JP3362504B2 - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法

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JP3362504B2 JP11496894A JP11496894A JP3362504B2 JP 3362504 B2 JP3362504 B2 JP 3362504B2 JP 11496894 A JP11496894 A JP 11496894A JP 11496894 A JP11496894 A JP 11496894A JP 3362504 B2 JP3362504 B2 JP 3362504B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は有機電界発光素子の製造
方法に関するものであり、詳しくは、有機化合物から成
る発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスの
製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、有機電界発光素子を作製する際の
ホスト材料に蛍光色素をドープする方法としては、ホス
ト材料と蛍光色素を別々の蒸着源として、各々の蒸着速
度をコントロールすることによりドープする共蒸着法
(J.Appl.Phys.65(9),1989,3
610頁、J.Appl.Phys72(5),199
2,1957頁、電子情報通信学会,信学技報OEM9
2−54,69頁 1993等)が、広く知られてい
る。この方法により、発光色を変化させることができ、
さらに発光効率の向上を実現することができる。また、
ホスト材料の一部を構造変化させて蛍光色素を生成し、
ホストにドープする手法も開発され(第54回応用物理
学会学術講演回講演予稿集 No.3,1124頁,2
9p−ZC−6)、赤色発光を実現している。 【0003】この他に、ホスト材料と蛍光色素を溶媒に
溶かしてスピンコート法で成膜するドープ法も開発され
ている(Chemistry Letters,pp.
1267−1270,1991)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前述のように発光波長
のシフトや、高効率化を目的として蛍光色素のドープが
行われているが、蛍光色素の中にはドープ濃度により、
発光時の中心波長がずれるものもあり(J.Appl.
Phys.65(9),1989,3610頁)、ホス
ト材料へ蛍光色素をドープする際のドープ濃度の制御が
重要な技術となる。 【0005】しかし、従来の共蒸着法では、蒸着時にホ
スト材料と蛍光色素の蒸着速度を正確に制御する必要が
あるため、膜厚方向の濃度制御が難しいという点があ
る。またホスト材料の一部を構造変化させて蛍光色素を
生成する方法では、蒸着源が一つで済むというメリット
があるが、蛍光色素の生成と蒸着を同一の過程で行って
いるため、蛍光色素の濃度制御が困難である。またスピ
ンコート法では、ドープ濃度を溶媒中で調整することが
可能というメリットがあるが、成膜した素子には、一般
的に微量の溶媒や不純物が膜中に残存しているため、真
空蒸着で作製した素子と比較すると特性が劣るという点
が挙げられる。 【0006】上述の理由から、有機電界発光素子におけ
る蛍光色素をホスト材料にドープする方法は、精密な濃
度制御という点において大きな問題を抱えているのが実
状である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は上記実状に
鑑み、有機電界発光素子作製時の蛍光色素のドープ濃度
を精密に制御することを目的として鋭意検討した結果、
基板温度を40℃以上、200℃以下の温度に制御し、
ホスト材料/蛍光色素、または蛍光色素/ホスト材料の
順に順次積層することにより、熱拡散によって蛍光色素
を分散させる方法が好適であることを見い出し、本発明
を完成するに至った。 【0008】すなわち、本発明の要旨は、基板上に、陽
極と陰極との間に正孔輸送性物質または電子輸送性物質
からなるホスト材料に蛍光色素を分散させた有機電界発
光層を有する有機電界発光素子の製造方法において、真
空蒸着法により基板上にホスト材料層及び蛍光色素層を
成膜積層する際に、基板温度を40℃〜200℃の温度
に保持してホスト材料層中に蛍光色素を分散させること
を特徴とする有機電界発光素子の製造方法、に存する。 【0009】以下、本発明の有機電界発光素子の製造方
法について添付図面に従い説明する。図1は本発明にお
ける有機電界発光素子の層構成の一例を模式的に示す断
面図であり、1は基板、2a、2bは導電層、3は正孔
輸送層、4は蛍光色素層、5は電子輸送層を各々表わ
す。 【0010】基板1は本発明の有機電界発光素子の支持
体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属
箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる
が、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタアクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリサルホンなどの透明な合成
樹脂基板が好ましい。基板1上には導電層2aが設けら
れるが、この導電層2aとしては通常、アルミニウム、
金、銀、ニッケル、パラジウム、テルル等の金属、イン
ジウム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物やヨ
ウ化銅、カーボンブラック、あるいはポリ(3−メチル
チオフェン)等の導電性高分子などにより構成される。
導電層の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法な
どにより行われることが多いが、銀などの金属微粒子あ
るいはヨウ化銅、カーボンブラック、導電性の金属酸化
物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当な
バインダー樹脂溶液に分散し、基板上に塗布することに
より形成することもできる。さらに、導電性高分子の場
合は電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基
板上に塗布して形成することもできる(Appl.Ph
ys.Lett.,60巻,2711頁,1992
年)。上記の導電層は異なる物質で積層することも可能
である。導電層2aの厚みは、必要とする透明性により
異なるが、透明性が必要とされる場合は、可視光の透過
率が60%以上、好ましくは80%以上透過することが
望ましく、この場合、厚みは、通常、5〜1000n
m、好ましくは10〜500nm程度である。 【0011】不透明でよい場合は導電層2aは基板1と
同一でもよい。また、さらには上記の導電層を異なる物
質で積層することも可能である。図1の例では、導電層
2aは陽極(アノード)として正孔注入の役割を果たす
ものである。一方、導電層2bは陰極(カソード)とし
て、電子輸送層5に電子を注入する役割を果たす。導電
層2bとして用いられる材料は、前記導電層2a用の材
料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行
なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグ
ネシウム、インジウム、アルミニウム、銀等の適当な金
属またはそれらの合金が用いられる。導電層2bの膜厚
は通常、導電層2aと同様である。また、図1には示し
てはいないが、導電層2bの上にさらに基板1と同様の
基板を設けることもできる。但し、導電層2aと2bの
少なくとも一方は透明性の良いことが有機電界発光素子
としては必要である。このことから、導電層2aと2b
の一方は、10〜500nmの膜厚であることが好まし
く、透明性の良いことが望まれる。 【0012】導電層2aの上には本発明でのホスト材料
である正孔輸送層3が設けられるが、正孔輸送材料とし
ては、導電層2aからの正孔注入効率が高く、かつ、注
入された正孔を効率よく輸送することができる材料であ
ることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシ
ャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定
性にすぐれ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に
発生しにくいことが要求される。 【0013】このような正孔輸送化合物としては、例え
ば、特開昭59−194393号公報、米国特許第4,
175,960号、米国特許第4,923,774号及
び米国特許第5,047,687号に解説される、N,
N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)
−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン:1,
1’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シク
ロヘキサン:4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クワ
ドロフェニルなどの芳香族アミン系化合物、特開平2−
311591号公報に示されるヒドラゾン化合物、米国
特許第4,950,950号公報に示されるシラザン化
合物、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化
合物は、単独で用いるか、必要に応じて、各々、混合し
て用いてもよい。上記の化合物以外に、ポリビニルカル
バゾールやポリシラン(Appl.Phys.Let
t.,59巻,2760頁,1991年)等の高分子材
料が挙げられる。 【0014】上記の有機正孔輸送材料は真空蒸着法によ
り前記導電層2a上に積層することにより正孔輸送層3
を形成する。正孔輸送層の膜厚は、通常、10〜300
nm、好ましくは30〜100nmである。正孔輸送層
3の材料としては有機化合物の代わりに無機材料を使用
することも可能である。無機材料に要求される条件は、
有機正孔輸送化合物と同じである。正孔輸送層3に用い
られる無機材料としては、p型水素化非晶質シリコン、
p型水素化非晶質炭化シリコン、p型水素化微結晶性炭
化シリコン、あるいは、p型硫化亜鉛、p型セレン化亜
鉛等が挙げられる。これらの無機正孔輸送層はCVD
法、プラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り形成される。 【0015】無機正孔輸送層の膜厚も有機正孔輸送層と
同様に、通常、10〜300nm、好ましくは30〜1
00nmである。正孔輸送層3の上には蛍光色素層4が
設けられるが、蛍光色素層4としては、シンチレーショ
ン用有機色素、レーザー用色素等のように蛍光性の高い
物質ならばどんな物質でもよく、また膜厚は、ドープ濃
度に応じて調整が可能であるが、通常0.1nmから5
0nm程度である。 【0016】さらにこの層の上には本発明のもう一つの
ホスト材料層である電子輸送層5が設けられる。電子輸
送層5に用いられる化合物としては、導電層2bからの
電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく
輸送することができる化合物であることが必要である。
そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度
が大きく、さらに安定性にすぐれトラップとなる不純物
が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要
求される。また、均一な薄膜形状を与えることも素子の
安定性の点で重要である。 【0017】電子輸送層の材料としては、テトラフェニ
ルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57−517
81号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム
錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公
報、米国特許第5,151,629号、米国特許第5,
141,671号)、シクロペンタジエン誘導体(特開
平2−289675号公報)、ペリノン誘導体(特開平
2−289676号公報)、オキサジアゾール誘導体
(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベン
ゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−2
22484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−18
9890号公報、同3−791号公報)、クマリン化合
物(特開平2−191694号公報、同3−792号公
報)、希土類錯体(特開平1−256584)、ジスチ
リルピラジン誘導体(特開平2−252793号公
報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33183号
公報)、チアジアゾロピリジン誘導体(特開平3−37
292号公報)、ピロロピリジン誘導体(特開平3−3
7293号公報)、ナフチリジン誘導体(特開平3−2
03982号公報)などが挙げられるが、特に、8−ヒ
ドロキシキノリンおよびその誘導体から形成される金属
錯体が好ましい。前記金属錯体の中心金属としては、ア
ルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、イ
ットリウム、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、カルシ
ウムが好ましい。これらの金属錯体は、単独で用いる
か、必要に応じて、各々混合して使用してもよい。 【0018】電子輸送層5の膜厚は、通常、10〜20
0nm、好ましくは30〜100nmである。本発明に
おいては、有機電界発光素子の前記ホスト材料層に蛍光
色素を分散するに際し、基板温度を加熱コントロール
し、ホスト材料と蛍光色素を積層することにより、熱拡
散させるため、ドープ濃度を制御しやすいという特徴が
ある。また素子形成時に加熱するため耐熱性のある、長
期の駆動に対しても安定した発光特性を示す素子が製造
できる。 【0019】本発明における有機電界発光素子の構造と
しては、ホストとなる材料の物性により異なるが、以下
に示すような層構成(熱拡散により部分的に両方の物質
が存在する中間層、または、完全に混合した混合層もこ
の層構成の範中に入れる。)が挙げられる。 【表1】 陽極/蛍光色素層/正孔輸送層* /電子輸送層/陰極 陽極/正孔輸送層* /蛍光色素層/電子輸送層* /陰極 陽極/正孔輸送層/電子輸送層* /蛍光色素層/陰極 陽極/蛍光色素層/正孔輸送層* /電子輸送層/電子注
入層/陰極 陽極/正孔輸送層* /蛍光色素層/電子輸送層* /電子
注入層/陰極 陽極/正孔輸送層/電子輸送層* /蛍光色素層/電子注
入層/陰極 陽極/蛍光色素層/正孔輸送層* /電子輸送層/界面層
/陰極 陽極/正孔輸送層* /蛍光色素層/電子輸送層* /界面
層/陰極 陽極/正孔輸送層/電子輸送層* /蛍光色素層/界面層
/陰極 陽極/蛍光色素層/正孔輸送層* /電子輸送層/電子注
入層/界面層/陰極 陽極/正孔輸送層* /蛍光色素層/電子輸送層* /電子
注入層/界面層/陰極 陽極/正孔輸送層/電子輸送層* /蛍光色素層/電子注
入層/界面層/陰極 上記層構成において、*の付いた層は、本発明に於ける
ホスト材料層になり得る層である。電子注入層は素子の
効率をさらに向上するためのものであり、有機発光層の
上に積層される。この電子注入層に用いられる化合物に
は、陰極からの電子注入が容易で、電子の輸送能力がさ
らに大きいことが要求される。このような電子注入材料
としては、 【0020】 【化1】 【0021】 【化2】 【0022】などのオキサジアゾール誘導体(App
l.Phys.Lett.,55巻,1489頁,19
89年;Jpn.J.Appl.Phys.,31巻,
1812頁,1992年)やそれらをPMMA等の樹脂
に分散した系(Appl.Phys.Lett.,61
巻,2793頁,1992年)、または、n型水素化非
晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等
が挙げられる。電子輸送層の膜厚は、通常、5〜200
nm、好ましくは10〜100nmである。 【0023】また、同じく、上述の層構成で、界面層は
陰極と有機層とのコンタクトを向上させるためのもの
で、芳香族ジアミン化合物(特願平5−48075
号)、キナクリドン化合物(特願平5−116204
号)、ナフタセン誘導体(特願平5−116205
号)、有機シリコン化合物(特願平5−116206
号)、有機リン化合物(特願平5−116207号)等
が挙げられる。前記界面層の膜厚は、通常、2〜100
nm、好ましくは5〜30nmである。界面層を設ける
代わりに、有機発光層及び電子輸送層の陰極界面近傍に
上記界面層材料を50モル%以上含む領域を設けてもよ
い。 【0024】前述の層構成において、真空蒸着により連
続して形成される層については、ホスト層/蛍光色素層
または、蛍光色素層/ホスト層、以外の層に対してもこ
れらの温度と同じ基板温度を採用することが、プロセス
上は好ましい。例えば、ホストが有機正孔輸送層で、陽
極/有機正孔輸送層/蛍光色素層/電子輸送層/陰極、
という層構成においては、有機正孔輸送層/蛍光色素層
を成膜した後に電子輸送層を成膜するわけであるが、こ
の時連続して同一基板温度で形成することが好ましい。
尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に導電層2
b、電子輸送層5、蛍光色素層4、正孔輸送層3、導電
層2aの順に積層することも可能であり、既述したよう
に少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発
明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様
に、前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能で
ある。 【0025】 【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。 実施例1 図2は本実施例に使用した真空蒸着装置の概念図であ
る。有機薄膜を以下の方法で作製した。 【0026】ガラス基板をアセトン、イソプロピルアル
コールで超音波洗浄、乾燥窒素で乾燥、UV/オゾン洗
浄を行った後、前記真空蒸着装置内10に設置して、装
置内の真空度が2×10-6Torr以下になるまで液体
窒素トラップ21を備えた油拡散ポンプ22を用いて排
気した。その後、基板ホルダ15に内蔵されたヒータ1
6により加熱を行い、ガラス基板14の温度を73℃に
制御した。 【0027】有機正孔輸送層材料として、以下に示す
N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニ
ル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以
下、H1)をセラミックるつぼ11に入れ、るつぼの周
囲のタンタル線ヒーター12で加熱して蒸着を行った。 【0028】 【化3】 【0029】この時のるつぼの温度は、160〜170
℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2×10-6To
rrであり、蒸着時間3分10秒で膜厚60nmの有機
正孔輸送層3を得た。この上に蛍光分子層の材料とし
て、以下の構造式に示すキナクリドン(以下、F1)を
15nm積層した試料を作製し、中心波長350nmの
UVライトを照射し、フォトルミネッセンス(PL)を
測定し、図3に示すようなスペクトルを得た。 【0030】 【化4】 【0031】F1のDMF溶液中の蛍光スペクトルは、
535nmと565nmにピークを持っており、図3の
スペクトルに近い形となっている。また、F1は固体状
態では蛍光性を示さないため、この結果からF1がH1
中に分散されていることがわかる。 比較例1 基板温度を20℃に制御した以外は実施例1と同様にし
て試料を作製し、同様の方法でPLを測定することによ
り、図4に示すようなスペクトルを得た。F1のスペク
トルが見られないことから、この試料ではF1がH1中
に分散されていないことがわかる。 【0032】実施例2 ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明
導電膜を120nm堆積したものをアセトン、イソプロ
ピルアルコールで超音波洗浄、乾燥窒素で乾燥、UV/
オゾン洗浄を行った後、実施例1の条件で素子を作製し
た。H1をセラミックるつぼに入れ、るつぼの周囲のタ
ンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のる
つぼの温度は、160〜170℃の範囲で制御した。蒸
着時の真空度は2×10-6Torrで、蒸着時間3分1
0秒で膜厚60nmの有機正孔輸送層3を得た。蛍光分
子層の材料として、F1を上記正孔輸送層の上に1nm
成膜した。 【0033】次に、電子輸送層の材料として、以下の構
造式に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯
体、Al(C96NO)3 (以下、E1と称する。)を上
記蛍光分子層の上に同様にして蒸着を行なった。 【0034】 【化5】 【0035】この時のるつぼの温度は230〜270℃
の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2×10-6Tor
r、蒸着時間は3分30秒、膜厚は75nmであった。
陰極としては、マグネシウムと銀の合金電極を2元同時
蒸着法によって膜厚150nmで蒸着した。蒸着はモリ
ブデンボートを用いて、真空度は4×10-6Torr、
蒸着時間は4分20秒で光沢のある膜が得られた。マグ
ネシウムと銀の原子比は10:1.5であった。 【0036】このようにして作製した有機電界発光素子
のITO電極(陽極)にプラス、マグネシウム・銀合金
電極(陰極)にマイナスの直流電圧を印加すると、16
Vの時17mA/cm2 の電流密度で93cd/m2
発光が得られた。この時、図5に示すような発光スペク
トルが得られた。E1の発光とF1の発光が重なってい
るため、これらの区別は困難であるが、比較例2と比べ
ると560nmのピークが高いことから、F1からの発
光が寄与しているといえる。 【0037】比較例2 基板温度を20℃としたこと以外は、実施例2と同様に
してITOガラス上に積層膜を形成した。この素子に実
施例1と同様の方法で直流電圧を印可した場合、13V
で34.5mA/cm2 の電流密度が流れ、輝度107
cd/m2 の発光が得られた。この時、図6に示すよう
な発光スペクトルが得られた。この発光は、比較例1の
結果と併せて考えてみると、E1の発光であることがわ
かる。 【0038】実施例3 蛍光分子層の材料として、以下の構造式で示すルブレン
(以下、F2と称する。)を用いたこと以外は、実施例
2と同様にして素子を作製した。 【0039】 【化6】 【0040】この素子に実施例1と同様の方法で直流電
圧を印加した場合、13Vの時、4.3mA/cm2
電流密度が流れ、輝度62cd/m2 の発光が得られ
た。この時、図7に示すような発光スペクトルが得られ
た。このスペクトルは、共蒸着でF2をドープして作製
した素子の発光スペクトルとほぼ同じものであった。 比較例3 基板温度を20℃とした他は実施例3と同様にしてIT
Oガラス上に積層膜を形成した。この素子に実施例1と
同様の方法で直流電圧を印可した場合、13Vで6.8
mA/cm2 の電流密度が流れ、輝度127cd/m2
の発光が得られた。この時、図8に示すような発光スペ
クトルが得られた。このスペクトルには500nmに肩
が見られることから、E1からの発光も含まれているこ
とがわかった。 【0041】以上、得られた素子の特性を表−1に示
す。また、実施例3と比較例3で得られた素子の保存特
性を表−2に示す。表−2から明らかなように、60日
後においては、室温(20℃)で成膜した素子(比較例
3)の発光面は、50%程度の非発光面に覆われている
が、73℃で成膜した素子(実施例3)の発光面は、5
%程度の非発光面に覆われているにすぎない。 【0042】 【表2】 1) Vth :1[cd/m2]を越えるときの電圧。2) L−J勾配:電流密度−輝度の関係を直線近似した
時の傾き。 【0043】 【表3】 3)η100:100[cd/m2]時の効率4) DS :非発光面の割合 【0044】 【発明の効果】本発明の有機電界発光素子の製造方法に
よれば、基板温度を40℃以上200℃以下の温度に設
定し、蛍光色素とホスト材料の積層構造をることにより
分散型有機電界発光素子を形成することから、膜厚方向
のドープ濃度を従来の方法よりコントロールでき均一な
発光を得ることができる。また、成膜時に基板加熱を行
っていることから、長期に渡り安定した発光特性を示す
素子を得ることが可能となる。従って、本発明による有
機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例え
ばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体とし
ての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶
ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、
標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいも
のである。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明における有機電界発光素子の一例を示
した模式的断面図。 【図2】 有機電界発光素子を製造する真空蒸着装置の
例を示した模式的断面図。 【図3】 基板温度=73℃、層構成=H1(60n
m)/F1(15nm)で作製した試料のPLスペクト
ル図。 【図4】 基板温度=20℃、層構成=H1(60n
m)/F1(15nm)で作製した試料のPLスペクト
ル図。 【図5】 基板温度=73℃、層構成=H1(60n
m)/F1(1nm)/E1(75nm)/MgAgで
作製した素子のELスペクトル図。 【図6】 基板温度=20℃、層構成=H1(60n
m)/F1(1nm)/E1(75nm)/MgAgで
作製した素子のELスペクトル図。 【図7】 基板温度=73℃、層構成=H1(60n
m)/F2(1nm)/E1(75nm)/MgAgで
作製した素子のELスペクトル図。 【図8】 基板温度=20℃、層構成=H1(60n
m)/F2(1nm)/E1(75nm)/MgAgで
作製した素子のELスペクトル図。 【符号の説明】 1 基板 2a、2b 導電層 3 正孔輸送層 4 蛍光色素層 5 電子輸送層 10 真空容器 11 セラミックるつぼ 12 タンタル線ヒータ 13 蒸着源仕切り板 14 基板 15 基板ホルダ 16 基板ヒータ 17 基板回転用モータ 18 シャッタ 19 膜厚モニタ 20 ゲートバルブ 21 液体窒素バルブ 22 油拡散ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−235378(JP,A) 特開 平7−62526(JP,A) 特開 平5−182764(JP,A) 特開 平2−252793(JP,A) 特開 平4−298596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板上に、陽極と陰極との間に正孔輸送
    性物質または電子輸送性物質からなるホスト材料に蛍光
    色素を分散させた有機電界発光層を有する有機電界発光
    素子の製造方法において、真空蒸着法により基板上にホ
    スト材料層及び蛍光色素層を成膜積層する際に、基板温
    度を40℃〜200℃の温度に保持してホスト材料層中
    に蛍光色素を分散させることを特徴とする有機電界発光
    素子の製造方法。
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