JP2002022845A - 放射線検出器 - Google Patents

放射線検出器

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JP2002022845A
JP2002022845A JP2000201081A JP2000201081A JP2002022845A JP 2002022845 A JP2002022845 A JP 2002022845A JP 2000201081 A JP2000201081 A JP 2000201081A JP 2000201081 A JP2000201081 A JP 2000201081A JP 2002022845 A JP2002022845 A JP 2002022845A
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radiation detector
radiation
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normal conductors
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JP2000201081A
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Ikuo Jinno
郁夫 神野
Megumi Shinada
恵 品田
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エネルギー分解能が高く、有感面積の大きな放
射線検出器を提供する。 【解決手段】この発明の放射線検出器は、相互に分離さ
れた4個の常伝導体3A〜3Dが単体の超伝導体2を共
通して使うようにNIS接合を形成するとともに、電気
接続体5A〜5Cを相互に熱的絶縁を維持した状態で電
気的に連結された構成をしている。つまり、4個の常伝
導体3A〜3Dが1個の放射線吸収体として機能するの
で、有感面積は4倍となり、各常伝導体3A〜3Dは熱
的にはそれぞれが独立した吸収体として機能する。その
結果、検出信号の強度は、4個の常伝導体3A〜3Dの
いずれかに放射線が実際に入射した常伝導体単独の小さ
な面積に相当する検出信号レベルの高いものとなり、エ
ネルギー分解能が維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体の不純物
検査,微量元素分析,微小領域のX線分析,X線蛍光分
析,物理学実験などに用いられる超伝導体を利用した放
射線検出器に係り、特に有感面積の拡大を図るための技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線検出器として超伝導体を利用した
放射線検出器がある。この放射線検出器は、図10およ
び図11に示すように、薄膜状の超伝導体(S)21と
薄膜状の常伝導体(N)22との間に薄膜状の絶縁体
(I)20を間に挟んでNIS接合を形成している。こ
の常伝導体22が検出対象の放射線を吸収する放射線吸
収体(以下、適宜「吸収体」と略記する)となってい
る。つまり、吸収体用の常伝導体22で吸収された放射
線からエネルギーを貰って励起された電子がNIS接合
を越えてトンネル電流となって流れ出すことを利用して
放射線の検出を行う構成となっている。すなわち、NI
S型放射線検出器とも呼ばれ、放射線吸収体が常伝導体
であるので吸収体材料の選択幅が広く、特にX線を検出
するのに利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を有する従来のNIS型放射線検出器は、有感
面積が小さく測定時間を短くすることが難しいという問
題がある。NIS型放射線検出器の場合、放射線吸収体
の面積は小さいほど熱容量が小さくて放射線吸収による
昇温効果(電子の励起効果)が大きくなるので、吸収体
の面積が小さいほど、同一放射線に対する検出信号のレ
ベルが高くなる(エネルギー分解能が良くなる)。逆に
吸収体の面積が大きいほど、同一放射線に対する検出信
号のレベルが低くなる(エネルギー分解能が悪くなる)
という検出特性を持っている。
【0004】一方、放射線吸収体の面積は放射線検出器
の有感面積でもあるので、吸収体の面積が大きいほど有
感面積も大きくなり、単位時間当たりの検出信号の量が
増加して短時間で測定を終了することができる。つまり
実用上は、有感面積が大きいほど好ましい。しかし、有
感面積を大きくして測定時間の短縮を図ろうとすると、
上記のように、エネルギー分解能が悪くなるといった問
題がある。つまり有感面積とエネルギー分解能は互いに
相反する関係にあるので、単純に有感面積を大きくして
測定時間を短くすることはできないのである。
【0005】この発明は、上記事情に鑑みてされたもの
であって、エネルギー分解能を落とさずに有感面積を大
きくすることができる放射線検出器を提供することを主
たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1の発明に係る放射線検出器は、常伝導体
(N)と超伝導体(S)との間に絶縁体(I)を挟んで
形成されたNIS接合を備え、前記常伝導体が検出対象
の放射線を吸収する放射線吸収体となっている放射線検
出器において、前記常伝導体は、面方向に分離されて複
数個あり、前記超伝導体は、各常伝導体に共通に使われ
る単体であり、かつ、各常伝導体は、相互の熱的絶縁を
維持した状態で電気接続体によって電気的に連結されて
いる。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の放射線検出器において、電気接続体は、超伝導
金属である。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の放射線検出器において、電気接続体は、常伝導
金属である。
【0009】〔作用〕次に、この発明に係る放射線検出
器における作用を説明する。請求項1の発明の放射線検
出器による放射線検出では、超伝導現象の起こる温度に
検出器が冷却される。そして、面方向に互いに分離され
るようにして設けられた複数個の常伝導体のいずれか1
個に検出対象の放射線が入射すれば、放射線の吸収に伴
い電子が励起されてトンネル電流が検出信号として流れ
出すことにより放射線検出が行われる。
【0010】そして、この発明の放射線検出器の場合、
各常伝導体は、面方向に分離されるように設けられてい
るが、単体の超伝導体を共通して使うようにNIS接合
を形成するとともに、電気接続体により電気的にひとつ
に連結されていてる。そして、この放射線検出器で検出
された検出信号は、放射線がどの常伝導体に入射したか
に係わりなく出力されるので、複数個の常伝導体が全て
一つに纏まって実質的に1個の放射線吸収体として機能
する。その結果、有感面積は各常伝導体の面積を合計し
た広い面積のものとなる。
【0011】さらに、各常伝導体は電気的にはひとつに
結ばれていても、常伝導体同士の間の熱的絶縁は維持さ
れた状態で連結されているので、各常伝導体は熱的には
それぞれが独立した放射線吸収体として機能している。
そして、検出信号のレベルは、単に全常伝導体の面積を
合計した広い面積に相応したものではなく、複数個の常
伝導体のうち放射線が実際に入射した常伝導体単独の小
さな面積に相応した高い検出信号レベルとなる。つま
り、高いエネルギー分解能が維持される。
【0012】また、請求項2の発明の放射線検出器で
は、常伝導体同士を電気的に連結する電気接続体が超伝
導金属からなり、隣接する常伝導体同士の間に電子障壁
が形成されている。つまり、各常伝導体で生じた励起電
子が他の常伝導体へ移動することなく直ちに検出信号と
して出力される。したがって、検出信号の波形は立ち上
がりが急勾配なものとなるので、応答速度が上げられ
る。
【0013】また、請求項3の発明の放射線検出器で
は、隣接する常伝導体同士を連結する電気接続体が常伝
導金属からなり、隣接する常伝導体同士の間に電子障壁
は形成されない。つまり、各常伝導体で生じた励起電子
は他の常伝導体の方へ移動を伴いながら検出信号として
出力される。したがって、検出信号の波形は放射線が入
射した常伝導体の位置を反映したものになるので、検出
信号の波形から放射線が入射した常伝導体、すなわち、
放射線の入射位置が特定される。
【0014】
【発明の実施の形態】〈第1実施例〉この発明の一実施
例を図面を参照しながら説明する。図1は、この実施例
に係る放射線検出器の要部構成を示す平面図、図2は第
1実施例の放射線検出器の要部構成を示す断面図であっ
て、図2は図1におけるA−A断面を示している。
【0015】この実施例の放射線検出器では、図1に示
すように、薄膜状の絶縁体(I)1を間に挟んで薄膜状
の超伝導体(S)2および4個の薄膜状の常伝導体
(N)3A〜3Dが設けられたNIS接合を形成してい
る。つまり、絶縁基板4の表面に超伝導体2、絶縁体
1、常伝導体3A〜3Dという順序で積層形成されてい
る。超伝導体2および常伝導体3Aには、出力端子2
a,3aがそれぞれ設けられており、常伝導体3A〜3
Dが、検出対象の放射線を吸収する放射線吸収体として
機能するよう構成されている。
【0016】そして、この実施例の放射線検出器の場
合、4個の常伝導体3A〜3Dは互いに面方向に分離さ
れているとともに、各常伝導体3A〜3Dが単体の超伝
導体2を共通して使うようにNIS接合を形成してい
る。また、4個の常伝導体3A〜3Dは常伝導体同士の
間の熱的絶縁を維持した状態で電気接続体5A〜5Cに
より電気的にひとつに連結された構成となっていること
が、この実施例の特徴である。なお、常伝導体3A〜3
Dは細い電気接続体5A〜5Cで繋がっているので、相
互の電気的絶縁が損なわれずに維持されている。また、
第1実施例の検出器では、常伝導体3Aと出力端子3a
の間も電気接続体5Dにより電気的に連結されており、
さらに各電気接続体5A〜5Dは超伝導金属からなって
いる点も、この実施例の特徴である。なお、出力端子3
aは、電気接続体5Dを出力端子として兼用することで
省略することもできる。
【0017】第1実施例の放射線検出器の場合、絶縁体
1としては例えば厚み20nmの酸化アルミニウム(A
2 3 )膜が、超伝導体2としては例えば厚み200
nmのニオブ(Nb)膜やアルミニウム(Al)膜ある
いは錫(Sn)膜などが、各常伝導体3A〜3Dとして
は例えば厚み1μmの銀(Ag)膜や金(Au)膜ある
いはビスマス(Bi)膜などが用いられる。さらに、絶
縁基板1には例えば窒化シリコン基板やアルミナ基板
(Al2 3 基板)が用いられ、電気接続体5A〜5D
には、例えば厚み200nm前後のニオブ膜やアルミニ
ウム膜あるいは錫膜などが用いられる。
【0018】また、各常伝導体3A〜3Dの寸法は、縦
・横100μm×100μmの寸法が例示され、この場
合、絶縁体1および超伝導体2の寸法は、縦・横200
μm×200μmに満たない寸法が例示される。
【0019】続いて、上述した第1実施例の放射線検出
器の製造例を図面を参照しながら説明する。図3〜図6
は、第1実施例の放射線検出器を製造する時のプロセス
を示す工程図である。 超伝導体形成工程 図3に示すように、絶縁基板4で
ある窒化シリコン基板の表面に超伝導体2となるニオブ
薄膜を設ける。すなわち、図3のように略杓の形状をし
た窓6aを有するシャドーマスク6を介してスパッタリ
ング法により厚み200nmでニオブを成膜する。その
結果、パターン形状に対応したニオブ薄膜が窒化シリコ
ン基板の表面に形成される。
【0020】絶縁体形成工程 図4に示すように、超
伝導体2が形成された窒化シリコン基板の表面に絶縁体
1としての酸化アルミニウム薄膜を設ける。すなわち、
略正方形状の窓を有するシャドーマスク(図示省略)を
介してスパッタリング法により厚み20nmでアルミニ
ウムを成膜する。その後、さらに酸化処理することによ
り、絶縁体1の形に対応するパターン形状の酸化アルミ
ニウム薄膜を超伝導体2の上に積層形成する。
【0021】常伝導体形成工程 図5に示すように、
超伝導体2と絶縁体1が形成された窒化シリコン基板の
表面に4個の常伝導体3A〜3Dとしての銀薄膜を設け
る。すなわち、常伝導体3A〜3Dに対応する4つの略
正方形の配列(「田」の字状)の窓を有するシャドーマ
スク(図示省略)を介してスパッタリング法により厚み
1μmの銀を成膜する。その結果、常伝導体3A〜3D
の形に対応するパターン形状の銀薄膜を絶縁体1の上に
積層形成する。
【0022】電気接続体形成工程 図6に示すよう
に、超伝導体2、絶縁体1、常伝導体3A〜3Dの順で
形成された窒化シリコン基板の表面に4個の電気接続体
5A〜5Dとしてのニオブ薄膜を設ける。すなわち、電
気接続体5A〜5Dの平面形状に相応した窓を有するシ
ャドーマスク(図示省略)を介してスパッタリング法に
より厚み200nmのニオブを成膜する。その結果、電
気接続体5A〜5Dの形状に対応するパターン形状のニ
オブ薄膜を窒化シリコン基板の表面に形成する。
【0023】上記の工程〜を通して行なうことによ
り、この実施例の放射線検出器を実現することができ
る。
【0024】なお、上記の製造例ではシャドーマスクに
よる薄膜パターン作製技術が用いられたが、シャドーマ
スクを使う代わりに、いわゆるフォトリソグラフィ技術
による薄膜パターン作製技術を用いることもできる。例
えば、超伝導体用の薄膜と絶縁体用の薄膜および常伝導
体用の薄膜の3層を積層形成しておいてから、選択エッ
チング方式のフォトリソグラフィ技術による薄膜パター
ン作製技術で必要なパターン化を行うようにしてもよ
い。また、成膜技術についてもスパッタリング法に限ら
ず、真空蒸着法やCVD(化学気相蒸着)法などを始め
として、他の成膜技術を用いることができる。
【0025】次に、この実施例の放射線検出器によるX
線検出動作を説明する。この実施例の放射線検出器でX
線を検出する場合、図7に示すように、超伝導体側の出
力端子2aには電源Eが接続され、常伝導体側の出力端
子3aには前置増幅器Pが接続されている。そして、放
射線検出器全体が真空雰囲気に置かれるとともに、真空
雰囲気に置かれた検出器は液体ヘリウムや液体窒素を用
いた冷却器Qにより超伝導現象を起こす温度、例えば4
K以下の極低温まで冷却される。なお、放射線検出器全
体を真空雰囲気に置くのは、検出器を外部から熱的に遮
断して冷却が効果的に行われるようにするためである。
この実施例の放射線検出器では、検出対象のX線が照射
されると、4個の常伝導体3A〜3Dのいずれか1個に
検出対象のX線が入射すれば、X線の吸収に伴い電子が
励起されてトンネル電流が検出信号として流れ出して前
置増幅器Pにより増幅される。
【0026】そして、この実施例の放射線検出器の場
合、各常伝導体3A〜3Dは、面方向に分離されるよう
にして設けられているが、単体の超伝導体2を共通して
使うようにNIS接合を形成するとともに、電気接続体
5A〜5Cにより電気的にひとつに連結されている。そ
のため、検出信号はX線がどの常伝導体に入射したかに
は係わりなく出力され、4個の常伝導体3A〜3Dが纏
まって実質的に1個の放射線吸収体として機能する。す
なわち、有感面積は4個の常伝導体の面積を合計した広
い面積となっている。従来の検出器との比較で言えば、
各常伝導体3A〜3Dのそれぞれ1個が、従来の検出器
の放射線吸収体に相当するので、有感面積は4倍に増加
する。有感面積が4倍になれば、測定時間を1/4に縮
められる。
【0027】また、この実施例の放射線検出器では、各
常伝導体3A〜3Dが電気的にはひとつに連結されてい
るが、常伝導体3A〜3D同士は熱的に絶縁されてい
る。つまり、各常伝導体3A〜3Dは熱的にはそれぞれ
が独立した放射線吸収体として機能している。その結
果、検出信号のレベルは、単に4個の常伝導体3A〜3
Dの面積を合計した広い面積に相応した検出信号レベル
の低いものではなく、各常伝導体3A〜3Dに放射線が
実際に入射した常伝導体単独の小さな面積に相応した検
出信号レベルの高いものとなる。すなわち、エネルギー
分解能は常伝導体単体と同じレベルに維持される。
【0028】さらに、この実施例の放射線検出器では、
電気接続体5A〜5Dが超伝導金属からなっており、隣
接する常伝導体3A〜3D同士の間に電子障壁が形成さ
れている。そのため、各常伝導体3A〜3Dで生じた励
起電子が他の常伝導体へ移動することなく直ちに検出信
号として出力される。したがって、検出信号の波形は立
ち上がりが急勾配なものとなるので、応答速度が速くな
る。
【0029】〈第2実施例〉この実施例の放射線検出器
を説明する。電気接続体5A〜5Dが常伝導金属である
例えば金(Au)からなっている他は、構成・効果およ
び製造に関して第1実施例の放射線検出器と同様である
ので、説明の重複を避けるために、共通点については説
明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0030】この実施例の放射線検出器の場合、電気接
続体5A〜5Dが常伝導金属であるので、隣接する常伝
導体3A〜3D同士の間に電子障壁は形成されていな
い。つまり、各常伝導体3A〜3Dで生じた励起電子は
他の常伝導体の方への移動を伴いながら検出信号として
流れ出す。そして、各常伝導体3A〜3Dは常伝導体3
Aを始めに3B、3C、3Dの順序に接続されているの
で、各常伝導体3A〜3Dでは接続順序によって励起電
子の移動距離に違いが生じる。つまり、先の接続順序と
は逆の3D〜3Aの順に励起電子が移動するので、各常
伝導体3A〜3Dの移動距離の違いが、検出信号の波形
の差異となって現れる。すなわち、検出信号の波形は放
射線が入射した常伝導体の位置を反映したものになるの
で、検出信号の波形から放射線の入射した常伝導体の位
置を特定することが可能となる。
【0031】さらに、各常伝導体3A〜3Dの検出信号
の波形の違いを図8を参照して説明する。図8は、各常
伝導体3A〜3Dの検出信号の波形を示すグラフであ
り、曲線Daが常伝導体3Aの検出信号の波形,曲線D
bが常伝導体3Bの検出信号の波形,曲線Dcが常伝導
体3Cの検出信号の波形,曲線Ddが常伝導体3Dの検
出信号をそれぞれ示している。図8からも明らかなよう
に、常伝導体3D側に連結されている常伝導体ほど高さ
(電位)が低くなり、波形が間延びしてゆく。このよう
な各常伝導体3A〜3Dの検出信号の波形の差異に基づ
き、放射線の入射位置を特定するのである。なお、各検
出信号の波形の形状は異なるが、各波形の面積比は全て
等しい関係にある。つまり、このような常伝導体の連結
は、放射線検出器としての検出感度に影響をおよぼすも
のではない。
【0032】この発明は、上記実施の形態に限られるこ
とはなく、下記のように変形実施することができる。 (1)上記の第1,第2の各実施例では、4個の常伝導
体3A〜3Dはいずれも略正方形で「田」の字に配置さ
れるとともに、絶縁体1および超伝導体2も略正方形で
ある構成である。しかし、常伝導体の数は4個に限られ
るものではない。また、常伝導体や絶縁体および超伝導
体の形も略正方形に限られるものではない。例えば、図
9に示すような放射線検出器が変形実施例として挙げら
れる。
【0033】図9の放射線検出器の場合、互いに面方向
に分離されている8個の常伝導体9A〜9Hはいずれも
略扇形であり、これらの常伝導体9A〜9Hが円状に配
置されている。また、絶縁体7および超伝導体8も円形
となっている。そして、常伝導体9A〜9Hは、超伝導
金属または常伝導金属からなる電気接続体10A〜10
Gにより電気的にひとつに連結されているとともに、常
伝導体9Aと出力端子10aの間も超伝導金属または常
伝導金属からなる電気接続体10Hにより連結されてい
る。この放射線検出器により放射線を検出する場合、超
伝導体の側の出力端子8aに電源を接続し、常伝導体の
側の出力端子9aに前置増幅器を接続することになる。
上記以外の点については、構成・効果ともに上記実施例
と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0034】(2)本発明の放射線検出器が検出対象と
する放射線はX線に限られず、X線以外の放射線検出に
用いることができることは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】以上に述べたように、請求項1の発明に
係る放射線検出器によれば、互いに面方向に分離される
ように設けられた複数個の常伝導体は、単体の超伝導体
を共通して使うようにNIS接合を形成している。ま
た、各常伝導体が電気接続体により相互の熱的絶縁を維
持した状態で電気的にひとつに連結された構成をしてい
る。つまり、検出信号は放射線がどの常伝導体に入射し
たかには係わりなく出力され、複数個の常伝導体が纏ま
って実質的に1個の放射線吸収体として機能するので、
有感面積は全常伝導体の面積を合計した広い面積のもの
となる。さらに、各常伝導体の相互間の熱絶縁が維持さ
れた状態で熱的にはそれぞれが独立した放射線吸収体と
して機能するので、検出信号レベルは個々の常伝導体の
面積を合計した広い面積に相応した検出信号レベルの低
いものではなく、放射線が実際に入射した常伝導体単独
の小さな面積に相応した検出信号レベルの高いものとな
る。つまり、高いエネルギー分解能を維持することがで
きる。すなわち、請求項1の発明に係る放射線検出器に
よれば、エネルギー分解能が高く、かつ有感面積を大き
くして測定時間の短縮を図ることができる。
【0036】また、請求項2の発明の放射線検出器によ
れば、隣接する常伝導体同士を電気的に連結する電気接
続体が超伝導金属であって、隣接する常伝導体同士の間
に電子障壁が形成される構成を備えている。つまり、各
常伝導体で生じた励起電子が他の常伝導体へ移動するこ
となく直ちに検出信号として出力されるので、検出信号
は立ち上がりが急勾配な波形となる。その結果、応答速
度を上げることができる。
【0037】また、請求項3の発明の放射線検出器によ
れば、隣接する常伝導体同士を電気的に連結する電気接
続体が常伝導金属であって、隣接する常伝導体同士の間
に電子障壁が形成されない構成を備えている。つまり、
各常伝導体で生じた励起電子は他の常伝導体の方へ移動
を伴いながら検出信号として出力されるので、検出信号
は放射線が入射した常伝導体の位置を反映した波形とな
る。その結果、検出信号の波形から放射線が入射した常
伝導体の入射位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の放射線検出器の要部構成を示す平
面図である。
【図2】第1実施例の放射線検出器の要部構成を示す断
面図である。
【図3】第1実施例の検出器の超伝導体形成工程を示す
工程図である。
【図4】第1実施例の検出器の絶縁体形成工程を示す工
程図である。
【図5】第1実施例の検出器の常伝導体形成工程を示す
工程図である。
【図6】第1実施例の検出器の電気接続体形成工程を示
す工程図である。
【図7】第1実施例の検出器によるX線検出状況を示す
模式図である。
【図8】第2実施例の検出器の検出信号の波形を示すグ
ラフである。
【図9】変形実施例の放射線検出器の要部構成を示す平
面図である。
【図10】従来の放射線検出器の要部構成を示す平面図
である。
【図11】従来の放射線検出器の要部構成を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 …絶縁体 2 …超伝導体 3A〜3D …常伝導体 5A〜5C …電気接続体 7 …絶縁体 8 …超伝導体 9A〜9H …常伝導体 10A〜10G …電気接続体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE29 EE30 FF03 GG22 JJ01 JJ09 JJ31 JJ33 JJ37 LL15 4M113 AA03 AA04 AA18 AA25 AC24 AD36 AD62 AD63 BA04 BA11 BA15 CA07 CA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常伝導体(N)と超伝導体(S)との間に
    絶縁体(I)を挟んで形成されたNIS接合を備え、前
    記常伝導体が検出対象の放射線を吸収する放射線吸収体
    となっている放射線検出器において、前記常伝導体は、
    面方向に分離されて複数個あり、前記超伝導体は、各常
    伝導体に共通に使われる単体であり、かつ、各常伝導体
    は、相互の熱的絶縁を維持した状態で電気接続体によっ
    て電気的に連結されていることを特徴とする放射線検出
    器。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の放射線検出器において、
    電気接続体は、超伝導金属である放射線検出器。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の放射線検出器において、
    電気接続体は、常伝導金属である放射線検出器。
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