JP2002025553A - アルカリ二次電池用正極活物質 - Google Patents

アルカリ二次電池用正極活物質

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JP2002025553A
JP2002025553A JP2000209793A JP2000209793A JP2002025553A JP 2002025553 A JP2002025553 A JP 2002025553A JP 2000209793 A JP2000209793 A JP 2000209793A JP 2000209793 A JP2000209793 A JP 2000209793A JP 2002025553 A JP2002025553 A JP 2002025553A
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JP2000209793A
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Shinichi Miyamoto
宮本  慎一
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Toshiba Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 利用率の高いアルカリ二次電池用正極活物質
を提供する。 【解決手段】 水酸化ニッケルを主成分とする粉末の少
なくとも表面にコバルトの高次酸化物が存在するアルカ
リ二次電池用正極活物質であって、KBr法で赤外吸収
スペクトルを測定したときに、下記のスペクトル特性: A.(T1000−T700)/300≦0.05 (ただし、T1000は波長1000cm-1における透過率
(%表示)、T700は波長700cm-1における透過率
(%表示)を表す) B.700cm-1〜1000cm-1の波数領域における透過
率の最大値は40%以下、を示すアルカリ二次電池用正
極活物質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリ二次電池用
正極活物質に関し、更に詳しくは、高容量で高い利用率
を示す正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル・水素二次電池やニッケル・カ
ドミウム二次電池に代表されるアルカリ二次電池の正極
としては、焼結式のものとペースト式のものに大別され
るが、活物質である水酸化ニッケルを主成分とする粉末
を用いて調製したペーストを3次元網状構造の集電体に
充填または塗着して製造するペースト式の正極が、電池
の高容量化などの点で有利であるため主流になってい
る。
【0003】ところで、組み立てた電池の初充電時にお
いても、また実使用時における充放電サイクル過程にお
いても、正極活物質の相互の間、および正極活物質と集
電体の間の導電性が高いということは、正極活物質が有
効に機能してその利用率が高くなり、そのことによって
電池反応が円滑に進むので、正極の理論容量を実現でき
るという点で重要な問題である。
【0004】このような課題を実現するために、正極用
のペースト調製時に、金属コバルトや、水酸化コバル
ト,四酸化三コバルト,三酸化二コバルト,一酸化コバ
ルトのようなコバルト化合物、またはそれらの混合物の
所定量を導電材として添加する方法が従来から行われて
いる。このようにして製造した活物質粉末を担持する正
極が組み込まれているアルカリ二次電池の場合、上記し
た活物質粉末に含有されている金属コバルトやコバルト
化合物は、いずれも、アルカリ電解液に錯イオンとなっ
て一旦溶解し、それが水酸化ニッケル粉末間に拡散して
当該粉末の表面に分布する。そして、電池への例えば初
充電時に、これら錯イオンは水酸化ニッケルよりも先に
酸化されて導電性を有するコバルトの高次酸化物に転化
し、それが活物質である水酸化ニッケル粉末の相互の間
と、活物質と集電体の間に析出し、いわば導電性のマト
リックスが形成される。その結果として、活物質の相互
間および活物質と集電体の間における導電性は向上し、
もって活物質の利用率が向上する。
【0005】しかしながら、上記した方法の場合、過放
電を行うと、コバルトの還元により、電池容量の低下と
いう問題が生じてくる。このような問題に対しては、水
酸化ニッケル粉末と、コバルト化合物が溶解されている
アルカリ水溶液を混合し、同時に酸素共存下で加熱する
ことにより、水酸化ニッケル粉末の表面を予めコバルト
の高次酸化物で被覆し、それを活物質として使用するこ
とが提案されている(例えば、特開平9−73900号
公報を参照)。
【0006】この活物質粉末の場合は、水酸化ニッケル
粉末の表面に、予めコバルトの高次酸化物から成る導電
性マトリックスが形成されているので、既にその利用率
が向上したものになっている。しかしながら、表面に上
記した導電性マトリックスが形成されている活物質粉末
を担持する正極が組み込まれているアルカリ二次電池の
場合であっても、時として、活物質の利用率の低下とい
う問題が生じている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は高い利用率
を示す正極活物質の製造を目的とする研究過程で、活物
質に関する後述する特性は活物質の利用率の高低を評価
するための基準になり得るとの知見を得、その特性と活
物質の利用率との関係を調べることにより、その特性を
決定することに成功した。
【0008】このことを踏まえて、本発明は開発された
ものであって、その目的とするところは、新規な評価基
準で特徴づけられる利用率の高いアルカリ二次電池用正
極活物質を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、コバルトの高次酸化物が水
酸化ニッケルを主成分とする粉末の少なくとも表面に存
在するアルカリ二次電池用正極活物質であって、KBr
法で赤外吸収スペクトルを測定したときに、下記のスペ
クトル特性: A.(T1000−T700)/300≦0.05 (ただし、T1000は波長1000cm-1における透過率
(%表示)、T700は波長700cm-1における透過率
(%表示)を表す) B.700cm-1〜1000cm-1の波数領域における透過
率の最大値は40%以下、を示すことを特徴とするアル
カリ二次電池用正極活物質が提供される。
【0010】更に、本発明においては、上記したスペク
トル特性A,Bの外に、下記のスペクトル特性C,D: C.(T3000−T2400)/600≧−0.02 (ただし、T3000は波数3000cm-1における透過率
(%表示)、T2400は波数2400cm-1における透過率
(%表示)を表す) D.2400cm-1〜3000cm-1の波数領域における透
過率は50%以下、または、下記のスペクトル特性E,
F: E.(T3600−T3400)/200≧−0.06 (ただし、T3600は波数3600cm-1における透過率
(%表示)、T3400は波数3400cm-1における透過率
(%表示)を表す) F.3400cm-1〜3600cm-1の波数領域における透
過率は50%以下ののいずれかまたは両方を示すアルカ
リ二次電池用正極活物質が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】まず最初に、本発明を開発するに
至る過程について説明する。 (1)活物質の利用率は、活物質それ自体の導電性の大
小で律速されるが、同時に、活物質の結晶内におけるプ
ロトンディフュージョンの強弱によっても律速されるこ
とが多い。
【0012】そして、導電性の大小は、基本的には、活
物質に存在する自由電子の多寡によって規定されるもの
と考えられる。また、プロトンディフュージョンは、基
本的には、活物質における結晶歪みの大小で規制される
が、同時に、活物質内に存在するO−H結合の強弱によ
っても規制されるものと考えられる。そして、O−H結
合が弱く、Hの放出・授受が起こりやすい活物質の場合
は、プロトンディフュージョンも良好に発現して利用率
は高くなるものと考えられる。同時に、そのことは、自
由電子を生成させることにもなるため、活物質の電子伝
導性を高め、そのことによって活物質の導電性を高める
ことになり、利用率の向上に資するものと考えられる。
【0013】(2)ところで、電子伝導性の高い材料
は、一般に、光に対して大きな反射率を示す、逆にいえ
ば光の透過率は低いということが知られている。したが
って、高い利用率を示す活物質は、光の透過率が低いも
のと考えられる。 (3)このようなことから、本発明者は、活物質の利用
率の大小に影響を与えるO−H結合の強弱の把握を赤外
吸収スペクトルで行うことを着想した。そして、各種の
活物質を製造し、それらのKBr法による赤外吸収スペ
クトルを測定し、同時に、それら活物質の利用率を後述
する単極セルを用いて測定した。
【0014】そして、各活物質につき、赤外吸収スペク
トルにおける透過率と利用率との関係を解析したとこ
ろ、両者の間には相関関係が成立していることを見出し
たのである。 (4)すなわち、前記したスペクトル特性A,Bを示
し、更にはスペクトル特性C,D;スペクトル特性E,
Fを同時に示す活物質は、高い利用率の活物質として使
用できるとの知見を得、本発明の活物質を開発するに至
ったのである。
【0015】上記したスペクトル特性の説明に先立ち、
まず、本発明の正極活物質の構成について説明する。本
発明の正極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする粉
末の少なくとも表面、具体的には、表面の全部もしくは
その一部や、粉末の内部にコバルトの高次酸化物が存在
しているものである。
【0016】その場合、活物質として用いる水酸化ニッ
ケルは、それを粉末X線回折法で測定したときに、(1
01)面のピーク半価幅が広がるような結晶の歪み状態
にあるものが好ましい。具体的には、(101)面のピ
ーク半価幅が0.8°/2θ(Cu−Kα)以上である
ものが好ましい。これは、結晶を歪ませることにより前
記したプロトンディフュージョンを促進することができ
るからである。
【0017】また、用いる水酸化ニッケルは、水酸化ニ
ッケル単体であってもよいが、亜鉛または/およびコバ
ルトが共晶しているものを好適とする。コバルトが共晶
している場合には、その共晶量が2質量%以下であるこ
とが好ましい。一般に、水酸化ニッケルに他の元素を共
晶させると、その結晶歪みは大きくなる。しかしなが
ら、亜鉛を共晶させると、通常、結晶歪みは小さくなっ
て結晶性が高まり、水酸化ニッケルの結晶構造は安定化
して充放電時の膨潤を抑制することができるが、他方で
はプロトンディフュージョンの低下により活物質として
の利用率は低下するようになる。
【0018】しかしながら、ここに更にコバルトが共晶
されていると、このコバルトが結晶歪みを大きくする作
用を発揮するので、亜鉛共晶のみのときよりもプロトン
ディフュージョンを高め、もって、活物質の利用率の低
下傾向が消去され、同時に結晶構造の適切な安定化も確
保されることになる。その場合、コバルトの共晶量を2
質量%より多くすると、後述する活物質の製造過程で、
コバルトが水酸化ニッケルの結晶性を高めてしまい、結
果として利用率の低下を招く。
【0019】本発明の活物質は次のようにして製造され
る。その1例を以下に説明する。まず、出発素材とし
て、水酸化ニッケルを主成分とする粉末と、金属コバル
ト,水酸化コバルト,四酸化三コバルト,三酸化二コバ
ルト,一酸化コバルト、もしくはそれらの2種以上の混
合物のようなコバルト化合物の粉末とから成る混合粉末
が用意される。
【0020】その場合、上記粉末における金属コバルト
またはコバルト化合物の含有量は粉末全体の質量に対し
0.5〜20質量%の範囲に設定されることが好まし
い。0.5質量%より少ない場合は、得られた活物質粉
末を担持する正極が組み込まれている電池の初充電時に
おける前記した導電性マトリックスの形成が不充分とな
って活物質の利用率は高くならず、また20質量%より
も多くすると、活物質中の水酸化ニッケル粉末の相対的
な割合が減少して、電池の放電容量を低下させるように
なるからである。
【0021】ついで、上記した粉末を攪拌容器内に投入
して混合・攪拌系を構成し、投入した粉末を攪拌しなが
ら、ここにアルカリ水溶液を噴霧したり滴下したりして
両者を均一に混合する。そして、同時にこの混合・攪拌
系を酸素共存下で加熱する。このとき、アルカリ水溶液
としては一般に水酸化ナトリウム水溶液が用いられる
が、更には、この水酸化ナトリウム水溶液に、水酸化カ
リウム水溶液,水酸化リチウム水溶液を混合して成るも
のを用いてもよい。
【0022】上記した粉末とアルカリ水溶液の混合・攪
拌の過程で、粉末に含有されているコバルト化合物の一
部がアルカリ水溶液に錯イオンとなって溶解し、それが
粉末の表面を被覆する状態で粉末間に分布して、前記し
た導電性マトリックスの前駆体を形成する。なお、この
過程では、用いたアルカリ水溶液のアルカリイオンが、
その反応機構は明確ではないが、生成する導電性マトリ
ックスの前駆体に取り込まれた状態で粉末の表面に分布
するようになる。
【0023】このときのアルカリ水溶液の濃度は1〜1
4Nの範囲に設定することが好ましい。1Nより低濃度
である場合には、粉末に含有されている金属コバルトや
コバルト化合物に対する溶解能が低くなって前記した導
電性マトリックスの前駆体の形成が充分に進まず、活物
質の利用率をあまり高められないからであり、また14
Nより高濃度にすると、当該アルカリ水溶液の粘度が高
くなって粉末を充分に濡らすことが困難となり、もって
金属コバルトやコバルト化合物を充分に溶解できなくな
るからである。
【0024】そして、この混合・攪拌系は、酸素共存下
(具体的には例えば大気中)で加熱されることにより、
前記した導電性マトリックスの前駆体の酸化が進み、粉
末の表面を被覆してアルカリ成分を含有した状態にある
コバルト高次酸化物から成る導電性被覆層が形成され
る。ここで、加熱手段は格別限定されるものではなく、
例えば、混合・攪拌系に対する外部加熱や、混合・攪拌
系に直接熱風を吹き当てる方法や、更には、マグネトロ
ンからマイクロウェーブを混合・攪拌系に照射する方法
などをあげることができる。
【0025】これらの加熱手段のうち、マイクロウェー
ブ照射は活物質の利用率向上という点で有用である。す
なわち、マイクロウェーブは、混合・攪拌系において前
記粉末を取り込んで共存している水分子を振動させ、も
って当該粉末を均一に加熱する。そのため、粉末の表面
に形成されている導電性マトリックスの前駆体も均一に
加熱された状態で酸化されることになり、その結果、粉
末の表面には、導電性被覆層であるコバルトの高次酸化
物から成る導電性マトリックスが均一に形成されること
になる。またこのマイクロウェーブの照射は、その投入
されたエネルギーにより、水酸化ニッケル粉末の結晶構
造に欠陥を生じさせたり、また細孔の状態も変化させた
りして、熱処理の水酸化ニッケルの表面活性を大きくす
るような働きもするのではないかと考えられる。
【0026】このようなマイクロウェーブによる熱処理
は、混合・攪拌系に対して20分間程度行えばよい。混
合・攪拌系に適用する熱処理温度は、35〜160℃で
あることが好ましい。35℃より低い温度の場合には、
粉末に含有されている金属コバルトやコバルト化合物の
アルカリ水溶液への溶解量が少なくなって前記した導電
性マトリックスの前駆体の形成が不充分となるため活物
質の利用率はあまり高くならず、また160℃よりも高
い温度にすると、水酸化ニッケル粉末それ自体に構造変
化が起こりはじめて活物質として劣化するようになるか
らである。
【0027】このようにして製造された活物質粉末は、
水酸化ニッケルを主成分とする粉末の表面がアルカリ成
分を含有するコバルトの高次酸化物(導電性マトリック
ス)から成る導電性被覆層で被覆されている。その場
合、上記導電性マトリックスに含有されているアルカリ
成分は、この導電性マトリックスの導電性の向上に寄与
する成分として機能する。
【0028】そして、このアルカリ成分の含有量は、製
造した活物質粉末の質量に対し0.05〜5質量%にな
っていることが好ましい。0.05質量%より少ない場
合は、形成された導電性被覆層の導電性の向上効果が不
充分であるため活物質粉末の利用率は低くなり、また5
質量%より多くなっても導電性被覆層の導電性向上効果
は飽和に達するのみではなく、水と混練して正極合剤の
ペーストを調製することが困難になるからである。好ま
しいアルカリ成分の含有量は、製造した活物質粉末の質
量に対し0.05〜5質量%に設定される。
【0029】次にスペクトル特性について説明する。ま
ず、水酸化ニッケルを主体とする粉末をKBr法で赤外
吸収スペクトルを測定したときに、横軸が波数、縦軸が
透過率である透過スペクトル曲線において、700cm-1
〜1000cm-1の低波数領域では、波数が大きくなるに
つれて透過率も大きくなっていく(吸収は小さくなって
いく)という、波数に対して正の傾きを有する。
【0030】この低波数領域における吸収は、O−H結
合のうちδOH振動モードによるものであって、この吸収
が小さい、換言すれば透過率が大きいということは、H
の離脱・結合が起こりにくく、プロトンディフュージョ
ンが抑制されているということを意味する。したがっ
て、逆にいえば、この低波数領域で小さい透過率(大き
い吸収)を示し、またスペクトル曲線における上記傾き
が小さい値を示す活物質は、プロトンディフュージョン
が起こりやすく、利用率の高い活物質であると考えるこ
とができる。
【0031】このようなことから、本発明者は、この低
波数領域におけるスペクトル曲線の傾きの大小と、また
この低波数領域における透過率の最大値を規定すること
は活物質の利用率の大小の判定因子になり得るとの着想
を抱いた。そして、次のような傾きを示すパラメータを
設定した。すなわち、(T1000−T700)/(100−
700)=(T1000−T700)/300である。ここ
で、T 1000は波数1000cm-1における透過率(%表
示)、T700は波数700cm-1における透過率(%表
示)である。
【0032】そして、このパラメータと活物質の利用率
との関係、またこの低波数領域における透過率の最大値
と活物質の利用率との関係について検討を加えた結果、
前記した請求項1におけるスペクトル特性A,Bを満た
している活物質は高い利用率を示すことを確認したので
ある。また、透過スペクトル曲線においては、波数36
00cm-1付近にνOH振動モードによる吸収ピークが表れ
る。そして、3600cm-1より小さい波数領域ではスペ
クトル曲線は負の傾きを示している。
【0033】このνOH振動モードも活物質におけるプロ
トンディフュージョンの大小を左右するとの観点から、
700cm-1〜1000cm-1の低波数領域の場合と同様の
考え方で、(T3600−T3400)/(3600−340
0)=(T3600−T3400)/200のパラメータを設定
し、このパラメータおよび3400cm-1〜3600cm-1
の波数領域における透過率と、活物質の利用率との検討
を行った。
【0034】その結果、高い利用率を示す活物質は、請
求項3で記載したスペクトル特性E,Fを有しているこ
とが確認されたのである。以上のスペクトル特性は、い
ずれも、活物質におけるO−H結合の強弱を示す指標で
あり、プロトンディフュージョンを規制する因子であ
る。これに対し、請求項2で示したスペクトル特性C,
Dは次のような意味を有していると考えられる。
【0035】すなわち、スペクトル曲線における240
0cm-1〜3000cm-1の波数領域での吸収は、活物質に
存在している自由電子の状態で律速されるものと考えら
れる。その場合、自由電子が多い活物質は、傾向的に金
属性質、換言すれば導電性を示すことになり、その利用
率は高くなるものと考えられる。このような観点に立
ち、2400cm-1〜3000cm-1の波数領域におけるス
ペクトル曲線の傾きを、(T3000−T2400)/3000
−2400=(T3000−T 2400)/600のパラメータ
で表し、このパラメータ、およびこの波数領域における
透過率と、活物質の利用率との関係を検討した。
【0036】その結果、請求項2で示したスペクトル特
性C,Dを有する活物質は高い利用率を有することが確
認されたのである。このように、本発明の活物質は、ま
ず、スペクトル特性A,Bを有していることが前提とす
るが、それは、良好なプロトンディフュージョン特性を
示す。そして、更にスペクトル特性C,Dを有する活物
質は、プロトンディフュージョン効果を発揮するととも
に、傾向的に導電性が良好なものであって、同じく高い
利用率を示す。
【0037】また、スペクトル特性E,Fを有する活物
質も高い利用率を示すのである。
【0038】
【実施例】1.活物質粉末の製造 硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸亜鉛を希硫酸に溶解
し、得られた酸性溶液を水酸化カリウム水溶液とアンモ
ニア水溶液でpH調整することにより、コバルトと亜鉛
を共晶する水酸化ニッケルの沈殿物を調製した。この沈
殿物を濾取したのち乾燥して平均粒径10μmの水酸化
ニッケル粉末を得た。なお、この粉末における亜鉛とコ
バルトの共晶量は、それぞれ、4質量%,4質量%にな
っている。また、この粉末の粉末X線回折法による(1
01)面の半価幅は0.881°/2θ(Cu−Kα)
であった。
【0039】この粉末100質量部に対し、平均粒径1
μmの水酸化コバルト粒子10質量部を混合して出発素
材にした。ついで、マイクロウェーブ照射機能(マグネ
トロン)を備えた混合撹拌装置(内容積10L)に上記
出発素材を投入して攪拌しながら、ここに、8Nの水酸
化ナトリウム水溶液の10質量%相当量を噴霧して両者
を混合し、同時に、この混合・攪拌系にマグネトロンか
らマイクロウェーブを照射して大気中で加熱した。
【0040】このとき、水酸化ナトリウム水溶液の噴霧
量,マグネトロンの出力,マイクロウェーブの照射時
間,反応場の温度などを変化させて、4種類の活物質粉
末a1〜a4を製造した。 2.赤外吸収スペクトルの測定 各活物質とKBrを質量比1:4でメノウ乳鉢で充分に
混合して測定試料を調製し、この測定試料を拡散反射法
に用いる試料ホルダに入れ、フーリエ変換赤外分光光度
計(FT−IR)を用いて透過スペクトルを測定した。
【0041】600cm-1〜1000cm-1の波数領域にお
ける結果を図1に、2400cm-1〜3000cm-1の波数
領域における結果を図2に、3400cm-1〜3800cm
-1の波数領域における結果を図3に示す。 3.単極セルを用いた活物質粉末の利用率の測定 まず、活物質粉末a1〜a12のそれぞれとニッケル粉末
を質量比3:1で混合し、その混合粉末を直径20mmの
ペレット成形器の中に充填し、直径20mm,厚み0.8m
mの測定用ペレット(正極)を成形した。
【0042】ついで、図4で示した単極セルを組み立て
た。まず、上記したペレット(正極)1をニッケルネッ
ト2で挟み、それにニッケルリード3をスポット溶接し
て測定用の電極とした。アクリル樹脂製の容器4の中に
水酸化カリウム水溶液(アルカリ電解液)5を入れ、こ
の水溶液5の中に上記した電極を浸漬した。そして、ニ
ッケルネット2を負極として浸漬し、両者の間にセパレ
ータ7を配置し、更にHg/HgO電極8を参照極とし
て配置して測定用の単極セルとした。
【0043】この単極セルを温度25℃で6時間放置し
たのち、充電レート0.5CmAで3時間充電し、充電終了
後30分の休止時間をおき、放電レート1.0CmAで、参
照極に対するペレット(正極)1の電位が0Vになるま
で放電し、放電終了後30分の休止時間をおくという充
放電を1サイクルとする充放電サイクル試験を3サイク
ル行った。
【0044】3サイクル目の放電容量を測定し、その値
を各正極の理論容量で除算して活物質の利用率(%)を
求めた。 4. スペクトル特性A〜Fと活物質の利用率との関係 図1〜図3から、各活物質a1〜a4のT700,T1000
2400,T3000,T340 0,T3600の値を読み取り、それ
らの値から、それぞれの波数領域におけるスペクトル曲
線の傾きを計算した。また、各波数領域における透過率
も読み取った。
【0045】その結果を、単極セルで測定した利用率と
関係づけて表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、利用率が100
%以上になる活物質は、いずれも、前記したスペクトル
特性A,B,C,D,E,Fのいずれをも満たしてい
る。これに反し、上記スペクトル特性を満たしていない
活物質a4は、その利用率が88%と小さい活物質にな
っている。このようなことから、スペクトル特性A〜F
は、活物質の利用率を評価するための指標として有効で
あることがわかる。
【0048】5.電池による実際の試験 上記した活物質a1〜a4を用いることにより、次のよう
にして実際にニッケル・水素二次電池を組み立てた。ま
ず、上記した活物質100質量部に対し、カルボキシメ
チルセルロース0.25質量部,ポリアクリル酸ナトリ
ウム0.25質量部,ポリテトラフルオロエチレン3質
量部、さらに適量の水を配合して全体を混練し、ペース
トとし、このペーストをニッケル繊維基板に充填したの
ち乾燥・加圧成形して4種類の正極を製造した。
【0049】一方、組成:LmNi0.4Co0.4Al0.3
(Lmはランタン富化ミッシュメタル)の水素吸蔵合金
を機械粉砕して粉末にし、この粉末100質量部に対
し、ポリアクリル酸ナトリウム0.5質量部,カルボキ
シメチルセルロース0.125質量部,PTFEディス
パージョン1.5質量部(固形分換算),カーボン粉末
1質量部,水50質量部を配合し、全体を混練してペー
ストにした。
【0050】ついで、このペーストをニッケルパンチン
グメタルに塗布,乾燥し、更にロール圧延して負極を製
造した。各正極と負極の間に親水化処理したポリプロピ
レン不織布のセパレータを配置したのち巻回して電極群
とし、この電極群を電池缶にアルカリ電解液と一緒に収
容したのち密閉して4/5Aサイズの円筒形ニッケル・
水素二次電池A1〜A4にした。
【0051】各電池につき、室温下において、0.5C
で150%の充電を行ったのち、0.5Cで1Vになる
までの放電を3回反復した。そして、各電池につき、
0.1Cで150%の充電を行い、更に0.2Cで1Vに
なるまでの放電を行い、このときの放電容量を測定し、
その値を理論容量で除算して、各電池における活物質の
利用率(%)を算出した。その結果を、用いた活物質と
対応させて表2に示した。参考のために、単極セルで測
定されたときの利用率も併記した。
【0052】
【表2】
【0053】表2から明らかなように、単極セルで測定
したときの利用率と実機テスト時の利用率はよく対応し
ており、そして、スペクトル特性A〜Fを満たしている
活物質a1〜a3を用いて組み立てた電池は、いずれも、
高い利用率を示している。
【0054】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明で
規定したスペクトル特性を有する活物質は高い利用率を
示す活物質である。
【図面の簡単な説明】
【図1】活物質a1〜a4の波数領域600cm-1〜100
0cm-1における赤外吸収スペクトル曲線である。
【図2】活物質a1〜a4の波数領域2400cm-1〜30
00cm-1における赤外吸収スペクトル曲線である。
【図3】活物質a1〜a4の波数領域3400cm-1〜38
00cm-1における赤外吸収スペクトル曲線である。
【図4】活物質a1〜a4の利用率の測定に用いた単極セ
ルを示す概略図である。
【符号の説明】
1 正極 2 ニッケルネット 3 ニッケルリード 4 容器 5 アルカリ水溶液 6 ニッケルネット 7 セパレータ 8 参照極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルトの高次酸化物が水酸化ニッケル
    を主成分とする粉末の少なくとも表面に存在するアルカ
    リ二次電池用正極活物質であって、 KBr法で赤外吸収スペクトルを測定したときに、下記
    のスペクトル特性: A.(T1000−T700)/300≦0.05 (ただし、T1000は波長1000cm-1における透過率
    (%表示)、T700は波長700cm-1における透過率
    (%表示)を表す)B.700cm-1〜1000cm-1の波
    数領域における透過率の最大値は40%以下、を示すこ
    とを特徴とするアルカリ二次電池用正極活物質。
  2. 【請求項2】 更に、下記のスペクトル特性: C.(T3000−T2400)/600≧−0.02 (ただし、T3000は波数3000cm-1における透過率
    (%表示)、T2400は波数2400cm-1における透過率
    (%表示)を表す) D.2400cm-1〜3000cm-1の波数領域における透
    過率は50%以下、を示す請求項1のアルカリ二次電池
    用正極活物質。
  3. 【請求項3】 更に、下記のスペクトル特性: E.(T3600−T3400)/200≧−0.06 (ただし、T3600は波数3600cm-1における透過率
    (%表示)、T3400は波数3400cm-1における透過率
    (%表示)を表す) F.3400cm-1〜3600cm-1の波数領域における透
    過率は50%以下、を示す請求項1または2のアルカリ
    二次電池用正極活物質。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014065145A1 (ja) * 2012-10-25 2014-05-01 住友金属鉱山株式会社 アルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末及び被覆水酸化ニッケル粉末の被覆密着性の評価方法

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