JP2002022991A - 光導波路デバイス及びその製造方法 - Google Patents

光導波路デバイス及びその製造方法

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JP2002022991A
JP2002022991A JP2000208576A JP2000208576A JP2002022991A JP 2002022991 A JP2002022991 A JP 2002022991A JP 2000208576 A JP2000208576 A JP 2000208576A JP 2000208576 A JP2000208576 A JP 2000208576A JP 2002022991 A JP2002022991 A JP 2002022991A
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film
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resin
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Masatoshi Yamaguchi
正利 山口
Madoka Kondo
円華 近藤
Yasuhiro Kuwana
保宏 桑名
Hiroshi Masuda
宏 増田
Nobuo Miyadera
信生 宮寺
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分岐部を有する樹脂製光導波路であって、分
岐部に気泡を生じにくい樹脂製光導波路を提供する。 【解決手段】 基板と、分岐部を有する光導波路4と、
光導波路4を覆う上部クラッド層5を有し、上部クラッ
ド層5の材料溶液膜を形成する前に、前処理として熱処
理、アッシャ処理、オゾンに曝す処理、ぬれ性を向上さ
せるための溶剤付着処理の少なくとも一つを行う、ま
た、後処理として材料溶液膜形成後に超音波を与える処
理、乾燥雰囲気中に配置する処理、減圧化に配置する処
理のうちの少なくとも一つを行う。前処理のみ、後処理
のみ、もしくは、前処理と後処理の両方を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路に関し、
特に、上部クラッドが樹脂製の光導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のパソコンやインターネットの普及
に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。このた
め、伝送速度の速い光伝送を、パソコン等の末端の情報
処理装置まで普及させることが望まれている。これを実
現するには、光インターコネクション用に、高性能な光
導波路を、安価かつ大量に製造する必要がある。
【0003】光導波路の材料としては、ガラスや半導体
材料等の無機材料と、樹脂が知られている。無機材料に
より光導波路を製造する場合には、真空蒸着装置やスパ
ッタ装置等の成膜装置により無機材料膜を成膜し、これ
を所望の導波路形状にエッチングすることにより製造す
る方法が用いられる。しかしながら、真空蒸着装置やス
パッタ装置は、真空排気設備が必要であるため、装置が
大型で高価である。また、真空排気工程が必要であるた
め工程が複雑になる。これに対し、樹脂によって光導波
路を製造する場合には、成膜工程を、塗布と加熱により
大気圧中で行うことができるため、装置および工程が簡
単であるという利点がある。
【0004】また、光導波路ならびにクラッド層を構成
する樹脂としては、種々のものが知られているが、ガラ
ス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れるポリイミド
が特に期待されている。ポリイミドにより光導波路およ
びクラッド層を形成した場合、長期信頼性が期待でき、
半田付けにも耐えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、樹脂に
より光導波路およびクラッド層を製造することにより、
簡単な製造工程で光導波路を製造することができるが、
Y分岐の光導波路の分岐部分のように、2以上の光導波
路の間隔が非常に狭い部分では、光導波路と上部クラッ
ド層との境界や上部クラッド層の内部に気泡が生じるこ
とがある。このように気泡が生じると、光導波路の伝搬
効率に悪影響を及ぼす。
【0006】本発明は、分岐部を有する樹脂製光導波路
であって、分岐部に気泡を生じにくい樹脂製光導波路を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、以下のような光導波路が提供され
る。すなわち、基板と、分岐部を有する光導波路と、前
記光導波路を覆うクラッド層とを有し、前記クラッド層
は、樹脂からなり、前記光導波路と前記下部クラッド層
の上面に、ぬれ性を向上させるための溶剤を付着させる
工程を設け、前記光導波路を覆うように、樹脂の材料溶
液を塗布し、これを硬化させることにより、前記樹脂の
膜からなる上部クラッド層を形成する工程とを有する光
導波路デバイスの製造方法が提供される。
【0008】また、前記光導波路を覆うように、樹脂の
材料溶液を塗布し、前記材料溶液の膜を形成する工程
と、前記材料溶液の膜を減圧化に配置することにより、
前記材料溶液の膜に含まれている気泡を脱気する工程
と、前記材料溶液の膜を硬化させることにより、前記樹
脂の膜からなる上部クラッド層を形成する工程とを有す
る光導波路デバイスの製造方法が提供される。
【0009】前記光導波路および前記下部クラッド層の
上面を処理する工程と、前記光導波路を覆うように、樹
脂の材料溶液を塗布し、これを硬化させることにより、
前記樹脂の膜からなる上部クラッド層を形成する工程と
を有し、前記光導波路および前記下部クラッド層の上面
を処理する工程は、熱処理、アッシャ処理、オゾンに曝
す処理の少なくとも一つを含む光導波路デバイスの製造
方法を提供する。
【0010】また、下部クラッド層を備えた基板上に、
分岐部を有する光導波路を樹脂により形成する工程と、
前記光導波路を覆うように、樹脂の材料溶液を塗布し、
前記材料溶液の膜を形成する工程と、前記材料溶液の膜
を処理する工程と、前記処理された材料溶液の膜に熱を
加え、硬化させることにより、樹脂膜からなる上部クラ
ッド層を形成する工程とを有し、前記材料溶液の膜を形
成する工程は、前記材料溶液膜に超音波を与える処理、
乾燥雰囲気中に配置する処理うちの少なくとも一方を含
む光導波路デバイスの製造方法を提供する。
【0011】下部クラッド層を備えた基板上に、分岐部
を有する光導波路を第1の樹脂により形成する工程と、
前記光導波路および前記下部クラッド層の上面を処理す
る工程と、前記光導波路を覆うように、第2の樹脂の材
料溶液を塗布し、前記材料溶液の膜を形成する工程と、
前記材料溶液の膜を処理する工程と、前記処理された材
料溶液の膜に熱を加え、硬化させることにより、前記第
2の樹脂の膜からなる上部クラッド層を形成する工程と
を有し、前記光導波路および前記下部クラッド層の上面
を処理する工程は、熱処理、アッシャ処理、オゾンに曝
す処理、ぬれ性を向上させるための溶剤付着処理の少な
くとも一つを含み、前記材料溶液の膜を処理する工程
は、前記材料溶液膜に超音波を与える処理、乾燥雰囲気
中に配置する処理、減圧化に配置する処理のうちの少な
くとも一方を含むことを特徴とする光導波路デバイスの
製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について、
図面を用いて説明する。 (実施の形態1)第1の実施の形態の光導波路デバイス
100の構成を図1(a)〜(d)を用いて説明する。
光導波路デバイス100は、基板上に形成される。例え
ば基板として、Si基板、表面を二酸化珪素としたSi
基板、ガラス基板等が用いられる。ここでは、Si基板
1の上に、光導波路積層体10を備えている。
【0013】光導波路積層体10は、Si基板1の上に
配置された下部クラッド層3と、その上に搭載されたY
分岐形状のリッジ型光導波路4と、光導波路4を埋め込
む上部クラッド層5を含んでいる。
【0014】下部クラッド層3および上部クラッド層5
は、いずれも、日立化成工業株式会社製OPI−N10
05(商品名)を用いて形成したポリイミド膜からな
る。下部クラッド層3の膜厚は、約6μm、上部クラッ
ド層5の膜厚は、下部クラッド層3の表面から約12μ
mである。光導波路4は、日立化成工業株式会社製OP
I−N3205(商品名)を用いて形成したポリイミド
膜からなり、その膜厚は約6μmである。
【0015】光導波路4は、図2のように、光導波路4
aと、光導波路4aを2方向に分岐した光導波路4b、
4cからなるY分岐の光導波路である。光導波路4aの
幅は約6μmである。
【0016】つぎに、本実施の形態の光導波路デバイス
の製造方法について、図1(a)〜(d)を用いて説明
する。まず、Si基板1の上面(図1(a))全体に前
述のOPI−N1005をスピン塗布して材料溶液膜を
形成する。その後、乾燥器で100℃で30分、次い
で、200℃で30分加熱することにより溶媒を蒸発さ
せ、続けて370℃で60分加熱することにより硬化さ
せ、下部クラッド層3を形成する(図1(b))。
【0017】この下部クラッド層3の上に、前述のOP
I−N3205をスピン塗布して材料溶液膜を形成す
る。その後、乾燥器で100℃で30分、次いで、20
0℃で30分加熱することにより溶媒を蒸発させ、続け
て350℃で60分加熱することにより硬化を行い、光
導波路4となるポリイミド膜を形成する。このポリイミ
ド層の上にレジストをスピン塗布し、100℃で乾燥
後、水銀ランプで露光、現像することにより、レジスト
パターン層を形成する。このレジストパターン層は、前
述のポリイミド膜をY分岐の光導波路4の形状に加工す
るためのマスクとして用いられる。よって、このレジス
トパターン層をマスクとして、前述のポリイミド層を酸
素でリアクティブイオンエッチング(O2−R1E)す
ることにより、分岐型の光導波路4を得ることができる
(図1(c))。その後、レジストパターン層を剥離す
る。
【0018】つぎに、光導波路4および下部クラッド層
3を覆うように、OPI−N1005をスピン塗布す
る。その後、乾燥器で100℃で30分、次いで、20
0℃で30分加熱して材料溶液膜の溶媒を蒸発させ、3
50℃で60分加熱することによりポリイミド膜の上部
クラッド層5を形成する(図1(d))。
【0019】その後、ウエハ状の基板1をダイシングに
より切り出して光導波路デバイス100を完成させる。
【0020】比較例として、このような製造方法で製造
した光導波路デバイス100の光導波路4の分岐部を顕
微鏡観察し、光導波路4bと光導波路4cとの間隙に気
泡が含まれているかどうかを検査した。その結果、全体
の約82%の光導波路デバイスで、図2のように、光導
波路4bと光導波路4cの間に気泡51が発生してい
た。気泡51は、分岐部の根元52から約50μm先ま
での部分で主に生じていた。これは、光導波路4bと光
導波路4cの間隙が、分岐部の根元52で行き止まりに
なっているため、上部クラッド層5の材料溶液が十分に
入り込めず、埋め込みが不完全になったためであると推
測される。
【0021】つぎに、本発明の第1の実施の形態の光導
波路デバイスの製造方法について説明する。第1の実施
の形態では、上部クラッド層5の材料溶液を塗布する際
のぬれ性を向上させることにより気泡を低減するもので
ある。
【0022】本実施の形態の光導波路デバイスの製造方
法について説明する。図1(a)〜図1(c)の工程に
より基板1上に光導波路4を形成する。つぎに、本実施
の形態では、上部クラッド層5を形成する工程の前に、
上部クラッド層5の材料溶液に対するぬれ性を向上させ
るための処理を、下部クラッド層3の上面と光導波路4
の側面および上面に対して行う。この処理は、下部クラ
ッド層3の上面と光導波路4の側面および上面に対し
て、上部クラッド層5の材料溶液に用いられる溶媒もし
くは、表面張力を低下させる溶剤を塗布する処理であ
る。ここでは、上部クラッド層5の材料溶液に用いられ
る溶媒のN,N−ジメチルアセトアミドを塗布する。塗
布の方法は、スピン塗布法や、ディップ法(溶媒中に浸
す)、ホイラー法(溶媒の霧を吹く)等を用いることが
できる。また、塗布に代えて、溶媒の蒸気を満たした容
器内に基板1を配置することにより、溶媒蒸気を基板1
の処理すべき面に付着させる方法を用いることもでき
る。なお、容器内に蒸気を満たすために、溶媒の蒸気圧
を考慮して、必要であれば容器内を減圧するかもしくは
溶媒を加熱する手法をとることができる。
【0023】このように溶媒を塗布または溶媒蒸気で処
理した光導波路4および下部クラッド層3が溶媒で濡れ
た状態のまま、上部クラッド層5の材料溶液のOPI−
N1005をスピン塗布する。これにより、上部クラッ
ド層5の材料溶液は、光導波路4を覆い、下部クラッド
層3の隅々まで濡れ広がる。よって、光導波路4の分岐
部の光導波路4bと光導波路4cとの間隙まで、OPI
−N1005により埋め込むことができる。また、ぬれ
性が高いため、気泡を巻き込みにくい。その後、乾燥器
で100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱し
て材料溶液膜の溶媒を蒸発させ、350℃で60分加熱
することによりポリイミド膜の上部クラッド層5を形成
する(図1(d))。
【0024】本実施の形態では、下部クラッド層3およ
び光導波路4の上面のぬれ性を改善する処理を行ってか
ら上部クラッド層5の材料溶液を塗布しているため、Y
分岐の光導波路4の分岐部で埋め込み不全が発生しにく
く、かつ、材料溶液が濡れ広がる際に気泡を巻き込みに
くい。これにより、上部クラッド層5に気泡が生じるの
を低減することができる。
【0025】なお、上述のぬれ性改善の工程では、前述
の溶媒で、光導波路4および下部クラッド層3の上面が
濡れた状態のまま、上部クラッド層5の材料溶液を塗布
しているが、溶媒を一旦乾燥させてから上部クラッド層
5の材料溶液を塗布する工程にすることもできる。乾燥
させた場合にも、発明者らの実験によれば、ぬれ性が改
善されていた。これは、溶媒で一旦濡れることにより、
光導波路4および下部クラッド層3を構成するポリイミ
ド膜の表面層に何らかの変化が生じたためであると推測
される。
【0026】本実施の形態の光導波路デバイスの製造方
法においても、光導波路4の分岐部の気泡を低減するこ
とができるため、光学特性の優れたY分岐型光導波路デ
バイス100を樹脂膜によって容易に製造することがで
きる。
【0027】なお、ぬれ性改善のための処理で用いる溶
媒もしくは表面張力低下溶剤としては、上述の溶媒に限
られるものではなく、他の溶媒や溶剤を用いることがで
きる。例えば、N−メチルピロリドンを用いることがで
きる。
【0028】また、本実施の形態の光導波路デバイス
は、下部クラッド層3から上部クラッド層5まで全ての
層をポリイミドで形成しているため、Tgが高く、耐熱
性にすぐれている。よって、本実施の形態の光導波路デ
バイスは、高温になっても伝搬特性を維持できる。ま
た、ポリイミドは、半田付け等の高温工程にも耐えるこ
とができるため、光導波路デバイスの上にさらに別の光
導波路デバイスや電気回路素子や受発光素子をはんだ付
けすることも可能である。
【0029】(実施の形態2)つぎに、本発明の第2の
実施の形態の光導波路デバイスの製造方法について説明
する。本実施の形態では、上部クラッド層5の材料溶液
を塗布する際に、材料溶液膜に生じた気泡を、減圧下に
配置することにより脱泡する工程を設ける。
【0030】本実施の形態で製造する光導波路デバイス
の構成は、第1の実施の形態の光導波路デバイス100
と同じ構成および同じ材質であるので、構成の説明は省
略する。
【0031】本実施の形態の光導波路デバイスの製造方
法について説明する。図1(a)〜図1(c)の工程に
より、第1の実施の形態と同様に、基板1上に光導波路
4を形成する。つぎに、上部クラッド層5の材料溶液で
あるOPI−N1005をスピン塗布し、光導波路4お
よび下部クラッド層3を覆う材料溶液膜を形成する。こ
の材料溶液膜には、特に、光導波路4の分岐部分に気泡
が巻き込まれている。そこで、本実施の形態では、材料
溶液膜を加熱する前に、脱泡処理を行う。具体的には、
基板1を減圧下に放置することにより、材料溶液膜に含
まれる気泡中の気体を脱気し、気泡をつぶす。この減圧
処理は、0.5〜2時間行うことが好ましい。0.5時
間未満では気泡を脱気することが困難であり、2時間を
超えると気泡が多くなる傾向にある。この減圧処理は、
材料溶液膜の表面が乾燥して固まらないような条件(処
理時間・圧力の制御、低温度雰囲気、溶剤蒸気雰囲気な
ど)で行うことが望ましい。この脱泡処理により、材料
溶液膜中の気泡が十分に低減された状態で、乾燥器で1
00℃で30分、次いで、200℃で30分加熱して材
料溶液膜の溶媒を蒸発させ、350℃で60分加熱する
ことによりポリイミド膜の上部クラッド層5を形成する
(図1(d))。
【0032】以降の工程は、第1の実施の形態の製造方
法と同様にして光導波路デバイスを完成させる。
【0033】本実施の形態の光導波路デバイスの製造方
法においても、光導波路4の分岐部の気泡を低減するこ
とができるため、光学特性の優れたY分岐型光導波路デ
バイス100を樹脂膜によって容易に製造することがで
きる。
【0034】なお、上記減圧処理を、材料溶液膜の表面
が乾燥して固まらせない条件で行うのは、つぎのような
理由による。材料溶液膜は、この後の加熱による乾燥お
よび硬化工程を施されると、材料溶液膜中から溶媒の蒸
気が抜けることにより乾燥し、イミド化する化学反応に
よって反応水を生成してポリイミドになる。このとき、
材料溶液膜の表面が乾燥して固まっていると、溶媒の蒸
気や反応水の蒸気が材料溶液膜中に閉じこめられ、気泡
を生じてしまう可能性がある。この場合、材料溶液膜を
脱泡したにも関わらず、硬化後の上部クラッド層5には
気泡が含まれてしまうことになる。したがって、上記減
圧処理は、材料溶液膜の表面が乾燥して固まらないよう
に、処理時間や圧力を制御して行うことが望ましい。
【0035】(実施の形態3)つぎに、本発明の第3の
実施の形態の光導波路デバイスの製造方法について説明
する。本実施の形態では、上部クラッド層5の材料溶液
を塗布する前にぬれ性を向上させるための前処理を行う
か、もしくは、塗布後の材料溶液膜を脱泡する後処理を
行うか、もしくは、前処理と後処理の両方を行うことに
より、気泡を低減するものである。
【0036】前処理として、ここでは、ベーク処理、ア
ッシャ処理、UVO3処理(オゾンにさらす処理)のい
ずれかを行う。例えば、ベーク処理は、図1(c)の光
導波路4まで形成された基板1を、100℃で5分、3
80℃で1時間加熱する処理である。アッシャ処理は、
酸素プラズマに図1(c)の光導波路4および下部クラ
ッド層3を曝す処理であり、酸素プラズマは200W、
20Paで発生させ、処理時間は5分とする。UVO3
処理は、紫外線を用いて発生させたオゾンに図1(c)
の光導波路4および下部クラッド層3を曝す処理であ
り、処理時間は5分とする。
【0037】後処理としては、ここでは超音波処理、デ
シケータ内静置処理、真空デシケータ内静置処理のいず
れかを行う。例えば、超音波処理は、28kHZ、45
kHz、100kHzの超音波を順にそれぞれ5秒づつ
与える処理を1サイクルとし、これを繰り返し行う処理
であり、処理時間は10分とする。デジケータ内静置処
理は、シリカゲル等の乾燥剤により乾燥させた空気雰囲
気内に、上部クラッド層5の材料溶液膜が形成された基
板1を静置する処理であり、処理時間は1時間または2
0時間とする。真空デジケータ内静置処理は、上部クラ
ッド層5の材料溶液膜が形成された基板1が静置された
容器内を減圧することにより乾燥させる処理であり、処
理時間は1時間または20時間とする。
【0038】前処理と後処理を組み合わせる処理として
は、ここでは、前処理として上記UVO3処理を行い、
後処理として上記超音波処理または真空デジケータ処理
を行う。UVO3処理の処理時間は5分間とする。超音
波処理の処理時間は、10分または30分または1時間
とする。真空デシケータ処理の処理時間は、1時間また
は2時間または3時間とする。
【0039】なお、本実施の形態で製造する光導波路デ
バイスの構成は、第1の実施の形態の光導波路デバイス
100と同じ構成および同じ材質であるので、構成の説
明は省略する。
【0040】本実施の形態の光導波路デバイスの製造方
法について説明する。図1(a)〜図1(c)の工程に
より、第1の実施の形態と同様に、基板1上に光導波路
4を形成する。つぎに、上部クラッド層5の材料溶液に
対するぬれ性を向上させるための前処理、または、前処
理と後処理の両方を行う場合には、ここで、上記前処理
のいずれかを行う。
【0041】このあと、上部クラッド層5の材料溶液の
OPI−N1005をスピン塗布し、材料溶液膜を形成
する。後処理を行う場合は、ここで、上記後処理のいず
れかを行う。
【0042】その後、乾燥器で100℃で30分、次い
で、200℃で30分加熱して材料溶液膜の溶媒を蒸発
させ、350℃で60分加熱することによりポリイミド
膜の上部クラッド層5を形成する(図1(d))。以降
の工程は、第1の実施の形態の製造方法と同様にして光
導波路デバイスを完成させる。
【0043】完成後の光導波路デバイスの分岐部に気泡
が存在するかどうかを調べ、気泡が全くないものを良品
とし、全製品数に対する良品の割合を求めた。その結果
を表1に示す。前処理のみを行った製造方法では、UV
3処理の良品割合が最も大きかった。また、後処理の
みを行った製造方法では、超音波処理とデシケータ静置
処理1時間と真空デシケータ静置処理1時間の場合に、
いずれもUVO3前処理と同等以上の良品割合が得られ
た。
【0044】
【表1】
【0045】しかしながら、後処理のデシケータ静置処
理と真空デジケータ静置処理では、20時間の処理を行
うと全く良品が得られないという結果になった。これ
は、長時間デジケータ処理されることにより、材料溶液
膜の表面の溶媒が蒸発し、乾燥して固い被膜となってし
まったためであると推測される。第2の実施の形態でも
説明したように、表面が乾燥して固い被膜になると、こ
の後の加熱による乾燥および硬化工程において生じる溶
媒蒸気や反応水の蒸気が膜の外に逃げられず、閉じこめ
られて気泡を形成してしまう。よって、20時間という
長時間の乾燥は、材料溶液膜中の気泡を脱気する効果は
あっても、加熱による乾燥および硬化中の蒸気を逃がす
ことができないため、硬化後の上部クラッド5には気泡
が含まれる結果となったと考えられる。よって、後処理
の乾燥工程は、表面が乾燥しない程度の短時間で行うこ
とが望ましい。
【0046】また、前処理のUVO3と後処理を組み合
わせた場合も、表1のように後処理の時間が長くなると
かえって良品の割合が減少した。これも、後処理の時間
が長時間になったことにより、表面が乾燥して被膜とな
ったことが影響していると考えられる。前処理と後処理
を組み合わせると相乗効果により良品の割合が増え好ま
しくなる。
【0047】このように、本実施の形態では、上部クラ
ッド層5の材料溶液膜を塗布する前の前処理および塗布
後の後処理として、本実施の形態の処理を条件を選んで
行うことにより、ある程度気泡を低減する効果が得られ
ることがわかった。
【0048】また、上記第1、第2、第3実施の形態を
組み合わせて、上記光導波路デバイスを製造することも
可能である。すなわち、第1の実施の形態の上部クラッ
ド層5の材料溶液膜を形成する前に、溶剤を塗布する処
理を行い、しかも、材料溶液膜形成後には第2の実施の
形態の脱泡処理を行うことにより、また、上部クラッド
層5の材料溶液を塗布する前にぬれ性を向上させるため
の前処理を行うか、もしくは、塗布後の材料溶液膜を脱
泡する後処理を行うか、もしくは、前処理と後処理の両
方を行うことにより光導波路デバイスを製造する方法に
することができる。
【0049】また、上述の実施の形態では、Y分岐型の
光導波路の分岐部の気泡を低減するための構成および製
造方法を示したが、上記構成および製造方法は、Y分岐
に限らず、微細構造を有する光導波路の微細構造部分を
製造する際に適用することができる。例えば、3以上に
分岐する光導波路や、2以上の光導波路が微小な間隔で
近接する部分を有する方向性結合器や、2以上の光導波
路が交叉する光スイッチ等を樹脂により製造する際に適
用することができる。
【0050】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
分岐部を有する樹脂製光導波路であって、分岐部に気泡
を生じにくい樹脂製光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形
態の光導波路デバイスを製造する工程を示す斜視図であ
る。
【図2】 比較例の光導波路の分岐部に発生する気泡を
示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・シリコン基板 3・・・下部クラッド層 4・・・光導波路 5・・・上部クラッド層 10・・・光導波路積層体 51・・・気泡 52・・・分岐部の根元 100・・・光導波路デバイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑名 保宏 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 増田 宏 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 宮寺 信生 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 2H047 KA04 LA12 PA01 PA28 QA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部クラッド層を備えた基板上に、分岐
    部を有する光導波路を第1の樹脂により形成する第1の
    工程と、前記光導波路と前記下部クラッド層の上面に、
    ぬれ性を向上させるための溶剤を付着させる第2の工程
    と、前記光導波路を覆うように、第2の樹脂の材料溶液
    を塗布し、これを硬化させることにより、前記第2の樹
    脂の膜からなる上部クラッド層を形成する第3の工程と
    を有することを特徴とする光導波路デバイスの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光導波路デバイスの製
    造方法において、前記第2の工程の前記溶剤は、前記第
    3の工程の前記材料溶液に含まれる溶媒を含むこと特徴
    とする光導波路デバイスの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光導波路デバイスの製
    造方法において、前記第2の工程で前記溶剤を付着させ
    るために、前記溶剤を前記上面に塗布する方法、もしく
    は前記溶剤の蒸気に前記上面を触れされる方法を用いる
    ことを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の光導波路デバイスの製
    造方法において、前記第2の工程で前記溶剤を前記上面
    に付着させた後、乾燥させずに前記第3の工程を行うこ
    とを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
  5. 【請求項5】 下部クラッド層を備えた基板上に、分岐
    部を有する光導波路を第1の樹脂により形成する第1の
    工程と、前記光導波路を覆うように、第2の樹脂の材料
    溶液を塗布し、前記材料溶液の膜を形成する第2の工程
    と、前記材料溶液の膜を減圧化に配置することにより、
    前記材料溶液の膜に含まれている気泡を脱気する第3の
    工程と、前記材料溶液の膜を硬化させることにより、前
    記第2の樹脂の膜からなる上部クラッド層を形成する第
    4の工程とを有することを特徴とする光導波路デバイス
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記第3の工程は、
    前記材料溶液の膜の表面を乾燥させない条件で行うこと
    を特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
  7. 【請求項7】 下部クラッド層を備えた基板上に、分岐
    部を有する光導波路を第1の樹脂により形成する第1の
    工程と、前記光導波路および前記下部クラッド層の上面
    を処理する第2の工程と、前記光導波路を覆うように、
    第2の樹脂の材料溶液を塗布し、これを硬化させること
    により、前記第2の樹脂の膜からなる上部クラッド層を
    形成する第3の工程とを有し、前記第2の工程は、熱処
    理、アッシャ処理、オゾンに曝す処理の少なくとも一つ
    を含むことを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
  8. 【請求項8】 下部クラッド層を備えた基板上に、分岐
    部を有する光導波路を第1の樹脂により形成する第1の
    工程と、前記光導波路を覆うように、第2の樹脂の材料
    溶液を塗布し、前記材料溶液の膜を形成する第2の工程
    と、前記材料溶液の膜を処理する第3の工程と、前記処
    理された材料溶液の膜に熱を加え、硬化させることによ
    り、第2の樹脂膜からなる上部クラッド層を形成する第
    4の工程とを有し、前記第3の工程は、前記材料溶液膜
    に超音波を与える処理、乾燥雰囲気中に配置する処理う
    ちの少なくとも一方を含むことを特徴とする光導波路デ
    バイスの製造方法。
  9. 【請求項9】 下部クラッド層を備えた基板上に、分岐
    部を有する光導波路を第1の樹脂により形成する第1の
    工程と、前記光導波路および前記下部クラッド層の上面
    を処理する第2の工程と、前記光導波路を覆うように、
    第2の樹脂の材料溶液を塗布し、前記材料溶液の膜を形
    成する第3の工程と、前記材料溶液の膜を処理する第4
    の工程と、前記処理された材料溶液の膜に熱を加え、硬
    化させることにより、前記第2の樹脂の膜からなる上部
    クラッド層を形成する第5の工程とを有し、前記第2の
    工程は、熱処理、アッシャ処理、オゾンに曝す処理、ぬ
    れ性を向上させるための溶剤付着処理の少なくとも一つ
    を含み、前記第4の工程は、前記材料溶液膜に超音波を
    与える処理、乾燥雰囲気中に配置する処理、減圧化に配
    置する処理のうちの少なくとも一方を含むことを特徴と
    する光導波路デバイスの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、第2の工程はオゾ
    ンに曝す処理、第5の工程は材料溶液膜に超音波を与え
    る処理または減圧化に配置する処理のうちの少なくとも
    一方を含むことを特徴とする光導波路デバイスの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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