JP3059597B2 - 薄膜の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

薄膜の製造方法及びその製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に反応性スパッタリ
ングを用いた酸化物等の化合物薄膜の製造方法及びその
製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸化物結晶薄膜形成に使用される
反応性スパッタリング装置は図3に示すような構成を持
つ。41が真空チャンバーで排気口42より真空に排気
される。直流または高周波電源43から電界が電極兼原
料ターゲットホルダー44へ導入され、基板加熱が可能
な基板ホルダ−兼電極45との間に電界が印加されプラ
ズマが発生する。46はガス導入口で、酸化物薄膜を形
成する場合には、例えばAr等のスパッタガスやO2
の酸化のための反応性ガスが導入される。これらのガス
がプラズマ分解されてそのプラズマ中のイオンをターゲ
ット47へ加速衝突させ、いわゆるスパッタ蒸着により
基板48上に酸化物薄膜が堆積形成される。このとき、
スパッタされた活性な粒子は基板に到達する際、プラズ
マ中の活性な酸素イオン・酸素ラジカル等の反応性粒子
と接触反応して基板上において酸化物薄膜形成が行われ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な従来の反応性スパッタ装置を用いた方法では、酸化反
応が不十分で、良質な酸化物薄膜を得ようとする場合、
堆積速度を極端に低下させ、かつ基板温度を比較的高温
に保つ必要があった。このため、例えば半導体デバイス
との組み合わせが困難であったり、低融点基板上にデバ
イス形成が出来ない等、様々な制約があり、デバイス設
計上や製造工程において制約が多くあるという問題点が
あり、より低温での形成の要求が高いのが現状である。
【0004】しかしながら、従来の連続的に堆積させ続
ける方法では、結果的に基板に向かうイオン性荷電粒子
が、成膜面に衝突することによって受ける衝撃のため、
良好な結晶成長や格子の形成が妨げられ、低温形成が難
しい状態であった。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、低温で薄膜を形成しても欠陥が少なく、良好な膜質
・緻密性を合わせ持つ酸化物薄膜を実現し得る薄膜の製
造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の薄膜の製造方法は、原材料となるターゲッ
トのスパッタリングよる物理的気相堆積手段を用いて薄
膜を製造する方法において、短波長光源をスパッタリン
グ堆積を生じさせるためのターゲット電極と同一容器内
に設置するか、または少なくとも真空を破断することな
く前記基板をスパッタリングする容器もしくは領域と光
照射を行なう容器とするかもしくは領域との間を移動で
きる構造を有する装置を用いて、少なくとも酸素を含む
ガスまたはその放電プラズマとの化学反応を伴う反応性
物理気相堆積工程と、少なくとも反応元素を含むガス雰
囲気において短波長光を堆積表面に照射する反応工程と
を、複数回交互に繰り返すことを特徴とする。
【0007】前記構成においては、反応性物理気相堆積
工程において、堆積中の化学反応に関与するガスと反応
には関与せずスパッタリングのみに関与する不活性なガ
スの混合ガスを供給し、短波長光照射反応工程におい
て、反応元素を含むガスのみを供給することが好まし
い。
【0008】また前記構成においては、反応性物理気相
堆積工程と短波長光照射反応工程を、複数回交互に行な
う工程に際して、両工程において、堆積中の反応に関与
するガスと反応には関与せずスパッタリングのみに関与
する不活性なガスの混合ガスを供給することが好まし
い。
【0009】前記構成においては、短波長光源として少
なくとも150nm〜300nmの波長を含む光源を用
いることが好ましい。
【0010】次に本発明の薄膜の製造装置は、原材料と
なるターゲットのスパッタリングよる物理的気相堆積手
段を用いて薄膜を製造する装置において、少なくとも酸
素を含むガスまたはその放電プラズマとの化学反応を伴
う反応性物理気相堆積手段と、少なくとも反応元素を含
むガス雰囲気において短波長光を堆積表面に照射する反
応手段とを備え、前記両手段を複数回交互に繰り返す手
段を備え 短波長光源をスパッタリング堆積工程を生じ
させるためのターゲット電極と同一容器内に設置する
か、または少なくとも真空を破断することなく前記基板
をスパッタリングを行なう容器もしくは領域と光照射を
行なう容器とするかもしくは領域との間を移動できる構
造としたことを特徴とする。
【0011】また前記構成においては、スパッタリング
工程を行なう容器もしくは領域と光照射工程を行なう容
器もしくは領域との間を移動するに際して、基板を支持
する基板ホルダーを回転することにより行なうことが好
ましい。
【0012】また前記構成においては、短波長光源とし
て少なくとも150nm〜300nmの波長を含む光源
を用いることが好ましい。
【0013】
【作用】前記本発明の構成によれば、少なくとも酸素を
含むガスまたはその放電プラズマとの化学反応を伴う反
応性物理気相堆積工程と、少なくとも反応元素を含むガ
ス雰囲気において短波長光を堆積表面に照射する反応工
程とを、複数回交互に繰り返すことにより、低温で薄膜
を形成しても欠陥が少なく、良好な膜質・緻密性を合わ
せ持つ酸化物薄膜を得ることができる。すなわち、反応
性スパッタリングによる堆積工程の後、基板をスパッタ
粒子に曝さない状態において酸化に用いられるガスを導
入しかつ基板(堆積)表面に短波長光照射による光エネ
ルギーを与える工程を行なう。この工程によって、第1
の作用として表面近傍の反応ガスが光励起され、例えば
酸素の場合、活性な原子状酸素が多く発生し、堆積形成
された膜中の酸素欠損部分の酸素原子による補償を行な
う。また第2の作用として短波長光源の照射により堆積
薄膜の極表面のみが加熱され、いわゆる熱処理効果が大
きい。これら2つの工程を交互に繰り返すことによりス
パッタリングによって、例えば酸化物薄膜の場合、形成
された膜中の未結合手(ダングリングボンド)の部分を
選択的に酸素化し、かつ過剰な酸素に対しては、その酸
素と結合しO2の形で取り去ってしまう作用を有する。
その後再び膜形成を行なう工程を繰り返すものである。
これにより、低温で形成しても結果的に欠陥が少なく、
特に良好な膜質・緻密性を合わせ持つ酸化物薄膜を実現
し得る作用を持つ。
【0014】また本発明の製造装置の構成によれば、前
記した本発明方法を効率良く合理的に製造することがで
きる。
【0015】
【実施例】以下図面に基づき、本発明の代表的な実施例
を示す。図1は本発明で使用される一実施例として示す
光照射酸化処理可能な反応性スパッタリング装置の概略
図である。11が真空チャンバーで、排気口12より真
空に排気される。直流または高周波電源13から電界が
電極兼原料ターゲットホルダー14へ導入され、基板加
熱が可能な基板ホルダ−兼電極15との間に電界が印加
されプラズマが発生する。16は第1のガス導入口で、
例えばAr等のスパッタガスや酸化物薄膜を形成する場
合にはO2 等の酸化のための反応性ガスが導入される。
17は短波長光を基板に照射するための光源で、基板ホ
ルダ−15は例えばシャフト18で支持されており、シ
ャフトを回転させることにより基板19をターゲットに
対向させたり光源に対向させたりする事が出来る。20
は第2のガス導入口で、例えば酸化物薄膜を形成する場
合にはO2 等の酸化のための反応性ガスのみが基板近傍
に導入される。
【0016】また、本実施例で使用した装置では、ター
ゲットの設置してある領域と光照射の光源の設置してあ
る領域に仕切21を設け、基板ホルダ−の回転には支障
が無い程度でかつ堆積工程ではスパッタガスであるAr
と反応性ガスであるO2 の混合ガスの雰囲気となってお
り、一方光反応工程では反応ガスであるO2 ガス雰囲気
となる構造となっている。
【0017】第1の膜堆積工程においては、基板をター
ゲット上に配置し、いわゆるスパッタ蒸着により基板1
9上に堆積形成される。このとき、スパッタされた活性
な粒子は基板に到達する際、プラズマ中の活性な酸素イ
オン・酸素ラジカル等の反応性粒子と接触反応して基板
上において酸化物薄膜形成が行われる第2の酸化および
堆積膜中の欠陥除去工程においては例えば基板ホルダ−
を回転させるなどして、ターゲットからスパッタ粒子が
到達しないかもしくは極めて堆積速度が小さい領域へ基
板を移動せしめ、かつ光源17から発せられる光が有効
に照射され得る領域に置き基板表面およびその近傍に光
照射させる。この時、基板近傍では酸素分子等の酸化ガ
ス分子の光分解により、活性な酸素原子が多く発生し、
かつ堆積極表面の加熱効果により、酸化が不足し生じた
欠陥部の酸化や膜表面の過剰酸素除去また膜中に生じた
格子歪の熱的な緩和を行なう。この第2の工程は、堆積
膜の表面から比較的浅い領域にのみ有効であるので第1
の堆積工程を行なう時間と光照射工程の時間との関係に
は最適な条件が存在するが、これらの工程を交互に行う
ことにより、比較的低温で緻密で良質な薄膜を基板損傷
を生ずることなく堆積形成し得る。
【0018】本実施例では仕切を設けた構造を有するこ
とにより堆積工程と光反応工程におけるガス雰囲気を区
別しているが、仕切が無い場合では全ての工程にわた
り、Arと酸素の混合ガスとして流し続けるても良い
し、基板の回転に応じてガスを混合ガスから酸素ガスの
みまた酸素のみから混合ガスへ交互に切り換える工程と
してもよい。
【0019】次に図2に堆積基板温度を変化させたと
き、第1の堆積工程においてのスパッタ高周波電力密度
を0.3W/cm2 、とし、第2の工程の光源として低圧
水銀ランプを用い、その光照射光量を0.5W/cm2
一定とし、基板ホルダ−の回転速度2rpm としたとき、
光照射ありと光照射なしにおける形成したチタン酸鉛薄
膜の比誘電率の変化を示す。本実施例では、ターゲット
の直径は6インチ(約15cm)で基板のターゲット上を
一回通過する時間は約5秒でこの条件では約1.5nm堆
積した後、光照射を約4秒間行なうような条件となって
いる。光照射時と照射無し(回転は行なっている)では
明らかに違いが見られ、光照射時では、光照射のない場
合に比べ200℃以上低い基板温度から比誘電率の向上
が見られる。1〜10rpm 程度回転速度の範囲では、光
照射時と照射無し(回転は行なっている)では明らかに
違いが見られるが、回転数による変化は、ほとんど見ら
れなかった。
【0020】この図2から明らかなように、堆積と酸化
雰囲気での光照射が交互に行なわれることによって、低
温基板温度で形成した酸化物誘電体薄膜における誘電体
特性の向上が明らかである。
【0021】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、装
置容器内もしくは真空を破ることなく移動可能な異なる
容器に短波長光源を内蔵し、ある一定時間のプラズマ分
解による薄膜堆積工程とある一定時間の堆積を行なわな
い薄膜表面に光エネルギ−を与える工程を複数回交互に
行なうことにより、低温基板で良質な酸化物薄膜を得る
ことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜形成装置概略図。
【図2】本発明の効果を示すためにを基板温度を変化さ
せたとき、基板ホルダ−の回転速度を5rpm としたとき
の光照射ある場合とない場合における形成したチタン酸
鉛薄膜の比誘電率の変化を示す図。
【図3】従来の反応性スパッタリング装置概略図。
【符号の説明】
11 真空チャンバー 12 排気孔 13 直流または高周波電源 14 電極兼ターゲットホルダ− 15 電極兼基板ホルダ− 16 第1のガス導入口 17 短波長光源 18 支持シャフト 19 基板 20 第2のガス導入口 21 仕切り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小牧 一樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 平尾 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−283120(JP,A) 特開 平1−319681(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/31 H01L 21/205 H01L 21/203

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原材料となるターゲットのスパッタリン
    グよる物理的気相堆積手段を用いて薄膜を製造する方法
    において、短波長光源をスパッタリング堆積を生じさせるためのタ
    ーゲット電極と同一容器内に設置するか、または少なく
    とも真空を破断することなく前記基板をスパッタリング
    する容器もしくは領域と光照射を行なう容器とするかも
    しくは領域との間を移動できる構造を有する装置を用い
    て、 少なくとも酸素を含むガスまたはその放電プラズマとの
    化学反応を伴う反応性物理気相堆積工程と、少なくとも
    反応元素を含むガス雰囲気において短波長光を堆積表面
    に照射する反応工程とを、複数回交互に繰り返すことを
    特徴とする薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応性物理気相堆積工程において、堆積
    中の化学反応に関与するガスと反応には関与せずスパッ
    タリングのみに関与する不活性なガスの混合ガスを供給
    し、短波長光照射反応工程において、反応元素を含むガ
    スのみを供給する請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応性物理気相堆積工程と短波長光照射
    反応工程を、複数回交互に行なう工程に際して、両工程
    において、堆積中の反応に関与するガスと反応には関与
    せずスパッタリングのみに関与する不活性なガスの混合
    ガスを供給する請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 短波長光源として少なくとも150nm
    〜300nmの波長を含む光源を用いる請求項1に記載
    の薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 原材料となるターゲットのスパッタリン
    グよる物理的気相堆積手段を用いて薄膜を製造する装置
    において、少なくとも酸素を含むガスまたはその放電プ
    ラズマとの化学反応を伴う反応性物理気相堆積手段と、
    少なくとも反応元素を含むガス雰囲気において短波長光
    を堆積表面に照射する反応手段とを備え、前記両手段を
    複数回交互に繰り返す手段を備え 短波長光源をスパッタリング堆積工程を生じさせるため
    のターゲット電極と同一容器内に設置するか、または少
    なくとも真空を破断することなく前記基板をスパッタリ
    ングを行なう容器もしくは領域と光照射を行なう容器と
    するかもしくは 領域との間を移動できる構造とした こと
    を特徴とする薄膜の製造装置。
  6. 【請求項6】 スパッタリング工程を行なう容器もしく
    は領域と光照射工程を行なう容器もしくは領域との間の
    移動するに際して、基板を支持する基板ホルダーを回転
    することにより行なう請求項に記載の薄膜の製造装
    置。
  7. 【請求項7】 短波長光源として少なくとも150nm
    〜300nmの波長を含む光源を用いる請求項に記載
    の薄膜の製造装置。
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US08/483,873 US5674366A (en) 1992-12-01 1995-06-07 Method and apparatus for fabrication of dielectric thin film
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