JP2002018450A - 排水の処理方法 - Google Patents

排水の処理方法

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JP2002018450A
JP2002018450A JP2000201913A JP2000201913A JP2002018450A JP 2002018450 A JP2002018450 A JP 2002018450A JP 2000201913 A JP2000201913 A JP 2000201913A JP 2000201913 A JP2000201913 A JP 2000201913A JP 2002018450 A JP2002018450 A JP 2002018450A
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wastewater
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osmosis membrane
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Yusuke Shioda
祐介 塩田
Kuninori Miyazaki
邦典 宮崎
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、排水を酸化処理した後、逆浸透膜
によって有機物や硝酸等の汚染物質含有処理水と汚染物
質をほとんど含まない処理水とに分離し、排水の高度処
理を可能にする排水の処理方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明の排水の処理方法は、排水を酸化
処理および/または分解処理に付する酸化処理工程と、
酸化処理工程を経て得られた処理液にアルカリ金属イオ
ンを添加した後、逆浸透膜を用いて汚染物質を含有する
非透過液と汚染物質をほとんど含有しない透過液とに分
離することを特徴とする排水の処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水を浄化処理す
る方法に関するものである。詳細には有機化合物および
/または窒素化合物が含まれている排水を、酸化処理工
程と逆浸透膜処理工程を組合せて効率よく処理する方法
に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より排水を処理する一手段として、酸
化処理により排水中の有機化合物や窒素化合物などを酸
化・分解する方法が実施されている。しかし、該排水処
理を高度に処理を行う場合、排水中の難分解性有機化合
物や窒素化合物は十分に酸化・分解処理することができ
ず、他の処理手段を併用することが提案されていた。
【0003】例えば、有機化合物及び窒素化合物を含む
排水を処理するに際して、先ず排水を湿式酸化処理し、
次いで、処理後の液を逆浸透膜を用いて濃縮し、該濃縮
液を再度湿式酸化処理することによって浄化作用の向上
を図る方法が提案されている(特開平1−262993
号)。該処理方法は、排水の湿式酸化において、湿式酸
化反応塔でのNOx−N(硝酸態窒素)生成の抑制を目
的とする処理方法である。該目的の達成のため、排水を
湿式酸化処理した後、排水中の酸成分を逆浸透膜を用い
て濃縮し、この濃縮液(非透過液)を更に酸化工程に付
すべく排水に混合して、排水のpHが7となる様に調整
する方法である。
【0004】しかしながら逆浸透膜を用いて濃縮する際
に、ある程度、分子量を有する有機化合物であれば逆浸
透膜により濃縮することができるが、酢酸等の低分子有
機酸類は逆浸透膜を透過することがある。単に逆浸透膜
を用いて湿式酸化後の処理液を処理すると、酢酸等の低
分子有機酸類はほとんど逆浸透膜を透過するものであっ
た。有機化合物を含む排水を湿式酸化処理した場合、酢
酸等の低分子有機酸類は湿式酸化処理後の液中に残留す
ることが多く、湿式酸化処理後の液に若干の酢酸等が含
まれると十分に排水の高度処理するには適さないことも
生じることがある。このため湿式酸化処理した後、逆浸
透膜を用いて処理した透過液中には酢酸等の被酸化物が
含まれ、排水の高度処理を目的とする場合には排水が有
機化合物のみを含む排水であっても十分に排水を浄化で
きないものであった。
【0005】同じく窒素化合物を含む液を逆浸透膜で濃
縮した場合においても、ある程度、分子量を有する窒素
化合物であれば逆浸透膜により濃縮することができる
が、窒素化合物であっても硝酸、亜硝酸などは、逆浸透
膜を透過することがある。特に、液のpHが低い条件で
逆浸透膜を用いて処理すると、ほとんど透過してしまう
ものであった。窒素化合物を含む排水を湿式酸化処理し
た場合、硝酸、亜硝酸などは湿式酸化処理後の液中に残
留することが多く、湿式酸化処理後の液に若干の硝酸等
が含まれると十分に排水の高度処理するには適さないこ
とも生じることがある。このため湿式酸化処理後の液中
に硝酸等の窒素化合物が含まれる場合には、透過液中に
硝酸等の窒素化合物が多く含まれ、排水の高度処理を目
的とする場合に処理が十分にできているとは言えなかっ
た。すなわち、特開平1−262993号のように酸成
分の濃縮を行う際には、硝酸、亜硝酸などの窒素化合物
は、ほとんど逆浸透膜を透過してしまうものであった。
【0006】また「触媒を用いた湿式酸化方法による排
水再生利用技術開発」(造水技術,Vol.16,N
o.3、P13−24(1990))には、排水を湿式
酸化処理して得られた処理水を、ポリエーテル系、ポリ
ビニルアルコール系の逆浸透膜を用いて処理する方法が
記載されているが、ポリエチレンオキサイド系やポリエ
チレンイミン系等を含むポリエチレン系、酢酸セルロー
ス系、ポリビニルアルコール系、ポリエーテル系などの
逆浸透膜は、分子量が100以上の酸成分に対しては高
い分離性能(排除率)を呈すものの、分子量100未満
の酸成分に対する排除率は低く、分子量が小さい酢酸等
の有機酸や硝酸等を十分に捕捉することができない。そ
のため、酢酸等を処理するためには、透過液を更にメタ
ン醗酵などの浄化工程に付す必要があった。また硝酸等
の窒素化合物を処理するためには、透過液を更に嫌気脱
窒処理などの浄化工程に付す必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な状況
に鑑みてなされたものであって、その目的は、排水を酸
化処理工程に付し、酸化および/または分解して得られ
た処理液を、逆浸透膜によって有機化合物や硝酸等の物
質を含有した処理液と、これらをほとんど含まない処理
液とに分離することを可能にする排水の処理方法を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の排水の処理方法とは、有機化合物および/または
窒素化合物含有排水を酸化および/または分解する酸化
処理工程に付し、更に該酸化処理工程を経て得られた処
理液にアルカリ金属イオンを添加し、逆浸透膜を用いて
逆浸透膜非透過液と逆浸透膜透過液とに分離することに
要旨を有する。
【0009】この際、該非透過液の全部または一部を前
記排水と共に酸化処理工程に付してもよい。
【0010】また該非透過液の全部または一部からアル
カリ金属イオンの全部または一部を除去することもよ
い。また酸化処理工程を経て得られた処理液に電気透析
膜を用いてアルカリ金属イオンを添加することが推奨さ
れる。また非透過液の全部または一部から電気透析膜を
用いてアルカリ金属イオンの全部または一部を除去する
ことが推奨される。
【0011】また本発明では、酸化処理工程として湿式
酸化処理を採用することが好ましく、該湿式酸化処理を
加熱,加圧下で行うことが望ましい。
【0012】本発明の方法によって得られる非透過液に
は有機酸,硝酸のうち1種以上が含まれており、また該
非透過液に含まれているこれらの成分は回収工程に付す
ことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは排水を浄化する方法
について種々検討を重ねた結果、酸化処理工程後の処理
液中に含まれる有機酸(酢酸等)や硝酸,亜硝酸等の物
質は、アルカリ金属イオンを添加して逆浸透膜を用いて
処理すれば、非透過液に多く濃縮して含ませることがで
き、また透過液はこれらの物質をほとんど含まない高度
に浄化された処理水となることを見出した。
【0014】即ち本発明の処理方法では、排水、特に有
機化合物および/または窒素化合物を含有する排水を、
酸化処理および/または分解処理(以下、「酸化・分解
処理」と略記する。)に付する酸化処理工程と、酸化処
理工程を経て得られた処理液にアルカリ金属イオンを添
加し、この液を逆浸透膜を用いて処理して、非透過液中
に有機酸塩および/または硝酸塩,亜硝酸塩を濃縮する
ところに一つの特徴を有している。酸化処理工程を経て
得られた処理液を逆浸透膜によって非透過液と透過液と
に分離(処理)する際、処理液中に含まれる有機酸およ
び/または硝酸,亜硝酸が夫々有機酸塩,硝酸塩,亜硝
酸塩であれば、逆浸透膜での分離性能が高まり、非透過
液中に有機酸塩,硝酸塩,亜硝酸塩等の物質をより多く
含有させることができ、また透過液中にはこれらの物質
をほとんど含まず、排水を高度に浄化することができ
る。この有機酸や硝酸,亜硝酸を塩にする方法として、
アルカリ金属イオンを添加することが望ましい。添加さ
れたアルカリ金属イオンは、処理液中に含まれる有機酸
や硝酸,亜硝酸とイオン結合して有機酸塩もしくは硝酸
塩,亜硝酸塩を形成し、分子サイズが大きくなるので逆
浸透膜のこれら物質に対する分離性能(排除率)が向上
する。また有機酸はアルカリ金属イオンの添加によって
負の電荷を有する様になり、負の電荷を有する逆浸透膜
と静電反撥を起こし、逆浸透膜の分離性能を向上するこ
とができる。(以下、「有機酸および/または有機酸
塩」のことを単に「有機酸」と記載することもある。ま
た「硝酸,亜硝酸,硝酸塩,亜硝酸塩」のことを単に
「硝酸」と記載することもある。)尚、逆浸透膜で処理
する際の液のpHが4以上であれば、逆浸透膜の分離性
能が更に向上し、これらの物質に対する逆浸透膜の排除
率が上がり、得られた透過液の浄化性を飛躍的に向上さ
せることができる。この液のpHは、好ましくはpH4
以上、より好ましくはpH5以上、更に好ましくはpH
6以上となる様に調整することが望ましい。pHが9を
超えると逆浸透膜の分離性能が低下することが多いた
め、液のpH上限はpH9とすることが好ましく、より
好ましくはpH8、更に好ましくはpH7.5である。
すなわち、この範囲のpHとなるようにアルカリ金属イ
オンを添加することが望ましい。また、この際の処理液
中に含まれる有機酸および硝酸の合計量に対してアルカ
リ金属イオンの含有量は、50モル%以上となる様に添
加すると逆浸透膜の分離性能を高めることができるので
望ましく、より望ましくは80モル%以上であり、更に
望ましくは90モル%以上である。また200モル%以
下であれば良く、より望ましくは150モル%以下であ
り、更に望ましくは120モル%以下である。なお、こ
の場合のアルカリ金属イオンの含有量は、硝酸以外の無
機酸および/または無機塩が存在する場合、該無機酸お
よび/または無機塩の対イオンとして存在するアルカリ
金属イオンを除いた量である。また前記方法で有機酸お
よび/または硝酸を多く含有した非透過液の全部または
一部は、前記排水と共に酸化処理工程に再度付すこと
で、排水の浄化性を高めることができることを見出し
た。本発明の排水の処理方法によって有機酸および/ま
たは硝酸は非透過液中に捕捉されている。この非透過液
の一部または全部を、直接的に、または間接的に排水の
酸化処理工程における任意の位置に戻すものである。例
えば酸化処理工程に付す前の排水に直接戻したり、ある
いは任意の位置から排水に供給して酸化処理工程に付し
てもよい。非透過液を酸化処理工程に循環させて再度酸
化・分解処理すると、循環させた物質をほぼ完全に酸化
・分解処理することができるので望ましい。この際、非
透過液の一部または全部をメタン醗酵や脱窒処理等の生
物処理に付して処理してもよく、あるいは燃焼処理や化
学的処理などの他の排水処理を実施する等、用途や目的
に合わせて自由に組合せることができる。この様な処理
に付される非透過液量は、逆浸透膜を使用しない場合と
比較して有機酸や硝酸が濃縮されており、より高効率で
しかも低コストで処理することができる。
【0015】また非透過液の一部または全部を、有機酸
や硝酸など、非透過液中に含まれる有効成分の回収工程
に付しても良い。このときの回収方法としては特に限定
されず、例えば直接蒸留によって回収する方法や、有機
溶媒を用いて有機酸を抽出し、その後抽出液を蒸留によ
って脱水,脱溶媒して有機酸を回収する方法など公知の
回収方法を用いることが出来る。
【0016】本発明に係る排水の処理方法を用いて排水
を処理した場合、逆浸透膜によって有機酸等の被酸化物
や窒素化合物を含む非透過液とこれら汚染物質をほとん
ど含まない透過液とに分離することができる。また該透
過液には汚染物質がほとんど含まれておらず、高度に処
理された浄化水であるので、生物処理等の従来行われて
いた処理を行うことなく、工業用水や生活用水として再
利用することができる。また該透過液に更に高度浄化処
理を施して得られた処理水は、純水として利用すること
もできる。
【0017】本発明で処理される排水の種類は特に限定
されず、例えば化学プラント,電子部品製造設備,食品
加工設備,金属加工設備,金属めっき設備,印刷製版設
備,写真設備等の各種産業プラントからの排水や、更に
火力発電や原子力発電などの発電設備などからの排水で
もよく、要するに有機化合物および/または窒素化合物
が含まれている排水であれば全て包含される。具体的に
はEOG製造設備,メタノール,エタノール,高級アル
コールなどのアルコール製造設備からの排水、特にアク
リル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリ
ル酸エステルなどの脂肪族カルボン酸やそのエステル,
或いはテレフタル酸,テレフタル酸エステルなどの芳香
族カルボン酸もしくは芳香族カルボン酸エステルの製造
プロセスから排出される有機物含有排水が例示される。
またアミン,イミン,アンモニア,ヒドラジン等の窒素
化合物を含有している排水でもよい。また下水やし尿な
どの生活排水であってもよい。或いはダイオキシン類や
フロン類,フタル酸ジエチルヘキシル,ノニルフェノー
ルなどの有機ハロゲン化合物や環境ホルモン化合物等の
有害物質を含有している排水でも良い。
【0018】また本発明で採用される酸化処理工程とし
ては、例えば湿式酸化処理,超臨界酸化処理,オゾン酸
化処理,過酸化水素を用いた酸化処理,過塩素酸塩など
を用いた酸化処理,亜硝酸を用いた酸化処理,紫外光を
用いた酸化処理,電解を用いた酸化処理など、更には生
物処理や燃焼処理なども含まれるが、特に湿式酸化処理
を用いることが推奨される。
【0019】以下、図1の処理装置を用いて排水を処理
する方法について説明する。図1は酸化処理工程の一つ
として湿式酸化処理を採用した場合の処理装置の一実施
態様を示す概略図であるが、本発明で用いられる装置は
これに限定する趣旨では決してない。
【0020】排水供給源から供給される有機化合物およ
び/または窒素化合物を含有する排水は、排水供給ライ
ン6を通して排水タンク16に供給される。また後述す
る非透過液は濃縮液返還ライン17を通して該排水タン
ク16に供給される場合があるが、非透過液は任意の位
置で排水に供給して混合してもよく、また排水タンク1
6を設けなくてもよい。
【0021】尚、酸化処理工程に付す排水は、予め逆浸
透膜を用いて排水中に含まれる有機化合物および/また
は窒素化合物を非透過液に濃縮して含ませてもよく、こ
の際、後述する湿式酸化処理後に用いられる逆浸透膜を
用いることができる。
【0022】排水は排水タンク16を介して排水供給ポ
ンプ5から加熱器3に送られる。この際の空間速度は特
に限定されず、反応塔の処理能力によって適宜決定すれ
ばよいが、通常は、反応塔あたりの空間速度で0.1h
-1〜10hr-1,より好ましくは0.2hr-1〜5h
-1,更に好ましくは0.3hr-1〜3hr-1となるよ
うに調整することが推奨される。空間速度が0.1hr
-1未満の場合、排水の処理量が低下して、過大な設備が
必要となり、逆に10hr-1を超える場合には、反応塔
内での排水の酸化・分解処理が不十分になる。
【0023】本発明で用いることができる湿式酸化処理
は酸素含有ガスの存在下、もしくは不存在下のいずれの
条件でも行うことが出来るが、排水中の酸素濃度を高め
ると反応塔内での排水中の被酸化物の酸化・分解効率を
向上させることができるので、排水に酸素含有のガスを
混入させることが望ましい。
【0024】酸素含有ガスの存在下に処理を行う場合に
は、酸素含有ガスを酸素含有ガス供給ライン8から導入
し、コンプレッサー7で昇圧した後、排水が加熱器3に
供給される前に排水に混入することが望ましい。
【0025】本発明で用いることの出来る酸素含有ガス
としては、酸素分子および/またはオゾンを含有するガ
スであれば特に限定されず、純酸素,酸素富化ガス,空
気等でもよく、あるいは過酸化水素水や他のプラントで
生じた酸素含有ガスを利用してもよい。これらの中でも
空気を用いることが経済的観点から推奨される。
【0026】酸素含有ガスを供給する場合の供給量は特
に限定されず、排水中の被酸化物を酸化・分解処理する
能力を高めるのに有効な量を供給すればよい。酸素含有
ガスの供給量は例えば、酸素含有ガス流量調節弁9を設
けることによって供給量を適宜調節することが出来る。
酸素含有ガスの供給量として好ましくは、排水中の被酸
化物の理論酸素要求量の0.5〜5.0倍、より好まし
くは0.7倍〜3.0倍の酸素量であることが推奨され
る。酸素含有ガスの供給量が0.5倍未満の場合は、被
酸化物が十分に酸化・分解処理されずに湿式酸化処理を
経て得られた処理液中に比較的多く残留し、逆浸透膜処
理工程における逆浸透膜の負担が増大する。また5.0
倍を超えて酸素を供給しても酸化・分解処理能力が飽和
する。
【0027】尚、本発明において「理論酸素要求量」と
は、排水中の被酸化物を窒素,二酸化炭素,水,灰分に
まで酸化および/または分解するのに必要な酸素量のこ
とである。
【0028】排水中の被酸化物の理論酸素要求量は、多
くの場合、化学的酸素要求量(COD(Cr))によっても求
めることができる。
【0029】次に加熱器3に送られた排水は予備加熱さ
れた後、反応塔1に供給される。反応塔内での排水の温
度は他の条件にも影響されるが、370℃を超える温度
に加熱されると、排水を液相状態に保持するのに高い圧
力を加えなければならず、そのために設備の大型化,ラ
ンニングコストの上昇をもたらすので、加熱温度は好ま
しくは270℃以下,より好ましくは230℃以下,更
に好ましくは170℃以下とすることが望ましい。一
方、排水の温度が80℃未満では排水中の汚染物質の酸
化・分解処理を効率的に行うことが困難になるので、好
ましくは100℃以上,より好ましくは110℃以上に
加熱することが望ましい。
【0030】尚、排水を加熱する時期は特に限定され
ず、上述した通り予め加熱した排水を反応塔内に供給し
てもよいし、或いは、排水を反応塔内に供給した後に加
熱してもよく、また蒸気などの熱源を排水に供給しても
よい。
【0031】また、本発明で用いられる湿式酸化法にお
いて、反応塔の数,種類,形状等は特に限定されず、通
常の湿式酸化処理に用いられる反応塔を単数又は複数組
合せて用いることができ、例えば単管式の反応塔や多管
式の反応塔などを用いることが出来る。また複数の反応
塔を設置する場合、目的に応じて反応塔を直列または並
列にするなど任意の配置とすることができる。
【0032】排水の反応塔への供給方法としては、気液
上向並流,気液下向並流,気液向流など種々の形態を用
いることができ、またこれらの供給方法を2以上組合せ
ても良い。
【0033】反応塔内での処理に固体触媒を用いると、
排水中に含まれる有機化合物や窒素化合物の酸化・分解
処理効率を向上することができると共に、固体触媒を用
いない場合に比べて、反応塔内の処理温度を下げること
ができるので望ましい。本発明で用いることができる固
体触媒は特に限定されないが、例えばマンガン,コバル
ト,ニッケル,銅,セリウム,銀,白金,パラジウム,
ロジウム,金,イリジウム,ルテニウムの群から選ばれ
る少なくとも1種を含有する固体触媒が推奨される。こ
れらの元素の含有量は特に限定されないが、固体触媒中
に好ましくは0.01〜25質量%、より好ましくは
0.05〜10質量%の割合で含有されていることが望
ましい。また固体触媒には、上記元素に加え、チタン,
ジルコニウム,アルミニウム,ケイ素,鉄,活性炭から
選ばれる少なくとも1種以上を含有させることが望まし
い。
【0034】上記固体触媒の形状は特に限定されず、例
えばペレット状,球状,粒状,リング状あるいはハニカ
ム状等、任意の形状で用いることができる。
【0035】湿式酸化処理を用いた場合、上記固体触媒
を数種類用いてもよく、また複数の反応塔を用いる場合
には、固体触媒を用いた反応塔と、固体触媒を用いない
反応塔を組合せることもでき、固体触媒の使用方法は特
に限定されるものではない。
【0036】また、反応塔内にはこれらの固体触媒以外
にも、気液の攪拌,接触効率の向上,気液の偏流低減等
を目的として、種々の充填物、内作物などを組み込んで
もよい。
【0037】一方、排水を高温にしすぎると反応塔内で
排水がガス状態となるため、触媒表面に有機物,無機物
などが付着し、触媒の活性が劣化することがある。従っ
て高温下でも排水が液相を保持できるように反応塔内に
圧力を加えることが推奨される。また湿式酸化処理装置
の排ガス出口側に圧力調整弁を設け、反応塔内で排水が
液相を保持できるように処理温度に応じて圧力を適宜調
節することが望ましい。例えば処理温度が80℃以上,
95℃未満の場合には、大気圧下においても排水は液相
状態であり、経済性の観点から大気圧下でもよいが、処
理効率を向上させるためには加圧することが好ましい。
また処理温度が95℃以上の場合、大気圧下では排水が
気化することが多いため、処理温度が95℃以上,17
5℃未満の場合、0.2〜1MPa(Gauge)程度
の圧力、処理温度が175℃以上,230℃未満の場
合、1〜5MPa(Gauge)程度の圧力、また処理
温度が230℃以上の場合、5MPa(Gauge)超
の圧力を加え、排水が液相を保持できる様に圧力を制御
することが望ましい。
【0038】排水中の汚染物質は反応塔内で酸化・分解
処理されるが、本発明において「酸化・分解処理」と
は、酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を
二酸化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、尿素をアン
モニアと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアや
ヒドラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、ジメチ
ルスルホキシドを二酸化炭素,水,硫酸イオンなどの灰
分にする酸化及び酸化分解処理、ジメチルスルホキシド
をジメチルスルホンやメタンスルホン酸にする酸化処
理、アンモニアやDMFなどの有機窒素化合物中の窒素
成分を硝酸や亜硝酸に酸化する酸化分解処理、硝酸や亜
硝酸を窒素ガスなどに分解する分解処理などが例示され
る。即ち易分解性の物質を窒素ガス,二酸化炭素,水,
灰分などにまで分解する処理や、難分解性の有機化合物
や窒素化合物を低分子量化する分解処理,若しくは酸化
する酸化処理など種々の酸化および/または分解を含む
意味である。なお本発明で述べる汚染物質とは、被酸化
性の有機化合物やアンモニア、ヒドラジン、硫化ナトリ
ウムなどの無機物および硝酸や亜硝酸などの物質のこと
である。また被酸化物とは、有機化合物やアンモニア、
ヒドラジン、硫化ナトリウムなど酸化される物質のこと
である。なお硝酸は被酸化物ではないが、被酸化物と同
時に酸化・分解処理した場合、窒素ガス等に分解処理で
きるものである。
【0039】また湿式酸化処理を経て得られた処理液中
には、有機化合物を処理した場合、難分解性の有機化合
物が低分子化されて残存していることが多く、低分子化
された有機化合物としては低分子量の有機酸、特に酢酸
が残留していることが多い。また排水中に窒素化合物が
多い場合、処理条件によっては湿式酸化処理を経て得ら
れた処理液中には硝酸が残留していることが多い。
【0040】反応塔で酸化・分解処理された排水は、処
理液ライン10から取り出され、必要に応じて冷却器4
で適度に冷却された後、気液分離器11によって気体と
液体に分離される。その際、液面コントローラーLCを
用いて液面状態を検出し、液面制御弁13によって気液
分離器内の液面が一定となるように制御することが望ま
しい。或いは酸化・分解処理された排水を冷却せずに、
または図3に示す様に冷却器34である程度冷却した後
に、圧力制御弁42を介して排出し、その後で、気液分
離器41によって気体と液体に分離しても良い。
【0041】ここで、気液分離器内の温度は、特に限定
されないが、反応塔で酸化・分解処理された液中には二
酸化炭素が多く含有されていることが多い。二酸化炭素
が多く液中に存在する場合、逆浸透膜で処理する際の液
pHが低いものとなることが多いため、例えば気液分離
器内の温度を高くして排水中の二酸化炭素を放出させる
ことが望ましい。また気液分離器で分離した液を空気等
のガスでバブリング処理等し、液中の二酸化炭素を放散
さすことが望ましい。
【0042】気液分離器11で分離して得られた液体
(処理液)は、次に逆浸透膜を用いて処理することによ
り汚染物質を含む非透過液と汚染物質をほとんど含まな
い透過液とに分離される。逆浸透膜に供給される処理液
の温度は、逆浸透膜の耐久性を維持するために40℃以
下であることが好ましい。処理液の温度制御には、処理
液を気液分離器11に付す前に冷却器4を設けて冷却し
てもよく、あるいは気液分離後に熱交換器(図示しな
い)や冷却器(図示しない)を設けて処理液を冷却して
もよい。
【0043】尚、本発明で用いられる湿式酸化処理を行
うに当たり、加熱器及び冷却器には熱交換器を用いるこ
ともでき、これらを適宜組合せて使用することができ
る。
【0044】また逆浸透膜に供される処理液はMF膜,
UF膜などの各種ろ過設備を使用し、予め固液分離処理
を行ってから逆浸透膜で処理しても良い。
【0045】本発明に係る排水の処理方法は、この様な
湿式酸化処理や他の酸化処理を経て得られた処理液を逆
浸透膜を用いて処理することで、処理液中に含まれる有
機酸(酢酸など)および/または窒素化合物(硝酸な
ど)等を非透過液中に捕捉,濃縮することができる。
【0046】酸化処理工程を経て得られた処理液中に含
まれる汚染物質は主として有機酸および/または硝酸で
あることが望ましく、好ましくはこれらが30質量%以
上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは7
0質量%以上の割合で処理液に含有されていることが望
ましい。
【0047】尚、処理液中に含まれる汚染物質量は、例
えばTOD,ThOD,COD(Cr),COD(M
n),TOC,BOD,全窒素,あるいは特定成分の測
定値から算出することができる。
【0048】本発明において用いる逆浸透膜は、高脱塩
率を有する逆浸透膜であることが望ましい。この「高脱
塩率を有する逆浸透膜」とは、圧力1.47MPa(G
auge),pH6.5,温度25℃の条件下で0.1
5%NaCl水溶液に対して脱塩率(排除率)が98.
0%以上,より好ましくは99.0%以上,更に好まし
くは99.5%以上を示す逆浸透膜であって、且つ分子
量100未満の有機酸、例えば酢酸に対して高い分離性
能(排除率60%以上,好ましくは70%以上,更に好
ましくは80%以上)を有する逆浸透膜を意味し、この
様な逆浸透膜としては、例えば架橋ポリアミド系や芳香
族ポリアミド系などを含むポリアミド系,脂肪族アミン
系,複素環ポリマー系の逆浸透膜が例示され、特に架橋
ポリアミド系や芳香族ポリアミド系などのポリアミド系
逆浸透膜は有機酸および/またはアンモニアに対する分
離性が高いので推奨される。
【0049】尚、酢酸セルロース系,ポリエチレン系,
ポリビニルアルコール系,ポリエーテル系などの逆浸透
膜の様に分子量100未満の有機酸、例えば酢酸に対し
て分離性能(排除率60%未満)が低い逆浸透膜は、あ
まり推奨されない。
【0050】逆浸透膜の膜形態としては、非対称膜,複
合膜などの各種膜形態を用いることができるが、これら
のうち特に複合膜が推奨され、本発明では逆浸透膜とし
てポリアミド系複合膜を用いることが推奨される。
【0051】本発明で用いられる逆浸透膜の膜モジュー
ルは特に限定されず、例えば平膜型モジュール,中空糸
型モジュール,スパイラル型モジュール,円筒型モジュ
ール,プリーツ型モジュールなどのいずれであってもよ
く、特にモジュールの膜面積が大きく、装置のコンパク
ト化に好適であるスパイラル型モジュールが望ましい。
【0052】尚、逆浸透膜に供される処理液量は特に限
定されず、湿式酸化処理を経て得られた処理液の全量ま
たは一部を逆浸透膜に付すことができる。また本発明で
は、酸化処理工程を経て得られた処理液にアルカリ金属
イオンを添加するが、この添加位置は特に限定されず、
酸化処理工程の途中であっても良いし、逆浸透膜での処
理途中であっても良いが、好ましくは図2に示すように
酸化処理工程の気液分離した後から、逆浸透膜での処理
を行うために液を昇圧するまでの間で添加することが推
奨される。このアルカリ金属イオンの添加方法としては
特に限定されるものではなく、アルカリ金属イオンを含
有する水溶液をポンプで添加しても良いし、アルカリ金
属の化合物を添加しても良い。また本発明においては、
酸化処理工程を経て得られた処理液にアルカリ金属イオ
ンを添加する方法として、先に記載した直接アルカリ金
属イオンを添加する方法以外に、図4に示すように電気
透析膜を用いて添加する処理方法も推奨される。すなわ
ち、陽イオン交換膜を用いてアルカリ金属イオンの置換
処理を行うものである。この場合、アルカリ金属イオン
を供給する液(脱塩液)としては、逆浸透膜で得られた
非透過液を使用することが望ましい。逆浸透膜で得られ
た非透過液は、アルカリ金属イオンを高濃度で含有して
いるものである。また、アルカリ金属イオンを添加する
液としては、酸化処理工程を経て得られた処理液を用い
る。これより酸化処理工程を経て得られた処理液は、ア
ルカリ金属イオンが増量され、液のpHが上昇する。逆
に逆浸透膜で得られた非透過液は、アルカリ金属イオン
が減量され、液のpHが低下する。この場合、逆浸透膜
の非透過液からアルカリ金属イオンを全量脱塩する必要
はなく、一部分の脱塩でよいものである。これは、酸化
処理工程を経て得られた処理液にアルカリ金属イオンを
少量添加するだけで、逆浸透膜での高度処理を行うのに
十分であることが多いためである。この電気透析膜を用
いてアルカリ金属イオンを添加する処理方法を採用した
場合、アルカリ金属イオンの使用量を減量でき、ランニ
ングコストを低減できる利点がある。また多くの湿式酸
化反応では、アルカリ金属イオン量が少ないほど反応速
度が上昇し、排水の処理性能が向上することが多い。こ
のため、逆浸透膜の非透過液の全部または一部を排水と
共に酸化処理工程に再度付すことを採用することのある
本発明では、逆浸透膜で得られた非透過液中のアルカリ
金属イオン量が少ないほど望ましいものである。すなわ
ち、逆浸透膜の非透過液の全部または一部からアルカリ
金属イオンの全部または一部を除去することが効果的で
ある。このための方法も先に記載した電気透析膜を用い
た処理方法では簡単に実施することができ、望ましいも
のである。また逆浸透膜で得られた非透過液の全部また
は一部からアルカリ金属イオンの全部または一部を除去
する方法としては、電気透析膜を用いる方法以外に、イ
オン交換樹脂を用いてアルカリ金属イオンを吸着除去す
る方法なども採用することができる。本発明で採用する
電気透析膜の種類としては、陽イオン交換膜を使用する
ものであるならば特に限定されるものではない。電気透
析のプロセスとしては、回分法、一過流通式連続法、部
分循環式連続法など種々の方法を採用することができ、
1段で処理しても良いし、多段で処理しても良い。また
膜の種類も炭化水素系イオン交換膜やフッ素系イオン交
換膜を用いることができ、置換基もスルホン酸系やカル
ボン酸系などを用いることができる。また陰イオン交換
膜と組み合わせて使用しても良く、特に限定されるもの
ではない。なお、電気透析膜を用いたアルカリ金属イオ
ンの添加方法と直接アルカリ金属イオンを添加する方法
の両方を組み合わせても良いものである。更に本発明に
係る方法では、酸化処理工程を経て得られた処理液の一
部および/または逆浸透膜透過液の一部または全部を、
酸化処理工程に付す前の排水に直接戻したり、あるいは
排水供給ラインの任意の位置から排水に供給して酸化処
理工程に付してもよい。例えば酸化処理工程を経て得ら
れた処理液および/または透過液を排水の希釈水として
用いると、排水のTOD濃度やCOD濃度を低下させる
ことができる。あるいは透過液を排水の塩濃度希釈用水
として用いることができる。また本発明に係る方法で
は、酸化処理工程を経て得られた処理液の一部および/
またはアルカリ金属イオンを添加した後の液の一部を逆
浸透膜での処理に付すことなく、別工程に付すこともで
きる。これにより、本発明に係る逆浸透膜非透過液の全
量を排水と共に酸化処理工程に再度付した場合に、液中
に蓄積することが予想されるスケール成分やハロゲン成
分等の排水処理に際して問題となる微量成分の高濃度化
を防止できるものである。
【0053】以下、実施例によって本発明を更に詳述す
るが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前
・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全
て本発明の技術範囲に包含される。
【0054】
【実施例】実施例1 図1および図2に示す装置を使用し、酸化処理工程には
湿式酸化処理を採用して下記の条件下で500時間処理
を行った。湿式酸化処理には直径26mm,長さ300
0mmの円筒状の反応塔1を用い、内部には固体触媒と
してチタニアと白金を主成分とし、白金含有量が0.2
質量%の触媒を0.8リットル充填した。処理に供した
排水は、脂肪族カルボン酸および脂肪族カルボン酸エス
テル製造プロセスから排出された排水で、アルコール,
アルデヒド,カルボン酸などの有機化合物を多く含有し
ていた。また排水のCOD(Cr)は21g/リット
ル,pHは2.4であった。尚、排水にはアルカリ金属
イオン,アンモニウムイオン,無機塩は含有していなか
った。
【0055】(酸化処理工程)排水供給ライン6を通し
て供給された上記排水と、後述する逆浸透膜処理工程で
得られた非透過液とを排水タンク16で混合し、排水供
給ポンプ5を用いて1.6リットル/hの流量で昇圧フ
ィードした後、加熱器3で160℃に加熱して反応塔1
の底から供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン
8から供給し、コンプレッサー7で昇圧した後、O2
COD(Cr)(供給ガス中の酸素量/排水の化学的酸
素要求量)=1.1となる様に、酸素含有ガス流量調節
弁9で流量を制御して加熱器3の手前で該混合液に混入
した。反応塔1では、気液上向並流で処理を行った。反
応塔1では、電気ヒーター2を用いて160℃に保温
し、酸化・分解処理を実施した。得られた処理液は、処
理液ライン10を経て気液分離器11に送り気液分離し
た。気液分離器11では液面コントローラーLCで液面
を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁13か
ら処理液を排出した。また圧力制御弁12は圧力コント
ローラーPCで圧力を検出し、0.9MPa(Gaug
e)の圧力を保持する様に制御した。湿式酸化処理を経
て得られた処理液のCOD(Cr)は5.0g/リット
ル,pH4.8であり、全TOC成分中の96%が酢酸
であった。
【0056】(逆浸透膜処理工程)この酸化処理工程で
得られた処理液は、処理液排出ライン15を経て排出し
た後、空気バブリング処理を施して液中の二酸化炭素を
放散処理し(図示しない)、その後図2に示すアルカリ
供給ライン20を介して水酸化ナトリウムの水溶液を添
加して液のpHが6.5となるようにした。添加後の処
理液中のナトリウムイオン量は、1.8g/リットルで
あった。得られたこの液を逆浸透膜処理装置18に3M
Pa(Gauge)の圧力を保持する様に供給し、非透
過液量が逆浸透膜で処理する液量の1/4となる様に制
御した。尚、逆浸透膜としては、ポリアミド系複合膜
(0.15%NaCl水溶液に対して脱塩率(排除率)
99.5%)を使用した。逆浸透膜で処理して得られた
透過液のCOD(Cr)は0.1g/リットル未満であ
り、また非透過液のCOD(Cr)は20g/リットル
であった。そして該非透過液の85%を濃縮液返還ライ
ン17から排水タンク16に供給し、該非透過液の15
%を濃縮液排出ライン19から排出した。 比較例1 排水供給ライン6を通して供給された実施例1と同じ排
水のみを排水供給ポンプ5を用いて湿式酸化処理工程に
付し、逆浸透膜処理工程で得られた非透過液を排水タン
ク16に混合しなかった。またアルカリ金属イオンを添
加しなかった以外は、実施例1と同じ方法で湿式酸化処
理工程および逆浸透膜処理工程を行った。湿式酸化処理
を経て得られた処理液のCOD(Cr)は4.2g/リ
ットル,pH2.7であり、全TOC成分中の97%が
酢酸であった。
【0057】この酸化処理工程で得られた処理液を、処
理液排出ライン15を経て排出した後、空気バブリング
処理を施して液中の二酸化炭素を放散処理し(図示しな
い)、図2に示すアルカリ供給ライン20を介して水酸
化ナトリウムの水溶液を添加せずに、実施例1と同じ方
法で逆浸透膜処理工程に付した。得られた透過液のCO
D(Cr)は1.7g/リットルであり、十分な分離結
果を得ることができなかった。
【0058】実施例2 (酸化処理工程)排水供給ライン6を通して供給された
上記排水と、後述する逆浸透膜処理工程で得られた非透
過液とを排水タンク16で混合し、実施例1と同じ方法
で湿式酸化処理工程を行った。なお、逆浸透膜処理工程
で得られた非透過液は、濃縮液返還ライン17を介して
排水タンク16に返送する前に、陽イオン交換樹脂を用
いて非透過液中のナトリウムイオンの全量を吸着除去し
た(図示しない)。得られた該非透過液の全量は、濃縮
液返還ライン17から排水タンク16に供給した。湿式
酸化処理を経て得られた処理液のCOD(Cr)は4.
3g/リットル,pH2.7であり、全TOC成分中の
97%が酢酸であった。
【0059】(逆浸透膜処理工程)この酸化処理工程で
得られた処理液は、実施例1と同じ方法で水酸化ナトリ
ウムの水溶液を添加して液のpHが6.5となるように
し、実施例1と同じ方法で逆浸透膜処理工程に付した。
なお逆浸透膜処理工程に付した処理液中のナトリウムイ
オン濃度は、1.6g/リットルであった。逆浸透膜で
処理して得られた透過液のCOD(Cr)は0.1g/
リットル未満であり、また非透過液のCOD(Cr)は
17g/リットルであった。
【0060】実施例3 図3および図4に示す装置を使用し、湿式酸化処理を下
記の条件下で500時間で行った。反応塔31には、直
径26mm、長さ3000mmの円筒形のものを用い、
内部には固体触媒として活性炭と白金を主成分とし、白
金含有量が0.3質量%の触媒を1.1リットル充填し
た。処理に供した排水は、エチルアルコールやプロピル
アルコールなどのアルコール類を多量に含有する溶剤系
排水を用いた。該排水のCOD(Cr)は14g/リッ
トル、pHは6.8であった。尚、排水にはアルカリ金
属イオン,アンモニウムイオン,無機塩は含まれていな
かった。
【0061】(酸化処理工程)排水供給ライン36から
送られてくる上記排水と、後述する逆浸透膜の非透過液
(電気透析膜の脱塩液)とを排水タンク46で混合し
た。該混合液は排水供給ポンプ35で0.75リットル
/hの流量で昇圧フィードした後、加熱器33で120
℃に加熱し、反応塔31の上部から供給した。また空気
を酸素含有ガス供給ライン38から供給し、コンプレッ
サー37で昇圧した後、O2/COD(Cr)=0.8
7となる様に酸素含有ガス流量調節弁39で流量を制御
して加熱器33の手前で該混合液に供給した。反応塔3
1では、気液下向並流で処理を行った。また反応塔31
では、電気ヒーター32を用いて120℃に保って酸化
・分解処理を実施した。得られた処理液は、処理液ライ
ン40を経て冷却器34で80℃まで冷却し、圧力制御
弁42から解圧排出した。なお圧力制御弁42は圧力コ
ントローラーPCで圧力を検出し、0.4MPa(Ga
uge)の圧力を保持する様に制御した。排出された気
液は気液分離器41に送り気液分離し、気液分離器41
では空気バブリング処理を施して液中の二酸化炭素を放
散処理した(図示しない)。得られた処理液のCOD
(Cr)は1.9g/リットル、pH3.9であり、全
TOC成分中の98%が酢酸であった。
【0062】(逆浸透膜処理工程)得られた処理液は、
10%を処理液排出ライン45から排出し、残り90%
を電気透析膜処理工程送液ライン49を介して電気透析
膜処理工程に供給した。電気透析膜処理工程では、酸化
処理工程で得られた処理液と後述する逆浸透膜処理工程
で得られた非透過液との陽イオン交換処理を行い、逆浸
透膜処理工程で得られた非透過液中の1/4のナトリウ
ムイオンが、酸化処理工程で得られた処理液に移行する
ようにした。電気透析膜処理工程で得られた陽イオン濃
縮液中のナトリウムイオン濃度は、0.65g/リット
ルであった。引き続き、この陽イオン濃縮液にアルカリ
供給ライン50から水酸化ナトリウム水溶液を微量供給
して液のpHが6.5となるようにした後、逆浸透膜処
理工程48に2.0MPa(Gauge)の圧力を保持す
る様に供給した。なお水酸化ナトリウムを添加した液の
ナトリウムイオン濃度は、0.68g/リットルであっ
た。また電気透析膜処理工程で得られた脱塩液中のナト
リウムイオン濃度は、3g/リットルであった。この脱
塩液は排水タンク46に送付し、排水と混合した。逆浸
透膜処理工程では、非透過液量が供給する処理液量の1
/6となる様に処理した。尚、逆浸透膜には、ポリアミ
ド系複合膜(0.15%NaCl水溶液に対して脱塩率
(排除率)99.7%)を使用した。得られた透過液
は、COD(Cr)0.1g/リットル未満であった。
また非透過液はCOD(Cr)11g/リットルであ
り、ナトリウムイオン濃度は4g/リットルであった。
【0063】実施例4 下記条件以外は実施例3と同じ方法で湿式酸化処理を行
った。反応塔31の内部には固体触媒として、主成分と
してチタンと鉄の酸化物およびルテニウムとパラジウム
からなる触媒を1.0リットル充填した。該触媒のそれ
ぞれの質量比は、TiO2:Fe2O3:Ru:Pd換
算で10:89.5:0.3:0.2であった。また排
水としては溶剤系の有機化合物および有機窒素化合物,
アンモニアを含有し、COD(Cr)31g/リット
ル,全窒素濃度1.75g/リットル,pH4.3の排
水を用いた。
【0064】(酸化処理工程)該排水と後述する逆浸透
膜の非透過液(電気透析膜の脱塩液)の全量とを排水タ
ンク46で混合した。該混合液を排水供給ポンプ35で
2.0リットル/hの流量で昇圧フィードした後、加熱
器33で220℃に加熱し、反応塔31の上部から供給
して処理圧力3.0MPa(Gauge)となるように
制御した。また空気を酸素含有ガス供給ライン38から
供給し、コンプレッサー37で昇圧した後、O2/CO
D(Cr)=0.9の割合となるように酸素含有ガス流
量調節弁39で流量を制御して加熱器33の手前で該混
合液に供給した。反応塔31では気液下向並流で処理を
行った。反応塔31では電気ヒーター32を用いて22
0℃に保温し、酸化・分解処理を行った。なお、気液分
離器41では空気バブリング処理を施して液中の二酸化
炭素を放散処理した(図示しない)。得られた処理液の
COD(Cr)は6.2g/リットル、pHは4.1で
あり、全TOC成分中の90%以上が酢酸であった。ま
た硝酸イオンを530mg/リットル含有していた。な
お、アンモニアおよび有機性の窒素化合物は検出されな
かった。
【0065】(逆浸透膜処理工程)得られた処理液は、
5%を処理液排出ライン45から排出し、残り95%を
電気透析膜処理工程送液ライン49を介して電気透析膜
処理工程に供給した。電気透析膜処理工程では、酸化処
理工程で得られた処理液と後述する逆浸透膜処理工程で
得られた非透過液との陽イオン交換処理を行い、逆浸透
膜処理工程で得られた非透過液中の1/5のナトリウム
イオンが酸化処理工程で得られた処理液に移行するよう
にした。電気透析膜処理工程で得られた陽イオン濃縮液
中のナトリウムイオン濃度は、2.3g/リットルであ
った。引き続き、この陽イオン濃縮液にアルカリ供給ラ
イン50から水酸化ナトリウム水溶液を微量供給して液
のpHが6.5となるようにした後、逆浸透膜処理工程
48に4.0MPa(Gauge)の圧力を保持する様に
供給した。また電気透析膜処理工程で得られた脱塩液中
のナトリウムイオン濃度は、5.6g/リットルであっ
た。この脱塩液は排水タンク46に送付し、排水と混合
した。逆浸透膜処理工程では、非透過液量が供給する処
理液量の1/3となる様に処理した。尚、逆浸透膜に
は、ポリアミド系複合膜(0.15%NaCl水溶液に
対して脱塩率(排除率)99.7%)を使用した。得ら
れた透過液はCOD(Cr)0.1g/リットル未満,
硝酸イオン10mg/リットル未満であった。また非透
過液はCOD(Cr)19g/リットルであり、ナトリ
ウムイオン濃度は、7g/リットルであった。 比較例2 排水供給ライン36を通して供給された実施例4と同じ
排水のみを排水供給ポンプ35を用いて湿式酸化処理工
程に付し、逆浸透膜処理工程で得られた非透過液を排水
タンク46に混合しなかった。また電気透析膜処理工程
も実施せず、アルカリ金属イオンも添加しなかった以外
は、実施例4と同じ方法で湿式酸化処理工程および逆浸
透膜処理工程を行った。湿式酸化処理を経て得られた処
理液のCOD(Cr)は4.9g/リットル,pH2.
4であり、全TOC成分中の90%以上が酢酸であっ
た。また硝酸イオンを440mg/リットル含有してい
た。なお、アンモニアおよび有機性の窒素化合物は検出
されなかった。
【0066】この酸化処理工程で得られた処理液を、空
気バブリング処理を施して液中の二酸化炭素を放散処理
し(図示しない)、処理液排出ライン45を経て排出し
た後、図4に示すアルカリ供給ライン50を介して水酸
化ナトリウムの水溶液を添加せずに、実施例4と同じ方
法で逆浸透膜処理工程に付した。得られた透過液のCO
D(Cr)は2.3g/リットルであり、硝酸イオンも
270mg/リットル含有し、十分な分離結果を得るこ
とができなかった。
【0067】
【発明の効果】排水を酸化処理工程に付し、得られた処
理液中に含まれる有機酸(酢酸等)や硝酸,亜硝酸等の
汚染物質は、酸化処理工程で得られた処理液にアルカリ
金属イオンを添加して中和し、更に逆浸透膜を用いて処
理することにより、逆浸透膜の非透過液に濃縮して含ま
せることができ、また透過液として汚染物質をほとんど
含まない高度に浄化された処理水を得ることができた。
また、逆浸透膜で処理した非透過液を再度酸化処理工程
に付すことで、汚染物質をほとんど分解することがで
き、排水の浄化性を著しく向上することができた。また
この際、酸化処理工程に付す逆浸透膜の非透過液からア
ルカリ金属イオンを除去することで酸化処理工程での処
理性能を向上することができ、更にアルカリ金属イオン
の添加および/または除去に電気透析膜処理を採用する
ことで経済的且つ容易に排水を処理することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る湿式酸化処理の処理装置の実施態
様の一つである。
【図2】本発明に係る排水の処理方法の概略の一つであ
る。
【図3】本発明に係る湿式酸化処理の処理装置の実施態
様の一つである。
【図4】本発明に係る排水の処理方法の概略の一つであ
る。
【符号の説明】
1,31.反応塔 2,32.電気ヒーター 3,33.加熱器 4,34.冷却器 5,35.排水供給ポンプ 6,36.排水供給ライン 7,37.コンプレッサー 8,38.酸素含有ガス供給ライン 9,39.酸素含有ガス流量調節弁 10,40.処理液ライン 11,41.気液分離器 12,42.圧力制御弁 13.液面制御弁 14,44.ガス排出ライン 15,45.処理液排出ライン 16,46.排水タンク 17,47.濃縮液返還ライン 18,48.逆浸透膜処理装置 19.濃縮液排出ライン 20,50.アルカリ供給ライン 49.電気透析膜処理工程送液ライン LC.液面コントローラー PC.圧力コントローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 9/00 502 C02F 9/00 502R 502Z 503 503C 504 504B Fターム(参考) 4D006 GA03 GA17 HA61 KA01 KB30 MA06 MC09 MC51 MC54 PB08 PB27 4D038 AB31 BA04 BB09 BB16 BB20 4D050 AA12 AB11 AB17 BB01 BC01 BC02 CA09 CA20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機化合物および/または窒素化合物含有
    排水を酸化処理工程に付し、更に前記酸化処理工程を経
    た液(処理液)にアルカリ金属イオンを添加した後、逆
    浸透膜を用いて非透過液と透過液に分離することを特徴
    とする排水の処理方法。
  2. 【請求項2】前記アルカリ金属イオン添加を、電気透析
    膜を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記非透過液からアルカリ金属イオンを除
    去することを特徴とする請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】請求項3において、アルカリ金属除去を電
    気透析膜によって行うことを特徴とする請求項3記載の
    方法。
  5. 【請求項5】前記非透過液の全部または一部を、前記排
    水と共に酸化処理工程に付することを特徴とする請求項
    1から4に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011101883A (ja) * 2011-01-26 2011-05-26 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd 有機性薬品含有排水の処理方法とその装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011101883A (ja) * 2011-01-26 2011-05-26 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd 有機性薬品含有排水の処理方法とその装置

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