JP2002025620A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2002025620A
JP2002025620A JP2000210899A JP2000210899A JP2002025620A JP 2002025620 A JP2002025620 A JP 2002025620A JP 2000210899 A JP2000210899 A JP 2000210899A JP 2000210899 A JP2000210899 A JP 2000210899A JP 2002025620 A JP2002025620 A JP 2002025620A
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JP
Japan
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polymer compound
separator
negative electrode
electrode plate
positive electrode
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Application number
JP2000210899A
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English (en)
Inventor
Katsuya Shichimoto
克哉 七元
Tetsuya Murai
村井  哲也
Takeshi Usumi
羽隅  毅
Shinya Kitano
真也 北野
Sumio Mori
森  澄男
Masahiro Tagawa
昌宏 田川
Yoshihiro Kuwabara
義弘 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Storage Battery Co Ltd
Original Assignee
Japan Storage Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】高温環境下での放置特性に優れ、且つ安全な非
水電解質二次電池を提供する。 【解決手段】正極と負極と隔離体と非水電解液を備えた
非水電解質二次電池において、正極と負極の少なくとも
一方の電極内部に第1の高分子化合物を備え、正極−隔
離体間と負極−隔離体間の少なくとも一方に第2の高分
子化合物を備え、前記第1の高分子化合物が有孔性であ
り、前記第1の高分子化合物の溶媒保持能力の方が前記
第2の高分子化合物の溶媒保持能力よりも大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用無線電話、携帯用パソコ
ン、携帯用ビデオカメラ等の電子機器が開発され、各種
電子機器が携帯可能な程度に小型化されている。それに
伴って、内蔵される電池としても、高エネルギー密度を
有し、且つ軽量なものが採用されている。
【0003】そのような要求を満たす典型的な電池は、
リチウム金属やリチウム合金等の活物質、又はリチウム
イオンをホスト物質(ここでホスト物質とは、リチウム
イオンを吸蔵及び放出できる物質をいう。)である炭素
に吸蔵させたリチウムインターカレーション化合物を負
極材料とし、LiClO4、LiPF6等のリチウム塩を
溶解した非プロトン性の有機溶媒を電解液とする非水電
解質二次電池である。
【0004】この非水電解質二次電池は、上記の負極材
料をその支持体である負極集電体に保持してなる負極
板、リチウムコバルト複合酸化物のようにリチウムイオ
ンと可逆的に電気化学反応をする正極活物質をその支持
体である正極集電体に保持してなる正極板、電解液を保
持するとともに負極板と正極板との間に介在して両極の
短絡を防止するセパレータからなっている。
【0005】そして、上記正極板及び負極板は、いずれ
も薄いシートないし箔状に成形されたものを、セパレー
タを介して順に積層又は渦巻き状に巻回した発電要素と
する。そしてこの発電要素を、ステンレス、ニッケルメ
ッキを施した鉄、又はアルミニウム製等の金属からなる
電池容器に収納され、電解液を注液後、蓋板で密封固着
して、電池が組み立てられる。また、最近では電池の軽
量化を目的に電池容器に金属ラミネート樹脂フィルムよ
りなる袋状単電池ケースを用いた電池の開発もおこなわ
れている。
【0006】しかしながら、リチウムイオン電池は安全
性は充分満足のいくレベルではなく、例えば、所定の充
電電気量よりも過剰に充電された場合、電池の膨れおよ
び発熱がおこり、最悪の場合は発煙・発火・破裂に至る
ことがあった。
【0007】そこで、現在のリチウムイオン電池には、
過電流防止、過充電・過放電防止用の保護回路を備えて
安全化対策をされているのが現状である。このような背
景により、より安全な電池を供給することを目的として
固体電解質の開発が盛んにおこなわれており特に高分子
にリチウム塩を溶かした高分子固体電解質が注目を浴び
ている。
【0008】高分子固体電解質に使用する高分子材料と
しては、ポリアクリロニトリル、ポリフォスファゼン変
性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン
オキサイド、ポリフッ化ビニリデン、およびこれらの複
合ポリマーや変性ポリマーなどが各種報告されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】固体電解質の一例とし
てフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重
合体からなる高分子電解質膜を正負極間に用いた電池が
ある。しかし、この高分子膜を用いた二次電池では、膜
自身の強度が不充分であり、正負極板とともに巻回する
ことが困難であった。
【0010】また、この高分子膜は有機電解液中では、
例えば70℃や80℃という比較的低温で溶解するた
め、膜の強度および形状を保つことができず、内部短絡
を起こすという問題があった。また、ポリマー電解質の
リチウムイオン伝導率は10-4S・cm-1以下と低く温
度依存性が大きいため、高率放電特性および低温放電特
性が不充分であるという問題があった。
【0011】さらに、放電特性を向上させるために、多
孔性の高分子膜を用いた電池も報告されているが、やは
り高温に放置された場合、高分子が溶解して孔が塞が
り、内部抵抗の増加が起こるため、充分な放電特性を得
ることができなかった。
【0012】そこで本発明の目的は、上記問題点に鑑み
なされたものであり、高率放電特性および低温放電特性
を低下させることなく、過充電などの異常時の安全性に
優れた非水電解質二次電池を供給することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、正極
と負極と隔離体と非水電解液を備えた非水電解質二次電
池において、正極と負極の少なくとも一方の電極内部に
第1の高分子化合物を備え、正極−隔離体間と負極−隔
離体間の少なくとも一方に第2の高分子化合物を備え、
前記第1の高分子化合物が有孔性であり、前記第1の高
分子化合物の溶媒保持能力の方が前記第2の高分子化合
物の溶媒保持能力よりも大きいことを特徴とする。
【0014】また、請求項2の発明は、上記非水電解質
二次電池において、第2の高分子化合物が有孔性である
ことを特徴とする。
【0015】さらに、請求項3の発明は、上記非水電解
質二次電池において、第2の高分子化合物がポリフッ化
ビニリデンあることを特徴とする。
【0016】また、請求項4の発明は、上記非水電解質
二次電池において、ポリフッ化ビニリデンの重量平均分
子量が40万以上であることを特徴とする。
【0017】また、請求項5の発明は、上記非水電解質
二次電池において、第1の高分子化合物がフッ化ビニリ
デンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体でああるこ
とを特徴とする。
【0018】さらに、請求項6の発明は、上記請求項5
の発明において、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプ
ロピレンの共重合体中のヘキサフルオロプロピレンの含
有量が1重量%以上10重量%以下であることを特徴と
する。
【0019】また、請求項7の発明は、上記請求項5ま
たは6の発明において、フッ化ビニリデンとヘキサフル
オロプロピレンの共重合体の重量平均分子量が40万以
上であることを特徴とする。
【0020】さらに、請求項8の発明は、上記非水電解
質二次電池において、電極と第2の高分子化合物と隔離
体とが一体化されていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明になる非水電解質
二次電池の詳細について、図面を参照して説明する。本
発明になる非水電解質二次電池の外観を図2に示す。図
2において、1は袋状単電池ケース、2は巻回型発電要
素、3は巻回型発電要素の巻回中心軸、4は正極リード
端子、5は負極リード端子である。本発明になる非水電
解質二次電池は、長円形巻回型発電要素2が、その巻回
中心軸3が袋状単電池ケース1の開口面におおむね垂直
方向となるように、袋状単電池ケース1に収納されてい
る。なお、袋状単電池ケース1の材質は金属ラミネート
樹脂フィルムよりなる。
【0022】本発明は、正極と負極と隔離体と非水電解
液を備えた非水電解質二次電池において、正極と負極の
少なくとも一方の電極内部に第1の高分子化合物を備
え、正極−隔離体間と負極−隔離体間の少なくとも一方
に第2の高分子化合物を備え、前記第1の高分子化合物
が有孔性であり、前記第1の高分子化合物の溶媒保持能
力の方が前記第2の高分子化合物の溶媒保持能力よりも
大きいことを特徴とする。
【0023】本発明になる非水電解質二次電池の極板の
断面の一例を図1に示す。図1は、正極および負極の両
方の電極内部に第1の高分子化合物を備え、正極−隔離
体間および負極−隔離体間の両方に第2の高分子化合物
を備えた例を示したもので、図1において、6は正極
板、7は正極集電体、8は正極合剤層、9は負極板、1
0は負極集電体、11は負極合剤層、12は隔離体、1
3は第2の高分子化合物層、14は正極合剤層8に備え
た第1の高分子化合物、15は負極合剤層11に備えた
第1の高分子化合物である。
【0024】この例では、隔離体12は正極板6および
負極板9と、第2の高分子化合物層13を介して一体化
されている。また、第1の高分子化合物14の溶媒保持
能力の方が前記第2の高分子化合物13の溶媒保持能力
よりも大きくなっている。
【0025】なお、図3は本発明になる非水電解質二次
電池の極板の断面の他の例を示したもので、図3におけ
る記号6から15は、図1と同じものを示している。こ
の例では、負極板9と隔離体12の間には第2の高分子
化合物層13が存在し、負極内部には第1の高分子化合
物15が存在しているが、正極板6と隔離体12の間に
は第2の高分子化合物層がなく、正極内部には第1の高
分子化合物が存在しない。
【0026】そのほかにも、図3とは逆に、正極板と隔
離体の間には第2の高分子化合物層が存在し、正極内部
には第1の高分子化合物が存在しているが、負極板と隔
離体の間には第2の高分子化合物層がなく、負極内部に
は第1の高分子化合物が存在しない場合も成り立つ。
【0027】さらに、負極板と隔離体の間には第2の高
分子化合物層が存在し、負極内部には第1の高分子化合
物が存在しているが、正極板と隔離体の間には第2の高
分子化合物層が存在し、正極内部には第1の高分子化合
物が存在しない場合や、負極板と隔離体の間には第2の
高分子化合物層が存在し、負極内部には第1の高分子化
合物が存在しているが、正極板と隔離体の間には第2の
高分子化合物層が存在せず、正極内部には第1の高分子
化合物が存在している場合も成り立つ。
【0028】また、正極板と隔離体の間には第2の高分
子化合物層が存在し、正極内部には第1の高分子化合物
が存在しているが、負極板と隔離体の間には第2の高分
子化合物層が存在し、負極内部には第1の高分子化合物
が存在しない場合や、正極板と隔離体の間には第2の高
分子化合物層が存在し、正極内部には第1の高分子化合
物が存在しているが、負極板と隔離体の間には第2の高
分子化合物層が存在せず、負極内部には第1の高分子化
合物が存在している場合も成り立つ。
【0029】本発明によると、第2の高分子化合物に、
第1の高分子化合物よりも溶媒保持能力の小さい高分子
化合物を用いているため、過充電などの異常時に電池温
度が上昇しても第2の高分子化合物が溶解しないため、
内部短絡を起こすことがなく、安全性に優れた電池を供
給することができる。
【0030】また、極板内部の多孔質の第1の高分子化
合物に、第2の高分子化合物よりも溶媒保持能力が大き
い高分子化合物を用いることにより、電池内の余分な電
解液を減らすことにより、電池の安全性を高めることが
できる。
【0031】本発明においては、正極−隔離体間と負極
−隔離体間の少なくとも一方に備える第2の高分子化合
物を有孔性とすることにより、第2の高分子化合物層に
電解液を保持させることができ、電極と隔離体間の抵抗
を減少させて、高率放電特性に優れた非水電解質二次電
池をえることができる。なお、第2の高分子化合物層に
はアルミナ粒子などの無機フィラーを含んでいても構わ
ない。
【0032】本発明における正極−隔離体間と負極−隔
離体間の少なくとも一方に備える第2の高分子化合物と
しては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレ
フィン系樹脂やポリフッ化ビニリデンやポリテトラフル
オロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレートなどのポリエステル樹脂やアクリル系樹脂、ポ
リアミド、ポリイミド等を用いることができるが、製造
の容易さなどからポリフッ化ビニリデンが好適である。
【0033】ポリフッ化ビニリデンは、溶媒保持能力が
低く、非水電解液共存下においても110℃以上の高い
融点を有しているため、電池が高温にさらされても溶解
せず、内部短絡を起こすことがなく、安全な電池を供給
することができる。
【0034】さらに、ポリフッ化ビニリデンの重量平均
重合度を40万以上とすることにより、非水電解液中に
おいても融点を120℃以上と高くすることができるた
め、80〜100℃といった高温で電池を放置した場合
でも、ポリフッ化ビニリデンが溶解することがなく、正
極と負極との短絡を防止することができ、安全性に優れ
た電池が得られるものである。
【0035】次に、正極と負極の少なくとも一方の電極
内部に備える有孔性の第1の高分子化合物としては、ポ
リエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなど
のポリエーテル系樹脂やポリ弗化ビニリデンやポリテト
ラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリアクリロ
ニトリルやアクリル系樹脂等を用いることができるが、
製造の容易さや放電性能などからポリフッ化ビニリデン
の共重合体が好ましく、特にポリフッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロプレン共重合体が好適である。
【0036】フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピ
レンの共重合体において、ヘキサフルオロプロピレンは
非晶質部として導入されるため、共重合体の溶媒保持能
力を高めることができる。
【0037】正極または負極内部に有孔性の第1の高分
子化合物を導入する方法としては、あらかじめ第1の高
分子化合物を溶解させた溶液中に極板を浸漬し、電極の
孔中に高分子溶液を含浸させた後、溶媒抽出法によって
多孔化する方法が用いられる。
【0038】また、本発明において、電極の孔中にポリ
マーを均一に導入する方法として、ポリマー含有溶液ま
たは/および電極を10〜200℃の温度、さらに好ま
しくは60℃以下の温度に加温または加熱して使用する
方法、ポリマー含有溶液を保持した電極を真空中に置く
方法、前記ポリマー含有溶液を攪拌または流動させる方
法、前記ポリマー含有溶液または/および電極を振動さ
せる方法等がある。
【0039】また、電極孔中にポリマーを備えさせる工
程は、電極をプレスする前におこなうことが望ましく、
さらに好ましくは、プレス前の電極表面の余分なポリマ
ー含有溶液、乳濁液または懸濁液は、ローラーなどに通
すことによって取り除かれることが望ましい。
【0040】電極内部に備える第1の高分子化合物とし
て有孔性高分子を用いると、その孔部分にも電解液を保
持できるため、有孔性高分子の孔部分に存在する電解液
中をリチウムイオンが移動でき、高いイオン伝導率を保
つことができる。
【0041】しかし、第1のに高分子化合物としてのフ
ッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体
中のヘキサフルオロプロピレン含有量が10wt%を超
えると、60〜80℃での高温において、高分子化合物
の形状が保てなくなり、孔が塞がったり、電解液中に完
全に溶けてしまうため、電解液の粘性が上がり、イオン
伝導率が低下してしまい、良好な放電特性が得られな
い。
【0042】また、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロ
プロピレンの共重合体中のヘキサフルオロプロピレン含
有量が1wt%未満になると膨潤性が小さいため、高分
子化合物に電解液を保持させることが困難になり、期待
する効果が得られなくなる。そのため、フッ化ビニリデ
ンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体中のヘキサフ
ルオロプロピレン含有量は1wt%以上10%wt以下
が好ましい。
【0043】さらに、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体の平均分子量を40万以上と
することにより、非水電解質中での融点を80℃より高
くすることができ、高温に放置された場合でも放電特性
に優れた非水電解質二次電池を供給することができる。
【0044】さらに、隔離体と正極または負極とを一体
化することにより、正極と負極間の距離を均一にするこ
とができるため、極板の一部に電流が集中しにくく、性
能の安定した電池を供給することができる。なお、ここ
で「隔離体と正極または負極とが一体化」とは、隔離体
と正極または負極が、高分子化合物層を介して接着や熱
溶着等の方法により、簡単には剥離しない状態になって
いることを意味する。
【0045】隔離体と正極板または負極板とを一体化さ
せる方法としては、あらかじめ溶媒に第1の高分子化合
物を溶かした溶液を用い、正極板、負極板または隔離体
の少なくともいずれか一方の表面に、前記溶液を塗布し
た後、正極板または負極板と隔離体とを貼り付け、乾燥
によって該溶媒を除去することにより接着させる方法を
用いることができる。
【0046】第1の高分子化合物を溶かす溶媒として
は、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの炭酸
エステル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチ
ルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル、ジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリジノ
ン、n−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0047】また、隔離体と正極板または負極板とを一
体化させる方法としては上記方法以外にも、あらかじめ
薄膜化した高分子膜を正極または負極板と隔離体の間に
配した後、ヒートプレスすることにより融着させる方法
も用いることができる。また、あらかじめ隔離体に第1
の高分子化合物を含浸もしくは塗布した膜を用い、極板
にヒートプレスすることにより接着するか、前記膜と極
板を巻回した後、または電解液を注液した後に加熱する
ことにより一体化することもできる。
【0048】第1の高分子化合物や第2の高分子化合物
を多孔化する方法としては、溶媒抽出法を用いる。溶媒
抽出法においては、第1の溶媒と第2の溶媒の2種類の
溶媒を使用する。第1の溶媒は高分子化合物を溶解する
溶媒である。ポリマー溶液は、第1の溶媒と高分子化合
物とを含むものである。第2の溶媒は、ポリマー溶液か
ら第1の溶媒を抽出する抽出用溶媒である。
【0049】溶媒抽出法は、高分子化合物を溶解したポ
リマー溶液を、高分子化合物が溶解せず、第1の溶媒と
相溶性のある第2の溶媒中に浸漬することによって、ポ
リマー溶液の第1の溶媒を抽出し、高分子化合物の溶媒
が除去された部分が孔となって、有孔性高分子化合物を
得るものである。溶媒抽出法は、高分子化合物の開口部
に円形の孔を形成することができる。
【0050】高分子化合物を溶解する第1の溶媒として
は、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの炭酸
エステル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチ
ルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル、ジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリジノ
ン、n−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0051】また、ポリマー溶液中の第1の溶媒を抽出
する第2の溶媒としては、第1の溶媒と相溶性があれば
なんでもよく、例えば水、アルコール、アセトンなどが
挙げられ、あるいはこれらの混合溶液を使用してもよ
い。
【0052】また、本発明になる有孔性高分子において
は、前記高分子が網目状構造を形成しており、かつ三次
元連通孔を形成していることが好ましい。また、本発明
において、電極内部の孔中に備える有孔性高分子は、多
孔度が30〜90%であることが望ましく、さらに好ま
しくは、50〜75%であることが望ましい。
【0053】本発明になる非水電解質電池の単電池ケー
スとしては、金属ラミネート樹脂フィルムよりなる袋状
単電池ケースや金属ケース等を用いることもできる。
【0054】なお、金属ラミネート樹脂フィルムの金属
の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金、チ
タン箔などを使用することができる。また、金属ラミネ
ート樹脂フィルムの熱溶着部の材質としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートな
どの熱可塑性高分子材料であればどのような物質でもよ
い。また、金属ラミネート樹脂フィルムの樹脂層や金属
箔層は、それぞれ1層に限定されるものではなく、2層
以上であってもかまわない。
【0055】本発明になる非水電解質二次電池に使用す
る電解液溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチ
ルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチル
アセテート等の極性溶媒、もしくはこれらの混合物を使
用してもよい。
【0056】また、有機溶媒に溶解するリチウム塩とし
ては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAs
6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiN(SO2
CF32、LiN(SO2CF2CF32、LiN(CO
CF32およびLiN(COCF2CF32などの塩も
しくはこれらの混合物でもよい。
【0057】また、本発明になる非水電解質二次電池の
隔離体としては、絶縁性のポリエチレン微多孔膜やポリ
プロピレン微多孔膜、ポリエチレン−ポリプロピレン複
合微多孔膜などのポリオレフィン微多孔膜に電解液を含
浸したものや、不織布もしくは不織布に高分子固体電解
質を含浸もしくは貼り合わせたものを用いることができ
る。
【0058】さらに、正極材料たるリチウムを吸蔵放出
可能な化合物としては、無機化合物としては、組成式L
ixMO2、またはLiyM24(ただしM は遷移金
属、0≦x≦1、0≦y≦2 )で表される、複合酸化
物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属
カルコゲン化物を用いることができる。その具体例とし
ては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li
2Mn24、MnO2、FeO2、V25、V613、Ti
2、TiS2等が挙げられる。また、有機化合物として
は例えばポリアニリン等の導電性ポリマー等が挙げられ
る。さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上記各
種活物質を混合して用いてもよい。
【0059】さらに、負極材料たる化合物としては、A
l、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合
金、LiFe23、WO2、MoO2等の遷移金属酸化
物、グラファイト、カーボン等の炭素質材料、Li
5(Li3N)等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム
箔、又はこれらの混合物を用いてもよい。
【0060】さらに、正極および負極リード端子の材料
としては、厚み50〜150μmの金属を用いることが
できる。その具体例としては、アルミニウム、銅、ニッ
ケル、チタニウム、ステンレス鋼およびこれらの合金等
が挙げられる。
【0061】
【実施例】次に、本発明を好適な実施例にもとづき説明
する。
【0062】本発明における高分子化合物材料としてフ
ッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン
(HFP)の共重合体(P(VdF−HFP))を用
い、分子量および電解液共存下における共重合体の融点
測定した。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロ
ピレンを重量比で100:0から85:15の所定の重
量比で混合し、懸濁重合法で重合したものを用いた。
【0063】これらのポリマーの非水電解液共存下にお
ける融解温度を測定するために、1mol/Lの割合で
6フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を溶解したエチレ
ンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(体
積比3:7)5mgにポリマー1mgを浸漬した試料を
示差走査型熱量計(DSC)でDSC測定を行った。
【0064】試料をSUS製の密閉容器に封入し、5℃
/minの昇温速度で200℃まで昇温した際の吸発熱
量を測定し、吸熱ピークにおける温度を融点とした。
【0065】ポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パー
ミエイション・クロマトグラフィ(GPC)を用いて、
ポリマーを0.2wt%の濃度で溶解したジメチルアセ
トアミド溶液について、温度40℃、流量0.8ml/
minで測定した。
【0066】共重合体の溶媒保持能力は、共重合体を薄
膜化したもの1gを6フッ化燐酸リチウム(LiP
6)を溶解したエチレンカーボネートとジメチルカー
ボネートの混合溶媒(体積比3:7)10mg中に浸漬
させ、60℃で1日間放置させて測定した。放置前の共
重合体重量と放置後の共重合体重量の差を、共重合体が
保持した溶媒の重量とし、溶媒保持能力は、共重合体1
gが保持する溶媒の重量(g)で表した。なお、この測
定では、有孔性ではない共重合体を使用した。
【0067】表1に、非水電解液共存下での融点と平均
分子量および溶媒保持能力の測定結果を示す。
【0068】
【表1】
【0069】つぎに、本発明になる非水電解質二次電池
の製作方法を説明する。ここでは、電極内部に備える第
1の高分子化合物としてフッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(P(VdF−HFP))、電
極−隔離体間に備える第2の高分子化合物として、ポリ
フッ化ビニリデン(PVdF)またはフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF−H
FP))を使用した電池を作製し、その特性を比較し
た。
【0070】まず、正極板の製作をおこなった。正極活
物質にはリチウムコバルト複合酸化物を用いた。正極板
は集電体の両面に上記のリチウムコバルト複合酸化物が
活物質として保持したものである。集電体は厚さ20μ
mのアルミニウム箔を用いた。正極板は、結着剤である
ポリフッ化ビニリデン6wt%と導電剤であるアセチレ
ンブラック3wt%とを活物質91wt%とともに混合
し、N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調製し
た後、その集電体材料の両面に塗布、乾燥することによ
って製作した。
【0071】次に、上記正極板の孔中への有孔性フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P
(VdF−HFP))の含浸をおこなった。まず、表1
に示した共重合体サンプルD〜Jをそれぞれ8wt%づ
つをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した
溶液(P(VdF/NMP)溶液)を作製した。
【0072】上記にて作製した正極板をPVdF/NM
P溶液に5分間浸漬させることにより、正極板の孔中に
PVdF/NMP溶液を含浸させた。次に、溶媒抽出法
により、この正極板を5分間水中に浸漬した後、130
℃で乾燥をおこない、水とNMPを除去することによっ
て、正極板の合剤層の孔中に有孔性共重合体を有する正
極板を得た。
【0073】負極板は、集電体の両面に、ホスト物質と
してのグラファイト(黒鉛)92wt%と結着剤として
のポリフッ化ビニリデン8wt%とを混合し、N−メチ
ルピロリドンを加えてペースト状に調製したものを塗
布、乾燥することによって製作した。負極板の集電体
は、厚さ14μmの銅箔を用いた。
【0074】次に、得た負極板を上記PVdF/NMP
溶液に5分間浸漬させることにより、負極板の合剤層の
孔中にPVdF/MNP溶液を含浸させた。この負極板
を、溶媒抽出法により、この負極板を5分間水中に浸漬
した後、100℃で乾燥をおこない、水とNMPを除去
することによって、負極板の合剤層の孔中に多孔性共重
合体を有する負極板を得た。
【0075】隔離体はポリエチレン微多孔膜とし、ま
た、電解液は、LiPF6を1mol/L含むエチレン
カーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積
比)の混合液とした。
【0076】極板の寸法は、正極板が厚さ180μm、
幅42mm、セパレータが厚さ25μm、幅46mm、
負極板が厚さ170μm、幅45mmとした。
【0077】次に、表1に示した共重合体サンプルA〜
Eそれぞれ10wt%づつをN−メチル−2−ピロリド
ン(NMP)に溶解した溶液(P(VdF/NMP)溶
液)を作製した。
【0078】得られた正極板及び負極板の端部にそれぞ
れリード端子を溶接した後、前記高分子溶液を正極およ
び負極板の表面に塗布し、正極リード端子と負極リード
端子がともに巻きはじめ部となるようにし、正極板、隔
離体、負極板および隔離体がこの順序で交互に重なり合
うようにし、ポリエチレンの長方形状の巻芯を中心とし
て、長辺が発電要素の巻回中心軸と平行になるよう、そ
の周囲に長円渦状に巻回して、46×35×4mmの大
きさの発電要素とした。
【0079】この発電要素をステンレス板で挟み込み、
100℃で1日間乾燥しNMPを除去することによっ
て、本発明になる正極板および負極板と隔離体が一体化
した発電要素を得た。なお、正極リード端子には厚み1
00μmのアルミニウム片を用い、負極リード端子には
厚み100μmのニッケル片を用いた。
【0080】そして、電極の絶縁部分をポリプロピレン
からなる巻き止め用テープ(ここでは接着剤が片面に塗
布されている)で電極幅(発電要素の巻回中心軸と平行
な発電要素の長さ)に相当する長さを、巻回中心軸と平
行な発電要素側壁部分に貼り付け、発電要素を巻き止め
固定した。
【0081】これを金属ラミネート樹脂フィルムケース
に、長円形巻回型発電要素はその巻回中心軸が袋状金属
ラミネート樹脂フィルムケースの開口面におおむね垂直
方向となるように収納し、リード端子を固定して密封
し、電解液を、各電極と隔離体が十分湿潤し、発電要素
外にフリーな電解液が存在しない量を真空注液した。
【0082】最後に、密封溶着を行って、正極板および
負極板中の共重合体サンプルをD〜Jとし、正極板−隔
離体間および負極板−隔離体間の共重合体サンプルをB
とする電池、および正極板および負極板中の共重合体サ
ンプルをFとし、正極板−隔離体間および負極板−隔離
体間の共重合体サンプルをA〜Eとする、公称容量50
0mAhのラミネート型非水電解質二次電池を試作し
た。
【0083】[比較例1]比較例1は正極および負極板
と隔離体を接着せず、さらに極板内に多孔性ポリマーを
備えていないこと以外は実施例と同様の構成要素および
作製方法で製作した非水電解質二次電池である。
【0084】表2に、試作した電池記号と、正極板およ
び負極板中の共重合体サンプルと正極板−隔離体間およ
び負極板−隔離体間の共重合体サンプルの関係を示す。
【0085】
【表2】
【0086】本発明になる非水電解質二次電池の高率放
電特性および低温放電特性を調べるために、表2に示し
た各電池を、25℃の恒温槽中で、500mAの充電電
流で4.2Vまで定電流/定電圧法により3時間充電を
おこなった後、500mA(1CmA)、1000mA
(2CmA)の各放電電流で放電をおこなった。その結
果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】電池2および4、5の結果より、極板−隔
離体間に備える第2の高分子化合物として共重合体を使
用すると、電池の高率放電特性が急激に低下することが
わかった。これは、共重合体中のHFP含有量が大きい
と共重合体の膨潤性が増加するため、極板−隔離体間に
おけるフリーな電解液量が減り、極板間のイオン伝導度
が低下するためである。この結果、極板−隔離体間に備
える第2の高分子化合物としては、電池2のように、ポ
リフッ化ビニリデンを使用することが好ましいことかわ
かった。
【0089】また、電池2および6〜9の結果より、極
板内部の有孔性共重合体中のHFP含有量が10wt%
より大きくなると、電池の高率放電特性が大きく低下す
ることがわかった。これも、HFP含有量が大きいと共
重合体の膨潤性が増加するため、極板内におけるフリー
な電解液量が減りイオン伝導度が低下するためである。
【0090】電池2および10、11の結果より、極板
内部の有孔性共重合体の重量平均分子量が40万より小
さくなると、電池の高率放電特性が大きく低下した。こ
れも、重量平均分子量が40万より小さくなることによ
り、共重合体の膨潤性が増加するために、極板内部にお
けるフリーな電解液量が減りイオン伝導度が低下するた
めである。
【0091】以上の結果より明らかなように、極板−隔
離体間の共重合体にHFP含有量が1wt%以下のP
(VdF/HFP)を用い、極板内部の有孔性共重合体
にHFP含有量が10wt%下でかつ重量平均分子量が
40万以上のP(VdF/HFP)を用いることによ
り、共重合体を備えていない比較例1の電池と同等の高
率放電特性および低温放電特性を保持させることができ
た。
【0092】つぎに、過充電時の安全性を評価するため
に、表2に示した各電池を、温度25℃において電流5
00mAで電圧10Vまで充電することにより、過充電
状態の安全性試験を行った。その結果を表4に示す。な
お、各電池について50セルづつ試験を行ない、表4に
は破裂、発火に至った個数を示した。
【0093】
【表4】
【0094】表3から明らかなように、比較例1におい
てはすべて破裂、発火を伴うような危険な状態に陥っ
た。一方、正極板および負極板と隔離体を一体化し、正
極板および負極板内部に有孔性共重合体を備えた電池1
〜11では破裂、発火に至る電池個数が劇的に減少し、
本発明により安全化が図られることがわかった。
【0095】特に、正極板−隔離体間および負極板−隔
離体間の高分子化合物がポリフッ化ビニリデンで、か
つ、重量平均分子量が40万以上の共重合体を用いるこ
とにより、より安全性の優れた電池を得ることができ
る。
【0096】なお、電池1、4および5で破裂、発火に
至る電池数が増えたのは、共重合体中のHFP含有量
が、電池4および5のように1wt%以上か、あるい
は、電池1のように重量平均分子量が40万より小さい
と、電池の温度が上昇した際に、120℃以下という低
い温度で共重合体が融解するために、極板と隔離体の一
体化を維持することができず、さらに温度が上昇したと
きに隔離体の収縮が起こり、正極と負極板が接触して短
絡し、急激な発熱を引き起こすためである。
【0097】一方、本発明になる第2の高分子化合物が
ポリフッ化ビニリデンで、かつ、重量平均分子量が40
万以上の共重合体を用いると、隔離体が熱閉塞する温度
においても極板と隔離体が強固に接着されているため隔
離体の収縮が起こらず、短絡することがないからであ
る。
【0098】実使用時に起こりうる例として、電池が高
温下で放置されたときの電池特性を評価するために、9
0℃放置試験をおこなった。実施例1、2および3と比
較例1の電池を、500mAの充電電流で4.2Vまで
定電流/定電圧法により3時間充電をおこなった。これ
らの電池を90℃の恒温槽中で3日間を放置した後、放
電し再充電した後に回復する容量(回復容量)を測定し
た。その結果を表5に示す。放電は、500mAの放電
電流で2.75Vまでおこなった。
【0099】
【表5】
【0100】以上の結果より、極板−隔離体間の共重合
体にHFP含有量が1wt%以下の共重合体を用い、か
つ、極板内部の有孔性共重合体にHFP含有量が3wt
%以上10wt%以下であり、重量平均分子量が40万
以上の共重合体を用いることにより、比較例1より優れ
た高温放置性能を得ることができる。
【0101】これは、90℃という高温下においても共
重合体が安定に存在するため、極板と隔離体が強固に一
体化されており、高温で電解液の分解によりガスが発生
しても極板と隔離体が離れることがなく、極間距離を一
定に保つことができるからである。
【0102】また、本発明における共重合体を用いるこ
とにより、極板内部の有孔性共重合体も融解することな
く、形状を保つことができるため、Liイオンの拡散を
妨げることがなく、分極の増大を引き起こすことがな
い。
【0103】また、比較例1において、高温放置時の放
電容量が低下するのは、高温で電解液の分解によりガス
が発生し電池が膨れると、極板と隔離体が一体化されて
いないため、極間距離を維持することができなく、極間
が離れてしまうため、分極が増大し放電できなくなるか
らである。
【0104】一方、電池9、10では極板内部の有孔性
共重合体が融解するため、有機電解液の粘度が高くなり
リチウムイオンの輸送が妨げられる。また、同時に共重
合体の形状を保持できず、共重合体の孔を塞ぐことによ
りリチウムイオンの主経路である電解液の通路がふさが
ってしまい、放電容量が激減した。
【0105】なお、以上の実施例では、正極および負極
の内部に第1の高分子化合物を備え、正極−隔離体間お
よび負極−隔離体間に第2の高分子化合物を備えた例を
示したが、第1の高分子化合物を正極と負極の少なくと
も一方の電極内部に備えた場合あるいは第2の高分子化
合物を正極−隔離体間と負極−隔離体間の少なくとも一
方に備えた場合にも、実施例と同程度の優れた電池特性
が得られた。
【0106】以上の結果より明らかなように、本発明の
構成とすることにより、放電特性を低下させることな
く、高温環境下での放置特性に優れ、かつ、過充電時の
安全性に優れる非水電解質二次電池が得られることがわ
かった。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、正極と負極と隔離体と
非水電解液を備えた非水電解質二次電池において、正極
と負極の少なくとも一方の電極内部に第1の高分子化合
物を備え、正極−隔離体間と負極−隔離体間の少なくと
も一方に第2の高分子化合物を備え、前記第1の高分子
化合物が有孔性であり、前記第1の高分子化合物の溶媒
保持能力の方が前記第2の高分子化合物の溶媒保持能力
よりも大きくすることにより、高温環境下に放置されて
も、極板と隔離体が剥がれることがないため、極間を一
定に保つことができ、かつ、高分子化合物の形状が破壊
されることなく良好な電池特性を得ることができる。
【0108】また、過充電時などの異常時においても極
板と隔離体が強固に接着されているため、隔離体の収縮
が起こらず内部短絡を引き起こすことがなく良好に電流
を遮断でき、安全性に優れる非水電解質二次電池を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる非水電解質二次電池の極板の断面
の一例を示す図。
【図2】本発明になる非水電解質二次電池の外観を示す
図。
【図3】本発明になる非水電解質二次電池の極板の断面
の他の例を示す図。
【符号の説明】
1 袋状単電池ケース 2 巻回型発電要素 3 巻回型発電要素の巻回中心軸 4 正極リード端子 5 負極リード端子 6 正極板 7 正極集電体 8 正極合剤層 9 負極板 10 負極集電体 11 負極合剤層 12 隔離体 13 第2の高分子化合物層 14 正極合剤層8に備えた第1の高分子化合物 15 負極合剤層11に備えた第1の高分子化合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 真也 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 1番地 日本電池株式会社内 (72)発明者 森 澄男 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 1番地 日本電池株式会社内 (72)発明者 田川 昌宏 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 1番地 日本電池株式会社内 (72)発明者 桑原 義弘 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 1番地 日本電池株式会社内 Fターム(参考) 5H021 BB12 BB13 CC04 CC08 EE10 EE27 HH07 5H029 AJ01 AJ04 AJ12 AK03 AL07 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 CJ02 CJ06 CJ12 CJ13 CJ22 DJ04 DJ13 DJ14 EJ12 EJ14 HJ01 HJ11 5H050 AA03 AA10 AA15 BA18 CA08 CB08 DA09 DA13 DA14 DA19 EA24 FA05 FA13 FA15 FA18 GA02 GA08 GA12 GA13 GA22 HA01 HA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と負極と隔離体と非水電解液を備え
    た非水電解質二次電池において、正極と負極の少なくと
    も一方の電極内部に第1の高分子化合物を備え、正極−
    隔離体間と負極−隔離体間の少なくとも一方に第2の高
    分子化合物を備え、前記第1の高分子化合物が有孔性で
    あり、前記第1の高分子化合物の溶媒保持能力の方が前
    記第2の高分子化合物の溶媒保持能力よりも大きいこと
    を特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】第2の高分子化合物が有孔性であることを
    特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 第2の高分子化合物がポリフッ化ビニリ
    デンあることを特徴とする請求項1または2記載の非水
    電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量
    が40万以上であることを特徴とする請求項3記載の非
    水電解質二次電池。
  5. 【請求項5】 第1の高分子化合物がフッ化ビニリデン
    とヘキサフルオロプロピレンの共重合体でああることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の非水電解質
    二次電池。
  6. 【請求項6】 フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロ
    ピレンの共重合体中のヘキサフルオロプロピレンの含有
    量が1重量%以上10重量%以下であることを特徴とす
    る請求項5記載の非水電解質二次電池。
  7. 【請求項7】 フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロ
    ピレンの共重合体の重量平均分子量が400,000以
    上であることを特徴とする請求項5または6記載の非水
    電解質二次電池。
  8. 【請求項8】 電極と第2の高分子化合物と隔離体とが
    一体化されていることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6または7記載の非水電解質二次電池。
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