は、
哺乳動物の抗体-抗原相互作用よりも穏やかである。
【0036】代表的には、4より低いか又は8より高いpH
で緩衝化された溶出液は、IgY(ΔFc)-抗原相互作用の排
除のために、充分に働く。しかしながら、極端なpH値を
有する溶出液は、そのような過酷な条件が、恐らく抗体
の抗原結合能力の重大な損失を生じるであろうから、通
常は推奨されない。
【0037】或いは、高濃度のカオトロピック剤を含む
溶出液が、本発明で利用され得る。本明細書中で使用さ
れるとき、用語「カオトロピック剤」または「カオトロ
ープ」は、本発明によるIgY(ΔFc)分子のようなタンパ
ク質分子のコンホメーション変化を誘発し得る、従っ
て、タンパク質変性剤としてしばしば公知である化合物
を指す。カオトロピック溶出液は、疎水性結合領域を水
性相に実質的に溶解することによって、抗原と抗体間の
相互作用に干渉する。本発明によれば、殆どの結合抗体
は、適度な濃度(>1M)のカオトロピック剤を含む任意の
中性緩衝液で成功裏に溶離され得る。殆どの場合、溶離
後のカオトロープの除去は、天然のタンパク質構造を回
復する。
【0038】免疫アフィニティークロマトグラフィーに
有用な溶出液は、0.1M グリシン-HCl、pH2.3;0.1M グ
リシン-HCl、pH10.0;6M グアニジン-HCl、pH3.0;3.0M
塩化カリウム;5M ヨウ化カリウム;3.5M 塩化マグネ
シウム;1-3M チオシアン酸アンモニウム/ナトリウム
および6M 尿素を含むが、それらに限定されない。しか
しながら、回収される抗体の活性に関しては、適度なイ
オン強度、カオトロープを含有する中性pH緩衝液、例え
ば、20mM MES緩衝液(pH 5.8)または20mM Tris(ヒドロキ
シメチル)-アミノメタン(pH 7.5)中で緩衝化された3Mチ
オシアン酸ナトリウムが、本発明を実施するのにより好
適である。
【0039】集められた抗体の活性状態は、例えば、低
イオン強度で、非カオトロープ含有弱酸緩衝液に対する
広範な透析によって、容易に回復され得る。マトリック
ス上に固定された抗原は、抗原マトリックスを、カオト
ロープを含まない緩衝液で洗浄することによって、それ
らの天然のコンホメーションを容易に回復し得る。
【0040】本発明の最も好ましい局面では、卵黄から
IgYΔFcを調製する方法が提供され、該方法は、 (a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生
じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程; (b)免疫された鶏の卵黄を、約5-7のpHおよび約0℃-60
℃の温度の有効量の水で希釈することにより卵黄抗体を
集め、混合物を少なくとも1時間形成させる工程;およ
び (c)卵黄顆粒からの卵黄抗体および脂質を含む水溶性分
画を、1,500-30,000×gで0.5-6時間0℃-60℃で遠心分
離する又は濾紙で濾過することによって分離する工程; (d)水溶性分画中で卵黄抗体を、硫酸アンモニウムまた
は硫酸ナトリウムにより沈殿させる工程; (e)卵黄抗体を、1-50mMの塩濃度および約4-9のpHの緩衝
溶液で再溶解する工程;および (f)溶解された卵黄抗体を、その上に抗原が固定されて
いるクロマトグラフィー支持体マトリックスに適用し
て、卵黄抗体を免疫吸着する工程; (g)クロマトグラフィー支持体マトリックスを、1-50mM
の塩濃度および約4-9のpHの緩衝溶液で洗浄する工程; (h)クロマトグラフィー支持体マトリックスに結合され
た卵黄抗体を、50mM超の濃度のカオトロピック塩、また
は4未満もしくは8を超えるpHの緩衝液で溶離して、IgY
(ΔFc)抗体を含む溶出液を得る工程;を包含する。
【0041】本発明の方法により精製される卵黄抗体
は、均一なIgY(ΔFc)である。純度は、非変性ドデシル
硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-P
AGE)によりチェックされ、得られたIgY(ΔFc)の分子量
は、120kDaであることが確認された。いかなるIgYコン
タミネーションも、ゲル中に見い出されなかった。抗体
のポリクローナルな性質のため、IgY(ΔFc)の等電点
は、ブロードスペクトル(5.2-7.3)を有する。
【0042】本発明の方法により精製されたIgY(ΔFc)
は、補体システムを活性化せず、哺乳動物血清のリウマ
チ因子に結合もしない。IgY(ΔFc)と哺乳動物IgGとの間
の免疫学的交叉反応性は、有意ではない。従って、本発
明は、臨床および研究用の使用に好適な新しいタイプの
抗体も提供する。
【0043】本発明は、本発明により調製されたIgY(Δ
Fc)抗体の広範囲な臨床および研究用の使用も提供す
る。
【0044】例えば、本発明は、患者に、治療的量の本
発明のIgY(ΔFc)抗体を投与することにより、動物(家
禽、家畜および愛玩用動物を含む)またはヒト患者を免
疫する方法を提供して、彼らを様々な病因物質から保護
し、それら物質には、細菌、ウイルス、真菌、原生動
物、線虫などのような微生物、およびアレルゲン、トキ
シン、毒液、ホルモンのようなタンパク質性または非タ
ンパク質性物質、或いは、免疫応答を誘発し得る任意の
他の免疫原が含まれる。好ましくは、精製されたIgY(Δ
Fc)抗体は、水、食塩水などのような薬学的に許容され
る担体と組合せて投与される。
【0045】本発明のIgY(ΔFc)抗体は、興味ある病因
物質を検出するのに有用でもあり、該病因物質は、ヒト
または動物に由来する体液、組織、細胞抽出物などのよ
うな身体サンプル中の例えば、大腸菌、腸炎菌、および
他の細菌性生物のような病原性または非病原性生物;エ
ストロゲン、プロゲステロン、チロキシンなどのような
ホルモン;主要組織適合遺伝子複合体抗原など;αフェ
トプロテイン、前立腺特異的抗原などのような腫瘍マー
カー;C反応性タンパク質、フェリチンなどのような疾
患状態マーカーを含む。本発明により得られたIgY(ΔFc)
抗体を用いると、興味ある病因物質を、当分野で公知の
任意の慣用されている方法、例えば、オクタロニー法(M
O)、単純放射免疫拡散法(SRID)、免疫電気泳動法(IE
P)、放射免疫検定法(RIA)、酵素結合イムノソルベント
検定法(ELISA)、ウェスタンブロット法(WB)、比濁分析
免疫検定法(TIA)または粒子増強比濁分析免疫検定法に
より定量的または定性的に検出し得る。
【0046】先に定義された最適な結合条件に基づき、
本発明は、さらに、上述のような病因物質を分析するた
めの定量的または定性的免疫アッセイ方法を提供し、そ
こでは、病因物質に対して生じた抗体、好ましくは本発
明により精製されたIgY(ΔFc)抗体が、病因物質の存在
下または非存在下に、最適な結合条件でインキュベート
される。本発明によれば、最適条件は、4-7の範囲内のp
Hおよび50mM未満のイオン強度である。好ましくは、抗
体は、5-6の範囲内、より好ましくは5.6-5.8の範囲内の
pHで、病因物質と反応させた。
【0047】上記の免疫アッセイを行なうためのキット
も提供され、その中には、興味ある病因物質に特異的な
卵黄抗体、好ましくは本発明により精製されたIgY(ΔF
c)抗体を含む試薬が含まれ、ここで、免疫アッセイは、
pH4-7および50mM未満のイオン強度で行われる。好まし
くは、抗体は、5-6の範囲内、より好ましくは5.6-5.8の
範囲内のpHで、病因物質と反応させた。
【0048】例えば、単純放射免疫拡散法(SRID)におい
て使用されるとき、本発明によるIgY(ΔFc)抗体は、例
えば、寒天、アガロース、スターチ、ポリアクリルアミ
ドゲルなどで構成される支持培地中に、任意の慣用され
ている方法によって配合され得る。例えば、支持培地
は、緩衝溶液中に加熱下に懸濁され得、それにIgY(ΔF
c)抗体が添加され、得られたものは混合される。得られ
た溶液は、ガラス製プレート上またはプラスチック製容
器中に注がれ、続いて、冷却して固化される。サンプル
を検査に適用するために、サンプルウェルを、得られた
ゲルプレート上に作製する。この技術の原理は、当業者
に公知であるけれども、IgY(ΔFc)抗体-抗原相互作用の
物理的要件は、一般的な抗体-抗原相互作用のものより
も厳しい。具体的には、アヒルIgY(ΔFc)抗体は、抗原
に結合し、本発明の特定の結合条件下でのみ沈殿特性を
発揮する。特定の結合条件も、例えば、オクタロニー法
(MO)および比濁分析免疫検定法(TIA)のような他の免疫
アッセイ法のために働き、そこでは、IgY(ΔFc)抗体に
よる抗原の沈降または凝集は、必須の工程であると見な
される。
【0049】従って、本発明の最も好ましい局面の1つ
は、抗原の単純放射免疫拡散法のための方法を提供する
ことであり、該方法は、 (a)1-50mMの塩濃度および約5-7のpHの緩衝溶液中に、卵
黄抗体を含む寒天ゲルを調製する工程; (b)寒天中のウェルに穴をあけ、ウェルから寒天のプラ
グを除去する工程; (c)リン酸緩衝生理食塩水中に抗原の希釈物を調製する
工程;および (d)それぞれの抗原希釈物および試料を、別々のウェル
にピペット注入する工程; (e)少なくとも24時間インキュベートする工程;および (f)免疫沈降素リングの直径を測定する工程、該直径
は、抗原のlog10濃度の直線的相関である、を包含す
る。
【0050】酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)
または粒子増強比濁分析免疫検定法において、サンプル
中に置かれた興味ある抗原は、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレンなどのような樹脂テストプレートの上、或いは、
例えば、ポリスチレンラテックス、ポリエステルラテッ
クス、ポリ塩化ビニル、ベントナイト、ガラスビーズな
どで作製された微粒子の上に、興味ある抗原の存在を実
証するサンプルと相互作用するのに有効な量で固定され
たIgY(ΔFc)抗体により、捕捉される。粒子増強比濁分
析免疫検定法では、続いて、捕捉された抗原は、濁りの
変化によって直接検定される。濁り変化は、320-900nm
で測定された。酵素結合イムノソルベント検定法(ELIS
A)では、捕捉された抗原は、さらに、シグナリング物質
と複合体化された抗体によって検出される。
【0051】
【実施例】下記の実施例は、例示のみを目的として示さ
れ、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0052】実施例1:特異的抗体産生を刺激するため
の免疫手順 12羽の16週齢の家畜アヒル(Anas platyrhynchos var. d
omestica)を、抗体および産卵のために個別に収容し
た。アヒルは、等量のフロイント完全アジュバントと共
に乳化されたリン酸緩衝液、pH7.5中のヒトC反応性タン
パク質(CRP;ヒト腹水から精製された)1-5mg/mlの初期
皮下注射を受けた。使用された抗原の濃度は、一般に、
1〜5mg/mlの範囲であった。初期注射の後、若いニワト
リは、1-5mgの抗原の4回のさらなる注射を、2週間毎
に受けた。1週間後、卵が集められ始め、標識され、抗
体の抽出および精製のために処理されるまで、4℃で貯
蔵された。ブースター手順は、実験の間、4週間毎に繰
返された。血液は、それぞれのブースター注射後、7日
目にサンプリングされた。それぞれの血液サンプルは、
遠心分離され、得られた血清が集められた。
【0053】実施例2:アヒル抗体を沈殿させるための
物理的要件 この実施例では、アヒル抗体の沈殿物に対するpHおよび
塩の効果が、調べられた。アガロース粉末を、pHおよび
塩化ナトリウムの濃度が様々な0.02Mリン酸緩衝溶液
に、加熱しながら懸濁した。アガロース溶液を、約56℃
に冷却し、それに、0.4mg/mlの精製CRPを含む0.5mlの抗
原溶液を攪拌しながら加えた。溶液を、プラスチック製
容器に注いで、冷却させた。アヒル抗血清のためのウェ
ルを、プレート上に一定間隔で作製した。実施例1で集
められた抗血清を、プレート調製に使用されたリン酸緩
衝液で1および2倍に希釈し、当初の及び希釈された抗
血清2μlを、アガロースプレート中の別々のウェルにロ
ードした。
【0054】実験の最初のセットでは、CRP含有アガロ
ースゲルを、pH4、5、6、7、8および9でそれぞれ調製し
た。当初の及び希釈された抗血清2μlを、これらのアガ
ロース中の別々のウェルにロードした。48時間のインキ
ュベーション後、免疫沈降リングの直径および鮮明さ
を、表1に示されるように測定した。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示されるように、pH4.0のアガロー
スプレート中に免疫沈降リングは観察されなかった。免
疫沈降リングは、5.0以上のpHのアガロースプレートで
見えたけれども、沈降素は、pH値が7まで増加するにつ
れて、鮮明さが徐々に消えた。沈降リングの鮮明さ及び
サイズに基づく最良の沈降は、pH5.0で得られた。結果
は、アヒル抗体が、pH5.0で抗原と適切に結合すること
を示す。
【0057】実験の第2セットでは、アガロースゲル
が、0.5、1.0または1.5Mの塩化ナトリウムをそれぞれ含
む20mMのリン酸緩衝液、pH5.0中で調製することを除い
て、上記の手順を繰返した。インキュベーション後、沈
降リングは、塩化ナトリウムを含まないアガロースプレ
ート上に示されたものよりも区別しにくかった(データ
は、示していない)。結果は、アヒル抗体の沈降が、塩
の存在下で顕著に阻害され得ることを示す。
【0058】総合すると、pHが5.0の20mMリン酸緩衝液
中に調製されるアガロースプレートは、アヒル抗体の沈
降の形成により好適であり得る。
【0059】実施例3:抗体力価効力のアッセイ 実施例1で得られた抗血清の力価効力を、SRIDによって
測定した。CRP含有アガロースプレートを、実施例2に
記載されるように、20mMリン酸緩衝液(pH5.0)を用いて
調製した。実施例1で得られた抗血清2μlを、プレート
上で穴をあけられた別々のウェルに個々にロードした。
インキュベーション後、免疫沈降素リングが、ウェルの
周囲に形成され、ロードされた抗血清の力価効力に関連
するリングの直径を測定した。
【0060】実施例4:アヒル卵黄からの抗体の抽出 実施例1の過免疫されたアヒルが産んだ卵から集められ
た卵黄を、蒸留水の弱いジェット水流により完全に洗浄
し、それによってアルブメン(albumen)を除去した。卵
黄の量を測定し、次に、測定された卵黄量の10倍の量の
蒸留水と完全に混合した。続いて、混合物を、少なくと
も2時間4℃以下に保持し、その後、Hitachi CR22F遠
心分離機で、10,000rpmにて1時間、遠心分離した。淡
い色の上清相および半固体の柔軟な相が、遠心チューブ
内に形成された。上清相が注意深く集められ、それに対
して、粉砕された硫酸アンモニウムを穏やかに攪拌しな
がら、100mlの卵黄抽出物当り硫酸アンモニウム25mgの
最終濃度まで加え、その結果、卵黄抗体は完全に塩析さ
れた。10,000rpmで30分間4℃で遠心分離することによ
り、沈殿物を集めた。上清をデカントした後、得られた
ペレットを、好適な緩衝液に再溶解して、緩衝液に対し
て透析し、残った硫酸アンモニウムを除去した。この手
順で得られた20バッチの粗製抗体をプールし、さらなる
実験のために4℃で貯蔵した。プールの抗体力価効力
は、実施例3に記載されたように、SRIDアッセイ下で、
免疫沈降素リングの直径6.1mmであった。
【0061】実施例5:臭化シアンで活性化されたアガ
ロースマトリックスに対する抗原の共有結合 CRP溶液を、0.1M炭酸塩緩衝液、pH8.5中に、5mg/mlの濃
度で調製した。Pharmaciaから購入されたCNBr活性化さ
れたSepharose 4Bを、先ず、マトリックス体積の10倍量
の1mM 冷却HClで洗浄し、マトリックス体積の2倍量のC
RP溶液と4℃で終夜反応させた。カップリング効率は、
タンパク質の出発量(A280)で除したカップリングされた
タンパク質の量(A280単位中)として計算された。結果
は、CNBr活性化されたSepharose 4Bのカップリング効率
が、80-85%の範囲内にあったことを示す。後で使用する
ために、抗原マトリックスを、20mM Tris-HCl(pH8.5)中
0.5Mエタノールアミン溶液に、1:1(v/v)の比で2時間4
℃で懸濁し、残りのタンパク質反応性部位をブロックし
た。続いて、抗原マトリックスを、0.02%アジ化ナトリ
ウムを含むPBSで洗浄し、4℃で貯蔵した。
【0062】実施例6:卵黄抗体の免疫アフィニティー
精製 下記の実施例6−8では、実施例4で得られたアヒル抗
体および実施例5で調製された抗原マトリックスが、卵
黄抗体の免疫アフィニティー精製のための好適な結合条
件を実証するために使用された。1mlの抗原マトリック
スを、慣用されているカラムに充填し、表2に示される
結合緩衝液の1つに浸漬した。抗原マトリックスを、同
じ結合緩衝液中で配合された0.25mlの抗体と反応させ
た。抗原マトリックスを、流出液が実質的にタンパク質
を含まなくなるまで、結合緩衝液で洗浄した。結合抗体
を、直ちに4M グアニジン-HClで溶離し、完全に透析し
た後、280nmでその最適な光学密度を測定した。異なる
結合緩衝液中のアヒル抗体の結合能力は、下記の表2に
示されるように、最終溶出液中の抗体量によって示され
る。
【0063】
【表2】
【0064】比較的多量のアヒル抗体が、弱酸環境下で
結合するのが見られ得る。
【0065】実施例7 結合緩衝液のpH値を、各テスト中で、5.2、5.4、5.6、
または5.8に調節することを除いて、実施例6を繰返し
た。結果を、下記のように表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】表3では、pH5.6-5.8の環境は、アヒル抗
体の結合に関して最も好適であるように見える。
【0068】実施例8 リン酸結合緩衝液を、MES緩衝液またはビス-Tris緩衝液
で置き換えることを除いて、実施例7をpH5.8で繰返し
た。結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】結果は、pH5.8に調節された20mM MES緩衝
液が、アヒル抗体の免疫アフィニティー精製に最も好適
な結合緩衝液であることを実証する。
【0071】実施例9:溶出効率 1-3M チオシアン酸ナトリウム(pH7.5)を、4M グアニジ
ン-HClに対して溶出液中でカオトロープとして利用する
ことを除いて、実施例6を、結合緩衝液として20mM MES
緩衝液(pH5.8)を用いて繰返した。4M グアニジン-HClの
溶出効率は、標準試料を100%として機能的に定義され
た。他の溶出液の相対的な溶出効率は、各溶出液で溶離
されたA280単位を、4M グアニジンHClによるもので除す
ることにより測定した。結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】表5から、抗原マトリックスからの結合抗
体の約95%を溶離した3M チオシアン酸ナトリウムが、4M
グアニジン-HClと殆ど同じくらい有効であることが見
られ得る。
【0074】実施例10:抗原マトリックス上で免疫ア
フィニティー精製されたアヒル抗体の純度および活性 本発明により作製された抗体の組成を調べるために、分
析SDS-PAGEを8%非還元アクリルアミドゲル上で行ない、
そこでは、実施例3で回収された60μgの粗製抗体およ
び40μgのフロースルー(それぞれ、レーン2およびレー
ン3)ならびに実施例9で3M チオシアン酸ナトリウム(p
H5.8)で溶離された20μgの抗体産物(レーン4)をロード
した。結果を図1に示す。
【0075】粗製産物およびフロースルーは、両方と
も、180kDaおよび120kDaの2つの顕著なバンド(これら
のサイズは、レーン1の分子量マーカーから推定され
る)を示し、それぞれ、アヒルIgYおよびIgY(ΔFc)の相
対移動度に対応する。他方、アフィニティー精製された
抗体は、ゲル上のシングルバンドで示されるIgY(ΔFc)
抗体によって構成される。これらの結果は、本発明の方
法が、IgYおよびIgY(ΔFc)の両方で構成される免疫グロ
ブリン混合物のプールから所望のIgY(ΔFc)抗体を単離
する優れた戦略であることを示す。殆ど全てのIgY抗体
は、抗原マトリックス上での結合ができず、フロースル
ー中に残った。ゲルのデンシトメーター分析は、精製さ
れた抗体の95%以上が均一なIgY(ΔFc)であることを示
す。さらに、粗製抗体中に存在する総タンパク質の60%
以下がIgY(ΔFc)であり(データは、示していない)、所
望のIgY(ΔFc)の量に対応すると考えられている粗製産
物中の総タンパク質の24%は、アフィニティー精製段階
で抗原マトリックスに結合し得る。
【0076】精製された抗体の活性は、実施例3に記載
されるように、SRIDで測定される。精製された抗体の免
疫沈降素リングの直径は、5.9であり、粗製抗体の6.1よ
り僅かに小さいだけである。
【0077】実施例11:SRID法でのCRP濃度の測定 実施例10でアフィニティー精製されたアヒル抗CRP抗
体が、10μg/mlの最終濃度が得られるまで、CRPの代わ
りにそこに加えられたことを除いて、実施例2に記載さ
れるように20mMリン酸緩衝液(pH5.0)を用いて、アガロ
ースプレートを調製した。CRP陽性ドナーからの2μl用
量のヒト血清が、プレート上で一定間隔で穴をあけられ
た別々のウェルに個々にロードされ、プレートは48時間
インキュベートされた。免疫沈降素リングの直径を測定
し、CRP標準のlog10濃度に対してプロットし、標準曲線
を与えた。直線性は、図3に示されるように、全測定範
囲にわたり観察された。未知サンプル中のCRP濃度は、
標準曲線の内挿により推定され得る。現在のSRID法によ
って得られる結果は、Denka Seiken Co., Ltd., 日本国
東京都中央区日本橋茅場町3-4-2から購入される市販さ
れているCRP-latexキットで測定されるものと完全に一
致する(図4)。
【0078】実施例12:ELISA法でのCRP濃度の測定 実施例10でアフィニティー精製されたアヒル抗CRP抗
体を、コーティング緩衝液(20mMリン酸緩衝液、pH8.2)
を用いて、16μg/mlの最終濃度まで希釈した。続いて、
得られた溶液の100μlアリコートを、ELISAプレート(Co
star Corporationから購入)の各ウェルに分配した。プ
レートを、4℃で終夜または37℃で3時間インキュベー
トした。インキュベーションの終わりに、200μlのブロ
ッキング剤(コーティング緩衝液中1%無脂肪ミルク)を各
ウェルにロードし、プレート上のIgY(ΔFc)コーティン
グを停止した。連続希釈したCRPを、反応緩衝液(20mM T
ris緩衝液中140mM NaCl)中のコートされたアヒル抗体
と、室温で30分間、相互作用させた。その後、プレート
を、洗浄緩衝液(0.05% tween-20を含む反応緩衝液)で完
全に洗浄した。反応緩衝液中に希釈された1用量のヤギ
抗CRP抗体(Good BiotechCorp.から入手可能)を各ウェル
に加え、プレートを30分間インキュベートし、続いて、
洗浄緩衝液で完全に洗浄した。次に、反応緩衝液に希釈
された1用量のHRP複合体化ウサギ抗ヤギIgG(Sigma)を
各ウェルに加え、プレートを、室温でさらに30分間イン
キュベートし、続いて、洗浄緩衝液で完全に洗浄した。
100μlのo-フェニレンジアミン二塩酸塩(Sigma)を、複
合体化酵素の基質として各ウェルに加え、プレートを室
温で15分間インキュベートした。反応を、100μlの1N H
2SO4で抑制した。各ウェルの吸光度を、450nmで測定
し、図5にプロットした。このアッセイの感度は、2.5n
g/ml(O.D.>1)までであり得る。R-平方は、0.9941まで
であり得る。
【0079】実施例13:粒子増強TIA法(LAT、ラテッ
クス免疫比濁分析検定)におけるCRP濃度の測定 ラテックス粒子上への抗CRP IgY(ΔFc)のカップリング
は、100μlの10%(w/v)ラテックス懸濁液、400μlの20mM
Tris緩衝液(pH7.2)、実施例10で精製された10mg/ml
のアヒル抗CRP抗体および0.1%アジ化ナトリウムを含む
反応混合物中で、4℃で2時間行われた。1%ウシ血清ア
ルブミン(BSA、Sigmaから購入)を含む5mlの20mM Tris緩
衝液(pH7.2)を、ラテックス-IgY(ΔFc)混合物に加え、
得られた懸濁液を4℃で1.5時間、攪拌しながらインキ
ュベートした。15,000rpmで4℃で1時間遠心分離した
後、集められたペレットを、後で使用するために1% BSA
を含む5mlの20mM Tris緩衝液(pH7.2)に再懸濁した。
【0080】CRP含有キャリブレーター血清を、次の濃
度:高い範囲では0、1、5、10および20mg/dl、ならびに
低い範囲では0、0.5、1、1.5および2mg/dlで、標準抗原
として使用した。2つのさらなる試薬は、R1:20mM Tris
緩衝液(pH7.2)およびR2:R1中のIgY(ΔFc)カップリング
されたラテックス懸濁液であった。R2を標準抗原と混合
した結果としての吸光度(570nm)の増加を、Hitachi 702
0比濁分析自動分析器で連続して測定し、こうして得ら
れたデータを、図6aおよび6bそれぞれに示されるよう
に、CRP濃度の低い範囲および高い範囲に対してプロッ
トした。未知サンプル中のCRP濃度は、従って、標準曲
線の内挿によって推定され得る。
【0081】本明細書に引用される全ての特許および文
献は、それら全体として本明細書中に参考として援用さ
れる。係争の場合は、定義を含む本明細書の記載が有効
である。
【0082】本発明は、上記の具体的実施態様を参照し
て説明されたが、当業者に明らかな様々な改変および変
更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく為
され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な霊長類IgGおよびアヒルIgYイソ型を示
す略図である。
【図2】SDS-ポリアクリルアミドゲル上でランされ、ク
マシーブルーで染色された、本発明で調製されたアヒル
卵黄抗体を示す:分子量マーカーはレーン1;粗製抗体
抽出物はレーン2;免疫アフィニティークロマトグラフ
ィー後の粗製抗体抽出物のフロースルーはレーン3;お
よび溶出物中のアフィニティー精製された抗体はレーン
4である。
【図3】C反応性タンパク質(CRP)に関する標準曲線を示
す:血清標準物に関する免疫沈降素リングの直径対C反
応性タンパク質濃度(mg/dl、logスケールで)。
【図4】本発明によるSRID検定および市販の免疫比濁分
析検定によって得られたCRP濃度の比較を示す。
【図5】本発明によるIgY(ΔFc)抗体がCRP濃度を測定す
るのに使用されるELISAアッセイを示す。
【図6】図6のa-bは、本発明によるIgY(ΔFc)抗体がラ
テックス粒子に結合されてCRP濃度を測定するのに使用
される、粒子増強比濁分析免疫検定法を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/531 G01N 33/531 A Fターム(参考) 4B063 QA01 QA19 QQ03 QQ79 QR48 QS33 QX02 QX10 4C085 AA14 AA19 BB44 CC05 CC22 DD37 DD51 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA75 EA50 FA71 GA06 GA22 GA26

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵黄から抗体(IgYΔFc)を調製する方法
    であって、該抗体は実質的にFc等価領域を含まず、該方
    法は、 (a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生
    じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程; (b)免疫された鶏の卵黄を集め、それから非水性の生物
    学的分子および顆粒を除去して、それにより卵黄抗体を
    含む水溶性分画を得る工程; (c)水溶性分画を、pHが4-7の範囲内および50mM未満のイ
    オン強度下で、その上に抗原が固定されている不活性支
    持体マトリックスを通過させ、固定化抗原と卵黄抗体と
    の免疫複合体を形成させる工程;および (d)固定化抗原から卵黄抗体を解離させ溶出させる工
    程、 を包含する。
  2. 【請求項2】 工程(b)において、集められた卵黄が有
    効量の水性緩衝溶液または水で希釈され、その後で遠心
    分離または濾過に供され、それにより非水性生物学的分
    子および顆粒を除去する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 集められた卵黄が、約1:5〜約1:30 v/v
    の比で水性緩衝溶液または水で希釈される、請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程(b)において、非水性生物学的分子
    および顆粒が、PEG、デキストラン硫酸または天然ガム
    の多重沈殿およびその後の遠心分離または濾過によって
    除去される、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程(c)の前に、水溶性分画中の卵黄抗
    体が、NaCl、Na2SO4、(NH4)2SO4、KCl、CaCl2およびMgS
    O4からなる群から選択される非変性塩によって更に沈殿
    され、その後で再溶解される、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 工程(c)において、免疫複合体が5-6の範
    囲内のpHで形成される、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 工程(c)において、免疫複合体が5.6-5.8
    の範囲内のpHで形成される、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 工程(c)において、免疫複合体が、リン
    酸緩衝液、MES(2-[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)
    緩衝液およびビス-Tris緩衝液からなる群から選択され
    る緩衝液中で形成される、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 免疫複合体が20mM MES緩衝液中で形成さ
    れる、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 工程(d)において、卵黄抗体が、カオ
    トロピック塩により、または4未満もしくは8超のpHで抗
    原から解離される、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 カオトロピック塩が、4M グアニジン-
    HClおよび1-3M チオシアン酸ナトリウムからなる群から
    選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 免疫される家禽鶏がカモ目トリ(anser
    iform bird)である、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 家禽鶏がアヒルである、請求項12に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 不活性支持体マトリックスが、架橋さ
    れたアガロースまたは架橋されたデキスランで作製され
    る、請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 抗原が、病原性または非病原性微生
    物、天然に生じる又は合成タンパク質、天然に生じる又
    は合成オリゴペプチド、組換えタンパク質もしくはその
    フラグメント、およびその組合せからなる群から選択さ
    れる、請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 家禽鶏が、油中水型乳化アジュバント
    と共に抗原により免疫される、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 卵黄から抗体(IgYΔFc)を調製する方
    法であって、該抗体は実質的にFc等価領域を含まず、該
    方法は、 (a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生
    じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程; (b)免疫された鶏の卵黄を、約5-7のpHおよび約0℃-60
    ℃の温度の有効量の水で希釈することにより卵黄抗体を
    集め、混合物を少なくとも1時間形成させる工程;およ
    び (c)卵黄顆粒からの卵黄抗体および脂質を含む水溶性分
    画を、1,500-30,000rpmで0.5-6時間0℃-60℃で遠心分
    離すること又は濾紙で濾過することによって分離する工
    程; (d)水溶性分画中で卵黄抗体を、硫酸アンモニウムまた
    は硫酸ナトリウムにより沈殿させる工程; (e)卵黄抗体を、1-50mMの塩濃度および約4-9のpHの緩衝
    溶液で再溶解する工程;および (f)溶解された卵黄抗体を、その上に抗原が固定されて
    いるクロマトグラフィー支持体マトリックスに適用し
    て、卵黄抗体を免疫吸着する工程; (g)クロマトグラフィー支持体マトリックスを、1-50mM
    の塩濃度および約4-9のpHの緩衝溶液で洗浄する工程; (h)クロマトグラフィー支持体マトリックスに結合され
    た卵黄抗体を、50mMを超える濃度のカオトロピック塩、
    または4未満もしくは8を超えるpHの緩衝液で溶出して、
    IgY(ΔFc)抗体を含む溶出液を得る工程;を包含する。
  18. 【請求項18】 請求項1−17のいずれか1つに記載
    の方法により調製される、Fc等価領域を実質的に含まな
    い抗体(IgYΔFc)。
  19. 【請求項19】 請求項1−17のいずれか1つに記載
    の方法により得られる抗体を、薬学的に許容される担体
    と共に含む薬学的組成物。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の組成物を患者に投
    与することを包含する、患者の免疫方法。
  21. 【請求項21】 請求項18に記載の抗体を含む、免疫
    アッセイのためのキット。
  22. 【請求項22】 請求項1−17のいずれか1つに記
    載の方法により調製される卵黄抗体を含む、免疫アッセ
    イのための試薬。
  23. 【請求項23】 前記免疫アッセイが、酵素結合イムノ
    ソルベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁
    分析免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタン
    ブロットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から
    選択される、請求項22に記載の試薬。
  24. 【請求項24】 酵素結合イムノソルベント検定法に使
    用される請求項22に記載の試薬であって、試薬が固化
    されたプレートの形態であり、支持培地と共に抗体を溶
    解し、試薬をプレートの形態で固化することによって調
    製される、試薬。
  25. 【請求項25】 抗体が不溶性担体粒子上に吸着され
    る、粒子増強比濁分析免疫検定法に使用される、請求項
    22に記載の試薬。
  26. 【請求項26】 前記不溶性担体粒子が、有機マクロ分
    子ラテックス、無機酸化物または金属である、請求項2
    5に記載の試薬。
  27. 【請求項27】 抗原の単純放射免疫拡散検定法のため
    の方法であって、 (a)1-50mMの塩濃度および約5-7のpHの緩衝溶液中に、卵
    黄抗体を含む寒天ゲルを調製する工程; (b)寒天中のウェルに穴をあけ、ウェルから寒天のプラ
    グを除去する工程; (c)リン酸緩衝生理食塩水中に抗原の希釈物を調製する
    工程;および (d)それぞれの抗原希釈物および試料を別々のウェルに
    ピペット注入する工程; (e)少なくとも24時間インキュベートする工程;および (f)免疫沈降素リングの直径を測定する工程、該直径はl
    og10抗原濃度の直線的相関である、を包含する方法。
  28. 【請求項28】 卵黄抗体が、請求項1−17のいずれ
    か1つに記載の方法から調製される、Fc等価領域を実質
    的に含まない抗体(IgYΔFc)である、請求項27に記載
    の方法。
  29. 【請求項29】 サンプルを、家禽鶏中で病因物質に対
    して生じた抗体とpH4-7および50mM未満のイオン強度で
    反応させることによりサンプル中の病因物質を定量的ま
    たは定性的に分析することを包含する、免疫アッセイ方
    法。
  30. 【請求項30】 家禽鶏がカモ目トリである、請求項2
    9に記載の方法。
  31. 【請求項31】 家禽鶏がアヒルである、請求項30に
    記載の方法。
  32. 【請求項32】 抗体が請求項1−17のいずれか1つ
    に記載の方法により調製される、請求項29に記載の方
    法。
  33. 【請求項33】 方法がpH5-6で為される、請求項29
    に記載の方法。
  34. 【請求項34】 方法がpH5.6-5.8で為される、請求項
    33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 免疫アッセイが、酵素結合イムノソル
    ベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁分析
    免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタンブロ
    ットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から選択
    される、請求項29に記載の方法。
  36. 【請求項36】 選択された抗原に特異的である卵黄抗
    体を含む試薬を含有する免疫アッセイのためのキットで
    あって、免疫アッセイがpH4-7および50mM未満のイオン
    強度で行われる、キット。
  37. 【請求項37】 抗体が、請求項1−17のいずれか1
    つに記載の方法により調製される、請求項36に記載の
    キット。
  38. 【請求項38】 免疫アッセイがpH5-6で為される、請
    求項36に記載のキット。
  39. 【請求項39】 免疫アッセイがpH5.6-5.8で為され
    る、請求項38に記載のキット。
  40. 【請求項40】 免疫アッセイが、酵素結合イムノソル
    ベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁分析
    免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタンブロ
    ットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から選択
    される、請求項36に記載のキット。
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