JP2002028644A - Cod含有水の浄化処理方法および装置 - Google Patents

Cod含有水の浄化処理方法および装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 COD含有水を光触媒で処理する際の欠点を
解消し、粉末状光触媒を用いて廃水処理を実用的に行う
ことができる処理方法及び装置を提供する。 【解決手段】 COD成分を含有する原水に粉末状光触
媒と活性炭を共存せしめ、紫外線を含む光を照射した
後、カチオン基を持つ高分子凝集剤を添加して固液分離
し、該分離汚泥を前記光照射工程に循環させると共に、
該分離水を生物膜により好気性生物処理するCOD含有
水の浄化処理方法。光源を備える光反応器、凝集沈殿槽
および生物膜濾過装置を接続し、生物膜濾過装置から生
物処理水を光反応器に送るラインを設け、凝集沈殿槽か
ら光触媒含有汚泥を光反応器に送るラインを設けたCO
D含有水の浄化処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状光触媒、活
性炭、光及び微生物を用いて、CODなどの有機物を含
有する水を高度に浄化する方法及び装置に関するもので
あり、特に、粉末光触媒を効果的に固液分離でき、光触
媒と活性炭を再循環、再利用でき、かつ、微生物により
水を高度に浄化することができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、粉末光触媒を利用する水処理
方法および装置は実験室レベルで種々検討がなされてい
るに過ぎず、工業的な規模においての実用化例は見当た
らない。
【0003】
【発明が解決しようとる課題】上記、粉末光触媒による
水処理方法においては、実験室レベルで検討されている
が、以下のような解決されなければならない各種の課題
が挙げられる。 (a)光触媒反応は、触媒粒子の表面にのみにおける光
化学反応であるため、表面積の大きい粉末状の光触媒を
用いる方法が、光触媒を各種の坦体に固定する方法より
も反応速度が著しく速く、有利である。しかし、粉末状
光触媒は、粒径がミクロンオーダであるために沈降分離
が不可能で、実用化を困難にしていた。例えば、最近の
文献「ゾルゲル法による2酸化チタン薄膜を用いた水中
のトリクロロエチレンの光触媒分解」水環境学会誌、第
17巻第5号第324〜329頁の報文において、「粉
末光触媒を回収できず実用化が困難である」と記載して
いる。
【0004】(b)粉末状光触媒は、UF膜、MF膜に
より膜分離ができるが、膜分離に要するポンプ動力のコ
ストが高く、処理水量が多い場合には実用性に欠ける。
また、膜モジュールのコストも高く、廃水処理に膜分離
を利用する光触媒法は、なお現状においては実用的では
ない。 (c)水中の有機汚染物質を、光触媒のみで分解しよう
とすると、多量の光量を必要とするため、紫外線ランプ
などに要する電力コストが高くなり過ぎて実用性に欠け
ることになる。 (d)従来、予め活性炭粒子の表面に酸化チタン光触媒
を固定したものを原水に添加し、有機物を活性炭に吸着
させ、これに紫外線を照射して吸着した有機物を酸化分
解する方法が知られているが、活性炭に光触媒を固定化
するための操作が煩雑であり、加えてコスト高になるこ
とから、実用的な方法というにはまだ十分ではない。本
発明は、これらの欠点を解消し、粉末状光触媒を用いて
廃水処理を実用的に行うことができる処理方法及び装置
を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の事情に
鑑み、鋭意研究したところ、COD成分を含有する原水
に、光触媒、活性炭、紫外線、高分子凝集剤等の添加、
および生物膜による好気性生物処理等を組合わせること
により、良好な処理結果を得ることが出来、本発明に到
達した。
【0006】即ち、本発明は、以下の手段により前記の
課題を解決した。 (1)COD成分を含有する原水に粉末状光触媒と活性
炭を共存せしめ、紫外線を含む光を照射した後、カチオ
ン基を持つ高分子凝集剤を添加して固液分離し、該分離
汚泥を前記光照射工程に循環させると共に、該分離水を
生物膜により好気性生物処理することを特徴とするCO
D含有水の浄化処理方法。 (2)COD成分を含有する原水に粉末状光触媒と活性
炭を共存せしめ、紫外線を含む光を照射した後、SSに
よる閉塞が起きない好気性生物膜処理工程に供給して、
生物処理し、該生物膜処理工程流出液にカチオン基を持
つ高分子凝集剤を添加して固液分離し、該分離汚泥を前
記光照射工程に循環することを特徴とするCOD含有水
の浄化処理方法。
【0007】(3)光反応器、沈殿槽及び生物膜濾過装
置からなるCOD含有水の浄化処理装置において、光源
を備える光反応器、凝集沈殿槽および生物膜濾過装置を
それぞれ移送管で接続し、光反応器と生物膜濾過装置を
循環水ラインで接続し、光反応器と凝集沈殿槽との間を
返送汚泥ラインで接続し、光反応器には原水の供給ライ
ンを、循環水ラインには生物処理水採取ラインをそれぞ
れ付設したことを特徴とするCOD含有水の浄化処理装
置。 (4)光反応器、生物膜処理槽及び沈殿槽からなるCO
D含有水の浄化処理装置において、光源を備える光反応
器、生物膜処理槽および沈殿槽をそれぞれ移送管で接続
し、光反応器と沈殿槽を返送触媒ラインで接続し、光反
応器と移送管の間に循環水ラインを接続し、光反応器と
沈殿槽とを返送光触媒ラインで接続し、沈殿槽に生物処
理水採取ラインを付設したことを特徴とするCOD含有
水の浄化処理装置。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して詳しく説明する。図1に示すように、光反応器3
内に導入された処理対象の原水1中で、粉末状光触媒
(酸化チタン、酸化亜鉛等)と微粒子状活性炭(粉末ま
たは粒径およそ2mm以下で撹拌によって容易に流動す
るものが好適)の共存状態で所定時間撹拌しながら紫外
線光を照射する。なお、光触媒を予め活性炭に固定化し
ておく必要はなく、個々に原水1に添加しておけばよ
い。撹拌は空気曝気を用いると後段の生物処理工程の酸
素供給が同時に行えるので好適である。光反応器3内に
は、光源4として紫外線ランプが設置されているが、光
ファイバー等を利用して太陽光を照射できるようにして
もよい。光触媒微粒子の懸濁濃度は500〜10,00
0mg/リットル、好ましくは1,000〜6,000
mg/リットル程度が良い。また、粉末活性炭の懸濁濃
度は、光触媒微粒子の懸濁濃度と同程度でよい。
【0009】原水1に含まれる種々の有機物(フミン酸
系統のCOD、農薬、有機塩素化合物等)は、光反応器
3内に所定の時間滞留する過程で活性炭への吸着除去と
光触媒光化学反応によって、炭酸ガス、水に酸化分解さ
れて除去される。なお、難生物分解性有機物の一部は、
炭酸ガスにまでは分解されずに易生物分解性有機物に変
化する段階にとどまることが多い。次に、光反応器3か
ら流出する活性炭・光触媒スラリー7に、カチオン基を
持つ高分子凝集剤(カチオン系ポリマー、または両性ポ
リマーが好適で、アニオン系、ノニオン系ポリマーは有
効でない)8を添加し撹拌すると、スラリーを構成する
微粒子は速やかに大粒径フロックに成長し、沈降分離槽
9において急速に沈降し微粒子を含まない清澄な処理水
10が得られる。
【0010】次に、沈降分離槽9で沈降した光触媒・活
性炭粒子からなる汚泥は返送汚泥11として、光反応器
3に返送され再利用される。活性炭および光触媒粒子に
吸着した高分子凝集剤は、光反応器3において、光触媒
による強力な酸化反応により高分子の鎖が切断され、更
に酸化分解される。その結果、光触媒と活性炭粒子の界
面が更新され、再び流出スラリーに新たなカチオン基を
持つ高分子凝集剤が添加されると、フロック形成が効果
的に進行する。また、活性炭に吸着した有機物も、以上
の工程を繰り返し循環する間に光触媒によって酸化分解
されるので、活性炭の有機物吸着作用は永続的に継続す
ることになり、従って、処理系にある活性炭を廃棄処分
する必要がなくなる。次に、沈降分離槽9の処理水10
を生物膜を利用する処理装置(生物濾過装置、流動媒体
生物処理装置、ハニカム接触材生物膜処理装置など)1
2に供給する。生物膜処理装置12では、沈降分離水中
に残存している易生物分解性有機物(難生物分解性の有
機物が光酸化により生物分解性有機物に変化している)
が好気性微生物により生物学的に除去される。
【0011】生物処理水14の一部を循環水16として
再び光反応器3に循環させるとCOD除去効果が向上す
る。この向上をもたらす要因は光触媒による光酸化を難
生物分解性有機物のみに作用させることができるためと
考えられる。生物処理水14を光反応器3に循環させな
い場合には、原水1中の難生物分解性有機物が易生物分
解性有機物に変化し、微生物学的に容易に除去できる易
生物分解性有機物に対しても光反応が進行してしまうた
めに、無駄な光化学反応が多くなってしまい、光エネル
ギーを浪費することになる。
【0012】その他の実施態様としては、図2に示すよ
うに、光触媒・活性炭粒子の沈降分離工程、例えば、沈
降分離槽9による分離工程を生物処理工程の後に設ける
ことができる。すなわち、光反応器3の流出水7を直
接、流動媒体またはハニカムチューブなどの固定生物接
触材などによる好気性生物膜処理工程20に供給し、光
酸化により生成した易生物分解性有機物を生物学的に除
去し、生物処理水21(光触媒と活性炭粒子が含まれた
状態)の一部を循環水22として光反応器3に循環す
る。一方、残部の生物処理水にはカチオン基を持つ高分
子凝集剤8を添加して、沈降分離槽9に供給し、光触媒
活性炭混合粒子を凝集沈降分離し、処理水23を流出管
15から取り出し、沈降分離した光触媒活性炭混合粒子
を返送光触媒活性炭24として光反応器3に返送する。
【0013】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0014】実施例1 し尿処理施設(し尿を無希釈で生物学的脱窒素処理した
後、凝集分離する方式)の凝集沈殿処理水(SS11m
g/リットル、COD87mg/リットル、色度130
度)を対象に、図1の処理工程に準じて本発明の効果を
検証するための試験を行った。試験の条件を第1表に示
す。第1表に示す処理条件で、3ケ月間連続試験を行っ
た結果、粉末光触媒・活性炭粒子は効果的に沈降分離で
き、処理水の水質は3ケ月間安定してSSが3mg/リ
ットル以下、COD1.2mg/リットル以下の高度な
水質を有する処理水が得られた。光触媒および粉末活性
炭の補給は不要であった。
【0015】
【表1】
【0016】実施例2 実施例1において、生物処理水の光照射工程への循環を
行わずに運転した結果、処理水のCODは安定して3.
7〜4.2mg/リットルの範囲であり、SSは3mg
/リットル以下であった。
【0017】比較例1 実施例1において、生物膜処理工程を削除した以外は同
一条件で実験したところ、沈降分離槽処理水のCODが
8.8mg/リットルと著しく悪化した。 比較例2 実施例1において、粉末活性炭を共存させない条件で試
験したところ、処理水のCODは6.3mg/リットル
に悪化した。 比較例3 実施例1において、酸化チタンを添加せずに粉末活性炭
のみを添加して、同様な試験を行った結果、運転当初は
良好な処理水が得られたが、1ケ月後に処理水CODが
5.6mg/リットル、2ケ月後に8.9mg/リット
ル、3ケ月後には13.6mg/リットルに悪化した。
このような悪化の原因を調査したところ、活性炭のCO
D吸着能力が運転を継続するにつれて、減少したためで
あることが明らかになった。
【0018】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。 (1)フミン酸、フルボ酸などの色度成分などの難生物
分解性有機物を含有する原水を、活性炭、光触媒による
酸化反応及び好気性微生物による生物学的代謝反応によ
り、高度に浄化することができる。 (2)固液分離コストが高い膜分離法を用いることな
く、粉末状光触媒を簡単に、且、低コストで固液分離し
て再利用することができる。 (3)光触媒を無機凝集剤で分離する方法と異なり、汚
泥が発生しないので汚泥の処理が不要となる。 (4)活性炭に吸着した有機物が、光触媒によって酸化
されるので、活性炭の熱再生が不要になる。 (5)活性炭にあらかじめ光触媒を固定化する処理が不
要となる。 (6)活性炭、光触媒粒子に吸着した高分子凝集剤が、
光触媒によって分解されるので、高分子凝集剤の架橋吸
着による凝集作用が永続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する処理系統(生物処理水を光反
応器に循環する)を示す図である。
【図2】本発明を実施する他の処理系統(返送光触媒活
性炭を光反応器へ循環する)を示す図である。
【符号の説明】
1 原水 2 供給管 3 光反応器 4 光源 5 光触媒 6 活性炭 7 スラリー 8 高分子凝集剤 9 沈降分離槽 10 処理水 11 返送汚泥 12 生物膜濾過装置 13 空気 14 生物処理水 15 流出管 16 循環水 20 生物膜濾過装置 21 生物処理水 22 循環水 23 処理水 24 返送光触媒活性炭
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/56 C02F 1/56 E 4D062 1/72 101 1/72 101 4G069 3/02 3/02 A 9/00 501 9/00 501B 502 502H 502N 502P 502R 503 503A 504 504A 504E Fターム(参考) 4D003 AA01 AA12 AB02 CA03 CA10 EA03 EA23 FA06 4D015 BA19 BB05 CA02 CA18 DB02 DC07 EA02 EA32 FA01 FA02 FA22 FA24 FA26 4D024 AA10 AB02 BA02 BB01 BC04 DB10 DB15 DB23 DB30 4D037 AB01 BA18 CA01 CA07 CA08 CA11 4D050 AA20 AB07 AB23 BB20 BC04 BC09 BC10 BD06 CA06 CA17 4D062 BA19 BB05 CA02 CA18 DB02 DC07 EA02 EA32 FA01 FA02 FA22 FA24 FA26 4G069 AA02 BA04B BA08A BA08B CA01 CA05 CA10 CA11 DA08 EA01X EA01Y

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 COD成分を含有する原水に粉末状光触
    媒と活性炭を共存せしめ、紫外線を含む光を照射した
    後、カチオン基を持つ高分子凝集剤を添加して固液分離
    し、該分離汚泥を前記光照射工程に循環させると共に、
    該分離水を生物膜により好気性生物処理することを特徴
    とするCOD含有水の浄化処理方法。
  2. 【請求項2】 COD成分を含有する原水に粉末状光触
    媒と活性炭を共存せしめ、紫外線を含む光を照射した
    後、SSによる閉塞が起きない好気性生物膜処理工程に
    供給して、生物処理し、該生物膜処理工程流出液にカチ
    オン基を持つ高分子凝集剤を添加して固液分離し、該分
    離汚泥を前記光照射工程に循環することを特徴とするC
    OD含有水の浄化処理方法。
  3. 【請求項3】 光反応器、沈殿槽及び生物膜濾過装置か
    らなるCOD含有水の浄化処理装置において、光源を備
    える光反応器、凝集沈殿槽および生物膜濾過装置をそれ
    ぞれ移送管で接続し、光反応器と生物膜濾過装置を循環
    水ラインで接続し、光反応器と凝集沈殿槽との間を返送
    汚泥ラインで接続し、光反応器には原水の供給ライン
    を、循環水ラインには生物処理水採取ラインをそれぞれ
    付設したことを特徴とするCOD含有水の浄化処理装
    置。
  4. 【請求項4】 光反応器、生物膜処理槽及び沈殿槽から
    なるCOD含有水の浄化処理装置において、光源を備え
    る光反応器、生物膜処理槽および沈殿槽をそれぞれ移送
    管で接続し、光反応器と沈殿槽を返送触媒ラインで接続
    し、光反応器と移送管の間に循環水ラインを接続し、光
    反応器と沈殿槽とを返送光触媒ラインで接続し、沈殿槽
    に生物処理水採取ラインを付設したことを特徴とするC
    OD含有水の浄化処理装置。
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