以下、図面を参照しながら、本発明の駆動装置に係る実施例について説明を進める。
(1)情報記録再生装置
初めに、図1から図4を参照して、本発明の駆動装置に係る実施例を備える情報記録再生装置について説明する。尚、ここでは、強誘電体を記録材料として用いる記録媒体30に対して記録動作或いは再生動作を行う強誘電体記録再生装置について説明を進める。
(1−1)構成
先ず、本実施例に係る強誘電体記録再生装置の構成について、図1を参照して説明する。ここに、図1は、本実施例に係る強誘電体記録再生装置の構成を概念的に示すブロック図である。
図1に示すように、強誘電体記録再生装置1は、記録媒体30に近接もしくは接触すると共に、駆動装置(言い換えれば、MEMSアクチュエータ)100に備え付けられたプローブ12と、該プローブ12に対向する位置に配置される記録媒体30とを備える。また、強誘電体記録再生装置1は、プローブ12から印加された信号再生用の高周波信号が戻るリターン電極11と、プローブ12とリターン電極11との間に設けられるインダクタLと、インダクタLとプローブ12の直下の誘電体材料31の表層ないしは内部に形成される、記録情報に対応して分極した部位の容量Csとで決まる共振周波数で発振する発振器13と、誘電体材料31に記録された分極状態を検出するための交番電界を印加するための交流信号発生器16と、誘電体材料31に分極状態を記録する記録信号発生器17と、交流信号発生器16及び記録信号発生器17の出力を切り替えるスイッチ18と、HPF(High Pass Filter)15と、プローブ12の直下の誘電体材料31が有する分極状態に対応した容量で変調されるFM信号を復調する復調器19と、復調された信号からデータを検出する信号検出部20と、復調された信号からトラッキングエラー信号を検出するトラッキングエラー検出部21と、駆動装置100の動作を制御するアクチュエータ駆動回路22等を備えて構成される。
プローブ12はHPF15を介して発振器13と接続され、またHPF15及びスイッチ18を介して交流信号発生器16及び記録信号発生器17と接続される。そして、誘電体材料31に電界を印加する電極として機能する。
尚、プローブ12は、後述する駆動装置100が備えるステージ130上に備え付けられており、記録媒体30の記録面に沿って平面移動することができる。このプローブ12の移動動作は、アクチュエータ駆動回路22の制御の下に行われる。尚、プローブ12の移動動作(言い換えれば、駆動装置100の構成及び動作)については、後に詳述する。
リターン電極11は、プローブ12から誘電体材料31に印加される高周波電界(即ち、発信器13からの共振電界)が戻る電極であって、プローブ12を取り巻くように設けられている。尚、高周波電界が抵抗なくリターン電極11に戻るものであれば、リターン電極11の形状や配置は任意に設定が可能である。
尚、本実施例においては、説明の簡略化のために、図1においては、プローブ12は一つだけ示しているが、実際には、記録速度及び再生速度を向上させるために、複数のプローブ12を備える構成を有していることが好ましい。この場合には、交流信号発生器16は、夫々のプローブ12に対応して複数設けられる。また、信号検出部20において夫々の交流信号発生器16に対応する再生信号を弁別可能なように、信号検出部20を複数備え、且つ夫々の信号検出部20は、夫々の交流信号発生器16より参照信号を取得することで、対応する再生信号を出力するように構成される。
インダクタLは、プローブ12とリターン電極11との間に設けられていて、例えばマイクロストリップラインで形成される。インダクタLと容量Csとを含んで共振回路14が構成される。この共振周波数が例えば1GHz程度を中心とした値になるようにインダクタLのインダクタンスが決定される。
交流信号発生器16は、リターン電極11と電極32との間に存在する誘電体材料31の微小領域に交番電界を印加する。また、複数のプローブ12を用いる強誘電体記録再生装置においては、この周波数を参照信号として同期を取り、プローブ12で検出する信号を弁別する。その周波数は100kHz程度を中心としたものである。
発振器13は、インダクタLと容量Csとで決定される共振周波数で発振する発振器である。その発振周波数は容量Csの変化に対応して変化するものである。従って、記録されているデータに対応した分極状態によって決定される容量Csの交番電界による変化に対応してFM変調が行われる。このFM変調を復調することで、記録媒体30に記録されているデータを読み取ることができる。
尚、後に詳述するように、プローブ12、リターン電極11、発振器13、インダクタL、HPF15及び誘電体材料31中の容量Csから共振回路14が構成され、発信器13において増幅されたFM変調信号が復調器19へ出力される。
記録信号発生器17は、記録用の信号を発生し、記録時にプローブ12に供給される。この信号はデジタル信号に限らずアナログ信号であってもよい。これらの信号として、音声情報、映像情報、コンピュータ用デジタルデータ等、各種の信号が含まれる。また、記録信号に重畳された交流信号は信号再生時の参照信号として各探針の情報を弁別して再生するためである。
スイッチ18は、再生時には、交流信号発生器16からの信号を、一方、記録時には、記録信号発生器17からの信号をプローブ12に供給するようにその出力を選択する。この装置は機械式のリレーや半導体の回路が用いられるが、アナログ信号にはリレーが、デジタル信号には半導体回路で構成するのが好適である。
HPF15は、インダクタ及びコンデンサを含んでなり、交流信号発生器16や記録信号発生器17からの信号が発振器13の発振に干渉しないように信号系統を遮断するためのハイパスフィルタを構成するために用いられていて、その遮断周波数はf=1/2π√{LC}である。ここで、LはHPF15に含まれるインダクタのインダクタンス、CはHPF15に含まれるコンデンサのキャパシタンスとする。交流信号発生既16から出力去れる交流信号の周波数は100KHz程度であり、発振器13の発振周波数は1GHz程度であるので、1次のLCフィルタで分離は十分に行われる。さらに次数の高いフィルタを用いてもよいが素子数が多くなるので装置が大きくなる虞がある。
復調器19は、FM変調信号を復調し、プローブ12がトレースした部位の分極された状態に対応した波形を復元する。記録されているデータがデジタルの「0」と「1」のデータであれば、変調される周波数は2種類であり、その周波数を判別することで容易にデータの再生が行われる。
信号検出部20は、復調器19で復調された信号から記録されたデータを再生する。この信号検出器19として例えばロックインアンプを用い、交流信号発生器16の交番電界の周波数に基づいて同期検波を行うことでデータの再生を行う。尚、他の位相検波手段を用いてもよいことは当然である。
トラッキングエラー検出部21は、復調器19で復調された信号から、装置を制御するためのトラッキングエラー信号を検出する。検出したトラッキングエラー信号がトラッキング機構に入力されて制御がなされる。
続いて、図1に示す誘電体材料を用いた記録媒体30の一例について、図2を参照して説明する。ここに、図2は、本実施例において用いられる記録媒体30の一例を概念的に示す平面図及び断面図である。
図2(a)に示すように、記録媒体30は、例えば矩形の形状を有する。このような記録媒体30の記録面の上を、上述のプローブ12が相対的に移動することにより、記録媒体30にデータが記録され、或いは記録媒体30に記録されたデータが再生される。
また、図2(b)に示すように記録媒体30は、基板33の上に電極32が、また、電極32の上に誘電体材料31が積層されて形成されている。
基板33は例えばSi(シリコン)であり、その強固さと化学的安定性、加工性等において好適な材料である。電極32はプローブ12(或いは、リターン電極11)との間で電界を発生させるためのもので、誘電体材料31に抗電界以上の電界を印加することで分極方向を決定する。データに対応して分極方向を定めることにより記録が行われる。
誘電体材料31は、例えば強誘電体であるLiTaO3等を電極32の上にスパッタリング等の公知の技術によって形成されている。そして、分極の+面と−面が180度のドメインの関係であるLiTaO3のZ面に対して記録が行われる。他の誘電体材料を用いても良いことは当然である。この誘電体材料31は直流のバイアス電圧と同時に加わるデータ記録用の電圧によって、高速で微小な分極を形成する。
(1−2)動作原理
続いて、図3及び図4を参照して、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1の動作原理について説明する。尚、以下の説明では、図1に示した強誘電体記録再生装置1のうち一部の構成要素を抜き出して説明している。
(1−2−1)記録動作
先ず、図3を参照して、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1の記録動作について説明する。ここに、図3は、データの記録動作を概念的に示す断面図である。
図3に示すように、プローブ12と電極32との間に、誘電体材料31の抗電界以上の電界を印加することで、印加電界の方向に対応した方向を有して誘電体材料31は分極する。そして、印加する電圧を制御し、この分極の方向を変えることで所定のデータを記録することができる。これは、誘電体(特に、強誘電体)にその抗電界を超える電界を印加すると分極方向が反転し、且つその分極方向が状態で維持されるという性質を利用したものである。
例えばプローブ12から電極32に向かう電界が印加されたとき、微小領域は下向きの分極Pとなり、電極32からプローブ12に向かう電界が印加されたときは上向きの分極Pとなるとする。これがデータを記録した状態に対応する。駆動装置100の動作によりプローブ12が矢印で示す方向に移動すると、検出電圧は分極Pに対応して、上下に振れた矩形波として出力される。
(1−2−2)再生動作
続いて、図4を参照して、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1の再生動作について説明する。ここに、図4は、データの再生動作を概念的に示す断面図である。
誘電体の非線形誘電率は、誘電体の分極方向に対応して変化する。そして、誘電体の非線形誘電率は、誘電体に電界を印加した時に、誘電体の容量の違いないし容量の変化の違いとして検出することができる。従って、誘電体材料に電界を印加し、そのときの誘電体材料の一定の微小領域における容量Csの違いないし容量Csの変化の違いを検出することにより、誘電体材料の分極の方向として記録されたデータを読み取り、再生することが可能となる。
具体的にはまず、図4に示すように、不図示の交流信号発生器16からの交番電界が電極32及びプローブ12の間に印加される。この交番電界は、誘電体材料31の抗電界を越えない程度の電界強度を有し、例えば100kHz程度の周波数を有する。交番電界は、主として、誘電体材料31の分極方向に対応する容量変化の違いの識別を可能にするために生成される。尚、交番電界に代えて、直流バイアス電圧を印加して、誘電体材料31内に電界を形成してもよい。係る交番電界が印加されると記録媒体30の誘電体材料31内に電界が生ずる。
次に、プローブ12の先端と記録面との距離がナノオーダの極めて小さい距離となるまで、プローブ12を記録面に接近させる。この状態で発振器13を駆動する。尚、プローブ12直下の誘電体材料31の容量Csを高精度に検出するためには、プローブ12を誘電体材料31の表面、即ち、記録面に接触させることが好ましい。但し、プローブ12の先端を記録面に接触させなくとも、例えば実質的には接触と同視できる程度にプローブ12の先端を記録面に接近させても、再生動作(更には、上述の記録動作)を行なうことは可能である。
そして、発振器13は、プローブ12直下の誘電体材料31に係る容量CsとインダクタLとを構成要因として含む共振回路14の共振周波数で発振する。この共振周波数は、上述のとおりその中心周波数をおおよそ1GHz程度とする。
ここで、リターン電極11及びプローブ12は、発振器13による発振回路14の一部を構成している。プローブ12から誘電体材料31に印加された1GHz程度の高周波信号は、図4中点線の矢印にて示すように、誘電体材料31内を通過してリターン電極11に戻る。リターン電極11をプローブ12の近傍に設け、発振器13を含む発振回路14の帰還経路を短くすることにより、発振回路14内にノイズ(例えば、浮遊容量成分)が入り込むのを軽減することができる。
付言すると、誘電体材料31の非線形誘電率に対応する容量Csの変化は微小であり、これを検出するためには、高い検出精度を有する検出方法を採用する必要がある。FM変調を用いた検出方法は、一般に高い検出精度を得ることができるが、誘電体材料31の非線形誘電率に対応する微小な容量変化の検出を可能とするために、さらに検出精度を高める必要がある。そこで、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1(即ち、SNDM原理を用いた記録再生装置)は、リターン電極11をプローブ12の近傍に配置し、発振回路14の帰還経路をできる限り短くしている。これにより、極めて高い検出精度を得ることができ、誘電体の非線形誘電率に対応する微小な容量変化を検出することが可能となる。
発振器13の駆動後、プローブ12を記録媒体30上において記録面と平行な方向に移動させる。プローブ12直下の誘電体材料31のドメインの分極状態は、記録された信号に応じて変化しているので、プローブ12直下の誘電率の非線型成分が変化する。誘電率の非線形成分が変化すると、交番電界に対する共振周波数(即ち、発振器13の発振周波数)の位相が変化する。この結果、発振器13は、分極の状態即ち記録されたデータに基づいてFM変調された信号を出力する。
このFM信号は、復調器19によって周波数−電圧変換される。この結果、容量Csの変化は、電圧の大きさに変換される。容量Csの変化は、誘電体材料31の非線形誘電率に対応し、この非線形誘電率は、誘電体材料31の分極方向に対応し、この分極方向は、誘電体材料31に記録されたデータに対応する。従って、復調器19から得られる信号は、記録媒体30に記録されたデータに対応して電圧が変化する信号となる。更に、復調器19から得られた信号は、信号検出部20に供給され、例えば同期検波されることで、記録媒体30に記録されたデータが抽出される。
このとき、信号検出部20では、交流信号発生器16により生成された交流信号が参照信号として用いられる。これにより、例えば復調器19から得られる信号がノイズを多く含んでおり、又は抽出すべきデータが微弱であっても、後述の如く参照信号と同期をとることで当該データを高精度に抽出することが可能となる。
(2)駆動装置
続いて、図5から図30を参照して、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1が備える複数のプローブ12を移動させるための駆動装置100について説明する。
(2−1)1軸駆動方式を採用する駆動装置
まず、図5から図17を参照して、本実施例に係る駆動装置100のうち、1軸駆動方式を採用する駆動装置(具体的には、後述の第1実施例に係る駆動装置から第4実施例に係る駆動装置)について説明を進める。尚、1軸駆動方式を採用する駆動装置とは、プローブ12を1つの軸(例えば、Y軸)に沿って移動させることができる駆動装置である。つまり、1軸駆動方式を採用する駆動装置とは、プローブ12の1次元移動を実現することができる駆動装置である。
(2−1−1)駆動装置の第1実施例
初めに、図5及び図6を参照して、第1実施例に係る駆動装置100aについて説明する。ここに、図5は、第1実施例に係る駆動装置100aの構成を概念的に示す平面図であり、図6は、図5に示す第1実施例に係る駆動装置100aのステージ130が移動した場合の態様を概念的に示す平面図である。
図5に示すように、第1実施例に係る駆動装置100aは、ベース110と、2本のサスペンション120と、ステージ130と、電極141と、圧電素子142と、電極143とを備えている。
固定された(言い換えれば、駆動装置100aという系の内部においては固定された)ベース110には、長手方向に伸張する2本のサスペンション120の夫々の一方の端部が固定されている。2本のサスペンション120の夫々は、本発明における「弾性部」の一具体例を構成しており、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。2本のサスペンション120の夫々の他方の端部は、ステージ130に固定されている。つまり、ステージ130は、2本のサスペンション120により支えられている(言い換えれば、懸がされている)。ステージ130は、2本のサスペンション120の弾性によってY軸の方向に沿って移動可能に構成されている。つまり、ステージ130は、図6に示すように、2本のサスペンション120により、Y軸の方向に沿って移動する。また、ステージ130上には、上述したプローブ12(ここでは、複数のプローブ12)が備え付けられている。更に、電極141は、ベース110に固定されると共に接地された電極143との間に圧電素子142を挟み込むように配置されている。
尚、ベース110上には、上述した記録媒体30が保持されていることが好ましい。つまり、複数のプローブ12をステージ130に備え付けることにより複数のプローブ12を移動させているため、記録媒体30はベース110に固定されている(つまり、記録媒体30が移動しない)ように構成することが好ましい。
更には、ベース110を、2本のサスペンション120やステージ130を内部の空隙に備える箱型の筐体として構成してもよい。この場合、箱型の筐体であるベース110の内部であって且つベース110上に、図1を参照して説明した強誘電体記録再生装置1の各種構成要素(但し、少なくともプローブ12を除く)が配置されているように構成してもよい。つまり、ベース110を筐体とするカード型のメモリ等として、本実施例に係る強誘電体記録再生装置1を構成してもよい。更に、ベース110が2本のサスペンション20に懸河されている可動体となるように構成してもよい。
ここで、上述した構成を有する第1実施例に係る駆動装置100aの動作について説明する。電極141には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。電極141への電圧の印加によって、圧電素子142はその形状を変化させる。ここで、電極143がベース110に固定されていることから、圧電素子142の形状の変化は、電極143を介して、力としてベース110に加わる。つまり、第1実施例においては、電圧の印加による圧電素子142の形状の変化(つまり、圧電効果)に起因した力がベース110に加えられる。
ここでベース110が準固定されていること及び、後述するように可動体(第1実施例においては、2本のサスペンション120及びステージ130)の共振周波数で力を加えることから、ベース110に対して圧電素子142より力が加えられたとしても、ベース110は殆ど動かない又は微小に振動する。また、微小に振動した場合であっても、その周波数は、ステージ130の振動の周波数(つまり、後述する共振周波数)よりも十分に高い。言い換えれば、ベース110の振動の振幅は、ステージ130の振動の振幅よりも十分に小さい。
他方で、ベース110に一方の端部が固定された2本のサスペンション120は、ベース110に対して圧電素子142より加えられる力に応じて、振動を開始する。その結果、2本のサスペンション120の他方の端部に固定されたステージ130は、図6に示すようにY軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
尚、以降の説明では、ステージ130を移動させる(特に、共振周波数で振動させる)ためにベース110(或いは、後述するようにサスペンション120又はステージ130)に加えられる力を、“加振力”と称して説明を進める。
第1実施例では特に、アクチュエータ駆動回路22は、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数でステージ130を振動させる(つまり、共振させる)ための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を電極141に対して印加する。例えば、ステージ130の質量がmであり、且つ2本のサスペンション120を1本のバネとみなした場合のバネ定数がkであるとすれば、アクチュエータ駆動回路22は、√(k/m)の周波数で(或いは、√(k/m)の1/N(但し、Nは1以上の整数)倍の周波数で)ステージ130を共振させるための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を電極141に対して印加する。この場合、アクチュエータ駆動回路22は、共振周波数に同期するタイミングで加振力がベース110に加わるように、所望の電圧を電極141に印加することが好ましい。言い換えれば、共振周波数をf0とすれば、アクチュエータ駆動回路22は、1/f0の周期で或いは1/f0のM(但し、Mは1以上の整数)倍の周期で加振力がベース110に加わるように、所望の電圧を電極141に印加することが好ましい。更に、アクチュエータ駆動回路22は、ステージ130の移動を維持することができる加振力(つまり、ステージ130の移動の方向と同一の方向に作用する力をステージ130に加えることができる加振力)を加えるように、所望の電圧を電極141に印加することが好ましい。もちろん、ステージ130の移動を停止させる(或いは、ステージ130の移動の幅を小さくする又は減衰する)場合には、ステージ130の移動を停止することができる加振力(つまり、ステージ130の移動の方向と逆の方向に作用する力をステージ130に加えることができる加振力又はステージ130の移動の方向と同じ方向の力を、位相を180度ずらすようなタイミングでステージ130に加えることができる加振力)を加えることが好ましいことは言うまでもない。
このように、第1実施例においては、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数に応じたタイミングで加振力がベース110に加えられる。その結果、第1実施例に係る駆動装置100aは、ステージ130を、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数で共振させることができる。つまり、ステージ130は自励共振する。
ここで、「共振」とは、無限小の力の繰り返しにより無限大の変位が生じる現象であること。このため、ステージ130を移動させるためにベース110に加えられる加振力を小さくしても、ステージ130の移動範囲を大きくとることができる。つまり、ステージ130が移動するために必要な加振力を相対的に小さくすることができる。このため、ステージ130の移動に必要な加振力をベース110に加えるために必要な電力量をも少なくすることができる。従って、より効率的にステージ130を移動させることができ、その結果、駆動装置100aの低消費電力化を実現することができる。
加えて、方向性を有する力をステージ130に加えることによりステージ130が移動する駆動装置においては、ステージ130に加えられる力(具体的には、加振力に応じてステージ130に加わる力)が作用する方向や位置によっては、ステージ130の姿勢が乱れてしまいかねない。例えば、ステージ130の重心に対して力を加えなければ、ステージ130の姿勢が乱れてしまいかねない。或いは、ステージ130に加えられる力に回転成分が含まれていれば、ステージ130の姿勢が乱れてしまいかねない。その結果、ステージ130の移動の態様に対する再現性が得られなくなりかねない。しかるに、第1実施例に係る駆動装置100aにおいては、共振というステージ130及び2本のサスペンション120を含む振動系自身の挙動を利用してステージ130を移動させ、且つベース110に加振力を加える方式のため、ステージ130の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、ステージ130の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。
更に、共振周波数でステージを振動させる場合の振動のゲインが大きいという現象を利用するのと違い、第1実施例においては、共振とは無限小の力の重ね合わせであるという現象を利用することにより、一回あたりの加振力の大きさを小さくすることが出来る。このため、より安定したステージ130の姿勢制御が可能となる。
そして、複数のプローブ12がステージ130に備え付けられており、且つ複数のプローブ12と対向するように記録媒体30が配置されていれば、複数のプローブ12の夫々を、記録媒体30の所望の位置に移動させることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
加えて、第1実施例においては、加振力をベース110に対して加えている。言い換えれば、加振力を加えるための駆動源(つまり、電極141、圧電素子142及び電極143)をベース110に固定させている。従って、2本のサスペンション120及びステージ130を含む可動部に固定される駆動源を設ける必要がなくなる。これにより、2本のサスペンション120及びステージ130を含む可動部における、駆動源に起因した熱の発生を相対的に抑制することができる。その結果、2本のサスペンション120及びステージ130を含む可動部に対する熱の悪影響を好適に抑制することができる。
また、加振力をベース110に加えるがゆえに、2本のサスペンション120及びステージ130を含む可動部に駆動源を備え付ける必要がない。このため、2本のサスペンション120及びステージ130を含む可動部の質量を増加させることなく、加振力を加えることができる。従って、ステージ130の移動に係る感度を増加させることができる。
更に、第1実施例においては、圧電効果に起因した加振力を加えている。このため、圧電素子142の形状の変化量(つまり、圧電素子142の変位量)が相対的に小さい一方で、相対的に大きな加振力を加えることができる。言い換えれば、圧電素子142の形状の変化量(つまり、圧電素子142の変位量)をそれほど大きくすることなく、大きな加振力を加えることができる。
尚、圧電効果に起因した加振力を加える場合には、該加振力を間欠的に加えるように構成してもよい。例えば、上述したように、共振周波数をf0とすれば、1/f0の周期につき1回或いは1/f0のM(但し、Mは2以上の整数)倍の周期につき1回加振力を加えるように構成してもよい。このように構成しても、圧電効果に起因した加振力が相対的に大きいことから、ステージ130を好適に共振させることができる。その一方で、加振力が常時加えられる必要がなくなるため、加振力を加えるために必要な電力量をより少なくすることができる。但し、ステージ130を共振させることができる限りは、上述の例以外の周期で又は常時加振力を加えるように構成してもよいことは言うまでもない。また、後述するように、電磁力や静電力に起因した加振力を加える場合であっても、加振力を間欠的に加えるように構成してもよいし、加振力を常時加えるように構成してもよい。このように構成しても、圧電効果に起因した加振力を間欠的に加える場合と同様の効果を相応に享受することができる。以降説明する第2実施例等においても同様である。
尚、第1実施例においては、ステージ130が共振しているため、ステージ130の移動速度は正弦波的に変動する。つまり、ステージ130の移動範囲の限界位置(つまり、ステージ130が最大量移動したときの位置)においては、ステージ130の移動方向が正の方向から負の方向へ(例えば、図5の上方向から図5の下方向へ)、或いは負の方向から正の方向へ(例えば、図5の下方向から図5の上方向へ)と変化する。このため、安定的な記録動作及び再生動作を行うという観点からは、ステージ130の移動範囲の限界位置付近では、プローブ12を用いた記録動作や再生動作を行わないように構成することが好ましい。以降説明する第2実施例等においても同様である。
また、上述した第1実施例に係る駆動装置100aの説明では、圧電効果に起因した加振力をベース110に加えることにより、ステージ130を移動させている。しかしながら、圧電効果に起因した加振力に加えて又は代えて、電磁力に起因した加振力や静電力に起因した加振力をベース110に加えてもよい。ここで、電磁力に起因した加振力をベース110に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100b及び静電力に起因した加振力をベース110に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100cの構成について、図7及び図8を参照して説明する。ここに、図7は、電磁力に起因した加振力をベース110に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100bの構成を概念的に示す平面図であり、図8は、静電力に起因した加振力をベース110に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100cの構成を概念的に示す平面図である。
図7に示すように、駆動装置100bは、駆動装置100aと同様に、ベース110と、2本のサスペンション1120と、ステージ130とを備えている。駆動装置100bは特に、駆動装置100aが備える電極141、圧電素子142及び電極143に代えて、少なくとも一方がベース110に固定されたコイル151及び磁極152を備えている。コイル151には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。コイル151への電圧の印加によって、コイル151と磁極152との間に電磁相互作用が生ずる。その結果、電磁相互作用による電磁力が発生する。ここで、コイル151及び磁極152の少なくとも一方がベース110に固定されていることから、この電磁力に起因した力がベース110に加わる。つまり、駆動装置100bにおいては、電磁力に起因した力が、加振力としてベース110に加えられる。その結果、ステージ130は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
このような駆動装置100bであっても、上述した圧電効果に起因した加振力をベース110に加える駆動装置100aが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
図8に示すように、駆動装置100cは、駆動装置100aと同様に、ベース110と、2本のサスペンション1120と、ステージ130とを備えている。駆動装置100cは特に、駆動装置100aが備える電極141、圧電素子142及び電極143に代えて、電極161と、ベース110に固定されると共に接地された電極162とを備えている。電極161と電極162とは、間に所定の間隔を有して配置されている。電極161には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。ここで、電極161と電極162との間の電位差に起因して、電極161と電極162との間には静電力(言い換えれば、クーロン力)が生ずる。ここで、電極162がベース110に固定されていることから、この静電力に起因した力がベース110に加わる。つまり、駆動装置100cにおいては、静電力に起因した力が、加振力としてベース110に加えられる。その結果、ステージ130は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
このような駆動装置100cであっても、上述した圧電効果に起因した加振力をベース110に加える駆動装置100aが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
尚、ベース110に加振力を加える構成においては、ベース110が殆ど振動しないことを考慮すれば、加振力としてそれほど大きな力は必要とはならない。また、圧電効果に起因した加振力及び電磁力に起因した加振力と比較して、静電力に起因した加振力は一般的には小さい。このため、ベース110に加振力を加える構成においては、静電力に起因した加振力を加えることが好ましい。
尚、アクチュエータ駆動回路22と、電極141と、圧電素子142と、電極143との組み合わせが、本発明における「印加部」の一具体例を構成している。また、アクチュエータ駆動回路22と、コイル151と、磁極152との組み合わせが、本発明における「印加部」の一具体例を構成している。また、アクチュエータ駆動回路22と、電極161と、電極162との組み合わせが、本発明における「印加部」の一具体例を構成している。
(2−1−2)駆動装置の第2実施例
続いて、図9を参照して、第2実施例に係る駆動装置100dについて説明する。ここに、図9は、第2実施例に係る駆動装置100dの構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係る駆動装置100a(更には、駆動装置100b及び駆動装置100c)と同様の構成については、同様の参照符号を付することにより、その詳細な説明については省略する。
図9に示すように、第2実施例に係る駆動装置100dは、第1実施例に係る駆動装置100aと同様に、ベース110と、2本のサスペンション120と、ステージ130と、2本のサスペンションに対応する2組の電極141、圧電素子142及び電極143とを備えている。
第2実施例に係る駆動装置100dでは特に、電圧の印加による圧電素子142の形状の変化(つまり、圧電効果)に起因した加振力は、ベース110に代えて2本のサスペンション120に加えられる。更に、加振力による変位量を増幅するための力伝達機構144を2組備えている。力伝達機構144は、テコの原理を利用しており、加振力による変位量を数倍ないしは数十倍に増幅可能に構成されている。そして、第2実施例に係る駆動装置100dにおいても、第1実施例に係る駆動装置100aと同様に、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数に応じたタイミングでステージ130を移動させることができる加振力が加えられる。これにより、加振力が加えられる2本のサスペンション120は、振動を開始する。その結果、2本のサスペンション120の他方の端部に固定されたステージ130は、Y軸の方向に沿って共振する(つまり、移動する)。
これにより、第2実施例に係る駆動装置100dにおいても、第1実施例に係る駆動装置100aが享受する効果と同様の効果を享受することができる。つまり、ステージ130の移動に必要な加振力を2本のサスペンション120に加えるために必要な電力量を少なくすることができる。従って、より効率的にステージ130を移動させることができ、その結果、駆動装置100dの低消費電力化を実現することができる。また、共振というステージ130及び2本のサスペンション120を含む振動系自身の挙動を利用してステージ130を移動させることができるため、ステージ130の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、ステージ130の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
加えて、第2実施例に係る駆動装置100dにおいては、2本のサスペンション120に加振力が加えられる。ここで、2本のサスペンション120のうち加振力が加えられる点を力点とみなし、2本のサスペンション120のうちベース110と固定される点を支点とみなし、2本のサスペンション120のうちステージ130と固定される点を作用点とみなせば、テコの原理を利用してステージ130を共振させていることが分かる。つまり、第2実施例に係る駆動装置100dにおいては、2本のサスペンション120をテコとして利用している。これにより、相対的に小さな変位量を実現する加振力によって、ステージ130を相対的に大きく移動させることができる。
このように2本のサスペンション120をテコとして利用しているということを考慮すれば、加振力が加えられる点と、2本のサスペンション120とステージ130とが固定される点との間の距離は、加振力が加えられる点と、2本のサスペンション120とベース110とが固定される点との間の距離よりも大きいことが好ましい。言い換えれば、加振力が加えられる点は、2本のサスペンション120とベース110とが固定される点に近いことが好ましい。加振力が加えられる点が、2本のサスペンション120とベース110とが固定される点に近づけば近づくほど、より小さな変位量を実現する加振力によって、ステージ130を相対的に大きく移動させることができる。
尚、単に加振力を加えるという観点から考慮すれば、第2実施例に係る駆動装置100dは必ずしも力伝達機構144を備えていなくともよい。但し、電圧の印加による圧電素子142の形状の変化量が相対的に小さく且つ加振力によって2本のサスペンション120を実際に振動させる(つまり、動かす)必要があることを考慮すれば、圧電素子142の形状の変化量を力伝達機構144によって増幅すると共に該増幅した変位量に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることが好ましい。
尚、第2実施例においては、圧電効果に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることによりステージ130を移動させている。しかしながら、第2実施例においても、第1実施例と同様に、圧電効果に起因した加振力に加えて又は代えて、電磁力に起因した加振力や静電力に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えてもよい。ここで、電磁力に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100eや静電力に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100fの構成について、図10及び図11を参照して説明する。ここに、図10は、電磁力に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100eの構成を概念的に示す平面図であり、図11は、静電力に起因した加振力を2本のサスペンション120に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100fの構成を概念的に示す平面図である。
図10に示すように、駆動装置100eは、上述した駆動装置100bと同様に、駆動装置100dが備える2組の電極141、圧電素子142、電極143及び力伝達機構144に代えて、2本のサスペンション120のうち対応するサスペンション120に少なくとも一方が固定されたコイル151及び磁極152を2組備えている。この場合、対応するサスペンション120に固定されないコイル151及び磁極152のうちの他方は、ベース110に固定されるように構成してもよい。コイル151には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100eにおいては、電磁力に起因した力が、加振力として2本のサスペンション120に加えられる。その結果、ステージ130は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。このような駆動装置100eであっても、上述した圧電効果に起因した加振力を2本のサスペンション120に加える駆動装置100dが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
図11に示すように、駆動装置100fは、上述した駆動装置100cと同様に、駆動装置100dが備える2組の電極141、圧電素子142、電極143及び力伝達機構144に代えて、夫々がベース110に固定される複数の電極161と、夫々が2本のサスペンション120のうち対応するサスペンション120に固定されると共に接地された複数の電極162とを備えている。特に、櫛歯状に配列される複数の電極161の夫々の間に、櫛歯状に配列される複数の電極162のうちの一つが配置されている。複数の電極161の夫々には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100fにおいては、静電力に起因した力が、加振力として2本のサスペンション120に加えられる。その結果、ステージ130は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。このような駆動装置100fであっても、上述した圧電効果に起因した加振力を2本のサスペンション120に加える駆動装置100dが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
(2−1−3)第3実施例
続いて、図12を参照して、第3実施例に係る駆動装置100gについて説明する。ここに、図12は、第3実施例に係る駆動装置100gの構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係る駆動装置100a(更には、駆動装置100b及び駆動装置100c)や、第2実施例に係る駆動装置100d(更には、駆動装置100e及び駆動装置100f)と同様の構成については、同様の参照符号を付することにより、その詳細な説明については省略する。
図12に示すように、第3実施例に係る駆動装置100dは、第2実施例に係る駆動装置100dと同様に、ベース110と、2本のサスペンション120と、ステージ130と、2組の電極141、圧電素子142、電極143及び力伝達機構144とを備えている。
第3実施例に係る駆動装置100gでは特に、電圧の印加による圧電素子142の形状の変化(つまり、圧電効果)に起因した加振力は、ベース110及び2本のサスペンション120に代えて、ステージ130に直接加えられる。そして、第3実施例に係る駆動装置100gにおいても、第1実施例に係る駆動装置100aや第2実施例に係る駆動装置100dと同様に、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数でステージ130を共振させることができる加振力が加えられる。これにより、加振力が加えられるステージ130は、Y軸の方向に沿って共振する(つまり、移動する)。
これにより、第3実施例に係る駆動装置100gにおいても、第1実施例に係る駆動装置100aが享受する効果と同様の効果を享受することができる。つまり、ステージ130の移動に必要な加振力をステージ130に加えるために必要な電力量を少なくすることができる。従って、より効率的にステージ130を移動させることができ、その結果、駆動装置100gの低消費電力化を実現することができる。また、共振というステージ130及び2本のサスペンション120を含む振動系自身の挙動を利用してステージ130を移動させることができるため、ステージ130の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、ステージ130の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
更に、ステージ130に対して加振力を加えるがゆえに、ステージ130の移動に合わせたタイミングで、いわば間欠的に加振力を加えれば、ステージ130を共振させることができる。具体的には、ステージ130の移動に応じて力伝達機構144とステージ130との間の距離は変わるが、力伝達機構144とステージ130とが接するときに加振力を加えれば、ステージ130を共振させることができる。このため、加振力が常時加えられる必要がなくなるため、加振力を加えるために必要な電力量をより少なくすることができる。
尚、第3実施例においては、圧電効果に起因した加振力をステージ130に加えることによりステージ130を移動させている。しかしながら、第3実施例においても、第1実施例や第2実施例と同様に、圧電効果に起因した加振力に加えて又は代えて、電磁力に起因した加振力や静電力に起因した加振力をステージ130に加えてもよい。ここで、電磁力に起因した加振力をステージ130に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100hや静電力に起因した加振力をステージ130に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100iの構成について、図13及び図14を参照して説明する。ここに、図13は、電磁力に起因した加振力をステージ130に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100hの構成を概念的に示す平面図であり、図14は、静電力に起因した加振力をステージ130に加えることによりステージ130を移動させる駆動装置100iの構成を概念的に示す平面図である。
図13に示すように、駆動装置100hは、上述した駆動装置100b及び駆動装置100eと同様に、駆動装置100gが備える2組の電極141、圧電素子142、電極143及び力伝達機構144に代えて、ステージ130に少なくとも一方が固定されたコイル151及び磁極152を2組備えている。この場合、ステージ130に固定されないコイル151及び磁極152のうちの他方は、ベース110に固定されるように構成してもよい。コイル151には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100hにおいては、電磁力に起因した力が、加振力としてステージ130に加えられる。その結果、ステージ130は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。このような駆動装置100hであっても、上述した圧電効果に起因した加振力をステージ130に加える駆動装置100gが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
図14に示すように、駆動装置100iは、上述した駆動装置100c及び駆動装置100fと同様に、駆動装置100gが備える2組の電極141、圧電素子142、電極143及び力伝達機構144に代えて、夫々がベース110に固定される複数の電極161と、夫々がステージ130に固定されると共に接地された複数の電極162とを備えている。特に、櫛歯状に配列された複数の電極161の夫々の間に、櫛歯状に配列された複数の電極162のうちの一つが配置されている。電極161には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100iにおいては、静電力に起因した力が、加振力としてステージ130に加えられる。このような駆動装置100iであっても、上述した圧電効果に起因した加振力をステージ130に加える駆動装置100gが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
(2−1−4)第4実施例
続いて、図15及び図16を参照して、第4実施例に係る駆動装置100jについて説明する。ここに、図15は、第4実施例に係る駆動装置100jの構成を概念的に示す平面図であり、図16は、第4実施例に係る駆動装置100jが動作した場合の態様を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係る駆動装置100a(更には、駆動装置100b及び駆動装置100c)や、第2実施例に係る駆動装置100d(更には、駆動装置100e及び駆動装置100f)や、第3実施例に係る駆動装置100g(更には、駆動装置100h及び駆動装置100i)と同様の構成については、同様の参照符号を付することにより、その詳細な説明については省略する。
図15に示すように、第4実施例に係る駆動装置100jは、上述した第3実施例に係る駆動装置100i(図14参照)と同様に、ベース110と、2本のサスペンション120と、ステージ130と、夫々がベース110に固定される複数の電極161と、夫々がステージ130に固定されると共に接地された複数の電極162とを備えている。
第4実施例に係る駆動装置100jは特に、2本のサスペンション120に対応する2つのバネ定数調整部170を備えている。2つのバネ定数調整部170の夫々は、2本のサスペンション120のうちの対応するサスペンション120に対して自在に付加及び剥離可能な所定の部材171と、該部材171を対応するサスペンション120に付加するための力又は対応するサスペンション120から剥離するための力を加えるバネ172とを備える。
バネ172は、アクチュエータ駆動回路22から出力される制御信号に応じて、伸張する。その結果、部材171が対応するサスペンション120に付加される。つまり、図16に示すように、部材171と対応するサスペンション120とが一体化する。その結果、2本のサスペンション120の夫々のバネ定数が変化する。他方、バネ172は、アクチュエータ駆動回路22から出力される制御信号に応じて、縮む。その結果、部材171が対応するサスペンション120から剥離される。つまり、一体化していた部材171と対応するサスペンション120とが分離される。その結果、2本のサスペンション120の夫々のバネ定数が変化する。
これにより、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数が変化するため、所望の周波数でステージ130を共振させることができる。
尚、2本のサスペンション120のバネ定数を調整することで共振周波数を変化させることに加えて又は代えて、ステージ130の質量を調整することで共振周波数を変化させるように構成してもよい。ここで、ステージ130の質量を調整する駆動装置100kの構成について、図17を参照して説明する。ここに、図17は、ステージ130の質量を調整する駆動装置100kの構成を概念的に示す平面図である。
図17に示すように、駆動装置100kは、上述した駆動装置100jと同様に、ベース110と、2本のサスペンション120と、ステージ130と、夫々がベース110に固定される複数の電極161と、夫々がステージ130に固定されると共に接地された複数の電極162と、ステージ質量調整部173とを備えている。ステージ質量調整部173は、ステージ130に対して自在に付加及び剥離可能な所定の部材171と、該部材171をステージ130に付加するための力又は対応するサスペンション120から剥離するための力を部材171に加えるバネ172とを備える。
バネ172は、アクチュエータ駆動回路22から出力される制御信号に応じて、伸張する。その結果、部材171がステージ130に付加される。つまり、部材171とステージ130とが一体化する。その結果、ステージ130の質量が変化する。他方、バネ172は、アクチュエータ駆動回路22から出力される制御信号に応じて、縮む。その結果、部材171がステージ130から剥離される。つまり、一体化していた部材171とステージ130とが分離される。その結果、ステージ130の質量が変化する。
これにより、2本のサスペンション120及びステージ130により定まる共振周波数が変化するため、所望の周波数でステージ130を共振させることができる。
尚、第4実施例では、部材171をステージ130に対して付加及び剥離するための力又は対応するサスペンション120に対して付加及び剥離するための力を部材171に加えるための駆動力発生部材をバネ172で示した。しかしながら、バネ172に代えて、静電力や電磁力等に利用する駆動力発生部材を採用してもよい。
尚、上述の説明では、第3実施例に係る駆動装置100iに対して共振周波数を調整する構成を組み合わせることで実現される構成を用いて説明を進めた。しかしながら、第3実施例に係る他の駆動装置100g又は駆動装置100hに対して共振周波数を調整する構成を組み合わせてもよいことは言うまでもない。同様に、第1実施例に係る駆動装置100aから駆動装置100c又は第2実施例に係る駆動装置100dから100fに対して共振周波数を調整する構成を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
(2−2)2軸駆動方式を採用する駆動装置
続いて、図18から図30を参照して、本実施例に係る駆動装置100のうち、2軸駆動方式を採用する駆動装置(具体的には、後述の第5実施例から第8実施例に係る駆動装置)について説明を進める。尚、2軸駆動方式を採用する駆動装置とは、プローブ12を2つの軸(例えば、X軸及びY軸)に沿って移動させることができる駆動装置である。つまり、1軸駆動方式を採用する駆動装置とは、プローブ12の2次元移動を実現することができる駆動装置である。
尚、上述した第1実施例に係る駆動装置100a(更には、駆動装置100b及び駆動装置100c)や、第2実施例に係る駆動装置100d(更には、駆動装置100e及び駆動装置100f)や、第3実施例に係る駆動装置100g(更には、駆動装置100h及び駆動装置100i)や、第4実施例に係る駆動装置100j(更には、駆動装置100k)と同様の構成については、同様の参照符号を付することにより、その詳細な説明については省略する。
(2−2−1)第5実施例
初めに、図18から図20を参照して、第5実施例に係る駆動装置100lについて説明する。ここに、図18は、第5実施例に係る駆動装置100lの構成を概念的に示す平面図であり、図19は、図18に示す第5実施例に係る駆動装置100lの第1ステージ130−1が移動した場合の一の態様を概念的に示す平面図であり、図20は、図18に示す第5実施例に係る駆動装置100lの第2ステージ130−2が移動した場合の他の態様を概念的に示す平面図である。
図18に示すように、第5実施例に係る駆動装置100lは、第1ベース110−1と、第1ベース110−1に一方の端部が固定されると共にX軸の方向に沿って伸縮可能な第1サスペンション120−1と、第1サスペンション120−1の他方の端部が固定される第1ステージ130−1と、第1ステージ130−1に一方の端部が固定されると共にY軸の方向に沿って伸縮可能な第2サスペンション120−2と、第2サスペンション120−2の他方の端部が固定されると共に複数のプローブ12が備え付けられる第2ステージ130−2とを備えている。このように、第5実施例に係る駆動装置100lにおいては、第1ステージ130−1が2本の第1サスペンション120−1により支えられていると共に、第2ステージ130−2が2本の第2サスペンション120−2により支えられている。更に、第5実施例に係る駆動装置100lは、夫々が第1ベース110−1に固定された複数の電極161と、夫々が第1ステージ130−1に固定されると共に接地された複数の電極162とを備えている。更に、第5実施例に係る駆動装置100lは、電極141と、第1ステージ130−1に固定されると共に接地された電極143と、電極141と電極143との間に配置された圧電素子142とを備えている。尚、第1ベース110−1、第1サスペンション120−1、複数の電極161及び複数の電極162は、第1ステージ130−1の左右両側の夫々に配置される。また、第2サスペンション120−2は、第2ステージ130−2の上下両側の夫々に配置される。つまり、第5実施例に係る駆動装置100lは、2組の第1ベース110−1、2組の第1サスペンション120−1、2組の複数の電極161及び2組の複数の電極162を備えている。同様に、第5実施例に係る駆動装置100lは、2組の第2サスペンション120−2を備えている。
ここで、上述した構成を有する第5実施例に係る駆動装置100lの動作について説明する。まず、複数の電極161の夫々には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、静電力に起因した力が、加振力として第1ステージ130−1に加えられる。その結果、第1ステージ130−1は、第1サスペンション120−1の弾性を利用して、図19に示すように、X軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
このとき、アクチュエータ駆動回路22は、所定量ずつ段階的に又は連続的に第1ステージ130−1を移動させるための力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を複数の電極161の夫々に対して印加する。
尚、以降の説明では、所定量ずつ段階的に又は連続的にステージ130を移動させる(言い換えれば、共振周波数で振動させる態様以外の態様でステージ130を移動させる)ためにベース110(或いは、後述するようにサスペンション120又はステージ130)に加えられる力を、“駆動力”と称して説明を進める。
より具体的には、アクチュエータ駆動回路22は、第1ステージ130−1の移動によって記録媒体30の記録面上におけるトラッキング動作を実現するための駆動力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を複数の電極161の夫々に対して印加する。例えば、記録媒体30上に記録されるデータのピッチ(いわゆるトラックピッチ)がtであれば、距離t又は距離Lt(但し、Lは1以上の整数)ずつ第1ステージ130−1を移動させるための駆動力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を複数の電極161の夫々に対して印加する。その結果、第1ステージ130−1は、所定量ずつ段階的に又は連続的に移動する。
他方で、電極141には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、圧電素子142の形状の変化(つまり、圧電効果)に起因した力が、加振力として第1ステージ130−1に加えられる。これにより、第1ステージ130−1に一方の端部が固定された2本の第2サスペンション120−2は振動を開始する。その結果、2本の第2サスペンション120の他方の端部に固定された第2ステージ130−2は、第2サスペンション120−2の弾性を利用して、図20に示すように、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
このとき、アクチュエータ駆動回路22は、2本の第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2により定まる共振周波数で第2ステージ130−2を振動させる(つまり、共振させる)ための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を電極141に対して印加する。特に、アクチュエータ駆動回路22は、第2ステージ130−2が第1ステージ130−1を基準位置として共振するための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を電極141に対して印加する。その結果、第2ステージ130−2は、第1ステージ130−1に対する相対的な位置としてみれば、2本の第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2により定まる共振周波数で共振する。
このように、第5実施例に係る駆動装置100lにおいては、第1ステージ130−1をX軸の方向に沿って移動させると共に該第1ステージ130−1上に配置された第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って共振させることで、第2ステージ130−2を、Y軸の方向に沿って共振させながらX軸の方向に沿って移動させることができる。つまり、第2ステージ130−2(言い換えれば、第2ステージ130−2に備え付けられる複数のプローブ12)の2軸駆動を行うことができる。このため、複数のプローブ12を用いて、矩形の形状を有する記録媒体30上の概ね全ての記録面に対してデータを記録したり、記録媒体30上の概ね全ての記録面に記録されたデータを再生したりすることができる。
更に、第5実施例に係る駆動装置100lにおいても、上述した第1実施例に係る駆動装置100a等と同様に共振を利用して第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させているため、第1実施例に係る駆動装置100aが享受する効果と同様の効果を享受することができる。つまり、第2ステージ130−2の移動に必要な加振力を第1ステージ130−1に加えるために必要な電力量を少なくすることができる。従って、より効率的に第2ステージ130−2を移動させることができ、その結果、駆動装置100lの低消費電力化を実現することができる。また、共振という第2ステージ130−2及び2本の第2サスペンション120−2を含む振動系自身の挙動を利用して第2ステージ130−2を移動させることができるため、第2ステージ130−2の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、第2ステージ130−2の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
尚、第5実施例に係る駆動装置100lにおいては、1つの第1ベース110−1と、1つの第1サスペンション120−1と、第1ステージ130−1とを1つの駆動装置としてみなせば、1つの第1ベース110−1と1つの第1サスペンション120−1と第1ステージ130−1とを含む駆動装置は、上述した1軸駆動方式を採用する駆動装置(特に、第3実施例に係る駆動装置100i)と概ね同様の構成を有しているということが、上述の説明及び対応する図面から読み取ることができる。また、第1ステージ130−1と、1つの第2サスペンション120−2と、第2ステージ130−2とを1つの駆動装置としてみなせば、第1ステージ130−1と1つの第2サスペンション120−2と第2ステージ130−2とを含む駆動装置は、上述した1軸駆動方式を採用する駆動装置(特に、第1実施例に係る駆動装置100a)と概ね同様の構成を有しているということが、上述の説明及び対応する図面から読み取ることができる。つまり、第1ステージ130−1は、第1ステージ130−1、第1サスペンション120−1及び第1ステージ130−1を含む駆動系においては、上述したステージ130として機能する一方で、第1ステージ130−1、第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を含む駆動系に対しては、上述したベース110として機能する。
但し、第1ステージ130−1上に更に第2ベース110−2を配置し、該第2ベース110−2上に第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を配置するように構成してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができることは言うまでもない。
また、上述した第5実施例に係る駆動装置100lの説明では、圧電効果に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えることにより、第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させている。しかしながら、圧電効果に起因した加振力に加えて又は代えて、電磁力に起因した加振力や静電力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えてもよい。ここで、電磁力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えることにより第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させる駆動装置100m及び静電力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えることにより第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させる駆動装置100nの構成について、図21及び図22を参照して説明する。ここに、図21は、電磁力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えることにより第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させる駆動装置100mの構成を概念的に示す平面図であり、図22は、静電力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加えることにより第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させる駆動装置100nの構成を概念的に示す平面図である。尚、ここでは、「加振力」を加えるための構成について説明しているが、「駆動力」を加えるための構成についても、圧電効果や電磁力や静電力を利用してもよいことは言うまでもない。
図21に示すように、駆動装置100mは、上述した駆動装置100b、駆動装置100e及び駆動装置100hと同様に、駆動装置100lが備える電極141、圧電素子142及び電極143に代えて、第1ステージ130−1に少なくとも一方が固定されたコイル151及び磁極152を備えている。コイル151には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100mにおいては、電磁力に起因した力が、加振力として第1ステージ130−1に加えられる。その結果、第2ステージ130−2は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。このような駆動装置100mであっても、上述した圧電効果に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える駆動装置100lが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
図22に示すように、駆動装置100nは、上述した駆動装置100c及び駆動装置100f及び駆動装置100iと同様に、駆動装置100lが備える電極141、圧電素子142及び電極143に代えて、電極161と、第1ステージ130−1に固定されると共に接地された電極162とを備えている。電極161には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100nにおいては、静電力に起因した力が、加振力として第1ステージ130−1に加えられる。その結果、第2ステージ130−2は、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。このような駆動装置100nであっても、上述した圧電効果に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える駆動装置100lが享受する効果と概ね同様の効果を享受することができる。
尚、図22に示すような静電力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える構成では、静電力に起因した加振力が相対的に小さいことを考慮して、第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させるための駆動源を2種類備えているように構成してもよい。この構成について、図23を参照して説明する。ここに、図23は、第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させるための駆動源を2種類備えている駆動装置100oの構成を概念的に示す平面図である。
図23に示すように、駆動装置100oは、上述した駆動装置100nと同様の構成を有している。駆動装置100oは特に、第2ステージ130−2に少なくとも一方が固定されたコイル151及び磁極152を2組備えている。この場合、第2ステージ130−2に固定されないコイル151及び磁極152のうちの他方は、第1ステージ130−1に固定されるように構成してもよい。コイル151には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、駆動装置100oにおいては、電磁力に起因した力を、加振力として第2ステージ130−2に加えることができる。つまり、駆動装置100oにおいては、静電力に起因した加振力及び電磁力に起因した加振力の夫々を第2ステージ130−2に加えることができる。
ここで、駆動装置100oにおいては、第2ステージ130−2を共振させ始める初期段階(つまり、第2ステージ130−2を共振させ始めてからの所定期間)には、電磁力に起因した加振力が第2ステージ130−2に加えられる。そして、初期段階が終了した後には、第2ステージ130−2の共振を維持するための加振力として、電磁力に起因した加振力が第2ステージ130−2に加えられる。
これにより、電磁力に起因した、相対的に大きな加振力を用いて第2ステージ130−2を共振させ始めると共に、第2ステージ130−2の挙動が安定した場合には、静電力に起因した、相対的に小さな加振力を用いて第2ステージ130−2の共振を維持することができる。このため、より効率的に第2ステージ130−2を共振させることができる。
更に、第2ステージ130−2にとっては発熱源となるコイル151への電圧の印加を最小限にとどめることができる。つまり、2本の第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を含む可動部における、駆動源としてのコイル151に起因した熱の発生を相対的に抑制することができる。その結果、2本の第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を含む可動部に対する熱の悪影響を好適に抑制することができる。
尚、静電力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える構成に限らず、圧電効果に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える構成や、電磁力に起因した加振力を第1ステージ130−1に加える構成であっても、第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させるための駆動源を2種類備えるように構成してもよい。
また、上述した第5実施例に係る駆動装置100lは、第1ステージ130−1上に1つの第2ステージ130−2を備えている。しかしながら、第1ステージ130−1上に複数の第2ステージ130−2を備えるように構成してもよい。言い換えれば、図18に示す第2ステージ130−2を分割してもよい。この構成について、図24を参照して説明する。ここに、図24は、第1ステージ130−1上に複数の第2ステージ130−2を備える駆動装置100pの構成を概念的に示す平面図である。
図24に示すように、駆動装置100pは、上述した駆動装置100lと同様に、2組の第1ベース110−1及び第1サスペンション120−1と、第1ステージ130−1と、複数の電極161と、複数の電極162と、電極141と、電極143と、圧電素子142とを備えている。
駆動装置100pでは特に、第1ステージ130−1上に、夫々が相対的に小さなサイズを有する(具体的には、夫々が駆動装置100lにおける第2ステージ130−2よりも小さなサイズを有する)4つの第2ステージ130−2を備えている。4つの第2ステージ130−2の夫々は、対応する第2サスペンション120−2の他方の端部が固定されている。4つの第2サスペンション130−2の夫々の一方の端部は、第1ステージ130−1に固定されている。
駆動装置100pにおいては、アクチュエータ駆動回路22は、対応する第2サスペンション120−2及び夫々の第2ステージ130−2により定まる共振周波数で夫々の第2ステージ130−2を振動させる(つまり、共振させる)ための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を電極141に対して印加する。その結果、4つの第2ステージ130−2の夫々は、対応する第2サスペンション120−2及び夫々の第2ステージ130−2により定まる共振周波数で共振する。
これにより、駆動装置100pにおいても、上述した駆動装置100lが享受する効果と同様の効果を享受することができる。
更に、夫々の第2ステージ130−2のサイズを相対的に小さくすることができるため、夫々の第2ステージ130−2の質量を相対的に減少させることができる。このため、夫々の第2ステージ130−2を支える第2サスペンション120−2のサイズを小さくしても(例えば、厚みを薄くしたり、幅を小さくしたりしても)、夫々の第2ステージ130−2を好適に支えることができる。従って、駆動装置100pの軽量化或いは小型化を図ることができる
尚、上述した第5実施例に係る駆動装置100l(更には、駆動装置100mから駆動装置100p)では、第2ステージ130−2を共振させる駆動系については、第1ステージ130−2に加振力を加える構成(つまり、上述したベース110に加振力を加える第1実施例と同様の構成)を採用している。しかしながら、上述した第2実施例に係る駆動装置100d(更には、駆動装置100e及び駆動装置100f)と同様に、第2サスペンション120−2に加振力を加えるように構成してもよいことは言うまでもない。同様に、第3実施例に係る駆動装置100g(更には、駆動装置100h及び100i)と同様に、第2ステージ130−2に加振力を加えるように構成してもよいことは言うまでもない。
また、上述した第5実施例に係る駆動装置100l(更には、駆動装置100mから駆動装置100p)に対して、上述した第1実施例から第4実施例において説明した各種構成を適宜適用してもよいことは言うまでもない。特に第4実施例で説明した共振周波数を調整するための機構を組み込むことにより、複数のステージ130の共振周波数及び振幅等の偏差を調整し、より効率的な振動及び振幅の調整を行うことは効果的である。
(2−2−2)第6実施例
続いて、図25を参照して、第6実施例に係る駆動装置100qについて説明する。ここに、図25は、第6実施例に係る駆動装置100qの構成を概念的に示す平面図である。
図25に示すように、第6実施例に係る駆動装置100qは、第1ベース110−1と、第1ベース110−1に一方の端部が固定されると共にY軸の方向に沿って伸縮可能な第1サスペンション120−1と、第1サスペンション120−1の他方の端部が固定される第1ステージ130−1と、第1ステージ130−1に一方の端部が固定されると共にX軸の方向に沿って伸縮可能な第2サスペンション120−2と、第2サスペンション120−2の他方の端部が固定されると共に複数のプローブ12が備え付けられる第2ステージ130−2とを備えている。このように、第6実施例に係る駆動装置100qにおいては、第1ステージ130−1が2本の第1サスペンション120−1により支えられていると共に、第2ステージ130−2が2本の第2サスペンション120−2により支えられている。更に、第6実施例に係る駆動装置100qは、少なくとも一方が第1ステージ130−1に固定されたコイル151−1及び磁極152−1を備えている。この場合、第1ステージ130−1に固定されないコイル151−1及び磁極152−1のうちの他方は、第1ベース110−1に固定されるように構成してもよい。更に、第6実施例に係る駆動装置100qは、少なくとも一方が第2ステージ130−2に固定されたコイル151−2及び磁極152−2を備えている。この場合、第2ステージ130−2に固定されないコイル151−2及び磁極152−2のうちの他方は、第1ステージ130−1に固定される。尚、第1サスペンション120−1は、第1ステージ130−1の上下両側の夫々に配置される。また、コイル151−1及び磁極152−1は、第1ステージ130−1の左右両側の対称な位置の夫々に配置される。また、第2サスペンション120−2は、第2ステージ130−2の左右両側の夫々に配置される。また、コイル151−2及び磁極152−2は、第1ステージ130−1の上下両側の対称な位置の夫々に配置される。
ここで、上述した構成を有する第6実施例に係る駆動装置100qの動作について説明する。まず、2つのコイル151−1には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、電磁力に起因した力が、加振力として第1ステージ130−1に加えられる。その結果、第1ステージ130−1は、第1サスペンション120−1の弾性を利用して、Y軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
このとき、アクチュエータ駆動回路22は、2本の第1サスペンション120−1及び第1ステージ130−1により定まる共振周波数で第1ステージ130−1を振動させる(つまり、共振させる)ための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を2つのコイル151−1に対して印加する。その結果、第1ステージ130−1は、2本の第1サスペンション120−1及び第1ステージ130−1により定まる共振周波数で共振する。
他方で、2つのコイル151−2には、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。これにより、電磁力に起因した力が、駆動力として第2ステージ130−2に加えられる。その結果、第2ステージ130−2は、第2サスペンション120−2の弾性を利用して、X軸の方向に沿って駆動される(つまり、移動する)。
このとき、アクチュエータ駆動回路22は、所定量ずつ段階的に又は連続的に第2ステージ130−2を移動させるための駆動力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を2つのコイル151−2に対して印加する。より具体的には、アクチュエータ駆動回路22は、第2ステージ130−2の移動によって記録媒体30の記録面上におけるトラッキング動作を実現するための駆動力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を2つのコイル151−2に対して印加する。その結果、第2ステージ130−2は、所定量ずつ段階的に又は連続的に移動する。
このように、第6実施例に係る駆動装置100qにおいては、第1ステージ130−1をY軸の方向に沿って共振させると共に該第1ステージ130−1上に配置された第2ステージ130−2をX軸の方向に沿って移動させることで、上述した第5実施例に係る駆動装置100lと同様に、第2ステージ130−2を、Y軸の方向に沿って共振させながらX軸の方向に沿って移動させることができる。つまり、第2ステージ130−2(言い換えれば、第2ステージ130−2に備え付けられる複数のプローブ12)の2軸駆動を行うことができる。このため、複数のプローブ12を用いて、矩形の形状を有する記録媒体30上の概ね全ての記録面に対してデータを記録したり、記録媒体30上の概ね全ての記録面に記録されたデータを再生したりすることができる。
更に、第6実施例に係る駆動装置100qにおいても、上述した第1実施例に係る駆動装置100a等と同様に共振を利用して第2ステージ130−2をY軸の方向に沿って移動させているため、第1実施例に係る駆動装置100aが享受する効果と同様の効果を享受することができる。つまり、第2ステージ130−2の移動に必要な加振力を第1ステージ130−1に加えるために必要な電力量を少なくすることができる。従って、より効率的に第2ステージ130−2を移動させることができ、その結果、駆動装置100qの低消費電力化を実現することができる。また、共振という第2ステージ130−2が備えつけられた第1ステージ130−1及び2本の第1サスペンション120−1を含む振動系自身の挙動を利用して第1ステージ130−1を移動させることができるため、第1ステージ130−1(つまり、第1ステージ130−1上に備え付けられる第2ステージ130−2)の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、第2ステージ130−2の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
尚、第6実施例に係る駆動装置100qにおいては、第1ベース110−1と、1つの第1サスペンション120−1と、第1ステージ130−1とを1つの駆動装置としてみなせば、第1ベース110−1と1つの第1サスペンション120−1と第1ステージ130−1とを含む駆動装置は、上述した1軸駆動方式を採用する駆動装置(特に、第3実施例に係る駆動装置100i)と概ね同様の構成を有しているということが、上述の説明及び対応する図面から読み取ることができる。また、第1ステージ130−1と、1つの第2サスペンション120−2と、第2ステージ130−2とを1つの駆動装置としてみなせば、第1ステージ130−1と1つの第2サスペンション120−2と第2ステージ130−2とを含む駆動装置は、上述した1軸駆動方式を採用する駆動装置(特に、第3実施例に係る駆動装置100i)と概ね同様の構成を有しているということが、上述の説明及び対応する図面から読み取ることができる。つまり、第1ステージ130−1は、第1ステージ130−1、第1サスペンション120−1及び第1ステージ130−1を含む駆動系においては、上述したステージ130として機能する一方で、第1ステージ130−1、第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を含む駆動系に対しては、上述したベース110として機能する。
但し、第1ステージ130−1上に更に第2ベース110−2を配置し、該第2ベース110−2上に第2サスペンション120−2及び第2ステージ130−2を配置するように構成してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができることは言うまでもない。
加えて、駆動装置100qにおいては、第1ステージ130−1を移動させるための駆動源であるコイル151−1及び磁極152−1は、第1ステージ130−1の左右両側の対称な位置の夫々に配置されている。これにより、2組のコイル151−1及び磁極152−1を用いて、第1ステージ130−1の姿勢制御を行うことができる。2組のコイル151−1及び磁極152−1の夫々に印加される電圧(例えば、その大きさや位相等)を調整することで、第1ステージ130−1が傾いたり或いは回転したりする不都合を好適に防止することができる。
また、駆動装置100qでは、第2ステージ130−2に固定されたコイル151−2及び磁極152−2の一方と第1ステージ130−1に固定されたコイル151−2及び磁極152−2の他方との間の電磁相互作用による電磁力を加振力として用いている。言い換えれば、加振力は、共振する第1ステージ130−1(つまり、自励共振子としての第1ステージ130−1)からの相体力として第2ステージ130−2に加えられている。このため、第2ステージ130−2と、第2ステージ130−2を移動させるための駆動源であるコイル151−2及び磁極152−2とが、共通の第1ステージ130−1上に配置される。これにより、第1ステージ130−1を共振させた場合であっても、第2ステージ130−2と、第2ステージ130−2を移動させるための駆動源であるコイル151−2及び磁極152−2とが、概ね同様の態様で移動することになる。従って、第1ステージ130−1の共振に起因したY軸の方向の偏倚の影響を考慮することなく、駆動装置100qを構成することができる。これにより、第2ステージ130−2と、第2ステージ130−2を移動させるための駆動源であるコイル151−2及び磁極152−2の構成の簡略化を図ることができる。具体的には、磁極152−2の小型化を図ることができる。
尚、電磁力に起因した加振力を第2ステージ130−2に加える構成に代えて、静電力に起因した加振力を第2ステージ130−2に加える構成を採用する場合であっても、第1ステージ130−1からの相対力としての加振力を第2ステージ130−2に加えるように構成することで、図10等を用いて説明した櫛歯状の複数の電極を好適に形成することができる。また、電磁力に起因した加振力を第2ステージ130−2に加える構成に代えて、圧電効果に起因した加振力を第2ステージ130−2に加える構成を採用する場合であっても、第1ステージ130−1からの相対力としての加振力を第2ステージ130−2に加えるように構成することで、電極141、圧電素子142及び143を好適に形成することができる。
但し、第1ステージ130−1からの相対力としての加振力を第2ステージ130−2に加えることに加えて又は代えて、第1ベース110−1からの相対力としての加振力を第2ステージ130−2に加えるように構成してもよい。この構成について、図26を参照して説明する。ここに、図26は、第6実施例に係る他の駆動装置100rの構成を概念的に示す平面図である。
図26に示すように、駆動装置100rは、上述した駆動装置100qと概ね同様の構成を有している。駆動装置100rにおいては特に、第2ステージ130−2に固定されないコイル151−2及び磁極152−2のうちの他方(図26においては、コイル151−2)は、第1ステージ130−1に代えて、第1ベース110−1に固定される。従って、駆動装置100rにおいては、第2ステージ130−2に固定されたコイル151−2及び磁極152−2の一方と、第1ベース110−1に固定されたコイル151−2及び磁極152−2の他方との間の電磁相互作用による電磁力を加振力として用いている。言い換えれば、加振力は、固定された第1ベース110−1からの相体力として第2ステージ130−2に加えられている。
このような構成を有する駆動装置100rにおいては、第1ステージ130−1を共振させた場合には、第2ステージ130−2の位置は、第2ステージ130−2を移動させるための駆動源であるコイル151−2及び磁極152−2の他方に対して変動することになる。従って、駆動装置100rでは、第1ステージ130−1の予期しないX軸の方向の偏倚の影響を受けることがなくなるため、複数のプローブ12の移動に焦点を当てれば、その移動の正確性が増加する。
尚、上述した第6実施例に係る駆動装置100qは、第1ステージ130−1上に1つの第2ステージ130−2を備えている。しかしながら、第1ステージ130−1上に複数の第2ステージ130−2を備えるように構成してもよい。言い換えれば、図25に示す第2ステージ130−2を分割してもよい。この構成について、図27を参照して説明する。ここに、図27は、第1ステージ130−1上に複数の第2ステージ130−2を備える駆動装置100sの構成を概念的に示す平面図である。
図27に示すように、駆動装置100sは、上述した駆動装置100qと同様に、第1ベース110−1と、2本の第1サスペンション120−1と、コイル151−1及び磁極152−1とを備えている。駆動装置100sでは特に、第1ステージ130−1上に、夫々が相対的に小さなサイズを有する(具体的には、夫々が駆動装置100qにおける第2ステージ130−2よりも小さなサイズを有する)2つの第2ステージ130−2を備えている。2つの第2ステージ130−2は、X軸の方向(言い換えれば、トラッキング動作による移動の方向)に沿って並ぶように配列されている。つまり、駆動装置100sにおける2つの第2ステージ130−2は、駆動装置100qにおける第2ステージ130−2をX軸と略直交する方向に沿って分割することで得られる。2つの第2ステージ130−2の夫々は、対応する第2サスペンション120−2の他方の端部が接続されている。2つの第2サスペンション130−2の夫々の一方の端部は、第1ステージ130−1に接続されている。更に、駆動装置100sは、1つの第2ステージ130−2を移動させるための駆動源であるコイル151−2及び磁極152−2を、第2ステージ130−2毎に2組独立して備えている。
駆動装置100sにおいては、アクチュエータ駆動回路22は、夫々の第2ステージ130−2を移動させるための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を各コイル151−2に対して印加する。その結果、2つの第2ステージ130−2の夫々は、X軸の方向に沿って振動する(つまり、移動する)。
これにより、駆動装置100sにおいても、上述した駆動装置100oが享受する効果と同様の効果を享受することができる。
更に、夫々の第2ステージ130−2のサイズを相対的に小さくすることができるため、夫々の第2ステージ130−2の質量を相対的に減少させることができる。このため、夫々の第2ステージ130−2を支える第2サスペンション120−2のサイズを相対的に小さくしても(例えば、厚みを薄くしたり、幅を小さくしたりしても)、夫々の第2ステージ130−2を好適に支えることができる。従って、駆動装置100sの軽量化或いは小型化を図ることができる
加えて、駆動装置100sにおいては、トラッキング動作による移動の方向に沿って並ぶように複数の第2ステージ130−2が配列されている。ここで、矩形の形状を有する記録媒体30においては、記録媒体30の記録面の一の領域における熱膨張と、該一の領域とは離れた位置にある他の領域における熱膨張との間にばらつきが生じかねない。このため、一の領域におけるデータのピッチと、他の領域におけるデータのピッチとが一致しない不都合が生じかねない。ここで、単一の第2ステージ130−2を備える駆動装置を用いた場合には、トラッキング動作は、全てのプローブ12に対して共通の距離ずつ行われる。従って、第2ステージ130−2の一方の端部に近接して備え付けられるプローブ12は、記録媒体30の記録面の一の領域の所望のエリア部分(例えば、データを記録すべきエリア部分や、データを再生すべきエリア部分)に対してデータの記録や再生を行うことはできる一方で、第2ステージ130−2の他方の端部に近接して備え付けられるプローブ12は、記録媒体30の記録面の他の領域の所望のエリア部分に対してデータの記録や再生を行うことができないという不都合が生じかねない。しかるに、駆動装置100sによれば、2つの第2ステージ130−2を備えると共に、該2つの第2ステージ130−2の夫々が独立した2つの駆動源のうちの対応する駆動源によって移動される。従って、記録媒体30の記録面の一の領域における熱膨張と、他の領域における熱膨張との間にばらつきが生じていたとしても、一の領域及び他の領域の夫々におけるプローブ12の移動を独立して行うことができるため、一の領域及び他の領域の夫々に対してデータの記録動作及び再生動作を好適に行うことができる。
尚、上述した第6実施例に係る駆動装置100q(更には、駆動装置100rから駆動装置100s)に対して、上述した第1実施例から第5実施例において説明した各種構成を適宜適用してもよいことは言うまでもない。
(2−2−3)第7実施例
続いて、図28及び図29を参照して、第7実施例に係る駆動装置100tについて説明する。ここに、図28は、第7実施例に係る駆動装置100tの構成を概念的に示す平面図であり、図29は、図28に示す第7実施例に係る駆動装置100tのステージ130が移動した場合の態様を概念的に示す平面図である。
図28に示すように、第7実施例に係る駆動装置100tは、複数のプローブ12が備え付けられるステージ130を備えている。ステージ130の左右両側の夫々には、夫々が長手方向に伸張すると共に一方の端部がステージ130に固定される2本の第1サスペンション120−1を備えている。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、ステージ130の右側の構成について説明を進めるが、ステージ130の左側にも同様の構成を有していることは言うまでもない。
2本の第1サスペンション120−1は、長手方向とX軸の方向が一致すると共に短手方向(つまり、Y軸の方向)に沿って隣接するように配列される。2本の第1サスペンション120−1の夫々の他方の端部は、ステージ130をY軸の方向に沿って移動させるための加振力を加えるための加振力印加部181と、ステージ130をX軸の方向に沿って移動させるための駆動力を加えるための駆動力印加部182とを備えると共にY軸の方向に沿って並ぶ2つの駆動源180の一方の端部に固定されている。駆動源180の他方の端部には、長手方向に伸張する2本の第2サスペンション120−2が固定されている。2本の第2サスペンション120−2は、長手方向とX軸の方向が一致すると共に短手方向(つまり、Y軸の方向)に沿って隣接するように配列される。2本の第2サスペンション120−2の夫々の他方の端部は、X軸の方向に沿って伸張可能な第3サスペンション120−3の一方の端部に固定されている。第3のサスペンション120−3の他方の端部は、ベース110に固定されている。更に、ステージ130には、X軸の方向に沿ったステージ130のトラッキング動作を、駆動力印加部182によるトラッキング動作よりもより細かい範囲で行うためのトラッキング回路190が接続されている。
尚、ステージ130と、2本の第1サスペンション120−1と、2つの駆動源180と、2本の第2サスペンション120−2と、第3サスペンション120−3と、ベース110とは、X軸の方向に沿って並ぶように配列されている。
ステージ130は、2本の第1サスペンション120−1及び2本の第2サスペンション120−2の弾性を利用して、図29に示すように、Y軸の方向に沿って移動する。この場合、2本の第1サスペンション120−1は実際に振動するが、2本の第2サスペンション120−2は振動しない又は殆ど振動しない。このため、第2サスペンション120−2を省略し、駆動源180と第3サスペンション120−3とを接続しても良いし、または第2サスペンション120−2と第3サスペンション120−3とを一体化しても良い。
また、ステージ130は、第3サスペンション120−3の弾性を利用して、図29に示すように、X軸の方向に移動する。このようにステージ130を移動させるための加振力及び駆動力は、駆動源180が備える加振力印加部181及び駆動力印加部182に対して、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで所望の電圧が印加されることによって加えられる。尚、加振力印加部181及び駆動力印加部182は、圧電効果に起因した加振力及び駆動力を加える構成(具体的には、電極141、圧電素子142及び電極143)を有していてもよいし、電磁力に起因した加振力及び駆動力を加える構成(具体的には、コイル151及び磁極152)を有していてもよいし、静電力に起因した加振力及び駆動力を加える構成(具体的には、電極161及び電極162)を有していてもよい。
また、アクチュエータ駆動回路22は、各々2本で合計4本の第1サスペンション120−1及びステージ130により定まる共振周波数でステージ130を振動させる(つまり、共振させる)ための加振力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を加振力印加部181に対して印加する。その結果、ステージ130は、各々2本で合計4本の第1サスペンション120−1及びステージ130により定まる共振周波数で共振する。
他方で、アクチュエータ駆動回路22は、所定量ずつ段階的に又は連続的にステージ130を移動させるための駆動力を加えるように、所望のタイミングで所望の電圧を駆動力印加部182に対して印加する。その結果、ステージ130は、所定量ずつ段階的に又は連続的にX軸の方向に沿って移動する。
加えて、トラッキング回路190は、所定量ずつ段階的に又は連続的に且つ駆動力印加部182によるトラッキング動作よりもより細かい単位でステージ130を移動させる。その結果、ステージ130のX軸の方向に沿った高精度なトラッキング動作が行われる。
このため、第7実施例に係る駆動装置100tは、ステージ130をY軸の方向に沿って共振させると共に該ステージ130をX軸の方向に沿って移動させることができる。つまり、ステージ130(言い換えれば、ステージ130に備え付けられる複数のプローブ12)の2軸駆動を行うことができる。このため、複数のプローブ12を用いて、矩形の形状を有する記録媒体30上の概ね全ての記録面に対してデータを記録したり、記録媒体30上の概ね全ての記録面に記録されたデータを再生したりすることができる。
更に、第7実施例に係る駆動装置100tにおいても、上述した第1実施例に係る駆動装置100a等と同様に共振を利用してステージ130をY軸の方向に沿って移動させているため、第1実施例に係る駆動装置100aが享受する効果と同様の効果を享受することができる。つまり、ステージ130の移動に必要な加振力を加えるために必要な電力量を少なくすることができる。従って、より効率的にステージ130を移動させることができ、その結果、駆動装置100tの低消費電力化を実現することができる。また、共振というステージ130及び2本の第1サスペンション120−1を含む振動系自身の挙動を利用してステージ130を移動させることができるため、ステージ130の姿勢の安定性を好適に維持することができる。その結果、ステージ130の移動の態様に対する再現性を好適に得ることができる。その結果、記録媒体30の所望の位置にデータを記録したり、或いは記録媒体30の所望の位置に記録されたデータを再生したりすることができる。
尚、第7実施例に係る駆動装置100tにおいては、Y軸の方向に沿って並ぶ2つの駆動源180のうちの上側の駆動源180により加えられる加振力の位相(或いは、方向)と、2つの駆動源180のうちの下側の駆動源180により加えられる加振力の位相とをずらすように構成してもよい。このようにY軸の方向(つまり、共振の方向)に沿って並ぶ2つの駆動源180により加えられる加振力の位相をずらすことで、ステージ130の共振の振幅(つまり、ステージ130のY軸の方向における移動範囲)を調整することができる。例えば、上側の駆動源180がステージ130を上側に移動させる加振力を加え、且つ下側の駆動源180がステージ130を下側に(つまり、上側の駆動源180により加えられる加振力がステージを移動させる方向とは逆側に)移動させる加振力を加えることで、ステージ130の共振の振幅を減衰することができる。同様に、例えば、上側の駆動源180がステージ130を上側に移動させる加振力を加え、且つ下側の駆動源180がステージ130を下側に(つまり、上側の駆動源180により加えられる加振力がステージを移動させる方向と同一の側に)移動させる加振力を加えることで、ステージ130の共振の振幅を増幅することができる。
上記の例では、また2つの駆動原の位相を180度ずらす例を示した。しかしながら、180度ずらす例に限らず、例えば45度ずらしてもよいし、90度ずらしてもよいし、その他の数値だけずらしてもよいし、連続的に変化させてもよい。この場合には、微妙な振幅の調整が可能となる。
尚、上述した第7実施例に係る駆動装置100tに対して、上述した第1実施例から第6実施例において説明した各種構成を適宜適用してもよいことは言うまでもない。
(2−2−4)第8実施例
続いて、図30を参照して、第8実施例に係る駆動装置100uについて説明する。ここに、図30は、第8実施例に係る駆動装置100uにより実現される複数のプローブ12の移動の軌跡を概念的に示す平面図である。
上述した第5実施例に係る駆動装置100l(更には、駆動装置100mから駆動装置100p)、第6実施例に係る駆動装置100q(更には、駆動装置100r及び駆動装置100s)及び第7実施例に係る駆動装置100tでは、第2ステージ130−2がY軸の方向のみに共振する状態を実現するように動作している。つまり、第2ステージ130−2は、X軸の方向に沿っては共振していない。しかしながら、第8実施例に係る駆動装置100uは、上述した第5実施例に係る駆動装置100l(更には、駆動装置100mから駆動装置100p)、第6実施例に係る駆動装置100q(更には、駆動装置100r及び駆動装置100s)及び第7実施例に係る駆動装置100tと同様の構成を有しつつ、第2ステージ130−2がY軸の方向及びX軸の方向の夫々に沿って共振する状態を実現するように動作する。
このとき、第8実施例に係る駆動装置100uにおいては、第2ステージ130−2のX軸の方向に沿った共振の位相と、第2ステージ130−2のY軸の方向に沿った共振の位相とが略90°ずらされる。言い換えれば、第2ステージ130−2のX軸の方向に沿った共振の位相と、第2ステージ130−2のY軸の方向に沿った共振の位相とを略90°ずらすことができる加振力を加えるように、アクチュエータ駆動回路22から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。その結果、複数のプローブ12の軌道は、図30に示すような円軌道となる。
この場合、第2ステージ130−2上に備え付けられるプローブ12の数に応じて円軌道の半径を変更するように構成してもよい。例えば、プローブ12の数が相対的に少なければ、1つのプローブ12によりデータの記録及び再生が行われるエリア部分が相対的に大きくなるため、円軌道の半径を相対的に大きくすることが好ましい。他方、プローブ12の数が相対的に多ければ、1つのプローブ12によりデータの記録及び再生が行われるエリア部分が相対的に小さくなるため、円軌道の半径を相対的に小さくすることが好ましい。
このような駆動装置100uであっても、上述した各種効果を相応に享受することができる。
尚、上述した第8実施例に係る駆動装置100uに対して、上述した第1実施例から第7実施例において説明した各種構成を適宜適用してもよいことは言うまでもない。
尚、上述の説明では、複数のプローブ12を駆動装置100のステージ130に備え付ける例について説明したが、複数のプローブ12に代えて記録媒体30を駆動装置100のステージ130に備え付けるように構成してもよい。
また、上述の説明では、駆動装置100を強誘電体記録再生装置1に適用した例について説明した。しかしながら、強誘電体記録再生装置1に限らず、各種プローブメモリを含む各種情報記録再生装置に対して駆動装置100を適用してもよいことは言うまでもない。また、情報記録再生装置に限らず、プローブを利用する構成(例えば、AFM(Atomic Force Microscopy)に対して駆動装置100を適用してもよい。更には、ステージをX軸及びY軸の2軸に沿って移動させる各種装置に駆動装置100を適用してもよい。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駆動装置もまた本発明の技術思想に含まれる。