JP2002025751A - SiCヒータ - Google Patents
SiCヒータInfo
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Abstract
確な位置で接合でき、ヒータ断線の虞がなく、十分な表
面精度を有し、ボンディング部分の接続不良がなく、コ
ストパフォーマンスにも優れたSiCヒータを提供する
ことを課題とする。 【解決手段】 発熱体と、該発熱体に通電して発熱体
を昇温させるための電極と、発熱体を降温させるための
冷却孔と、発熱体からの熱を断熱するためのヒータベー
スとを備え、前記発熱体が炭化珪素から構成されており
かつ前記発熱体がその外縁部から内部に向かって伸びた
表裏に貫通したスリットを有するように構成する。
Description
が可能なSiCヒータに関するものであり、特に半導体
の組立工程において使用される半導体チップボンディン
グ用ヒータとして好適に使用される。
し、小型化、薄型化、軽量化、高性能化への要求が高ま
り続けている中、半導体の組立工程において、半導体チ
ップ実装ボードを製造するために種々のヒータが用いら
れている。特に、ICチップ内の配線部と基板との間に
ハンダバンプや金バンプ等の導電性ボンディング材を置
き、この導電性ボンディング材をヒータにより加熱溶融
してICチップと基板とを接合するフリップチップボン
ディング法においては、バンプが存在するボンディング
部分全体を加熱することにより、例えば常温( 25℃)
から 450℃まで 2秒間で昇温する等のように、急速に昇
温して導電性ボンディング材を熱溶融させ、そして直ち
に、ボンディング部分を冷却することにより、例えば 4
50℃から 100℃まで 10 秒で降温する等のように、急速
に降温して導電性ボンディング材を固化させることが可
能となるヒ−タを必要としている。この要求に答えるた
め、従来よりモリブデンやチタン、ニッケルクロム合
金、窒化アルミニウムに白金パラジウム膜を焼き付けた
もの等の金属製のヒータまたは炭化珪素を用いたヒータ
が用いられてきた。
タンを発熱体として用いたヒ−タにあっては、電気比抵
抗が非常に低いために急速昇温時に大電流を必要とし、
そのために誘導磁場が発生し、正確な位置合わせを必要
とするヒータの位置を狂わせてしまう虞があった。ま
た、ヒータ部分は約 450℃まで加熱されるために酸化さ
れやすく、耐久性がなく、更に金属製であるため高温で
の塑性変形が大きく、数μm程度の表面精度を確保でき
ない。
にあっては、モリプデンやチタンを用いたヒータと比較
すると、耐酸化性は若干良くなるものの、熱伝導率が低
いために均熱性が非常に悪く、ボンディングの接続不良
が起こりやすく、製品としての歩留まりが上がらない。
更に、熱伝導率が低いため、急速昇温時に必要な最大投
入電力が大きく、また降温に要する時間がかかり、1回
のボンディング処理に多くの時間を要し、コストパフォ
−マンスが低下する他、金属製であるため高温での塑性
変形が大きく、数μm程度の表面精度を確保できない。
膜を焼き付けてなるヒータにあっては、白金パラジウム
薄膜の電気抵抗を大きくするために膜厚を薄くしてあ
り、そのために昇温時に断線が起こりやすく、均熱性も
非常に悪くボンディング部分に接続不良が起こりやす
く、製品としての歩留まりが上がらないうえ、断線がい
つ発生するか予測できず、製造工程中で使用されるヒー
タとしての信頼性がきわめて低い。
ヒータでは、耐酸化性、消費電力の低下、急速昇温・降
温といった要求特性をある程度満たしているが、近年、
更に急速な昇温・降温(例えば 450℃から 100℃まで 5
秒以内で降温)が要求されており、従来のヒータでは、
これに対応することができなかった。
における前記問題点に鑑みて成されたものであり、その
解決のため具体的に設定した課題は、要求される急速な
昇降温が可能であり、正確な位置で接合でき、ヒータ断
線の虞がなく、十分な表面精度を有し、ボンディング部
分の接続不良がなく、コストパフォーマンスにも優れた
SiCヒータを提供することにある。
できるよう具体的に構成された手段としての、本発明に
おける請求項1に係るSiCヒータは、発熱体と、該発
熱体に通電して発熱体を昇温させるための電極と、発熱
体を降温させるための冷却孔と、発熱体からの熱を断熱
するためのヒータベースとを備え、前記発熱体が炭化珪
素から構成されておりかつ前記発熱体がその外縁部から
内部に向かって伸びた表裏に貫通したスリットを有する
ことを特徴とするものである。また、請求項2に係るS
iCヒータは、前記発熱体が、略正方形または略長方形
の炭化珪素焼結体の互いに対向する2辺からそれぞれ反
対側の辺に向けて切り込んだ2つのスリットにより略S
字状に形成され、この略S字状の両端部に電極を取り付
けたことを特徴とする。また、請求項3に係るSiCヒ
ータは、前記ヒータベースに冷却気体が通る貫通孔を設
け、断熱が必要な部分以外は前記発熱体と接触しないよ
うにザグリをいれて隙間を確保するとともに前記貫通孔
を前記発熱体に設けた前記スリットと連通したことを特
徴とする。
記炭化珪素焼結体が、燒結体密度が2.5g/cm3 以上
で室温での電気比抵抗が 0.1〜100 Ω・cmであること
を特徴とする。また、請求項5に係るSiCヒータは、
前記炭化珪素焼結体が、平均粒径 0.1〜 10 μmの第1
の炭化珪素粉末と 0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末と
を混合し、これを焼結して得られたことを特徴とする。
また、請求項6に係るSiCヒータは、前記炭化珪素焼
結体の少なくとも片面に、常温での電気比抵抗が 109Ω
・cm以上で熱膨張率が 2〜6 ×10-6/Kの硼珪酸ガラ
スまたはアルミノ珪酸ガラスの少なくとも1つにより絶
縁被膜が構成されることを特徴とする。また、請求項7
に係るSiCヒータは、前記絶縁被膜が、SiO2 をマ
トリックスとし、B2 O3 、Al2 O3 のうち少なくと
も1種類を 1〜 30 重量%含み、さらにBaOを 35 重
量%以下含んだ硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラス
の少なくとも1つであることを特徴とする。
具体的に説明する。ただし、この実施の形態は、発明の
趣旨をより良く理解させるため具体的に説明するもので
あり、特に指定のない限り、発明内容を限定するもので
はない。
としては、例えば粒界に不純物の少ない微細で均一な組
織を有する高導電性の炭化珪素焼結体が好適に使用でき
る。そして、この炭化珪素焼結体の外縁部から内部に向
かって切り込みを設けることにより、温度変化による熱
膨張、熱収縮の影響を吸収し、これにより熱応力に強く
なるため、発熱体としての炭化珪素焼結体を薄く形成で
き、熱容量を小さくできるようになる。さらに、略S字
状にすることにより電流がその経路を流れ発熱体の均熱
性が向上する。
が 2.5g/cm3 以上、室温( 25℃)における電気比
抵抗が 0.1〜100 Ω・cmである炭化珪素焼結体により
構成させる。焼結体密度が 2.5g/cm3 以上であれば
炭化珪素粒子間の結合力が充分であり、高温での機械強
度も高いことから、ボンディング時の荷重により発熱体
が破損する虞がなく、高温時の塑性変形がなく、数μm
の表面精度が容易に得られる。なお、炭化珪素の理論密
度は 3.21 g/cm3 である。
属ヒータの場合のような大電流が流れないので、リード
線に電磁誘導からくる応力が働いてヒータヘッドの位置
が狂う虞もなくなる。これに対して、室温での電気比抵
抗が 0.1Ω・cm未満であると、急速昇温するために大
電力を投入することが必要となり、大電流が流れてリー
ド線に電磁誘導からくる応力が働きヒータヘッドの位置
が狂う虞がある他、大電流が発熱体に集中してヒータが
破損し、また所定の抵抗値とするためには発熱体を薄肉
化しなければならず、ボンディング時の圧力(通常 50
kg/cm2 程度)により破損する虞がある。一方、室
温での電気比抵抗が 100Ω・cmを超えると大電圧を投
入しなければならず、特別の電源が必要となる。
室温での熱伝導率が 100W/m・K以上であることが好
ましい。上述したように発熱体を形成する炭化珪素焼結
体の焼結密度は 2.5g/cm3 以上と緻密質であり、し
かも後述するように焼結助剤無添加で焼結できるので、
粒界に存在する不純物が少なく、微細で均一な組織が得
られ、よって 100W/m・K以上の高い熱伝導率が得ら
れる。従って、この炭化珪素焼結体から成る発熱体を備
えると、均熱性に優れたものとなり、ボンディング部分
の接続不良がなく製品歩留まりが高くなり、更に冷却に
要する時間が短く1回のボンディング処理時間が短縮さ
れコストパフォーマンスが高くなる他、急速昇温時又は
急速降温時においても熱衝撃で破損する虞がない。
炭化珪素焼結体を外形が22mmの四角形で厚みが1m
mの薄板に加工し、四隅の対向する2つの角部を電極取
付可能に形成するとともに各電極取付位置の間には各種
用途の貫通孔を略均等に穿設し、加熱状態を均一化する
ように形成する。この発熱体1は、外形が略四角形で略
S字状薄板に形成され、この薄板材の互いに対向する二
辺から各辺の長さの 1/3 の長さの位置で、反対側の辺
に向けて切り込んだ2つのスリット2,3により均等幅
の略S字状板材に形成する。
た電極取付用の貫通孔4,5と、中央部に穿設したチッ
プ吸着用の気体通路を形成する貫通孔6と、各先端部に
対向する角部の外縁寄りの位置にそれぞれ穿設した伝熱
板吸着用の気体通路を形成する貫通孔7,8と、チップ
吸着側の面に刻設して貫通孔7,8にそれぞれ連通する
とともに外縁に沿って略L字状に延設した伝熱板吸着用
の気体通路を形成する溝9,10と、前記電極取付用の
貫通孔4,5と前記伝熱板吸着用の貫通孔7,8との中
間位置に穿設して不活性ガス雰囲気で加熱する場合に供
給する窒素ガス等の各種ガスの通路を形成する貫通孔1
1,12とを少なくとも設ける。これらの貫通孔の孔径
はそれぞれの用途に応じて適宜選択して穿設すれば良
い。この他に、外縁に沿って形成された溝9,10と中
央部に穿設された貫通孔6との間の溝9,10側に寄っ
た位置に、ヒータ本体側への取付用ねじを挿通するため
の貫通孔13,14を穿設する。そして、電極取付用の
貫通孔4,5およびヒータ本体側への取付用として穿設
された貫通孔13,14のチップ吸着側の面には、皿頭
が埋没する深さの皿ざぐりを施して、伝熱板吸着時に発
熱体取付用の皿小ねじ(図示せず)の皿形のねじ頭が邪
魔にならないようにする。
cm3 以上で電気比抵抗 0.1〜100 Ω・cmである炭化
珪素焼結体は、平均粒径 0.1〜 10 μmの第1の炭化珪
素粉末と 0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合
し、これを焼結する方法により得られる。この方法によ
れば、 0.1〜100 Ω・cmの範囲の電気比抵抗を示す炭
化珪素を得ることが容易である。このような炭化珪素焼
結体の製造方法は、特開平4ー65361号公報に開示
されているが、この実施の形態においては電気比抵抗が
0.1〜100 Ω・cmと大きいものを用いることが望まし
い。
るために、平均粒径が 0.1〜 10 μmの第1の炭化珪素
粉末と、平均粒径が 0.1μm以下の第2の炭化珪素微粉
末とを用意する。第1の炭化珪素粉末としては、一般に
使用されているものでよく、例えばシリカ還元法、アチ
ソン法等の方法によって製造されたものが用いられ、そ
の結晶相としては非晶質、α型、β型のいずれであって
もよいが、電気比抵抗値を 0.1〜100 Ω・cmに調整す
る容易さからはα型のものが好適である。第2の炭化珪
素粉末としては、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン
化合物またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料
ガスを導入し、反応系の圧力を1気圧未満から 0.1to
rrの範囲で制御しつつ気相反応させることによって得
られたものを使用する。結晶相としては非晶質、α型、
β型のいずれであってもよい。このようにして得られた
第2の炭化珪素粉末は焼結性が非常に優れているため
に、上記第1の炭化珪素粉末と混合するのみで、焼結助
剤を添加することなく高純度かつ緻密質の炭化珪素焼結
体を得ることができるようになる。
化珪素粉末とを混合して混合物とする。混合比率は所定
の電気比低抗値( 0.1〜100 Ω・cm)となるよう予め
予備実験で求めておく。その後、上記混合物を所望の形
状に成形し、得られた成形体を 1800 〜 2400 ℃の温度
で焼結して焼結体を得て、これを発熱体とする。焼結方
法、焼結時の雰囲気はいずれも制限されない。
たSiCヒータ100は、第2〜5図に示すように、発
熱体1のチップ吸着側の面(溝刻設側の面)を先端(下
端)に向け、貫通孔13,14にそれぞれ挿通する皿小
ねじ15,15を用いて発熱体1を固着した、断熱性が
高く耐熱衝撃性に優れた絶縁体セラミックス製のヒータ
ベース21と、ヒータベース21を介して発熱体1を螺
着する金属製の冷却系接続部材22とからなり、複数の
ボルト23,23によりヒータベース21と冷却系接続
部材22とを固定し、発熱体1の電極接続部(2ヶ所、
図示せず)は、貫通孔4,5にそれぞれ挿通したボルト
16,16とナット(図示せず)によりリード線24,
24の端部に設けられた電極(図示せず)を接続し、冷
却系接続部材22にはヒータベース21を装着する面と
反対側の面には、フリップチップボンダ等のボンディン
グ装置側に形成されたヒータ取付部(図示せず)に取付
可能な平面を形成するとともに、ガス吸引と冷却ガス供
給とを行うための接続部を中心線上まで延設するための
溝26,27を刻設し、冷却系接続部材22の四隅に貫
通孔28,…,28を穿設してヒータ取付部にねじ止め
できるようにする。ヒータベース21の発熱体1と接す
る側の面には、断熱が必要な部分以外は発熱体1と接触
しないようにザグリして、そのザグリ部21aが形成す
る隙間を冷却気体の通路として利用する。
ベース21を固着し、そのヒータベース21に発熱体1
を固着したSiCヒータ100では、図6〜8に示すよ
うに、チップ吸着用の貫通孔6と同心的にヒータベース
21および冷却系接続部材22を貫通した(チップ吸着
用)貫通孔31を穿設し、貫通孔11,12と同心的に
ヒータベース21および冷却系接続部材22を貫通して
不活性ガス雰囲気で加熱する場合に供給する窒素ガス等
の各種ガスの通路を形成する(各種ガス供給用)貫通孔
32,33を穿設し、溝9,10に連通した貫通孔7,
8と同心的にヒータベース21および冷却系接続部材2
2を貫通した伝熱板吸着用の気体通路を形成する(溝側
の伝熱板吸着用)貫通孔35,36を穿設し、さらに、
発熱体1を急速に冷却する冷却気体をザグリ部21aに
供給する給気路を形成する(冷却気体供給用)貫通孔3
7,38をヒータベース21および冷却系接続部材22
を貫通して穿設する。
れた冷却気体は、冷却孔としての貫通孔37,38から
ヒータベース21に形成されたザグリ部21aを通り、
発熱体1の裏面に接触して冷却した後、ヒータベース2
1の横面より外部へ抜けていく。また、貫通孔37,3
8より供給された冷却気体は、ザグリ部21aを介して
スリット2,3を通り、発熱体1を冷却したのち発熱体
1の横面から抜けていく。このようにヒータベース21
の発熱体1側に、ザグリ部21aを形成して発熱体1と
ヒータベース21の間に隙間を設けるとともに発熱体1
にスリット2,3を形成したことにより、冷却気体で冷
却を行なうにあたって、ザグリ部21aによって発熱体
1とヒータベース21との間隙が冷却気体と接する面積
を大きくして冷却効率を上げ、しかも、発熱体1のスリ
ット2,3がザグリ部21aと連通していることによ
り、スリット2,3にも冷却気体が通過して冷却速度を
高めることができて、急速冷却が可能となる。
れていることにより、昇温、降温を繰り返した時の熱に
よる膨張、収縮を吸収することができ、熱応力に強くな
るため、発熱体1の厚みを薄くすることができ、これに
より発熱体1の熱容量が小さくなるため、冷却速度を増
すことができ、従来よりも急速な冷却を行なうことがで
きる。さらに、発熱体1が電極を略S字状板材の両端部
にそれぞれ設けたことにより、スリット2,3があるた
め電流が発熱体1の略S字形状に沿って電極間を流れる
ため、発熱体1の全体が均一に発熱するとともに、発熱
体1自身が熱衝撃により破損する虞がなくなり、さらに
ボンディング部分に接続不良が起こりにくく、半導体チ
ップの歩留まりおよび信頼性を向上することができる。
性と電気絶縁性とを有するヒータベース21により発熱
体1を保持する。このヒータベース21はセラミックス
から構成されることが望ましい。セラミックスとして、
窒化珪素(Si3 N4 )、カルシウムシリケート(Ca
O・SiO2 )、サイアロン等を例示することができ
る。ヒータベース21を発熱体1の片面側に設ければ、
発熱体1の昇温時における熱逃げが少なく、小さな投入
電力での急速昇温が可能となり、またヒータベース21
を取り付けた冷却系接続部材22への熱逃げも少なくな
るために、冷却系接続部材22の熱膨張によるヒータの
位置ずれも少ない。また、発熱体1が機械的に補強さ
れ、ボンディング時の荷重により破損することがない。
て、スリットで区切られる面を電流が全範囲にわたって
流れる位置に作成することが好ましい。例えば、図3に
示すように、電極をヒータベース21に穿設される電極
取付孔29,29の位置に設けると、電流はスリット
2,3で区切られた面に沿って略S字状に流れるため、
発熱体1の全体が均一に発熱する。
熱体を使用しているため、導通部の発熱体がむき出しに
なっており、SiC発熱体がヒータベース21に接する
面と反対の面および側面に絶縁性の膜を被覆すること
が、安全上好ましい。ただし、この実施の形態のSiC
ヒータの場合、急速昇降温を何度も繰り返すため、温度
の急激な変化のもたらす熱履歴により剥離することがな
く、ボンディング時、半導体チップをボンディング材に
押し付けるため、この際の塑性変形や摩耗がなく、かつ
高温においても絶縁性の高い被膜でなければならない。
また、被膜でなく絶縁用のカバーをかぶせようとする
と、ヒータとしての熱容量が大きくなり、冷却速度が遅
くなってしまう。このため、前記条件を満足する絶縁皮
膜が必要となる。
での電気比抵抗が 109Ω・cm以上で熱膨張率が 2〜6
×10-6/Kの硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラスの
少なくとも1つからなる絶縁膜を形成する。また、前記
硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラスとしては、Si
O2 をマトリックスとし、B2 O3 またはAl2 O3 を
少なくとも1種類、 1〜 30 重量%含有し、さらにBa
Oを 35 重量%以下含むものがよい。B2 O3 またはA
l2O3 の少なくとも1種類が 1重量%未満では耐熱衝
撃性と耐摩耗性の向上がみられず、 30 重量%を超える
と、もろくなってしまうためである。また、BaOは前
記硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラスの熱膨張率を
SiCに合わせるために含有させるもので、硼珪酸ガラ
ス、アルミノ珪酸ガラスの耐熱衝撃性、耐摩耗性を損な
わないで熱膨張率を上げることができる。BaOの含有
率が 35 wt%を超えると、熱膨張率が 6×10-6/Kよ
り大きくなってしまい好ましくない。
ようなSiCヒータ100は、例えば図9に示すような
フリップチップボンダ200の可動台210の下端部に
取り付けて半導体実装ボードの製造のために使用され
る。SiCヒータ100を取り付けたフリップチップボ
ンダ200では、図6〜8に示すように、伝熱板吸着用
の各貫通孔7,8から空気を吸引して発熱体1の表面に
伝熱板30を吸着し、それから、図9に示す複数の半導
体チップ40が置かれているトレイ220を載置したオ
ートローダ230の位置まで、可動台210を移動し、
貫通孔6から空気を吸引してトレイ220から1つの半
導体チップ40を吸着し、次に、可動台210を基板5
0が用意されている位置まで移動して、図6〜8に示す
基板50上に予め載置された導電性ボンディング材60
の上に半導体チップ40を載せ、可動台210により下
方に加圧力を加えつつ、SiCヒータ100に通電して
発熱体1を発熱させ、伝熱板30を介して半導体チップ
40、導電性ボンディング材60、基板50を略均等に
昇温することにより、導電性ボンディング材60を数秒
で溶融し、溶融した導電性ボンディング材60により基
板50と半導体チップ40とを接合する。この接合時
に、不活性ガス雰囲気中でボンディングを行う場合に
は、予め伝熱板30を、貫通孔32,33に対応した位
置に貫通孔(図示せず)を穿設した不活性ガス雰囲気ボ
ンディング用の伝熱板(図示せず)に交換しておき、貫
通孔32,33から供給された不活性ガスを伝熱板を介
して導電性ボンディング材の配設側に吹き出しながら接
合する。この接合方法では、発熱体1からの熱により半
導体チップ40、導電性ボンディング材60、基板50
を加熱加圧して導電性ボンディング材60を数秒で溶融
する、急速加熱のため、半導体チップ40と基板50の
過熱を防止できる。
して基板50と半導体チップ40とが接合された後、す
みやかに圧縮空気を冷却系接続部材22およびヒータベ
ース21に穿設された貫通孔37,38を介してザグリ
部21aに供給し、発熱体1の背面(伝熱板吸着面とは
反対側の面)側からスリット2,3を介してSiCヒー
タ100の外部に流出させながら発熱体1を急速に冷却
し、導電性ボンディング材60が冷却されて固化してか
ら、半導体チップ40の吸着を解除し、可動台210を
上方に移動する。この圧縮空気等の高圧の圧縮ガスを供
給する冷却は、発熱体1を数秒で急速冷却するから、半
導体チップ40、基板50は過熱から保護されるととも
に1サイクルのボンディング処理時間を短縮できる。そ
してまた、オートローダ230の位置まで可動台210
を移動して新たに半導体チップ40を吸着し、次の基板
50に対するフリップチップボンディングを行う。
される伝熱板30は、発熱体1の熱を半導体チップ4
0、導電性ボンディング材60、基板50に対して均一
に伝熱するために用いられるものであるから、伝熱性、
耐熱性、熱衝撃性に優れていることが必要であり、例え
ば、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミック製であ
ることが好ましい。導電性ボンディング材60として
は、ハンダバンプ、金バンプ等が挙げられる。このよう
なボンディング材は加熱によって溶融し、冷却によって
固化する性質を持っている。発熱体1は、急速昇降温さ
せるため、熱容量の小さいものが好ましい。従って、発
熱体1としての機械的強度を維持しながら熱容量を小さ
くするためには、発熱体1のヒータ面の厚みが約 0.5〜
1.5 mmであることが好ましく、 0.8〜1.2 mmである
ことがより好ましい。
造した。四塩化珪素とエチレンとを原料ガスとし、プラ
ズマCVD法により、平均粒径0.01 μm、BET比表
面積 96 m2 /gの非晶質炭化珪素超微粉末を得た。こ
の炭化珪素超微粉末 5重量%と市販のα型炭化珪素粉末
(平均粒径 0.7μm、BET比表面積 13 m2 /g) 9
5 重量%とを、メタノール中に分散させ、さらにボール
ミルで 12 時間混合した。次いで、この混合物を乾燥
し、成形、ホットプレス焼結した。焼結条件は、アルゴ
ン雰囲気下で、焼結温度 2200 ℃、プレス圧 39.23MP
a( 400kgf/cm2 )で、 90 分間であった。焼結
体の密度は 3.1×103 kg/m3 、室温での電気比抵抗
は、0.3 Ω・cm(4端子法)、室温での熱伝導率が 2
30W/mK(レーザーフラッシュ法)の焼結体を得た。
により、図1に示すような、直径2mmの半導体チップ
吸着用の貫通孔6と、伝熱板吸着用の貫通孔7,8と、
外縁部から内部にのびた幅 1mmのスリット2,3とを
有し、炭化珪素焼結体からなる発熱体1を得た。さら
に、この発熱体1は、ヒータベース21にねじ止めする
ための貫通孔13,14と電極取付用の貫通孔4,5と
が形成されている。なお、半導体チップ吸着用の貫通孔
6、伝熱板吸着用の貫通孔7,8および伝熱板分離用の
貫通孔11,12は、ヒータベース21に穿設されてい
る貫通孔31,32,33,35,36とそれぞれ同軸
的に穿設される。発熱体1のヒータ面の大きさは 22 ×
22 mmであり、その厚みtは 1.0mmであった。
面に、ヒータベース21として断熱性が高く、耐熱衝撃
に優れた窒化珪素焼結体を重ねた。なお、ヒータベース
21は発熱体1を冷却するための貫通孔37,38を備
えたものである。そして、締結用の貫通孔13,14に
M1.4 のボルトを挿通して、ヒータベース21と発熱体
1とをねじ止めした。また、電極取付孔29にM1.4 の
皿小ねじを挿通し、そのねじの先端付近にリード線の端
部をナットにより固定することによって電極を形成し、
その結果として、SiCヒータが得られた。
験、ヒータ面の均熱性試験、急速冷却試験により試験し
た。これらの試験は、 1φ、AC 100V、 50 Hz(位
相制御型)の電源に、SiCヒータを接続し、ヒータ面
に取り付けたK熱電対で測定した温度で制御して行っ
た。
つき 8.3A、52.0Vを印加したところ 2秒間で 50 ℃か
ら 450℃まで昇温できることが確認された。
つき 2秒間で 50 ℃から 450℃まで昇温し( 200℃/
秒)、 450℃で 10 秒間保持した後、SiCヒータ内部
からのみ冷却空気を圧力0.49 MPa( 5kgf/cm
2 )で吹き付けた場合の 450℃から 100℃までの冷却時
間を測定した。また、比較のために炭化珪素を発熱体と
して使用した従来のSiCヒータ(比較例1)、窒化ア
ルミニウムの裏面にメタライズされた白金パラジウムを
発熱体として使用した従来のSiCヒータ(比較例2)
およびステンレス鋼を発熱体として使用した従来のSi
Cヒータ(比較例3)についても同様の試験をおこなっ
た。その結果を表1に示す。
までヒータ面を昇温させ、 450℃に 10 秒間保持した時
のヒータ面における8点での温度分布をサーモビュアに
より測定した。また、比較のため、炭化珪素を発熱体と
して使用した従来のSiCヒータ(比較例1)、窒化ア
ルミニウムの裏面にメタライズされた白金パラジウムを
発熱体として使用した従来のSiCヒータ(比較例2)
およびステンレス鋼を発熱体として使用した従来のSi
Cヒータ(比較例3)の温度分布を同様に測定した。ヒ
ータ面の8点の温度測定位置(a)〜(h)を図10に
示し、その測定温度の最高値と最低値との差の 1/2 を
均熱性として表1に示す。
工後の炭化珪素焼結体を発熱体として、ヒータに組み込
む前に表面に絶縁処理を施した。具体的には、加工した
炭化珪素焼結体の表面をアセトンで超音波洗浄した後自
然乾燥させ、その後、酸化炉に温度 1000 ℃で 70 時間
熱処理して十分な酸化膜を生成させる。次に、絶縁用の
ガラスとして、SiO2 : 49 重量%、Al2 O 3 : 1
0 重量%、BaO: 25 重量%、B2 O3 :15重量%の
硼珪酸ガラス粉末とスクリーンオイルを 3:2 の割合で
メノウ乳鉢に入れてよく混合し、スラリーを作成する。
する面と反対の面および側面にスラリー状のガラスを均
一に約 200μmの厚みで塗布し、乾燥器にて温度 100℃
で 1時間乾燥させた後、酸化炉にて、温度 950℃で 20
分間加熱してガラスを炭化珪素焼結体に溶着させた。最
後に、ガラス表面を研削して発熱体の平行度を 3μm以
下に仕上げた。こうして得られた表面に絶縁性の被膜を
有した炭化珪素発熱体を用いて、実施例1と同様にSi
Cヒータを組み立てた。このようにして得られたSiC
ヒータを用いて実施例1と同様に、急速降温試験とヒー
タ面の均熱性試験を行なったところ、実施例1と同様の
結果が得られた。さらに、ヒータの伝熱板と接する面を
アースに接地したリード線の端子部を接触させながら、
SiCヒータを昇降温させてアースに接地したリード線
への漏れ電流を測定したところ、 1μA以下となり、絶
縁耐圧性に問題がないことが確認された。
は、 450℃から 100℃への降温時間が内部冷却のみで
4.6秒と従来品の 9.0秒に対して約 50 %に短縮され
た。また、均熱性も従来の±7.4 ℃から±4.6 ℃へと向
上している。
に係るSiCヒータでは、発熱体は炭化珪素より成ると
ともにその外縁部から内部に向かって伸びた表裏に貫通
したスリットを有しているため、熱伝導率が非常に良く
熱応答性が早く、短時間に熱的平衡に達するという炭化
珪素としての優れた特性に加え、スリット部が熱による
膨張、収縮を吸収するため、ヒータ断線の虞がなく、十
分な表面精度を有し、正確な位置で接合でき、熱応力に
強く、従来の炭化珪素発熱体よりも薄くでき、そのた
め、発熱体の熱容量が小さくなり、特に急速降温が可能
となる。また、発熱体に形成されたスリットの効果によ
り、従来品に比べて優れた均熱性が得られる。このた
め、ボンディングによる接続不良が大幅に低減され、結
果的にコストパフォーマンスに非常に優れる。また、容
易に急速昇降温が可能なので、半導体チップを基板にボ
ンディングさせるためのヒータとして好適である。ま
た、請求項2に係るSiCヒータでは、形成された形状
に従って略S字状に電流が流れて発熱状態を均等にし、
均熱性を向上することができる。また、請求項3に係る
SiCヒータでは、冷却気体をザグリ形成部分に供給す
ることによって冷却面積を広くして冷却効率を高め、冷
却気体を発熱体のスリットを介して外部に流出させるこ
とによって冷却速度を速くすることができる。
炭化珪素粒子間の結合力が充分であり、高温で機械強度
が高く、ボンディング時の荷重により発熱体が破損する
恐れがなくなるとともに、大電流を流す必要がなく、ヒ
ータヘッドの位置狂いが防止でき、また、大電圧も必要
がなく電源を特別に設けることも必要なく、電力消費量
が削減できる。また、請求項5に係るSiCヒータで
は、 0.1〜100 Ω・cmの範囲の電気比抵抗を示す炭化
珪素を得ることができる。また、請求項6に係るSiC
ヒータでは、絶縁被膜を構成することができ、急速昇降
温を繰り返しても剥離、塑性変形または摩耗をなくすこ
とができ、冷却速度を遅くすることなく絶縁性を向上す
ることができる。また、請求項7に係るSiCヒータで
は、耐熱衝撃性および耐摩耗性を向上するとともに熱膨
張率を炭化珪素の熱膨張率に合わせることができ、待機
を性を向上することができる。
熱体を示す斜視図である。
す正面図である。
する状態を示す正面断面図(図3で示すA−A矢視図)
である。
する状態を示す側面断面図(図3で示すB−B矢視図)
である。
する状態を示す斜め方向から見た側面断面図(図3で示
すC−C矢視図)である。
ダによる製造状態を示す斜視図である。
位置を示す平面説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】発熱体と、該発熱体に通電して発熱体を昇
温させるための電極と、発熱体を降温させるための冷却
孔と、発熱体からの熱を断熱するためのヒータベースと
を備え、前記発熱体が炭化珪素から構成されておりかつ
前記発熱体がその外縁部から内部に向かって伸びた表裏
に貫通したスリットを有することを特徴とするSiCヒ
ータ。 - 【請求項2】前記発熱体が、略正方形または略長方形の
炭化珪素焼結体の互いに対向する2辺からそれぞれ反対
側の辺に向けて切り込んだ2つのスリットにより略S字
状に形成され、この略S字状の両端部に電極を取り付け
たことを特徴とする請求項1記載のSiCヒータ。 - 【請求項3】前記ヒータベースに冷却気体が通る貫通孔
を設け、断熱が必要な部分以外は前記発熱体と接触しな
いようにザグリをいれて隙間を確保するとともに前記貫
通孔を前記発熱体に設けた前記スリットと連通したこと
を特徴とする請求項1または2記載のSiCヒータ。 - 【請求項4】前記炭化珪素焼結体が、燒結体密度が 2.5
g/cm3以上で室温での電気比抵抗が 0.1〜100 Ω・
cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載のSiCヒータ。 - 【請求項5】前記炭化珪素焼結体が、平均粒径 0.1〜 1
0 μmの第1の炭化珪素粉末と 0.1μm以下の第2の炭
化珪素粉末とを混合し、これを焼結して得られたことを
特徴とする請求項4記載のSiCヒータ。 - 【請求項6】前記炭化珪素焼結体の少なくとも片面に、
常温での電気比抵抗が 109Ω・cm以上で熱膨張率が 2
〜6 ×10-6/Kの硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラ
スの少なくとも1つにより絶縁被膜が構成されることを
特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のSiCヒー
タ。 - 【請求項7】前記絶縁被膜が、SiO2 をマトリックス
とし、B2 O3 、Al2 O3 のうち少なくとも1種類を
1〜 30 重量%含み、さらにBaOを 35 重量%以下含
んだ硼珪酸ガラスまたはアルミノ珪酸ガラスの少なくと
も1つであることを特徴とする請求項6記載のSiCヒ
ータ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2000-07-04 JP JP2000202560A patent/JP3710690B2/ja not_active Expired - Lifetime
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