JP2003315459A - カロリーメータ - Google Patents

カロリーメータ

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JP2003315459A JP2002116576A JP2002116576A JP2003315459A JP 2003315459 A JP2003315459 A JP 2003315459A JP 2002116576 A JP2002116576 A JP 2002116576A JP 2002116576 A JP2002116576 A JP 2002116576A JP 2003315459 A JP2003315459 A JP 2003315459A
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01KMEASURING TEMPERATURE; MEASURING QUANTITY OF HEAT; THERMALLY-SENSITIVE ELEMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01K7/00Measuring temperature based on the use of electric or magnetic elements directly sensitive to heat ; Power supply therefor, e.g. using thermoelectric elements
    • G01K7/006Measuring temperature based on the use of electric or magnetic elements directly sensitive to heat ; Power supply therefor, e.g. using thermoelectric elements using superconductive elements

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、この発明は超伝導転移端の
急峻さを利用し、X線により発生する微小な熱を大きな
信号電流に変換し、かつ自己電熱フィードバック機構を
利用することにより高エネルギー分解能、高計数率の特
徴をもつ超伝導放射線検出器を得ることである。 【解決手段】 X線を吸収するための吸収体5と、吸収
体5の下に設けられ吸収体5で発生した熱により抵抗値
を変化させる抵抗体4と、抵抗体4と外部の電流検出器
とを結ぶ超伝導配線6と、抵抗体4が積層されているメ
ンブレン3とから構成され、抵抗体4は超伝導体からな
り、抵抗体4に定常的に電流を流すことにより発生する
ジュール熱と前記吸収体で発生する熱が熱的にバランス
されてメンブレン3を伝わるカロリーメータにおいて、
抵抗体4と吸収体5の間に、その厚み方向に貫通穴8を
有する絶縁膜が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は超伝導転移端の急
峻さを利用し、X線により発生する微小な熱を大きな信
号電流に変換し、かつ自己電熱フィードバック機構を利
用することにより高エネルギー分解能、高計数率の特徴
をもつ超伝導放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】元素分析や不純物検査等で用いられる従
来の半導体を利用した検出器のエネルギー分解能、計数
率を上回る超伝導転移端を利用したマイクロカロリーメ
ータが注目されている(以後マイクロカロリーメータと
呼ぶ)。従来の半導体を用いた検出器として、Energy D
isperse Spectroscopy (EDS)が知られており、広いエネ
ルギー範囲を短時間で元素分析ができることが特徴であ
る。しかしエネルギー分解能は、半導体がもつエネルギ
ーギャップ幅に依存するために、100eVを下回ること
は不可能である。このエネルギー分解能の性能を改善
し、かつ高計数率の性能を併せ持つ検出器としてマイク
ロカロリーメータが期待されている。マイクロカロリー
メータは、超伝導転移近傍に温度設定をし、定電圧駆動
させることにより、自己電熱フィードバック機構がはた
らき高エネルギー分解能、高計数率を達成している。マ
イクロカロリーメータの詳細な説明は、K. D. Irwin, A
ppliedphysics Letters 66, 1988 (1995) に記載されて
いる。超伝導転移温度は、物質が常伝導状態から超伝導
状態へ転移する温度を表す。超伝導体に薄く常伝導体を
成膜すると近接効果により超伝導転移温度を単層のそれ
に比べ低温側にシフトさせることができる。温度のシフ
ト量は超伝導体と常伝導体の膜厚比により決定される。
マイクロカロリーメータが超伝導体と常伝導体の2層構
造である場合、放射線の吸収にともない発生した活性電
子は主に常伝導体の中を拡散する。電子の拡散はできる
だけ早いほうがよく、電子の拡散長が短いとカロリーメ
ータが昇温される時間が長くなる。その結果、エネルギ
ー分解能を決定する信号パルスの波高値のばらつきに影
響を及ぼす。特に薄膜になるほど電子の拡散長が短くな
ることを薄膜効果と呼ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】カロリーメータは、抵
抗体の上に吸収体を設けるため、抵抗体の面積を吸収体
より大きくする必要があった。X線の吸収効率を向上さ
せるためには、吸収体を厚くする、または面積を大きく
する必要がある。そのため、抵抗体の面積は少なくとも
吸収体の面積より小さくすることはできなかった。
【0004】また、吸収体が常伝導体である場合、吸収
体下部の抵抗体は近接効果により常伝導状態となり、吸
収体がない抵抗体部で超伝導転移温度は決定される。抵
抗体の大きさは一定とし、吸収体がある場合とない場合
では、吸収体があるカロリーメータの転移温度はない場
合と比較し低下し、かつ転移幅が広がる問題が生じてい
た。転移幅が広がるとカロリーメータのエネルギー分解
能が劣化し、かつ計数率も劣化する。本発明において、
吸収体の面積を減らさず、かつ超伝導転移温度幅も劣化
させないカロリーメータを得ることを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明においては、X
線を吸収し熱を発生する吸収体と、吸収体がその上に積
層され吸収体で発生した熱により抵抗値を変化させる抵
抗体と、抵抗体と外部の電流検出器とを結ぶ超伝導配線
と、抵抗体が積層されているメンブレンとから構成さ
れ、抵抗体が超伝導体からなり、抵抗体に定常的に電流
を流すことにより発生するジュール熱と吸収体で発生す
るジュール熱とがメンブレンを熱的にバランスされて伝
わるカロリーメータにおいて、OLE_LINK1抵抗体と吸収
体の間にその厚み方向(抵抗体から吸収体に向かう方
向)に貫通穴を有する絶縁膜OLE_LINK1が設けられてら
れている。
【0006】
【発明の実施の形態】吸収体の面積を減らさず、かつ超
伝導転移温度幅も劣化させないカロリーメータを得るた
めに、X線を吸収するための吸収体が、吸収体で発生し
た熱により抵抗値を変化させる抵抗体上に積層され、抵
抗体と外部の電流検出器とを結ぶ超伝導配線と抵抗体が
積層されているメンブレンから構成され、抵抗体が超伝
導体からなり、抵抗体に定常的に電流を流すことにより
発生するジュール熱と吸収体で発生するジュール熱がメ
ンブレンを伝わる熱が熱的平衡状態が保たれているカロ
リーメータにおいて、抵抗体と吸収体の間に絶縁膜が設
けられていることを特徴とする。特に、絶縁膜中に膜厚
方向に貫通穴を一つ設けた場合、バイアス電流の向きと
平行となるように配置し、かつ貫通穴の径方向の断面形
状が電流の向きと平行な辺が長辺となるような長方形型
とし、または絶縁膜中に膜厚方向に貫通穴を複数個設け
た場合、少なくとも2つの穴の配置が前記電流の向きと
平行となるように配置した。吸収体は十分厚い常伝導体
である場合、抵抗体から十分離れた(コヒーレント長よ
り長い)位置は抵抗体の影響を受けず自由に活性電子は
移動することができる。吸収体で発生した活性電子(hot
electron)は、吸収体内部で拡散し、設けられた穴か
ら抵抗体へと伝わる。そのため、カロリーメータ全体に
活性電子が広がる速さは、吸収体の拡散係数と平均自由
行程により決まり、例えば300μ×300μmの金である場
合、1μs以内で拡散することは可能である。1μsはカロ
リーメータの時定数(例えば100μs)より十分速い。そ
の結果、X線が吸収体のどこで吸収されてもパルス波高
値は一律に決まり、パルスの位置依存性はなくなり、エ
ネルギー分解能の劣化を防ぐことができる。
【0007】また、配置が電流の向きと平行である2個
の穴を通して電流が吸収体を流れるため、カロリーメー
タの抵抗値はほぼ吸収体の抵抗値で決定される。抵抗値
が小さいと、流れる電流が一定である場合、電流による
ジュール熱が減少するため、メンブレンの熱コンダクタ
ンスを小さくすることすることができる。その結果、S
N比(Signal to Noise)が大きくなり、エネルギー分
解能の向上を計ることができる。
【0008】また、吸収体と抵抗体の間に絶縁膜を設け
ておくことにより、絶縁膜下部の抵抗体は近接効果によ
り超伝導性を弱められることはない。そのため、吸収体
と抵抗体の面積が近い場合、また同じ場合でも抵抗体と
吸収体が接触している箇所を除けば、抵抗体の超伝導性
は維持される。その結果、抵抗体と吸収体が接触する面
積を小さくすることにより、超伝導転移温度低下を防ぐ
ことができ、かつ転移幅も狭くすることができ、エネル
ギー分解能向上と計数率向上を計ることができた。
【0009】また、穴が4つである場合、2つの穴の配
置が電流の向きと平行であり、2つの穴の配置が垂直で
あるカロリーメータを用いた。
【0010】X線吸収により吸収体で発生した活性電子
は、吸収体内で等方的に拡散する。抵抗体を均一に昇温
させるためには、吸収体内で拡散した活性電子ができる
だけ速く抵抗体に到達し、均一に抵抗体で拡散する必要
がある。2つの穴の配置(並ぶ向き)を電流と平行と
し、残り2つの穴の配置を垂直とすることにより、活性
電子が吸収体内どこで発生しても、すばやく抵抗体内部
に到達することがでる。抵抗体において熱を輸送するの
は電子であるため、吸収体で発生した電子が抵抗体に広
がるとカロリーメータを均一にすばやく昇温させること
ができる。
【0011】その結果、X線が吸収体のどこで吸収され
てもパルス波高値は一律に決まり、パルスの位置依存性
はなくなり、エネルギー分解能の劣化を防ぐことができ
る。
【0012】また、絶縁膜が弗化水素でエッチングされ
ない材料であるカロリーメータを用いた。カロリーメー
タの構成材料として弗化水素でエッチングされる材料、
例えばチタンを用いた場合、絶縁膜が保護膜となりチタ
ンをプロセス工程において、弗化水素によるエッチング
を防ぐことができる。特に5酸化タンタルは耐弗化水素
性があり、かつスパッタにより容易に成膜することがで
きる。
【0013】その結果、カロリーメータを構成する抵抗
体の材料として、弗化水素でエッチングされる材料でも
使用することができ、抵抗体の材料による制約なしに容
易にカロリーメータを作製することができる。
【0014】
【実施例】図1(a),(b)は、抵抗体4と吸収体5の間に
絶縁膜7が設けられたカロリーメータの模式図である。
図1(b)は平面図、図1(a)はそのA−A‘断面図を表
す。X線を吸収するための吸収体5が、吸収体で発生し
た熱により抵抗値を変化させる抵抗体4上に積層され
る。抵抗体4は、超伝導配線6を介し、外部の電流検出
器に接続される。抵抗体4はメンブレン3上に積層され
ている。抵抗体4は超伝導体からなり、抵抗体4に定常
的に電流を流すことにより発生するジュール熱と吸収体
で発生するジュール熱は、熱的にバランスされてメンブ
レンを伝わる。
【0015】カロリーメータ1は、基板2上にメンブレ
ン3が設けられており、メンブレン3上には抵抗体4と
吸収体5と超伝導配線6が積層されている。絶縁膜7
が、抵抗体4と吸収体5の間に設けられている。メンブ
レン3は抵抗体4で発生する熱が基板2へ流れる熱流量
をコントロールするために用いられる。抵抗体4で発生
する熱は小さく、メンブレン3に要求される熱コンダク
タンスは例えば20nW/K以下である。メンブレン3は、例
えば窒化シリコンの薄膜が用いられ、厚みは1μm以下
である。抵抗体4は例えば400mKでカロリーメータ1を
動作させる場合、Au(30〜40nm)とTi(60nm〜100nm)の2
層構造とする。Ti薄膜の転移温度は約600mKであるが、
上記2層構造とすることにより近接効果により400mKま
で転移温度を下げることができる。吸収体5は、X線吸
収により発生する活性電子がすばやく拡散するために、
抵抗率の低い材料が好ましく、例えば金や銅を用いるこ
とができる。絶縁膜7は、抵抗体4と吸収体5の電子の
移動を制限するために用いられ、超伝導体である抵抗体
4が有する超伝導に特有なクーパー対が吸収体5への浸
みだしを制限することができる。抵抗体4と吸収体5は
一部電気的な接続ができるように、絶縁膜7にその膜厚
方向に貫通穴8が設けられている。吸収体5が十分厚い
場合、近接効果により吸収体5と接触している抵抗体4
の部分はつねに常伝導状態となる。すなわち絶縁膜7の
下部は400mKで超伝導転移しても、抵抗体4と吸収体5
が接触している箇所は常伝導状態に保たれている。
【0016】絶縁膜7の材料として、例えば5酸化タン
タルを選ぶことができる。抵抗体4で用いられるチタン
は弗化水素によりエッチングされるため、絶縁膜7は弗
化水素にエッチングされない材料が好ましく、5酸化タ
ンタルはエッチングされない材料である。
【0017】以下本カロリーメータ1の動作について説
明する。カロリーメータ1は定電圧で駆動され、抵抗体
4を流れる電流によりジュール熱が発生する。ジュール
熱はメンブレン3を通じて逃げる熱と熱的に平衡状態が
保たれている。この熱的な平衡状態にあるカロリーメー
タ1にX線などの熱が入ると、抵抗値が上昇し、熱的に
非平衡状態へとなる。カロリーメータ1は常に定電圧状
態にあるため、抵抗値が変化すると電流パルスが発生
し、この電流パルスの波高値を測定することにより、X
線のエネルギーを求めることができる。熱的に非平衡状
態となったカロリーメータ1は、熱的な自己フィードバ
ック機能により、もとの熱平衡状態へと戻る。図1に示
すように、電流が流れる向きと平行に1個の穴がある
と、抵抗体4が常伝導状態のとき抵抗体4でなく吸収体
5を電流は流れる。なぜならば抵抗体4と比較し、吸収
体5は、素材として金や銅を用いた場合抵抗値が低いた
めである。カロリーメータ1の抵抗値4が低く、メンブ
レン3の熱コンダクタンスを小さくすることにより、抵
抗体4に流す電流を小さくすることができる。抵抗体4
に流れる電流が小さくなると、カロリーメータ1で発生
するジュール熱を小さくすることができる。カロリーメ
ータ1は冷凍機で動作させられるが、冷凍機の冷却能力
にも限界があり、カロリーメータ1のジュール熱を小さ
くすることにより、冷却能力面での冷凍機の負担も小さ
くなる。ジュール熱X線が吸収体4で吸収されると、吸
収体4のフェルミ面近傍の電子が励起され、活性電子が
発生する。吸収体4は常伝導体であるため、活性電子は
自由電子として吸収体4内を拡散する。吸収体4の大き
さが300μm×300μmである場合、拡散時間は1μsを必
要としない。活性電子は穴を通して抵抗体4へと拡散す
る。絶縁膜7下部の抵抗体4を活性電子は拡散し、最終
的には抵抗体4が均一に昇温される。
【0018】また、パルス信号の波高値を大きくするた
めにカロリーメータ1の熱容量を小さくした方がよい。
また、パルス信号の時定数は、(C:熱容量)/(G:熱
コンダクタンス)で与えられる。先に述べたように熱コ
ンダクタンスをできるだけ小さくした方がよいため、時
定数を小さくするためにも熱容量を小さくする必要があ
る。カロリーメータ1の熱容量が主に抵抗体4の熱容量
で決定される場合、抵抗体4の体積または転移温度を小
さくする必要がある。転移温度を例えば400mKに固定し
た場合、熱容量を小さくするためには、体積を減少させ
る必要がある。抵抗体4の厚みは超伝導転移温度により
構成する材料の膜厚、例えばAu(30〜40nm)とTi(60nm〜1
00nm)の2層構造で決定される。そのため体積を低下さ
るために、抵抗体4の面積を小さくする必要がある。従
来構造では、吸収体5より抵抗体4は超伝導領域を確保
するために大きくする必要があったが、本構造では絶縁
膜7により吸収体5下部の抵抗体5の超伝導性は確保さ
れているため、吸収体5と抵抗体4の大きさが等しくて
も構わない。その結果、抵抗体4の面積を従来構造より
小さくすることができ、エネルギー分解能の向上を計る
ことができる。
【0019】また、常伝導状態から超伝導状態へ転移す
る超伝導転移温度や傾きの急峻さは、抵抗体4と吸収体
5の接触面積に依存する。接触面積が増加すると転移温
度は低温側へシフトし、また急峻さはゆるやかになる。
急峻さとは、単位温度あたりの抵抗値の変化量の急峻度
である。本発明のように、抵抗体4と吸収体5の間に絶
縁膜7があると、電気的な接続が必要な箇所のみ、絶縁
膜7に穴8を設けることにより、抵抗体4と吸収体5の
接触面積が減少し、転移温度低下の抑制や急峻さの維持
を図ることができる。
【0020】図2(b)は、穴が4つである場合、2つの
穴の配置(2つの穴の並ぶ向き)が電流の向きと平行で
あり、他方の2つの穴の配置が垂直であるカロリーメー
タの模式図である。図2(a)はそのA−A’線に沿った断
面図である。
【0021】X線吸収により吸収体で発生した活性電子
は、吸収体内で等方的に拡散する。抵抗体4を均一に昇
温させるためには、吸収体5内で拡散した活性電子がで
きるだけ速く抵抗体4に到達し、均一に抵抗体で拡散す
る必要がある。4つの穴8のうち2個の配置を電流と平
行とし、残り2つの穴の位置を垂直とすることにより、
活性電子が吸収体内どこで発生しても、すばやく抵抗体
4内部に到達することができる。抵抗体4において、熱
の輸送は主に電子が行っているため、吸収体4内部で発
生した活性電子が抵抗体4に拡散され、均一にすばやく
カロリーメータ1を昇温させることができる。
【0022】その結果、X線が吸収体のどこで吸収され
てもパルス波高値は一律に決まり、パルスの位置依存性
はなくなり、エネルギー分解能の劣化を防ぐことができ
る。
【0023】
【発明の効果】以上で説明したように請求項1に関わる
発明によれば、貫通穴を設けた絶縁膜を用いることによ
り、吸収体がX線を吸収することにより発生する活性電
子が、吸収体内部ですばやく均一に拡散し穴を通じで抵
抗体を昇温させることができ、抵抗体で発生する電流パ
ルスの波高のばらつきを押さえることができる。また、
吸収体と抵抗体の間に絶縁膜を設けることにより、吸収
体と抵抗体がほぼ同じ大きさでも絶縁膜下部の抵抗体の
超伝導性は保つことができる。そのため、従来のカロリ
ーメータより、電流の波高のばらつきを押さえることが
でき、エネルギー分解能に優れたカロリーメータを得る
ことができる。請求項2に関わる発明によれば、上記貫
通穴が複数ある場合、少なくとも2つの穴の配置が電流
の向きと並行であるため、カロリーメータに流れる電流
はほとんど抵抗体に流れる。そのため、吸収体が厚い金
属体である場合特に吸収体の抵抗値が低いため、カロリ
ーメータの抵抗値を小さくすることができる。カロリメ
ータの抵抗値が小さく、かつ流す電流を小さくすること
により、カロリーメータで発生するジュール熱を小さく
することができる。ジュール熱が小さいとき、カロリー
メータ内部の温度分布がほぼ均一となる。温度分布が均
一になると、カロリーメータ内部の温度ゆらぎも小さく
なり、エネルギー分解能が向上したカロリーメータを得
ることができる。請求項3に関わる発明によれば、穴が
4つである場合、2つの穴の配置が前記電流の向きと平
行であり、2つの穴の配置が垂直であると、X線を吸収
することにより発生した活性電子が、均等に穴を通じて
抵抗体を暖めることができ、抵抗体で発生する電流パル
スの波高のばらつきを押さえることができる。そのた
め、エネルギー分解能に優れたカロリーメータを得るこ
とができる。請求項4に関わる発明によれば、弗化水素
でエッチングされない材料である場合、カロリーメータ
を構成する材料が弗化水素でエッチングされるとき、カ
ロリーメータとして必要な箇所を弗化水素によるエッチ
ングから保護することができ、プロセス上安定してカロ
リーメータを作製することができる。特に5酸化タンタ
ルがスパッタにより簡単に室温で成膜することができ、
プロセスが簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に関わるカロリーメータ
を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に関わるカロリーメータ
を示す概略図である。
【符号の説明】
1 カロリーメータ 2 基板 3 メンブレン 4 抵抗体 5 吸収体 6 超伝導配線 7 絶縁膜 8 穴
フロントページの続き (72)発明者 師岡 利光 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 株 式会社エスアイアイ・アールディセンター 内 (72)発明者 中山 哲 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セ イコーインスツルメンツ株式会社内 Fターム(参考) 2G088 FF02 GG25 JJ09 JJ18 4M113 AC33 AC41 AD51 CA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線を吸収するための吸収体と、前記吸収
    体の下に設けられ前記吸収体で発生した熱により抵抗値
    を変化させる抵抗体と、前記抵抗体と外部の電流検出器
    とを結ぶ超伝導配線と、前記抵抗体が積層されているメ
    ンブレンとから構成され、前記抵抗体は超伝導体からな
    り、前記抵抗体に定常的に電流を流すことにより発生す
    るジュール熱と前記吸収体で発生する熱が熱的にバラン
    スされて前記メンブレンを伝わるカロリーメータにおい
    て、 前記抵抗体と前記吸収体の間に、前記抵抗体から前記吸
    収体に向かう貫通穴を有する絶縁膜が設けられているこ
    とを特徴とするカロリーメータ。
  2. 【請求項2】前記貫通穴が複数ある場合、少なくとも2
    つの穴の配置が前記電流の向きと平行であることを特徴
    とする請求項1記載のカロリーメータ。
  3. 【請求項3】前記穴が4つである場合、2つの穴の配置
    が前記電流の向きと平行であり、2つの穴の配置が垂直
    であることを特徴とする請求項1に記載のカロリーメー
    タ。
  4. 【請求項4】前記絶縁膜が弗化水素でエッチングされな
    い材料であることを特徴とする請求項1に記載のカロリ
    ーメータ。
  5. 【請求項5】前記絶縁膜が5酸化タンタルであることを
    特徴とする請求項1に記載のカロリーメータ。
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