JP2002018665A - 移動テーブルの変位制御方法、部材加工方法、x−yステージ装置、該x−yステージ装置の製造方法 - Google Patents

移動テーブルの変位制御方法、部材加工方法、x−yステージ装置、該x−yステージ装置の製造方法

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JP2002018665A JP2000207048A JP2000207048A JP2002018665A JP 2002018665 A JP2002018665 A JP 2002018665A JP 2000207048 A JP2000207048 A JP 2000207048A JP 2000207048 A JP2000207048 A JP 2000207048A JP 2002018665 A JP2002018665 A JP 2002018665A
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Yasuhito Nakamori
靖仁 中森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速且つ高精度に移動テーブルを円軌跡運動
させる。 【解決手段】 X−Y平面内で案内される移動テーブル
2を備え、移動テーブル2に載置される部材をX−Y平
面内で変位可能なX−Yステージ装置15における、移
動テーブル2の変位制御方法において、移動テーブル2
を、弾性変形作用を伴うX−Yガイド機構50によって
X−Y平面内で案内すると共に、移動テーブル2がX方
向及びY方向に移動する際のX方向の固有振動数とY方
向の固有振動数とを一致させ、更にこの固有振動数の値
Tに対して運動周波数fが0.66T<f<2.0Tと
なるように移動テーブル2を円軌跡運動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X−Y平面内で案
内される移動テーブルを備え、該移動テーブルに載置さ
れる部材をX−Y平面内で変位可能なX−Yステージ装
置に関連するものであり、特に、該X−Yステージ装
置、移動テーブルの変位制御方法、及び該変位制御方法
を利用した部材加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のX−Yステージ装置は、
電子部品搭載装置(チップマウンタ)、工作機械、光学
系(レンズ・ミラー等)の制御機構等の数多くの産業分
野で広く利用されている。
【0003】図14に、従来のX−Yステージ装置90
0を示す。このX−Yステージ装置900は、X軸案内
機構903におけるX軸テーブル(図示省略)上に、可
動テーブル907を有するY軸案内機構906を搭載し
たものである。X軸案内機構903は、Y軸案内機構9
06を保持すると共にX軸方向に直線的に案内するX軸
ガイドレール908と、このX軸ガイドレール908と
平行に配置されるX軸ボールネジ902と、このX軸ボ
ールネジ902を回転駆動するX軸サーボモータ901
と、を備えており、このX軸サーボモータ901を適宜
制御することによって、Y軸案内機構906全体がX方
向に移動・位置決めされる。Y軸案内機構906は、可
動テーブル907を保持すると共にY軸方向に直線的に
案内するY軸ガイドレール909と、このY軸ガイドレ
ール909と平行に配置されるY軸ボールネジ905
と、このY軸ボールネジ905を回転駆動するY軸サー
ボモータ904と、を備えており、このY軸サーボモー
タ904を適宜制御することによって、可動テーブル9
07が、Y軸案内機構906上でY方向に移動・位置決
めされる。従って、X軸及びY軸サーボモータ901、
904を制御すれば、可動テーブル907がX方向及び
Y方向にの任意の位置に位置決めされるようになってい
る。
【0004】つまり、このX−Yステージ装置900で
は、X軸、Y軸案内機構903、906におけるX軸、
Y軸ガイドレール908、909が、可動テーブル90
7をX−Y平面内で案内するX−Yガイド機構として機
能し、又、X軸、Y軸ボールネジ902、905及びX
軸、Y軸サーボモータ901、904が駆動装置として
機能しているといえる。
【0005】X軸及びY軸サーボモータ901、904
の制御方式には、例えば、エンコーダによって計測され
るX軸及びY軸ボールネジ902、905の回転量から
可動テーブル907の移動量を予測し、その予測値から
X軸及びY軸サーボモータ901、904を制御するセ
ミクローズドループ制御方式や、又、可動テーブル90
7の移動量をリニアゲージ等によって直接計測し、その
値からX軸及びY軸サーボモータ901、904をフィ
ードバック制御するフルクローズドループ制御方式等が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、このようなX−
Yステージ装置900の利用分野は極めて多岐に渡って
おり、従来のように、部材を所定の場所に停止させる単
なる「静的な位置決め」以外にも、部材を周期的に動か
すような「動的な位置決め」を目的として利用される機
会が増えつつある。特に、近年の技術の高度化・複雑化
に伴って、部材が「高速」且つ「精密」に円軌跡(楕円
を含む)を描くように運動させたいという強い要望が存
在する。なお、高速の円軌跡運動はほどんど「振動」に
近いものとなる。
【0007】しかしながら、高速な円軌跡運動を達成し
ようとする場合、各ボールネジ902、905等のシャ
フト機構による駆動方式では、正転・逆転の切換時や、
急加減速時等に増大してしまう駆動側の振動が、(振動
に近い)高速な円軌跡運動に対して外乱として作用して
しまい、結局、制御速度を高めるのに一定の限界があっ
た。又、安定した(一定の)円軌跡を描くように可動テ
ーブル907を運動させようとする場合、セミクローズ
ドループ制御方式では、各ボールネジ902、905の
撓み、バックラッシ等が考慮されないので、運動軌跡が
変動して誤差(目標軌跡からのズレ)が増大した。
【0008】又、フルクローズドループ制御方式であれ
ばより精密に円軌跡を描くことが可能になるが、制御速
度が上昇すると、既に述べたように各ボールネジ90
2、905の振動が可動テーブル907に伝達して可動
テーブル907の位置計測信号が不安定となった。その
結果、信号が不安定となる分、フィードバック制御の応
答性を高めることが出来ないという問題が生じ、更に、
時々刻々と変化するX軸、Y軸の目標位置に、移動テー
ブル907を正確に追随させるためには、駆動機構側に
極めて高い加速性能、減衰性能等が要求されるという問
題が生じた。
【0009】これらの事実は、結局従来の可動テーブル
907の支持構造では、可動テーブル907に高速且つ
精密な円軌跡(楕円を含む)を描かせることが事実上困
難であることを意味している。
【0010】更に、前記X−Yステージ装置900で
は、X軸案内機構903の上にY軸案内機構906を設
置するという2段積み上げ構造となっているので、重心
が高くなって自身の重さによって転倒モーメントが生じ
易く、その結果、円軌跡運動制御の際に可動テーブル7
に振れが発生して誤差が増大する傾向にあった。また、
このような2段積み上げ構造の場合、最下段に位置する
X軸案内機構903にとっては、Y軸案内機構906の
総てが移動負荷(慣性負荷)となるが、Y軸案内機構9
06の移動負荷は可動テーブル907のみであるので、
X方向の制御とY方向の制御との応答性に大きな差が生
じてしまい、円軌跡運動にズレが発生しやすいという問
題があった。
【0011】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、X−Yステージ装置における移動テーブルが、
高速且つ高精度にX−Y平面内で円軌跡を描いて運動を
できるようにすることを主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本第1発明は、X−Y平
面内で案内される移動テーブルを備え、駆動装置によっ
て該移動テーブルを駆動することにより、該移動テーブ
ルに載置される部材をX−Y平面内で変位可能なX−Y
ステージ装置における、該移動テーブルの変位制御方法
において、前記移動テーブルを、弾性変形作用を伴うX
−Yガイド機構によってX−Y平面内で案内すると共
に、該移動テーブルがX方向及びY方向に移動する際の
X方向の固有振動数とY方向の固有振動数とを一致さ
せ、更に前記駆動装置によって、一致された該固有振動
数の値Tに対して運動周波数fが√(T2−7500)
<f<√(T2+7500)となるように前記移動テー
ブルを円軌跡運動させることにより上記目的を達成する
ものである。
【0013】あらゆる部材は少なからず弾性変形するの
で、その部材特有の固有振動数を有している。X−Yガ
イド機構にも、その様な弾性変形作用によって固有振動
数を有していたと考えられるが、一般的にその固有振動
数は、共振等を誘引する不安定な要素となることから、
制御に悪影響を与えるものと考えられている。
【0014】従って、制御側の目標周波数と装置側(被
制御側)の固有振動数とが一致しないように設計するの
が常識であり、実際に従来は、移動テーブルを周期的に
往復運動させる際の目標周波数に対して、移動テーブル
自身の固有振動数が大幅に大きくなるように設定されて
いた。又、仮に弾性部材の弾性変形が伴ってしまうガイ
ド機構を採用する場合には、その固有振動数を大幅に小
さく設定して、運動に影響を及ぼさないようにするのが
一般的である。
【0015】しかし、本発明者は、そのような一般的な
思想とは全く反対に、固有振動数付近の共振を積極的に
利用することに着目した。具体的には、「弾性部材の弾
性変形を伴う」X−Yガイド機構を敢えて採用し、その
X方向とY方向の固有振動数を一致させ、その固有振動
数に近い所定範囲(√(T2−7500)<f<√(T2
+7500))の運動周波数で駆動装置によって移動テ
ーブルを駆動させるようにした。なお、この運動周波数
とは、円(楕円を含む)運動の回転数と略同義である。
【0016】このように駆動すれば、移動テーブルは自
らの固有振動数に近い上記所定範囲で運動するので、駆
動装置側の駆動力と弾性部材の復元力が同方向に合成さ
れる。その結果、駆動力が復元力で補われる分、駆動装
置側に要求さる駆動力は小さくなるので、駆動装置側の
消費エネルギを激減させることが出来る。これは、駆動
装置側の発熱等が防止されることにもなり、駆動機構や
移動テーブル側の熱膨張が低減されて位置決め精度がよ
り向上する。なお、上記所定範囲は、より好ましくは√
(T2−5000)<f<√(T2+5000)とする。
【0017】又、X方向及びY方向に固有振動数が一致
されているので、移動テーブルは自ら正確な円軌道(真
円、楕円の双方を含む)を描いた運動(振動)が可能と
なっている。
【0018】具体的に説明すると、従来は、仮に移動テ
ーブルを円軌跡運動させる場合には、駆動装置の強制力
のみによって円を描くように駆動していた。そのように
しても、そもそも、固有振動数を利用するという思想が
存在しなかったこともありX方向とY方向の固有振動数
が相違していたので、軌道に「うねり」が発生して、ど
うしても安定した運動軌跡を得ることが出来なかった。
【0019】しかし、本発明では固有振動数を一致させ
ているので、駆動装置によって移動テーブルに一旦円軌
跡を描かせれば、その後の移動テーブルは、その軌跡を
「自ら」維持するように振動する。従って、時々刻々と
X−Y平面内で円を描くように複雑な(或いは強制的
な)制御をしなくても、移動テーブルの運動軌跡のズレ
を修正可能な程度に制御すれば、常に安定した周波数
で、且つ極めて安定した軌跡で運動させることが出来
る。
【0020】例えば、基本的に移動テーブルは自分で勝
手に円を描くように動くので、駆動装置によって断続的
に駆動してもある程度の位置決め精度を得ることがで
き、駆動機構の応答性もあまり高く設定する必要がなく
なる。
【0021】なお、固有振動数を「一致」させる場合と
は、完全に一致させる場合に限らない。設計・製作上の
理由から多少のズレは避けることが出来ないものであ
り、要は、安定して円軌跡運動可能な程度であれば良
く、例えば、一方の固有振動数に対して、他方がその前
後10%の範囲内で設定されていればよい。望ましく
は、前後5%の範囲内に納める。
【0022】又、移動テーブルの固有振動数とは、駆動
装置側の付勢状態(あるいは係合状態)を無視(開放)
した場合の振動数を意味し、例えば駆動装置がボールネ
ジの場合には、ボールネジを駆動するモータを開放した
場合における固有振動数を意味し、又、例えば駆動装置
が非接触タイプのリニアモータの場合には、その付勢力
(推力)を開放した場合における固有振動数を意味して
いる。
【0023】又、上記第1発明と全く同様な思想の下、
運動周波数fが90<f<110Hzの範囲内の場合に
は、近似的な関係がある0.5T<f<1.5Tを満た
すように移動テーブルを円軌跡運動させればよく(本第
2発明)、より望ましくは、0.8<f<1.2Tを満
たすようにする。その際には固有振動数Tを適宜設定し
て、100Hzの運動周波数fで駆動可能としても良
い。
【0024】ところで、上記第1、第2発明において
は、前記駆動装置が、自身の固定部又は可動部の一方が
前記移動テーブル配置される駆動用リニアモータとされ
ており、該駆動用リニアモータによって非接触状態で前
記移動テーブルを円軌跡運動させることが好ましい。
【0025】このように駆動装置として非接触のリニア
モータを採用すれば、自らの推力が零、即ち電流OFF
の際に移動テーブルに何等外的な影響を与えないので、
その場合に移動テーブルが自由振動するようになる。例
えば、ボールネジ等によって駆動する場合には、移動テ
ーブルと連結される必要があるので、自らが駆動力を発
生する必要が無くても、移動テーブルの自由振動に追従
させる必要が生じ、(従来よりも極めて少ないエネルギ
消費量で済むものの)無駄なエネルギーが消費されてし
まう。しかし、リニアモータによれば、自身の推力のO
N・OFFや大小等によって断続的に駆動することが可
能となるので、消費電力をより大幅に低減させることが
出来る。
【0026】更に、リニアモータは自身の振動が極めて
小さいという特徴がある。例えばボールネジ等の駆動に
より移動テーブルを高い周波数で運動させる場合には、
駆動側の振動が移動テーブルに伝達して外乱として作用
し易いが、リニアモータではそのような問題は殆ど生じ
ない。
【0027】以上に示した変位制御方法は、あらゆる産
業分野で利用することが出来るものであるが、例えば、
移動テーブルに載置される部材を加工する場合にも適用
できる。具体的には、X−Yステージ装置における、X
−Y平面内で移動可能な移動テーブルに載置される部材
に対して加工穴を形成する部材加工方法において、前記
移動テーブルを、上記第1、第2発明の変位制御方法に
よって円軌跡運動させ、放電加工によって、該移動テー
ブルに載置される部材に該円軌跡と同等以上の大きさの
加工穴を形成するようにすればよい(第3発明)。
【0028】このようにすると、部材側は安定した円軌
跡を描いて運動するので、放電加工装置の加工電極を静
止させた状態で、その円軌跡に沿った大きさの穴が部材
に形成される。従って、その円軌跡を真円にすれば真円
の穴が、円軌跡を楕円にすれば楕円の穴が加工される。
なお、穴は貫通するものに限定されず、途中まで加工さ
れた凹状の穴であってもよい。
【0029】又、このX−Yステージ装置自体を、更に
別のX−Y機構に設置し、X−Yステージ装置全体を所
定の軌跡(これは円に限定されない)を描くように移動
させれば、部材に、その軌跡に沿った溝(上記「穴」の
移動軌跡といえる)を形成することも出来るようにな
る。勿論この場合には、円軌跡の大きさを変化させるこ
とによって、溝の幅を変化させることが出来る。
【0030】以上に示した変位制御方法、部材加工方法
は、以下に示すようなX−Yステージ装置によって実現
される。
【0031】即ち、上記課題を解決可能な本第4発明
は、固定テーブルに対してX−Yガイド機構を介してX
−Y平面内で移動可能な移動テーブルを備え、駆動装置
によって該移動テーブルを駆動することで、該移動テー
ブルに載置される部材をX−Y平面内で位置決め可能な
X−Yステージ装置において、前記X−Yガイド機構が
弾性部材を備えることで、該弾性部材がX−Y平面内で
案内される前記移動テーブルに対して復元力を付与する
ように構成し、更に該移動テーブルがX方向及びY方向
に移動する際のX方向の固有振動数とY方向の固有振動
数とを一致させるようにしたことを特徴とするX−Yス
テージ装置である。
【0032】特に、弾性部材を備える上記X−Yガイド
機構は、X方向に対してのみ柔で、Y方向及びZ方向に
対して剛の特性を有し、前記X−Y平面内のY方向に沿
って配置されることにより、自身の両端に接続された部
材間のX方向における相対変位のみを許容する複数の第
1弾性ヒンジと、Y方向に対してのみ柔で、X方向及び
Z方向に対して剛の特性を有し、前記X−Y平面内のX
方向に沿って配置されることにより、自身の両端に接続
された部材間のY方向における相対変位のみを許容する
複数の第2弾性ヒンジと、前記移動テーブルに対して固
定可能とされる移動ベース、前記固定テーブルに対して
固定可能とされると共に、前記移動ベースと同一のX−
Y平面を含むように配置される固定ベース、及び該固定
ベース及び移動ベースとの間において前記同一のX−Y
平面を含むように配設される中間ベースと、を備えると
共に、前記移動ベースが固定ベースに対して前記X−Y
平面内において微少変位可能で且つZ方向については所
定の位置に保持される態様となるように、該固定ベー
ス、中間ベース、及び移動ベースが、前記第1,第2弾
性ヒンジを組み合わせによって連結されるようにするこ
とが好ましい。
【0033】このX−Yガイド機構は、弾性部材として
「弾性ヒンジ」を備えた構成を採用した。
【0034】弾性ヒンジ自体の基本的な構造は公知であ
り、一般に特定の一方向においてのみ柔で他の方向にお
いて剛なる特性を有し、自身の両端に接続された部材間
の前記柔の方向における相対変位のみを許容する機能を
有する。従って、今、例えばX方向に対してのみ柔で、
Y方向及びZ方向に対して剛の特性を有し、前記X−Y
平面内のY方向に沿って配置されることにより、自身の
両端に接続された部材間のX方向における相対変位のみ
を許容する第1弾性ヒンジを考えた場合、該第1弾性ヒ
ンジの弾性変形により、可動部材を固定部材に対しX方
向に相対移動させることが出来る。その一方で、この第
1弾性ヒンジはY方向の相対移動は殆ど許容しない。つ
まり、可動部材をX方向に「案内」することができるよ
うになる。
【0035】全く同様に、Y方向に対してのみ柔で、X
方向及びZ方向に対して剛の特性を有し、前記X−Y平
面内のX方向に沿って配置されることにより、自身の両
端に接続された部材間のY方向における相対変位のみを
許容する第2弾性ヒンジ(配置方向が異なるのみで具体
的な構造は第1弾性ヒンジと同じものを採用できる)を
考えた場合、この第2弾性ヒンジによって可動部材をY
方向に「案内」することができるようになる。
【0036】ただし、固定ベースと移動ベースとを単純
に第1、第2弾性ヒンジを介して連結したのでは、せっ
かくの個々の「案内」機能が干渉してしまい、X方向と
Y方向の円滑な駆動が現実には非常に困難になってしま
うため、当然両方向の固有振動数を一致させることもで
きなくなってしまう。そこで、本発明者は、「中間部
材」を固定ベースと移動ベースとの間に介在させる構造
を発案し、この不具合を解消した。
【0037】X−Y平面の固定ベースと移動ベースとの
間に中間部材を介在させた上で、3者を第1、第2弾性
ヒンジを介して連結すると、該中間部材が第1、第2弾
性ヒンジの剛とされた方向に対して固定状態を維持する
ようになるため、固定ベースに対して移動ベースがX方
向、Y方向の双方向に独立して「案内」されて移動する
ことが出来るようになる。従って、この構造のX−Yガ
イド機構を、固定テーブルと移動テーブルの間に配置す
れば、移動テーブルが固定テーブルに対してX−Y平面
内で案内される。
【0038】このX−Yガイド機構は、X方向に移動テ
ーブルが移動する際の剛性(弾性係数)が主に第1弾性
ヒンジ側によって決定され、Y方向に移動テーブルが移
動する際の剛性(弾性係数)が主に第2弾性ヒンジによ
って決定される。つまり、X方向とY方向の剛性が独立
していることから各方向の剛性設定が容易となり、それ
に関連して、各方向の固有振動数を容易に設定すること
が出来る。つまり、X方向とY方向の固有振動数を容易
且つ高精度に一致させることが出来るようになる。
【0039】ところで、固有振動数は、剛性以外にも振
動部分(可動部分)の質量に大きく影響される。従っ
て、X方向の振動部分質量とY方向の振動部分質量とが
異なる場合には、その差を考慮して各方向の剛性を設定
しなければならない。
【0040】上記のX−Yガイド機構は、従来と比較し
て各方向の可動部質量の差を大幅に低減させることが出
来る構造であるので、各方向の剛性を独立して設定(設
計)できるという特徴と相まって、各方向の固有振動数
を高精度に一致させることが出来るようになる。なお、
バックラッシュ、滑り、転がり等が本質的に存在しない
ため、極めて応答性が良く且つ安定した制御も可能にな
る。
【0041】又、例えばボールネジやベアリング等を介
在させて微小変位をガイドしようとすると、このボール
ネジ等における局所部分(特定部分)に集中して圧力が
作用して寿命が低下するという問題があった。しかし、
弾性ヒンジによるガイド機構によれば、転動疲労等が構
造上生じないため、長時間に亘って安定した制御特性、
即ち安定した円軌道案内機能を発揮できるようになる。
なお、上記の中間部材や第1、第2弾性ヒンジの数・形
状等は特に限定されない。これは、必要に応じて適宜配
置されてよい。
【0042】なお、以上に示したX−Yステージ装置に
おいては、前記駆動装置として、X方向駆動用のリニア
モータと、Y方向駆動用のリニアモータと、を備えるよ
うにすることが好ましく、又更に、X方向及びY方向に
一致されている前記固有振動数の値をT、前記X方向及
びY方向駆動用リニアモータが前記移動テーブルを円軌
跡運動させる場合の周波数をf、とした場合に、√(T
2−7500)<f<√(T2+7500)の関係が成立
するように設定することが好ましい。
【0043】又、このようなX−Yステージ装置を製造
する際には、一般的に、その使用目的に適した移動テー
ブルの目標運動周波数fが客先から要求・設定され、そ
れに対応させて設計・製造する事が多い。
【0044】その場合には、(固有振動が生じるよう
に)移動テーブルが弾性変形作用を伴うX−Yガイド機
構によって案内される構成とすると共に、この移動テー
ブルがX方向及びY方向に移動する際のX方向の固有振
動数とY方向の固有振動数とを一致させ、更に、駆動装
置によって前記移動テーブルを円軌跡運動させる際の目
標となる運動周波数fに対して、一致された固有振動数
の値Tを、√(f2−7500)<T<√(f2+750
0)の範囲内に設定するように製造すればよい。
【0045】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明の
実施の形態の例について詳細に説明する。
【0046】図1及び図2に、本発明の実施形態に係る
X−Yステージ装置15の全体構成を示す。このX−Y
ステージ装置15は、X−Y平面内で移動可能な移動テ
ーブル2を備えており、この移動テーブル2上に設置さ
れる部材(図示省略)をX−Y平面内で位置決め可能と
なっている。
【0047】X−Yステージ装置15は、更に、移動テ
ーブル2(移動ベース2A)に対してZ軸方向の所定の
隙間Sを空けて平行に配置される固定テーブル1と、こ
の固定テーブル1及び移動テーブル2の間に配置される
X−Yガイド機構49とを備える。
【0048】移動テーブル2は、自身の中心に開口が形
成され、X−Yガイド機構49にボルトによって固定・
配設される搭載テーブル82と、搭載テーブル82の開
口を覆うように設置される搭載プレート84(2点鎖線
参照)と、を備える。従って、この搭載プレート84と
搭載テーブル82によって移動テーブル2が構成され
る。なお、搭載テーブル82の開口は、X−Yガイド機
構49を固定テーブル1に固定する際に、ボルトを挿入
し、締めるための空間を確保するものである。
【0049】固定テーブル1及び前記移動テーブル2に
は、移動テーブル2をY軸方向に相対移動させることが
可能なY軸方向駆動用リニアモータ3と、移動テーブル
2をX軸方向に相対移動させることが可能なX軸方向駆
動用リニアモータ7と、が設置されている。
【0050】各リニアモータ3、7は、各々、自身の駆
動方向(推力発生方向)に直列的に2つの駆動ユニット
が配置されて対となって機能する。例えば、X軸方向駆
動用リニアモータ7は、移動テーブル2のX軸方向両端
側に配置される2つの駆動ユニット7A、7Bを備えて
おり、これらの駆動ユニット7A、7Bがセットになっ
てX軸方向の推力を発生するように機能する。
【0051】詳細には図7に拡大して示されるように、
X軸方向駆動用リニアモータ7(他のリニアモータも同
様)の駆動ユニット7Aは、固定テーブル1側に固定さ
れて固定子として機能する磁石ユニット28と、搭載テ
ーブル82側に固定(内蔵)されて可動子として機能す
るコイル8Aと、を備える。
【0052】磁石ユニット28は、コイル8Aに対して
Z軸方向に磁界Gが生じるように配置される永久磁石2
1A〜21Dと、この永久磁石21A〜21Dを支持す
る2つのヨーク20A、20Bと、このヨーク20A、
20Bを所定の間隔を維持した状態で保持するホルダ2
2と、を備えており、一方のヨーク20Bが固定テーブ
ル1に固定されることで、磁石ユニット28全体が固定
されるようになっている。一方、コイル8Aは、上記Z
軸方向の磁界G中をY軸方向に電流が流れるように配置
されており(図1参照)、その結果、該コイル8AがX
軸方向の推進力32を受けるようになっている。
【0053】なお、この実施形態では磁石ユニット28
が固定子、コイル8Aが可動子として機能する場合に限
って示したが、勿論これらを反対に設置して、磁石ユニ
ット28を可動子、コイル8Aを固定子として機能させ
るようにしてもよい。又、一対の駆動ユニット7A、7
Bを配置する場合に限定されず、単一の駆動ユニットで
あっても構わない。
【0054】次にX−Yガイド機構49について詳細に
説明する。
【0055】図3に拡大して示されるように、このX−
Yガイド機構49は、方形リング状に構成されて、移動
テーブル2にボルトによって連結される移動ベース2B
と、固定テーブル1にボルトによって連結されると共
に、移動ベース2Bと同一のX−Y平面を含むように配
置されるプレート状の固定ベース1Bと、この固定ベー
ス1B及び移動ベース2Bとの間における同一のX−Y
平面内を含むようにして、両者との間に弾性ヒンジ(詳
細は後述)を介して配設される中間ベース50と、を備
える。
【0056】中間ベース50は、X軸方向に延在する2
本のX軸方向延在部50A、50A、及びY軸方向に延
在する2本のY軸方向延在部50B、50Bから構成さ
れており、全体として、X−Y平面内において略方形の
リング状に構成されている。なお、幾つかのX軸方向又
はY軸方向延在部50A、50Bは部分的に屈曲されて
おり、例えばセンサ等の他の機材との干渉が防止されて
いる。
【0057】固定ベース1Bと中間ベース50との間に
は、X方向の変形を許容する第1弾性ヒンジ54が配置
されている。具体的に、この第1弾性ヒンジ54は、固
定ベース1Bと2本のX軸方向延在部50Aの「各々
の」間に配置され、一方のX軸方向延在部50Aと固定
ベース1Bとの間に間隔LX1を空けて2本ずつ、計4
本の第1弾性ヒンジ54が並列配置される。他方のX軸
方向延在部50Aと固定ベース1Bとの間も同様であ
る。
【0058】中間ベース50と移動ベース2B(移動テ
ーブル2)の間には、Y方向の変位を許容する第2弾性
ヒンジ56が配置されている。具体的に、この第2弾性
ヒンジ56は、固定ベース1Bと2本のY軸方向延在部
50Aの「各々の」間に配置され、つまり、一方のY軸
方向延在部50Bと固定ベース1Bとの間に間隔LY1
を空けて2本ずつ、計4本の第2弾性ヒンジ56が並列
配設される。他方のY軸方向延在部50Bと固定ベース
1Bとの間も全く同様である。
【0059】従って、このX−Yガイド機構49は入れ
子状になっており、全体的には線対称に近い構造となっ
ている。又、中間ベース50は、各弾性ヒンジ54、5
6と連結される以外は、固定ベース1Bと移動ベース2
Bと非接触の状態を保っている。
【0060】X方向の変形を許容する第1弾性ヒンジ5
4は、X方向に対してのみ柔で、Y方向及びZ方向に対
して剛の特性を有し、X−Y平面内のY方向に沿って配
置されることにより、自身の両端に接続された部材間の
X方向における相対変位のみを許容する。又、Y方向の
変形を許容する第2弾性ヒンジ56は、Y方向に対して
のみ柔で、X方向及びZ方向に対して剛の特性を有し、
X−Y平面内のX方向に沿って配置されることにより、
自身の両端に接続された部材間のY方向における相対変
位のみを許容する。
【0061】次に、X方向の移動を許容する第1弾性ヒ
ンジ54の構造について説明する。なお、多少の大きさ
等の相違はあるものの、長手方向がX方向とY方向で異
なる以外には、第1弾性ヒンジと第2弾性ヒンジの構造
は殆ど同じであるので、第2弾性ヒンジ56の構造等の
説明は省略する。
【0062】第1弾性ヒンジ54は、図5の斜視図に示
すように、2つの部材間(固定ベース1Bと中間ベース
50)との間をつなぐブリッジ部材70によって構成さ
れる。このブリッジ部材70の外周面における、長さ方
向に離間した2箇所にはノッチ80が形成されており、
このノッチ80から弾性曲げ変形容易な減肉部90が構
成される。この減肉部90の曲げ変形により、2つの部
材間の相対変位を許容できるように構成したものであ
る。
【0063】この場合、ノッチ80は、方形断面のブリ
ッジ部材70の曲げ変形させようとする方向(第1弾性
ヒンジ54の場合はX方向、第2弾性ヒンジ56の場合
はY方向)に面する2つの外側面に、対称形状の半円形
に形成されている。これは、局部的な減肉化を図り(つ
まり減肉部90を作り出して)、最小断面積部を曲がり
点として、容易に曲げ変形できるようするためである。
【0064】図6は第1弾性ヒンジ54の最小断面積部
の断面形状を示している。
【0065】この最小断面積部の断面Sは、ブリッジ部
材70の肉厚に相当する縦方向(Z方向)の寸法aに対
して、横方向(X方向)の寸法bが短縮された矩形断面
をなしており、それにより、減肉部90は、縦方向(Z
方向)にはほとんど曲がらないものの、横方向(X方
向)には曲がり易い特性を得ている。又、ブリッジ部材
70の長手方向(Y方向)は、自身が緊張棒として作用
するので、2つの部材間のY方向の移動は許容していな
い。
【0066】次に第1弾性ヒンジ54、固定ベース1B
及び中間ベース50の相互作用を説明する。
【0067】一対の第1弾性ヒンジ54、54は、図4
(A)に拡大して示されるように、自身両端が、固定ベ
ース1Bと中間ベース50とによって固定支持されてい
る。図4(B)に示されるように、固定ベース1Bに対
して中間ベース50がX軸方向(図の下方向)に移動し
た場合には、第1弾性ヒンジ54の両端側の各減肉部9
0が他の部分に優先して弾性変形するので、その相対移
動に追従することができる。その結果、第1弾性ヒンジ
54によって中間ベース50がX軸方向に直線的に案内
される。
【0068】特に図示しないが、第2弾性ヒンジ56に
おいてもほぼ同様な構造となっている。従って、第2弾
性ヒンジ56は、中間ベース50に対して移動ベース2
AをY軸方向に案内するようになっている。
【0069】なお、いずれの場合も、第1、第2弾性ヒ
ンジ54,56は、Z方向(X−Y平面と垂直な方向)
については「剛体」として機能する。従って、第1弾性
ヒンジ54を介して中間ベース50が固定ベース1Bに
片持ち状態で支持され、且つ、第2弾性ヒンジ56を介
して移動ベース2Bがこの中間ベース50に片持ち状態
で支持されるため、移動ベース2Bは、何らのZ方向の
支持手段がなくても、X−Y平面内に保持されることに
なる。
【0070】この結果、以上に説明したX−Yガイド機
構49は、このように中間ベース50が第1弾性ヒンジ
54によって固定ベース1Bに対してX軸方向に変位可
能に支持され、且つ、移動ベース2Bが第2弾性ヒンジ
56によって中間ベース50に対してY軸方向に変位可
能に支持されていることにより、全体としては、移動ベ
ース2Bが、固定ベース1Bに対してX軸向、Y軸方向
の双方の方向に独立して(互いに干渉し合うことなく)
変位可能とされている。つまり、X軸方向及びY軸方向
のガイド機能を有することになる。
【0071】以上のことから、固定テーブル1に上記固
定ベース1Bを、移動テーブル2に上記移動ベース2B
を固定するようにして、X−Yガイド機構49を設置す
れば、移動テーブル2が固定テーブルに対してX軸方
向、Y軸方向の双方向に直線的に「案内」されるように
なり、バックラッシュ、滑り、転がり等が本質的に存在
しない極めて安定したガイド特性が得られる。
【0072】なお、リング状の移動ベース2Bにおける
内周側には、X軸計測基準面23及びY軸計測基準面2
4が形成されており、又、各基準面23、24に対向す
るようにして、固定テーブル1側に、X軸変位センサ1
4及びY軸変位センサ15が設置されている。これらの
変位センサ14、15は、移動テーブル2の固定テーブ
ル1に対するX軸方向変位量及びY軸方向変位量を計測
する。
【0073】次に、このX−Yステージ装置15の固有
振動数等について説明する。
【0074】移動テーブル2を案内するX−Yガイド機
構49は、既に詳細に説明したように、弾性部材である
第1,第2弾性ヒンジ54、56を備えている。従っ
て、移動テーブル2が中立位置から変位すると、各弾性
ヒンジ54、56(X−Yガイド機構49)が移動テー
ブル2に対して、X方向の復元力Fsx及びY方向の復
元力Fsyを付勢するようになっている。その結果、各
駆動用リニアモータ3、7の推力を無視した状態で、移
動テーブル2はX方向及びY方向にそれぞれ固有の振動
数px、pyを有している。
【0075】この各方向の固有振動数px、py以下の
ように求められる。
【0076】上記復元力Fsx、Fsyは、移動テーブ
ル2の変位量x、yによって比例的に変化するので、復
元力をこの変位x,yによって除した値(Fsx/x、
Fsy/y)は、X方向及びY方向の剛性(弾性係数)
kx,kyとなっている。
【0077】これらの各方向の剛性kx,kyと、移動
テーブル2がX方向に移動する際の可動部質量Mx、Y
方向に移動する際の可動部質量Myから、固有振動数p
x,pyは下記の式によって求められる。
【0078】 px=(1/2π)・√(kx/Mx){Hz} py=(1/2π)・√(ky/My){Hz}
【0079】ところで、Y方向の可動部質量Myは、こ
こでは、移動テーブル2(内蔵されている各コイル4
A、4B、8A、8Bを含む)、及び移動ベース2Bの
各質量を合計したものである。又、X方向の可動部質量
Mxは、Y方向の可動部質量Myに、更に、計8本の第
2弾性ヒンジ56、及び中間ベース50の各質量を加え
たものである。これは、図3に示したように、移動ベー
ス2BがX方向に移動する際には、第2弾性ヒンジ56
と中間ベース50も一緒に移動するからである。なお、
移動テーブル2に載置される部材質量が既にわかってい
る場合には、各可動部質量Mx,Myにその質量を加え
ても構わない。
【0080】X方向の可動部質量MxとY方向の可動部
質量Myは異なる値となるが(Mx>My)、このX−
Yステージ装置15では、第1、第2弾性ヒンジ54、
56の寸法を適宜設定することによって、各方向の剛性
kx,kyを調整し(具体的には、kx>kyとし
て)、上記式におけるX方向の固有振動数pxとY方向
の固有振動数pyとが一致するように設定されている。
このようにすると、X方向とY方向の振動周期が一致す
るので、移動テーブル2が自由振動する際に(減衰を無
視すれば)常に一定の軌跡が描かれるようになる。
【0081】なお、「完全に」一致させることは設計上
現実的ではなく、本実施形態では、pxに対してpyが
0.9px<py<1.1pxの範囲に収まれば一致の
概念に含まれるものとする。
【0082】更にX−Yステージ装置15においては、
T:X方向及びY方向に一致されている前記固有振動数
の値(=px,py){Hz}、f:X方向及びY方向
駆動用リニアモータ3、7が移動テーブル2を円軌跡運
動させる場合の周波数{Hz}、とした場合に√(T2
−7500)<f<√(T2+7500)(より好まし
くは√(T2−5000)<f<√(T2+5000)と
する)の関係が成立するように設定されている。なお、
円軌跡運動の周波数fとは、単位時間当たりの運動回転
数と同義である。
【0083】具体的には、本実施形態では、固有振動数
Tが120Hz、リニアモータ3、7によって移動テー
ブル2を円軌跡運動させる際の周波数fが100Hzに
設定されている。なお、好ましくは、固有振動数Tを8
0Hz<T<120Hzに設定し、その値Tに対して上
記範囲内で運動周波数fを設定すればよい。
【0084】特に、このように周波数fを90<f<1
10Hzの範囲内に設定することを意図する場合、0.
5T<f<1.5Tの関係が満たされるように、周波数
f及び固有振動数Tを設定すればよい。より望ましく
は、0.8T<f<1.2Tとする。
【0085】なお、一致された固有振動数Tによって各
方向の剛性kx,kyを表現すると、上記の式から、k
x=Mx(2πT)2、ky=My(2πT)2となる。
【0086】以上に示したX−Yステージ装置15にお
ける移動テーブル2の変位制御方法について、制御系の
構成等を含めて図8を参照して説明する。
【0087】X−Yステージ装置15における移動テー
ブル2には、既に説明したように、合計4つのコイル4
A、4B、8A、8Bが内蔵されている。なお、コイル
対4A、4BによってY軸方向の推進力が生じ、コイル
対8A、8BによってX軸方向の推進力が生じるように
なっており、各コイル対は一体(セット)として制御さ
れる。
【0088】制御系は、Y軸変位センサ15の検出値が
入力される減算器44と、X軸変位センサ14の検出値
が入力される減算器45と、を備える。各検出値が入力
された上記減算器44、45には、更に、位置指令出力
手段58からの各種指令値が入力される。この位置指令
出力手段58は、移動テーブル2のX軸方向位値を設定
して減算器45に出力し、Y軸方向位置を設定して減算
器44に出力するものである。減算器44では、そのY
軸方向指令位置とY軸変位センサ14の検出値との偏差
を演算してその結果をY軸位置制御補償器47に対して
出力する。減算器45には、X軸方向指令位置とX軸変
位センサ15の検出値との偏差を演算し、その結果をX
軸位置制御補償器48に対して出力する。
【0089】各位置制御補償器47、48では、入力さ
れた各値から各リニアモータの操作量を算出する。つま
り、Y軸位置制御補償器47においては、Y軸方向駆動
用リニアモータ3に対してY軸方向操作量を出力する。
同様に、X軸位置制御補償器48においては、X軸方向
駆動用リニアモータ7に対してX軸方向操作量を出力す
る。
【0090】各コイル対(4A、4B)(8A、8B)
の直前にはそれぞれ電流アンプ54、56が接続されて
いる。従って、X軸方向操作量及びY軸方向操作量に基
づいて、各電流アンプ54、56が各コイル対(4A、
4B)(8A、8B)に所定の電流を流す。この結果、
各コイル対(4A、4B)(8A、8B)では所望の推
力が発生するので、それによって移動テーブル2がX−
Y方向に移動されるようになっている。
【0091】図9には、X−Yステージ装置15の制御
システムのブロック線図が示されている。
【0092】rx、ryは、移動テーブル2を真円軌跡
運動させる際の目標値であり、上記位置指令出力手段5
8から出力されるものである。従って、半径rの真円軌
道、周波数f、との条件で円軌跡運動させたい場合を考
えると、目標値はrx=r・sin(2πft)、ry
=r・cos(2πft)となる。実際に計測される移
動テーブル2の変位量はx,yである。
【0093】X軸、Y軸位置制御補償器47、48は目
標値rx、ryと実測値x、yとの差に依存して制御特
性Kx(s)、Ky(s)で位置補償演算を行う。この
各位置制御補償器47、48を経て出力されたX方向及
びY方向操作量は、各方向の電流アンプ54、56と駆
動用リニアモータ3、7から構成されるX方向及びY方
向駆動系90、92に入力される。この各方向の駆動系
90、92におけるX方向及びY方向の電流アンプ・モ
ータ係数は共にkthrであり、この各駆動系90、9
2を経ることで、駆動用リニアモータ3、7が所定の推
力Fmx,Fmyを発生する。その一方で、既に所定の
変位量x,yとなっている状態の移動テーブル2は、X
−Yガイド機構49からの復元力Fsx、Fsyを受け
ているので、実際に移動テーブル2に作用する外力F
x、Fyはこれらの合力となる。
【0094】なお、上記復元力Fsx、Fsyは、既に
説明したように、剛性kx、kyから以下のようになっ
ている。
【0095】Fsx=−kx・x Fsy=−ky・y
【0096】上記外力Fx、Fyによる移動テーブル2
の加速度は、各方向の可動部質量Mx,Myから、Fx
/Mx、Fy/Myとなる。移動テーブル2には摩擦が
存在しないため、これらの加速度を2階積分したものが
変位x、yとなる。この関係をラプラス変換子sを用い
て表わすと以下のようになる。
【0097】x=Fx/(Mx・s2) y=Fy/(My・s2
【0098】ところで、上記目標運動の周波数fが移動
テーブル2の固有振動数Tと一致するように設定されて
おり、目標真円半径rと一致して実際に円軌跡運動して
いる場合(つまり、x=r・sin(2πTt)、y=
r・cos(2πTt)で運動している場合)を考える
と、上記復元力Fsx、Fsyは下記のようになる。
【0099】 Fsx=−kx・x=−kx・r・sin(2πTt) =−Mx(2πT)2・r・sin(2πTt) Fsy=−ky・y=−ky・r・cos(2πTt) =−Mx(2πT)2・r・cos(2πTt)
【0100】これは、既に示したように各方向の剛性k
x、kyは、kx=Mx(2πT) 2、ky=My(2
πT)2で表現されるからである。
【0101】この復元力は、勿論、移動テーブル2が周
波数T、真円軌道半径rで円軌跡運動する際に必要とな
る外力に他ならない。このため、駆動系90、92によ
って発生される(要求される)推力Fmx,Fmyは零
となる。つまり、全く「駆動」する必要がない。
【0102】次に、目標周波数fと固有振動数Tが異な
る場合(f≠T)を考える。この周期fで移動テーブル
2が運動する場合の復元力は下記のようになる。
【0103】 Fsx=−kx・x=−kx・r・sin(2πft) =−Mx(2πT)2・r・sin(2πft) Fsy=−ky・y=−ky・r・cos(2πft) =−Mx(2πT)2・r・cos(2πft)
【0104】一方、周波数f、真円軌道の半径rで実際
に移動テーブル2が運動する際に「必要な」外力Fx、
Fyは以下のように示される。
【0105】 Fx=−Mx(2πf)2・r・sin(2πft) Fy=−Mx(2πf)2・r・cos(2πft)
【0106】従って、上記復元力Fsx,Fsyと上記
外力Fx,Fyとの差、つまり、復元力Fsx,Fsy
に対して推力で補わなければならない分が、駆動系9
0、92に要求される推力Fmx,Fmyである。
【0107】具体的には、 Fmx=−Mx{(2πT)2−(2πf)2}・r・s
in(2πft) Fmy=−Mx{(2πT)2−(2πf)2}・r・c
os(2πft) となる。
【0108】従って、目標周波数fと、固有振動数Tが
近づけば近づくほど、駆動系90、92に要求される推
力は少なくなる。このことは、各駆動リニアモータ3、
7によって消費される電力を、従来よりも大幅に減少さ
せることが出来ることを意味する。本発明者の解析によ
ると、目標周波数fを100Hzに固定して固有振動数
Tを変化させた場合に実効電力が図10に示されるよう
に変化することがわかった。
【0109】なお、解析時の各設定値は、可動部質量M
x、My=1.2(kg)、各リニアモータ3、7のコ
イル抵抗R=18(Ω)、真円半径r=50(μm)、
モータ推力定数k=30(N/A)である。
【0110】この結果、目標周波数fと固有振動数Tと
の関係が−7500<f2−T2<7500、あるいは
0.5f<T<1.5fとなる範囲において、特に電力
消費量を激減させることが出来る。又、更に好ましく
は、0.8f<T<1.2fとする。もちろん、Tとf
とは対等の関係にあり、これらを入れかえた0.5T<
f<1.5Tとなる範囲においても電力消費量を激減さ
せることができる。
【0111】実際の値としては既に述べたように、まず
固有振動数Tが80<T<120{HZ}の範囲内にあ
る値に設定し、その値Tに対して、上記関係を満たすよ
うに目標周波数fを設定することが好ましい。
【0112】このX−Yステージ装置15では、固有振
動数が積極的に利用されている。具体的には、弾性ヒン
ジ54、56の弾性変形を伴うX−Yガイド機構49を
採用し、そのX方向とY方向の固有振動数を値Tで一致
させ、その固有振動数Tに近い所定範囲の運動周波数に
よって、移動テーブル2を駆動させるようにした。
【0113】このように駆動すれば、移動テーブル2が
自らの固有振動数Tに近い範囲で運動するので、各リニ
アモータ3、7側の推力(駆動力)と弾性ヒンジ54、
56による復元力が同方向に合成される。その結果、復
元力が移動テーブル2を円軌跡運動させる分、リニアモ
ータ3、7側に要求さる推力が小さくなり消費エネルギ
が激減される。
【0114】又、X方向及びY方向に固有振動数が一致
されているので、移動テーブル2は自ら正確な円軌道
(真円、楕円の双方を含む)を描いた運動(振動)が可
能となっている。具体的に説明すると、従来は(そもそ
も、固有振動数を利用する思想が存在しなかったことも
あり)X方向とY方向の固有振動数はむしろ相互に影響
し合わないように敢えて一致させず、移動テーブル2を
円軌跡運動させる場合には、駆動装置の強制力によって
のみ駆動していた。しかしながら、X方向とY方向の固
有振動数の相違から、どうしても軌道に「うねり」が発
生して安定した運動軌跡を得ることが出来ないという問
題があった。
【0115】しかし、このX−Yステージ装置15で
は、移動テーブル2に円軌跡を一度描かせれば、その後
はその軌跡を「自ら」維持するように振動する。従っ
て、複雑な(或いは強制的な)制御をしなくても、移動
テーブル2の運動軌跡のズレや、周波数のズレ分を修正
可能な程度に制御(駆動)すれば、常に安定した周波数
で、且つ極めて安定した軌跡で運動させることが出来
る。
【0116】又、駆動装置として非接触のリニアモータ
3、7が採用されているので、自らの推力が零、即ち電
流OFFの際に移動テーブル2に何等外的な影響を付与
しない。その結果、移動テーブル2が自由振動する事が
出来るようになる。従って、リニアモータ3、7によっ
て、推力のON・OFFや大小等によって断続的に移動
テーブル2を駆動することが可能となるので、消費電力
をより大幅に低減させることが出来る。
【0117】なお、リニアモータ3、7は自身の振動が
極めて小さいという特徴がある。移動テーブル2を高い
周波数で運動させる場合であっても、安定したガイド特
性であるX−Yガイド機構49との相乗作用によって外
乱振動が殆ど発生しないので、極めて安定した運動が可
能となり、制御の応答性を向上させることが出来る。
【0118】以上に示したX−Yステージ装置15や、
その移動テーブル2の変位制御方法は、あらゆる産業分
野で利用することが出来るものである。例えば、移動テ
ーブルに載置される部材を加工する為に適用した例を第
2実施形態として以下説明する。
【0119】図11に、本発明に第2実施形態に係る部
材加工方法が適用される放電加工装置300を部分的に
示す。
【0120】この放電加工装置300は、加工電極38
2と、工作液が貯留される工作液層384と、工作液内
に浸されるようにして工作液層384に載置される加工
部材386と、該工作液層384をX−Y平面内で移動
可能に支持するX−Yステージ装置315と、該X−Y
ステージ装置315を、更にX−Y平面内で移動可能に
支持している大型X−Y駆動装置388(2点鎖線参
照)と、を備える。なお、X−Yステージ装置315
は、第1実施形態で示したX−Yステージ装置15と同
様であるので、その構成・作用等の詳細な説明は省略す
る。
【0121】放電加工は、加工部材386と加工電極3
82との間に火花放電を発生させて、その放電に伴って
加工部材386から微量の切り屑を取り去って穴をあけ
るものである。従って、その穴は加工電極382の先端
の断面形状と同等形状となるのが一般的である。
【0122】放電加工装置300におけるX−Yステー
ジ装置315によって、工作液層384がX−Y平面内
で案内される。又、(移動テーブル2を含む)工作液層
384がX方向及びY方向に移動する際のX方向の固有
振動数とY方向の固有振動数とが値Tで一致されてお
り、X方向及びY方向駆動用リニアモータ303、30
7によって、固有振動数Tに対して運動周波数fが√
(T2−7500)<f<√(T2+7500)となるよ
うに、工作液層384が半径rの真円を描くように運動
される。なお、加工電極382は、X−Y平面内で静止
している。
【0123】このようにすると、図12に示されるよう
に、工作液層384内に載置される加工部材386も同
様に円軌跡運動するので、この真円Cの半径r以上、具
体的にはこの円軌跡Cに沿って加工電極382が移動し
た場合と同等の大きさとなる加工穴388が形成され
る。なお、図12では便宜上、「実際には移動してい
る」加工部材386を基準座標として、加工電極382
が相対的に移動しているように示してある。
【0124】このようにすると、加工部材386側は安
定した円軌跡Cを描いて運動するので、精密な大きさの
加工穴388を形成することができる。従って、その円
軌跡Cを真円にすれば真円の穴が、楕円にすれば楕円の
穴が加工される。なお、加工穴388は貫通するものに
限定されず、途中まで加工された凹状の穴であってもよ
い。
【0125】ところで、放電加工装置300は、X−Y
ステージ装置325自体が、更に別の大型X−Y駆動装
置388に設置されているので、X−Yステージ装置3
15全体を所定の軌跡(これは円に限定されない)を描
くように移動させることができる。
【0126】大型X−Y駆動装置388によって、加工
部材386を線Lにそって移動させた場合の加工状態を
図13に示す。このようにすると、上記加工穴388の
移動軌跡となる加工溝389を形成することが出来る。
勿論この場合には、円軌跡Cの大きさ(半径r)を変化
させることによって、加工溝388の幅を変化させるこ
とも出来る。
【0127】なお、ここでは第1、第2実施形態を示し
たが、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、他の実
施形態も勿論存在しする。つまり、本発明の実施形態
は、今回示した第1、第2実施形態に限定されるもので
はない。
【0128】又、明細書全文に表れてくる部材の形容
(機能・形状)はあくまで例示であって、これらの記載
に限定されるものではない。
【0129】
【発明の効果】本発明によれば、X−Yステージ装置に
おけり移動テーブルを、極めて安定した軌跡で円運動さ
せることが出来るようになる。又、駆動装置側の消費エ
ネルギーを激減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX軸−Y軸ステー
ジ装置を示す斜視図
【図2】図1におけるII−II矢視断面図
【図3】図2におけるIII−III矢視断面図
【図4】図3におけるIV部を拡大して示す部分断面図
【図5】同X−Yステージ装置における弾性ヒンジの構
造を拡大して示す斜視図
【図6】図5のVI−VI矢視断面図
【図7】図3におけるVII部を拡大して示す部分断面図
【図8】同X−Yステージ装置の制御系を示す概念図
【図9】同X−Yステージ装置における制御システムの
ブロック線図
【図10】同X−Yステージ装置の電力消費量を解析し
た結果を示す線図
【図11】本発明の第2実施形態に係る部材加工方法が
適用される放電加工機をしめす部分斜視図
【図12】同放電加工機によって加工された加工部材を
示す拡大図
【図13】同放電加工機によって加工された加工部材を
示す拡大図
【図14】従来のX軸−Y軸ステージ装置を示す斜視図
【符号の説明】
1…固定基台 2…移動テーブル 3…Y軸方向駆動用リニアモータ 7…X軸方向駆動用リニアモータ 15、315…X軸−Y軸ステージ装置 50…中間部材 54…第1弾性ヒンジ 56…第2弾性ヒンジ 300…放電加工装置
フロントページの続き (72)発明者 中森 靖仁 東京都田無市谷戸町二丁目1番1号 住友 重機械工業株式会社田無製造所内 (72)発明者 杉峰 正信 神奈川県平塚市夕陽ケ丘63番30号 住友重 機械工業株式会社平塚事業所内 Fターム(参考) 2F078 CA03 CA08 CB02 CB04 CB09 CB12 CC02 CC07 CC11 3C048 BC02 DD06 DD26 EE10 3C059 AA01 AB01 CF01 CH01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X−Y平面内で案内される移動テーブルを
    備え、駆動装置によって該移動テーブルを駆動すること
    により、該移動テーブルに載置される部材をX−Y平面
    内で変位可能なX−Yステージ装置における、該移動テ
    ーブルの変位制御方法において、 前記移動テーブルを、弾性変形作用を伴うX−Yガイド
    機構によってX−Y平面内で案内すると共に、 該移動テーブルがX方向及びY方向に移動する際のX方
    向の固有振動数とY方向の固有振動数とを一致させ、更
    に前記駆動装置によって、一致された該固有振動数の値
    Tに対して運動周波数fが√(T2−7500)<f<
    √(T2+7500)となるように前記移動テーブルを
    円軌跡運動させることを特徴とする移動テーブルの変位
    制御方法。
  2. 【請求項2】X−Y平面内で案内される移動テーブルを
    備え、駆動装置によって該移動テーブルを駆動すること
    により、該移動テーブルに載置される部材をX−Y平面
    内で変位可能なX−Yステージ装置における、該移動テ
    ーブルの変位制御方法において、 前記移動テーブルを、弾性変形作用を伴うX−Yガイド
    機構によってX−Y平面内で案内すると共に、 該移動テーブルがX方向及びY方向に移動する際のX方
    向の固有振動数とY方向の固有振動数とを一致させ、更
    に前記駆動装置によって、一致された該固有振動数の値
    Tに対して前記運動周波数fが90<f<110(H
    z)且つ0.5T<f<1.5Tとなるように前記移動
    テーブルを円軌跡運動させることを特徴とする移動テー
    ブルの変位制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 前記駆動装置が、自身の固定部又は可動部の一方が前記
    移動テーブルに配置される駆動用リニアモータとされて
    おり、該駆動用リニアモータによって非接触状態で前記
    移動テーブルを円軌跡運動させることを特徴とする移動
    テーブルの変位制御方法。
  4. 【請求項4】X−Yステージ装置における、X−Y平面
    内で移動可能な移動テーブルに載置される部材に対して
    加工穴を形成する部材加工方法において、 前記移動テーブルを、請求項1、2又は3のいずれかに
    記載の変位制御方法によって円軌跡運動させ、放電加工
    によって、該移動テーブルに載置される部材に該円軌跡
    と同等以上の大きさの加工穴を形成することを特徴とす
    る部材加工方法。
  5. 【請求項5】固定テーブルに対してX−Yガイド機構を
    介してX−Y平面内で移動可能な移動テーブルを備え、
    駆動装置によって該移動テーブルを駆動することで、該
    移動テーブルに載置される部材をX−Y平面内で位置決
    め可能なX−Yステージ装置において、 前記X−Yガイド機構が弾性部材を備えることで、該弾
    性部材がX−Y平面内で案内される前記移動テーブルに
    対して復元力を付与するように構成し、更に該移動テー
    ブルがX方向及びY方向に移動する際のX方向の固有振
    動数とY方向の固有振動数とを一致させるようにしたこ
    とを特徴とするX−Yステージ装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、 前記X−Yガイド機構が、 X方向に対してのみ柔で、Y方向及びZ方向に対して剛
    の特性を有し、前記X−Y平面内のY方向に沿って配置
    されることにより、自身の両端に接続された部材間のX
    方向における相対変位のみを許容する複数の第1弾性ヒ
    ンジと、 Y方向に対してのみ柔で、X方向及びZ方向に対して剛
    の特性を有し、前記X−Y平面内のX方向に沿って配置
    されることにより、自身の両端に接続された部材間のY
    方向における相対変位のみを許容する複数の第2弾性ヒ
    ンジと、 前記移動テーブルに対して固定可能とされる移動ベー
    ス、前記固定テーブルに対して固定可能とされると共
    に、前記移動ベースと同一のX−Y平面を含むように配
    置される固定ベース、及び該固定ベース及び移動ベース
    との間において前記同一のX−Y平面を含むように配設
    される中間ベースと、を備えると共に、 前記移動ベースが固定ベースに対して前記X−Y平面内
    において微少変位可能で且つZ方向については所定の位
    置に保持される態様となるように、該固定ベース、中間
    ベース、及び移動ベースが、前記第1,第2弾性ヒンジ
    の組み合わせによって連結されたことを特徴とするX−
    Yステージ装置。
  7. 【請求項7】請求項5又は6において、前記駆動装置と
    して、 前記固定テーブル及び前記移動テーブルに自身の固定部
    及び可動部が配置され、前記移動テーブルを固定テーブ
    ルに対してX方向に相対移動させることが可能なX方向
    駆動用のリニアモータと、 前記固定テーブル及び前記移動テーブルに自身の固定部
    及び可動部が配置され、前記移動テーブルを固定テーブ
    ルに対してY方向に相対移動させることが可能なY方向
    駆動用のリニアモータと、を備えることを特徴とするX
    −Yステージ装置。
  8. 【請求項8】請求項7において、 X方向及びY方向に一致されている前記固有振動数の値
    をT、 前記X方向及びY方向駆動用リニアモータが前記移動テ
    ーブルを円軌跡運動させる場合の周波数をf、とした場
    合に、 √(T2−7500)<f<√(T2+7500) の関係が成立するように設定されていることを特徴とす
    るX−Yステージ装置。
  9. 【請求項9】X−Y平面内で案内される移動テーブルを
    備え、駆動装置によって該移動テーブルを駆動すること
    により、該移動テーブルに載置される部材をX−Y平面
    内で変位可能なX−Yステージ装置の製造方法におい
    て、 前記移動テーブルが弾性変形作用を伴うX−Yガイド機
    構によって案内される構成とすると共に、該移動テーブ
    ルがX方向及びY方向に移動する際のX方向の固有振動
    数とY方向の固有振動数とを一致させ、更に、 前記駆動装置によって前記移動テーブルを円軌跡運動さ
    せる際の目標となる運動周波数fに対して、一致された
    前記固有振動数の値Tを、√(T2−7500)<T<
    √(T2+7500)の範囲内に設定することを特徴と
    するX−Yステージ装置の製造方法。
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