JP2002020141A - 銅微粒子分散ガラス用組成物、および該組成物を用いる高密度銅微粒子分散ガラスの製造方法 - Google Patents

銅微粒子分散ガラス用組成物、および該組成物を用いる高密度銅微粒子分散ガラスの製造方法

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JP2002020141A
JP2002020141A JP2000197531A JP2000197531A JP2002020141A JP 2002020141 A JP2002020141 A JP 2002020141A JP 2000197531 A JP2000197531 A JP 2000197531A JP 2000197531 A JP2000197531 A JP 2000197531A JP 2002020141 A JP2002020141 A JP 2002020141A
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copper fine
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copper
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Kenji Morinaga
健次 森永
Takahiro Murata
貴広 村田
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C14/00Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix
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    • C03C2214/08Metals

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 溶融−急冷−熱処理法によって金属銅微粒子
分散ガラスを製造するの提供。 【解決手段】 式(100−a)RO・aP25・bCu2
O・cCuO・dSnO・eM23で表わされる化学組
成〔式中、a〜eは、30≦a≦70、1≦b≦20、
0≦c≦20、1≦d≦20、0.5≦e≦20であり単
位はモル比)、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znから
成る2価の金属の群より選ばれた少なくとも1種、Mは
III−IV、III−Vの酸化−還元を示す元素の群より選ば
れた少なくとも1種〕から成る銅微粒子分散ガラス用組
成物例:50BaO・50P25・6Cu2O・6Sn
O・eSb23(0.5≦e≦2)及び該組成物を大気
中で溶融し、得られた融体を急冷してガラス化し、該ガ
ラスを大気中でガラス転移温度よりも低い温度に加熱・
保持することにより金属銅微粒子を析出させる工程を含
むガラスの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次非線形特性を
示す機能性材料などとして有用な銅微粒子分散ガラスの
技術分野に属し、特に、銅微粒子が高密度に分散された
銅微粒子分散ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】機能性材料としてガラスの持つ光透過特
性は基本的な性質である。ガラスに光の波長よりも十分
小さいnmオーダーの微細な異相を導入させることによ
り、光透過特性を維持したまま新たな光機能を発現させ
ることが可能である。異相として銅微粒子(金属銅微粒
子)を分散させたガラスは、銅赤ガラスと呼ばれ陶磁器
の赤色釉薬として、またガラスの赤色着色剤として古く
から利用されている。さらに、近年、この銅微粒子分散
ガラスは高い三次非線形特性を示すことが明らかとな
り、光スイッチングデバイスなどとしての応用が期待さ
れている。
【0003】銅微粒子分散ガラスの光透過特性および三
次非線形特性は銅微粒子の粒径、その粒径分布、濃度、
および分散状態に影響を受けることが知られている。そ
のため、光透過特性を維持したまま高い三次非線形特性
を示す銅微粒子分散ガラスを調製するためには、ガラス
中の銅微粒子について、直径をおよそ10〜20nmに
して、その粒径分布をシャープに、かつ高密度、単分散
させる形態制御が必要不可欠である。
【0004】金属銅微粒子分散ガラスを製造する優れた
方法として、溶融−急冷−熱処理の工程から成る方法が
挙げられる。この方法は、マトリックスガラスに金属銅
源として酸化銅および還元剤として酸化スズを共添加
し、大気中で溶融し、得られた均一な融体(ガラス融
液)を急冷してガラス化させ、このガラスを大気中軟化
点付近で加熱・保持して熱処理することにより、Cu+
とSn2+の反応によってガラス中に金属銅微粒子を析
出させる方法である。この溶融−急冷−熱処理は、通常
のガラス製造と同様に溶融法が利用でき、全工程を大気
中で行うことが可能なため、スパッタリング法、イオン
注入法、ゾル−ゲル法など、他の金属微粒子分散ガラス
の調製法と比較して、プロセスが簡便であり、製造コス
トの点において有利である。
【0005】特開平5−270861号公報には、リン
酸塩系のマトリックスガラスに、酸化銅(Cu2O)お
よび酸化スズ(SnO)を共添加し、溶融−急冷−熱処
理法により銅微粒子分散ガラスを作製する方法が開示さ
れている。しかし、この開示された方法で製造した銅微
粒子分散ガラスは、析出する金属銅微粒子の粒径にバラ
ツキがあり且つその析出濃度が低いことが見出されてお
り、金属銅微粒子分散ガラスを光スイッチングデバイス
に要請されるような三次非線形特性を充分に満足してい
ないのが現状である。銅微粒子分散ガラスの三次非線形
特性を向上させるためには、ガラスからの銅微粒子の析
出と分散の形態制御を確立させることのみならず、熱処
理においてCuイオンと還元剤との反応により高濃度に
銅微粒子を生成させなければならない。さらに、該公報
に開示された方法では、数時間にわたる長時間の熱処理
を必要としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融−急冷
−熱処理法によって金属銅微粒子分散ガラスを製造する
に当たって上記のごとき要求に応えるものであり、比較
的簡単な手段によりガラス中に均一な粒径の銅微粒子を
高密度に析出・分散させることのできる新しい技術を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、リン酸塩系マ
トリックスガラスに金属銅源および還元剤を添加して溶
融−急冷−熱処理法により金属銅微粒子分散ガラスを調
製するに際して、還元剤として、酸化スズに加えて、II
I−IVまたはIII−Vの酸化−還元(レドックス:redox)
を示す元素、すなわち、還元状態での3価の原子価から
酸化されて4価または5価の原子価を示す元素の酸化物
を含有させたリン酸塩系ガラス組成物を熱処理すること
により、Tg(ガラス転移温度)よりも低温で短時間に
高密度に金属銅微粒子を均一に分散させることが可能で
あるという知見を得たことに基づく。
【0008】かくして、本発明に従えば、下記の一般式
(1)で表わされる化学組成から成る金属銅微粒子分散
ガラス用組成物が提供される。 (100−a)RO・aP25・bCu2O・cCuO・dSnO・eM23 ( 1) 式(1)において、a,b,c,cおよびeは、それぞ
れ、30≦a≦70、1≦b≦20、0≦c≦20、1
≦d≦20、および0.5≦e≦20の数値範囲にあり
(単位はモル比)、RはMg(マグネシウム)、Ca
(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリ
ウム)およびZn(亜鉛)から成る2価金属の群より選
ばれた少なくとも1種であり、MはIII−IVまたはIII−
Vの酸化−還元を示す元素の群より選ばれた少なくとも
1種である。Mは、Sb(アンチモン)、As(ヒ
素)、Bi(ビスマス)、Ti(チタン)、V(バナジ
ウム)、Cr(クロム)およびMn(マンガン)から成
る群より選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
【0009】本発明の銅微粒子分散ガラス用組成物の好
ましい態様は、50RO・50P25・6Cu2O・6Sn
O・eM23(0.5≦e≦2)で表わされる化学組成か
ら成り、特に好ましい態様においては、RはBaであ
り、MはSbである。
【0010】さらに、本発明は銅微粒子分散ガラスを製
造する方法を提供し、本発明の方法は、上記のごとき銅
微粒子分散ガラス用組成物を大気中で溶融し、得られた
融体を急冷してガラス化した後、該ガラスを大気中でガ
ラス転移温度よりも低い温度に加熱・保持することによ
り金属銅微粒子を析出させる工程を含むことを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施においては、還元剤
として従来より用いられていたSnOに加えて新規還元
剤としてIII−VまたはIII−Vの酸化−還元を示す元素
の酸化物を使用し、これによって、Tg(ガラス転移温
度)よりも低温における短時間の熱処理で金属銅微粒子
を高密度且つその粒径(および形状)を均一にして析出
・分散させることができる。本発明によりこのような効
果が奏される理由は、次のように推察される。
【0012】本発明が対象とする溶融−急冷−熱処理法
の特徴は、Cu+、Sn2+共含有ガラスを熱処理によっ
て次式に従い銅微粒子を析出させる点にある。 2Cu++Sn2+ → 2Cu0+Sn4+ (2) 通常、酸化物ガラス中における遷移金属イオンのレドッ
クス(酸化−還元)平衡は、酸素の関与する物質移動を
伴って生じるのに対して、式(2)で示した銅微粒子の
生成反応は物質移動を伴わずに陽イオン間の電子の授受
のみで起こるレドックス(酸化−還元)反応といえる。
【0013】ここで、マトリックスに用いたリン酸塩系
ガラスは、その構造中にリン酸塩系固有のP=O二重結
合を持ち、奇数価のイオン(+1価または+3価のイオ
ン)がP=O二重結合に選択的に配位することが、過去
の本発明者らの研究によって明らかにされている〔T. M
urata, M. Torisaka, H. Takebe and K. Morinaga :J.
Non-Cryst. Solids, 220 (1997), 139-146〕。ガラス融
体中において、CuイオンはSnイオンによりCu+
オンで安定化されるため、これを急冷することによって
ガラス中に存在するCuイオンの多くは1価の状態で、
P=O二重結合に選択的に配位していると推察される。
一方、還元剤であるSnイオンは、還元作用を示すSn
2+と還元作用を示さないSn4+との間でレドックス平衡
を示すため、一部はSn4+の状態となり、添加したすべ
てのSnイオンが還元剤として機能しない。さらに、リ
ン酸塩系特有のP=O二重結合に選択的に配位したCu
+イオンと、偶数価を有してP=O二重結合に配位する
ことなくガラス中にランダムに分布しているSn2+とが
隣接する頻度が低いと推定される。したがって、還元剤
にSnOのみを添加したガラスから銅微粒子を析出させ
るためには、式(2)に示したように陽イオン間での電
子の授受が起こるようにCu+とSn2+を隣接させるた
めにマトリックスガラスが流動性を示しはじめるTgよ
りも高温域で、特にTx(結晶化温度)付近まで試料を
加熱処理しなければならない。しかもレドックス平衡を
示すSnイオンの一部はSn4+となっているため、Cu
+に対してSn2+が不足し、式(2)で示したCu+から
Cu0への還元反応率が低くなり、銅微粒子が低濃度で
しか析出しない結果となったと推察される。
【0014】これに対して、III−IVまたはIII−Vのレ
ドックスを示す元素(M)の酸化物から成る新規還元剤
は、リン酸塩系ガラス中ではM3+イオンとしてリン酸の
P=O二重結合に選択的に配位して固定化されるため、
添加したイオンの殆どが還元作用を示すM3+の状態で存
在している。さらに、Cu+とM3+がともにリン酸塩系
特有のP=O二重結合に選択的に配位するため、非常に
隣接したサイトに存在していると推察される。その結
果、Cu+イオンとM3+イオンが隣接する頻度が高くな
るため、ガラスが固体と見なせるTgよりも低温領域で
熱処理を行っても2Cu++M3+ → 2Cu0+M
5+(またはCu++M3+ → Cu0+M4+)で表わされ
るような反応が容易に進行すると考えられる。さらに、
リン酸塩系ガラス中におけるMイオンについては殆どが
還元剤として作用するM3+のみで存在するのでCu+
らCu0への還元反応率が高くなり、銅微粒子が高密度
でガラス中に析出されたものと考えられる。
【0015】図1は、BaO・P25をマトリックスと
するガラスを例にして以上に説明したようなレドックス
反応メカニズムの模式図であり、(a)は還元剤として
Snイオン、また、(b)は新規還元剤としてSb(ア
ンチモン)イオンを添加した場合についての各イオンの
分布の様子を示すものである。
【0016】さらに、本発明に従えば、ガラスが固体と
みなせるTg(ガラス転移温度)以下の低温で熱処理を
行うので、析出した個々の銅微粒子が独立に成長するた
めに粒子径や形状が比較的均一となる形態制御が可能に
なったものと考えられる。
【0017】なお、SnOを添加せずに、III−V(ま
たはIII−IV)の酸化−還元を示す元素の酸化物から成
る新規還元剤(M23、例えばSb23)のみを添加さ
せるだけでは金属銅微粒子の析出は起こらない。これ
は、本発明が対象とする大気中での熱処理下では銅は容
易に2価に酸化されてしまい(Cu2+)、Snイオンは
このような2価の銅イオンを還元するが、Sbイオンの
ような新規還元剤にはこのような還元機能がないためと
考えられる(後述の参考例参照)。
【0018】本発明の銅微粒子分散ガラス用組成物にお
いてマトリックスを構成するRO(Mg、Ca、Sr、
BaおよびZnから選ばれる2価の金属の酸化物)とP
25は、モル比で30/70から70/30の範囲にあ
り、この範囲を外れて、ROが少なすぎ(P25が多す
ぎ)ても、また、ROが多すぎ(P25が少なすぎ)て
も、ガラス化しにくくなり且つ化学安定性が低くなるの
で好ましくない。
【0019】金属銅源は、Cu+をガラス中に生成させ
る必要があるので、一般にCu2Oとして添加し、その
添加量はマトリックス(RO+P25)の合計量(10
0)に対してモル比で1〜20とする。1モル%未満で
は所望の金属銅微粒子が分散したガラスが得られず、他
方、20モル%を超えて添加するとCu+の溶解度の限
界でガラス化しにくくなり且つCu+が生成しにくくな
るので好ましくない。金属銅源はCuOとして添加する
こともできるが必須ではない。CuOとして添加する場
合もCu2Oの場合と同様の理由からマトリックス(R
O+P25)の合計量(100)に対してモル比で20
以下とする。
【0020】還元剤である酸化スズ(SnO)は、マト
リックス(RO+P25)の合計量(100)に対して
モル比で1〜20添加する。1モル%未満では銅を還元
して金属銅微粒子として析出されることができず、一
方、20モル%を超えると、ガラス化しにくくなる。
【0021】また、本発明に従う新規還元剤であるIII
−IVまたはIII−Vの酸化−還元を示す元素の酸化物
(M23)は、マトリックス(RO+P25)の合計量
(100)に対してモル比で少なくとも0.5を添加する
ことにより、既述のようにTg(ガラス転移温度)以下
の低温で高密度に金属銅微粒子を均一に分散させること
ができる。但し、M23が多すぎ、マトリックス(RO
+P25)の合計量(100)に対して20モル%を超
えて添加すると、熱処理前のガラス化させた時点で金属
銅が析出してしまうので好ましくない。新規還元剤とし
てはSb23、As 23、Bi23、Ti23、V
23、Cr23、およびMn23が挙げられ、好ましい
のはSb23、As23、Bi23であり、特に好まし
いのはSb23である。
【0022】本発明に従う銅微粒子分散ガラス用組成物
として好ましいのは、50RO・50P25・6Cu2
O・6SnO・eM23(0.5≦e≦2)で表わされる
化学組成から成るものであり、特に好ましいのはRがB
a(バリウム)であり、MがSb(アンチモン)である
組成物である。この銅微粒子分散ガラス用組成物を用い
るとTg(ガラス転移温度)より低温の熱処理で、約1
0nm前後で粒径(直径)および形状の揃った金属銅微
粒子が高密度に単分散した銅微粒子分散ガラスが得られ
る。
【0023】本発明の銅微粒子分散ガラス用組成物は、
既述の式(1)に示されるような各元素の酸化物として
提供されるのみならず、加熱(焼成)によってそれらの
酸化物を生成するような化合物を原料として提供するこ
ともできる。例えば、マトリックスであるROは、Ba
O、MgO、CaO、SrO、ZnO、P25のような
酸化物の他、BaCO3、MgCO3、CaCO3、Sr
CO3などの炭酸塩として、また、P25は酸化物P2
5の他、(NH4)H2PO4として提供する。特に、マトリ
ックスとなる元素をリン酸塩、例えば、Ba(PO3)2
Mg(PO3)2、Ca(PO3)2、Sr(PO3)2、Zn(P
3)2などを原料として添加するのが好ましい。したが
って、式(1)の化学組成で表わされる本発明の銅微粒
子分散ガラス用組成物とは、加熱によって式(1)で表
わされるような組成の酸化物を生成する化合物から成る
組成物も包含する。
【0024】本発明により高密度銅微粒子分散ガラスを
製造するには、上述したような原料の中から式(1)に
従って所望の配合組成になるように組成物を選択し、こ
の組成物を充分に混合した後、大気中で高温に加熱して
(一般的には1200〜1500℃の温度下に、15〜
100分間)溶融し、得られた融体を室温にまで急冷し
てガラス化させ、得られたガラスを大気中でTg(ガラ
ス転移温度)よりも低い温度に加熱・保持することによ
り金属銅微粒子を析出させる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の特徴をさらに明らかにする
ため幾つかの具体例を示すが、本発明はこれらの例によ
って制限されるものではない。なお、以下に示すガラス
サンプルを調製するに当っては、原料粉末としてBa
(PO3)2、Mg(PO3)2、Ca(PO3)2、Sr(P
3)2、Zn(PO3)2を用い、また、金属銅源としてC
2O、還元剤としてSnO、新規還元剤としてSb2
3の各粉末を用いた。これらの原料粉末の中から、それ
ぞれ下記の表に示す配合組成となるように選択して、そ
れぞれの配合物を充分に混合して石英るつぼに入れ、大
気中1200℃で、15分間で溶融した後、グラファイ
トモールド上に流し出して室温に急冷し、析出物のない
均一なガラスを得た。このガラスを熱処理に供した。熱
処理は、大気中所定の熱処理温度に加熱・維持した電気
炉にガラス試料を投入し、所定の時間保持することによ
り行った。
【0026】参考例 この参考例は、従来より用いられた還元剤SnOと本発
明に従う新規還元剤であるSb23の機能を調べるため
のものである。表1に示す組成物からガラスサンプルを
調製して、銅微粒子の析出状態をTEM(透過型電子顕
微鏡)で観察したところ、SnOが無添加であると、S
23を添加しない場合(参考例1)およびSb23
添加した場合(参考例2)のいずれにおいても金属銅微
粒子の析出は認められなかった。
【0027】
【表1】
【0028】実施例I 本発明に従うガラスサンプルとして、下記の表2の実施
例1および2に示すように還元剤であるSnOと新規還
元剤であるSb23を共添加した組成物から、前述のよ
うにガラスサンプルを調製した。比較のために表2の比
較例1に示すようにSb23を添加せずにSnOのみを
添加した組成物から同様の操作によりガラスサンプルを
調製した。
【0029】
【表2】
【0030】実施例1および実施例2の場合、ガラス転
移点以下の低温領域(例えば673K=400℃)で熱
処理しても、いずれも直径約10nm前後の粒子サイズ
の揃った金属銅微粒子が高密度に単分散した金属銅微粒
子分散ガラスが得られた。これに対して、比較例1で
は、Tg以上の高温領域(約823K=550℃)でし
か金属銅微粒子が均一に単分散で析出せず、その析出濃
度も低いものしか得られなかった。
【0031】図2は、これらの結果をさらに詳細に検討
したものであり、本発明の方法と従来の作製法によって
金属銅微粒子が析出する温度−時間範囲の違いを示す時
間−温度−析出状態図である。すなわち、表2の比較例
1のように従来の作製法で調製したガラス試料における
析出と分散状態を、表2の実施例2の本発明による方法
で調製したガラス試料と対比している。熱処理について
は、大気中所定の熱処理温度に加熱・維持した電気炉に
ガラス試料を投入し、所定の時間保持することで行っ
た。ここで、図中の○は熱処理を行ってもガラスに何も
変化が見られなかった点、●はガラスから銅微粒子が析
出・単分散した点、×は銅微粒子の成長が進行して不透
明となった点、■はガラスから銅微粒子が析出するもの
の凝集した点をそれぞれ表わしている。これらの測定点
における結果に基づいて境界線を決定し、それぞれの領
域を(I)〜(IV)に分類した。また、図中のTxおよ
びTgはそれぞれマトリックスであるBaO・P25
ラスの結晶化温度とガラス転移温度を示している。
【0032】図2の(a)は、比較例1のように従来の
作製法で調製した金属銅微粒子分散ガラスであり、Tg
以下で熱処理を行っても何も変化は起こらず、Tgより
も高温域においてのみ金属銅微粒子が析出し、しかも、
領域(II)がTx近傍の狭い温度−時間範囲にしか存在
しない。これに対して、図2の(b)は実施例2の本発
明の方法で調製した金属銅微粒子分散ガラスが得られる
析出状態図であり、銅微粒子が均一に単分散で析出・成
長する領域(II)が広範囲であり、かつTg以下の低温
域まで拡大している。これらの図より本発明の方法は従
来の作製法では不可能であったTg以下の広範囲にわた
る低温領域で金属銅微粒子を均一に析出させることがで
きることがわかる。
【0033】さらに、図3および図4は、本発明の方法
と従来の作製法によって金属銅微粒子の析出形態の違い
を示すものとして、図2の領域(II)に対応する熱処理
条件におけるTEM像を示す。図3は比較例1の作製法
で823K、103.5s(秒)間熱処理して作製した試
料のTEM像であり、約20nmの銅微粒子がガラス中
に単分散しているが、個々の銅微粒子の粒径にバラツキ
があり、その析出量も低密度であることが観察される。
これに対して、図4は実施例2の本発明の方法に従い6
73K、103.5s(秒)熱処理して作製した試料のT
EM像であり、新規還元剤を添加することにより、直径
が約10nm前後で粒子径および形状の揃った銅微粒子
が高密度に単分散していることが観察される。これらの
図より、本発明に従えば、従来の作製法では不可能であ
った高濃度に金属銅微粒子を均一な球状に短時間の熱処
理で析出させることができることがわかる。
【0034】実施例II 本発明に従うものとして、表3に示す組成物からガラス
サンプルを調製したところ、上述の実施例1および実施
例2に比べると析出状態は幾分劣るが、いずれもTg
(ガラス転移温度)よりも低い温度の熱処理により金属
銅微粒子が析出したガラスが得られた。
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明に従えば、従来の技術では実現不
可能であったTg以下での低温熱処理によって高密度且
つ均一に金属銅微粒子が析出した銅微粒子分散ガラスを
得ることが可能である。したがって、本発明によって得
られる金属銅微粒子分散ガラスは、高い三次非線形光学
特性を必要とする光スイッチング素子に用いる場合は大
きな価値がある。また、本発明によって得られる金属銅
微粒子が高密度で均一に分散されたガラスは、導電性を
示すガラスとしての用途も期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】BaO・P25をマトリックスとするガラスに
ついて還元剤の関与する酸化−還元反応のメカニズムを
模式的に示す図である。
【図2】本発明の方法と従来の作製法で金属銅微粒子を
析出させる熱処理条件の違いを示す時間−温度−析出状
態図である。
【図3】従来の作製法で作製したガラスの金属銅微粒子
の粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明によって得られる銅微粒子分散ガラスの
金属銅微粒子の粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真で
ある。
フロントページの続き Fターム(参考) 2K002 AB04 CA15 HA22 4G062 AA04 BB09 CC01 CC04 DA01 DB01 DC01 DD05 DD06 DE01 DE02 DE03 DE04 DE05 DE06 DF01 EA01 EA10 EB01 EC01 ED01 ED02 ED03 ED04 ED05 ED06 EE01 EE02 EE03 EE04 EE05 EE06 EF01 EF02 EF03 EF04 EF05 EF06 EG01 EG02 EG03 EG04 EG05 EG06 FA01 FB01 FB02 FB03 FB04 FC01 FD01 FE03 FE04 FF01 FF02 FF03 FF04 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA02 GA03 GA04 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH04 HH05 HH07 HH08 HH09 HH10 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ04 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM04 NN01 PP12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (100−a)RO・aP25・bCu2O・cCuO・dSnO・eM23 (1 ) で表わされる化学組成から成り、上記式(1)におい
    て、a,b,c,dおよびeは、それぞれ、 30≦a≦70 1≦b≦20 0≦c≦20 1≦d≦20 0.5≦e≦20 (単位:モル比) の数値範囲にあり、RはMg、Ca、Sr、Baおよび
    Znから成る2価の金属の群より選ばれた少なくとも1
    種であり、MはIII−IVまたはIII−Vの酸化−還元を示
    す元素の群より選ばれた少なくとも1種であることを特
    徴とする銅微粒子分散ガラス用組成物。
  2. 【請求項2】 MがSb、As、Bi、Ti、V、Cr
    およびMnから成る群より選ばれた少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の銅微粒子分散ガラ
    ス用組成物。
  3. 【請求項3】 50RO・50P25・6Cu2O・6Sn
    O・eM23(0.5≦e≦2)で表わされる化学組成か
    ら成ることを特徴とする請求項2の銅微粒子分散ガラス
    用組成物。
  4. 【請求項4】 RがBaであり、MがSbであることを
    特徴とする請求項3の銅微粒子分散ガラス用組成物。
  5. 【請求項5】 銅微粒子分散ガラスを製造する方法であ
    って、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を大気中
    で溶融し、得られた融体を急冷してガラス化した後、該
    ガラスを大気中でガラス転移温度よりも低い温度に加熱
    ・保持することにより金属銅微粒子を析出させる工程を
    含むことを特徴とする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009060632A1 (ja) 2007-11-06 2009-05-14 Konica Minolta Ij Technologies, Inc. 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
WO2009123008A1 (ja) 2008-04-04 2009-10-08 コニカミノルタIj株式会社 非水系インクジェットインク、非水系インクジェットインクの製造方法及びインクジェット記録方法

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