JP2002020859A - レーザアブレーション成膜方法 - Google Patents
レーザアブレーション成膜方法Info
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Abstract
もに、成膜工程における基板温度の上昇を避けることの
できるレーザアブレーション成膜方法を提供する。 【解決手段】 ターゲット支持台8に載置されたターゲ
ット7を、ランプ15により所定の温度にて所定時間加
熱する加熱工程と、加熱されたターゲット7を所定の温
度まで冷却する冷却工程とを行なった後に、レーザ光を
ターゲット7に照射してターゲット7から原料物質を放
出させ、基板保持台6に載置された基板5上に所望の薄
膜を形成させる。
Description
たターゲットからの原料物質を基板上に堆積させて薄膜
を形成するレーザアブレーション成膜方法に関する。
においては、薄膜の形成に用いる基板に対向して配置さ
れたターゲットに対してレーザ光を照射する。そして、
レーザ光の有する高密度の光子により、ターゲットを構
成する原子、分子、あるいはイオン等を原料物質として
放出させるとともに、放出された原料物質を基板上に堆
積させて薄膜を成膜する。
制御が容易であること、高融点の物質でも成膜できるこ
とから、誘電体や磁性体などの薄膜を形成する方法とし
て広く用いられている。
に用いられる成膜装置は、排気装置が付設された真空容
器を有して構成される。この真空容器の内部には、薄膜
を形成するための原料物質を供給するターゲットを支持
するターゲット支持台と、薄膜形成用の基板を保持する
基板保持台とが設けられる。また、真空容器の外部に
は、レーザ光源と、レーザ光源から出力されるレーザ光
をターゲットへと導くための光学系とが設けられる。こ
のような構成からなる成膜装置において、レーザ光源か
ら出力されたレーザ光が光学系によって導かれてターゲ
ットに照射されると、ターゲット表面から放出された原
料物質は、プルームと呼ばれる発光柱を形成する。そし
て、基板に到達した原料物質は基板上へ吸着して堆積さ
れ、これによって、ターゲットから供給された原料物質
を構成種として、所望の薄膜が堆積される。
成膜方法によって形成した薄膜においては、突起状、粒
状、塊状、あるいは薄片状等の異常堆積物(以下、微粒
子という)が含まれていることが知られている。このよ
うな微粒子が薄膜に多数含まれると、電気的デバイスに
利用した場合の電気的リークや、ミラーに用いた場合の
均一性、平滑性の劣化など、薄膜の特性が劣化する。
方法としては、ターゲットから発生、放出された微粒子
を取り除く方法がある。このような方法としては、例え
ば、ターゲットと基板の間にフィルターまたはメッシュ
を設けて、成膜中に微粒子を取り除く方法がある(特開
平08−176805号公報、特開平07−18004
2号公報)。あるいは、レーザ光を用いて微粒子を分解
することによって、成膜後に微粒子を取り除く方法があ
る(特開平05−279848号公報)。
発生した後に取り除く方法であったが、いずれも微粒子
の影響を充分に低減することができない。これに対し
て、ターゲットからの微粒子の発生そのものを抑える方
法が、特開平10−36959号公報に記載されてい
る。この成膜方法では、レーザアブレーション成膜中に
ターゲットを加熱するという方法が開示されている。す
なわち、レーザ光をターゲットに照射して基板上に薄膜
を堆積している間に、ターゲット支持台内部に付設され
た抵抗加熱方式によるヒータによりターゲットを加熱す
るというものである。
ーゲットを加熱した場合、加熱されたターゲットからの
輻射熱によって、薄膜形成用の基板が同時に加熱されて
しまうという問題がある。このように基板が加熱されて
基板温度が上昇すると、成膜工程において様々な問題を
生じる。例えば、低融点物質からなる基板を使用した場
合には、成膜中に基板が変形してしまったり、溶融して
しまったりすることがある。また、堆積する薄膜と化学
反応し易い物質からなる基板を使用した場合には、基板
が加熱されることにより化学反応が促進され、所望の薄
膜が得られなくなる。
影響されるため、たとえば、基板の温度が室温の時に良
質な薄膜が得られる場合には、薄膜の品質が劣化してし
まう。
つ基板温度の上昇を抑えようとすると、基板を冷却する
冷却機構等を付設する必要がある。したがって、装置構
成が複雑化するとともに、このような方法では、充分に
成膜条件を改善することは難しく、所望の薄膜を得るこ
とができない。
を使用する場合は、成膜中に、ターゲットから放出され
た原料物質がランプヒータに付着し、光及び熱の放射効
率を下げる原因となる。
ものであり、形成される薄膜中の微粒子が低減されると
ともに、成膜工程における基板温度の上昇を避けること
のできるレーザアブレーション成膜方法を提供すること
を課題としている。
に、本発明によるレーザアブレーション成膜方法は、タ
ーゲットにレーザ光を照射することによってターゲット
から原料物質を放出させるとともに、放出された原料物
質を基板上に堆積させて薄膜を形成する成膜方法であっ
て、加熱手段を用いてターゲットを加熱する加熱工程
と、加熱されたターゲットを、所定の温度まで冷却する
冷却工程と、加熱されたターゲットにレーザ光源からの
レーザ光を照射して、基板上に薄膜を形成する成膜工程
とを備えることを特徴とする。
よれば、ターゲットを加熱するので、ターゲット中に含
まれる微粒子あるいは微粒子の発生源を取り除くことが
できる。また、ターゲットの加熱を成膜の前処理として
行なうので、成膜中の基板の加熱を防ぐことができる。
さらに、ターゲットを加熱した後に冷却するので、基板
が加熱されてしまうことなく成膜開始時から良好な条件
にて、薄膜を形成することができる。
熱手段に対して回転させつつ加熱を行なうことを特徴と
する。これによって、ターゲットを一様に加熱すること
ができ、ターゲット中の微粒子の発生源を充分に取り除
くことができる。
はターゲットを所定の方向から覆って、加熱手段からの
熱をターゲットへと集める加熱制御部材を用いることを
特徴とする。これにより、効率的にターゲットを加熱す
ることができる。したがって、ターゲット中の微粒子の
発生源を効率良く取り除くことができる。
ーザアブレーション成膜方法の好適な実施形態について
説明する。なお、同一の要素には同一の符号を用いるこ
ととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比
率は、説明のものとは必ずしも一致していない。
ン成膜方法に用いられるレーザアブレーション成膜装置
の一実施形態の構成を概略的に示す垂直断面図である。
ここで、図1は、後述するターゲットの加熱工程におけ
る状態でのアブレーション成膜装置を示している。ま
た、図2には、成膜工程における状態でのレーザアブレ
ーション成膜装置を示してある。
ザアブレーション成膜装置1は、成膜を行なう真空容器
2と、レーザ光を出力するレーザ光源3と、成膜手順を
自動制御する制御装置4とを備えている。真空容器2の
内部には、薄膜を形成する基板5を保持するための基板
保持台6と、薄膜の原料物質を供給するターゲット7を
支持するためのターゲット支持台8とが設けられてい
る。基板保持台6とターゲット支持台8は、基板保持台
6が中央上部、ターゲット支持台8が中央下部にあり、
それぞれの基板保持面とターゲット支持面とが垂直方向
に対向して設置されている。このターゲット支持台8に
は、ターゲット7を回転するための回転駆動部9が備え
られている。また、基板5とターゲット7との間には、
垂直方向を回転軸として一定角度回転させることによっ
て、基板5とターゲット7の間を遮らない位置(開状
態)と遮る位置(閉状態)とに移動することが可能なシ
ャッター10が備えられている。さらに、回転によって
シャッター10を開閉させるための回転駆動部11が設
けられている。
けられている。また、真空容器2には、レーザ光源3か
ら出力されるレーザ光が通る照射光路L(図2参照)を
含む側壁上の部位に、レーザ光導入窓12が設けられて
いる。このレーザ光導入窓12は好ましくは石英製であ
り、真空容器2の気密を保つように設けられている。ま
た、真空容器2の外部には、ミラー13とレンズ14と
からなる光学系が備えられている。この光学系により、
レーザ光源3から出力されるレーザ光は、レーザ光導入
窓12を介してターゲット7へと導かれる。ここで、レ
ンズ14を照射光路Lと直交する方向へ移動できるよう
設け、レーザ光をターゲット7表面上でスキャンするこ
とができるようするのが好ましい。なお、レーザ光源3
は、ターゲット7を構成している原料物質及びターゲッ
ト7の大きさ等に応じて、適宜選択して用いれば良い。
使用可能なレーザ光源としては、例えばエキシマレーザ
やYAGレーザ等がある。
熱する加熱手段としてのランプ15と、このランプ15
を支持するランプ支持台16が設けられている。ランプ
支持台16の下部には、ランプ15を垂直方向を回転軸
として一定角度回転させるための回転駆動部17が設け
られている。ランプ15としては、ターゲット7を充分
に加熱できるランプであればよく、例えばハロゲンラン
プ等を用いることが好ましい。図3は、図1に示したラ
ンプ15等の構成を拡大して示す斜視図である。ランプ
15の周囲には、ランプ15の側方部と上方部を覆う形
状の遮蔽板18が設けられている。この遮蔽板18は、
光を反射するとともに、熱を空間的に閉じ込めて、ラン
プ15からの熱をターゲット7へと集める加熱制御部材
としての役割を果たし、これにより、効率的にターゲッ
ト7を加熱することができる。この遮蔽板18は、ラン
プ15からの輻射熱によって高温となるので、耐熱性を
考慮して、モリブデン等の高融点材料にて作製するのが
好ましい。また、遮蔽板18から熱が逃げてしまうとタ
ーゲット7の加熱効率が悪くなるので、熱容量を小さく
して熱伝導を抑えるため、遮蔽板18をできるだけ薄く
作製することが好ましい。なお、遮蔽板18とは逆に、
ランプ支持台16は、ランプ15の特に電極部の熱を逃
しやすくするために、銅やアルミニウム等の熱伝導性の
良い材料を用いるとともに、厚板と太い棒状の部材で構
成することが好ましい。
同じく加熱制御部材として機能する反射板19が設けら
れている。この反射板19は、ランプ15からの熱輻射
を遮蔽することによって真空容器2の底部が加熱される
のを防ぐとともに、ランプ15からの光を反射すること
により、ターゲット7をさらに効率良く加熱する役割を
果たす。
基板保持台6を支持する支持棒6aを側方から囲むよう
に、支持棒6aを中心とした螺旋状の銅パイプ20が備
えられている。この銅パイプ20は、その内部へ液体窒
素を流して銅パイプ20自体を冷却することにより、成
膜中の真空容器2内部に残留している窒素ガスなどを吸
着するコールドトラップとして機能する。さらに、真空
容器2には排気装置(図示せず)が接続された開口21
が設けられており、この排気装置により真空容器2内部
は高真空に排気される。
及び回転駆動部9,11,17等に接続され、これら各
部の動作を制御する。
ーション成膜装置1を用いて薄膜を形成する成膜方法に
ついて説明する。なお、成膜装置の以下に述べる各動作
は、自動または操作者の操作に基づき、制御装置4によ
って制御される。
ぞれ基板保持台6とターゲット支持台8とに、互いに対
向するように設置する。その後、真空容器2内部を排気
装置により真空引きする。次に、シャッター10を閉じ
るとともに、ランプ15をターゲット7の上方へと回転
移動する。このとき、シャッター10とランプ15は、
図1に示す位置にある。
部9を起動してターゲット7を一定速度で回転させる。
そして、ランプ15を点灯し、回転しているターゲット
7に対する加熱を開始する。ターゲット7の温度が所定
温度(例えば、1000℃)となった後に、さらに同温
度に保って所定時間加熱を行なう(加熱工程)。
15を消灯し、ターゲット7の温度が下がるまで一定時
間放置して所定の温度まで冷却する(冷却工程)。ター
ゲット7の温度が下がるのを待つ間に、予冷として銅パ
イプ20へ窒素ガスを流した後に液体窒素の流入を開始
し、さらにレーザ光源3の電源を入れて待機状態として
おく。
ランプ15を、ターゲット7から放出される原料物質が
基板に堆積されるのを妨げない位置へと回転移動し、レ
ーザ光をターゲット7に照射する。シャッター10を開
いて成膜を開始する(成膜工程)。レーザ光源3から出
力されたレーザ光が光学系によって導かれてターゲット
7に照射され、ターゲット7表面から放出された原料物
質は、プルームと呼ばれる発光柱を形成する。そして、
基板5に到達した原料物質は基板5上へ吸着して堆積さ
れ、これによって、ターゲット7から供給された原料物
質を構成種として、所望の薄膜が形成される。このと
き、成膜中はシャッター10とランプ15は、図2に示
す通り、ターゲット7から放出される原料物質が基板に
堆積するのを妨げない位置にある。また、成膜中もター
ゲット7は回転を継続している。
10を閉じるとともに、レーザ光の照射を止めて成膜を
終了する。
アブレーション成膜方法によれば、ターゲット7を加熱
するので、ターゲット7中に含まれる微粒子あるいは微
粒子の発生源を取り除くことができる。また、成膜の前
処理としてターゲット7の加熱を行なうために、成膜中
の基板の加熱を防ぐことができる。さらに、ターゲット
7を加熱した後に冷却するため、成膜開始時から基板が
加熱されることなしに良好な条件にて、薄膜を形成する
ことができる。
するため、ターゲット7を一様に加熱することができる
ので、ターゲット7中の微粒子の発生源を充分に取り除
くことができる。
熱手段であるランプ15またはターゲット7を所定の方
向から覆うように構成された加熱制御部材として遮蔽板
18及び反射板19を用いることによって、ランプ15
からの光及び熱をターゲット7に集められるので、効率
的にターゲット7を加熱することができる。そのため、
ターゲット7中の微粒子の発生源を効率良く取り除くこ
とができる。
は、図3に示した遮蔽板18以外にも様々な構成が可能
である。例えば、図4に示すように、ランプ15に加え
て、ターゲット7及びターゲット支持台8の一部を囲む
形状の遮蔽板30を用いてもよい。さらに、この遮蔽板
30とともに、同じく図4に示す遮蔽板31を用いて、
より効率的に光や熱を閉じ込めるようにしても良い。た
だし、この図4に示した遮蔽板30,31を用いる場合
には、ランプ支持台を回転してランプ15及び遮蔽板3
0を回転移動することはできないため、遮蔽板30が付
設されているランプ支持台を水平方向に平行移動する機
構と、遮蔽板31をこのランプ支持台の移動する方向と
交差する方向に移動する機構とが必要である。
は、加熱されたターゲット7から熱が逃げないようにす
ることも重要である。そこで、図5(a)に示すよう
に、ターゲット支持台8のターゲット7を載置する部位
に、ターゲット7と点接触するような突起60を設けて
ターゲット7を支持するのが好ましい。また、図5
(b)の通り、ターゲット7を載置する部位の側壁を低
くして、ターゲット7との接触面積を少なくするように
してもよい。
上の高温に加熱されるので、ターゲット支持台8はモリ
ブデンのような高融点材料、あるいはターゲット7と同
じ材質で作製されるのが好ましい。さらには、図5
(c)に示すように、ターゲット7と同じ材質で作製し
たターゲット支持台40の一部をターゲット7として用
いる、すなわち、ターゲット支持台40そのものにレー
ザ光を照射するようにしてもよい。
15をターゲット7の上方に設けたが、図6に示すよう
にランプ15をターゲット7の下方に設けるようにして
もよい。このとき、ターゲット支持台8のターゲット7
を置く部位には開口50を設け、ターゲット7よりも下
方に位置するランプ15から放射される光をターゲット
7に直接照射させ、ターゲット7を効率良く加熱するこ
とが好ましい。さらに、ランプ15の光を反射あるいは
集光するために、ランプ15及びターゲット支持台8の
一部を覆う遮蔽板33を加熱制御部材として設けるよう
にしてもよい。
ついて、実施例により更に具体的に説明する。
ァスダイアモンドを成膜した。
直径20cm、厚さ5mmの円盤状のガラス様カーボン
(日清紡製)である。基板には両面研磨されたサファイ
アc面基板を使用した。ガラス様カーボンとサファイア
基板の間隔は、40mmとした。上記ガラス様カーボン
の加熱は、1050℃にて30分間行なった。使用した
ハロゲンランプは定格500Wであり、加熱中は95V
の電圧を印加した。
置して冷却した。1時間放置後のガラス様カーボンの温
度は約50℃であり、ほぼ室温となった。
レーザをレーザ出力12J/cm2、パルス周波数10
Hzの条件で使用した。また、レーザ光をガラス様カー
ボンに照射した後、シャッター10を開けて成膜を開始
するのに先だって、レンズ14を周期的に往復移動させ
ることによりレーザ光をガラス様カーボンの表面上でス
キャンして、加熱では取れなかった酸化物や不純物等の
除去を行なった。なお、本実施例で用いたレンズ14
は、合成石英製レンズ(f400)である。また、レン
ズ14をレーザ光の照射光路Lと直交する方向に照射光
路Lを中心として±2.5mm往復運動させ、ガラス様
カーボンの表面をむらなく均一にスキャンした。真空容
器2内部の真空度は、銅パイプ20への液体窒素流入後
約30分で約4×10-5Pa(3×10-7Torr)に
達した。成膜時間は1時間とした。以上の条件で成膜し
たアモルファスダイヤモンドの膜厚は、約1μmであっ
た。
平坦性をAFM測定法により評価した結果について説明
する。図7は、本実施例によるアモルファスダイヤモン
ド薄膜の表面のAFM像を模式的に示す図である。図7
からわかるように、本実施例において成膜したアモルフ
ァスダイヤモンド薄膜の表面平坦性は極めて優れている
ことがわかる。
方法によってアモルファスダイヤモンドの成膜を行なっ
た。すなわち、ターゲットと基板とをそれぞれターゲッ
ト支持台と基板保持台とに設置し、真空容器内を高真空
排気した後に、成膜開始前のターゲットの加熱と冷却を
行なわずに、レーザ光をターゲットに照射して成膜を行
なった。ターゲットの加熱と冷却を行なわなかった以外
は、ターゲット(ガラス様カーボン)及び基板(両面研
磨サファイアc面基板)を始めとして、他の成膜条件も
すべて上記実施例と同じである。図8は、上記比較例に
よるアモルファスダイヤモンド薄膜の表面のAFM像を
模式的に示す図である。図8から、従来のアブレーショ
ン成膜方法によるアモルファスダイヤモンド薄膜には、
高さ約10nmを超える突起状の微粒子(例えば図8中
に符号Pで示した微粒子)が発生していることがわか
る。
に、成膜開始の直前に、レーザ光によるガラス様カーボ
ン表面のスキャンを行なった。したがって、比較例によ
るアモルファスダイヤモンドの表面(図8)に比べ、上
記実施例によるアモルファスダイヤモンドの表面(図
7)の平坦性が優れているのは、このスキャンの効果で
はなく、上記実施例においてガラス様カーボンに対して
行なった加熱工程と冷却工程によるものであることは明
らかである。
ーション成膜方法において堆積した薄膜(図8)には、
高さが10nmを超える微粒子が多数含まれているのに
対し、本発明のレーザアブレーション成膜方法によれ
ば、微粒子のない平坦性に優れた薄膜(図7)が得られ
る。
ーボンをターゲットとして用いたが、グラファイトをタ
ーゲットに用いて同様の成膜を試みた。成膜条件及び手
順は、ターゲットが異なる以外、すべて上記のガラス様
カーボンをターゲットに用いた場合と同じである。ター
ゲットをグラファイトとして本発明に係るレーザアブレ
ーション成膜方法により成膜したアモルファスダイヤモ
ンドは、図7に示したのと同様に平坦性に優れた表面を
有していた。一方、従来の成膜方法により成膜した場合
には、ガラス様カーボンを用いて従来の成膜方法により
成膜したアモルファスダイヤモンドの結果(図8)と同
様であった。この結果より、ターゲットにグラファイト
を使用した場合においても同様に、本発明によるレーザ
アブレーション成膜方法の効果が示された。
サファイアを基板として用いたが、低融点物質であるア
ルミニウムからなる基板を用いた場合にも、基板が変形
することなく、本発明のレーザアブレーション成膜方法
によって表面平坦性の良い薄膜が得られた。
a2Cu3O7を用い、YBa2Cu3O7の薄膜をSrTi
O3(100)基板上に堆積することを試みたが、上記
の実施例と同様に、本発明のレーザアブレーション成膜
方法により微粒子の極めて少ない薄膜が得られた。
は、スパッタ成膜法において成膜開始に先立ってターゲ
ットを加熱するという方法が開示されている。しかしな
がら、スパッタ成膜法は、プラズマにより生成された高
エネルギー粒子をターゲットに衝突させて、ターゲット
を構成する原子等を叩き出して成膜を行なう方法であ
り、レーザ光によりターゲットを構成する原子等を放出
させるレーザアブレーション成膜法とは、まったく異な
る成膜方法である。また、このスパッタ成膜方法ではタ
ーゲット加熱後の冷却工程は行なっていないため、ター
ゲットが高温の状態のままで成膜を始めることとなる。
したがって、ターゲットからの輻射熱による成膜中の基
板温度の上昇は避けられない。
アブレーション成膜方法に関するものであり、さらに、
ターゲットを加熱した後にターゲットを冷却してから成
膜を開始することを特徴としている。そのため、成膜開
始時から基板温度は上昇しないので、低融点物質からな
る基板を用いることができるとともに、堆積する薄膜の
品質が劣化してしまうのを防ぐことができる。
法は、上記した実施形態及び実施例に限られず、様々な
変形が可能である。例えば、ターゲット加熱工程におけ
る加熱温度及び時間は、ターゲット7を構成している原
料物質やターゲット7の大きさにより、適宜決定して良
い。
を室温まで冷却したが、何度まで冷却するかについて
は、場合に応じて最適な温度を見い出すべきことはいう
までもない。また、真空容器2に質量分析計などの分析
機器を付設して、ターゲット加熱中にターゲットから放
出されるガス等の成分や発生量をモニターすることによ
り、適切な加熱温度や加熱時間を決めるようにしても良
い。
ゲット7の加熱と冷却とを成膜を行なう真空容器2の内
部にて実施するよう構成したが、別室を設けて別室内で
行なうようにしても良い。また、基板用の別室を設け、
ターゲットの加熱工程の際に、基板を別室に保持するよ
うにしても良い。
ザアブレーション成膜方法は、加熱手段を用いてターゲ
ットを加熱する加熱工程と、加熱されたターゲットを、
所定の温度まで冷却する冷却工程と、加熱されたターゲ
ットにレーザ光源からのレーザ光を照射して、基板上に
薄膜を形成する成膜工程とを備えている。このように、
成膜開始前にターゲットの加熱を行なっているので、タ
ーゲット中に含まれる微粒子あるいは微粒子の発生源を
取り除くことができる。そのため、薄膜中に微粒子が発
生するのを抑えることができる。さらに、加熱を前処理
として行なうとともに、加熱後にターゲットを冷却する
ため、成膜中に基板温度が上昇してしまうことなく成膜
を行うことができる。
を使用することができるとともに、基板温度上昇にとも
なう膜質の劣化を防ぐことができる。また、成膜中に基
板温度が上昇してしまうことがないので、基板温度を制
御する冷却機構などの付加的な構成を必要としない。し
たがって、装置を複雑化することなく、薄膜中の微粒子
の低減を実現することが可能となる。
られるレーザアブレーション成膜装置の一実施形態の構
成を加熱工程の状態で概略的に示す垂直断面図である。
成膜工程の状態で示す垂直断面図である。
ある。
である。
る。
例を示す断面図である。
表面のAFM像を示す模式図である。
表面のAFM像を示す模式図である。
ーザ光源、4…制御装置、5…基板、6…基板保持台、
7…ターゲット、8…ターゲット支持台、10…シャッ
ター、12…レーザ光導入窓、13…ミラー、14…レ
ンズ、15…ランプ、16…ランプ支持台、18…遮蔽
板、19…反射板、L…照射光路。
Claims (3)
- 【請求項1】 ターゲットにレーザ光を照射することに
よって前記ターゲットから原料物質を放出させるととも
に、放出された前記原料物質を基板上に堆積させて薄膜
を形成する成膜方法であって、 加熱手段を用いてターゲットを加熱する加熱工程と、 加熱された前記ターゲットを、所定の温度まで冷却する
冷却工程と、 加熱された前記ターゲットにレーザ光源からの前記レー
ザ光を照射して、前記基板上に前記薄膜を形成する成膜
工程と、を備えることを特徴とするレーザアブレーショ
ン成膜方法。 - 【請求項2】 前記加熱工程において、前記ターゲット
を前記加熱手段に対して回転させつつ加熱を行なうこと
を特徴とする請求項1記載のレーザアブレーション成膜
方法。 - 【請求項3】 前記加熱工程において、前記加熱手段ま
たは前記ターゲットを所定の方向から覆って、前記加熱
手段からの熱を前記ターゲットへと集める加熱制御部材
を用いることを特徴とする請求項1または2記載のレー
ザアブレーション成膜方法。
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