JP3610551B2 - IgY(ΔFc)抗体の作製およびその使用 - Google Patents

IgY(ΔFc)抗体の作製およびその使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鳥類卵黄からIgY(ΔFc)抗体を調製および精製する方法、並びにそれにより作製されるIgY(ΔFc)抗体に関する。本発明は、興味ある病因物質を定量的および定性的に分析するための、新規なIgY(ΔFc)抗体の使用にも関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
抗体は、多くの生物学的調査および臨床的応用において、広く使用されている。過免疫された哺乳動物から得られた血清は、ポリクローナル抗体の最も一般的な供給源である。そのような免疫血清に由来する抗体は、「免疫グロブリン」と呼ばれる一群のタンパク質に属し、その中でも免疫グロブリンG(IgG)が最も豊富である。IgG分子は、3つのドメイン、すなわち2つのFab領域および1つのFc領域からなる。Fab部分は、主として、抗原結合に関与する。Fc部分は、抗原との結合能力を有しないが、補体固定およびFcレセプター結合のような抗体の幾つかの生物学的活性を指令する。
【0003】
免疫診断の技術においては、IgG分子のFc領域は、Fcレセプターに結合して補体システムを活性化し、哺乳動物血清中のリウマチ因子と反応し得るので、無傷のIgG分子は、哺乳動物血清に関与する検出システムおよび免疫学的アッセイにおける使用に好適ではない。IgG分子のFc部分の除去は、干渉の低下をもたらす(E. Lamoyi, Methods in Enzymology 121:652−663(1986))。
【0004】
免疫療法における抗体の幾つかの提案された使用は、患者を、中毒化した細菌毒素またはヘビ毒で処置すること(例えば、米国特許第5,340,923号および米国特許第5,601,823号を参照)、および致死的な腸内大腸菌細菌症に対する新生仔ブタの防御(例えば、H. Brussowら、J. Clin. Microbiol. 25:982(1987);およびC.O.Tacketら、New Eng. J. Med. 318:1240(1988)を参照)を含む。抗体分子のFcフラグメントは、免疫グロブリンの最も抗原性の部分であることが公知(E.M. Akitaら、J. Immunol Methods 162:155−164(1993))であるので、F(ab’)フラグメントの形成をもたらす同部分の開裂は、免疫グロブリン分子上に多くの可能性のあるアレルギー誘発性部位を有意に減少させ、このため、免疫グロブリンを投与されたヒトまたは動物に有利である。
【0005】
最近、2価のF(ab’)抗体フラグメントが、免疫診断テストでより有用であり(M. Muratsuguら、J. Colloid Interface Sci 147:378(1991);およびJ.L. Ortega−Vinuesaら、J. Immunol Methods 90:29(1996))、哺乳動物血清に関与する免疫アッセイの開発に、親IgGよりも好適であることが示された。
【0006】
F(ab’)抗体フラグメントは、しかしながら、臨床診断キットにおいて期待されるほどには広範囲な使用を見い出していない。これは、IgGのペプシン消化およびその後のクロマトグラフィー精製によって慣用的に産生される、F(ab’)フラグメントの大規模生産の困難さ及びコスト不効率に起因し得る。
【0007】
アヒル類およびその系統発生的に近い類縁系および、カメのような幾種かの爬虫類は、3種類の血清免疫グロブリンを有する:マクロ分子の免疫グロブリンIgM(アヒルでは、800kDa)、並びに沈降係数7.8S(アヒルでは、180kDa)および5.7S(アヒルでは、130kDa)をそれぞれ有する低分子量IgGの2つのイソ型 (E.R. Unanueら、J. Exp. Med. 121:697−714(1965);H.M.Grey、J. Immunol 98:811−819(1967);およびB. Zimmermanら、Biochemistry 10:482−448(1971))。鳥類IgGは、卵黄中でのそれらの存在ゆえに、しばしばIgYと呼ばれる。5.7S IgYは、より短い重鎖で構成され、7.8S IgYのF(ab’)フラグメントと構造的および抗原的に類似しており(図1)、この事実は、共にIgYのイソ型を示すIgY(7.8S IgYに等価)およびIgY(ΔFc)(5.7S IgYに等価)の命名を導いた(K.E. Magorら、J. Immunol. 149:2627−2633(1992))。
【0008】
感染した又は実験的に免疫したトリで行なわれた研究は、アヒル抗体が、補体固定およびFcレセプター結合を含む多くの生物学的エフェクター機能において不充分であるが、対応する抗原に対するそれらの結合活性を犠牲にすることはないことを示した(G.W. Litmanら、Immunochemistry 10:323(1973);およびT.E. Tothら、Avian Dis. 25:17−28(1981))。これは、アヒル抗体反応の量的に主要な成分を構成するIgY(ΔFc)抗体の、Fc−等価領域の明らかな欠如に合理的に起因し得る。従って、F(ab’)フラグメントの構造的および機能的アナローグであるように見えるIgY(ΔFc)抗体は、抗体作製の有望な方法が見い出され得、その活性に関する好適な物理的要件が同定され得るならば、免疫学的使用に多大な利点を提供し得るであろうと考えられている。
【0009】
鳥類卵黄抗体は、哺乳動物抗体がそうであるように、研究および臨床応用の両方に有用な特性を発揮することが報告されている(例えば、米国特許第5,340,923号;米国特許第5,585,098号;米国特許第5,601,823号;および米国特許第5,976,519号を参照)。産卵鶏由来の卵黄は、過免疫された哺乳動物血清と比較して安価であり、取り扱いがより好都合で安全である。より重要なこととして、卵黄抗体は、現代の動物保護規制条例下での監視に耐えられ得る(A. Polsonら、Immunol. Commun. 9:475(1980);およびB. Gottsteinら)。これらの事実は、抗体の商業的供給源としての卵黄の、可能性のある使用を示唆する。
【0010】
卵黄からIgYを単離し精製する努力が、為されている。例えば、寒天、ペクチン(1989年2月8日に公開された特開昭64−38098号公報)、デキストラン硫酸(J.C. Jenseniusら、J. Immunol. Methods 46:63(1981))、天然ガム(H. Hattaら、J. Foods Science 53:425(1988))およびポリエチレングリコール(PEG)(A. Polsonら、Immunol. Invest. 14:323(1985);A. Polsonに発行された米国特許第4,550,019号も参照)を含む材料が、非水性の生物学的分子、主として脂質および卵黄顆粒を沈殿させ、それにより、豊富な卵黄抗体を含む水溶性相を回収するのに使用された。A. Hasslらは、PEG精製された分画からの卵黄抗体をさらに単離するために、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーで構成される2段階クロマトグラフィー法を開発した(A. HasslおよびH Aspock、J. Immunol. Methods 110:225(1988))。Akitaらは、IgYを単離する改善された方法を記載しており、そこでは、卵黄を大量の水で希釈し、得られた上清をサイズ排除クロマトグラフィーおよび/またはイオン交換クロマトグラフィーに供することにより、卵黄抗体は鶏卵から抽出された(E. M. Akitaら、J. Immunol. Methods. 160:207(1993);およびE.M. AkitaおよびS. Nakai、J. Food Sci. 57:629(1993))。
【0011】
しかしながら、これらの研究および特許の全ては、IgY(ΔFc)抗体のみの精製よりむしろ、鳥類卵からの卵黄抗体(それは、少なくともIgYおよびIgY(ΔFc)を含む)の全ポピュレーションの単離に焦点を置くだけである。さらに、IgY(ΔFc)抗体は、アヒルおよびガチョウを含むカモ目に属する鳥に存在するのみなので、ニワトリおよびシチメンチョウのようなキジ目の鳥に為される単離方法は、IgY(ΔFc)抗体の成功する精製を示唆しない。
【0012】
1989年に、Higginsは、過免疫されたアヒル血清から抗体を調製することを試みたが、pH8.0および0.5M NaClでアフィニティー精製された抗体は、一般に、効果的な沈降または凝集反応を示すことができなかった(D.A. Higgins、Comp. Biochem. Physiol. 93B:135−144(1989))。アヒル抗体沈降素を形成するための最適なpH値は、Higginsが文献中で主張したように、pH8.5〜pH9.05の範囲である。それ以来、IgY(ΔFc)抗体の単離およびその可能性のある使用に関するいかなる決定的研究も報告されていない。
【0013】
従って、当分野には、その活性を維持しながら、抗体プールから所望のIgY(ΔFc)抗体の容易な単離を提供する、迅速で、コスト効果的な高処理量の方法が必要とされている。さらに、当分野には、様々な免疫診断的および免疫治療的使用のための、新しいタイプのF(ab’)抗体として作用する、実質的に精製されたIgY(ΔFc)に対する必要性がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述のような卵黄抗体に対する産業的要件を満たす広い研究が為されている。驚くべきことに、本発明者は、鳥類卵黄からのIgY(ΔFc)抗体の成功する単離が、免疫アフィニティー精製の間に、抗原と抗体との間の相互作用のための最適な結合条件下で、単純化された手順により容易に達成され得ることを見い出した。本発明の方法により、新しいタイプのF(ab’)抗体、即ち、実質的に精製されたIgY(ΔFc)が、経済的に高収率で容易に作製され得、そのように作製されたIgY(ΔFc)抗体は、広く様々な免疫学的使用に準備される。
【0015】
従って、本発明の目的は、鶏によって産卵された卵から、IgYΔFc抗体を調製する方法を提供することである。該方法は、一般に、家禽鶏を免疫原で免疫する工程、該鶏に産まれた卵からの全抗体を部分的に精製する工程、および該免疫原に対して生じた抗体を免疫アフィニティー精製する工程を包含し、ここで、免疫アフィニティー精製工程における抗体と免疫原/抗原との結合は、弱酸および低イオン強度の環境で行なわれる。特に、抗体−抗原の相互作用は、最適な結果を得るために、pHが4−7の範囲内および50 mM未満のイオン強度下で行なわれる。
【0016】
従って、本発明は、卵黄からIgY(ΔFc)を調製する方法を提供し、該方法は、
(a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程;
(b)免疫された鶏の卵黄を集め、それから非水性の生物学的分子および顆粒を除去して、それにより卵黄抗体を含む水溶性分画を得る工程;
(c)水溶性分画を、pHが4−7の範囲内および50 mM未満のイオン強度下で、その上に抗原が固定されている不活性支持体マトリックスを通過させ、固定化抗原と卵黄抗体との免疫複合体を形成させる工程;および
(d)固定化抗原から卵黄抗体を解離させ溶出させる工程、
を包含する。
【0017】
本発明の他の目的は、本発明の方法により作製される新規なIgY(ΔFc)抗体を提供することである。本発明のさらに他の目的は、そのようにして得られたIgY(ΔFc)抗体の臨床および研究用の使用を提供することである。コスト効果および調製の容易さに加えて、本発明によるIgY(ΔFc)抗体は、哺乳動物血清中の補体システムおよびリウマチ因子に不活性であるという利点、および哺乳動物IgGと乏しい交叉反応性を有するという利点を有し、こうして、哺乳動物血清を含む免疫学的アッセイにおいて干渉を最小にとどめて使用するのに特に好適である。当業者に公知のように、抗体は、臨床、研究および他の用途のために単一試薬の形態で存在し、または市販キット中に活性成分として含まれ得る。
【0018】
本発明の他の具体的な目的は、興味ある病因物質の免疫アッセイのための、本発明方法によって作製されるIgY(ΔFc)抗体を含む試薬を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、免疫アッセイの方法および該免疫アッセイを行なうための市販用キットを提供することであり、ここで、抗体、好ましくは本発明により精製された病因物質に対するIgY(ΔFc)抗体は、興味ある病因物質の存在下または非存在下に、病因物質に結合する最適条件下でインキュベートされ、それにより、定量的または定性的に病因物質を分析する。本発明によれば、最適条件は、4−7の範囲内のpHおよび50 mM未満のイオン強度である。
【0020】
本発明の上記および他の目的および特徴は、下記の好ましい実施態様の説明を添付の図面と共に参照して明らかになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、卵黄からIgY(ΔFc)を調製する方法は、一般に、(1)産卵鶏の免疫工程;(2)卵黄の部分的精製工程;(3)免疫アフィニティー精製工程;および(4)抗体の溶出工程を包含し得る。
【0022】
(1)産卵鶏の免疫
雌のカモ目のトリ、好ましくはアヒル(duck)またはガチョウを、抗原で免疫して、興味ある抗体(1種または複数種)を生じさせる。抗原は、病原性もしくは非病原性の細菌、ウイルス、真菌、原生動物、線虫などのような微生物、毒素またはホルモンのような天然に生じる又は合成のタンパク質、天然に生じる又は合成のオリゴペプチド、組換えタンパク質もしくはそのフラグメント、および抗体産生を刺激し得る任意の他の材料、およびそれらの組合せを含むが、それに限定されない。
【0023】
抗体は、トリ血清またはトリにより産卵された卵のいずれかから得られることが予想される。しかしながら、上述のように、卵から抗体を集めることは、コストの面から通常好ましい。産卵鶏は、IgYとIgY(ΔFc)の両イソ型を、血清から卵黄に移動させる。原理的には、アヒル卵は卵黄中に、約1−4mg IgY/mlおよび約3−12mg IgY(ΔFc)/mlを含み、従って、それぞれの卵は、恐らく、15−80mg IgYおよび45−240mg IgY(ΔFc)を提供し得る。産生された卵黄の大容量は、任意の所与の時間にわたり、トリから安全に獲得し得る血清の量を大幅に上回る。さらに、卵黄抗体の抽出は、費用のかかる投資なしに大規模に行ない得る。
【0024】
鶏を選択された抗原で免疫する技術は、当業者に周知である。それは、特定の様式の免疫化を指示することを意図しない。本発明は、全ての様式の免疫化を包含し、それは、皮下、皮内、筋肉内、および静脈内注射を含む好適な経路による、抗原の接種によって行なわれ得る。
【0025】
好ましくは、免疫応答を増強するために、好適なアジュバントが、抗原と組合せて投与される。より好ましくは、或る用量のフロイント完全アジュバントが、単独で若しくは、必要に応じてフォローアップ量のフロイント不完全アジュバントと組合せて使用され得る。好適なアジュバントの使用は、免疫された鶏の卵中に長期間にわたって高い抗体力価を維持するのに非常に有効であり、それにより、所望の抗体を効果的に産生するのが可能になることが見い出されている。
【0026】
免疫化の間、雌鶏は、0日目に抗原を最初に接種され、その後、間隔をおいて抗原を受ける。初期免疫と最初のブースター投与との間の間隔、および個々のブースター投与の間の間隔は、抗原の特異的性質に依存し、好ましくは少なくとも2週間である。通常は、初期免疫後10週間で、抗原に対する多量の反応性抗体が鶏の体内で産生され、その鶏によって産卵される。鶏の血清および卵中の、抗原に対する特異的抗体の存在および力価レベルは、当分野で公知の多くの方法によって確認され得る。
【0027】
(2)卵黄の部分的精製
卵黄中の、大部分の非水性生物学的分子および顆粒ならびに、好ましくは大部分の非関連タンパク質を除去するために、部分的精製の手順が行われる。そのような目的を達成するのに有効な任意の慣用されている方法は、本発明において有用であり、その代表例は、不要な物質を同時沈殿させるためのPEG、デキストラン硫酸またはアルギン酸ナトリウム、カラギーナンおよびキサンタンガムのような天然ガムの使用、並びに抗体豊富な水性相を得るための水性緩衝液または水の使用を含む。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、先ず、卵黄を卵白から分離し、その後、蒸留水で洗浄して、可能な限りアルブメン(albumen)を取り除く。卵黄を包む卵黄膜に穴をあけ、続いて、分離された卵黄分画を、有効量の水性緩衝液または水で希釈して、卵黄の懸濁液を形成する。好ましくは、集められた卵黄を、約1:2〜約1:40 v/vの比で、より好ましくは約1:5〜約1:30 v/vの比で、水性緩衝液または蒸留水で希釈する。pH値は、部分的精製の段階の間、決定的ファクターであると報告されている(E.M. AkitaおよびS. Nakai、J. Food Sci. 57:629(1993))。卵黄抗体を最良に回収するために、pHは、好ましくは約5−7の範囲内セットされる。望ましくは、この工程での温度は、約0℃〜60℃の範囲内である。卵黄の懸濁液は、均一な混合物を形成するためにゆっくりと攪拌され、続いて、水性および非水性相を形成するのに充分な時間、静置される。次に、リポタンパク質、リン脂質、ステロールなどのような非水性の生物学的分子を含む非水溶性の物質が、遠心分離によって水性卵黄懸濁液から除去される。続いて、得られた抗体含有上清は、デカント、吸引または当分野で公知の他の類似の方法により、粘性沈殿物から分離され得る。
【0029】
必要に応じて、しかし好ましくは、卵黄上清は、抗体の沈殿物を生じるために、高濃度の非変性塩で更に処理される。卵黄抗体の沈殿に有用な塩の例は、NaCl、NaSO、(NHSO、KCl、CaCl、およびMgSOを含むが、それらに限定されない。好ましいのは、NaSOおよび(NHSOである。抗体を沈殿させるための塩濃度は重要であり、塩のタイプに依存して、通常は、卵黄上清の最終体積に基づき、塩の15重量%超35重量%未満の量で、好ましくは、20重量%〜30重量%の範囲で、存在する。
【0030】
(3)免疫アフィニティー精製
本明細書中で使用されるとき、用語「免疫アフィニティー精製」または「免疫アフィニティークロマトグラフィー」は、特異的抗原に関する抗体の吸着特性に基づく、或るタイプの分離法を指す。即ち、特定の条件下で特定の抗原に結合する抗体が、その条件下で非結合抗体から分離される。本発明は、免疫グロブリンおよび非抗原結合免疫グロブリン以外のタンパク質を含む、非関連タンパク質を排除するための、免疫アフィニティー精製の使用を包含する。より重要なこととして、本発明による免疫アフィニティー精製手順は、本発明の主要な目的、即ち、IgYを含む卵黄抗体の全ポピュレーションからの所望のIgY(ΔFc)抗体の実質的に分離を、劇的に達成する。
【0031】
本発明によれば、免疫アフィニティー精製は、不溶性支持体上に固定された抗原から構成される「抗原マトリックス」の使用によって行なわれる。支持体のタイプは、本発明の免疫アフィニティー精製に決定的ではない。抗原の共有結合に好適で、所望の抗体とその上に固定された抗原との間の相互作用に不活性である任意の慣用されている支持体材料が、有用である。通常、支持体は、Pharmaciaから市販されているCNBr活性化されたSepharose 4Bのような、架橋されたアガロースまたは架橋されたデキストランから作製される。
【0032】
段階(2)で部分的に精製された抗体は、「結合緩衝液」中に溶解され、抗原マトリックス上に適用されて、その結果、固定抗原と卵黄抗体との免疫複合体が形成される。抗原−抗体相互作用に不活性で、所望の結合条件を維持するのに有用な任意の緩衝液システムが、本発明で有用である。好ましくは、結合緩衝液は、リン酸緩衝液、MES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)緩衝液およびビス−Tris緩衝液からなる群から選択され、その中でも、20mM濃度でのMES緩衝液が最も好ましい。
【0033】
本明細書中で使用される用語「フロースルー」は、抗原マトリックスを通過する抗体溶液を示し、非結合物質の大部分を含むことが意図される。
【0034】
免疫アフィニティー精製の分野での一般的知識に基づき、約7−9のpHおよび150mM超のイオン強度下での免疫複合体の形成が、通常は推奨される。しかしながら、この条件下では、卵黄抗体、特にアヒルの卵黄に由来するものは、クロマトグラフィー支持体上に固定された抗原と、最大でも余り容易には結合しないように見える。活性な抗体は、フロースルー中に、更に存在していた。本発明による方法では、IgY(ΔFc)抗体の免疫アフィニティー精製に使用される条件は、独特である。本発明では、卵黄から調製された抗体は、弱酸および低イオン強度の環境、即ち、4−7の範囲のpHおよび50mM未満のイオン強度で、最適に結合する。好ましくは、抗体は、5−6の範囲内、より好ましくは5.6−5.8の範囲内のpHで、固定抗原と相互作用した。本発明に開示される結合条件下では、検出可能な活性抗体は、フロースルー中に見い出されなかった。
【0035】
(4)抗体の溶離
本明細書中で使用されるとき、用語「溶出液」は、抗原マトリックスを通過し「溶離液」を含む抗原マトリックスに結合された抗体を解離し得る化学的溶液を指す。一般に、卵黄抗体−抗原相互作用を破壊する溶離条件は、哺乳動物の抗体−抗原相互作用よりも穏やかである。
【0036】
代表的には、4より低いか又は8より高いpHで緩衝化された溶出液は、IgY(ΔFc)−抗原相互作用の排除のために、充分に働く。しかしながら、極端なpH値を有する溶出液は、そのような過酷な条件が、恐らく抗体の抗原結合能力の重大な損失を生じるであろうから、通常は推奨されない。
【0037】
或いは、高濃度のカオトロピック剤を含む溶出液が、本発明で利用され得る。本明細書中で使用されるとき、用語「カオトロピック剤」または「カオトロープ」は、本発明によるIgY(ΔFc)分子のようなタンパク質分子のコンホメーション変化を誘発し得る、従って、タンパク質変性剤としてしばしば公知である化合物を指す。カオトロピック溶出液は、疎水性結合領域を水性相に実質的に溶解することによって、抗原と抗体間の相互作用に干渉する。本発明によれば、殆どの結合抗体は、適度な濃度(>1M)のカオトロピック剤を含む任意の中性緩衝液で成功裏に溶離され得る。殆どの場合、溶離後のカオトロープの除去は、天然のタンパク質構造を回復する。
【0038】
免疫アフィニティークロマトグラフィーに有用な溶出液は、0.1M グリシン−HCl、pH2.3;0.1M グリシン−HCl、pH10.0;6M グアニジン−HCl、pH3.0;3.0M 塩化カリウム;5M ヨウ化カリウム;3.5M 塩化マグネシウム;1−3M チオシアン酸アンモニウム/ナトリウムおよび6M 尿素を含むが、それらに限定されない。しかしながら、回収される抗体の活性に関しては、適度なイオン強度、カオトロープを含有する中性pH緩衝液、例えば、20mM MES緩衝液(pH 5.8)または20mM Tris(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(pH 7.5)中で緩衝化された3Mチオシアン酸ナトリウムが、本発明を実施するのにより好適である。
【0039】
集められた抗体の活性状態は、例えば、低イオン強度で、非カオトロープ含有弱酸緩衝液に対する広範な透析によって、容易に回復され得る。マトリックス上に固定された抗原は、抗原マトリックスを、カオトロープを含まない緩衝液で洗浄することによって、それらの天然のコンホメーションを容易に回復し得る。
【0040】
本発明の最も好ましい局面では、卵黄からIgYΔFcを調製する方法が提供され、該方法は、
(a)家禽鶏を選択された抗原で免疫し、抗原に対して生じた家禽抗体を卵黄中に蓄積させる工程;
(b)免疫された鶏の卵黄を、約5−7のpHおよび約0℃−60℃の温度の有効量の水で希釈することにより卵黄抗体を集め、混合物を少なくとも1時間形成させる工程;および
(c)卵黄顆粒からの卵黄抗体および脂質を含む水溶性分画を、1,500−30,000×gで0.5−6時間0℃−60℃で遠心分離する又は濾紙で濾過することによって分離する工程;
(d)水溶性分画中で卵黄抗体を、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムにより沈殿させる工程;
(e)卵黄抗体を、1−50mMの塩濃度および約4−9のpHの緩衝溶液で再溶解する工程;および
(f)溶解された卵黄抗体を、その上に抗原が固定されているクロマトグラフィー支持体マトリックスに適用して、卵黄抗体を免疫吸着する工程;
(g)クロマトグラフィー支持体マトリックスを、1−50mMの塩濃度および約4−9のpHの緩衝溶液で洗浄する工程;
(h)クロマトグラフィー支持体マトリックスに結合された卵黄抗体を、50mM超の濃度のカオトロピック塩、または4未満もしくは8を超えるpHの緩衝液で溶離して、IgY(ΔFc)抗体を含む溶出液を得る工程;
を包含する。
【0041】
本発明の方法により精製される卵黄抗体は、均一なIgY(ΔFc)である。純度は、非変性ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によりチェックされ、得られたIgY(ΔFc)の分子量は、120kDaであることが確認された。いかなるIgYコンタミネーションも、ゲル中に見い出されなかった。抗体のポリクローナルな性質のため、IgY(ΔFc)の等電点は、ブロードスペクトル(5.2−7.3)を有する。
【0042】
本発明の方法により精製されたIgY(ΔFc)は、補体システムを活性化せず、哺乳動物血清のリウマチ因子に結合もしない。IgY(ΔFc)と哺乳動物IgGとの間の免疫学的交叉反応性は、有意ではない。従って、本発明は、臨床および研究用の使用に好適な新しいタイプの抗体も提供する。
【0043】
本発明は、本発明により調製されたIgY(ΔFc)抗体の広範囲な臨床および研究用の使用も提供する。
【0044】
例えば、本発明は、患者に、治療的量の本発明のIgY(ΔFc)抗体を投与することにより、動物(家禽、家畜および愛玩用動物を含む)またはヒト患者を免疫する方法を提供して、彼らを様々な病因物質から保護し、それら物質には、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、線虫などのような微生物、およびアレルゲン、トキシン、毒液、ホルモンのようなタンパク質性または非タンパク質性物質、或いは、免疫応答を誘発し得る任意の他の免疫原が含まれる。好ましくは、精製されたIgY(ΔFc)抗体は、水、食塩水などのような薬学的に許容される担体と組合せて投与される。
【0045】
本発明のIgY(ΔFc)抗体は、興味ある病因物質を検出するのに有用でもあり、該病因物質は、ヒトまたは動物に由来する体液、組織、細胞抽出物などのような身体サンプル中の例えば、大腸菌、腸炎菌、および他の細菌性生物のような病原性または非病原性生物;エストロゲン、プロゲステロン、チロキシンなどのようなホルモン;主要組織適合遺伝子複合体抗原など;αフェトプロテイン、前立腺特異的抗原などのような腫瘍マーカー;C反応性タンパク質、フェリチンなどのような疾患状態マーカーを含む。本発明により得られたIgY(ΔFc)抗体を用いると、興味ある病因物質を、当分野で公知の任意の慣用されている方法、例えば、オクタロニー法(MO)、単純放射免疫拡散法(SRID)、免疫電気泳動法(IEP)、放射免疫検定法(RIA)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウェスタンブロット法(WB)、比濁分析免疫検定法(TIA)または粒子増強比濁分析免疫検定法により定量的または定性的に検出し得る。
【0046】
先に定義された最適な結合条件に基づき、本発明は、さらに、上述のような病因物質を分析するための定量的または定性的免疫アッセイ方法を提供し、そこでは、病因物質に対して生じた抗体、好ましくは本発明により精製されたIgY(ΔFc)抗体が、病因物質の存在下または非存在下に、最適な結合条件でインキュベートされる。本発明によれば、最適条件は、4−7の範囲内のpHおよび50mM未満のイオン強度である。好ましくは、抗体は、5−6の範囲内、より好ましくは5.6−5.8の範囲内のpHで、病因物質と反応させた。
【0047】
上記の免疫アッセイを行なうためのキットも提供され、その中には、興味ある病因物質に特異的な卵黄抗体、好ましくは本発明により精製されたIgY(ΔFc)抗体を含む試薬が含まれ、ここで、免疫アッセイは、pH4−7および50mM未満のイオン強度で行われる。好ましくは、抗体は、5−6の範囲内、より好ましくは5.6−5.8の範囲内のpHで、病因物質と反応させた。
【0048】
例えば、単純放射免疫拡散法(SRID)において使用されるとき、本発明によるIgY(ΔFc)抗体は、例えば、寒天、アガロース、スターチ、ポリアクリルアミドゲルなどで構成される支持培地中に、任意の慣用されている方法によって配合され得る。例えば、支持培地は、緩衝溶液中に加熱下に懸濁され得、それにIgY(ΔFc)抗体が添加され、得られたものは混合される。得られた溶液は、ガラス製プレート上またはプラスチック製容器中に注がれ、続いて、冷却して固化される。サンプルを検査に適用するために、サンプルウェルを、得られたゲルプレート上に作製する。この技術の原理は、当業者に公知であるけれども、IgY(ΔFc)抗体−抗原相互作用の物理的要件は、一般的な抗体−抗原相互作用のものよりも厳しい。具体的には、アヒルIgY(ΔFc)抗体は、抗原に結合し、本発明の特定の結合条件下でのみ沈殿特性を発揮する。特定の結合条件も、例えば、オクタロニー法(MO)および比濁分析免疫検定法(TIA)のような他の免疫アッセイ法のために働き、そこでは、IgY(ΔFc)抗体による抗原の沈降または凝集は、必須の工程であると見なされる。
【0049】
従って、本発明の最も好ましい局面の1つは、抗原の単純放射免疫拡散法のための方法を提供することであり、該方法は、
(a)1−50mMの塩濃度および約5−7のpHの緩衝溶液中に、卵黄抗体を含む寒天ゲルを調製する工程;
(b)寒天中のウェルに穴をあけ、ウェルから寒天のプラグを除去する工程;
(c)リン酸緩衝生理食塩水中に抗原の希釈物を調製する工程;および
(d)それぞれの抗原希釈物および試料を、別々のウェルにピペット注入する工程;
(e)少なくとも24時間インキュベートする工程;および
(f)免疫沈降素リングの直径を測定する工程、該直径は、抗原のlog10濃度の直線的相関である、
を包含する。
【0050】
酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)または粒子増強比濁分析免疫検定法において、サンプル中に置かれた興味ある抗原は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどのような樹脂テストプレートの上、或いは、例えば、ポリスチレンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ塩化ビニル、ベントナイト、ガラスビーズなどで作製された微粒子の上に、興味ある抗原の存在を実証するサンプルと相互作用するのに有効な量で固定されたIgY(ΔFc)抗体により、捕捉される。粒子増強比濁分析免疫検定法では、続いて、捕捉された抗原は、濁りの変化によって直接検定される。濁り変化は、320−900nmで測定された。酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)では、捕捉された抗原は、さらに、シグナリング物質と複合体化された抗体によって検出される。
【0051】
【実施例】
下記の実施例は、例示のみを目的として示され、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0052】
実施例1:特異的抗体産生を刺激するための免疫手順
12羽の16週齢の家畜アヒル(Anas platyrhynchos var. domestica)を、抗体および産卵のために個別に収容した。アヒルは、等量のフロイント完全アジュバントと共に乳化されたリン酸緩衝液、pH7.5中のヒトC反応性タンパク質(CRP;ヒト腹水から精製された)1−5mg/mlの初期皮下注射を受けた。使用された抗原の濃度は、一般に、1〜5mg/mlの範囲であった。初期注射の後、若いニワトリは、1−5mgの抗原の4回のさらなる注射を、2週間毎に受けた。1週間後、卵が集められ始め、標識され、抗体の抽出および精製のために処理されるまで、4℃で貯蔵された。ブースター手順は、実験の間、4週間毎に繰返された。血液は、それぞれのブースター注射後、7日目にサンプリングされた。それぞれの血液サンプルは、遠心分離され、得られた血清が集められた。
【0053】
実施例2:アヒル抗体を沈殿させるための物理的要件
この実施例では、アヒル抗体の沈殿物に対するpHおよび塩の効果が、調べられた。アガロース粉末を、pHおよび塩化ナトリウムの濃度が様々な0.02Mリン酸緩衝溶液に、加熱しながら懸濁した。アガロース溶液を、約56℃に冷却し、それに、0.4mg/mlの精製CRPを含む0.5mlの抗原溶液を攪拌しながら加えた。溶液を、プラスチック製容器に注いで、冷却させた。アヒル抗血清のためのウェルを、プレート上に一定間隔で作製した。実施例1で集められた抗血清を、プレート調製に使用されたリン酸緩衝液で1および2倍に希釈し、当初の及び希釈された抗血清2μlを、アガロースプレート中の別々のウェルにロードした。
【0054】
実験の最初のセットでは、CRP含有アガロースゲルを、pH4、5、6、7、8および9でそれぞれ調製した。当初の及び希釈された抗血清2μlを、これらのアガロース中の別々のウェルにロードした。48時間のインキュベーション後、免疫沈降リングの直径および鮮明さを、表1に示されるように測定した。
【0055】
【表1】
Figure 0003610551
【0056】
表1に示されるように、pH4.0のアガロースプレート中に免疫沈降リングは観察されなかった。免疫沈降リングは、5.0以上のpHのアガロースプレートで見えたけれども、沈降素は、pH値が7まで増加するにつれて、鮮明さが徐々に消えた。沈降リングの鮮明さ及びサイズに基づく最良の沈降は、pH5.0で得られた。結果は、アヒル抗体が、pH5.0で抗原と適切に結合することを示す。
【0057】
実験の第2セットでは、アガロースゲルが、0.5、1.0または1.5Mの塩化ナトリウムをそれぞれ含む20mMのリン酸緩衝液、pH5.0中で調製することを除いて、上記の手順を繰返した。インキュベーション後、沈降リングは、塩化ナトリウムを含まないアガロースプレート上に示されたものよりも区別しにくかった(データは、示していない)。結果は、アヒル抗体の沈降が、塩の存在下で顕著に阻害され得ることを示す。
【0058】
総合すると、pHが5.0の20mMリン酸緩衝液中に調製されるアガロースプレートは、アヒル抗体の沈降の形成により好適であり得る。
【0059】
実施例3:抗体力価効力のアッセイ
実施例1で得られた抗血清の力価効力を、SRIDによって測定した。CRP含有アガロースプレートを、実施例2に記載されるように、20mMリン酸緩衝液(pH5.0)を用いて調製した。実施例1で得られた抗血清2μlを、プレート上で穴をあけられた別々のウェルに個々にロードした。インキュベーション後、免疫沈降素リングが、ウェルの周囲に形成され、ロードされた抗血清の力価効力に関連するリングの直径を測定した。
【0060】
実施例4:アヒル卵黄からの抗体の抽出
実施例1の過免疫されたアヒルが産んだ卵から集められた卵黄を、蒸留水の弱いジェット水流により完全に洗浄し、それによってアルブメン(albumen)を除去した。卵黄の量を測定し、次に、測定された卵黄量の10倍の量の蒸留水と完全に混合した。続いて、混合物を、少なくとも2時間4℃以下に保持し、その後、Hitachi CR22F遠心分離機で、10,000rpmにて1時間、遠心分離した。淡い色の上清相および半固体の柔軟な相が、遠心チューブ内に形成された。上清相が注意深く集められ、それに対して、粉砕された硫酸アンモニウムを穏やかに攪拌しながら、100mlの卵黄抽出物当り硫酸アンモニウム25mgの最終濃度まで加え、その結果、卵黄抗体は完全に塩析された。10,000rpmで30分間4℃で遠心分離することにより、沈殿物を集めた。上清をデカントした後、得られたペレットを、好適な緩衝液に再溶解して、緩衝液に対して透析し、残った硫酸アンモニウムを除去した。この手順で得られた20バッチの粗製抗体をプールし、さらなる実験のために4℃で貯蔵した。プールの抗体力価効力は、実施例3に記載されたように、SRIDアッセイ下で、免疫沈降素リングの直径6.1mmであった。
【0061】
実施例5:臭化シアンで活性化されたアガロースマトリックスに対する抗原の共有結合
CRP溶液を、0.1M炭酸塩緩衝液、pH8.5中に、5mg/mlの濃度で調製した。Pharmaciaから購入されたCNBr活性化されたSepharose 4Bを、先ず、マトリックス体積の10倍量の1mM 冷却HClで洗浄し、マトリックス体積の2倍量のCRP溶液と4℃で終夜反応させた。カップリング効率は、タンパク質の出発量(A280)で除したカップリングされたタンパク質の量(A280単位中)として計算された。結果は、CNBr活性化されたSepharose 4Bのカップリング効率が、80−85%の範囲内にあったことを示す。後で使用するために、抗原マトリックスを、20mM Tris−HCl(pH8.5)中0.5Mエタノールアミン溶液に、1:1(v/v)の比で2時間4℃で懸濁し、残りのタンパク質反応性部位をブロックした。続いて、抗原マトリックスを、0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSで洗浄し、4℃で貯蔵した。
【0062】
実施例6:卵黄抗体の免疫アフィニティー精製
下記の実施例6−8では、実施例4で得られたアヒル抗体および実施例5で調製された抗原マトリックスが、卵黄抗体の免疫アフィニティー精製のための好適な結合条件を実証するために使用された。1mlの抗原マトリックスを、慣用されているカラムに充填し、表2に示される結合緩衝液の1つに浸漬した。抗原マトリックスを、同じ結合緩衝液中で配合された0.25mlの抗体と反応させた。抗原マトリックスを、流出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、結合緩衝液で洗浄した。結合抗体を、直ちに4M グアニジン−HClで溶離し、完全に透析した後、280nmでその最適な光学密度を測定した。異なる結合緩衝液中のアヒル抗体の結合能力は、下記の表2に示されるように、最終溶出液中の抗体量によって示される。
【0063】
【表2】
Figure 0003610551
【0064】
比較的多量のアヒル抗体が、弱酸環境下で結合するのが見られ得る。
【0065】
実施例7
結合緩衝液のpH値を、各テスト中で、5.2、5.4、5.6、または5.8に調節することを除いて、実施例6を繰返した。結果を、下記のように表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 0003610551
【0067】
表3では、pH5.6−5.8の環境は、アヒル抗体の結合に関して最も好適であるように見える。
【0068】
実施例8
リン酸結合緩衝液を、MES緩衝液またはビス−Tris緩衝液で置き換えることを除いて、実施例7をpH5.8で繰返した。結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
Figure 0003610551
【0070】
結果は、pH5.8に調節された20mM MES緩衝液が、アヒル抗体の免疫アフィニティー精製に最も好適な結合緩衝液であることを実証する。
【0071】
実施例9:溶出効率
1−3M チオシアン酸ナトリウム(pH7.5)を、4M グアニジン−HClに対して溶出液中でカオトロープとして利用することを除いて、実施例6を、結合緩衝液として20mM MES緩衝液(pH5.8)を用いて繰返した。4M グアニジン−HClの溶出効率は、標準試料を100%として機能的に定義された。他の溶出液の相対的な溶出効率は、各溶出液で溶離されたA280単位を、4M グアニジンHClによるもので除することにより測定した。結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
Figure 0003610551
【0073】
表5から、抗原マトリックスからの結合抗体の約95%を溶離した3M チオシアン酸ナトリウムが、4M グアニジン−HClと殆ど同じくらい有効であることが見られ得る。
【0074】
実施例10:抗原マトリックス上で免疫アフィニティー精製されたアヒル抗体の純度および活性
本発明により作製された抗体の組成を調べるために、分析SDS−PAGEを8%非還元アクリルアミドゲル上で行ない、そこでは、実施例3で回収された60μgの粗製抗体および40μgのフロースルー(それぞれ、レーン2およびレーン3)ならびに実施例9で3M チオシアン酸ナトリウム(pH5.8)で溶離された20μgの抗体産物(レーン4)をロードした。結果を図1に示す。
【0075】
粗製産物およびフロースルーは、両方とも、180kDaおよび120kDaの2つの顕著なバンド(これらのサイズは、レーン1の分子量マーカーから推定される)を示し、それぞれ、アヒルIgYおよびIgY(ΔFc)の相対移動度に対応する。他方、アフィニティー精製された抗体は、ゲル上のシングルバンドで示されるIgY(ΔFc)抗体によって構成される。これらの結果は、本発明の方法が、IgYおよびIgY(ΔFc)の両方で構成される免疫グロブリン混合物のプールから所望のIgY(ΔFc)抗体を単離する優れた戦略であることを示す。殆ど全てのIgY抗体は、抗原マトリックス上での結合ができず、フロースルー中に残った。ゲルのデンシトメーター分析は、精製された抗体の95%以上が均一なIgY(ΔFc)であることを示す。さらに、粗製抗体中に存在する総タンパク質の60%以下がIgY(ΔFc)であり(データは、示していない)、所望のIgY(ΔFc)の量に対応すると考えられている粗製産物中の総タンパク質の24%は、アフィニティー精製段階で抗原マトリックスに結合し得る。
【0076】
精製された抗体の活性は、実施例3に記載されるように、SRIDで測定される。精製された抗体の免疫沈降素リングの直径は、5.9であり、粗製抗体の6.1より僅かに小さいだけである。
【0077】
実施例11:SRID 法での CRP 濃度の測定
実施例10でアフィニティー精製されたアヒル抗CRP抗体が、10μg/mlの最終濃度が得られるまで、CRPの代わりにそこに加えられたことを除いて、実施例2に記載されるように20mMリン酸緩衝液(pH5.0)を用いて、アガロースプレートを調製した。CRP陽性ドナーからの2μl用量のヒト血清が、プレート上で一定間隔で穴をあけられた別々のウェルに個々にロードされ、プレートは48時間インキュベートされた。免疫沈降素リングの直径を測定し、CRP標準のlog10濃度に対してプロットし、標準曲線を与えた。直線性は、図3に示されるように、全測定範囲にわたり観察された。未知サンプル中のCRP濃度は、標準曲線の内挿により推定され得る。現在のSRID法によって得られる結果は、Denka Seiken Co., Ltd., 日本国東京都中央区日本橋茅場町3−4−2から購入される市販されているCRP−latexキットで測定されるものと完全に一致する(図4)。
【0078】
実施例12:ELISA 法での CRP 濃度の測定
実施例10でアフィニティー精製されたアヒル抗CRP抗体を、コーティング緩衝液(20mMリン酸緩衝液、pH8.2)を用いて、16μg/mlの最終濃度まで希釈した。続いて、得られた溶液の100μlアリコートを、ELISAプレート(Costar Corporationから購入)の各ウェルに分配した。プレートを、4℃で終夜または37℃で3時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、200μlのブロッキング剤(コーティング緩衝液中1%無脂肪ミルク)を各ウェルにロードし、プレート上のIgY(ΔFc)コーティングを停止した。連続希釈したCRPを、反応緩衝液(20mM Tris緩衝液中140mM NaCl)中のコートされたアヒル抗体と、室温で30分間、相互作用させた。その後、プレートを、洗浄緩衝液(0.05% tween−20を含む反応緩衝液)で完全に洗浄した。反応緩衝液中に希釈された1用量のヤギ抗CRP抗体(Good Biotech Corp.から入手可能)を各ウェルに加え、プレートを30分間インキュベートし、続いて、洗浄緩衝液で完全に洗浄した。次に、反応緩衝液に希釈された1用量のHRP複合体化ウサギ抗ヤギIgG(Sigma)を各ウェルに加え、プレートを、室温でさらに30分間インキュベートし、続いて、洗浄緩衝液で完全に洗浄した。100μlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(Sigma)を、複合体化酵素の基質として各ウェルに加え、プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を、100μlの1N HSOで抑制した。各ウェルの吸光度を、450nmで測定し、図5にプロットした。このアッセイの感度は、2.5ng/ml(O.D.>1)までであり得る。R−平方は、0.9941までであり得る。
【0079】
実施例13:粒子増強 TIA (LAT 、ラテックス免疫比濁分析検定 における CRP 濃度の測定
ラテックス粒子上への抗CRP IgY(ΔFc)のカップリングは、100μlの10%(w/v)ラテックス懸濁液、400μlの20mM Tris緩衝液(pH7.2)、実施例10で精製された10mg/mlのアヒル抗CRP抗体および0.1%アジ化ナトリウムを含む反応混合物中で、4℃で2時間行われた。1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigmaから購入)を含む5mlの20mM Tris緩衝液(pH7.2)を、ラテックス−IgY(ΔFc)混合物に加え、得られた懸濁液を4℃で1.5時間、攪拌しながらインキュベートした。15,000rpmで4℃で1時間遠心分離した後、集められたペレットを、後で使用するために1% BSAを含む5mlの20mM Tris緩衝液(pH7.2)に再懸濁した。
【0080】
CRP含有キャリブレーター血清を、次の濃度:高い範囲では0、1、5、10および20mg/dl、ならびに低い範囲では0、0.5、1、1.5および2mg/dlで、標準抗原として使用した。2つのさらなる試薬は、R1:20mM Tris緩衝液(pH7.2)およびR2:R1中のIgY(ΔFc)カップリングされたラテックス懸濁液であった。R2を標準抗原と混合した結果としての吸光度(570nm)の増加を、Hitachi 7020比濁分析自動分析器で連続して測定し、こうして得られたデータを、図6aおよび6bそれぞれに示されるように、CRP濃度の低い範囲および高い範囲に対してプロットした。未知サンプル中のCRP濃度は、従って、標準曲線の内挿によって推定され得る。
【0081】
本明細書に引用される全ての特許および文献は、それら全体として本明細書中に参考として援用される。係争の場合は、定義を含む本明細書の記載が有効である。
【0082】
本発明は、上記の具体的実施態様を参照して説明されたが、当業者に明らかな様々な改変および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく為され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な霊長類IgGおよびアヒルIgYイソ型を示す略図である。
【図2】SDS−ポリアクリルアミドゲル上でランされ、クマシーブルーで染色された、本発明で調製されたアヒル卵黄抗体を示す:分子量マーカーはレーン1;粗製抗体抽出物はレーン2;免疫アフィニティークロマトグラフィー後の粗製抗体抽出物のフロースルーはレーン3;および溶出物中のアフィニティー精製された抗体はレーン4である。
【図3】C反応性タンパク質(CRP)に関する標準曲線を示す:血清標準物に関する免疫沈降素リングの直径対C反応性タンパク質濃度(mg/dl、logスケールで)。
【図4】本発明によるSRID検定および市販の免疫比濁分析検定によって得られたCRP濃度の比較を示す。
【図5】本発明によるIgY(ΔFc)抗体がCRP濃度を測定するのに使用されるELISAアッセイを示す。
【図6】図6のa−bは、本発明によるIgY(ΔFc)抗体がラテックス粒子に結合されてCRP濃度を測定するのに使用される、粒子増強比濁分析免疫検定法を示す。

Claims (32)

  1. 卵黄から抗体(IgYΔFc)を調製する方法であって、該抗体は実質的にFc等価領域を含まず、該方法は、
    (a)カモ目トリを選択された抗原で免疫し、抗原に対して生じたカモ目トリ抗体を卵黄中に蓄積させる工程;
    (b)免疫されたカモ目トリの卵黄を集め、それから非水性の生物学的分子および顆粒を除去して、それにより卵黄抗体を含む水溶性分画を得る工程;
    (c)水溶性分画を、pHが4-7の範囲内および50mM未満のイオン強度下で、その上に抗原が固定されている不活性支持体マトリックスを通過させ、固定化抗原と卵黄抗体との免疫複合体を形成させる工程;および
    (d)固定化抗原から卵黄抗体を解離させ溶出させる工程、
    を包含する。
  2. 工程(b)において、集められた卵黄が有効量の水性緩衝溶液または水で希釈され、その後で遠心分離または濾過に供され、それにより非水性生物学的分子および顆粒を除去する、請求項1に記載の方法。
  3. 集められた卵黄が、約1:5〜約1:30 v/vの比で水性緩衝溶液または水で希釈される、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(b)において、非水性生物学的分子および顆粒が、PEG、デキストラン硫酸または天然ガムの多重沈殿およびその後の遠心分離または濾過によって除去される、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(c)の前に、水溶性分画中の卵黄抗体が、NaCl、Na2SO4、(NH4)2SO4、KCl、CaCl2およびMgSO4からなる群から選択される非変性塩によって更に沈殿され、その後で再溶解される、請求項1に記載の方法。
  6. 工程(c)において、免疫複合体が5-6の範囲内のpHで形成される、請求項1に記載の方法。
  7. 工程(c)において、免疫複合体が5.6-5.8の範囲内のpHで形成される、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(c)において、免疫複合体が、リン酸緩衝液、MES(2-[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)緩衝液およびビス-Tris緩衝液からなる群から選択される緩衝液中で形成される、請求項1に記載の方法。
  9. 免疫複合体が20mM MES緩衝液中で形成される、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(d)において、卵黄抗体が、カオトロピック塩により、または4未満もしくは8超のpHで抗原から解離される、請求項1に記載の方法。
  11. カオトロピック塩が、4M グアニジン-HClおよび1-3M チオシアン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. カモ目トリがアヒルである、請求項1に記載の方法。
  13. 不活性支持体マトリックスが、架橋されたアガロースまたは架橋されたデキストランで作製される、請求項1に記載の方法。
  14. 抗原が、病原性または非病原性微生物、天然に生じる又は合成タンパク質、天然に生じる又は合成オリゴペプチド、組換えタンパク質もしくはそのフラグメント、およびその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  15. カモ目トリが、油中水型乳化アジュバントと共に抗原により免疫される、請求項1に記載の方法。
  16. 卵黄から抗体(IgYΔFc)を調製する方法であって、該抗体は実質的にFc等価領域を含まず、該方法は、
    (a)カモ目トリを選択された抗原で免疫し、抗原に対して生じたカモ目トリ抗体を卵黄中に蓄積させる工程;
    (b)免疫されたカモ目トリの卵黄を、約5-7のpHおよび約0℃-60℃の温度の有効量の水で希釈することにより卵黄抗体を集め、混合物を少なくとも1時間形成させる工程;および
    (c)卵黄顆粒からの卵黄抗体および脂質を含む水溶性分画を、1,500-30,000rpmで0.5-6時間0℃-60℃で遠心分離すること又は濾紙で濾過することによって分離する工程;
    (d)水溶性分画中で卵黄抗体を、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムにより沈殿させる工程;
    (e)卵黄抗体を、1-50mMの塩濃度および約4-9のpHの緩衝溶液で再溶解する工程;および
    (f)溶解された卵黄抗体を、その上に抗原が固定されているクロマトグラフィー支持体マトリックスに適用して、卵黄抗体を免疫吸着する工程;
    (g)クロマトグラフィー支持体マトリックスを、1-50mMの塩濃度および約4-9のpHの緩衝溶液で洗浄する工程;
    (h)クロマトグラフィー支持体マトリックスに結合された卵黄抗体を、50mMを超える濃度のカオトロピック塩、または4未満もしくは8を超えるpHの緩衝液で溶出して、IgY(ΔFc)抗体を含む溶出液を得る工程;を包含する。
  17. 請求項1−16のいずれか1つに記載の方法により調製される、 Fc 等価領域を実質的に含まない抗体 (IgY Δ Fc)を含む、免疫アッセイのためのキット。
  18. 請求項1−16のいずれか1つに記載の方法により調製される卵黄抗体を含む、免疫アッセイのための試薬。
  19. 前記免疫アッセイが、酵素結合イムノソルベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁分析免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタンブロットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から選択される、請求項18に記載の試薬。
  20. 酵素結合イムノソルベント検定法に使用される請求項18に記載の試薬であって、試薬が固化されたプレートの形態であり、支持培地と共に抗体を溶解し、試薬をプレートの形態で固化することによって調製される、試薬。
  21. 抗体が不溶性担体粒子上に吸着される、粒子増強比濁分析免疫検定法に使用される、請求項18に記載の試薬。
  22. 前記不溶性担体粒子が、有機マクロ分子ラテックス、無機酸化物または金属である、請求項21に記載の試薬。
  23. 抗原の単純放射免疫拡散検定法のための方法であって、
    (a)1-50mMの塩濃度および約5-7のpHの緩衝溶液中に、請求項1−16のいずれか1つに記載の方法により調製される、Fc等価領域を実質的に含まない抗体(IgYΔFc)を含む寒天ゲルを調製する工程;
    (b)寒天中のウェルに穴をあけ、ウェルから寒天のプラグを除去する工程;
    (c)リン酸緩衝生理食塩水中に抗原の希釈物を調製する工程;および
    (d)それぞれの抗原希釈物および試料を別々のウェルにピペット注入する工程;
    (e)少なくとも24時間インキュベートする工程;および
    (f)免疫沈降素リングの直径を測定する工程、該直径はlog10抗原濃度の直線的相関である、を包含する方法。
  24. サンプルを、カモ目トリ中で病因物質に対して生じた、請求項1−16のいずれか1つに記載の方法により調製される抗体(IgYΔFc)とpH4-7および50mM未満のイオン強度で反応させることによりサンプル中の病因物質を定量的または定性的に分析することを包含する、免疫アッセイ方法。
  25. カモ目トリがアヒルである、請求項24に記載の方法。
  26. 方法がpH5-6で為される、請求項24に記載の方法。
  27. 方法がpH5.6-5.8で為される、請求項26に記載の方法。
  28. 免疫アッセイが、酵素結合イムノソルベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁分析免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタンブロットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
  29. 選択された抗原に特異的である、請求項1−16のいずれか1つに記載の方法により調製される卵黄抗体(IgYΔFc)を含む試薬を含有する免疫アッセイのためのキットであって、免疫アッセイがpH4-7および50mM未満のイオン強度で行われる、キット。
  30. 免疫アッセイがpH5-6で為される、請求項29に記載のキット。
  31. 免疫アッセイがpH5.6-5.8で為される、請求項30に記載のキット。
  32. 免疫アッセイが、酵素結合イムノソルベント検定法、比濁分析免疫検定法、粒子増強比濁分析免疫検定法、単純放射免疫拡散検定法、ウェスタンブロットアッセイおよびオクタロニー法からなる群から選択される、請求項29に記載のキット。
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