JP2002015868A - 有機発光素子の製造方法 - Google Patents

有機発光素子の製造方法

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JP2002015868A JP2001126836A JP2001126836A JP2002015868A JP 2002015868 A JP2002015868 A JP 2002015868A JP 2001126836 A JP2001126836 A JP 2001126836A JP 2001126836 A JP2001126836 A JP 2001126836A JP 2002015868 A JP2002015868 A JP 2002015868A
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Hiroshi Tanabe
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 有機物層の成膜状態を変化させることで、電
極と有機物膜との物理的、電子的な密着性が向上し、素
子特性の改善される有機発光素子の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 基板上に第1の電極を形成する工程と、
該第1の電極上に有機物層を形成する工程と、前記有機
物層上に第2の電極を形成する工程とを有する有機発光
素子の製造方法において、前記有機物層を形成する工程
は、プラズマを生起させることなく有機物層を形成する
工程であり、前記有機物層を形成する工程中に前記第1
の電極に直流電圧を印加する工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機発光素子の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機材料の電界発光現象は1963年に
ポープ(Pope)らによってアントラセン単結晶で観
測され(J.Chem.Phys.38(1963)2
042)、それに続き1965年にヘルフリッヒ(He
lfinch)とシュナイダー(Schneider)
は注入効率の良い溶液電極系を用いる事により比較的強
い注入型発光素子の観測に成功している(Phys.R
ev.Lett.14(1965)229)。
【0003】それ以来、米国特許3,172,862
号、米国特許3,173,050号、米国特許3,71
0,167号、J.Chem.Phys.44(196
6)2902,J.Chem.Phys.50(196
9)14364、J.Chem.Phys.58(19
73)1542、あるいはChem.Phys.Let
t.36(1975)345等に報告されている様に、
共役の有機ホスト物質と縮合ベンゼン環を持つ共役の有
機活性化剤とで有機発光性物質を形成する研究が行われ
た。ナフタレン、アンスラセン、フェナンスレン、テト
ラセン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ピセン、カ
ルバゾール、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、
トリフェニレンオキサイド、ジハロビフェニル、トラン
ス−スチルベン及び1,4−ジフェニルブタジエン等が
有機ホスト物質の例として示され、アンスラセン、テト
ラセン、及びペンタセン等が活性化剤の例として挙げら
れた。しかしこれらの有機発光性物質はいずれも1μm
以上をこえる厚さを持つ単一層として存在し、発光には
高電界が必要であった。
【0004】この為、真空蒸着法による薄膜素子の研究
が進められた(例えばThin Solid Film
s 94(1982)171、Polymer 24
(1983)748、Jpn.J.Appl.Phy
s.25(1986)L773)。しかし薄膜化は駆動
電圧の低減には有効ではあったが、実用レベルの高輝度
の素子を得るには至らなかった。
【0005】しかし近年タン(Tang)らは(App
l.Phys.Lett.51(1987)913ある
いは米国特許4,356,429号)、陽極と陰極との
間に2つの極めて薄い層(電荷輸送層と発光層)を真空
蒸着で積層した発光素子を考案し、低い駆動電圧で高輝
度を実現した。この種の積層型有機LEDデバイスはそ
の後も活発に研究され、例えば特開昭59−19439
3号公報、米国特許4,539,507号、米国特許
4,720,432号、特開昭63−264692号公
報、Appl.Phys.Lett.55(1989)
1467、特開平3−163188号公報等に記載され
ている。
【0006】また更にJpn.J.Appl.Phy
s.27(1988)L269.L713には、キャリ
ア輸送と発光の機能を分離した3層構造の有機LED素
子が報告されており、発光色を決める発光層の色素の選
定に際してもキャリヤ輸送性能の制約が緩和され選択の
自由度がかなり増し、更には中央の発光層にホールと電
子(あるいは励起子)を有効に閉じ込めて発光の向上を
はかる可能性も示唆される。
【0007】積層型有機LED素子の作成には、一般に
真空蒸着法が用いられているが、キャスティング法によ
ってもかなりの明るさの素子が得られる事が報告されて
いる(例えば、第50回応物学会学術講演会講演予稿集
1006(1989)及び第50回応物学会学術講演会
講演予稿集1041(1990))。
【0008】更には、ホール輸送化合物としてポリビニ
ルカルバゾール、電子輸送化合物としてオキサジアゾー
ル誘導体及び発光体としてクマリン6を混合した溶液か
ら浸漬塗布法で形成した混合1層型有機LED素子でも
かなり高い発光効率が得られる事が報告されている(例
えば、第38回応物関係連合講演会講演予稿集1086
(1991))。
【0009】上述の様に有機LEDデバイスにおける最
近の進歩は著しく広汎な用途の可能性を示唆している。
【0010】しかしそれらの研究の歴史はまだまだ浅
く、未だその材料研究やデバイス化への研究は十分なさ
れていない。現状では更なる高輝度の光出力や長時間の
使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気など
による劣化等の耐久性の面に未だ課題がある。
【0011】一方、有機発光素子に使用される陽極とし
て代表的なITO膜(透明導電性膜)は、その普及に伴
って高性能化の要求が高まっており、特にITO膜の低
抵抗化、さらには電極として、電荷を有機層へ注入させ
る注入性の効率化が強く望まれている。
【0012】一般に、有機発光素子は電荷注入型発光素
子であり、電極からのキャリア(ホール又はエレクトロ
ン)の注入量に強く依存する。そして電極(陽極や陰
極)からのキャリア注入は、長時間にわたる使用におい
ても常に一定であることが望ましい。
【0013】しかし、実際陽極として通常用いられてい
るITO電極は、その成膜方法に起因する物理的な表面
形状や仕事関数等、電極としての電気的物理的マッチン
グの不完全さも相まって、素子を流れる電流(電極から
のキャリア注入による)が減少し、著しい出力の低下を
もたらしていた。
【0014】すなわち、従来、ITO膜を基板上に成膜
するには、真空蒸着あるいはスパッタリング等のドライ
プロセスによる成膜方法が一般的に行われている。しか
しながら、真空蒸着あるいはスパッタリングにより得ら
れたITO膜は、ITOの結晶性が成膜時の基板温度及
び成膜速度に依存するため、物理的な表面形状(面粗
さ)や結晶面に係るITO膜の仕事関数を大きく改善す
ることは困難であり、有機発光素子等の電極としての機
能(電荷注入性)を向上させることは困難であった。
【0015】また、ITO膜は、面抵抗と光透過性を両
立するために総膜厚は100〜200nmと薄いことが
望まれる。とはいえ、この従来のスパッタリング法だと
成膜時の結晶化が起こり、その結果ITO膜の表面には
数nm〜数十nmの凹凸が存在してしまう。
【0016】このようなITO膜上に、真空蒸着等で有
機物層を成膜すると、ITO膜の凹凸上にITO膜と有
機物層との界面の密着性が阻害され、ITO膜からの電
荷注入性が著しく悪化する。このため発光素子の発光輝
度の低下や有機物層の膜剥離などによる素子の寿命低下
を招いていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来技術の問題点を解決するために成されたものであり、
有機物層の成膜状態を変化させることで、電極と有機物
膜との物理的、電子的な密着性が向上し、素子特性の改
善される有機発光素子の製造方法を提供するものであ
る。
【0018】さらに、本発明は、成膜時に有機発光素子
としての陽極に正電圧を、または陰極に負電圧を印加し
て、有機物層の成膜状態を制御することが可能となるた
め、電極からのキャリア(ホール又はエレクトロン)注
入性が向上し、従来にない高輝度の光出力を有する有機
発光素子の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、基板上
に第1の電極を形成する工程と、該第1の電極上に有機
物層を形成する工程と、前記有機物層上に第2の電極を
形成する工程とを有する有機発光素子の製造方法におい
て、前記有機物層を形成する工程は、プラズマを生起さ
せることなく有機物層を形成する工程であり、前記有機
物層を形成する工程中に前記第1の電極に直流電圧を印
加する工程を有することを特徴とする有機発光素子の製
造方法である。
【0020】本発明において、前記有機物層を形成する
工程は、ドライプロセスにより形成される膜を形成する
工程であることが好ましく、前記膜は、抵抗加熱法また
はレーザーアブレーション法を用いた蒸着法により形成
されることがより好ましい。
【0021】また、前記有機発光素子が、前記第1の電
極を、陽極として駆動させる有機発光素子である場合に
は、前記第1の電極に印加する直流電圧が、正の直流電
圧であることが好ましく、前記第1の電極を、陰極とし
て駆動させる有機発光素子である場合には、前記第1の
電極に印加する直流電圧が、負の直流電圧であることが
好ましい。
【0022】さらに、有機発光素子が、前記第1の電極
を、陽極として駆動させる有機発光素子である場合に
は、前記有機物層を形成する工程は、前記第1の電極に
酸素プラズマ表面処理または不活性ガスプラズマ表面処
理を行った後に、前記第1の電極を大気中に晒すことな
く、前記有機物層を形成する工程であることが好まし
く、前記酸素プラズマ表面処理が、10〜80eVのエ
ネルギー範囲にある酸素イオン又は電子を用いた表面処
理であること、前記不活性ガスプラズマ表面処理が、2
0〜100eVのエネルギー範囲にある不活性ガスによ
る正イオンを用いた表面処理であることがより好まし
い。
【0023】また、前記直流電圧の電圧値が、10〜1
00V、好ましくは40〜90Vであることが好まし
い。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態を用いて
詳細に説明する。
【0025】本発明の一実施形態として、以下では、有
機物層の形成において、ドライプロセスによる成膜法の
一種である蒸着法を用いた実施形態の説明をする。
【0026】本実施形態の有機発光素子の製造方法で
は、第1の電極に、直流電圧が印加されているため、蒸
着源より飛来するクラスター状の有機物が、第1の電極
との間で電子の授受を起こし、非常に強固な有機物装を
形成することが可能となる。
【0027】そして、直流電圧の印加に駆動時の電極を
使用することができるので、さらなる電極等を形成する
必要がなく、製造が容易である。
【0028】また、印加する電圧が直流電圧であると、
安定に有機物層の形成を行うことができ、且つ駆動時と
同じ条件で電圧を供給することも可能となり好ましい。
【0029】さらに、本発明における有機物層が多層構
成の場合、第1の電極に直流電圧を印加しながら成膜す
ると、各有機物層間での物理的、電子的な密着性が向上
し、素子特性の改善が可能となる。
【0030】前記第1の電極に印加される直流電圧の電
圧値(絶対値)が低すぎると、有機物と第1の電極間の
電子の授受が起きにくいため本発明の効果が得られない
可能性があり、逆に高すぎると、有機物自体の分解や酸
化が起こる為密着性が減少する可能性がある。このた
め、第1の電極に印加される直流電圧の電圧値(絶対
値)は、有機物と第1の電極間の電子の授受が良好とな
る10〜100Vが好ましく、より好ましくは40〜9
0Vの範囲が望ましい。
【0031】また、電圧を印加するタイミングは、第1
の電極上に有機物層が形成されている間、常に電圧を印
加しつづけるのが、制御の必要がなく容易であるが、少
なくとも電極上に膜が形成され始めて、0.2μmの膜
厚の有機物層が形成される時間の間まで印加しておくと
よい。
【0032】さらに、有機発光素子が、第1の電極を、
陽極として駆動させる有機発光素子である場合には、有
機物層の成膜に先立って、陽極に酸素プラズマ表面処理
を行うことで、ITO膜のような陽極の仕事関数値を大
きく改善することができる。その結果、陽極から有機物
層への電荷注入性を高めることができる。
【0033】この場合、酸素イオン又は電子のエネルギ
ーが10〜80eV、好ましくは20〜60eVである
ビームを、酸素イオンの場合は少なくとも1mW/cm
2〜1W/cm2のパワーで、また電子の場合は少なくと
も1W/cm2〜10W/cm2のパワーで陽極に照射す
ることで、陽極の面抵抗の増加を引き起こすことなく、
仕事関数を増大させ、有機発光素子の電極としての機能
(電荷注入性)を向上させることが可能となった。
【0034】また、有機物層の成膜に先立って、陽極に
不活性ガスプラズマ表面処理を行うことで、ITO膜等
の陽極の凹凸を小さくすることが可能であるため、陽極
上の有機物層の密着性がより向上する。
【0035】この場合、正イオンのエネルギーが20〜
100eV、好ましくは30〜60eVである粒子を、
少なくとも10mW/cm2以上1W/cm2以下のパワ
ーで陽極膜に照射することで、陽極の面抵抗の増加を引
き起こすことなく、表面領域の汚れを除去し、加えて有
機物層の密着性がより向上することが可能となった。
【0036】本実施形態の製造方法における表面処理を
行った表面改質ITO膜を陽極として用いた有機発光素
子は、電極とそれに接している有機化合物からなる層の
電子的なマッチングが最適な状態にあるため、陽極から
のキャリア注入量が増大し、発光輝度が飛躍的に向上す
るする。
【0037】また、基板上に陰極、有機物層、陽極の順
に積層する場合でも本発明を用いることができる。この
場合は、陰極上に負の電圧を印加しながら有機物層を形
成すると陰極と有機物層との密着性がより向上する。
【0038】以下、図面を参照して、本発明に係る実施
の形態について、第1の電極がITO膜等の陽極、第2
の電極が陰極である場合を例にとり、さらに詳細に説明
する。
【0039】図1は、本発明に係るITO膜等の陽極の
表面処理並びに有機物層の成膜を行うための有機発光素
子の製造装置の一例を示す図である。
【0040】上記製造装置は、チャンバー1内に石英管
4のまわりを高周波コイル3で取り巻いた放電管2と、
表面処理を行うITO膜を有する基板(ITO基板)を
保持する基板ホルダー6によって構成されている。な
お、上記ホルダー6は電流計7と直流電源8に、上記高
周波コイル3は高周波電源5とコンデンサ9に接続され
ている。
【0041】また、上記放電管2には、マスフローコン
トローラ(不図示)を介して酸素ガス供給装置(不図
示)に接続されたノズルが配置されている。
【0042】さらに、上記チャンバー1は、図示しない
真空排気装置に接続され、所定の真空度に維持されるよ
うになっている。上記構成からなる表面処理装置でIT
O膜を有するガラス基板を基板ホルダー6に取り付け、
チャンバー1内を約10-3〜10-4Paに真空排気す
る。
【0043】次に、放電管2内に、マスフローコントロ
ーラを介して酸素ガスを10ccmの流量で流し、4×
10-1Pa(3×10-3Torr)の圧力に調整し、1
3.56MHzの高周波電源5を動作させると、管内に
無電極放電によるプラズマが発生する。このような状態
で、基板ホルダー6に直流電源8を用いて、任意の電圧
を印加すると、プラズマ中の酸素イオン又は電子が引き
出され、基板ホルダー6に取り付けられたITO基板の
表面に酸素イオン又は電子が照射され、ITO膜の表面
改質が行われる。
【0044】次いで処理後、直ちに有機物の入った蒸発
源10を交流電源11により加熱して、有機物を蒸発さ
せ、基板ホルダー6に正の直流電圧を印加しながら成膜
を行い、さらに陰極を設けて本実施形態の有機発光素子
が完成する。
【0045】同様に、不活性ガスによるプラズマ処理の
場合は、酸素ガスの代わりにアルゴンやネオン等のガス
を供給して行えばよい。また、酸素ガスと不活性ガスを
混合したガスを用いてもよい。
【0046】本実施形態の製造方法における表面処理に
おいて、イオン又は電子を引き出すためのプラズマ生成
方法は図1に示した高周波放電装置にかぎらず、圧力勾
配型プラスマガンを使用したプラズマ生成方法等いずれ
のものでもかまわない。
【0047】また、本実施形態の製造方法における表面
処理において、発生させるプラズマ密度は109〜10
13cm-3、好ましくは1010〜1012cm-3の範囲であ
ることが、ITO膜等の陽極にダメージを与えないイオ
ン密度での照射が可能となり望ましい。
【0048】次に、図面に沿って本発明によって製造さ
れる電荷注入型発光素子の具体例として、有機発光素子
を更に詳細に説明する。
【0049】図2は本発明の有機発光素子の一例を示す
断面図である。図2は基板12上に陽極13、発光層1
4及び陰極15を順次設けた構成のものである。ここで
使用する有機発光素子はそれ自体でホール輸送能、エレ
クトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場
合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合
に有効である。
【0050】図3は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図3は基板12上に陽極13、ホール
輸送層16、電子輸送層17及び陰極15を順次設けた
構成のものである。この場合は発光物質はホール輸送性
かあるいは電子輸送性のいずれかあるいは両方の機能を
有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単
なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせ
て用いる場合に有用である。また、この場合、発光層1
4はホール輸送層16及び電子輸送層17からなる。
【0051】図4は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図4は基板12上に陽極13、ホール
輸送層16、発光層14、電子輸送層17及び陰極15
を順次設けた構成のものである。
【0052】図5は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図5は基板12上に陽極13、発光層
14、電子輸送層17及び陰極15を順次設けた構成の
ものである。
【0053】これらの図4及び図5の有機発光素子は、
キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホー
ル輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物
と適時組み合わせて用いられる極めて材料の選択の自由
度が増すと共に、発光波長を異にする種々の化合物が使
用できる為、発光色相の多様化が可能となる。また更に
中央の発光層にホールと電子(あるいは励起子)を有効
に閉じこめて発光効率の向上を図る事も可能になる。
【0054】本発明によって製造される有機発光素子
は、従来の有機発光素子に比べ、極めてホール注入性及
びエレクトロン注入性に優れており、必要に応じて図2
乃至図5のいずれの形態、すなわち層構成でも使用する
事が可能である。
【0055】また、本発明で製造される有機発光素子に
おいては、有機物層構成成分として、電子写真感光体分
野等で研究されているホール輸送性化合物や高分子系ホ
ール輸送性化合物(例えば化1〜化4に示される化合
物)、ドーパント発光材料(例えば化5〜化6に示され
る化合物)あるいは電子輸送性化合物やこれ迄知られて
いる電子輸送性発光体化合物(例えば化7〜化11に挙
げられる化合物)を必要に応じて2種類以上使用する事
もできる。
【0056】
【化1】
【0057】
【化2】
【0058】
【化3】
【0059】
【化4】
【0060】
【化5】
【0061】
【化6】
【0062】
【化7】
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】本発明によって製造される有機発光素子に
おいて、有機物層は、例えば、抵抗加熱法やレーザーア
ブレーション法を用いた蒸着法など一般的なドライプロ
セスによる膜形成により形成される。
【0068】陽極材料としては仕事関数がなるべく大き
なものが良く、例えば、ニッケル、金、白金、パラジウ
ム、セレン、レニウム、イリジウムやこれらの合金、あ
るいは酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、ヨウ化銅
が好ましい。またポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ
フェニレンスルフィドあるいはポリピロール等の導電性
ポリマーも使用出来る。これらの内でも、酸化錫インジ
ウム(ITO)を用いた場合に、本発明は優れた効果を
奏する。
【0069】一方、陰極材料としては仕事関数が小さな
銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウ
ム、マンガン、インジウム、クロムあるいはこれらの合
金が用いられる。これらの内でも、アルミニウム、カル
シウム、リチウム、マグネシウム−銀やアルミニウム−
リチウム等の合金を用いた場合に、本発明は優れた効果
を奏する。
【0070】本発明の有機発光素子は、従来の白熱灯、
蛍光灯あるいは発光ダイオードなどと異なり、大面積、
高分解能、薄型、軽量、高速動作、完全な個体デバイス
であり、高度な要求を満たす可能性のあるELパネルに
使用することができる。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0072】(実施例1〜7及び比較例1)ガラス基板
上にスパッタリング法により膜厚110nmのITO膜
を成膜したITO基板を図1に示す有機発光素子の製造
装置の基板ホルダーに保持した。
【0073】次に同装置のチャンバー内を1.3×10
-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気したのち、
下記の構造式(1)で示される化合物からなるホール輸
送層(膜厚40nm)、そしてAlq3からなる発光層
(膜厚60nm)、さらにAlからなる陰極(膜厚20
0nm)を各自真空蒸着により形成し、比較例1の素子
を作成した。
【0074】
【化12】
【0075】また、基板ホルダーに印加する電圧を1
0、20、40、70、90、100(V)としてホー
ル輸送層を成膜した以外は比較例1と同様の方法で作成
した素子を各々実施例1〜6の素子とした。
【0076】一方、基板ホルダーに印加する電圧を70
(V)に保持し、ホール輸送層、発光層を順次成膜した
以外は比較例1と同様の方法で作製した素子を実施例7
の素子とする。
【0077】このようにして作製した素子のITO/陰
極間に10(V)の電圧を印加して発光輝度を測定した
結果を表1に示す。表1より明らかなように、ITO基
板に正の直流電圧を印加しながら有機物を成膜した発光
素子の発光輝度は大きく改善されていることがわかる。
【0078】
【表1】
【0079】(実施例8〜15、比較例2)実施例1で
用いたITO基板を図1に示す有機発光素子の製造装置
の基板ホルダーに保持した。
【0080】次に同装置のチャンバー内を1.3×10
-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気した後、マ
スフローコントローラを介して酸素ガスを10ccmの
流量で流し、放電管内の圧力が4×10-1Pa(1×1
-3Torr)になるように調製した。
【0081】次いで13.56MHzの高周波電源を動
作させ、放電管内に酸素プラズマを発生させた後、基板
ホルダーに−40Vの電圧を15秒間印加してITO膜
の表面処理を行った。
【0082】処理終了後、酸素ガスを止め、1.3×1
-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気した後、
比較例1と同様の方法で素子を作製し、比較例2の素子
とした。
【0083】一方、基板ホルダーに印加する電圧を1
0、20、40、70、90、100(V)としてホー
ル輸送層を成膜した以外は比較例2と同様の方法で作製
した素子を各々実施例8〜13の素子とした。
【0084】また、ITO基板のプラズマ表面処理時
に、基板ホルダーに印加する電圧を−90Vとし、ホー
ル輸送層を成膜する際に基板ホルダーに50Vの電圧を
印加した以外は、比較例2と同様の方法で作成した素子
を実施例14の素子とする。
【0085】さらに基板ホルダーに印加する電圧を50
(V)に保持し、ホール輸送層、発光層を順次成膜した
以外は、比較例2と同様の方法で作成した素子を実施例
15の素子とした。
【0086】このようにして作製した素子のITO/陰
極間に10(V)の電圧を印加して発光輝度を測定した
結果を表2に示す。表2から明らかなように、ITO基
板に正の直流電圧を印加しながら有機物を成膜した発光
素子の発光輝度は大きく改善されていることがわかる。
【0087】
【表2】
【0088】(実施例16〜22、比較例3)実施例1
で用いたITO基板を図1に示す有機発光素子の製造装
置の基板ホルダーに保持した。
【0089】次に同装置のチャンバー内を1.3×10
-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気した後、マ
スフローコントローラを介してアルゴンガスを12cc
mの流量で流し、放電管内の圧力が5.2×10-1Pa
(4×10-3Torr)になるように調製した。
【0090】次いで13.56MHzの高周波電源を動
作させ、放電管内にアルゴンプラズマを発生させた後、
基板ホルダーに−50Vの電圧を30秒間印加してIT
O膜の表面処理を行った。
【0091】処理終了後、アルゴンガスを止め、1.3
×10-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気した
後、比較例1と同様の方法で素子を作製し、比較例3の
素子とした。
【0092】一方、基板ホルダーに印加する電圧を1
0、20、40、70、90、100(V)としてホー
ル輸送層を成膜した以外は比較例3と同様の方法で作成
した素子を各々実施例16〜21の素子とした。
【0093】また、ITO基板のプラズマ表面処理時
に、基板ホルダーに印加する電圧を−10Vとし、ホー
ル輸送層を成膜する際に基板ホルダーに50Vの電圧を
印加した以外は、比較例3と同様の方法で作製した素子
を実施例22の素子とする。
【0094】このようにして作製した素子のITO/陰
極間に10(V)の電圧を印加して発光輝度を測定した
結果を表3に示す。表3から明らかなように、ITO基
板に正の直流電圧を印加しながら有機物を成膜した発光
素子の発光輝度は大きく改善されていることがわかる。
【0095】
【表3】
【0096】(実施例23〜28及び比較例4)ガラス
基板上に真空製膜法により膜厚200nmのAl膜を成
膜した。このAl基板を図1に示す有機発光素子の製造
装置の基板ホルダーに保持した。
【0097】次に同装置のチャンバー内を1.3×10
-4Pa(1×10-6Torr)まで真空排気したのち、
Alq3からなる発光層(膜厚70nm)、そして実施
例1に記載の構造式(1)で示される化合物からなるホ
ール輸送層(膜厚50nm)を各自真空蒸着により形成
した。更に陽極(膜厚100nm)としてITOをイオ
ンプレーティング法により形成し、比較例4の素子を作
成した。
【0098】また、基板ホルダーに印加する電圧を−1
0、−20、−40、−70、−90、−100(V)
として発光層を成膜した以外は比較例4と同様の方法で
作成した素子を各々実施例23〜28の素子とした。
【0099】このようにして作製した素子のITO/陰
極間に10(V)の電圧を印加して発光輝度を測定した
結果を表4に示す。表4より明らかなように、Al基板
に負の直流電圧を印加しながら有機物を成膜した発光素
子の発光輝度は大きく改善されていることがわかる。
【0100】
【表4】
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
を用いると輝度の高い素子が可能となる。また、プラズ
マを用いて表面改質を行った電極であるITO膜等を有
機発光素子の陽極として用いることで、極めて輝度の高
い素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法を実施するための有機発
光素子の製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明により製造される有機発光素子の一例を
示す断面図である。
【図3】本発明により製造される有機発光素子の他の例
を示す断面図である。
【図4】本発明により製造される有機発光素子の他の例
を示す断面図である。
【図5】本発明により製造される有機発光素子の他の例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 放電管 3 高周波コイル 4 石英管 5 高周波電源 6 基板ホルダー 7 電流計 8 直流電源 9 コンデンサー 10 蒸発源 11 交流電源 12 基板 13 陽極 14 発光層 15 陰極 16 ホール輸送層 17 電子輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 妹尾 章弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 幸一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田邊 浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 真下 精二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB15 AB18 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に第1の電極を形成する工程と、
    該第1の電極上に有機物層を形成する工程と、前記有機
    物層上に第2の電極を形成する工程とを有する有機発光
    素子の製造方法において、前記有機物層を形成する工程
    は、プラズマを生起させることなく有機物層を形成する
    工程であり、前記有機物層を形成する工程中に前記第1
    の電極に直流電圧を印加する工程を有することを特徴と
    する有機発光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有機物層を形成する工程は、ドライ
    プロセスにより形成される膜を形成する工程であること
    を特徴とする請求項1に記載の有機発光素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記膜は、抵抗加熱法またはレーザーア
    ブレーション法を用いた蒸着法により形成されることを
    特徴とする請求項2に記載の有機発光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記有機発光素子が、前記第1の電極
    を、陽極として駆動させる有機発光素子であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機発光素
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の電極に印加する直流電圧が、
    正の直流電圧であることを特徴とする請求項4に記載の
    有機発光素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有機物層を形成する工程は、前記第
    1の電極に酸素プラズマ表面処理または不活性ガスプラ
    ズマ表面処理を行った後に、前記第1の電極を大気中に
    晒すことなく、前記有機物層を形成する工程であること
    を特徴とする請求項3または4に記載の有機発光素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸素プラズマ表面処理が、10〜8
    0eVのエネルギー範囲にある酸素イオン又は電子を用
    いた表面処理であることを特徴とする請求項6に記載の
    有機発光素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記不活性ガスプラズマ表面処理が、2
    0〜100eVのエネルギー範囲にある不活性ガスによ
    る正イオンを用いた表面処理であることを特徴とする請
    求項6に記載の有機発光素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記有機発光素子が、前記第1の電極
    を、陰極として駆動させる有機発光素子であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機発光素
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第1の電極に印加する直流電圧
    が、負の直流電圧であることを特徴とする請求項9に記
    載の有機発光素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記直流電圧の電圧値が、10〜10
    0Vであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか
    記載の有機発光素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記直流電圧の電圧値が、40〜90
    Vであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記
    載の有機発光素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010244860A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機el素子およびその製造方法

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