JP2002020843A - 衝突吸収性能に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
衝突吸収性能に優れたオーステナイト系ステンレス鋼Info
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Abstract
構造部材や補強材に使用することを目的とし、優れた衝
突吸収性能を有する動的変形特性に優れたオーステナイ
ト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.020〜0.030%、Si:0.500〜
1.00%、Mn:1.00〜2.00%、P:0.045%以下、S:0.030%以
下、Ni:6.00〜8.00% 、Cr:16.00〜18.00% 、N:0.20% 以
下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
5×10-4〜5×10-2 (s-1)の歪速度範囲で変形
した時の3〜10%の相当歪範囲における準静的変形強
度σs と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範
囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における動的
変形強度σd との差(σd −σs )が120MPa以上
を満足することを特徴とする衝突吸収性能に優れたオー
ステナイト系ステンレス鋼。
Description
及び一般車両の構造部材や補強材に使用され、優れた衝
突吸収性能を有する動的変形特性に優れたオーステナイ
ト系ステンレス鋼に関するものである。
の軽量化が推進され、普通鋼によるモノコック構造の軽
量車体を起点に無塗装化や腐食対策を中心としたメンテ
ナンスフリー及び軽量化の見地からステンレス鋼を用い
た車両構体が主流である。また、これまで鉄道車両用の
構造部材強度に関しては、静的な強度のみを考慮して車
両設計されており、構造部材の動的な強度は設計時、考
慮されていなかった。
を利用する人の安全確保は、いずれの分野においても重
要な問題として取り上げられており、鉄道車両において
も踏み切り事故や列車衝突事故を想定した衝突安全設計
の必要性がとくに在来線通勤車両を対象に高まりつつあ
る。しかしながら、従来の車両用のステンレス鋼は耐腐
食性の向上と共に車両の曲げ剛性に対する静的な強度の
向上を主眼として開発されたものであり、耐衝突安全性
の観点では開発されていなかった。また、鉄道車両に関
しては自動車分野のように法的な衝突安全評価基準も設
けられてないのが実情である。
突においては、車両フレーム部材に高い衝撃吸収能を持
つ材料を適用すれば、この部材が圧潰座屈変形すること
で衝撃エネルギーが吸収され、車両内の人員に与える衝
撃を緩和することができる。材料の衝突吸収性能を考慮
する場合、車両衝突時に各部位が受ける歪速度は103
(s-1)程度に達するため、高歪速度領域での動的変形
特性の解明が必要である。従って、その動的変形特性を
見極めた上で、従来の耐腐食性能を有する動的変形特性
に優れたステンレス鋼の開発が必要となった。
車両衝突時の高歪速度領域での動的変形特性は殆ど解明
されておらず、衝撃エネルギー吸収のための構成部材と
してどのような鋼板の特性に着目し、いかなる基準で材
料選定及び材料開発を行なうべきか従来知られていなか
った。
質を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼板が開示
されているが、衝突安全性能に関連する材料特性につい
ては考慮されていない。また、特開平8−176723
号公報,特開平2000−17385号公報では、耐衝
撃性,衝突安全性に優れた自動車用鋼板が考案されてい
るが、炭素鋼であるため耐腐食性に劣っており、無塗装
での車両部材への適用は不可能である。
を解決すべく提案されたもので、具体的手段は以下に示
すとおりである。 1) 質量%で C :0.020〜0.030%、 Si:0.500〜1.00%、 Mn:1.00〜2.00%、 P :0.045%以下、 S :0.030%以下、 Ni:6.00〜8.00%、 Cr:16.00〜18.00%、 N :0.20%以下 を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、5
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における準静的変形強度σ
s と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における動的変形
強度σd との差(σd −σs )が120MPa以上を満
足することを特徴とする衝突吸収性能に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼。 2) 質量%で C :0.040〜0.080%、 Si:0.40〜1.00%、 Mn:0.90〜2.00%、 P :0.045%以下、 S :0.030%以下、 Ni:8.00〜10.50%、 Cr:18.00〜20.00% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、5
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における準静的変形強度σ
s と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における動的変形
強度σd との差(σd −σs )が100MPa以上を満
足することを特徴とする衝突吸収性能に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼。 3) 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における最大静的
強度σs max と5×102 〜5×103 (s-1)の歪速
度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における
最大動的強度σ d max の比σd max /σs max で表わす
静動比が1.2以上であることを特徴とする前記1)又
は2)に記載の衝突吸収性能に優れたオーステナイト系
ステンレス鋼。 4) 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における加工硬化
指数が0.3以上を満足することを特徴とする前記1)
乃至3)の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼。 5) 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で
変形した時の引張強度(MPa)×全伸び(%)≧30
000を満足することを特徴とする、前記1)乃至4)
の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼。 6) 下記(1)式に示すオーステナイト安定度Md30
が0℃〜60℃であることを特徴とする前記1)乃至
5)の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優れたオース
テナイト系ステンレス鋼。 Md30 =413−462・(%C+%N)−9.2・%Si−8.1・%Mn −13.7・%Cr−9.5・%Ni−18.5・%Mo …(1)
d との差(σd −σs )は、5×10-4〜5×10
-2(s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相
当歪範囲における歪0.1%毎の準静的変形強度の平均
値σs と、5×102 〜5×10 3 (s-1)の歪速度範
囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における歪
0.1%毎の動的変形強度の平均値σd との差と定義す
る。
d max の比σd max /σs max で表わす静動比は、5×
10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した時
の3〜10%の相当歪範囲における最大静的強度σ
s max と5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲
で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における最大動
的強度σd max の比と定義する。
乗硬化式(ステンレス協会編ステンレス鋼便覧記載のHo
llomonの式)で定義されるn値であり、5×10-4〜5
×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10
%の相当歪範囲における加工硬化指数と定義する。 σ=C・εn ………(2) ここで、σ:真応力,ε:真歪み,n:加工硬化指数,
C:定数 尚、n値は引張り試験で得られた真応力真歪み曲線を
(2)式で最小2乗法等により近似することにより計算
されうる。
明する。車両衝突時の衝撃は、構造部材に対して加えら
れる可能性が高く、部材自身が高い衝撃吸収能を有して
いることが必要である。しかし、現在までのところ歪速
度上昇による変形応力の上昇を考慮して、実部材として
の衝撃吸収特性に優れた高強度ステンレス鋼材を提供す
る試みはなされておらず、実設計においても鉄道車両用
の構造部材強度に関しては、静的な強度のみを考慮して
車両設計されており、構造部材の動的な強度は考慮され
ていなかったことは前述した通りである。
形状をなしており、このような部材での高速圧潰変形を
解析した結果、吸収エネルギーの8割程度は10%以下
の歪領域で吸収されていることが判明し、衝突吸収能お
よび動的変形特性の指標として歪領域3〜10%の範囲
の平均応力σを用いた。通常、静的な強度σs が適度に
小さいと必要な部材形状に加工し易く、動的な強度σd
は大きいほど衝突吸収能に優れる。
の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲に
おける準静的変形強度σs と、5×102 〜5×103
(s -1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相当
歪範囲における動的変形強度σd との差(σd −σs )
が大きいほど静的には成形性に優れ、動的には高い衝突
吸収能に優れ,更に5×10-4〜5×10-2(s-1)の
歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲にお
ける最大強度σs max と5×102 〜5×10
3 (s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相
当歪範囲における最大強度σd max の比σd max /σ
s max の値(静動比)も大きいほど静的には成形性に優
れ、動的には高い衝突吸収能に優れる材料として好まし
いといえる。また、一般的な材質の指標として、加工硬
化指数と、成形性と耐衝撃性のバランス(引張強度と伸
びのバランス)である引張強度(MPa)×全伸び
(%)も衝突吸収特性を評価する指標として用いた。
った結果、優れた衝突吸収特性を有する鋼材として常温
で加工誘起変態が生ずる所定の成分を有するオーステナ
イト系ステンレス鋼が最も適していることを見出した。
オーステナイト系ステンレス鋼の加工誘起変態による加
工硬化の大きさはオーステナイトの安定度に起因してい
る。CrとNi等の添加量を調整し、オーステナイトの
安定度を適度に減少させることにより、常温で加工力を
受けた場合、金属組織中のオーステナイト相がマルテン
サイト相に変態する加工誘起変態が適度に生ずるように
なり、そのことを利用して高い動的変形応力を確保する
ことができる。
(1)式に示す算出式(ステンレス協会編ステンレス鋼
便覧記載)に基づき、計算することができ、Md30 は
0.3の引張り真歪みを与えたとき、50%のマルテン
サイト変態を生じる温度を意味する。この(1)式を用
いて衝突吸収性能を評価したところ、本発明の範囲に規
定することにより良好な衝突吸収性能が得られることが
わかった。 オーステナイト安定度Md30 =413-462・(%C+%N)-9.2・%Si-8.1・%Mn-13.7・%Cr -9.5・%Ni-18.5・%Mo ・・・・(1)
テナイト安定度算出式,各元素の作用効果を総合的に鑑
み、種々の実験を重ねた結果、本発明を完成した。ま
ず、前記1)の発明について説明する。Cは強度を得る
のに必要な元素であり0.02%以上の添加が必要であ
る。一方、多量に添加すると成形性や溶接性が劣化する
ため0.030%以下とする。
上の添加が必要である。一方、添加量が多くなると成形
性が劣化し静動比を低下させるため1.00%以下とす
る。
上の添加が必要である。一方、Si添加と同様に添加量
が多くなると成形性が劣化し静動比を低下させるため、
2.00%以下とする。
が弱くなり、耐衝撃性,成形性が劣化するため0.04
5%以下とした。
性が劣化するため0.030%以下とした。
ても耐食性を示すので、Niは6.00%以上含有する
ものとする。一方、高価なNiの添加量を極力抑え、金
属組織をオーステナイト単相に保つため、8.00%以
下とする。
するので、Crは16.00%以上含有するものとす
る。一方18.00%を超えると金属組織をオーステナ
イト単相に保つためさらに高価なNiを添加せねばなら
ず、前記の範囲に限定する。
が、0.20%を超えて含有すると成形性を劣化させる
と共に粒界腐食を起こす恐れがあるため、0.20%以
下とする。静動比を向上させるためには0.002%以
上含有することが好ましい。
10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%
の相当歪範囲における準静的変形強度σs と、5×10
2 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で変形した時の3
〜10%の相当歪範囲における動的変形強度σd との差
(σd −σs )は大きい値ほど衝突吸収構造部材用とし
て好ましいが、種々の材料試験を重ねた結果、σd −σ
s が120MPa以上であれば、前記の材料組成で安定
してその特性を示すことが判明したため、σd−σs を
120MPa以上と限定する。σd −σs の上限は特に
定めることなく本発明の効果を得ることができる。
尚、前記2)の発明についてはコスト性を重視して、調
質圧延を施さない前提で材料設計を行なった。Cは強度
を得るのに必要な元素であり0.040%以上の添加が
必要である。一方、多量に添加すると成形性や溶接性が
劣化するため、0.080%以下とする。
ても耐食性を示すので、Niは8.00%以上含有する
ものとする。一方、高価なNiの添加量を極力抑え、金
属組織をオーステナイト単相に保つため、10.50%
以下とする。
するので、Crは18.00%以上含有するものとす
る。一方20.00%を超えると金属組織をオーステナ
イト単相に保つためさらに高価なNiを添加せねばなら
ず、前記の範囲に限定する。
の発明と同様である。
10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%
の相当歪範囲における準静的変形強度σs と、5×10
2 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で変形した時の3
〜10%の相当歪範囲における動的変形強度σd との差
(σd −σs )は大きい値ほど衝突吸収構造部材用とし
て好ましいが、種々の材料試験を重ねた結果、σd −σ
s が100MPa以上であれば、前記の材料組成で安定
してその特性を示すことが判明したため、σd −σs を
100MPa以上と限定する。σd −σs の上限は特に
定めることなく、本発明の効果を得ることができるので
上限値は定めない。
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における最大静的強度σs
と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で変
形した時の3〜10%の相当歪範囲における最大動的強
度σd max の比σd max /σs max で表わす静動比は大
きい値ほど衝突吸収構造部材用として好ましいが、種々
の材料試験を重ねた結果、σd max /σs max が1.2
以上であれば、前記の材料組成で安定してその特性を示
すことが判明したため、静動比σd max /σs max を
1.2以上と限定する。静動比の上限は特に定めること
なく、本発明の効果を得ることができるので上限値は定
めない。
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における加工硬化指数は大
きい値ほど衝突吸収構造部材用として好ましいが、種々
の材料試験を重ねた結果、加工硬化指数が0.3以上で
あれば、前記の材料組成で安定してその特性を示すこと
が判明したため、加工硬化指数を0.3以上と限定す
る。前記2)の成分系においては調質圧延を施さない前
提で加工性を重視した成分なので、加工硬化指数を0.
4以上とすることが更に好ましい。加工硬化指数の上限
は特に定めることなく、本発明の効果を得ることができ
るのでので上限値は定めない。
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の引張強度(MPa)×全伸び(%)は成形性と耐衝
撃性のバランス(引張強さと伸びのバランス)であり、
大きい値ほど衝突吸収構造部材用として好ましいが、種
々の材料試験を重ねた結果、引張強度(MPa)×全伸
び(%)≧30000であれば、前記の材料組成で安定
してその特性を示すことが判明したため、引張強度(M
Pa)×全伸び(%)≧30000と限定する。前記
2)の成分系においては調質圧延を施さない前提で加工
性を重視した成分なので、引張強度(MPa)×全伸び
(%)≧40000を満足することが好ましい。引張強
度(MPa)×全伸び(%)の上限は特に定めることな
く、本発明の効果を得ることができるので上限値は定め
ない。
ーステナイト系ステンレス鋼の加工誘起変態による加工
硬化の大きさはオーステナイトの安定度に起因してい
る。CrとNi等の添加量を調整し、オーステナイトの
安定度を適度に減少させることにより、常温で加工力を
受けた場合、金属組織中のオーステナイト相がマルテン
サイト相に変態する加工誘起変態が適度に生ずるように
なり、そのことを利用して高い動的変形応力を確保する
ことができる。尚、オーステナイトの安定度は前記
(1)式に示す算出式に基づき、計算することができ
る。
d30 は、常温で加工力,衝撃力を受けた場合、金属組織
中のオーステナイト相がマルテンサイト相に変態する加
工誘起変態を発現させ、高い動的変形応力を確保するた
め、0℃以上とし、加工温度を考慮し好ましくは10℃
以上とする。又、過剰な加工硬化による変形時の割れ等
を防ぐため、(1)式に示すオーステナイト安定度を6
0℃以下とし、好ましくは40℃以下とする。
片スラブまたは熱片ビレットを直接または加熱した後、
あるいは冷片を再加熱して熱間圧延,熱間押し出し等に
より、衝突吸収性能に優れたオーステナイト系ステンレ
ス鋼材を製造する。尚、前記1)の発明については、調
質圧延を施している。尚、本発明の鋼は上記の他に、A
l、Nb、Mo及びTi等の1種又は2種以上を合計で
0.03質量%以下含有することができる。
するが、本発明の技術的範囲は本実施例に限定されるも
のではない。下記に示す種々の化学成分のオーステナイ
ト系ステンレス鋼を実機で鋳造熱延して試作した。 [鋼種1] 質量%で C :0.030%、 Si:1.00%、 Mn:2.00%、 P :0.045%、 S :0.030%、 Ni:7.00%、 Cr:17.00%、 N :0.20% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物(3〜10%
平均応力の静動差:138MPa,引張強さ:1106
MPa) [鋼種2] 質量%で C :0.080%、 Si:1.00%、 Mn:2.00%、 P :0.045%、 S :0.030%、 Ni:9.50%、 Cr:19.00% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物(3〜10%
平均応力の静動差:125MPa,引張強さ:716M
Pa)
5号試験片を用いて静的引張試験及び動的引張試験を実
施した。図1は鋼種1の歪速度10-3(s-1)における
応力ひずみ曲線と歪速度103 (s-1)における応力ひ
ずみ曲線を示したものであり、図2は鋼種2の歪速度1
0-3(s-1)における応力ひずみ曲線と歪速度10
3(s-1)における応力ひずみ曲線を示したものであ
る。
析すると、10-3(s-1)の歪速度で3〜10%の相当
歪範囲における準静的変形強度σs と、103 (s-1)
の歪速度で3〜10%の相当歪範囲における動的変形強
度σd との差(σd −σs )は138MPaであり、1
0-3(s-1)の歪速度で変形した時の3〜10%の相当
歪範囲における最大静的強度σs max と103 (s-1)
の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲に
おける最大動的強度σd max の比σd max /σ s max で
表わす静動比は1.2であり、10-3(s-1)の歪速度
における3〜10%の相当歪範囲における加工硬化指数
が0.32であり、10-3(s-1)の歪速度における引
張強度(MPa)×全伸び(%)は43000であっ
た。
細に分析すると、10-3(s-1)の歪速度で3〜10%
の相当歪範囲における準静的変形強度σs と、10
3 (s-1)の歪速度で3〜10%の相当歪範囲における
動的変形強度σd との差(σd −σs )は125MPa
であり、10-3(s-1)の歪速度で変形した時の3〜1
0%の相当歪範囲における最大静的強度σs max と10
3 (s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相
当歪範囲における最大動的強度σd max の比σd ma x /
σs max で表わす静動比は1.26であり、10-3(s
-1)の歪速度における3〜10%の相当歪範囲における
加工硬化指数が0.48であり、10-3(s -1)の歪速
度における引張強度(MPa)×全伸び(%)は460
00であった。いずれも、高い動的強度を示している。
ナイト系ステンレス鋼とTRIP(Transformation-ind
uced Plasticity )鋼をはじめとする従来の高強度鋼の
動的強度を比較した図である。TRIP鋼の成分を表1
に、従来鋼の成分表2に示した。
d −σs )即ち、応力の歪速度依存性は一般的に鋼材の
静的な強度の上昇と共に低下する傾向があるが、鋼種
1,鋼種2は高い静的強度と静動差を有した車両構造部
材として理想的な鋼材である。
ため、鋼材1とTRIP鋼(表1のNo.1を引用)で
図4に示す角筒部材11を製作し、部材の長さ方向(矢印
10の方向)に質量400kgの錘を速度15m/秒で衝
突させる落重圧潰試験解析を実施した。図5は圧潰試験
時の座屈変形過程における角筒部材の反力と変形量をプ
ロットした荷重−変位線図で、図6は座屈変形過程にお
ける各変形時点での累積された吸収エネルギー量をプロ
ットした吸収エネルギー−変位線図である。図5におい
ては、鋼種1は最大荷重経過後、TRIP鋼より高い荷
重値を保っていると共に図6では、各変位過程において
鋼種1はTRIP鋼より約1.2倍の吸収エネルギーを
示しており、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼が
高い吸収エネルギー性能を有していることが判明した。
能に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を、鉄道車両
をはじめとする車両用の衝突吸収部材として提供するこ
とができたと同時に、本発明のオーステナイト系ステン
レス鋼により、従来考慮されていなかった鉄道車両の衝
突吸収設計を可能にした。
ずみ曲線と歪速度103 (s-1)における応力ひずみ曲
線を示したものである。
ずみ曲線と歪速度103 (s-1)における応力ひずみ曲
線を示したものである。
TRIP(Transformation-induced Plasticity )鋼を
はじめとする従来の高強度鋼の動的強度を比較した図で
ある。
反力と変形量をプロットした荷重−変位線図である。
た吸収エネルギー量をプロットした吸収エネルギー−変
位線図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で C :0.020〜0.030%、 Si:0.500〜1.00%、 Mn:1.00〜2.00%、 P :0.045%以下、 S :0.030%以下、 Ni:6.00〜8.00%、 Cr:16.00〜18.00%、 N :0.20%以下 を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、5
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における準静的変形強度σ
s と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における動的変形
強度σd との差(σd −σs )が120MPa以上を満
足することを特徴とする衝突吸収性能に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】 質量%で C :0.040〜0.080%、 Si:0.40〜1.00%、 Mn:0.90〜2.00%、 P :0.045%以下、 S :0.030%以下、 Ni:8.00〜10.50%、 Cr:18.00〜20.00% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、5
×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速度範囲で変形した
時の3〜10%の相当歪範囲における準静的変形強度σ
s と、5×102 〜5×103 (s-1)の歪速度範囲で
変形した時の3〜10%の相当歪範囲における動的変形
強度σd との差(σd −σs )が100MPa以上を満
足することを特徴とする衝突吸収性能に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速
度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における
最大静的強度σs max と5×102 〜5×10
3 (s-1)の歪速度範囲で変形した時の3〜10%の相
当歪範囲における最大動的強度σd max の比σd max /
σs max で表わす静動比が1.2以上であることを特徴
とする請求項1又は2に記載の衝突吸収性能に優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項4】 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速
度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪範囲における
加工硬化指数が0.3以上を満足することを特徴とする
請求項1乃至3の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項5】 5×10-4〜5×10-2(s-1)の歪速
度範囲で変形した時の引張強度(MPa)×全伸び
(%)≧30000を満足することを特徴とする請求項
1乃至4の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項6】 下記(1)式に示すオーステナイト安定
度Md30 が0℃〜60℃であることを特徴とする請求項
1乃至5の何れか1項に記載の衝突吸収性能に優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼。 Md30 =413−462・(%C+%N)−9.2・%Si−8.1・%Mn −13.7・%Cr−9.5・%Ni−18.5・%Mo …(1)
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