JP2002028955A - 射出成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定型と可動型の熱膨脹差によらず、固定型
側のキャビティ中心と可動型側のキャビティ中心との適
正な芯合わせを行うことができるようにする。 【解決手段】 固定型５２と可動型５３を備え、ディス
ク成形用のキャビティ５４が型開閉面内に独立して２個
設けられている。各キャビティ４の中心に位置するよう
ゲート６８とゲートカットスリーブ６９が設けられ、固
定型５２側にホットランナー９５が設けられている。可
動型５３は各キャビティ５４毎に分割して設けられ、分
割した各可動型５３Ａ、５３Ｂが、可動側取付板１０２
に型開閉面内方向移動可能に取り付けられている。固定
型５２と各可動型５３Ａ、５３Ｂ間には、型閉じ動作に
応じてテーパ面１１２ａ，１１３ａ同士が摺接すること
により固定型５２側の各キャビティ中心に対して各可動
型５３Ａ、５３Ｂ側のキャビティ中心を芯合わせする芯
合わせ機構１１０が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光学ディスク等を
成形するための射出成形金型に係り、特に１回の射出に
より成形品を複数取りできるようにした射出成形金型に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、光学ディスクの成形には射出圧縮
成形方法が採用されており、図２は射出圧縮成形用の金
型の一例を示している。図において、射出圧縮成形金型
１は、相互に接離させられる固定型２と可動型３とを具
備しており、可動型３は、固定型２に対して型閉じされ
ることにより、固定型２との間にディスク成形用の円盤
状のキャビティ４を形成する。

【０００３】固定型２には、図示しない射出成形機から
の溶融樹脂をキャビティ４内に導入するためのスプルー
５が、円盤状のキャビティ４の中心に位置させて設けら
れている。また、キャビティ４内には、成形されるディ
スクの表面に転写すべき情報を刻印したリング板状のス
タンパ６が、その外周を押えるスタンパ押え７と内周を
押える取付スリーブ８とによって、キャビティ４の一側
面（固定型２側の側面）に密接状態に取り付けられてい
る。

【０００４】また、可動型３には、キャビティ４の他側
面（可動型３側の側面）をなすコア金型９が型閉方向に
移動自在に支持されている。このコア金型９は、円筒状
に形成され可動型３のコア孔１０に嵌合される可動基体
１１と、この可動基体１１のキャビティ４側にボルト１
２によって固定されキャビティ４の他側面をなす端面１
３ａを有する型体１３とから構成されており、図示しな
い加圧手段の作動により、キャビティ４を収縮する方向
に向けて押圧されるようになっている。

【０００５】さらに可動型３には、前記コア孔１０のキ
ャビティ４側の端部に、該コア孔１０よりも一段拡径さ
れた嵌合段部１４が設けられており、該嵌合段部１４に
は、円環状のキャビティリング１５が嵌合状態に配置さ
れている。このキャビティリング１５は、前記嵌合段部
１４の底面１４ａにボルト１６によって固定され、可動
型３と一体的に配されている。

【０００６】また、このキャビティリング１５は、その
内周面１５ａによってキャビティ４の外周面を規定する
ようになっていると共に、該内周面１５ａに前記型体１
３の先端外周面１３ｂを摺動可能に嵌合させ、コア金型
９の型閉方向に沿った摺動を案内するようになってい
る。さらに、キャビティリング１５の端面１５ｂは、型
閉じ時に固定型２に当接状態に配されて、固定型２に対
する可動型３の位置を決定するようになっている。

【０００７】なお、図中符号１７はディスク成形用のキ
ャビティ４の中心に設けられたゲート、１８はキャビテ
ィ４内にて成形されたディスクの離型に際して作動させ
られて可動型３からスプルー５を離脱させるエジェクタ
ピン、１９はゲート１８を切断するゲートカットスリー
ブ（ゲートカット機構）、２０は成形品を可動型３から
離型させるエジェクタスリーブである。

【０００８】このような構成よりなる射出圧縮成形金型
１では、型閉時に固定型２に対して可動型３が近接させ
られると、可動型３の最端面を形成しているキャビティ
リング１５の端面１５ｂが固定型２に当接して位置決め
され、光学ディスクを成形するためのキャビティ４が形
成される。この場合において、コア金型９は、固定型２
に対して後退した状態に配されている。その結果、キャ
ビティ４は、その内容積が、最終製品としての光ディス
クよりも厚さ寸法が大きくなるように形成されている。

【０００９】この状態で、スプルー５からゲート１７を
通してキャビティ４内に溶融樹脂を射出すると、該溶融
樹脂が大きく形成されたキャビティ４内に充填される。
次いで、図示しない加圧手段を作動させることによっ
て、コア金型９をキャビティ４側に向けて押圧する。そ
うすると、可動型３の型体１３の端面１３ａが固定型２
の端面２ａに近接するように変位して、キャビティ４内
の樹脂が圧縮されることになる。

【００１０】これにより、スタンパ６に刻印されている
情報が成形体である光学ディスクに精度良く刻印され、
且つ、複屈折の少ない光学ディスクが成形される。その
後、ゲートカットスリーブ１９によってゲート１７の切
断を行うと共に、型開きを行いながらエジェクタスリー
ブ２０及びエジェクタピン１８によって光学ディスク及
びスプルー５を可動型３から離型させることにより、製
品としての光学ディスクが取り出されることになる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の射出
圧縮成形金型１は、成形品である光学ディスクを１個取
りするものであったが、成形能率を向上させるために、
成形品を複数取りする計画をたてた場合には、いくつか
の改善すべき問題があることが分かった。即ち、成形品
であるディスクを複数取りするためは、固定型と可動型
の開閉面に複数のキャビティを独立して配置する必要が
あり、各キャビティに溶融樹脂を導入するためにはホッ
トランナー化を進める必要があるが、そうした場合、ホ
ットランナー化により固定型側と可動型側に温度差が生
じることになり、固定型と可動型の熱膨脹差により、固
定型側のキャビティ中心と可動型側のキャビティ中心が
ずれてしまい、ゲートカットの際にかじりが生じる可能
性があることが分かった。

【００１２】本発明は、上記事情を考慮し、固定型と可
動型の熱膨脹差によらず、固定型側のキャビティ中心と
可動型側のキャビティ中心との適正な芯合わせを行うこ
とができ、それによりゲートカットの際のかじりの問題
を回避することのできる射出成形金型を提供することを
目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、固定
側取付板に取り付けられた固定型と、可動側取付板に取
り付けられて前記固定型に対して型閉じされることで固
定型との間にディスク成形用のキャビティを形成する可
動型とを備え、前記ディスク成形用のキャビティが固定
型と可動型の開閉面内に各々独立して複数設けられ、各
キャビティ中心に位置するように、ゲートが設けられる
と共に前記可動型にゲートカット機構が設けられ、さら
に前記固定型側に各ゲートに対して溶融樹脂を送るホッ
トランナーが設けられた射出成形金型であって、前記可
動型を各キャビティ毎に分割して設けると共に、分割し
た各可動型を前記可動側取付板に対して固定型と可動型
の開閉面内方向に移動可能に取り付け、さらに前記固定
型と分割した各可動型との間に、型閉じ動作に応じてテ
ーパ面同士が摺接することによって固定型側の各キャビ
ティ中心に対して各可動型側のキャビティ中心を芯合わ
せする芯合わせ機構を設けたことを特徴とする。

【００１４】この射出成形金型では、キャビティ毎に可
動型を分割し、各分割した可動型を型開閉面の面内方向
に移動可能としている。しかも、固定型と各可動型の間
にテーパ面の摺接により芯合わせする芯合わせ機構を設
けている。従って、固定型と可動型を型閉じすると、固
定型と可動型の間に熱膨脹による差があっても、自動的
に固定型側のキャビティ中心と可動型側のキャビティ中
心の芯合わせが行われる。よって、可動型側に備えたゲ
ートカット機構を適正な位置で動作させることができ、
かじりの発生を回避することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は実施形態の射出圧縮成形金型
５１の断面図である。この射出圧縮成形金型５１は、光
学ディスクを成形するためのものであり、図示しない射
出成形機に取り付けられて、該射出成形機の作動により
相互に接離させられる固定型５２と可動型５３とを具備
している。

【００１６】固定型５２は固定側取付板１０２に取り付
けられ、可動型５３は可動側取付板１０３に取り付けら
れ、固定型５２と可動型５３の型開閉面には、型閉状態
で光学ディスクを成形するためのキャビティ５４が、そ
れぞれ独立した形で２個（それ以上の複数であってもよ
い）形成されるようになっている。

【００１７】この場合、可動型５３は各キャビティ５４
毎に分割して設けられており、分割された各可動型５３
Ａ、５３Ｂは、可動側取付板１０３に対して、型開閉面
内方向（矢印Ｈ方向）にそれぞれ移動可能に取り付けら
れている。即ち、可動型５３Ａ、５３Ｂは、可動側取付
板１０３にボルト１０５で固定されているものの、型開
閉面内方向（矢印Ｈ方向）には微小移動できるようにフ
ローティング結合されている。また、各可動型５３Ａ、
５３Ｂと可動側取付板１０３の間にはバネ１０７が介装
され、このバネ１０７により、可動型５３Ａ、５３Ｂが
可動側取付板１０３から離れる方向に付勢され、可動型
５３Ａ、５３Ｂの型開閉面内方向の動きがスムーズに行
われるようになっている。

【００１８】また、固定型５２と各分割した可動型５３
Ａ、５３Ｂとの間には、型閉じ動作に応じてテーパ面１
１２ａ、１１３ａ同士が摺接することにより、固定型５
２側の各キャビティ中心に対して各可動型５３Ａ、５３
Ｂ側のキャビティ中心を芯合わせする芯合わせ機構１１
０が設けられている。

【００１９】芯合わせ機構１１０は、固定型５２側の各
キャビティ中心と同心に設けられた固定側テーパリング
１１２と、各可動型５３側のキャビティ中心と同心に設
けられた可動側テーパリング１１３とからなり、各テー
パリング１１２、１１３に型閉じ時に互いに摺接するテ
ーパ面１１２ａ、１１３ａが設けられている。また、各
可動側テーパリング１１３の端面には、型閉じ時に固定
側テーパリング１１２の端面に当接して、固定型５２と
可動型５３の型閉じ方向の相互位置決めを行う位置決め
リング１１４が取り付けられている。

【００２０】キャビティ５４毎に設けられた固定側テー
パリング１１２は、固定型５２を構成する単一の本体６
２に形成した各円柱状凸部６２ａに嵌合固定されてお
り、固定側テーパリング１１２に形成したコア孔１２２
に、固定側のコア金型７２が転動体１２０を介して型開
閉方向（矢印Ｓ方向）に移動自在に嵌合されている。

【００２１】また、分割された可動型５３Ａ、５３Ｂ毎
に設けられた可動側テーパリング１１３は、可動型５３
Ａ、５３Ｂを構成する各本体６３の円柱状凸部６３ａに
それぞれ嵌合固定されており、各可動側テーパリング１
１３に形成されたコア孔１２３に、可動側のコア金型７
３が転動体１２０を介して型開閉方向（矢印Ｓ方向）に
移動自在に嵌合されている。また、可動型５３Ａ、５３
Ｂには、キャビティ５４の外周面を規定するキャビティ
リング５５が設けられている。このキャビティリング５
５は、コア金型７３と分割されてコア金型７３の外周凹
部７３ａに収容されており、コア孔１２３の内周に転動
体１２０を介して型開閉方向（矢印Ｓ方向）に移動自在
に嵌合されている。

【００２２】そして、固定側のコア金型７２と可動側の
コア金型７３は、図示しない加圧手段の作動により、キ
ャビティ５４を収縮する方向に向けて押圧されるように
なっている。

【００２３】固定型５２には溶融樹脂をキャビティ５４
内に導入するためのスプルー６４を備えたスプルーブッ
シュ６５が、円盤状の各キャビティ５４の中心に位置し
て設けられ、スプルー６４とキャビティ５４をつなぐ流
路途中には円環状のゲート６８が確保されている。ま
た、キャビティ５４内には、成形されるディスクの表面
に転写すべき情報を刻印したリング板状のスタンパ６
が、その外周を押えるスタンパ押え５６と内周を押える
取付スリーブ６６とによって、キャビティ５４の一側面
（固定型５２側の側面）に密接状態に取り付けられてい
る。スタンパ押え５６は固定側のコア金型７２の外周凹
部７２ａに収容され、取付スリーブ６６はスプルーブッ
シュ６５の外周に嵌合されている。

【００２４】また、可動型５３には、キャビティ５４内
にて成形されたディスクの離型に際して作動させられて
可動型５３からスプルー６４内の樹脂を離脱させるエジ
ェクタピン６７と、ゲート６８を切断して成形品である
ディスクの中心孔を穿設するゲートカットスリーブ（ゲ
ートカット機構）６９と、成形品を可動型５３から離型
させるエジェクタスリーブ７０とが設けられている。

【００２５】また、固定型５２の本体６２は、ホットノ
ズル取付板８１及びマニホールドスペーサブロック８２
を介して固定側取付板１０２に取り付けられており、マ
ニホールドスペーサブロック８２の内部空間には、マニ
ホールド８４が設けられている。このマニホールド８４
には、図示略の射出成形機のノズルが接続されるスプル
ーブッシュ８５が設けられると共に、スプルーブッシュ
８５のスプルー８６より分岐するランナー８７が設けら
れている。ホットノズル取付板８１にはマニホールド８
４に当接するホットノズル８８が取り付けられ、マニホ
ールド８４内のランナー８７の最終分岐路は、ホットノ
ズル８８内のスプルー８９を介して、固定型５３内のス
プルーブッシュ６５のスプルー６４に連通している。

【００２６】この射出圧縮成型金型５１では、スプルー
ブッシュ８５のスプルー８６、マニホールド８４のラン
ナー８７、ホットノズル８８のスプルー８９という長い
経路を通して固定型５３内のスプルー６４に溶融樹脂を
導くので、経路の必要箇所にシースヒータ９１やバンド
ヒータ９２、９３が配されることで、ホットランナー９
５が構成されている。

【００２７】次に作用を説明する。固定型５２に対して
可動型５３を近接させ、両金型５２、５３の開閉面に形
成される２つのキャビティ５４内に、１本の射出シリン
ダから射出した溶融樹脂をホットランナー９５を介して
分岐しながら各スプルー６４より充填すると共に、充填
した樹脂をコア金型６２、６３によって加圧圧縮するこ
とにより、ディスクが同時に２個成形される。成形後
は、各キャビティ５４毎に装備したゲートカットスリー
ブ６９の突出によってゲート６８の切断を行うと共に、
型開きを行いながらエジェクタスリーブ７０及びエジェ
クタピン６７によって光学ディスク及びスプルー６４部
分の樹脂を可動型５３から離型させることにより、製品
としての光学ディスクが外部に取り出される。

【００２８】この場合、固定型５２側にはホットランナ
ー９５という発熱源が存在しているので、固定型５２の
温度は可動型５３よりも高くなり、固定型５２と可動型
５３の間には熱膨脹差が生じる。金型の中心に１個だけ
ディスク成形用のキャビティが存在する従来の金型の場
合には、熱膨脹差が生じたとしても特に大きな影響を及
ぼさないが、本実施形態の金型５１のように、２個取り
のために２個のキャビティ５４を振り分けて設けている
場合には、固定型５２と可動型５３に熱膨脹差が生じる
と、固定側と可動側のキャビティ中心の芯が合わなくな
ってしまう。

【００２９】そこで、この射出圧縮成型金型５１では、
可動型５３をキャビティ５４毎に分割して設け、各分割
した可動型５３Ａ、５３Ｂを型開閉面の面内方向に移動
可能としている。しかも、固定型５２と各可動型５３
Ａ、５３Ｂの間に、テーパ面１１２ａ、１１３ａの摺り
合わせ作用で芯合わせするテーパリング１１２、１１３
よりなる芯合わせ機構１１０を設けている。従って、固
定型５２と可動型５３を型閉じすると、固定型５２と可
動型５３の間に熱膨脹差があっても、自動的に固定型５
２側のキャビティ中心に対して可動型５３側のキャビテ
ィ中心が芯合わせされる。このため、可動型５３側に備
えたゲートカットスリーブ６９を、かじりを生じずに適
正位置で動作させることができ、精度の高い成形品を得
ることができる。

【００３０】なお、上記実施形態では、２個取りのため
にキャビティ５４を２個設けた場合を示したが、３個以
上のキャビティを設け、それに応じて可動型を分割して
もよい。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
固定型と可動型を型閉じすると、固定型と可動型の間に
熱膨脹による差があっても、芯合わせ機構の作用によ
り、自動的に固定型側のキャビティ中心と可動型側のキ
ャビティ中心の芯合わせが行われる。従って、可動型側
に備えたゲートカット機構を適正位置で動作させること
ができて、かじりの発生を回避することができ、精度の
高い成形品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施形態の射出圧縮成型金型を示
す断面図である。

【図２】 従来の射出圧縮成型金型の一例を示す断面
図である。

【符号の説明】

５１ 射出圧縮成形金型 ５２ 固定型 ５３，５３Ａ，５３Ｂ 可動型 ５４ キャビティ ６８ ゲート ６９ ゲートカットスリーブ（ゲートカット機構） ９５ ホットランナー １０２ 固定側取付板 １０３ 可動側取付板 １１０ 芯合わせ機構 １１２ａ，１１３ａ テーパ面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側取付板に取り付けられた固定型
   と、可動側取付板に取り付けられて前記固定型に対して
   型閉じされることで固定型との間にディスク成形用のキ
   ャビティを形成する可動型とを備え、前記ディスク成形
   用のキャビティが固定型と可動型の開閉面内に各々独立
   して複数設けられ、各キャビティ中心に位置するよう
   に、ゲートが設けられると共に前記可動型にゲートカッ
   ト機構が設けられ、さらに前記固定型側に各ゲートに対
   して溶融樹脂を送るホットランナーが設けられた射出成
   形金型であって、 前記可動型を各キャビティ毎に分割して設けると共に、
   分割した各可動型を前記可動側取付板に対して固定型と
   可動型の開閉面内方向に移動可能に取り付け、さらに前
   記固定型と分割した各可動型との間に、型閉じ動作に応
   じてテーパ面同士が摺接することによって固定型側の各
   キャビティ中心に対して各可動型側のキャビティ中心を
   芯合わせする芯合わせ機構を設けたことを特徴とする射
   出成形金型。