JP2000133466A - 表面改質ito膜、その表面処理方法およびそれを用いた電荷注入型発光素子 - Google Patents

表面改質ito膜、その表面処理方法およびそれを用いた電荷注入型発光素子

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JP2000133466A
JP2000133466A JP10319880A JP31988098A JP2000133466A JP 2000133466 A JP2000133466 A JP 2000133466A JP 10319880 A JP10319880 A JP 10319880A JP 31988098 A JP31988098 A JP 31988098A JP 2000133466 A JP2000133466 A JP 2000133466A
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electrons
film
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light emitting
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Yuichi Hashimoto
雄一 橋本
Akihiro Senoo
章弘 妹尾
Kazunori Ueno
和則 上野
Seiji Mashita
精二 真下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面抵抗の増加を引き起こすことなくITO膜
の仕事関数を増加させるITO膜の表面処理方法、およ
び表面改質を行ったITO膜を有機発光素子の陽極とし
て用いることで極めて輝度の高い電荷注入型発光素子を
得ることができる。 【解決手段】 10〜80eVのエネルギー範囲にある
酸素イオン又は電子をITO膜に照射して表面改質を行
うITO膜の表面処理方法、およびその表面改質を行っ
た表面改質ITO膜を電極として用いた電荷注入型発光
素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素イオン又は電
子を用いて低抵抗率、高仕事関数を有するITO膜の表
面処理方法に関するものである。
【0002】また、本発明は発光性物質からなる発光層
を有し、電界を印加した際、電極から注入された電荷が
再結合することにより、直接光エネルギーに変換できる
電荷注入型発光素子に関するものであり、詳しくは酸素
イオン又は電子を照射して表面改質を行ったITO膜を
電極として用いた電荷注入型発光素子関する。
【0003】
【従来の技術】液晶あるいは有機発光素子等に使用され
るITO膜(透明導電性膜)は、その普及に伴って高性
能化の要求が高まっており、特にITO膜の低抵抗率
化、さらには電極としての電荷の注入性の高効率化が強
く望まれている。
【0004】従来、ITO膜を基板等に成膜するには、
真空蒸着あるいはスタッパリング等のドライプロセスに
よる成膜方法が一般的に行われている。しかしながら、
真空蒸着あるいはスパッタリングにより得られたITO
膜は、ITOの結晶性が成膜時の基板温度及び成膜速度
に依存するため、物理的な表面形状(面粗さ)や結晶面
に係るITO膜の仕事関数を大きく改善することは困難
であり、有機発光素子等の電極としての機能(電荷注入
性)を向上させることは不可能であった。
【0005】一方、有機材料の電界発光現象は1963
年にポープ(Pope)らによってアントラセン単結晶
で観測され(J.Chem.Phys.38(196
3)2042)、それに続き1965年にヘルフリッヒ
(Helfinch)とシュナイダー(Schneid
er)は注入効率の良い溶液電極系を用いる事により比
較的強い注入型EL(エレクトロルミネッセンス)の観
測に成功している(Phys.Rev.Lett.14
(1965)229)。
【0006】それ以来、米国特許3,172,862
号、米国特許3,173,050号、米国特許3,71
0,167号、J.Chem.Phys.44(196
6)2902、J.Chem.Phys.50(196
9)14364、J.Chem.Phys.58(19
73)1542、あるいはChem.Phys.Let
t.36(1975)345等に報告されている様に、
共役の有機ホスト物質と縮合ベンゼン環を持つ共役の有
機活性化剤とで有機発光性物質を形成する研究が行われ
た。ナフタレン、アンスラセン、フェナンスレン、テト
ラセン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ピセン、カ
ルバゾール、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、
トリフェニレンオキサイド、ジハロビフェニル、トラン
ス−スチルベン及び1,4−ジフェニルブタジエン等が
有機ホスト物質の例として示され、アンスラセン、テト
ラセン、及びペンタセン等が活性化剤の例として挙げら
れた。しかしこれらの有機発光性物質はいずれもlμm
以上をこえる厚さを持つ単一層として存在し、発光には
高電界が必要であった。この為、真空蒸着法による薄膜
素子の研究が進められた(例えばThin Solid
Films 94(1982)171、Polyme
r 24(1983)748、Jpn.J.Appl.
Phys.25(1986)L773)。しかし薄膜化
は駆動電圧の低減には有効ではあったが、実用レベルの
高輝度の素子を得るには至らなかった。
【0007】しかし近年タン(Tang)らは(App
l.Phys.Lett.51(1987)913ある
いは米国特許4,356,429号)、陽極と陰極との
間に2つの極めて薄い層(電荷輸送層と発光層)を真空
蒸着で積層したEL素子を考案し、低い駆動電圧で高輝
度を実現した。この種の積層型有機ELデバイスはその
後も活発に研究され、例えば特開昭59−194393
号公報、米国特許4,539,507号、特開昭59−
194393号公報、米国特許4,720,432号、
特開昭63−264692号公報、Appl.Phy
s.Lett.55(1989)1467、特開平3−
163188等に記載されている。
【0008】また更にJpn.J.Appl.Phy
s.27(1988)L269.L713には、キャリ
ア輸送と発光の機能を分離した3層構造のEL素子が報
告されており、発光色を決める発光層の色素の選定に際
してもキヤリヤ輸送性能の制約が緩和され選択の自由度
がかなり増し、更には中央の発光層にホールと電子(あ
るいは励起子)を有効に閉じ込めて発光の向上をはかる
可能性も示唆される。
【0009】積層型有機EL素子の作成には、一般に真
空蒸着法が用いられているが、キャスティング法によっ
てもかなりの明るさの素子が得られる事が報告されてい
る(例えば、第50回応物学会学術講演会講演予稿集l
006(1989)及び第50回応物学会学術講演会講
演予稿集1041(1990))。
【0010】更には、ホール輸送化合物としてポリビニ
ルカルバゾール、電子輸送化合物としてオキサジアゾー
ル誘導体及び発光体としてクマリン6を混合した溶液か
ら浸漬塗布法で形成した混合1層型EL素子でもかなり
高い発光効率が得られる事が報告されている(例えば、
第38回応物関係連合講演会講演予稿集1086(19
91))。上述の様に有機ELデバイスにおける最近の
進歩は著しく広汎な用途の可能性を示峻している。
【0011】しかしそれらの研究の歴史はまだまだ浅
く、未だその材料研究やデバイス化への研究は十分なさ
れていない。現状では更なる高輝度の光出力や長時間の
使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気など
による劣化等の耐久性の面に未だ問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来技術の問題点を解決するために成されたものであり、
スパッタリング法などにより得られたITO膜の表面領
域における物理的及び電気的性質を改質し、面抵抗の増
加を引き起こすことなくITO膜の仕事関数を増加させ
ることができる表面処理方法を提供することにある。
【0013】また、この様にして得られたITO膜を電
荷注入型発光素子の電極として用いることで、従来にな
い高輝度の光出力を有する電荷注入型発光素子を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第一の発
明は、10〜80eVのエネルギー範囲にある酸素イオ
ン又は電子をITO膜に照射して表面改質を施したこと
を特徴とする表面改質ITO膜である。
【0015】前記表面改質ITO膜の仕事関数が5.0
eV以上であるのが好ましい。本発明の第二の発明は、
10〜80eVのエネルギー範囲にある酸素イオン又は
電子をITO膜に照射して表面改質を行うことを特徴と
するITO膜の表面処理方法である。
【0016】前記酸素イオン又は電子を照射してITO
膜の表面改質を行う場合、酸素イオンは少なくとも1m
W/cm2以上1W/cm2以下、電子は少なくとも0.
1W/cm2以上10W/cm2以下のパワーをITO膜
表面に与えるのが好ましい。前記酸素イオン又は電子に
より、ITO膜の深さ方向5nm以内の表面領域を改質
するのが好ましい。
【0017】本発明の第三の発明は、仕事関数が5.0
eV以上の表面改質ITO膜を電極として用いることを
特徴とする電荷注入型発光素子である。前記表面改質I
TO膜として、10〜80eVのエネルギー範囲にある
酸素イオン又は電子をITO膜に照射して表面改質を行
った表面改質ITO膜を電極として用いるのが好まし
い。前記酸素イオン又は電子を照射してITO膜の表面
改質を行う場合、酸素イオンは少なくとも1mW/cm
2以上1W/cm2以下、電子は少なくとも0.1W/c
2以上10W/cm2以下のパワーをITO膜表面に与
えるのが好ましい。前記表面改質ITO膜が、酸素イオ
ン又は電子によりITO膜の深さ方向5nm以内の表面
領域を改質したITO膜であるのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の表面改質ITO膜は、I
TO膜の表面処理を施したものであり、その表面処理方
法として、10〜80eVのエネルギー範囲にある酸素
イオン又は電子をITO膜に照射して表面改質を行うこ
とを特徴とする。その表面改質ITO膜の仕事関数は、
5.0eV以上、好ましくは5.2eV以上であるのが
好ましい。
【0019】一般にスパッタリング法等で作製されたI
TO膜は、面抵抗と光透過性を両立するために総膜厚は
100〜200nmと薄く、かつ成膜時の結晶化の影響
で表面には数nm〜数十nmの凹凸が存在する。
【0020】さらに、この様なITO膜は、ITOの結
晶性が成膜時の基板温度や成膜速度に依存するため、I
TO膜の仕事関数は4.5eV前後に固定されてしま
い、仕事関数値を大きく改善することは不可能であっ
た。
【0021】したがって、本発明の表面処理方法では、
酸素イオン又は電子のエネルギーが10〜80eV、好
ましくは20〜60eVであるビームを、酸素イオンの
場合は少なくとも1mW/cm2〜1W/cm2のパワー
で、また電子の場合は少なくとも1W/cm2〜10W
/cm2のパワーでITO膜の深さ方向5nm以内の表
面領域に照射することで、ITO膜の面抵抗の増加を引
き起こすことなく、仕事関数を増大させ、有機発光素子
の電極としての機能(電荷注入性)を向上させることが
可能となった。
【0022】以下、図面を参照して、本発明に係る実施
の形態について説明する。図1は、本発明に係るITO
膜の表面処理方法を行うための一例を示す表面処理装置
である。
【0023】上記表面処理装置は、チャンバー1内に石
英管4のまわりを高周波コイル3で取り巻いた放電管2
と、表面処理を行うITO膜を有する基板(ITO基
板)を保持する基板ホルダー6によって構成されてい
る。なお、上記ホルダー6は電流計7と直流電源8に、
上記高周波コイル3は高周波電源5とコンデンサ9に接
続されている。
【0024】また、上記放電管2には、マスフローコン
トローラ(不図示)を介して酸素ガス供給装置(不図
示)に接続されたノズルが配置されている。さらに、上
記チャンバー1は、図示しない真空排気装置に接続さ
れ、所定の真空度に維持されるようになっている。上記
構成からなる表面処理装置でITO膜を有するガラス基
板を基板ホルダー6に取り付け、チャンバー1内を約1
−5〜10−6Torrに真空排気する。
【0025】次に、放電管2内に、マスフローコントロ
ーラを介して酸素ガスを8ccmの流量で流し、2×1
−3Torrの圧力に調整し、13.56MHzの高
周波電源5を動作させると、管内に無電極放電によるプ
ラズマが発生する。このような状態で、基板ホルダー6
に直流電源8を用いて、任意の電圧を印加すると、プラ
ズマ中の酸素イオン又は電子が引き出され、基板ホルダ
ー6に取り付けられたITO基板の表面に酸素イオン又
は電子が照射され、ITO膜の表面改質が行われる。
【0026】ここでは、基板ホルダー6に0〜±100
Vの電圧を20秒間印加してITO膜の表面処理を行
い、その後、面抵抗(ρ)、仕事関数(Wf)、面粗さ
(Rz)を求めた。その結果を図2に示す。
【0027】面粗さ(Rz)は、原子間力顕微鏡(セイ
コーインストゥルメンツ社製、SPI−3800)によ
り求め、仕事関数は、フェルミ準位測定装置(理研計器
社製、FAC−1)を用いて測定した。
【0028】図2に示されているように、基板ホルダー
への印加電圧(酸素イオン又は電子の運動エネルギーと
同義)が、−10V〜−80Vの範囲(パワーは1mW
/cm2〜1W/cm2)では、プラスの酸素イオンやラ
ジカルによる処理が行われ、面抵抗の増加もなく仕事関
数は5.0eV以上に増大した。一方、基板ホルダーへ
の印加電圧が+10V〜+80Vの範囲(パワーは0.
1mW/cm2〜10W/cm2)では電子による処理が
行われ、この場合も酸素イオンの時と同様、面抵抗の増
加もなく、仕事関数が5.0eV以上に増大した。
【0029】しかしながら、基板ホルダーへの印加電圧
が−10V〜+10Vの範囲では5.0eV以上の仕事
関数の増加が認められなかった。
【0030】なお、上記の基板ホルダーへの印加電圧と
酸素イオン又は電子のエネルギーとが同義であることの
意味は、印加電圧により加速された酸素イオン又は電子
の有する運動エネルギーが印加電圧とほぼ等しいと云う
理由によるものである。具体的には、酸素イオン又は電
子の10eVのエネルギーは基板ホルダーへの印加電圧
10Vに該当し、80eVのエネルギーは基板ホルダー
への印加電圧80Vに該当する。
【0031】また、印加電圧が−80V以上の場合に
は、面粗さ(Rz)と面抵抗(ρ)の増加がみられ、処
理される深さが深くなると共に、スパッタリングにより
削れていることがわかる。一方、印加電圧が+80V以
上の場合は、面粗さ(Rz)と面抵抗(ρ)の増加がみ
られることに加え、電子による加熱の影響から仕事関数
も低下している。
【0032】以上の結果より、酸素イオン又は電子のエ
ネルギーが10〜80eV、より好ましくは20〜60
eVの範囲にあるビームをITO膜に照射すれば、面抵
抗の増加を引き起こすことなく、ITOの仕事関数を
5.0eV以上にすることができる。
【0033】本発明のITO膜の表面処理方法におい
て、酸素イオン又は電子を引き出すためのプラズマ生成
方法は、図1に示した高周波放電装置にかぎらず、圧力
勾配型プラズマガンを使用したプラズマ生成方法等を用
いてもよい。
【0034】また、本発明のITO膜の表面処理方法に
おいて、発生させるプラズマ密度は10〜1013
−3、好ましくは1010〜1012−3の範囲であ
ることがITO膜にダメージを与えない酸素イオン密度
又は電子密度の照射が可能となり望ましい。
【0035】さらに、本発明のITO膜の表面処理方法
において、電子を引き出す場合のみ、発生させるプラズ
マ種は酸素ガスに限らず、アルゴンガス等の不活性ガス
などいずれのガスでもかまわない。
【0036】次に、図面に沿って本発明の電荷注入型発
光素子の具体例として、有機発光素子を更に詳細に説明
する。図3は本発明の有機発光素子の一例を示す断面図
である。図3は基板10上に陽極11、発光層12及び
陰極13を順次設けた構成のものである。ここで使用す
る有機発光素子はそれ自体でホール輸送能、エレクトロ
ン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場合や、
それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用
である。
【0037】図4は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図4は基板10上に陽極11、ホール
輸送層14、電子輸送層15及び陰極13を順次設けた
構成のものである。この場合は発光物質はホール輸送性
かあるいは電子輸送性のいずれかあるいは両方の機能を
有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単
なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせ
て用いる場合に有用である。また、この場合、発光層1
2はホール輸送層14および電子輸送層15からなる。
【0038】図5は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図5は基板10上に陽極11、ホール
輸送層14、発光層12、電子輸送層15及び陰極13
を順次設けた構成のものである。
【0039】図6は本発明の有機発光素子の他の例を示
す断面図である。図6は基板10上に陽極11、発光層
12、電子輸送層15及び陰極13を順次設けた構成の
ものである。
【0040】これらの図5および図6の有機発光素子
は、キヤリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、
ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化
合物と適時組み合わせて用いられ極めて材料の選択の自
由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物
が使用出来る為、発光色相の多様化が可能となる。また
更に中央の発光層にホールと電子(あるいは励起子)を
有効に閉じ込めて発光効率の向上を図る事も可能にな
る。
【0041】本発明の構成の有機発光素子は、従来の有
機発光素子に比べ、極めてホール注入性及びエレクトロ
ン注入性に優れており、必要に応じて図3乃至図6のい
ずれの形態でも使用する事が可能である。
【0042】一般に、有機発光素子は電荷注入型発光素
子であり、電極からのキャリア(ホール又はエレクトロ
ン)の注入量に強く依存する。そして電極(陽極や陰
極)からのキャリア注入は、長時間にわたる使用におい
ても常に一定であることが望ましい。
【0043】しかし、実際陽極として通常用いられてい
るITO電極は、その製膜方法に起因する物理的な表面
形状や仕事関数等、電極としての電気的物理的マッチン
グの不完全さも相まって、素子を流れる電流(電極から
のキャリア注入による)が減少し、著しい光出力の低下
をもたらしていた。
【0044】しかしながら、本発明の表面処理方法を行
った表面改質ITO膜を陽極として用いた有機発光素子
は、電極とそれに接している有機化合物からなる層の電
子的なマッチングが最適な状態にあるため、陽極からの
キャリア注入量が増大し、発光輝度が飛躍的に向上し
た。
【0045】本発明の有機発光素子においては、発光層
構成成分として、電子写真感光体分野等で研究されてい
るホール輸送性化合物やこれ迄知られているホール輸送
性発光体化合物(例えば表1〜4に示される化合物等)
あるいは電子輸送性化合物やこれ迄知られている電子輸
送性発光体化合物(例えば表5〜6に挙げられる化合
物)を必要に応じて2種類以上使用する事も出来る。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】本発明の有機発光素子において、発光層は
一般には真空蒸着あるいは適当な結着性樹脂と組み合わ
せて薄膜を形成する。上記結着剤としては広範囲な結着
性樹脂より選択でき、例えばポリビニルカルバゾール樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
リレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ア
クリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。こ
れらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2
種以上混合して用いても良い。
【0053】一方、陰極材料としては仕事関数が小さな
銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウ
ム、マンガン、インジウム、クロムあるいはこれらの合
金が用いられる。
【0054】本発明の有機発光素子は、従来の白熱灯、
螢光灯あるいは発光ダイオードなどと異なり、大面積、
高分解能、薄型、軽量、高速動作、完全な固体デバイス
であり、高度な要求を満たす可能性のあるELパネルに
使用することができる。
【0055】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。
【0056】実施例1〜16および比較例1〜5 ガラス基板上にスパッタリング法により膜厚110nm
のITO膜を製膜したITO基板を図1に示す表面処理
装置の基板ホルダーに保持した。次に、表面処理装置の
チャンバー内を1×10−6Torrまで真空排気した
のち、マスフローコントローラを介して酸素ガスを8c
cmの流量で流し、放電管内の圧力が2×10−3To
rrになるように調整した。
【0057】次いで、13.56MHzの高周波電源を
動作させ、放電管内に酸素プラズマを発生させた後、基
板ホルダーに−10V(10eVのエネルギーに該当す
る)の電圧を20秒間印加してITO膜の表面処理を行
った。
【0058】処理終了後、ただちに下記の構造式(1)
で示される化合物からなるホール輸送層(膜厚30n
m)、そしてAlq からなる発光層(膜厚50n
m)、さらにAlからなる陰極(膜厚200nm)を各
次順次真空蒸着により形成し、実施例1の素子を作成し
た。
【0059】
【化1】
【0060】また、基板ホルダーに印加する電圧を下記
の表7に示す電圧とした以外は実施例1と同様の方法で
作成した素子を、各々実施例2〜6、比較例1〜2、実
施例7〜16、比較例3〜4の素子とした。
【0061】一方、全く処理を行わない他は実施例1と
同様の方法で作成した素子を比較例5の素子とする。
【0062】
【表7】
【0063】このようにして作成した素子に10Vの電
圧を印加して発光輝度を測定した結果を図7に示す。結
果をみて明らかなように、ITO膜の仕事関数が5.0
eV以上になる表面処理を施した表面改質ITOを電極
として用いた発光素子の発光輝度が、飛躍的に向上して
いることがわかる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の表面処理
方法をITO膜に行うと、面抵抗の増加を引き起こすこ
となくITO膜の仕事関数を増加させることができる。
また、このようにして表面改質を行った表面改質ITO
膜を有機発光素子の陽極として用いることで、極めて輝
度の高い素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るITO膜の表面処理方法を行うた
めの一例を示す表面処理装置である。
【図2】本発明に係るITO膜の処理条件に対するIT
O膜の面粗さと面抵抗と仕事関数の変化を示す図であ
る。
【図3】本発明の有機発光素子の一例を示す断面図であ
る。
【図4】本発明の有機発光素子の他の例を示す断面図で
ある。
【図5】本発明の有機発光素子の他の例を示す断面図で
ある。
【図6】本発明の有機発光素子の他の例を示す断面図で
ある。
【図7】本発明に係るITO膜の表面処理を行った表面
改質ITO膜を電極として用いた有機発光素子の発光輝
度とITOの仕事関数の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 放電管 3 高周波コイル 4 石英管 5 高周波電源 6 基板ホルダー 7 電流計 8 直流電源 9 コンデンサー 10 基板 11 陽極 12 発光層 13 陰極 14 ホール輸送層 15 電子輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 和則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 真下 精二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB00 AB02 CA01 CB01 DA00 DB03 FA00 FA01 FA03 4K029 BA50 BC09 BD00 CA00 CA10 EA09 GA00 GA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜80eVのエネルギー範囲にある
    酸素イオン又は電子をITO膜に照射して表面改質を施
    したことを特徴とする表面改質ITO膜。
  2. 【請求項2】 前記表面改質ITO膜の仕事関数が5.
    0eV以上である請求項1記載の表面改質ITO膜。
  3. 【請求項3】 10〜80eVのエネルギー範囲にある
    酸素イオン又は電子をITO膜に照射して表面改質を行
    うことを特徴とするITO膜の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記酸素イオン又は電子を照射してIT
    O膜の表面改質を行う場合、酸素イオンは少なくとも1
    mW/cm2以上1W/cm2以下、電子は少なくとも
    0.1W/cm2以上10W/cm2以下のパワーをIT
    O膜表面に与える請求項3記載のITO膜の表面処理方
    法。
  5. 【請求項5】 前記酸素イオン又は電子により、ITO
    膜の深さ方向5nm以内の表面領域を改質する請求項3
    または4記載のITO膜の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 仕事関数が5.0eV以上の表面改質I
    TO膜を電極として用いることを特徴とする電荷注入型
    発光素子。
  7. 【請求項7】 前記表面改質ITO膜として、10〜8
    0eVのエネルギー範囲にある酸素イオン又は電子をI
    TO膜に照射して表面改質を行った表面改質ITO膜を
    電極として用いる請求項6記載の電荷注入型発光素子。
  8. 【請求項8】 前記酸素イオン又は電子を照射してIT
    O膜の表面改質を行う場合、酸素イオンは少なくとも1
    mW/cm2以上1W/cm2以下、電子は少なくとも
    0.1W/cm2以上10W/cm2以下のパワーをIT
    O膜表面に与える請求項7記載の電荷注入型発光素子。
  9. 【請求項9】 前記表面改質ITO膜が、酸素イオン又
    は電子によりITO膜の深さ方向5nm以内の表面領域
    を改質したITO膜である請求項7または8記載の電荷
    注入型発光素子。
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