JP2002020577A

JP2002020577A - 寸法安定性に優れたポリアセタール樹脂組成物及びその成形品

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Publication number: JP2002020577A
Application number: JP2000205368A
Authority: JP
Inventors: Yukio Anada; 幸雄穴田
Original assignee: Polyplastics Co Ltd
Current assignee: Polyplastics Co Ltd
Priority date: 2000-07-06
Filing date: 2000-07-06
Publication date: 2002-01-23
Anticipated expiration: 2020-07-06
Also published as: JP4954363B2

Abstract

(57)【要約】【課題】優れた摩擦・摩耗性を有し、且つ寸法安定性
が改良されたポリアセタール樹脂組成物を提供する。【解決手段】 (A) ポリアセタール樹脂100 重量部に対
して、(B) 炭素数が３以上の多価アルコールと脂肪酸と
のフルエステル化合物0.05〜10重量部を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、優れた摩擦・摩耗
性を有し、且つ成形品の寸法安定性が改良されたポリア
セタール樹脂組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリア
セタール樹脂は、バランスのとれた機械的性質を有し、
又、樹脂としては卓越した摺動性を有するため、自動
車、電気・電子部品、事務機器、建材等の分野で広く利
用されている。しかし、その用途が拡大し、高速、高負
荷での使用が増大するに伴い、かかる摺動部品に対する
要求も益々高度化する傾向にある。例えば、歯車などの
機構部品に関しては、実機メカ内部の環境温度の上昇に
より後収縮が起こり、歯車であれば噛み合わせのズレを
生じ、結果としてトルク伝達がうまくいかない等の問題
が生じる。これらの問題を解決するため、成形後に樹脂
の融点以下の温度で長時間アニーリングを行い、ポリア
セタールの結晶状態を安定化させることで寸法精度を高
めることが一般的に行われているが、この手法はコスト
高となるだけでなく、成形直後に急激な結晶収縮を生じ
させると成形品内部に欠陥が生じ、耐久性を低下させる
原因にもなっていた。又、この欠陥は、加熱・冷却の繰
り返しによって更に増長されることから、温度変化に対
しても優れた寸法安定性を維持する樹脂材料が切望され
ていた。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる要
求に応え得るポリアセタール樹脂組成物を提供すべく鋭
意検討した結果、ポリアセタール樹脂に特定のエステル
化合物を配合することにより、優れた摩擦・摩耗性を有
し、且つ寸法安定性が改良されたポリアセタール樹脂組
成物が得られることを見出し、本発明に到ったものであ
る。

【０００４】即ち、本発明は、(A) ポリアセタール樹脂
100 重量部に対して、(B) 炭素数が３以上の多価アルコ
ールと脂肪酸とのフルエステル化合物0.05〜10重量部を
配合してなる寸法安定性に優れたポリアセタール樹脂組
成物に関するものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
本発明で用いられるポリアセタール樹脂(A)とは、オキ
シメチレン基(-CH₂O-)を主たる構成単位とする高分子化
合物で、オキシメチレン基以外に他の構成単位を少量含
有するポリアセタールコポリマー（例えば、ポリプラス
チックス（株）製「ジュラコン」）が好ましく、特にコ
モノマー成分を１〜30重量％共重合させてなるポリアセ
タールコポリマーが優れた熱安定性、機械的強度を保持
できるので好ましい。又、ポリアセタールコポリマー
は、分子が線状のみならず分岐、架橋構造を有するもの
であってもよい。ポリアセタール樹脂の粘度は成形が可
能な限り特に限定されないが、メルトインデックス（AS
TM D-1238-89E ）が５〜100 ｇ／10min のもが好まし
い。ポリアセタールコポリマーの製造に用いるコモノマ
ー成分は特に限定されないが、一般に下記の一般式で示
される化合物が用いられる。

【０００６】

【化１】

【０００７】［但し、R₁、R₂、R₃、R₄は同一又は異なる
置換基であり、水素原子、アルキル基（１〜５個の炭素
を有し、０〜３個の水素がハロゲン原子で置換されたも
の）を意味し、R₅はメチレン基、オキシメチレン基、ア
ルキル基で置換されたメチレン基もしくはオキシメチレ
ン基（この場合、ｐは０〜３の整数を表す）、或いは式
-(CH₂)_q-OCH₂又は-(O-CH₂-CH₂)_q-OCH₂で示される２価
の基（この場合、ｐは１を表し、ｑは１〜４の整数を表
す）を意味する。］該コモノマーとしては、エチレンオキシド、エピクロル
ヒドリン、１，３−ジオキソラン、ジエチレングリコー
ルホルマール、１，４−ブタンジオールホルマール、
１，３−ジオキサン、プロピレンオキシド等が挙げられ
る。

【０００８】次に、本発明で用いられる(B) 成分の炭素
数が３以上の多価アルコールと脂肪酸とのフルエステル
化合物とは、多価アルコールと、１価の飽和脂肪酸もし
くは２塩基酸とのフルエステルであり、実用上好ましく
は、炭素数８以上の飽和脂肪酸及び／又は多塩基酸との
フルエステルである。

【０００９】炭素数が３以上の多価アルコールとして
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グ
リセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトー
ル、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビト
ール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビ
タン、ソルビトール、マンニトール等が挙げられ、これ
らの１種以上が用いられる。

【００１０】また、脂肪酸としては、カプリン酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸、リグノセリン
酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、１２ヒド
ロキシステアリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、及びか
かる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸又はそれ
らの混合物等が挙げられる。

【００１１】かかる(B) 成分のうち、摩擦・摩耗特性、
寸法安定性の点で、特に好ましく用いられるものは、グ
リセリントリステアレート、グリセリントリ１２ヒドロ
キシステアレート、グリセリントリベヘネート、グリセ
リントリアジペート、グリセリントリフタレート、ペン
タエリスリトールテトラステアレート、及びそれらの誘
導体であり、本発明においてはこれらのフルエステル化
合物から選ばれた１種又は２種以上が用いられる。

【００１２】(B) 成分の配合量は、(A) ポリアセタール
樹脂100 重量部に対して、0.05〜10重量部、好ましくは
0.5 〜５重量部である。0.05重量部未満では摩擦・摩耗
特性が不充分であり、10重量部を越えると成形性の悪化
を招き好ましくない。

【００１３】本発明の樹脂組成物には、更に公知の各種
添加剤を配合し得る。例えば、各種の着色剤、離型剤、
核剤、帯電防止剤、その他の界面活性剤、各種ポリマー
等である。また、本発明の目的とする成形品の性能を大
幅に低下させないような範囲であるならば、公知の無
機、有機、及び金属等の繊維状、板状、粉粒状等の充填
剤を１種又は２種以上複合させて配合することも可能で
ある。このような充填剤の例としては、ガラス繊維、ガ
ラスビーズ、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭素
繊維等が挙げられるが、何らこれらに限定されるもので
はない。

【００１４】本発明の組成物の調製法は特に制限がな
く、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる公
知の方法により容易に調製される。例えば、ｉ）各成分
を混合した後、一軸又は二軸の押出機により練混み押出
ししてペレットを調製し、しかる後に成形する方法、i
i）一旦組成の異なるペレット（マスターバッチ）を調
製し、そのペレットを所定量混合（稀釈）して成形に供
し、成形後に目的組成の成形品を得る方法、 iii）成形
機に各成分の１又は２種以上を直接仕込む方法等、何れ
も使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体とし
て、これ以外の成分と混合し添加することは、これらの
成分の均一配合を行う上で好ましい方法である。

【００１５】また本発明の樹脂組成物は、押出成形、射
出成形、圧縮成形、真空成形、吹込成形、発泡成形等の
何れによっても成形可能である。このようにして得られ
る本発明の成形品は、優れた摩擦・摩耗性を有し、且つ
寸法安定性に優れているので、このような性能が要求さ
れる用途、特に歯車、レバー、カム、スライダー、軸受
け等の摺動部品に特に好適に用いられる。

【００１６】

【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例の各特性値は、次のようにして求め
た。〔摩擦係数〕鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、初期の摩擦
係数と、加圧0.75kg/cm²、線速度180mm/sec 、接触面積
2.0cm²、相手材としてポリアセタール樹脂材料（ポリプ
ラスチックス（株）製、商品名Ｍ９０−４４）を用い、
24時間摺動させた後の動摩擦係数を測定した。〔寸法変化量〕ＡＳＴＭ引張試験片を成形し、試験片を
温度23℃、湿度50％の空調室に24時間放置した後に、試
験片の寸法（縦方向の長さ）を正確に測定した。その
後、以下の２条件にて試験片を処理し、再び上記空調室
に24時間放置した後に、寸法を測定した。初期の寸法と
処理後の寸法の差を寸法変化量とした。条件；70℃×４時間条件；60℃×３時間→−20℃×３時間を12サイクル実施例１〜８、比較例１〜７ (A) ポリアセタール樹脂（ポリプラスチックス（株）
製、商品名ジュラコン）に、表１に示す(B) フルエステ
ル化合物を、表１に示す割合で添加し、混合した後、二
軸押出機により溶融混練し、ペレット状の組成物を調製
した。次いで、該ペレットを用いて上記の評価を行っ
た。結果を表１に示す。

【００１７】比較のため、(B) フルエステル化合物を配
合しないもの、モノエステル化合物等のフルエステル化
合物でないものを用いた場合について、同様に評価を行
った。結果を表２に示す。

【００１８】尚、使用したエステル化合物は以下のもの
である。 b-1 ：グリセリントリステアレート b-2 ：グリセリントリ１２ヒドロキシステアレート b-3 ：グリセリントリベヘネート b-4 ：グリセリントリアジペート b-5 ：ペンタエリスリトールテトラステアレート b'-1：グリセリンモノステアレート b'-2：グリセリンジステアレート b'-3：グリセリンモノ１２ヒドロキシステアレート b'-4：グリセリンモノベヘネート b'-5：グリセリンモノアジペート b'-6：ペンタエリスリトールトリステアレート

【００１９】

【表１】

【００２０】

【表２】

【００２１】

【発明の効果】以上の説明及び実施例から明らかなよう
に、多価アルコールと脂肪酸とのフルエステル化合物が
添加されたポリアセタール樹脂組成物は、摺動特性に優
れ、且つ環境温度による寸法変化が少なく、結晶状態の
安定のために長時間アニールしなくとも、摺動部材とし
て好適に使用することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｆ１６Ｈ 53/00 Ｆ１６Ｈ 53/00 55/06 55/06 Ｆターム(参考） 3J011 SC13 3J030 AC10 BC01 BC05 BC08 EA01 EB04 EB09 EC04 4F071 AA40 AC10 AE12 AE22 AH17 AH18 BB03 BB05 BB06 BB13 BC07 4J002 CB001 EH046 GM00 GM04 GM05

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】(A) ポリアセタール樹脂100 重量部に対し
て、 (B) 炭素数が３以上の多価アルコールと脂肪酸とのフル
エステル化合物0.05〜10重量部を配合してなる寸法安定
性に優れたポリアセタール樹脂組成物。
【請求項２】(B) フルエステル化合物が、グリセリンの
トリエステルである請求項１記載のポリアセタール樹脂
組成物。
【請求項３】(B) フルエステル化合物が、グリセリンと
炭素数８以上の飽和脂肪酸及び／又は多塩基酸とのエス
テルである請求項１記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項４】(B) フルエステル化合物が、グリセリント
リステアレート及び／又はその誘導体である請求項１記
載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項５】(B) フルエステル化合物が、ペンタエリス
リトールのフルエステルである請求項１記載のポリアセ
タール樹脂組成物。
【請求項６】(B) フルエステル化合物が、ペンタエリス
リトールテトラステアレート及び／又はその誘導体であ
る請求項１記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項７】請求項１〜６の何れか１項記載のポリアセ
タール樹脂組成物を成形してなる寸法安定性に優れた成
形品。
【請求項８】請求項１〜６の何れか１項記載のポリアセ
タール樹脂組成物を成形してなる歯車、レバー、カム、
スライダー、軸受けより選ばれる摺動部品。