JP2004031543A - 薄膜トランジスタの作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】洗浄装置、複数の反応室、加熱室、レーザー装置およびエッチング装置を有する半導体製造装置を用いることにより、下地膜形成から、当該触媒元素のゲッタリングおよびゲッタリング層の除去までを連続的に処理するものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁体表面に形成された半導体膜を活性層として作製した薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTとする)の作製方法に関する。該TFTは、液晶表示装置の駆動回路部や画素部に用いられている。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体膜を用いた半導体素子としてTFTが各集積回路に用いられている。また、非晶質構造を有する半導体膜よりも、結晶構造を有する半導体膜を活性層に用いたTFTの方が、駆動能力が高く、画像表示装置のスイッチング素子としてだけでなく、駆動回路の素子としても用いられている。
【0003】
結晶構造を有する半導体膜の作製方法としては、特開平7−183540号公報で開示されるようなニッケルなどの半導体膜の結晶化を助長する触媒元素を添加する方法が挙げられる。この方法で作成される半導体膜は結晶性が良く、このような半導体膜でTFTを形成すると、電界効果移動度の向上と、電気的特性の向上が可能となる。
【0004】
しかし、半導体膜中に残っている触媒元素により、得られる素子の特性のバラツキが懸念される。そこで、リンを用いたゲッタリングが、結晶構造を有する半導体膜から結晶化を助長する触媒元素を除去する手段として活用されている。リンは、イオンドープ法を用いて結晶構造を有する半導体膜に注入するが、このリンの添加により、結晶構造を有する半導体膜の非晶質化が起こるといった問題がある。また、基板内で、ゲッタリングが十分にされず、ばらつきを生じることが考えられる。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するために、最近では、リンを用いたゲッタリングに替わって、希ガスを含む半導体膜を用いて結晶化を助長する触媒元素を除去する方法が本出願人により提案されている。ここで断っておくが、この方法は、まだ公知の技術ではない(出願番号:特願2001−363127)。
【0006】
また、上記のような結晶質半導体膜を得るために、複数の成膜装置、加熱処理装置、レーザー装置、およびエッチング装置を用いて、それぞれの装置において、それぞれの工程を処理する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、電気的特性が良く、バラツキも少ないTFTの作成をするためには、複数の装置を用いるため、装置間移動の際、基板表面が大気にさらされ、汚染される心配があるので、洗浄工程を挟むなどの対処をしているが、界面の清浄度を保つことは困難である。
【0008】
また、必要な装置の分だけ、製造現場の床面積が増大する事も問題となっている。これは、TFT製造のスループットの問題にも関わってくると考えられる。
【0009】
本発明は、これらの問題を解決するための手段であり、基板を大気にさらすことなく連続的に結晶質半導体膜を得るための技術を提供することを目的としている。
【0010】
さらに、本発明は、基板を大気にさらさすことなく、かつ、製造現場の床面積を縮小できるような、結晶質半導体膜を得るための装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明は、下地絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第1の工程と、前記第1の半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、前記第1の工程から第7の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする半導体装置の作製方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、下地絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第1の工程と、前記第1の半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、前記第1の工程から第6の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする半導体装置の作製方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、下地絶縁膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第1の工程と、前記第1の工程に続いて非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、前記第1の工程から第7の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする半導体装置の作製方法を提供するものである。
【0014】
また本発明は、下地絶縁膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第1の工程と、前記第1の工程に続いて非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、前記第1の工程から第6の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする半導体装置の作製方法を提供するものである。
【0015】
上記の作製方法において、前記希ガス元素は、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種であることを特徴としている。
【0016】
また、上記の作製方法において、前記触媒元素は、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種であることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1を用いて以下に説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、洗浄室103、反応室107〜111、加熱室111、レーザー装置116およびエッチング装置114が搬送室102および106を介してつながっている半導体製造装置である。ローダー/アンローダー室104、105および搬送室106には、各室を真空に引く為の排気系104p、105pおよび106pが設けられており、反応室107〜111、加熱室112、レーザー処理室113およびエッチング装置114には使用するガスを導入するライン107g〜114gと排気系107p〜114pが設けられている。
【0019】
ローダー/アンローダー室101に基板をセットする。搬送室102を介して、洗浄室103にて洗浄処理を行う。洗浄した基板は、搬送室102を介してローダー/アンローダー室104に搬送する。
【0020】
ローダー/アンローダー室104に搬送された基板は、まず、搬送室106を介して反応室107に搬送し、下地膜を成膜する。次いで、反応室108にて、下地膜上に、非晶質構造を有する半導体膜を形成する。反応室107および108にて形成される膜は、プラズマCVD法、熱CVD法、減圧CVD法、蒸着法、スパッタリング法等、あらゆる形成手段を用いることが可能である。
【0021】
次いで、結晶化を助長する触媒元素を成分に含む電極を有する反応室109の室内にて、希ガスなどの不活性ガスでプラズマを発生させ、非晶質構造を有する半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する。結晶化を助長する触媒元素は、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種である。
【0022】
続いて、反応室110にて、バリア層となる酸窒化シリコン膜を形成する。プラズマCVD法を用い、シラン系ガス(例えばSiH4)と窒素酸化物系ガス(例えばN2O)を材料ガスとして、厚さ1〜5nmに形成する。または、窒素酸化物系ガス(例えばN2O)でプラズマ処理を行って、バリア層を形成することも可能である。
【0023】
続いて、反応室111にて、ゲッタリング層となる希ガスを含む非晶質半導体膜を形成する。プラズマCVD法を用い、SiH4と希ガスを原料とし、厚さ50nmに形成する。希ガスは、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種である。
【0024】
続いて、加熱室112にて、加熱処理をし、半導体膜の結晶化と同時に結晶化を助長する触媒元素をゲッタリングする。加熱処理は、ファーネスアニール法やラピットサーマルアニール(RTA)法で行うことができる。本実施の形態では、RTA装置を用い、650℃で約3minの加熱処理を行うのが好ましい。
【0025】
さらに、結晶化率を高め、結晶粒内に残っている欠陥を補修するために、レーザー装置116にて、レーザーアニールを行うことが望ましい。レーザー装置116は、処理室113、窒素或いはアルゴン等のガスの導入手段113g、排気手段113p及びレーザー発振器115等からなる。
【0026】
続いて、エッチング装置114にて、ゲッタリング層(希ガスを含む半導体膜)を除去する。反応室110にて形成したバリア層がエッチングストッパーとなり、選択的にゲッタリング層のみをエッチング除去することが可能ある。また、ここでのエッチング方法は、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でも可能である。
【0027】
上記で得られる結晶性半導体膜を用いて、公知の手段に従いTFTを形成する。
【0028】
[実施の形態2]
ここでは、非晶質半導体膜形成前に結晶化を助長する触媒元素を添加する方法を説明する。
【0029】
下地膜形成までは、実施の形態1と同様である。下地膜形成後、結晶化を助長する触媒元素を成分に含む電極を有する反応室109の室内にて、希ガスなどの不活性ガスでプラズマを発生させ、非晶質構造を有する半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する。結晶化を助長する触媒元素は、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種である。
【0030】
次いで、反応室108にて、下地膜上に、非晶質構造を有する半導体膜を形成する。反応室107および108にて形成される膜は、プラズマCVD法、熱CVD法、減圧CVD法、蒸着法、スパッタリング法等、あらゆる形成手段を用いることが可能である。
【0031】
続く、反応室110にてバリア層を形成する工程以降は、実施の形態1と同様に行えばよい。
【0032】
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例を図2〜図7により説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。
【0033】
基板200は、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。また、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いてもよい。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0034】
次いで、図2(A)に示すように、基板200上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜201を形成する。本実施例では下地膜201として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いてもよい。下地膜201の一層目としては、SiH4、NH3またはN2Oを用い、酸化窒化シリコン膜201aを50〜100nm形成する。次いで、下地膜201のニ層目としては、SiH4およびN2Oを用い、酸化窒化シリコン膜201bを100〜150nmの厚さに積層形成する。
【0035】
次いで、下地膜201上に非晶質半導体膜202を形成する。非晶質半導体膜は、30〜60nmの厚さで形成する。非晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SixGe1−x;x=0.01〜10原子%)合金などで形成するとよい。本実施例では、PCVD法により、SiH4ガスを用いて、非晶質シリコン膜を形成する。
【0036】
また、下地膜と非晶質半導体膜とは同じ成膜方法で形成可能であるため、下地201と非晶質半導体膜202を連続形成することも可能である。
【0037】
次いで、非晶質半導体膜202に結晶化を助長する触媒元素、本実施例ではNi、を添加する。Niを成分に含む電極を用いた平行平板型、或いは陽光中型プラズマCVD装置を用いて、窒素、水素、或いはアルゴン等の雰囲気でプラズマを発生させたり、スパッタ法や蒸着法を用いて、Niの極薄膜を形成しても良い。
【0038】
次いで、バリア層となる酸窒化シリコン膜203を形成する。プラズマCVD法を用い、SiH4およびN2Oを材料ガスとして、厚さ1〜5nmに形成する。または、N2Oガスでプラズマ処理を行って、バリア層を形成することも可能である。
【0039】
次いで、ゲッタリング層となる希ガスを含む非晶質半導体膜204を形成する(図2(B))。本実施例ではAr元素を含む非晶質シリコン膜を50nm形成する。成膜条件は、SiH4とArの流量比(SiH4:Ar)を1:99とし、成膜圧力を6.665Pa、RFパワー密度を0.087W/cm2、成膜温度を350℃とする。
【0040】
次いで、RTA装置を用い、650℃で約3minの加熱処理を行い、非晶質シリコン膜の結晶化と同時に結晶化を助長する触媒元素をゲッタリング層(希ガスを含む半導体膜)にゲッタリングする。加熱処理としては、他に、ファーネスアニール法を用いることも可能である。
【0041】
さらに、結晶化率を高め、結晶粒内に残っている欠陥を補修するために、レーザーアニールを行うことが望ましい。
【0042】
次いで、ゲッタリング層(希ガスを含む半導体膜)を除去する。バリア層がエッチングストッパーとなり、選択的にゲッタリング層のみをエッチング除去した後、バリア層を選択的にエッチングする(図2(C))。ここでのエッチング方法は、ドライエッチング法あるいはウェットエッチング法を用いることができる。
【0043】
本発明により、ここまでの工程を、連続処理することが可能となり、スループットの向上が期待できる。また、下地膜形成からゲッタリング層のエッチング除去(あるいはレーザーアニール)までを真空中で行うことが可能となり、基板表面の汚染を防ぐことが可能となる。
【0044】
次いで、得られた結晶質シリコン膜205にフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理を行い、半導体層206〜210を形成する(図3(A))。
【0045】
そして、nチャネル型TFTのしきい値(Vth)を制御するためにp型を付与する不純物元素を添加する。半導体に対してp型を付与する不純物元素には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律第13族元素が知られている。本実施例では、ボロン(B)を添加する。
【0046】
次いで、島状半導体層206〜210を覆うゲート絶縁膜211を40〜150nmの厚さに形成する。勿論、このゲート絶縁膜は、シリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いることができる。
【0047】
次いで、ゲート絶縁膜211上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜(TaN)212と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜(W)213とを積層形成する。ゲート導電膜は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
【0048】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク214〜219を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。本実施例ではICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0049】
この後、レジストからなるマスク214〜219を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させるとよい。
【0050】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層221〜226(第1の導電層221a〜226aと第2の導電層221b〜226b)を形成する。220はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層221〜226で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0051】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する(図3(C))。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えばよい。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、導電層221〜225がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域227〜231が形成される。第1の不純物領域227〜231には1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0052】
次に、レジストからなるマスクを除去せずに図4(A)に示すように第2のエッチング処理を行う。エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)には20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧を印加する。この第3のエッチング条件によりW膜をエッチングする。こうして、上記第3のエッチング条件によりW膜を異方性エッチングして第2の形状の導電層233〜238を形成する。
【0053】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに図4(A)に示すように第2のドーピング処理を行う。この場合、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げて高い加速電圧の条件としてn型を付与する不純物元素をドーピングする。例えば、加速電圧を70〜120keV、本実施例では90keVの加速電圧とし、3.5×1012atoms/cm2のドーズ量で行い、図3(C)で形成された第1の不純物領域より内側の半導体層に新たな不純物領域を形成する。ドーピングは、第2の形状の導電層233〜237を不純物元素に対するマスクとして用い、第2の導電層233a〜237aの下部における半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングする。
【0054】
こうして、第2の導電層233a〜237aと重なる第2の不純物領域239〜243と、第1の不純物領域250〜254とを形成する。n型を付与する不純物元素は、第2の不純物領域で1×1017〜1×1019atoms/cm3の濃度となるようにする。
【0055】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに図4(B)に示すようにゲート絶縁膜のエッチングを行う。ゲート絶縁膜エッチング中に第2の導電層233a〜238aも同時にエッチングされ、第3の形状の導電層244〜249が形成される。これにより、第2の不純物領域を、第2の導電層244a〜248aと重なる領域と重ならない領域に区別することができる。
【0056】
そして、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク255〜257を形成して図4(C)に示すように、第3のドーピング処理を行う。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域258〜263を形成する。第3の形状の導電層245、248を不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に第4の不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域258〜263はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。この第3のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク255〜257で覆われている。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域258〜263にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を2×1020〜2×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0057】
以上までの工程でそれぞれの半導体層に不純物領域が形成される。半導体層と重なる第3の形状の導電層244〜248がゲート電極として機能する。また、249はソース配線、248は保持容量を形成するための第2の電極として機能する。
【0058】
次いで、レジストからなるマスク255〜257を除去し、全面を覆う第1の層間絶縁膜264を形成する(図5(A))。この第1の層間絶縁膜264としては、PCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。
【0059】
次いで、図5(A)に示すように、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行えばよい。なお、熱アニール法の他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
【0060】
また、第1の層間絶縁膜264を形成する前に活性化処理を行ってもよい。ただし、244〜248に用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(シリコンを主成分とする絶縁膜、例えば窒化シリコン膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
【0061】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行ってもよい。
【0062】
また、活性化処理としてレーザーアニール法を用いる場合には、上記水素化を行った後、エキシマレーザーやYAGレーザー等のレーザー光を照射することが望ましい。
【0063】
次いで、第1の層間絶縁膜264上に有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜265を形成する。次いで、ソース配線249に達するコンタクトホールと各不純物領域250、252、253、258、261に達するコンタクトホールを形成するためのパターニングを行う。
【0064】
そして、駆動回路306において、第1の不純物領域または第4の不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線266〜271を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。
【0065】
また、画素部307においては、画素電極274、ゲート導電膜273、接続電極272を形成する(図5(B))。この接続電極272によりソース配線248は、画素TFT304と電気的な接続が形成される。また、ゲート導電膜273は、第1の電極(第3の形状の導電層247)と電気的な接続が形成される。また、画素電極274は、画素TFTのドレイン領域と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層と電気的な接続が形成される。また、画素電極274としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等、反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
【0066】
以上の様にして、nチャネル型TFT301、pチャネル型TFT302、nチャネル型TFT303を有する駆動回路306と、画素TFT304、保持容量305とを有する画素部307を銅一基板上に形成することができる。本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0067】
駆動回路306のnチャネル型TFT301はチャネル形成領域275、ゲート電極を形成する第3の形状の導電層244と重なる第3の不純物領域239b、ゲート電極の外側に形成される第2の不純物領域239aとソース領域またはドレイン領域として機能する第1の不純物領域250を有している。pチャネル型TFT302にはチャネル形成領域276、ゲート電極を形成する第3の形状の導電層245と重なる第4の不純物領域260、ゲート電極の外側に形成される第4の不純物領域259、ソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域258を有している。nチャネル型TFT303にはチャネル形成領域277、ゲート電極を形成する第3の形状の導電層246と重なる第3の不純物領域241b、ゲート電極の外側に形成される第2の不純物領域242aとソース領域またはドレイン領域として機能する第1の不純物領域252を有している。
【0068】
画素部の画素TFT304にはチャネル形成領域278、ゲート電極を形成する第3の形状の導電層247と重なる第3の不純物領域242b、ゲート電極の外側に形成される第2の不純物領域242aとソース領域またはドレイン領域として機能する第1の不純物領域253を有している。また、保持容量305の一方の電極として機能する半導体層261〜263には第4の不純物領域と同じ濃度で、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量305は、絶縁膜(ゲート絶縁膜と同一膜)を誘電体として、第2の電極248と、半導体層261〜263とで形成している。
【0069】
本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図6に示す。なお、図2〜図6に対応する部分には同じ符号を用いている。図6中の鎖線A−A’は図5中の鎖線A―A’で切断した断面図に対応している。また、図6中の鎖線B−B’は図5中の鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。
【0070】
このように、本実施例の画素構造を有するアクティブマトリクス基板は、一部がゲート電極の機能を果たす第1の電極247とゲート導電膜273とを異なる層に形成し、ゲート導電膜273で半導体層を遮光することを特徴としている。
【0071】
また、本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0072】
また、本実施例の画素電極の表面を公知の方法、例えばサンドブラスト法やエッチング法等により凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが望ましい。
【0073】
図7には透過型の液晶表示装置に適したアクティブマトリクス基板の断面図を示す。第2の層間膜形成までは、上記の反射型のものと同じである。第2の層間膜上に透明導電膜を形成する。そして、透明導電膜層282を形成するためにパターニングを行う。透明導電膜としては酸化インジウムと酸化スズとの化合物や酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。
【0074】
そして、駆動回路306において第1の不純物領域または第4の不純物領域とそれぞれで電気的に接続する配線266〜277を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。また、画素部307においては、画素電極283、284、ゲート導電膜273、接続電極272を形成する。このように、マスク枚数を1枚増やして透過型の液晶表示装置に適したアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0075】
[実施例2]
本実施例1において、非晶質半導体膜形成前に結晶化を助長する触媒元素を添加する方法の例をここでは示す。
【0076】
本実施例1と同様に下地膜201を形成した後、結晶化を助長する触媒元素、本実施例ではNi、を添加する。次いで、非晶質半導体膜202を形成する。Ni添加、非晶質半導体膜の形成および以降の工程は、本実施例1と同様に行えばよい。
【0077】
[実施例3]
本実施例では、本実施例1および2で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図8を用いる。
【0078】
まず、実施例1に従い、図5(B)の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図5(B)のアクティブマトリクス基板上に配向膜801を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜801を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ806を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0079】
次いで、対向基板803上に着色層804、805、平坦化膜807を形成する。赤色の着色層804と青色の着色層805とを一部重ねて、第2遮光部を形成する。なお、図8では図示しないが、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、第1遮光部を形成する。
【0080】
次いで、対向電極810を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜808を形成し、ラビング処理を施した。
【0081】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール剤802で貼り合わせる。シール剤802にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサ806によって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料には公知の液晶材料を用いればよい。このようにして図8に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。
【0082】
本実施例では、実施例1に示す基板を用いている。従って、実施例1の画素部の上面図を示す図6では、少なくともゲート配線273と画素電極274、281の間隙と、ゲート配線273と接続電極272の間隙と、接続電極272と画素電極274の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に第1遮光部と第2遮光部が重なるように対向基板を貼り合わせた。
【0083】
[実施例4]
本実施例では同一基板上に画素部と、画素部の周辺に駆動回路を形成するTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について図9〜図11を用いて説明する。
【0084】
まず、図9(A)に示すように、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板901上に、好適には、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)から選ばれた一種または複数種を成分とする導電膜からゲート電極902〜904、ソース配線906、907、画素部の保持容量を形成するための容量配線905を形成する。例えば、低抵抗化と耐熱性の観点からはMoとWの合金は適している。また、アルミニウムを用い、表面を酸化処理してゲート電極を形成してもよい。
【0085】
第1のフォトマスクにより作製されるゲート電極は、その厚さを200〜400nm、好ましくは250nmの厚さで形成し、その上層に形成する被膜の被覆性(ステップカバレージ)を向上させるために、端部をテーパー形状となるように形成する。テーパー部の角度は5〜30度、好ましくは15〜25度で形成する。テーパー部はドライエッチング法で形成され、エッチングガスと基板側に印加するバイアス電圧により、その角度を制御する。
【0086】
次いで、図9(B)で示すように、ゲート電極902〜904、ソース配線906、907、画素部の保持容量を形成するための容量配線905を覆う第1の絶縁層908を形成する。第1の絶縁層908はPCVD法またはスパッタ法を用い、その厚さを40〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。例えば、50nmの厚さの窒化シリコン膜908aと、120nmの厚さの酸化シリコン膜908bから第1の絶縁層908を形成する。
【0087】
第1の絶縁層908は、その上層に半導体層を形成して、ゲート絶縁膜として用いるものであるが、基板901からアルカリ金属などの不純物が半導体層に拡散するのを防ぐブロッキング層としての機能も有している。
【0088】
第1の絶縁層908上に結晶質半導体膜909を30〜100nm、好ましくは40〜60nmの厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、代表的にはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SixGe1−x;x=0.01〜10原子%)合金などで形成するとよい。結晶質半導体膜を得る方法は、実施例1と同様に行えばよい。
【0089】
本発明により、第1の絶縁膜形成から結晶質半導体膜を得るまでの工程を、連続処理することが可能となり、スループットの向上が期待できる。また、第1の絶縁膜形成からゲッタリング層のエッチング除去(あるいはレーザーアニール)までを真空中で行うことが可能となり、基板表面の汚染を防ぐことが可能となる。
【0090】
多結晶半導体から成る半導体層909は、第2のフォトマスクを用いて所定のパターンに形成する。図9(C)は島状に分割された半導体層910〜913を示す。半導体層910〜912は、ゲート電極902、904と一部が重なるように形成する。
【0091】
その後、分割された半導体層910〜913上に酸化シリコンまたは窒化シリコンから成る絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。図9(D)は、ゲート電極をマスクとする裏面からの露光プロセスにより、自己整合的にチャネル保護膜とする第3の絶縁層914〜918を半導体層910〜912上に形成する。
【0092】
そして、nチャネル型TFTの第1の不純物領域を形成するための第1のドーピング工程を行う。ドーピングの方法はイオンドープ法もしくはイオン注入法で行えばよい。n型の不純物(ドナー)としてリン(P)を添加し、第3の絶縁層915〜918をマスクとして形成される第1の不純物領域919〜922を形成する。この領域のドナー濃度は1×1016〜2×1017/cm3の濃度とする。
【0093】
第2のドーピング工程はnチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域を形成する工程であり、図10(A)で示すように第3のフォトマスクを用いて、レジストによるマスク923〜925を形成する。第2の不純物領域926〜928には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でドナー不純物を添加する。
【0094】
この第2のドーピング工程に前後して、マスク923〜925が形成された状態でフッ酸によるエッチング処理を行い、第3の絶縁層914、918を除去しておくと好ましい。
【0095】
pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域は、図10(B)に示すように第3のドーピング処理により行い、イオンドープ法やイオン注入法でp型の不純物(アクセプタ)を添加して第3の不純物領域930、931を形成する。この領域のp型の不純物濃度は2×1020〜2×1021/cm3となるようにする。この工程において、半導体層913にもp型の不純物を添加しておく。
【0096】
次に、図10(C)に示すように、半導体層上に第2の絶縁層を形成する。好適には、第2の絶縁層を複数の絶縁膜で形成する。半導体層上に形成する第2の絶縁層の第1層目932は水素を含有する窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜から成る無機絶縁物で、PCVD法により、SiH4、NH3、H2およびN2Oを用い、50〜200nmの厚さに形成する。その後、それぞれの半導体層に添加された不純物を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。その他に、レーザーアニール法、またはRTA法を適用することができる。熱アニール法は窒素雰囲気中で400〜600℃、代表的には450〜500℃で行1〜4時間の熱処理を行う。
【0097】
この熱処理により、不純物元素の活性化と同時に第2の絶縁層の第1層目932の窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜の水素が放出され、半導体層の水素化を行うことができる。この工程は水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化をより効率よく行う手段として、第2の絶縁層の第1層932を形成する前にプラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行ってもよい。
【0098】
図11(A)で示す第2の絶縁層の第2層目933は、ポリイミド、アクリルなどの有機絶縁物材料で形成し表面を平坦化する。勿論、PCVD法でTEOSを用いて形成される酸化シリコン膜を適用してもよいが、平坦性を高める観点からは前記有機物材料を用いることが望ましい。
【0099】
次いで、第5のフォトマスクを用いてコンタクトホールを形成する。そして、第6のフォトマスクを用いてアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)などを用いて、駆動回路1005において接続電極934及びソースまたはドレイン配線935〜937を形成する。また、画素部1006において、画素電極940、ゲート配線939、接続電極938を形成する。
【0100】
こうして、同一の基板上にpチャネル型TFT1001とnチャネル型TFT1002を有する駆動回路1005と、画素TFT1003と保持容量1004を有する画素部1006が形成される。駆動回路1005のpチャネル型TFT1001には、チャネル形成領域1007、第3の不純物領域から成るソースまたはドレイン領域1008が形成されている。nチャネル型TFT1002には、チャネル形成領域1009、第1の不純物領域1010、第2の不純物領域から成るソースまたはドレイン領域1011が形成されている。画素部1006の画素TFT1003は、マルチゲート構造であり、チャネル形成領域1012、第1の不純物領域1013、ソースまたはドレイン領域1014、1016が形成される。第1の不純物領域1013の間に位置する第2の不純物領域は、オフ電流を低減するために有用である。保持容量1004は、容量配線905と半導体層913とその間に形成される第1の絶縁層とから形成されている。
【0101】
画素部1006においては、接続電極938によりソース配線907は、画素TFT1003のソースまたはドレイン領域1014と電気的な接続が形成される。また、ゲート配線939は、第1の電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極940は、画素TFT1003のソースまたはドレイン領域1016及び保持容量1004の半導体層913と接続している。
【0102】
図11(B)はゲート電極904とゲート配線939のコンタクト部を説明する図である。ゲート電極904は隣接する画素の保持容量の一方の電極を兼ね、画素電極945と接続する半導体層944と重なる部分で容量を形成している。また、図11(C)はソース配線907と画素電極940及び隣接する画素電極946との配置関係を示し、画素電極の端部をソース配線907上に設け、重なり部を形成することにより、迷光を遮り遮光性を高めている。なお、本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0103】
図11に示した画素構造は、反射型の液晶表示装置に適したのものであるが、本実施例1と同様に、透明導電膜を用いることで、透過型の液晶表示装置に適した画素構造を持つものも作製できる。
【0104】
[実施例5]
本発明を実施して形成されたTFTは様々な電気光学装置(代表的にはアクティブマトリクス型液晶ディスプレイ等)に用いることができる。即ち、それら電気光学装置や半導体回路を部品として組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
【0105】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末機器(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図12、図13及び図14に示す。
【0106】
図12(A)はパーソナルコンピュータであり、本体1201、画像入力部1202、表示部1203、キーボード1204等を含む。本発明を画像入力部1202、表示部1203やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0107】
図12(B)はビデオカメラであり、本体1205、表示部1206、音声入力部1207、操作スイッチ1208、バッテリー1209、受像部1210等を含む。本発明を表示部1206やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0108】
図12(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体1211、カメラ部1212、受像部1213、操作スイッチ1214、表示部1215等を含む。本発明は表示部1215やその他の信号制御回路に適用できる。
【0109】
図12(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体1216、表示部1217、アーム部1218等を含む。本発明は表示部1217やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0110】
図12(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体1219、表示部1220、スピーカー部1221、記録媒体1222、操作スイッチ1223等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明は表示部1220やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0111】
図12(F)はデジタルカメラであり、本体1224、表示部1225、接眼部1226、操作スイッチ1227、受像部(図示しない)等を含む。本発明を表示部1225やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0112】
図13(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置1301、スクリーン1302等を含む。本発明は投射装置1301の一部を構成する液晶表示装置1314やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0113】
図13(B)はリア型プロジェクターであり、本体1303、投射装置1304、ミラー1305、スクリーン1306等を含む。本発明は投射装置1304の一部を構成する液晶表示装置1314やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0114】
なお、図13(C)は、図13(A)及び図13(B)中における投射装置1301、1304の構造の一例を示した図である。投射装置1301、1304は、光源光学系1307、ミラー1308、1310〜1312、ダイクロイックミラー1309、プリズム1313、液晶表示装置1314、位相差板1315、投射光学系1316で構成される。投射光学系1316は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図13(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0115】
また、図13(D)は、図13(C)中における光源光学系1307の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系1307は、リフレクター1318、光源1319、レンズアレイ1320、1321、偏光変換素子1322、集光レンズ1323で構成される。なお、図13(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0116】
ただし、図13に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置の適用例は図示していない。
【0117】
図14(A)は携帯電話であり、表示用パネル1401、操作用パネル1402、接続部1403、センサー内蔵ディスプレイ1404、音声出力部1405、操作キー1406、電源スイッチ1407、音声入力部1408、アンテナ1409等を含む。本発明をセンサー内蔵ディスプレイ1404、音声出力部1405、音声入力部1408やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0118】
図14(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体1411、表示部1412、記憶媒体1413、操作スイッチ1414、アンテナ1415等を含む。本発明は表示部1412、記憶媒体1413やその他の信号回路に適用することができる。
【0119】
図14(C)はディスプレイであり、本体1416、支持台1417、表示部1418等を含む。本発明は表示部1418に適用することができる。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0120】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0121】
【発明の効果】
本発明により、下地膜形成から結晶質半導体膜を得るまでの工程を、反応室を複数有する、1台の装置で処理可能なため、スループットの向上や、フットプリントの縮小が期待できる。
【0122】
また、真空状態を保持したまま、連続処理を行うことが可能なため、基板の清浄度を維持することが可能となり、TFTの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の処理装置を有する半導体作製装置図。
【図2】本実施例1のTFTの断面図。
【図3】本実施例1のTFTの断面図。
【図4】本実施例1のTFTの断面図。
【図5】本実施例1のTFTの断面図。
【図6】本実施例1のTFTの断面図。
【図7】本実施例1のTFTの断面図。
【図8】本実施例3のTFTの断面図。
【図9】本実施例4のTFTの断面図。
【図10】本実施例4のTFTの断面図。
【図11】本実施例4のTFTの断面図。
【図12】本実施例5の電子機器の一例を示す図。
【図13】本実施例5の電子機器の一例を示す図。
【図14】本実施例5の電子機器の一例を示す図。
Claims (6)
- 下地絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第1の工程と、
前記第1の半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、
前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、
加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、
前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、
前記第1の工程から第7の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。 - 下地絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第1の工程と、
前記第1の半導体膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第2の工程と、前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、
前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、
加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、
前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、
前記第1の工程から第6の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。 - 下地絶縁膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第1の工程と、
前記第1の工程に続いて非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第2の工程と、
前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、
前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、
加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、
前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、
前記第1の工程から第7の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。 - 下地絶縁膜表面に結晶化を助長する触媒元素を添加する第1の工程と、
前記第1の工程に続いて非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第2の工程と、
前記第1の半導体膜上にバリア層を形成する第4の工程と、
前記バリア層上に非晶質構造を有し、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5の工程と、
加熱処理を行い、前記第1の半導体膜を結晶化させると同時に前記第2の半導体膜に前記触媒元素をゲッタリングする第6の工程と、
前記第2の半導体膜を除去する第7の工程とを有する半導体装置の作製方法であって、
前記第1の工程から第6の工程は大気雰囲気に曝されることなく連続的に処理されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、前記希ガス元素は、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、前記触媒元素は、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
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