JP2002025905A - 半導体装置及びその作製方法 - Google Patents

半導体装置及びその作製方法

Info

Publication number
JP2002025905A
JP2002025905A JP2000202985A JP2000202985A JP2002025905A JP 2002025905 A JP2002025905 A JP 2002025905A JP 2000202985 A JP2000202985 A JP 2000202985A JP 2000202985 A JP2000202985 A JP 2000202985A JP 2002025905 A JP2002025905 A JP 2002025905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor film
film
less
heat treatment
silicon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000202985A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002025905A5 (ja
JP4865122B2 (ja
Inventor
Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
Toru Mitsuki
亨 三津木
Kenji Kasahara
健司 笠原
Takeomi Asami
勇臣 浅見
Yoshie Takano
圭恵 高野
Takeshi Shichi
武司 志知
Chiho Kokubo
千穂 小久保
Mitsuhiro Ichijo
充弘 一條
Satoshi Chokai
聡志 鳥海
Takashi Otsuki
高志 大槻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2000202985A priority Critical patent/JP4865122B2/ja
Publication of JP2002025905A publication Critical patent/JP2002025905A/ja
Publication of JP2002025905A5 publication Critical patent/JP2002025905A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4865122B2 publication Critical patent/JP4865122B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非晶質半導体膜を加熱処理とレーザー光また
は紫外線、赤外線などの強光の照射により結晶化して得
られる結晶質半導体膜の配向率を高め、そのような結晶
質半導体膜で活性領域を形成した半導体装置及びその作
製方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、{101}面の配向率の高い
結晶質半導体膜を得る技術であり、当該結晶質半導体膜
は、シリコンに対するゲルマニウムの組成比が0.1原
子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素の濃度が
5×1018/cm 3未満であり、酸素の濃度が1×10
19/cm3未満である非晶質半導体膜を加熱処理とレー
ザー光またはそれと同等な強光を照射して、非晶質半導
体膜を溶融させずに結晶化した半導体膜であることを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は結晶構造を有する半
導体膜で活性領域を形成した半導体装置及びその作製方
法に関する。特に、本発明は当該半導体膜でチャネル形
成領域を形成する薄膜トランジスタ及びその作製方法に
好適に用いることができる。尚、本明細書において半導
体装置とは、半導体特性を利用して機能しうる装置全般
を指し、半導体集積回路、電気光学装置、及び半導体集
積回路や電気光学装置を搭載した電子機器は半導体装置
の範疇に含まれるものとする。
【0002】
【従来の技術】ガラスや石英などの基板上に結晶構造を
有する半導体膜(以下、結晶質半導体膜という)を用い
て薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)を作製する
技術が開発されている。TFTはフラットパネルディス
プレイの分野において、高精細な画像表示を実現する手
段として、又は、画素部と当該画素部の駆動に必要な集
積回路を同一基板上に形成したモノシリック型ディスプ
レイを実現することを可能としている。
【0003】SOI技術(Silicon on Insulator techn
ology)以外で結晶質半導体膜を形成するには、気相成
長法(CVD法)により基板上に直接結晶質半導体膜を
形成する方法や、非晶質半導体膜を加熱処理、或いはレ
ーザー光の照射により結晶化させる方法が知られてい
る。しかし、TFTにおいては、良好な電気的特性が得
られることから後者の方法が積極的に用いられている。
【0004】ガラスまたは石英などの基板上の非晶質半
導体膜を加熱処理やレーザー光の照射により結晶化した
結晶質半導体膜は多結晶構造となる。通常の場合、結晶
化は非晶質半導体膜と基板との界面に自然に発生する結
晶核が基となり結晶化が進むことが判明している。多結
晶構造における個々の結晶粒は任意な結晶面が析出して
いるが、下地に酸化シリコンがある場合には、その界面
エネルギーが最小となる(111)面の結晶が析出する
確率が高くなる。
【0005】ところで、TFTに必要な半導体膜の厚さ
は10〜100nm程度である。この膜厚の範囲では、
格子の不整合により、異種材料である下地の影響を無視
することができず、高品質の結晶質半導体膜をガラスや
石英などの基板上に形成することが困難となる。また、
自然に発生する結晶核を当てにする結晶化方法では、結
晶方位を制御することは困難であり、また相互に干渉し
あう為、個々の結晶粒の大粒径化を望むことはできな
い。
【0006】結晶質シリコン膜を形成する他の手法とし
て、非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を助長する元
素を導入し、従来よりも低い温度の加熱処理で結晶質シ
リコン膜を作製する技術が開示されている。例えば、特
開平7−130652号公報、特開平8−78329号
公報では、非晶質シリコン膜にニッケルなどの金属元素
を導入し、550℃、4時間の熱処理により結晶質シリ
コン膜を得ることができる。
【0007】この場合には、自然核が発生するより低い
温度で導入した元素のシリサイド化物が形成され、当該
シリサイドを基にした結晶成長が起こっている。例え
ば、ニッケルを用いて形成されるニッケルシリサイド
(NiSix(0.4≦x≦2.5))は特定の配向性
を持たないが、非晶質シリコン膜の厚さを10〜100
nmとすると基板表面に対し平行な方向しか殆ど成長す
ることが許されなくなる。この場合、NiSixと結晶
シリコンの(111)面とが接する界面エネルギーが最
も小さいので、結晶質シリコン膜の表面と平行な面は
(110)面となり、この格子面が優先的に配向する。
しかし、結晶成長方向が基板表面に対し平行な方向に柱
状に成長する場合には、その柱状結晶を軸とした回転方
向には自由度が存在するため、必ずしも(110)面が
配向するとは限らないため、その他の格子面も析出して
いた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】配向率が低い場合、異
なる方位の結晶がぶつかる結晶粒界で、格子の連続性を
保持することが殆ど不可能となり、不対結合手が多く形
成されることが容易に推定される。粒界にできる不対結
合手は再結合中心または捕獲中心となり、キャリア(電
子・ホール)の輸送特性を低下させている。その結果、
キャリアが再結合で消滅したり欠陥にトラップされたり
するため、このような結晶質半導体膜を用いてTFTを
作製しても高い電界効果移動度を有するTFTを期待す
ることができない。
【0009】また、結晶粒の位置を意図的に制御するこ
とは殆ど不可能であり、結晶粒界はランダムに存在する
ため、TFTのチャネル形成領域を特定の結晶方位をも
つ結晶粒で形成することができない。そのために結晶格
子の連続性が低下して、結晶粒界では欠陥が形成され
る。結果として、TFTの特性をばらつかせる要因とな
り、様々な悪影響をもたらすことになる。例えば、電界
効果移動度が低下して、TFTを高速で動作させること
ができなくなる。また、しきい値電圧の変動は低電圧駆
動を不可能として、消費電力の増加をもたらすことにな
る。
【0010】本発明はこのような問題点を解決する手段
を提供することを目的とし、非晶質半導体膜を加熱処理
とレーザー光または紫外線、赤外線などの強光の照射に
より結晶化して得られる結晶質半導体膜の配向率を高
め、そのような結晶質半導体膜で活性領域を形成した半
導体装置及びその作製方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、{101}面
の配向率の高い結晶質半導体膜を得る技術であり、当該
結晶質半導体膜は、シリコンに対するゲルマニウムの組
成比が0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及
び炭素の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の
濃度が1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を
加熱処理とレーザー光またはそれと同等な強光を照射し
て、非晶質半導体膜を溶融させずに結晶化した半導体膜
であることを特徴としている。
【0012】そして、本発明の結晶質半導体膜の配向率
は、反射電子線回折パターン法で検出される{101}
格子面の結晶質半導体膜の表面となす角が10度以内で
ある割合が20%以上であり、かつ、{001}格子面
の結晶質半導体膜の表面となす角が10度以内である割
合が3%以下であり、かつ、{111}格子面の結晶質
半導体膜の表面となす角が10度以内である割合が5%
以下であることを特徴としている。{101}格子面の
結晶質半導体膜の表面となす角が5度以内である割合が
について見れば5%以上となる。
【0013】上記本発明の結晶質半導体膜の作製方法
は、シリコンに対するゲルマニウムの組成比が0.1原
子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素の濃度が
5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が1×10
19/cm3未満である非晶質半導体膜を形成する第1の
工程と、非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化
を助長する元素を添加して加熱処理を行い結晶構造を有
する半導体膜を形成する第2の工程と、結晶構造を有す
る半導体膜にレーザー光またはそれと同等な強光を照射
して、溶融させることなくアニールを行う第3の工程と
を有することを特徴としている。
【0014】また、他の方法は、シリコンに対するゲル
マニウムの組成比が0.1原子%以上10原子%以下で
あり、窒素及び炭素の濃度が5×1018/cm3未満で
あり、酸素の濃度が1×1019/cm3未満である非晶
質半導体膜を形成する第1の工程と、非晶質半導体膜に
当該非晶質半導体膜の結晶化を助長する元素を添加して
第1の加熱処理を行い結晶構造を有する半導体膜を形成
する第2の工程と、結晶構造を有する半導体膜にレーザ
ー光またはそれと同等な強光を照射して、溶融させるこ
となくアニールを行う第3の工程と、結晶構造を有する
半導体膜の上層に水素を含有する窒化シリコン膜または
酸化窒化シリコン膜を形成する第4の工程と、第4の工
程の後に、第2の加熱処理と第3の加熱処理を行う第5
の工程とを有していることを特徴としている。
【0015】非晶質半導体膜の結晶化を助長する元素
は、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種で
あり、非晶質半導体膜の厚さは10nm〜100nmの
厚さで形成する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、TFTのチャネ
ル形成領域に用いる半導体膜は、{110}格子面の配
向率が高いシリコンとゲルマニウムから成る結晶質半導
体膜であることに特徴を有している。このような結晶質
半導体膜を得る典型的な一実施形態は、シリコン原子及
びゲルマニウム原子の水素化物またはフッ化物または塩
化物によるガスを用い、プラズマCVD法または減圧C
VD法により非晶質半導体膜を形成し、その表面に該非
晶質半導体膜の結晶化を助長する元素を導入し、当該元
素を利用して加熱処理とレーザー光または紫外線、赤外
線などの強光の照射により結晶化して結晶質半導体膜を
形成する。
【0017】このような結晶質半導体膜を形成するため
の基板は、アルミナホウケイ酸ガラスやバリウムホウケ
イ酸ガラスなどの無アルカリガラス基板が適している。
代表的にはコーニング社の#7059ガラス基板や#1
737ガラス基板を用いる。その他に石英基板やサファ
イア基板を用いても良い。或いは、シリコン、ゲルマニ
ウム、ガリウム・砒素などの半導体基板の表面に絶縁膜
を形成し、これを基板としても良い。
【0018】また、基板として上記ガラス基板を用いる
場合には、非晶質半導体膜とガラス基板との間に窒化シ
リコン、酸化シリコン、または酸化窒化シリコンなどで
ブロッキング層を形成する。こうして、ガラス基板中に
含まれるアルカリ金属元素などの不純物元素が半導体膜
中に拡散することを防ぐ。例えば、プラズマCVD法で
SiH4、NH3、N2を反応ガスとして用い、窒化シリ
コン膜を形成する。または、SiH4、N2O、NH3
反応ガスとして用い、酸化窒化シリコン膜を形成する。
ブロッキング層の厚さは20〜200nmで形成する。
【0019】このような基板上に上記非晶質半導体膜を
形成する。プラズマCVD法または減圧CVD法、その
他適宣の方法により行う。プラズマCVD法を適用する
場合には、SiH4とGeH4とから成る反応ガス、或い
は、SiH4とH2で希釈したGeH4とから成る反応ガ
スを加えて反応室に導入し、1〜200MHzの高周波
放電により分解し基板上に非晶質半導体膜を堆積させ
る。反応ガスは、SiH 4の代わりにSi26またはS
iF4を、GeH4の代わりにGeF4を採用しても良
い。減圧CVD法を用いる場合にも同様な反応ガスを適
用することが可能であり、好ましくはHeで反応ガスを
希釈して、400〜500℃の温度で基板上に非晶質半
導体膜を堆積する。いずれにしても、本発明で用いる上
記ガスは、堆積される非晶質半導体膜に取り込まれる酸
素、窒素、炭素などの不純物元素の濃度を低減するため
に高純度に精製されたものを用いる。堆積する非晶質半
導体膜の厚さは10〜100nmの範囲とする。
【0020】本発明に用いる非晶質半導体膜は、シリコ
ンとゲルマニウムとから成り、シリコンに対するゲルマ
ニウムの含有量は0.1原子%以上、10原子%未満と
する。このような非晶質半導体膜は、代表的な反応ガス
として用いられるSiH4とGeH4の混合比を調節する
ことで、ゲルマニウムの含有量を所定の範囲内とするこ
とができる。また、非晶質半導体中に含まれる異種元素
として、窒素及び炭素の濃度は5×1018/cm3
満、酸素の濃度は1×1019/cm3未満とする。結晶
化の過程においてこれらの不純物は、主に結晶粒の粒界
に析出し、粒界のポテンシャル障壁が高くなりキャリア
ーの移動度が低下する等の不具合が生じてしまう。
【0021】ここで、本明細書ではこれらの異種元素の
濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により検出
される濃度を言うものであり、当該膜中における濃度の
最低値を指している。
【0022】上記のように形成した非晶質半導体膜に、
該非晶質半導体膜の結晶化を助長する元素を導入する。
そのような元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(N
i)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウ
ム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(O
s)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(C
u)、金(Au)から選ばれた一種または複数種の元素
を用いる。これらの元素は、本明細書に記載する何れの
発明においても非晶質半導体膜の結晶化を助長する元素
として使用することができる。上記いずれの元素を用い
ても同質、同様の効果を得ることができるが、代表的に
はニッケルを用いる。
【0023】当該元素を導入する箇所は、非晶質半導体
膜の全面、或いは非晶質半導体膜の膜面における適宣箇
所のスリット状の面または点状の面などとする。前者の
場合には、当該非晶質半導体膜の基板側に位置する面ま
たは基板側とは反対の面のいずれであっても良い。後者
の場合には、好ましくは非晶質半導体膜上に絶縁膜が形
成され、その絶縁膜に設けられた開孔を利用して元素を
導入することができる。開孔の大きさに特に限定はない
が、その幅は10〜40μmとすることができる。ま
た、その長手方向の長さは任意に決めれば良く、数十μ
m〜数十cmの範囲とすることができる。
【0024】当該元素を導入する方法は、当該元素を非
晶質半導体膜の表面又は内部に存在させる手法であれば
特に限定はなく、例えば、スパッタ法、蒸着法、プラズ
マ処理法(含むプラズマCVD法)、吸着法、金属塩の
溶液を塗布する方法などを使用することができる。プラ
ズマ処理法は、不活性ガスによるグロー放電雰囲気にお
いて、陰極からスパッタされる当該元素を利用する。ま
た、金属塩の溶液を塗布する方法は簡易であり、当該元
素の濃度調整が容易である点で有用である。
【0025】金属塩としては各種塩を用いることが可能
であり、溶媒としては水、アルコール類、アルヒデト
類、エーテル類その他の有機溶媒、または水とこれらの
有機溶媒の混合物を用いることができる。また、それら
の金属塩が完全に溶解した溶液とは限らず、金属塩の一
部または全部が懸濁状態で存在する溶液であっても良
い。いずれの方法を採用するにしても、当該元素は非晶
質半導体膜の表面又は内部に分散させて導入する。
【0026】上記何れかの方法で当該元素を導入した
後、当該元素を利用して非晶質半導体膜の結晶化を行
う。結晶化は加熱処理、レーザー光または紫外線、赤外
線などの強光の照射によって行う(以下、本明細書では
一括してレーザー処理と標記する)。加熱処理のみでも
{101}に優先的に配向する結晶質シリコン膜を得る
ことができるが、好ましくは、加熱処理を行いその後レ
ーザー光などの強光の照射を行う方法を適用する。加熱
処理後のレーザー処理は、結晶粒内に残される結晶欠陥
を修復することができ、作製される結晶の品質を向上さ
せる目的に対して有効な処置となる。
【0027】加熱処理は450〜1000℃の範囲で行
うことが可能であるが、温度の上限は使用する基板の耐
熱温度が一つの上限として考慮される。例えば、石英基
板を用いる場合には1000℃の熱処理にも耐えるが、
ガラス基板の場合にはその歪み点以下が上限温度の一つ
の根拠となる。例えば、歪み点667℃のガラス基板に
対しては、660℃程度が上限となり、好ましくは60
0℃以下とするのが良い。必要とされる時間は加熱温度
や、その後の処理条件(例えばレーザー光を照射する処
理の有無など)により若干異なるが、好適には550〜
600℃にて4〜24時間の加熱処理を行う。また、そ
の後レーザー処理を行う場合には、500〜550℃に
て4〜8時間の熱処理を行う。以上の加熱処理は空気中
や水素雰囲気中でも良いが、好適には窒素或いは不活性
ガス雰囲気中にて行う。
【0028】また、レーザー処理は、波長400nm以
下のエキシマレーザーや、YAGまたはYVO4レーザ
ーの第2高調波(波長532nm)〜第4高調波(波長
266nm)を光源として用いて行う。これらのレーザ
ー光は光学系にて線状またはスポッ状に集光し、そのエ
ネルギー密度を100〜300mJ/cm2として照射
し、上記のように集光したレーザービームを基板の所定
の領域に渡って走査させ処理を行う。その他、レーザー
の代わりに、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ラ
ンプ、メタルハライドランプなどを光源としても良い。
【0029】以上のような工程により、本発明における
{101}面の配向率が高い結晶質半導体膜が得られる
モデルは、概略以下のように推測することができる。そ
れについて図24を参照しながら説明する。
【0030】基板2401上に形成された非晶質半導体
膜2402に導入されたシリコンの結晶化を助長する元
素は、脱水素処理中に速やかに非晶質半導体2402中
に拡散する。そして、当該元素とシリコンが反応してシ
リサイド2403が形成され、これが結晶核となりその
後の結晶成長に寄与する。例えば、代表的な元素として
ニッケルを用いた場合、NiSixが形成される。しか
し、NiSix中にはゲルマニウムが殆ど固溶しないた
め、非晶質半導体2402中のNiSixは、ゲルマニ
ウムを周囲に排除しつつ移動する。
【0031】NiSixは特定の配向性を持たないが、
非晶質半導体膜の厚さを10〜100nmとすると基板
表面に対し平行な方向しか殆ど成長することが許されな
くなる。この場合、NiSixと結晶シリコンの(11
1)面とが接する界面エネルギーが最も小さいので、結
晶質シリコン膜の表面と平行な面は(110)面とな
り、この格子面が優先的に配向する。結晶成長方向が基
板表面に対し平行な方向に、しかも柱状に成長する場合
には、その柱状結晶を軸とした回転方向には自由度が存
在するため、必ずしも(110)面が配向するとは限ら
ないため、その他の格子面も析出することになる。
【0032】NiSixから見ると、周囲の非晶質半導
体のみに原子半径の大きいゲルマニウムが存在している
ため、大きな歪み(引っ張り応力)が発生していること
が予想される。この歪みエネルギーにより、核生成の臨
界半径を大きくする方向に働く。さらに、この歪み(引
っ張り応力)は、NiSixによる核の結晶方位に制限
を与え、特定の結晶面(具体的には、{101}面)の
配向率を高める作用があると推測される。
【0033】NiSixの構造はホタル石型構造であ
り、ダイアモンド型構造のシリコン格子間にニッケル原
子を配置した構造となっている。NiSixからニッケ
ル原子が無くなるとシリコンの結晶構造が残ることにな
る。数々の実験の結果から、ニッケル原子は非晶質シリ
コン側に移動していくことが判明しており、この理由は
非晶質シリコン中の固溶度の方が結晶シリコン中のそれ
よりも高いためであると考えられる。従って、恰もニッ
ケルが非晶質シリコン中を移動しながら結晶シリコン膜
2404を形成するというモデルを立案することができ
る。
【0034】本発明は、結晶質半導体膜の{101}面
の配向を高めるために、シリコンとゲルマニウムから成
る非晶質半導体膜にシリコンの結晶化を助長する元素を
添加して、加熱処理とレーザー処理を行って結晶化させ
る。
【0035】ところで、非晶質半導体膜、具体的には非
晶質シリコン膜に0.1〜10原子%のゲルマニウムを
含有させると結晶核の発生密度が低下することが、本発
明者により見いだされている。図13は結晶核の隣接間
距離について、GeH4の添加量依存性について調べた
結果であり、縦軸はその累積度数を示している。成膜条
件として、SiH4と水素で10%に希釈したGeH4
合計流量は100SCCM一定としたものである。
【0036】図13(A)はシリコンの結晶化を助長す
る元素として、酢酸ニッケル塩が3ppmの水溶液を用
いた結果であり、図13(B)は1ppmの結果を示し
ている。GeH4の添加量の増加は、非晶質シリコン中
に含まれるゲルマニウム濃度がそれに伴って増えること
を意味する。図13(A)、(B)の結果は、いずれも
GeH4の添加量が多い方が結晶核の隣接間距離が長く
なることを示している。図14はこの結果を基に、Ge
4の添加量に対する結晶核の密度を示している。Ge
4の量が増加するに従い、結晶核密度が低下している
傾向が示されている。
【0037】核生成理論の立場からは、体積Vの核が母
相中に現れる際のエネルギー変化ΔGは次式で与えられ
る。
【0038】
【数1】
【0039】ここで、ΔGvは単位体積当たりの自由エ
ネルギー変化(負)であり、右辺第1項は核生成の駆動
力となる。一方、Eは単位体積当たりの歪みエネルギー
であり、γsは単位体積当たりの界面エネルギー(Sは
析出した核の表面積)であり、第2項、第3項は核の析
出を妨害する方向に働く。これら二つの項があるため、
ある臨界半径r0以下の核はエネルギー的に不安定(Δ
Gがrと共に増加する)であり、一時的に現れたとして
も消滅してしまう。即ち、r0を超えた核のみが安定化
することを示している。このことは上記考察において、
非晶質シリコン膜中にゲルマニウムが存在することによ
り核生成の臨界半径を大きくする方向に働くことを裏付
けている。
【0040】次に上述の本発明に基づいて作製される結
晶質半導体膜について、その作製条件の一例を示す。表
1はプラズマCVD法で作製する非晶質半導体膜の作製
条件である。反応ガスはSiH4と水素で10%に希釈
されたGeH4を用いる。これらの反応ガスは、形成さ
れる非晶質半導体膜に含まれる酸素、窒素、炭素の不純
物濃度を低減させるために、SiH4の純度は99.9
999%以上のものを、またGeH4は窒素、炭化水素
化合物が1ppm以下、CO2が2ppm以下の高純度
品を用いている。第1の非晶質半導体膜において、シリ
コンに対するゲルマニウムの含有量を変化させるため
に、合計流量が一定になるようにして、SiH 4とH2
10%に希釈したGeH4のガス流量の混合比を変化さ
せている。共通条件としては、高周波電力が0.35W
/cm2(27MHz)であり、繰り返し周波数10k
Hz(デューティ比30%)のパルス放電に変調して平
行平板型のプラズマCVD装置の陰極に給電する。その
他、共通条件として反応圧力33.25Pa、基板温度
300℃、電極間隔35mmとする。
【0041】
【表1】
【0042】図9はプラズマCVD装置の一例であり、
共通室1120は、ロード・アンロード(L/UL)室
1110、1115、反応室(1)〜反応室(3)11
1〜113、予備室114とゲート弁1122〜112
7を介して連結されている。基板は、ロード・アンロー
ド(L/UL)室1110、1115のカセット112
8、1129に装填され、共通室1120の搬送手段1
121により各反応室または予備室に搬送される。予備
室114では主に基板の予備加熱のみを行い、反応室
(1)では窒化シリコン膜や酸化シリコン膜などの絶縁
膜の形成、反応室(2)では非晶質半導体膜の成膜の形
成を行い、反応室(3)ではシリコンの結晶化を助長す
る元素をプラズマ処理により添加するように分離されて
いる。このプラズマ処理は、不活性ガスのグロー放電に
より、ニッケルなどの上記結晶化を助長する元素で形成
された陰極からスパッタされる元素を非晶質半導体膜に
付着させる処理である。このような構成のプラズマCV
D装置を用いれば、基板に密接して形成するブロッキン
グ層から非晶質半導体膜、及び非晶質半導体膜の結晶化
を助長する元素の添加までを、大気に曝すことなく連続
して形成することができる。
【0043】図10はこのようなプラズマCVD装置の
一つの反応室の構成を詳細に説明するものであり、非晶
質半導体膜を形成する反応室の一例を示している。反応
室501は、高周波電源505が接続する陰極(カソー
ド)502、陽極(アノード)503が設けられた平行
平板型である。陰極502はシャワー板となっていて、
ガス供給手段506からの反応ガスは、このシャワー板
を通して反応室中に供給される。陽極503にはシーズ
ヒーターなどによる加熱手段が設けられ、基板515が
設置されている。ガス供給系の詳細は割愛するが、Si
4やGeH4などが充填されたシリンダー514、ガス
の流量を制御するマスフローコントローラー512、ス
トップバルブ513などから構成されている。排気手段
507は、ゲートバルブ508、自動圧力制御弁50
9、ターボ分子ポンプ(または複合分子ポンプ)51
0、ドライポンプ507から成っている。ターボ分子ポ
ンプ(または複合分子ポンプ)510、ドライポンプ5
07は潤滑油を使用しないもので、油の拡散による反応
室内の汚染を完全に無くしている。排気速度は、反応室
の容積13Lの反応室に対し、一段目に排気速度300
L/秒のターボ分子ポンプ、二段目に排気速度40m3
/hrのドライポンプを設け、排気系側から有機物の蒸
気が逆拡散してくるのを防ぐと共に、反応室の到達真空
度を高め、非晶質半導体膜の形成時に不純物元素が膜中
に取り込まれることを極力防いでいる。
【0044】こうしてプラズマCVD法で作製される非
晶質半導体膜に含まれる窒素、炭素、酸素のそれぞれの
含有量は、二次イオン質量分析法(SIMS)によって
測定されている。図11にそのデータを示す。測定に用
いた試料は、シリコン基板上にSiH4のみ(SJ
0)、水素で10%に希釈したGeH4を5SCCM添
加した条件(SJ1)、同10SCCM添加した条件
(SJ2)の順に積層したものであるが、いずれの成膜
条件においても窒素、炭素の含有量は5×1018/cm
3未満、酸素の含有量は1×1019/cm3未満である。
【0045】絶縁表面上に形成する非晶質半導体膜は1
0〜100nmの厚さで形成する。非晶質半導体膜には
シリコンに対して原子半径の大きなゲルマニウムを含有
し、結晶核の生成密度を小さくすることができる。図1
2はこうして得られた非晶質半導体膜のゲルマニウム濃
度をSIMSにより測定した結果を示す。シリコンに対
してゲルマニウムの含有量は、SJ1で1.5原子%、
SJ2では3.5原子%、SJ3では11.0原子%の濃
度で含まれている。SiH4に対するGeH4の流量比か
ら換算すると、シリコンに対してゲルマニウムは3〜4
倍の割合で膜中に取り込まれている。これは、SiH4
に対しGeH4の方がグロー放電にて分解するエネルギ
ーが小さいためである。
【0046】非晶質半導体膜の結晶化は、シリコンの結
晶化を助長する元素としてニッケルを用い、500〜6
00℃の加熱処理、または加熱処理とレーザー処理を行
う。代表的な処理条件として、窒素雰囲気中550℃に
て4時間の加熱処理及びレーザー処理を行う方法があ
る。ニッケルは酢酸ニッケルを10ppmの濃度で含有
する水溶液を用い、スピナーで塗布する。また、レーザ
ー処理はXeClエキシマレーザー(波長308nm)
を用い、照射エネルギー密度50〜200mJ/c
2、重ね合わせ率95〜98%で照射する。レーザー
処理は半導体膜が溶融しない条件とし、レーザー光を用
いた加熱処理により、未結晶化部分の結晶化や、結晶粒
内の欠陥を補修するために行う。
【0047】図15は結晶質半導体膜のゲルマニウム濃
度の分布を示し、図15(A)はレーザー処理無し、図
15(B)はレーザー処理有り(471mJ/c
2)、図15(C)はレーザー処理有り(521mJ
/cm2)後の状態を示している。いずれにしても、レ
ーザー処理後のものは、ゲルマニウム濃度が膜の表面側
で高くなっている。これは、レーザー光の照射により半
導体膜が溶融し、ゲルマニウムが偏析したためである。
【0048】偏析現象は、融液中の不純物濃度と、その
融液から成長した結晶中の不純物濃度が異なることで認
識される。これは、2元系相図において、液相線と固相
線が分離していることに対応する。この場合、固化の過
程で融液から結晶内に入りにくい不純物は固化後に結晶
表面近傍に偏析する。偏析の度合いを表す界面偏析係数
は以下の式で定義される。
【0049】
【数2】
【0050】通常の引き上げ法や浮融耐帯法などの場
合、固液界面の移動速度は1〜5mm/minである。
一方、パルスレーザー光の照射後における固液界面の移
動速度(固相成長速度)は、1〜10m/secであ
る。従ってねパルスレーザー光の照射後におこる固化
は、通常の引き上げ法や浮融耐帯法などの場合と比較し
てその速度が104〜105倍となる。固液界面の移動速度が
速いほど、融液中原子が拡散するのに十分な時間がな
く、原子配列が液相状態のままで凍結することになる。
通常の引き上げ法や浮融耐帯法などの場合、k*=k
0(k:平衡偏析係数または平衡分配係数)になるが、
成長界面で非平衡度が大きいほどk*はk0よりずれてく
る。このような界面偏析係数k*の求め方およびk*の固化
速度依存性については、"高速結晶成長−半導体のレー
ザーアニーリング−:千川純一、佐藤史郎、応用物理
第54巻 第6号(1985)" で詳しく述べられてい
る。
【0051】図16はパルスレーザー光を照射した結晶
質半導体膜中のゲルマニウム濃度の分布を一方向凝固
(Normal freezing)の式でフィッティングすることに
よって、固液界面偏析係数を求めたものである。偏析係
数が1の場合には、偏析しないことになるが、シリコン
中のゲルマニウムの平衡偏析係数は0.33であること
が知られている。図15のデータからパルスレーザー光
を照射して溶融−固化させた場合には、偏析係数は0.
6が求められている。
【0052】本発明者が試作したTFTにおいて、結晶
質半導体膜の表面にゲルマニウムが偏析した状態の試料
では良好な特性を得ることができなかった。その理由は
種々あると推測されるが、化学量論的組成のずれから生
じる欠陥というよりは、むしろ10〜100ナノ秒のパ
ルスレーザー光の照射により瞬間的に起こった溶融−固
化の過程において、融点の低いゲルマニウムが特定の領
域に偏析して、かつ、欠陥を生成したためであると推測
することができる。
【0053】結晶質シリコン膜で実績のあるように、本
来このような欠陥は水素化処理により終端して不活性化
させることができるが、ゲルマニウムの場合には水素の
離脱開始温度がシリコンの場合より100℃近く低く、
よって水素により欠陥を補償する水素化処理が困難であ
る。
【0054】プラズマにより生成された水素を用いるプ
ラズマ水素化は有効な手段として採用することができ
る。それ以外の手法として、効果的な水素化の方法は、
プラズマCVD法で200〜300℃、好ましくは25
0℃にて窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形
成し、その後410℃の加熱処理で窒化シリコン膜中の
水素を放出させ、250〜350℃の温度で0.1〜1
時間保持する加熱処理を行い、このように2段階に温度
を変化させて水素化を行う方法である。
【0055】こうして{101}面に対して高い配向性
を示す結晶質半導体膜は、非晶質半導体膜においてゲル
マニウムの濃度を0.1〜10原子%の範囲で添加し、
当該膜中に含まれる酸素を1×1019/cm3未満に、
窒素、炭素の元素の濃度を5×1018/cm3未満と
し、膜厚を10〜100nmの範囲として、基板表面と
平行な方向の成長が支配的となるようにして、シリコン
の結晶化を助長する元素を添加してた後、溶融させるこ
となく加熱処理とレーザー処理を行って結晶化させるこ
とで得ることができる。
【0056】本発明の結晶質半導体膜はこれらの相乗効
果により初めて得られるものであり、このような{11
0}面の配向率の高い結晶質半導体膜はTFTのチャネ
ル形成領域、光起電力素子の光電変換層など素子の特性
を決定付けるチャネル形成領域に好適に用いることがで
きる。
【0057】結晶の配向率に関して言えば、複数の結晶
粒が集合している結晶質半導体において、各結晶粒の結
晶方位及びその分布は反射電子回折パターン(EBS
P:Electron Backscatter diffraction Pattern)によ
り詳細に求めることができる。EBSPは走査型電子顕
微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)に専用
の検出器を設け、一次電子の後方散乱から結晶方位を分
析する手法である(以下、この手法を便宜上EBSP法
と呼ぶ)。EPSPを用いた結晶半導体膜の評価は、"M
icrotexture Analysis of Location Controlled Large
Si Grain Formedby Exciter-Laser Crystallization Me
thod: R. Ishihara and P. F. A. Alkemade, AMLCD'99
Digest of Technical Papers 1999 Tokyo Japan, pp99-
102"に紹介されている。
【0058】この測定方法は、結晶構造を持った試料に
電子線が入射すると、後方にも非弾性散乱が起こり、そ
の中には試料中でブラッグ回折による結晶方位に特有の
線状パターン(一般に菊地像と呼ばれる)も合わせて観察
される。EBSP法は検出器スクリーンに映った菊地像
を解析することにより試料の結晶方位を求めている。試
料の電子線の当たる位置を移動させつつ方位解析を繰り
返す(マッピング測定)ことで、面状の試料について結晶
方位または配向の情報を得ることができる。入射電子線
の太さは、走査型電子顕微鏡の電子銃のタイプにより異
なるが、ショットキー電界放射型の場合、10〜20n
mの非常に細い電子線が照射される。マッピング測定で
は、測定点数が多いほど、また測定領域が広いほど、結
晶配向のより平均化した情報を得ることができる。実際
には、100×100μm2の領域で、10000点
(1μm間隔)〜4000点(0.5μm間隔)の程度
の測定を行っている。
【0059】マッピング測定により各結晶粒の結晶方位
がすべて求まると、膜に対する結晶配向の状態を統計的
に表示できる。図23(A)にEBSP法により求めら
れる逆極点図の例を示す。逆極点図は多結晶体の優先配
向を表示する際によく用いられるもので、試料のある特
定の面(ここでは膜表面)が、どの格子面に一致している
かを集合的に表示したものである。
【0060】図23(A)の扇形状の枠は一般に標準三
角形と呼ばれるもので、この中に立方晶系における全て
の指数が含まれている。またこの図中における長さは、
結晶方位における角度に対応している。たとえば{00
1}と{101}の間は45度、{101}と{11
1}の間は35.26度、{111}と{001}の間
は54.74度である。また、白抜きの点線は{10
1}からのずれ角5度及び10度の範囲を示している。
【0061】図23(A)は、マッピングにおける全測
定点(この例では11655点)を標準三角形内にプロッ
トしたものである。{101}付近で点の密度が濃くな
っていることがわかる。図23(B)は、このような点
の集中度を等高線表示したものである。ここで数値は各
結晶粒が完全に無秩序な配向だと仮定した場合、すなわ
ち標準三角形内に点を偏りなく分布させた場合に対する
倍率を示しており無次元数である。
【0062】このように特定の指数(ここでは{10
1})に優先配向している事がわかった場合、その指数
近傍にどの程度の結晶粒が集まっているか、その割合を
数値化することで、優先配向の度合いをよりイメージし
やすくなる。例えば図23(A)に例示した逆極点図に
おいて{101}からのずれ角5度及び10度の範囲
(図中に白点線で示す)に存在する点数の全体に対する
割合を配向率として次式により求めて示すことができ
る。
【0063】
【数3】
【0064】この割合は、次のように説明することもで
きる。図23(A)のように{101}付近に分布が集
中している場合、実際の膜においては各結晶粒の<10
1>方位は基板に概略垂直であるが、その周りにやや揺
らぎを持って並んでいることが予想される。この揺らぎ
の角に許容値を5度、10度と設け、それより小さいも
のの割合を数値で示してゆく。以上に説明したように許
容ずれ角を5度及び10度と定め、それを満たす結晶粒
の割合を表示してゆくことにより配向率を求めることが
できる。
【0065】図21は石英基板上にプラズマCVD法で
作製した54nmの非晶質シリコン膜を600℃にて2
0時間の加熱処理により結晶化して得られた結晶質シリ
コン膜の逆極点図を示している。この試料では{11
1}面に強く配向していることがわかる。また、非晶質
シリコン膜にニッケルを添加して550℃にて4時間の
熱処理により得られた結晶質半導体膜の逆極点図を図2
2に示すが、この場合は{101}面の配向率が12%
であり、その他に{001}と{111}の中間にある
{311}面に配向している。
【0066】図17は表1におけるSJ2の条件で作製
した非晶質シリコン膜を用い、添加する酢酸ニッケルを
含有する水溶液のニッケル濃度を1〜30ppmの範囲
で変化させて作製した結晶質半導体膜の逆極点図を示し
ている。結晶化は、580℃にて4時間の加熱処理を行
ったものである。結晶の配向率は{101}に強く配向
して、その他に{001}と{111}の中間にある
{311}面に配向している傾向が見られる。{10
1}の配向率はニッケルの濃度依存性が見られ、低濃度
になるに従い配向率が高くなっている。表2は図1の逆
極点図より、{101}配向率のニッケル水溶液濃度を
まとめた結果である。図18は{101}配向率のニッ
ケル濃度依存性を示すグラフであり、GeH4の添加量
が5SCCMと10SCCMである場合を示している。
配向率は#SGN10の場合にニッケル濃度と強い相関
を示し、0.1ppmのニッケル水溶液濃度において6
1%の配向率が得られている。この結果を表2に示す。
また、参照データとして示す図22は、GeH4を添加
しないSJ0の条件で作製した結晶質半導体膜の逆極点
図であり、{101}の配向率は12%である。
【0067】
【表2】
【0068】表3は逆極点図を基にして、各種試料につ
いて{101}、{001}、{111}、{113}
の配向率を、各格子面が膜表面となす角度が5度以内、
及び10度以内の範囲にある割合を求めた結果を示して
いる。表3においてHSはニッケルなどを用いないで結
晶化させた結晶質半導体膜の配向率であり、{113}
と{111}の配向率が高く、それぞれ18%(10度
以内)、12%(10度以内)となっている。また、S
J0は{101}と{311}の配向率が高くなってい
る。{311}は対称性の立場から等価な格子面の数が
他と比較して最も多く、ランダムに配向する多結晶体で
は発生する確率がその分高くなる。
【0069】
【表3】
【0070】一方、ゲルマニウムを添加したSJ1〜3
においても、試料内の比較において傾向が見られ、膜中
に含有するゲルマニウム濃度により結晶の配向が変化す
ることを示している。SJ1、2で特に注目される傾向
は、他の格子面に対して{101}格子面の配向が強
く、SJ2ではずれ角10度以内が31%、5度以内で
も14%となっている。また、SJ1ではずれ角10度
以内が20%、5度以内で6%となっている。このよう
な{101}格子面に対する高い配向率はゲルマニウム
を添加しない他の試料では達成されない新規な効果が得
られている。
【0071】しかし、SJ3において、膜中に含有する
ゲルマニウムの含有量が11原子%に増加すると{10
1}格子面の配向率は低下してしまうことが示されてい
る。また、SJ1において1.5原子%に低下しても配
向率が20%低下している。従って、この結果が意味す
るところは、{101}の配向率を高めるためには非晶
質シリコン膜中に含有させるゲルマニウムの濃度には適
した範囲があり、その濃度範囲は0.1原子%から10
原子%、好ましくは1〜5原子%程度であることがわか
る。
【0072】勿論、このような{101}格子面に対し
て高い配向性を示す結晶質半導体膜は、添加するゲルマ
ニウムの濃度を0.1〜10原子%の範囲で添加するだ
けでなく、膜中に含まれる酸素、窒素、炭素の元素の濃
度を1×1019/cm3未満にすること、及び膜厚を2
0〜100nmの範囲として、基板表面と平行な方向の
成長が支配的となるようにすることの相乗効果により達
成される。
【0073】さらに、このような結晶質半導体膜の構造
をX線回折から評価した。X線回折法では、回折角2θ
をスキャンしながら回折強度の測定を行う。このとき強
度がピークとなった2θの測定からブラッグの式(2d sin
θ=λ、λはX線の波長)格子面間隔dを求めることがで
きる。ここで2θスキャンを遅くしてピーク位置を精密
に求めると、格子に加わっている歪についての情報も得
ることができる。
【0074】測定は、表3のSJ0で示される結晶質シ
リコン膜、及びゲルマニウムを含む結晶質シリコン膜に
ついて測定を行い、d値を比較した。両者とも石英基板
を使用した。膜厚は54nm、酢酸ニッケルの添加量1
0ppmの水溶液、結晶化500℃にて1時間と580
℃にて8時間の加熱処理で作製したものである。測定は
膜に平行な格子面のほか、図19示すように試料にあお
り角を持たせることにより、膜から60度の角を持った
格子面についても行った。この様子を模式的に図20に
示す。また、2θの大きい回折を用いたほうが測定精度
は向上する。この2つの試料で配向の違いにより測定で
きる回折が異なっていたが、それぞれについて予備測定
により2θの最も大きい回折を調べ、それらについて本
測定を行った。本測定に用いた回折は、ゲルマニウムを
含む結晶質シリコン膜(試料A)では(440)、結晶
質シリコン膜(試料B)では(220)である。
【0075】あおり角を持たせた場合、2θの値には装
置のX線光学系に特有の系統的なずれが生じる。このず
れはわずかであるが、今回のような精密な測定ではその
影響が無視できなくなるため、あらかじめ標準試料(無
配向のタングステン粉末)を用いてあおり角0度、60
度で2θ値の測定を行い、そのときのずれ量を用いて補
正を行った。標準試料の測定結果を表4に示す。ここで
は多結晶試料の本測定における指数と2θが近い回折を
選んでいる。即ち、試料Aでは(440)回折(2θ=1
06度付近)を測定したので、タングステンの(31
0)回折(2θ=100。628度)で補正を行った。一
方、試料Bでは(220)回折(2θ=47度付近)を測
定したので、タングステンの(110)回折(2θ=4
0.2444度)で補正を行った。
【0076】
【表4】
【0077】試料Aと試料Bの測定結果を表5に示す。
あおり角Psiで比較すると、どちらの試料も0度に比べ
60度の場合のほうがd値は大きく、従って格子が膜に
水平方向に伸びた歪を有していることがわかる。格子定
数aに換算して試料間の比較を行うと、試料Aでは両者
の差は0.00164nmであるのに対して、試料Bで
は0.00272nmと、より大きい値になっている。
従って非晶質半導体膜の形成時にゲルマニウムを含ませ
ておくことにより、結晶化後の膜の歪を緩和させること
ができるということができる。
【0078】
【表5】
【0079】このような{110}格子面の配向率の高
い結晶質半導体膜はTFTのチャネル形成領域、光起電
力素子の光電変換層など素子の特性を決定付けるチャネ
ル形成領域に好適に用いることができる。
【0080】
【実施例】[実施例1]図1で説明する結晶質半導体膜の
作製方法は、ゲルマニウムを含む非晶シリコン膜の全面
にシリコンの結晶化を助長する金属元素を添加して結晶
化を行う方法である。まず、図1(A)において、基板
101はコーニング社の#1773ガラス基板に代表さ
れるガラス基板を用いる。基板101の表面には、ブロ
ッキング層102としてプラズマCVD法でSiH4
2Oを用い酸化窒化シリコン膜を100nmの厚さに
形成する。ブロッキング層102はガラス基板に含まれ
るアルカリ金属がこの上層に形成する半導体膜中に拡散
しないために設ける。
【0081】シリコンとゲルマニウムから成る非晶質半
導体膜103はプラズマCVD法により作製し、SiH
4とH2で10%に希釈されたGeH4ガスを反応室に導
入し、グロー放電分解して基板101上に堆積させる。
その詳細な条件は表1に従うが、ここで採用される条件
はSJ1またはSJ2の条件、或いはその中間的な条件
である。このシリコンとゲルマニウムから成る非晶質半
導体膜103の厚さは50nmの厚さで形成する。シリ
コンとゲルマニウムから成る非晶質半導体膜103の酸
素、窒素、炭素などの不純物を極力低減するために、S
iH4は純度99.9999%以上のものを、GeH4
純度99.99%以上のガスを用いる。また、プラズマ
CVD装置の仕様としては、反応室の容積13Lの反応
室に対し、一段目に排気速度300L/秒の複合分子ポ
ンプ、二段目に排気速度40m 3/hrのドライポンプ
を設け、排気系側から有機物の蒸気が逆拡散してくるの
を防ぐと共に、反応室の到達真空度を高め、非晶質半導
体膜の形成時に不純物元素が膜中に取り込まれることを
極力防いでいる。
【0082】そして図1(B)で示すように、重量換算
で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をス
ピナーで塗布してニッケル含有層104を形成する。こ
の場合、当該溶液の馴染みをよくするために、シリコン
とゲルマニウムから成る非晶質半導体膜103の表面処
理として、オゾン含有水溶液で極薄い酸化膜を形成し、
その酸化膜をフッ酸と過酸化水素水の混合液でエッチン
グして清浄な表面を形成した後、再度オゾン含有水溶液
で処理して極薄い酸化膜を形成しておく。シリコンの表
面は本来疎水性なので、このように酸化膜を形成してお
くことにより酢酸ニッケル塩溶液を均一に塗布すること
ができる。
【0083】次に、500℃にて1時間の加熱処理を行
い、シリコンとゲルマニウムから成る非晶質半導体膜中
の水素を放出させる。そして、550℃にて4時間に加
熱処理を行い結晶化を行う。こうして、図1(C)に示
す結晶質半導体膜205が形成される。
【0084】図25は加熱処理の途中で抜き取った試料
の電子顕微鏡写真であり、結晶化の過程でNiSix
非晶質半導体中を移動し、その後に結晶質半導体が形成
されている様子を示している。
【0085】また、図25に示す*1〜*6の点におい
てエネルギー分散型X線分光分析(EDX:Energy Disp
ersion X-ray Spectroscopy)で組成を調べた。その結
果を表6に示す。非晶質半導体(*1)にはシリコンと
ゲルマニウムの存在が確認され、また、NiSixの前
後の非晶質半導体(*2、*4)においてはシリコンと
ゲルマニウムの他にニッケルの存在が確認されている。
しかし、NiSix中(*3)にはシリコンとニッケル
のみでゲルマニウムが存在していない。NiSixの後
ろの結晶質半導体(*5)においては、シリコンとゲル
マニウムのみが観測され、結晶質半導体と非晶質半導体
の境界領域(*6)においても同様な組成となってい
る。この結果は、上述の結晶化のモデルを裏付けてい
る。
【0086】
【表6】
【0087】さらに結晶化率(膜の全体積における結晶
成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修す
るために、結晶質半導体膜205に対してレーザー光2
06を照射するレーザー処理を行う。レーザーは波長3
08nmにて30Hzで発振するエキシマレーザー光を
用いる。当該レーザー光は光学系にて100〜300m
J/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率
をもって半導体膜を溶融させることなくレーザー処理を
行う。こうして図1(D)に示すシリコンとゲルマニウ
ムから成る結晶質半導体膜107を得ることができる。
【0088】[実施例2]非晶質半導体膜の結晶化を助長
する元素を選択的に形成する方法を図2を用いて説明す
る。図2(A)において、基板120は前述のガラス基
板または石英基板を採用する。ガラス基板を用いる場合
には、実施例1と同様にブロッキング層を設ける。
【0089】シリコンとゲルマニウムから成る非晶質半
導体121は、は実施例1と同様にプラズマCVD法で
形成しても良いし、イオン注入法またはイオンドープ法
によりゲルマニウムを導入しても良い。また、減圧CV
D法で、Si26とGeH4を450〜500℃の温度
で分解して形成する方法も採用可能である。
【0090】シリコンとゲルマニウムから成る非晶質半
導体121上に150nmの厚さの酸化シリコン膜12
2を形成する。酸化シリコン膜の作製方法は限定されな
いが、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl
Ortho Silicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧
力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波
(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm
2で放電させ形成する。
【0091】次に、酸化シリコン膜122に開孔部12
3を形成し、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢
酸ニッケル塩溶液を塗布する。これにより、ニッケル含
有層124が形成され、ニッケル含有層124は開孔部
123の底部のみでゲルマニウムを含む非晶質シリコン
膜121と接触する。
【0092】図2(B)で示す結晶化は、加熱処理の温
度500〜650℃で4〜24時間、例えば570℃に
て14時間の熱処理を行う。この場合、結晶化はニッケ
ルが接した非晶質シリコン膜の部分が最初に結晶化し、
そこから基板の表面と平行な方向に結晶化が進行する。
こうして形成された結晶質シリコン膜125は棒状また
は針状の結晶が集合して成り、その各々の結晶は巨視的
に見ればある特定の方向性をもって成長している。その
後、酸化シリコン膜222を除去すれば結晶質シリコン
膜225を得ることができる(図2(D))。
【0093】[実施例3]実施例1、2で説明する方法に
従い作製される結晶質シリコン膜には結晶化において利
用したニッケルに代表される元素が残存している。それ
は膜中において一様に分布していないにしろ、平均的な
濃度とすれば、1×1019/cm3を越える濃度で残存
している。勿論、このような状態でもTFTをはじめ各
種半導体装置のチャネル形成領域に用いることが可能で
あるが、より好ましくは、ゲッタリングにより当該元素
を除去することが望ましい。
【0094】本実施例はゲッタリング方法の一例を図3
を用いて説明する。図3(A)において、基板130は
実施例1のガラス基板、或いは石英基板が採用される。
ガラス基板を用いる場合には、実施例1と同様にブロッ
キング層を設ける。また、結晶質半導体膜131は実施
例1または2のいずれの方法で作製されたものであって
も同様に適用される。結晶質半導体膜131の表面に
は、マスク用の酸化シリコン膜132が150nmの厚
さに形成され、開孔部133が設けられ結晶質半導体膜
が露出した領域が設けられている。実施例2に従う場合
には、図2(A)で示す酸化シリコン膜122をそのま
ま利用可能であり、図2(B)の工程の後からそのまま
本実施例の工程に移行することもできる。そして、イオ
ンドープ法によりリンを添加して、1×1019〜1×1
22/cm3の濃度のリン添加領域135を形成する。
【0095】そして、図3(B)に示すように、窒素雰
囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば60
0℃にて12時間の熱処理を行うと、リン添加領域13
5がゲッタリングサイトとして働き、結晶質シリコン膜
131に残存していた触媒元素はリン添加領域135に
偏析させることができる。
【0096】その後、図3(C)で示すようにマスク用
の酸化シリコン膜132と、リンが添加領域135とを
エッチングして除去することにより、結晶化の工程で使
用した金属元素の濃度が1×1017/cm3未満にまで
低減された結晶質半導体膜136を得ることができる。
【0097】[実施例4]次に、このようなシリコンとゲ
ルマニウムを成分とする結晶質半導体膜を用いて、TF
Tを作製する例を示す。図5は本実施例の作製工程を説
明する図である。
【0098】図5(A)において、基板210上にシリ
コンとゲルマニウムを成分とする結晶質半導体膜212
を形成するが、この結晶質半導体膜212は、以下に示
す実施例1〜3で示す工程により作製される何れかのも
のが採用される。TFTを作製するに当たっては、素子
分離のため所定の大きさにエッチングし、島状に分割し
ておく。基板210がガラス基板である場合には、ブロ
ッキング層211を設ける。
【0099】絶縁膜213はTFTにおいてゲート絶縁
膜として利用されるものであり30〜200nmの厚さ
で形成する。この絶縁膜213はプラズマCVD法によ
りSiH4とN2Oとから作製される酸化窒化シリコン
膜、或いはTEOSとN2Oとから作製される酸化窒化
シリコン膜などで形成する。本実施例では前者を選択
し、70nmの厚さに形成する。
【0100】絶縁膜213上には、タンタル、タングス
テン、チタン、アルミニウム、モリブデンから選ばれた
一種または複数種の元素を成分とする導電性材料でゲー
ト電極214を形成する。
【0101】次に、図5(B)で示すように、TFTの
ソース及びドレイン領域を形成する一導電型の不純物領
域216を形成する。この不純物領域216はイオンド
ープ法により形成し、nチャネル型TFTであればリ
ン、砒素に代表される周期律表第15族の元素、pチャ
ネル型TFTであればボロンに代表される周期律表第1
3族の元素を添加する。
【0102】その後、プラズマCVD法により作製され
る窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜により第1の層
間絶縁膜817を形成する。第1の層間絶縁膜817は
プラズマCVD法で200〜300℃の基板温度で形成
し、その後、窒素雰囲気中350〜450℃、好ましく
は410℃の温度で加熱処理を行う。この温度で第1の
層間絶縁膜中の水素を放出させ、その後250〜350
℃にて0.1〜1時間程度保持する加熱処理を行い、結
晶質半導体膜の水素化を行う。このような二段階の加熱
処理により結晶質半導体膜の水素化を行うことで、特に
350℃以上の温度では水素化しにくいゲルマニウムの
ダングリングボンド(未結合種)を水素化し、補償する
ことができる。さらに、ソース及びドレイン電極218
を形成しTFTを得ることができる。
【0103】尚、ここではTFTをシングルゲートの構
造で示したが、勿論、複数のゲート電極を設けたマルチ
ゲート構造を採用することもできる。
【0104】本発明で得られるシリコンとゲルマニウム
を成分とする結晶質半導体膜は、{101}の配向率が
高く、形成されるチャネル形成領域はゲート絶縁膜との
界面特性が良好である。また、結晶粒界及び結晶粒内の
欠陥密度が低く、高い電界効果移動度を得ることができ
る。ここでは、TFTをシングルドレインの構造で説明
したが、低濃度ドレイン(LDD)構造や、LDDがゲ
ート電極とオーバーラップした構造のTFTを形成する
こともできる。本発明で作製されるTFTは、アクティ
ブマトリクス型の液晶表示装置やEL表示装置を作製す
るためのTFTとて、また従来の半導体基板にて作製さ
れるLSIに代わる薄膜集積回路を実現するTFTとし
て用いることができる。
【0105】[実施例5]図4は本発明の結晶質半導体膜
を用いて作製される逆スタガ型のTFTの断面図であ
る。逆スタガ型TFTは、ガラスまたは石英などの基板
201上にゲート電極260、261が形成されてお
り、シリコンゲルマニウムを成分とする結晶質半導体膜
263、264は、ゲート絶縁膜262上に形成されて
いる。結晶質半導体膜263、264は実施例1〜3の
方法により作製されるいずれの結晶質半導体膜であって
も適用可能である。
【0106】nチャネル型TFT280は結晶質半導体
膜263を用いて作製され、チャネル形成領域273と
n型不純物(ドナー)をドーピングして作製されるLD
D領域274及びソースまたはドレイン領域275が形
成されている。pチャネル型TFT281は結晶質半導
体膜264を用いて作製され、チャネル形成領域276
とp型不純物(アクセプタ)をドーピングして作製され
るソースまたはドレイン領域277が形成されている。
【0107】チャネル形成領域273、276上にはチ
ャネル保護膜265、266が形成され、第1の層間絶
縁膜267、第2の層間絶縁膜268を介してソースま
たはドレイン電極269〜272が形成されている。水
素化処理は、第1の層間絶縁膜267を窒化シリコン膜
または酸化窒化シリコン膜で形成し、その後、窒素雰囲
気中350〜450℃、好ましくは410℃の温度で加
熱処理を行う。この温度で第1の層間絶縁膜中の水素を
放出させ、その後250〜350℃にて0.1〜1時間
程度保持する加熱処理を行い、結晶質半導体膜の水素化
を行うことができる。
【0108】このような逆スタガ型のTFTを用いて
も、アクティブマトリクス型の液晶表示装置やEL表示
装置の駆動回路を形成することができる。それ以外に
も、このようなnチャネル型TFTまたはpチャネル型
TFTは、画素部を形成するトランジスタに応用するこ
とができる。尚、ここではTFTをシングルゲートの構
造で示したが、勿論、複数のゲート電極を設けたマルチ
ゲート構造を採用することもできる。このようなTFT
は、従来の半導体基板にて作製されるLSIに代わる薄
膜集積回路を実現するTFTとして用いることができ
る。
【0109】[実施例6]本実施例は、nチャネル型TF
Tとpチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCM
OS型のTFTを作製する一例について図6を用いて説
明する。図6(A)において、基板301上にゲルマニ
ウムを含有する結晶質シリコン膜を形成する。ゲルマニ
ウムを含有する結晶質シリコン膜は実施例1〜3で示す
方法により作製されるいずれのものを適用しても良い。
TFTを作製するに当たっては、素子分離のため所定の
大きさにエッチングし、島状に分割して半導体層331
〜333を形成する。基板301がガラス基板である場
合には、ブロッキング層302を設ける。
【0110】ブロッキング層302としてプラズマCV
D法でSiH4とN2Oを用い酸化窒化シリコン膜を50
〜200nmの厚さに形成する。その他の形態として、
プラズマCVD法でSiH4とNH3とN2Oから作製さ
れる酸化窒化シリコン膜を50nm、SiH4とN2Oか
ら作製される酸化窒化シリコン膜を100nm積層させ
た2層構造や、或いは、窒化シリコン膜とTEOS(Te
traethyl Ortho Silicate)を用いて作製される酸化シ
リコン膜を積層させた2層構造としても良い。
【0111】ブロッキング層302及びその上に形成す
る非晶質半導体膜はいずれもプラズマCVD法で形成す
ることが可能であり、これらの層を連続して、シングル
チャンバー方式のCVD装置において同一反応室中で、
或いは、マルチチャンバー方式のCVD装置において各
反応室間を移動させながら連続して形成することができ
る。いずれにしても、大気解放せずに成膜することでブ
ロッキング層と非晶質半導体膜の界面を清浄にしておく
ことができる。
【0112】絶縁膜334はゲート絶縁膜として利用す
るものであり、プラズマCVD法またはスパッタ法を用
い、膜厚を40〜150nmの厚さで形成する。本実施
例では、70nmの厚さで酸化窒化シリコン膜を用いて
形成する。特に、SiH4とN2OにO2を添加させて作
製する酸化窒化シリコン膜は膜中の固定電荷密度を低減
させることが可能となり、ゲート絶縁膜として好ましい
材料である。勿論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化
シリコン膜に限定されるものでなく、酸化シリコン膜や
酸化タンタル膜などの絶縁膜を単層または積層構造とし
て用いても良い。
【0113】そして、絶縁膜334上にゲート電極を形
成するための第1導電膜335と第2導電膜336とを
形成する。本実施例では、第1導電膜335を窒化タン
タルまたはチタンで50〜100nmの厚さに形成し、
第2導電膜336をタングステンで100〜300nm
の厚さに形成する。これらの材料は、窒素雰囲気中にお
ける400〜600℃の熱処理でも安定であり、抵抗率
が著しく増大することがない。
【0114】次に図6(B)に示すように、レジストに
よるマスク337を形成し、ゲート電極を形成するため
の第1のエッチング処理を行う。エッチング方法に限定
はないが、好適にはICP(Inductively Coupled Plas
ma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いる。エッ
チング用ガスにCF4とCl2を混合し、0.5〜2P
a、好ましくは1Paの圧力でコイル型の電極に500
WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマ
を生成して行う。基板側(試料ステージ)にも100W
のRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負
の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合し
た場合にはタングステン膜、窒化タンタル膜及びチタン
膜の場合でも、それぞれ同程度の速度でエッチングする
ことができる。
【0115】上記エッチング条件では、レジストによる
マスクの形状と、基板側に印加するバイアス電圧の効果
により端部をテーパー形状とすることができる。テーパ
ー部の角度は15〜45°となるようにする。また、ゲ
ート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするため
には、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加
させると良い。W膜に対する酸化窒化シリコン膜の選択
比は2〜4(代表的には3)であるので、オーバーエッ
チング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は
20〜50nm程度エッチングされる。こうして、第1
のエッチング処理により第1導電膜と第2導電膜から成
る第1形状の導電層338〜340(第1の導電層33
8a〜340aと第2導電層338b〜340b)を形
成する。341はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導
電層で覆われない領域は20〜50nm程度エッチング
され薄くなる。
【0116】さらに図6(C)に示すように第2のエッ
チング処理を行う。エッチングはICPエッチング法を
用い、エッチングガスにCF4とCl2とO2を混合し
て、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF電
力(13.56MHz)を供給してプラズマを生成する。
基板側(試料ステージ)には50WのRF(13.56
MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低
い自己バイアス電圧を印加する。このような条件により
タングステン膜を異方性エッチングし、第1の導電層で
ある窒化タンタル膜またはチタン膜を残存させるように
する。こうして、第2形状の導電層342〜344(第
1の導電膜342a〜344aと第2の導電膜342b
〜344b)を形成する。345はゲート絶縁膜であ
り、第2の形状の導電層342〜344で覆われない領
域はさらに20〜50nm程度エッチングされて膜厚が
薄くなる。
【0117】そして、第1のドーピング処理を行う。本
ドーピング処理では、nチャネル型TFTのLDD領域
を形成するためにn型の不純物(ドナー)をドーピング
する。その方法はイオンドープ法若しくはイオン注入法
で行う。例えば、イオンドープ法を用い、加速電圧を7
0〜120keVとし、1×1013/cm2のドーズ量
で行い、第1の不純物領域を形成する。ドーピングは、
第2の導電膜342b〜344bを不純物元素に対する
マスクとして用い、第1の導電膜342a〜344aの
下側の領域に不純物元素が添加されるようにドーピング
する。こうして、第1の導電膜342a〜344aと一
部が重なる第1の不純物領域346〜348が形成され
る。第1の不純物領域は1×1017〜1×1019/cm
3の範囲の濃度で形成する。
【0118】次に、図6(D)に示すように、レジスト
でマスク349〜351を形成し、第2のドーピング処
理を行いう。第2のドーピング処理は、nチャネル型T
FTのソースまたはドレイン領域を形成するためにn型
の不純物(ドナー)をドーピングする。イオンドープ法
の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2
して行う。n型の不純物元素として15族に属する元
素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用い
る。レジストでマスク349〜351は個々にその形状
を最適化することが可能であり、第2形状の導電層の外
側まで覆う形状のものとして、先に形成した第1の不純
物領域と重なるようにすることでLDD領域を形成する
ことができる。こうして、第2の不純物領域352〜3
54を形成する。第2の不純物領域725〜729おけ
るリン(P)濃度は1×1020〜1×1021/cm3
範囲となるようにする。
【0119】そして、図6(E)に示すように、レジス
トによるマスク355を形成し、pチャネル型TFTを
形成する島状半導体層331にp型の不純物(アクセプ
タ)をドーピングする。典型的にはボロン(B)を用い
る。第3の不純物領域356、357の不純物濃度は2
×1020〜2×1021/cm3となるようにし、含有す
るリン濃度の1.5〜3倍のボロンを添加して導電型を
反転させる。
【0120】以上までの工程でそれぞれの島状半導体層
に不純物領域が形成される。第2形状の導電層342〜
344はゲート電極となる。その後、図6(F)に示す
ように、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜から
成る保護絶縁膜358をプラズマCVD法で形成する。
そして導電型の制御を目的としてそれぞれの島状半導体
層に添加された不純物元素を活性化する工程を行う。活
性化はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行
うことが好ましい。その他に、レーザーアニール法、ま
たはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用す
ることもできる。熱アニール法では酸素濃度が1ppm
以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で4
00〜700℃、代表的には400〜600℃で行うも
のであり、本実施例では500℃で4時間の熱処理を行
う。
【0121】さらに、窒化シリコン膜359を形成し、
350〜450℃、好ましくは410℃の加熱処理を行
う。この温度で第1の層間絶縁膜中の水素を放出させ、
その後250〜350℃にて0.1〜1時間程度保持す
る加熱処理を行い、結晶質半導体膜の水素化を行う。こ
のような二段階の加熱処理により結晶質半導体膜の水素
化を行うことで、特に350℃以上の温度では水素化し
にくいゲルマニウムのダングリングボンド(未結合種)
を水素化し、補償することができる。
【0122】層間絶縁膜360は、ポリイミド、アクリ
ルなどの有機絶縁物材料で形成し表面を平坦化する。勿
論、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho S
ilicate)を用いて形成される酸化シリコン膜を適用し
ても良いが、平坦性を高める観点からは前記有機物材料
を用いることが望ましい。
【0123】次いで、コンタクトホールを形成し、アル
ミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)
などを用いて、ソースまたはドレイン配線361〜36
6を形成する。
【0124】pチャネル型TFT370にはチャネル形
成領域363、ソース領域またはドレイン領域として機
能する第3の不純物領域356、357を有している。
nチャネル型TFT371はチャネル形成領域368、
第2形状の導電層343から成るゲート電極と重なる第
1不純物領域362とソース領域またはドレイン領域と
して機能する第1不純物領域353を有している。nチ
ャネル型TFT372はチャネル形成領域369、第2
形状の導電層344から成るゲート電極と重なる第1不
純物領域348a、ゲート電極の外側に形成される第1
不純物領域348b、ソース領域またはドレイン領域と
して機能する第1不純物領域353を有している。第1
不純物領域362、348aはゲート電極とオーバーラ
ップするLDD領域であり、ドレイン端に形成される高
電界領域を緩和してホットキャリア効果によるTFTに
劣化を防ぐ上で効果がある。第1不純物領域348bは
LDD領域であり、本実施例で示す工程では、オフ電流
値を低減するために最適な寸法を設定することができ
る。
【0125】以上の工程で、nチャネル型TFTとpチ
ャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS型の
TFTを得ることができる。本実施例で示す工程は、各
TFTに要求される特性を考慮してLDDを設計し、同
一基板内において作り分けることができる。このような
CMOS型のTFTは、アクティブマトリクス型の液晶
表示装置やEL表示装置の駆動回路を形成することを可
能とする。それ以外にも、このようなnチャネル型TF
Tまたはpチャネル型TFTは、画素部を形成するトラ
ンジスタに応用することができる。さらに、従来の半導
体基板にて作製されるLSIに代わる薄膜集積回路を実
現するTFTとして用いることができる。尚、ここでは
TFTをシングルゲートの構造で示したが、勿論、複数
のゲート電極を設けたマルチゲート構造を採用すること
もできる。
【0126】また、CMOS回路を組み合わせることで
基本論理回路を構成した、さらに複雑なロジック回路
(信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補
正回路など)をも構成することができ、さらにはメモリ
やマイクロプロセッサをも形成することが可能である。
【0127】[実施例7]本実施例は、画素部と駆動回路
が同一基板上に形成されたモノシリック型の液晶表示装
置の構成例を図7、8を用いて説明する。画素部におけ
るスイッチング用のTFTと駆動回路のnチャネル型及
びpチャネル型のTFTは、いずれも本発明のゲルマニ
ウムを含む結晶質シリコン膜を用いて活性領域を形成し
ている。ゲルマニウムを含有する結晶質シリコン膜は実
施例1〜3で示す方法により作製されるいずれのものを
適用することができる。
【0128】図7において、基板401は、好適にはバ
リウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスな
どのガラス基板などを用いる。その他に石英基板を用い
ても良い。ガラス基板を用いる場合にはブロッキング層
402が形成される。
【0129】画素部445におけるスイッチング用の画
素TFT442と駆動回路444のnチャネル型TFT
441及びpチャネル型TFT440の構造に限定はな
いが、本実施例では実施例6により作製されるTFTを
用いて説明する。勿論、実施例4または実施例5のTF
Tを採用することも可能である。
【0130】駆動回路444には配線408、417及
びソースまたはドレイン配線418〜421が形成され
ている。また、画素部445においては、画素電極42
4、ゲート配線423、接続電極422、ソース配線4
09が形成されている。
【0131】駆動回路444のpチャネル型TFT44
0には、半導体層403にチャネル形成領域426、ソ
ース領域またはドレイン領域として機能する第3不純物
領域427を有している。このpチャネル型TFT45
3は実施例6のpチャネル型TFT370と同様にして
作製することができる。
【0132】nチャネル型TFT441には、半導体層
404にチャネル形成領域428、第2形状の導電層4
11から成るゲート電極と重なる第1不純物領域429
とソース領域またはドレイン領域として機能する第2不
純物領域430を有している。このnチャネル型TFT
441は実施例6のnチャネル型TFT371と同様に
して作製することができる。
【0133】画素部のnチャネル型TFT442には、
半導体層405にチャネル形成領域431、ゲート電極
を形成する第2形状の導電層412と重なる第1不純物
領域432a(GOLD領域)、ゲート電極の外側に形
成される第1不純物領域432b(LDD領域)とソー
ス領域またはドレイン領域として機能する第2不純物領
域433、434、435を有している。このnチャネ
ル型TFT442は実施例6のnチャネル型TFT37
2と同様にして作製することができる。また、保持容量
443の一方の電極として機能する半導体層406は第
6不純物領域437、第5不純物領域438と不純物が
添加されない領域436が形成されている。
【0134】画素部445においては、接続電極422
によりソース配線409は、画素TFT442のソース
またはドレイン領域433と電気的な接続が形成され
る。また、ゲート配線423は、ゲート電極として機能
する第3形状の導電層412と電気的な接続が形成され
る。また、画素電極424は、画素TFT442のソー
スまたはドレイン領域435及び保持容量443の一方
の電極である半導体層406の不純物領域438と接続
している。
【0135】図7における画素部445の断面図は、図
8で示すA−A'線に対応したものである。ゲート電極
として機能する第3形状の導電層412は隣接する画素
の保持容量の一方の電極を兼ね、画素電極452と接続
する半導体層453と重なる部分で容量を形成してい
る。また、ソース配線407と画素電極424及び隣接
する画素電極451との配置関係は、画素電極424、
451の端部をソース配線407上に設け、重なり部を
形成することにより、迷光を遮り遮光性を高めている。
【0136】[実施例8]本実施例では実施例7で作製し
た各TFTから、アクティブマトリクス型の液晶表示装
置を作製する一例を示す。図26では透過型の液晶表示
装置を作製するために、画素部445の層間絶縁膜上に
透明導電膜で形成した画素電極601が形成されてい
る。画素電極は画素のnチャネル型TFT442に接続
する補助電極609、及び保持容量443の補助電極6
10と接続されている。これらの補助電極とゲート線6
08、接続電極607、駆動回路444の各TFTのソ
ースまたはドレイン配線603〜606、配線602
は、フォトレジストまたは感光性ポリイミドまたは感光
性アクリルなどからなる有機樹脂611〜619をマス
クとして、その下層に形成されている導電膜をエッチン
グして形成されている。
【0137】有機樹脂611〜619は、配線を形成す
るための導電膜上に当該有機樹脂材料を全面に塗布し、
光露光プロセスにより図27に示すようにパターン形成
されている。その後、オフセット印刷により5〜20m
Pa・の粘度のポリイミド樹脂層を形成し、200℃に
て焼成して配向膜を形成している。オフセット印刷によ
り塗布したポリイミド樹脂は、焼成の段階で有機樹脂6
11〜619とその下層の配線または電極の段差部にう
まく回り込み、その端部を覆うことができる。その後、
液晶を配向させるためラビングを行う。
【0138】対向側の基板621には透明導電膜で形成
する対向電極622と配向膜623を形成し、画素部4
45及び駆動回路444が形成されている基板と対向基
板621とをシール材624で貼り合わせる。シール材
624にはフィラー(図示せず)が混入されていて、こ
のフィラーとスペーサ(図示せず)によって均一な間隔
を持って貼り合わされている。その後、両基板の間に液
晶625を注入する。液晶材料には公知の液晶材料を用
いれば良い。例えば、TN液晶の他に、電場に対して透
過率が連続的に変化する電気光学応答性を示す、無しき
い値反強誘電性混合液晶を用いることもできる。この無
しきい値反強誘電性混合液晶には、V字型の電気光学応
答特性を示すものもある。このようにして図27に示す
アクティブマトリクス型の液晶表示装置が完成する。
【0139】[実施例9]本実施例は、上記実施例4〜6
で得られるTFTを用いてEL(エレクトロルミネセン
ス)表示装置を作製する一例を図27を用いて説明す
る。
【0140】同一の絶縁体上に画素部とそれを駆動する
駆動回路を有した発光装置の例(但し封止前の状態)を
図27に示す。なお、駆動回路には基本単位となるCM
OS回路を示し、画素部には一つの画素を示す。このC
MOS回路は実施例6に従えば得ることができる。
【0141】図27において、基板700は絶縁体であ
り、その上にはnチャネル型TFT701、pチャネル
型TFT702、pチャネル型TFTからなるスイッチ
ングTFT703およびnチャネル型TFTからなる電
流制御TFT704が形成されている。これらのTFT
のチャネル形成領域は、本発明に基づき作製される結晶
質半導体膜で形成され、その具体的な作製方法は実施例
1〜3に示されている。
【0142】nチャネル型TFT701およびpチャネ
ル型TFT702は実施例6を参照すれば良いので省略
する。また、スイッチングTFT703はソース領域お
よびドレイン領域の間に二つのチャネル形成領域を有し
た構造(ダブルゲート構造)となっている。なお、本実
施例はダブルゲート構造に限定されることなく、チャネ
ル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしく
は三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0143】また、電流制御TFT704のドレイン領
域705の上には第2層間絶縁膜707が設けられる前
に、第1層間絶縁膜706にコンタクトホールが設けら
れている。これは第2層間絶縁膜707にコンタクトホ
ールを形成する際に、エッチング工程を簡単にするため
である。第2層間絶縁膜707にはドレイン領域705
に到達するようにコンタクトホールが形成され、ドレイ
ン領域705に接続された画素電極708が設けられて
いる。画素電極708はEL素子の陰極として機能する
電極であり、周期表の1族もしくは2族に属する元素を
含む導電膜を用いて形成されている。本実施例では、リ
チウムとアルミニウムとの化合物からなる導電膜を用い
る。
【0144】次に、713は画素電極708の端部を覆
うように設けられた絶縁膜であり、本明細書中ではバン
クと呼ぶ。バンク713は珪素を含む絶縁膜もしくは樹
脂膜で形成すれば良い。樹脂膜を用いる場合、樹脂膜の
比抵抗が1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×
108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子も
しくは金属粒子を添加すると、成膜時の絶縁破壊を抑え
ることができる。
【0145】また、EL素子709は画素電極(陰極)
708、EL層711および陽極712からなる。陽極
712は、仕事関数の大きい導電膜、代表的には酸化物
導電膜が用いられる。酸化物導電膜としては、酸化イン
ジウム、酸化スズ、酸化亜鉛もしくはそれらの化合物を
用いれば良い。なお、本明細書中では発光層に対して正
孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子
注入層もしくは電子阻止層を組み合わせた積層体をEL
層と定義する。
【0146】尚、ここでは図示しないが陽極712を形
成した後、EL素子709を完全に覆うようにしてパッ
シベーション膜を設けることは有効である。パッシベー
ション膜としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸
化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしく
は組み合わせた積層で用いる。
【0147】[実施例10]本発明の半導体装置は、各種
多様の電子機器の表示装置や各種集積回路、或いは、従
来の集積回路に代わる回路用途に応用することができ
る。このような半導体装置には、携帯情報端末(電子手
帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)、ビデオカメ
ラ、スチルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ、
プロジェクター等が挙げられる。それらの一例を図28
〜図30に示す。
【0148】図28(A)は携帯電話であり、表示用パ
ネル2701、操作用パネル2702、接続部2703
から成り、表示用パネル2701には液晶表示装置また
はEL表示装置に代表される表示装置2704、音声出
力部2705、アンテナ2709などが設けられてい
る。操作パネル2702には操作キー2706、電源ス
イッチ2702、音声入力部27058などが設けられ
ている。本発明は表示装置2904及びそれに付随する
半導体集積回路を形成することができる。
【0149】図28(B)はビデオカメラであり、本体
9101、液晶表示装置またはEL表示装置に代表され
る表示装置9102、音声入力部9103、操作スイッ
チ9104、バッテリー9105、受像部9106から
成っている。本発明は表示装置9102及びそれに付随
する半導体集積回路に適用することができる。
【0150】図28(C)はモバイルコンピュータ或い
は携帯型情報端末であり、本体9201、カメラ部92
02、受像部9203、操作スイッチ9204、液晶表
示装置またはEL表示装置に代表される表示装置920
5で構成されている。本発明は半導体装置は表示装置9
205及びそれに付随する半導体集積回路に適用するこ
とができる。
【0151】図28(D)はテレビ受像器であり、本体
9401、スピーカ9402、液晶表示装置またはEL
表示装置に代表される表示装置9403、受信装置94
04、増幅装置9405等で構成される。本発明は表示
装置9403及びそれに付随する半導体集積回路に適用
することができる。
【0152】図28(E)は携帯書籍であり、本体95
01、液晶表示装置またはEL表示装置に代表される表
示装置9502、9503、記憶媒体9504、操作ス
イッチ9505、アンテナ9506から構成されてお
り、ミニディスク(MD)やDVDに記憶されたデータ
や、アンテナで受信したデータを表示するものである。
本発明は表示装置9502、9503や、記憶媒体95
04及びそれに付随する半導体集積回路に適用すること
ができる。
【0153】図29(A)はパーソナルコンピュータで
あり、本体9601、画像入力部9602、液晶表示装
置またはEL表示装置に代表される表示装置9603、
キーボード9604で構成される。本発明は表示装置9
601や、内蔵する各種集積回路に適用することができ
る。
【0154】図29(B)はプログラムを記録した記録
媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであ
り、本体9701、液晶表示装置またはEL表示装置に
代表される表示装置9702、スピーカ部9703、記
録媒体9704、操作スイッチ9705で構成される。
なお、この装置は記録媒体としてDVD(Digtia
l Versatile Disc)、CD等を用い、音
楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うこと
ができる。本発明は表示装置9702や、内蔵する各種
集積回路に適用することができる。
【0155】図29(C)はデジタルカメラであり、本
体9801、液晶表示装置またはEL表示装置に代表さ
れる表示装置9802、接眼部9803、操作スイッチ
9804、受像部(図示しない)で構成される。本発明
は表示装置9802や、内蔵する各種集積回路に適用す
ることができる。
【0156】図30(A)はフロント型プロジェクター
であり、投射装置3601、スクリーン3602で構成
される。本発明は投射装置3601やその他の信号制御
回路に適用することができる。
【0157】図30(B)はリア型プロジェクターであ
り、本体3701、投射装置3702、ミラー370
3、スクリーン3704で構成される。本発明は投射装
置3702やその他の信号制御回路に適用することがで
きる。
【0158】尚、図30(C)は、図30(A)及び図
30(B)中における投射装置3601、3702の構
造の一例を示した図である。投射装置3601、370
2は、光源光学系3801、ミラー3802、3804
〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム
3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、
投射光学系3810で構成される。投射光学系3810
は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は
三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式
であってもよい。また、図30(C)中において矢印で
示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を
有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、
IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0159】また、図30(D)は、図30(C)中に
おける光源光学系3801の構造の一例を示した図であ
る。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクタ
ー3811、光源3812、レンズアレイ3813、3
814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で
構成される。なお、図30(D)に示した光源光学系は
一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に
実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィル
ムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光
学系を設けてもよい。
【0160】ここでは図示しなかったが、本発明はその
他にもナビゲーションシステムをはじめ冷蔵庫、洗濯
機、電子レンジ、固定電話機、ファクシミリなどに組み
込む表示装置としても適用することも可能である。この
ように本発明の適用範囲はきわめて広く、さまざまな製
品に適用することができる。
【0161】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の結晶質半導体膜
を用いて半導体装置の活性領域を形成することができ
る。特に、薄膜トランジスタのチャネル形成領域を形成
するのに適している。このような結晶質半導体膜を用い
たTFTは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置や
EL表示装置を作製するためのTFTとて、また従来の
半導体基板にて作製されるLSIに代わる薄膜集積回路
を実現するTFTとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の結晶質半導体膜の作製方法を説明す
る図。
【図2】 本発明の結晶質半導体膜の作製方法を説明す
る図。
【図3】 本発明の結晶質半導体膜の作製方法を説明す
る図。
【図4】 本発明の結晶質半導体膜を用いた逆スタガ型
のTFTの構造を説明する断面図。
【図5】 本発明の結晶質半導体膜を用いてTFTを作
製する工程を説明する図。
【図6】 本発明の結晶質半導体膜を用いてCMOS構
造のTFTを作製する工程を説明する図。
【図7】 本発明の結晶質半導体膜を用いた表示装置の
構造を説明する断面図。
【図8】 画素部における画素構造の上面図。
【図9】 本発明に用いるプラズマCVD装置の構成を
示す図。
【図10】 本発明に用いるプラズマCVD装置の反応
室の構成を示す図。
【図11】 SIMSにより測定されたSiH4、Ge
4、H2ガスより作製された試料のC、N、O濃度を示
すグラフ。
【図12】 SIMSにより測定された結晶質半導体膜
中のGe濃度分布を示すグラフ。
【図13】 結晶核の隣接間距離を示す累積度数グラ
フ。
【図14】 GeH4の流量と結晶核発生密度との関係
を示すグラフ。
【図15】 パルスレーザー光を照射した結晶質半導体
膜中におけるゲルマニウムの分布をSIMSにより求め
たグラフ。
【図16】 結晶質半導体膜中のゲルマニウム濃度の分
布を一方向凝固(Normalfreezing)の式でフィッティン
グすることによって固液界面偏析係数を求めた図。
【図17】 EBSP法により求められる本発明の結晶
質半導体膜の逆極点図。
【図18】 Ni水溶液濃度と{101}配向率の関係
を示すグラフ。
【図19】 X線回折測定と試料あおり角を説明する
図。
【図20】 試料あおり角と、回折に寄与する格子面を
説明する図。
【図21】 石英基板上にプラズマCVD法で作製した
54nmの非晶質シリコン膜を600℃にて20時間の
加熱処理により結晶化して得られた結晶質シリコン膜の
逆極点図。
【図22】 非晶質シリコン膜にニッケルを添加して5
50℃にて4時間の熱処理により得られた結晶質半導体
膜の逆極点図。
【図23】 EBSP法で得られる逆極点図の一例(模
式図)。
【図24】 NiSixを核とした結晶化のモデルを説
明する図。
【図25】 NiSixを核とした結晶化の様子を示す
電子顕微鏡写真。
【図26】 本発明の結晶質半導体膜を用いた液晶表示
装置の構造を説明する断面図。
【図27】 本発明の結晶質半導体膜を用いたEL表示
装置の構造を説明する断面図。
【図28】 半導体装置の一例を示す図。
【図29】 半導体装置の一例を示す図。
【図30】 プロジェクターの一例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅見 勇臣 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 高野 圭恵 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 志知 武司 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 小久保 千穂 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 一條 充弘 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 鳥海 聡志 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 大槻 高志 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 Fターム(参考) 5F052 AA02 AA11 AA24 BA02 BA07 BB02 BB07 CA00 DA02 DA10 DB02 DB03 EA16 FA06 FA19 HA06 JA01 5F110 AA30 BB02 BB04 BB05 CC02 DD01 DD02 DD03 DD05 DD13 DD14 DD15 EE03 EE04 EE06 EE14 EE23 EE27 FF01 FF02 FF04 FF30 GG01 GG02 GG06 GG13 GG17 GG25 GG33 GG45 GG47 HJ01 HJ04 HJ12 HJ13 HJ23 HL03 HL04 HM15 NN02 NN22 NN23 NN24 NN27 NN35 PP02 PP03 PP04 PP10 PP23 PP29 PP34 QQ11 QQ23 QQ28

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を加熱処
    理とレーザー光またはそれと同等な強光を照射して、前
    記非晶質半導体膜を溶融させずに結晶化した半導体膜で
    チャネル形成領域が形成されていることを特徴とする半
    導体装置。
  2. 【請求項2】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を加熱処
    理とレーザー光またはそれと同等な強光を照射して、前
    記非晶質半導体膜を溶融させずに結晶化した半導体膜で
    あって、反射電子線回折パターン法で検出される{10
    1}格子面の前記半導体膜の表面となす角が10度以内
    である割合が20%以上であり、かつ、{001}格子
    面の前記半導体膜の表面となす角が10度以内である割
    合が3%以下であり、かつ、{111}格子面の前記半
    導体膜の表面となす角が10度以内である割合が5%以
    下である前記半導体膜でチャネル形成領域が形成されて
    いることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を加熱処
    理とレーザー光またはそれと同等な強光を照射して、前
    記非晶質半導体膜を溶融させずに結晶化した半導体膜で
    あって、反射電子線回折パターン法で検出される{10
    1}格子面の前記半導体膜の表面となす角が5度以内で
    ある割合が5%以上であり、かつ、{001}格子面の
    前記半導体膜の表面となす角が10度以内である割合が
    3%以下であり、かつ、{111}格子面の前記半導体
    膜の表面となす角が10度以内である割合が5%以下で
    ある前記半導体膜でチャネル形成領域が形成されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3のいずれか一項にお
    いて、前記加熱処理は、前記非晶質半導体膜の結晶化を
    助長する元素を添加して行われることを特徴とする半導
    体装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記元素は、Fe、C
    o、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、C
    u、Auから選ばれた一種または複数種であることを特
    徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項3のいずれか一項にお
    いて、前記非晶質半導体膜の厚さは10nm乃至100
    nmであることを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成す
    る第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して加熱処理を行い結晶構造を有する
    半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程とを有することを特徴とする半導体装
    置の作製方法。
  8. 【請求項8】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成す
    る第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して加熱処理を行い結晶構造を有する
    半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程とを有し、 前記結晶構造を有する半導体膜は、反射電子線回折パタ
    ーン法で検出される{101}格子面の前記半導体膜の
    表面となす角が10度以内である割合が20%以上であ
    り、かつ、{001}格子面の前記半導体膜の表面とな
    す角が10度以内である割合が3%以下であり、かつ、
    {111}格子面の前記半導体膜の表面となす角が10
    度以内である割合が5%以下で形成されることを特徴と
    する半導体装置の作製方法。
  9. 【請求項9】シリコンに対するゲルマニウムの組成比が
    0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭素
    の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度が
    1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成す
    る第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して加熱処理を行い結晶構造を有する
    半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程とを有し、 前記結晶構造を有する半導体膜は、反射電子線回折パタ
    ーン法で検出される{101}格子面の前記半導体膜の
    表面となす角が5度以内である割合が5%以上であり、
    かつ、{001}格子面の前記半導体膜の表面となす角
    が10度以内である割合が3%以下であり、かつ、{1
    11}格子面の前記半導体膜の表面となす角が10度以
    内である割合が5%以下で形成されることを特徴とする
    半導体装置の作製方法。
  10. 【請求項10】シリコンに対するゲルマニウムの組成比
    が0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭
    素の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度
    が1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成
    する第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して第1の加熱処理を行い結晶構造を
    有する半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜の上層に水素を含有する
    窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する第
    4の工程と、 前記第4の工程の後に、第2の加熱処理と第3の加熱処
    理を行う第5の工程とを有することを特徴とする半導体
    装置の作製方法。
  11. 【請求項11】シリコンに対するゲルマニウムの組成比
    が0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭
    素の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度
    が1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成
    する第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して第1の加熱処理を行い結晶構造を
    有する半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜の上層に水素を含有する
    窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する第
    4の工程と、 前記第4の工程の後に、第2の加熱処理と第3の加熱処
    理を行う第5の工程とを有し、 前記結晶構造を有する半導体膜は、反射電子線回折パタ
    ーン法で検出される{101}格子面の前記半導体膜の
    表面となす角が10度以内である割合が20%以上であ
    り、かつ、{001}格子面の前記半導体膜の表面とな
    す角が10度以内である割合が3%以下であり、かつ、
    {111}格子面の前記半導体膜の表面となす角が10
    度以内である割合が5%以下で形成されることを特徴と
    する半導体装置の作製方法。
  12. 【請求項12】シリコンに対するゲルマニウムの組成比
    が0.1原子%以上10原子%以下であり、窒素及び炭
    素の濃度が5×1018/cm3未満であり、酸素の濃度
    が1×1019/cm3未満である非晶質半導体膜を形成
    する第1の工程と、 前記非晶質半導体膜に当該非晶質半導体膜の結晶化を助
    長する元素を添加して第1の加熱処理を行い結晶構造を
    有する半導体膜を形成する第2の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜にレーザー光またはそれ
    と同等な強光を照射して、溶融させることなくアニール
    を行う第3の工程と、 前記結晶構造を有する半導体膜の上層に水素を含有する
    窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する第
    4の工程と、 前記第4の工程の後に、第2の加熱処理と第3の加熱処
    理を行う第5の工程とを有し、 前記結晶構造を有する半導体膜は、反射電子線回折パタ
    ーン法で検出される{101}格子面の前記半導体膜の
    表面となす角が5度以内である割合が5%以上であり、
    かつ、{001}格子面の前記半導体膜の表面となす角
    が10度以内である割合が3%以下であり、かつ、{1
    11}格子面の前記半導体膜の表面となす角が10度以
    内である割合が5%以下で形成されることを特徴とする
    半導体装置の作製方法。
  13. 【請求項13】請求項10乃至請求項12のいずれか一
    項において、前記第3の加熱処理の温度は前記第2の加
    熱処理の温度よりも低いことを特徴とする半導体装置の
    作製方法。
  14. 【請求項14】請求項7乃至請求項12のいずれか一項
    において、前記元素は、Fe、Co、Ni、Ru、R
    h、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた
    一種または複数種であることを特徴とする半導体装置の
    作製方法。
  15. 【請求項15】請求項7乃至請求項12のいずれか一項
    において、前記非晶質半導体膜の厚さは10nm乃至1
    00nmであることを特徴とする半導体装置の作製方
    法。
JP2000202985A 2000-07-04 2000-07-04 半導体装置の作製方法 Expired - Fee Related JP4865122B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000202985A JP4865122B2 (ja) 2000-07-04 2000-07-04 半導体装置の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000202985A JP4865122B2 (ja) 2000-07-04 2000-07-04 半導体装置の作製方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002025905A true JP2002025905A (ja) 2002-01-25
JP2002025905A5 JP2002025905A5 (ja) 2007-10-11
JP4865122B2 JP4865122B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=18700439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000202985A Expired - Fee Related JP4865122B2 (ja) 2000-07-04 2000-07-04 半導体装置の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4865122B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002050575A (ja) * 2000-08-02 2002-02-15 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体膜及び半導体装置並びに半導体膜及び半導体装置の作製方法
US7332385B2 (en) 2002-02-21 2008-02-19 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Method of manufacturing a semiconductor device that includes gettering regions
KR100843345B1 (ko) * 2007-09-06 2008-07-03 고삼석 교량용 신축이음부의 시공방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08213634A (ja) * 1994-10-07 1996-08-20 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置およびその作製方法
JP2000114173A (ja) * 1998-08-07 2000-04-21 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置の作製方法
JP2002094077A (ja) * 2000-03-02 2002-03-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08213634A (ja) * 1994-10-07 1996-08-20 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置およびその作製方法
JP2000114173A (ja) * 1998-08-07 2000-04-21 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置の作製方法
JP2002094077A (ja) * 2000-03-02 2002-03-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002050575A (ja) * 2000-08-02 2002-02-15 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体膜及び半導体装置並びに半導体膜及び半導体装置の作製方法
US7332385B2 (en) 2002-02-21 2008-02-19 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Method of manufacturing a semiconductor device that includes gettering regions
US7821008B2 (en) 2002-02-21 2010-10-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device and manufacturing method thereof
KR100843345B1 (ko) * 2007-09-06 2008-07-03 고삼석 교량용 신축이음부의 시공방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4865122B2 (ja) 2012-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4827325B2 (ja) 半導体装置の作製方法
KR100820248B1 (ko) 박막트랜지스터 및 반도체장치
US6828587B2 (en) Semiconductor device
JP5072157B2 (ja) 半導体装置の作製方法
US7485553B2 (en) Process for manufacturing a semiconductor device
JP5393726B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP2002252174A (ja) 半導体薄膜の形成方法、半導体装置及び電気光学装置の製造方法、これらの方法の実施に使用する装置、並びに半導体装置及び電気光学装置
KR100274494B1 (ko) 박막 반도체 장치,박막 반도체 장치의 제조방법,액정표시장치,액정표시장치의 제조방법,전자기기,전자기기의 제조방법 및 박막퇴적방법
JP4869504B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4993822B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4865122B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP5063461B2 (ja) El表示装置
JP4646460B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4216003B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4674937B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4827324B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4837871B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP2004031543A (ja) 薄膜トランジスタの作製方法
JP2002359196A (ja) 半導体装置の作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070703

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070823

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111108

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees