JP2002013225A - Cft柱を有する防火区画体における延焼防止構造及びその延焼防止方法 - Google Patents

Cft柱を有する防火区画体における延焼防止構造及びその延焼防止方法

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Takao Yutani
孝夫 湯谷
Teruo Matsutani
輝雄 松谷
Tetsuo Ono
徹郎 小野
Souichi Kobashi
創一 小橋
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Konoike Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】CFT柱(コンクリート充填鋼管柱)を有する
防火区画体において、CFT柱を介してなされる熱伝導
による延焼を効果的に阻止し、延焼防止性能の確保を図
り、CFT柱を無耐火被覆で使用できるようにするこ
と。 【解決手段】CFT柱と防火壁との接合部において不燃
性素材の断熱版を設置し、断熱板の熱遮蔽作用によりこ
の区間を火災熱の内部コンクリートへの放熱区間とし、
この放熱区間を少なくとも300mmに保つとともに、
断熱版の熱伝導率を0.2以下、断熱版の厚さを20m
m以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建造物内に設置
され、防火区画を形成して火災に対して延焼を防止する
防火区画体に関し、更に詳しくは、鋼管内にコンクリー
トを打設されてなるコンクリート充填鋼管柱(以下「C
FT柱」という。)と該CFT柱に連設され難燃性素材
からなる防火壁とからなる防火区画体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、CFT柱の優れた剛性、耐力が着
目され、構造物において高層化・大架構化が実現される
ものとして、このCFT柱を有する建造物いわゆるCF
T構造の建築物が普及しつつある。一方、該CFT柱は
鋼管の内部に熱容量の大きなコンクリートが充填されて
いることから全体として大きな熱容量を発現し、優れた
耐火性能を発揮するものとして耐火被覆を施さなくても
よい構造部材としても着目されつつある。しかしなが
ら、該CFT柱の耐火性は未だ十分なものとはいえず、
現状の耐火基準に付いては十分であるが、将来予想され
る更に厳しい基準に付いては決して満足しえるものとは
言えず、その耐火性能を向上させること、あるいはまた
該CFT柱の延焼防止性能を確保すること、は重要課題
となっている。すなわち、該CFT柱は防火壁体と連接
して防火区画体を形成するが、その接合部において、火
災側の発火熱は鋼管を伝導して未火災側に至り、その伝
導熱による延焼の問題がある。その一対策として、特開
平10−292526号が提案されているが、このもの
(先行技術)は鋼管よりも熱伝導率の低い素材に伝導熱
を導いて冷却させる機構を採るものであり、格別の効果
が発揮できないでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みなされたものであり、この種CFT柱を有する防火区
画体において、CFT柱を介してなされる熱伝導による
延焼を効果的に阻止し、延焼防止性能の確保を図りうる
新規な構造を採ることにより、CFT柱を無耐火被覆で
使用できるCFT柱を有する防火区画体における延焼防
止構造を提供することを目的とする。本発明はまた、こ
の新規な構造による延焼防止方法を提供することも他の
目的とする。本発明者らはこのため、当該CFT柱と防
火壁との接合部においてCFT柱の鋼管を介してなされ
る加熱(火災)側から非加熱(非火災)側への熱伝導の
過程における断熱板の熱遮蔽作用に着目し、所定の条件
(鋼管の厚さ、断熱版の伝導率・厚さ・幅の諸因子)に
おいて当該遮蔽部分において伝導熱の内部コンクリート
への放熱により非火災側への伝熱を抑制しうることを見
い出し、この知見のもとに本発明をなしたものである。
すなわち、本発明思想は上記先行技術と全く異なる熱伝
導機構に基づくものであり、明確な原理に基づく作用の
明定化、並びに設計の合理化を図りうるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は具体的には以下
の構成(技術的手段)を採る。第1番目の発明はCFT
柱を有する防火区画体における延焼防止構造に係り、請
求項1に記載のとおり、中空の柱状の鋼管内にコンクリ
ートが充填打設されてなるコンクリート充填鋼管柱と該
コンクリート充填鋼管柱に連設され不燃あるいは難燃性
素材からなる防火壁とからなり、火災の延焼を遮断する
防火区画体において、前記コンクリート充填鋼管柱と前
記防火壁との接合部位の全高にわたって、該コンクリー
ト充填鋼管柱と該防火壁の該コンクリート充填鋼管柱へ
の対向端部との間に所定の熱伝導率と厚さを有する不燃
性素材の断熱版が、前記コンクリート充填鋼管柱の鋼管
の表面及び前記防火壁に密接状態を保って配され、前記
コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面に密接する前記断
熱版及び防火壁の端面の当接区間を、火災時に鋼管に伝
導する高温が鋼管内のコンクリートに放熱される放熱区
間となし、この放熱区間の距離は前記防火壁の幅を超
え、かつ少なくとも300mmに保つとともに、鋼管の
厚さ:50mm以下、断熱版の熱伝導率:0.2kcal/m
・ h ・℃以下及び断熱版の厚さ:20mm以上を採るこ
とを特徴とする。なお、上記諸因子の上下限値は以下の
通りである。 放熱区間L:700mm(上限) 鋼管の厚さt:6mm(下限) 断熱版の熱伝導率:0.005kcal/m ・ h ・℃(下限) 断熱版の厚さ:80mm(上限) 本発明において、 防火壁の端面が断熱版に当接する態様すなわちコンク
リート充填鋼管柱の鋼管の表面には断熱版のみが当接す
る態様(図2、図7a、図8aに示す態様)、 防火壁の端面がコンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面
に当接する態様すなわち断熱版が防火壁の両側あるいは
片側に配される態様(図6、図7b、図8bに示す態
様)、のいずれの態様を採るものであるが、において
は放熱区間は断熱版の幅で決まり、においては放熱区
間は断熱版の幅と防火壁の幅の合計距離となる。上記構
成において、 断熱版の素材・形態は以下の実施の形態で具体的に示
されるが、所期の作用を奏するものであればその素材に
限定されない。 断熱版の素材として、ケイカル板、グラスウール板、
ロックウール板、石膏ボード、無機繊維強化石膏ボー
ド、繊維強化セメント板、はっ水性パーライト板のいず
れかが選択される。更には、 断熱版の鋼管への固着は耐熱性の接着剤をもってなさ
れること、は適宜採択される選択的事項である。
【0005】本第1発明における好ましい条件は以下の
実施の形態で示されるが、その例示を示すと次のとおり
である。 CFT柱が標準の柱体断面(700mm×700m
m)でかつ鋼管の厚みが通常の36mmを採り、熱伝導
率 0.093kcal/m ・ h ・℃のケイカル板を使用したとき、
該ケイカル板は厚みを24mm、幅を400mmとす
る。
【0006】第2番目の発明はコンクリート充填鋼管柱
を有する防火区画体における延焼防止方法に係り、所要
の厚さの中空の柱状の鋼管内にコンクリートが充填打設
されてなるコンクリート充填鋼管柱と該コンクリート充
填鋼管柱に連設され不燃あるいは難燃性素材からなる防
火壁とからなる防火区画体により防火区画を形成し、前
記コンクリート充填鋼管柱と前記防火壁との接合部位の
全高にわたって、該コンクリート充填鋼管柱と該防火壁
の該コンクリート充填鋼管柱への対向端部との間に所定
の熱伝導率と厚さを有する不燃性素材の断熱版を、前記
コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面及び前記防火壁に
密接状態を保って配し、前記コンクリート充填鋼管柱の
鋼管の表面に密接する前記断熱版及び防火壁の端面の当
接区間を所要の長さに保持し、前記当接区間において、
前記断熱版により火災時に生じる外方からの火災熱を遮
断し、かつ、火災側の鋼管から伝導する高温を鋼管内の
コンクリートに放熱させることを特徴とする。上記構成
において、鋼管の厚さを50mm以下、断熱版の熱伝導
率を0.2kcal/m ・ h ・℃以下、断熱版の厚さを20m
m以上とする条件のもとに、断熱版及び防火壁の端面の
鋼管に当接する距離すなわち放熱区間距離を少なくとも
300mmに保持する。
【0007】(作用)防火区画域の一方の側において火
災が発生すると、防火壁は不燃ないし難燃素材よりなる
ので容易には着火せず火災とならず、また、その耐火機
能をもってこの火災による加熱を他方の防火区域側すな
わち非火災側に伝達させず延焼を阻止する。CET柱に
おいては、火災側の断熱板に覆われた部分以外の鋼管部
分は火災による加熱を直接受けて高温となるが、断熱版
に覆われた鋼管部分は断熱版の断熱作用(熱遮蔽作用)
によって火災加熱の影響を直接受けることなく、鋼管の
高温部分から入力された熱だけが鋼管内を伝導し、温度
上昇する。すなわち、当該断熱版に覆われた鋼管部分に
おいては、火災側から非火災側へ熱伝導すると同時に、
CFT柱内の内部コンクリート内に放熱され、この結
果、当該断熱版に覆われた鋼管部分の温度は火災側から
非火災側に至るにつれ低下する。断熱版の長さを充分に
確保することにより、非火災側の鋼管への伝熱は抑制さ
れ、断熱版の端部直近の温度は延焼しない温度(常温+
140℃)以下となり、非火災側の鋼管に伝わる熱によ
る延焼は有効に阻止される。
【0008】本発明において留意すべきことは、断熱版
が防火壁に当接することは必須であるとしても、火災
側、非火災側のいずれの側にあるかは重要でなく、CF
T柱の鋼管における断熱版で覆われる区間すなわち放熱
区間の確保が重要である。すなわち、所要の条件のもと
に、放熱区間の距離が確保されうれば、断熱版は火災側
・非火災側のいずれに配されるかは問わない。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のCFT柱を有する防火区
画体における延焼防止構造並びにその延焼防止方法の実
施形態を図面に基づいて説明する。 (第1実施形態)図1〜図5は本発明のCFT柱を有す
る防火区画体における延焼防止構造の一実施形態(第1
実施形態)を示し、ビル建築物空間内における防火区画
体への適用例を示す。すなわち、図1は本実施形態の建
造物内の全体構成を示し、図2〜図5はその部分構成を
示す。これらの図において、防火壁を境として下方を発
火側(火災側)と想定して説明を進める。
【0010】図1にビル建築物におけるCFT柱を有す
る防火区画体の全体構造を示す。図において、Bは鉄骨
造の多層建造物であり、CFT柱1を縦構造主体とし、
CFT柱1間には各階層を区切るとともにその荷重を受
ける鉄骨梁H(図3に表示)が剛的に架設され、骨組み
体を構成する。当該建造物Bの各階層においてその外壁
W・床体Fは耐火性のコンクリートをもって形成され、
天井部の梁材Hには耐火被覆Iが施されるとともに、当
該建造物Bの空間にCFT柱1と防火壁2とを主体とす
る防火区画体3が形成され、全体として防火空間を形成
する。すなわち、CFT柱1は高荷重性を発揮するもの
であり、当該建造物BはこのCFT柱1の高荷重性能を
もって多層階に構築され、かつ、当該CFT柱1の耐火
性能を利用して防火空間を実現する。
【0011】しかして、本実施形態においては、CFT
柱1の延焼防止性能を高めるべく、当該CFT柱1に断
熱版5を所定の条件のもとに配したことを特徴とする。
以下、本防火区画体3の各部の細部構造を図2〜図5を
参照して説明する。なお、平面においてX軸、Y軸を採
り、高さ方向にZ軸を採る。
【0012】CFT柱1(図2・図3参照) CFT柱1は、本実施形態では角柱をなし、角形の所定
厚さの中空鋼管10内にコンクリート11が充填されて
なる。コンクリート11は鋼管10の立設とともに未硬
化コンクリートをその中空部内に打設し、その固結によ
りコンクリート11は鋼管10により拘束される。これ
により、CFT柱1は鋼管とコンクリートとの複合材を
形成し、コンクリート11が鋼管10により拘束される
ことにより、剛性、耐力に優れ、優れた高荷重性を発揮
する。該CFT柱1は当該建造物Bの主たる構造部材を
構成するものであり、建造物Bの鉛直荷重部材として全
階層に連続して配される態様を採ることも、あるいは、
所定階層に限って配される態様を採ることも自由であ
り、本実施形態では特に限定されるものではない。CF
T柱1には各階層を区切るとともに該階層の荷重を受け
る鉄骨梁Hが剛接される。該鉄骨梁Hの外側面には耐火
被覆Iが施される。
【0013】防火壁2(図2・図3参照) 防火壁2は、CFT柱1に連設するとともに床面と上階
の床下面又は梁下面との全高にわたって配され、CFT
柱1間あるいはCFT柱1と壁体Wとの間に所定間隔を
保って立設される軽量鉄骨材のスタッド13と、該スタ
ッド13の両側に配される不燃性素材(強化石膏ボー
ド)よりなる防火パネル14と、該相対峙する防火パネ
ル14の中空部に充填されるグラスウールあるいはロッ
クウール等の難燃材15と、からなる。スタッド13は
防火パネル14の取付けに利用されるとともに防火パネ
ル14間の間隔を保持するものであり、床面及び天井面
に固定されたライナー16に沿って配される。
【0014】断熱版5(図2〜図5参照) 本実施形態において特徴とするところは、CFT柱1と
防火壁2との間に所要の性能を有する断熱版5を所定の
条件のもとに介装することにある。そのような断熱版5
としてケイカル板が好適なものとして採用される。ケイ
カル板はケイカルすなわち素材を珪酸カルシウムとする
版であり、その特性として、1000℃に耐える耐高熱
性を示し、密度は単位体積(立方メートル)あたり20
0kg以下をなす軽量体であり、熱伝導率は0.03〜
0.09kcal/m ・ h ・℃以下の大きな断熱性を示す。ま
た、強度においては、曲げ強さは20N/平方センチメ
ートル以上を示す。当該ケイカル板5は、設置されるC
FT柱1と防火壁2に対応して、所定の幅(Y方向)と
厚み(X方向)を有し、かつ高さ(Z方向)を有する。
本実施形態では、幅は防火壁2の前後面よりも十分に突
出する寸法を有し、厚みは少なくとも20mmを確保
し、高さは床面より天井梁までの寸法を有する。該ケイ
カル板5は矩形断面をなし、単位長さのものを上下に継
ぎ足して所定の高さのものを得る。接合部は通常は突合
わせで十分であるが、図例のように段部18,19をも
って接続される。
【0015】該ケイカル板5はCFT柱1の表面及び防
火壁2の長手方向の端面に密着して取り付けられる。本
実施形態では防火壁2の端面はケイカル板5に突合せ状
に当接されており、これをタイプAとする。取付け手段
の一例として、耐火性の接着剤を用いてケイカル板5を
鋼管10に固着する。そのような接着剤として水ガラス
系、リン酸塩系のものが適用される。「ボンデスト(B
ONDEST)」(商品名、日本インシュレーション株
式会社製)(けい酸ナトリウム45%、けい酸アルミニ
ウム40%、けい酸カルシウム10%、その他5%)は
その一種である。あるいは、熱硬化性樹脂系耐熱接着剤
に使用もなされうる。他の取付け手段として、図4・図
5に示すように、金属製の固定ピン21がケイカル板5
に予め穿孔された孔に差し込まれ、その頭部21aをケ
イカル板5の表面に押し付けるとともにその基部21b
を鋼管10に当接させ、しかる後、溶接機(電気式)を
用いてこの基部21bと鋼管10に固着させる。このと
き、ケイカル板5を先に接着剤を用いて鋼管10に仮固
定しておく。この接着剤は通常のもの、あるいは前記し
た耐火性のものであってもよい。なお、ケイカル板5と
防火壁2との当接面は、ケイカル板5に凹溝を設け、こ
の凹溝に防火壁2を嵌め込んで接合する態様、あるいは
そのまま密着する態様、更には上記した接着剤をもって
固着する態様、等の適宜の態様を採りうる。
【0016】図2、図4において、ケイカル板5と鋼管
10との当接部の火災側の端部をaとし、非火災側の端
部をbとする。熱伝導の方向より、aを始点、bを終点
という。
【0017】本実施形態においては、CFT柱1は標準
の柱体断面(1辺の長さN=700mm、700mm×
700mm)を採り、該CFT柱1の鋼管10の厚みも
通常の36mmが採用される。なお、鋼管10の厚み
(t)が50mmを超えるとき、熱伝導が大きくなり、
本発明の放熱作用が有効に働かないので採用されない。
このCFT柱1に対応して、上記した性能を保持するケ
イカル板5は厚みが24mm、幅が400mmのものが
採用される。ケイカル板5の幅は以下に述べる「放熱区
間」距離をなす。なお、防火壁2は中央部の幅は45m
m、両側に配される防火パネルは片側がそれぞれ42m
mを採り全幅として129mmを採る。なお、図より明
らかなとおり、本実施形態では防火壁2の中心線を挟ん
で対称配置を採るが、「作用」において説明したよう
に、この対称配置は本発明にとって必須要件ではない。
【0018】(その他の断熱材)ケイカル以外の断熱版
として、ロックウール、石膏ボード、無機繊維強化石膏
ボード、繊維強化セメント板、はっ水性パーライト板
(密度250kg/立方m以下、熱伝導率0.07kcal
/m ・ h ・℃以下、曲げ強さ20N/平方cm以上)、が
採用される。
【0019】本実施形態においては、上記の構成よりな
る防火区画体3は、建築物Bの一階層に付いて示されて
いるが、上層階、下層階へも同様にして設置される。ま
た、CFT柱1は角柱に限らず、円柱、3角柱・5角柱
等の多角柱を除外するものではない。
【0020】(本実施形態の作用効果)上記の実施形態
の防火区画体におけるCFT柱の延焼防止構造は、火災
に際し次のように機能し、作用を発揮する(図2参
照)。一方の防火区画域において火災が発生すると、防
火壁2は不燃ないし難燃素材よりなるので容易には着火
せず火災とならず、また、その耐火機能をもってこの火
災による加熱を他方の防火区域側すなわち非火災側に伝
達させず延焼を阻止する。また、CET柱1において
は、火災側のケイカル板5に覆われた部分以外の鋼管部
分は火災による加熱を直接受けて高温となるが、ケイカ
ル板5に覆われた鋼管部分はケイカル板5の断熱作用
(断熱版の熱伝導率が小さく、かつ、厚さが大きい程単
位長さ当りの断熱作用が大きくなる。)によって火災加
熱の影響を直接受けることなく、鋼管の高温部分(点
a、ケイカル板5の始点)から入力された熱だけが鋼管
10内を伝導し、温度上昇する。通常の火災が進展した
盛期火災時には点aの鋼管表面温度は1000℃を超え
るものにもなるが、ケイカル板5に覆われた鋼管部分の
熱は、点aから点b(ケイカル板5の終点)に伝導する
と同時にCFT柱1内の内部コンクリート11内に放熱
されるため、ケイカル板5に覆われた鋼管部分(点a−
b間)の温度は、点aから点bに至るにつれ低下する。
ケイカル板5の幅、すなわち点a,b間の長さ(放熱区
間距離)は、充分に確保されているので、この間に内部
コンクリート11への放熱が良好になされる。この結
果、非火災側の鋼管10への伝熱は抑制され、点bの温
度は延焼しない温度(常温+140℃)以下となり、非
火災側の鋼管10に伝わる熱による延焼は有効に阻止さ
れる。
【0021】本実施形態のCFT柱を有する防火区画体
における延焼防止構造によれば、CFT柱1に耐火被覆
を施すことなく、火災によって加熱された火災側の鋼管
10から伝導される非火災側の鋼管10の温度上昇を有
効に抑制することができ、延焼を防止することができ
る。
【0022】(他の実施形態)図6〜図8に本発明のC
FT柱を有する防火区画体における延焼防止構造の他の
態様を示す。図6に示す実施形態(第2実施形態)の防
火区画体3Aにおいては、防火壁2を鋼管10の表面に
当接し、2枚のケイカル板5Aを防火壁2の両側に配し
たことを特徴とする。これによれば、防火壁2も放熱区
間Lに含まれる。これをタイプBとする。
【0023】図7は火災側にのみ断熱版を配した実施形
態(第3実施形態)を示す。a図は断熱版のみがCFT
柱の鋼管に当接する態様を示す(タイプA)。b図は断
熱版と防火壁とがCFT柱の鋼管に当接する態様を示す
(タイプB)。
【0024】図8は非火災側にのみ断熱版を配した実施
形態(第4実施形態)を示す。a図は断熱版のみがCF
T柱の鋼管に当接する態様を示す(タイプA)。b図は
断熱版と防火壁とがCFT柱の鋼管に当接する態様を示
す(タイプB)。
【0025】(比較解析)(図9〜図13参照) 本発明の効果を立証すべく、図9〜図11に示すケース
1〜3の熱伝導解析を行った。図における数字は寸法
(mm単位)を示す。ケース1は従来の構造のもので断
熱版がない。ケース2は本発明のもので断熱版(ケイカ
ル板)がCFT柱と防火壁との間に介装され、第1実施
形態に対応する。ケース3は同じくケイカル板の断熱版
を片側にのみ配したものであり、第4実施形態に対応す
る。本解析は次の熱伝導方程式に基づいてなされた。
【式1】 当該ケース1〜3に使用される各材料の熱伝導率・密度
・比熱は次の表に示される数値を採る。
【表1】 本解析では、所定の加熱式・境界条件のもとに、図12
に示すように防火区画の一方からの加熱による他方の側
の裏面箇所の温度−時間経過を解析したものである。
a,bはそれぞれ上述した放熱区間の始点(鋼材上の
点)、放熱区間の終点(鋼材上の点)に対応するもので
ある。図13はこの解析の熱伝導解析結果を示す。これ
によれば、ケース2,3はいずれもケース1に比べて顕
著な温度低下を示し、上昇温度の抑制効果が認められる
ものである。
【0026】本発明は上記実施の形態に限定されるもの
ではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計
変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技
術的範囲に属する。 防火壁2は先の実施形態に限定されるものではなく、
同等の防火性能を発揮する間仕切壁であれば構成は自在
である。 本発明の適用対象はビル建築に限らず、他の建造物、
更には防火区画を要するすべての施設において適用され
るものである。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、火災側から非火災側の
鋼管に伝導する火災熱を確実に抑制することができ、鋼
管から生じる延焼が防止され、無耐火被覆のCFT柱を
実現できる。また、当該断熱版の配置態様を変えること
により放熱効果を自在に変えることができるので、設計
の自由度が増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCFT柱を有する防火区画体における
延焼防止構造の一実施形態(第1実施形態)の建物内へ
の適用例を示す全体構成図。
【図2】図1の2部拡大詳細図。
【図3】図2の3−3の断面図。
【図4】防火壁の詳細要部の拡大断面図。
【図5】図4の5−5線断面図。
【図6】本発明のCFT柱を有する防火区画体における
延焼防止構造の他の実施形態(第2実施形態)の断面
図。
【図7】更に他の実施形態(第3実施形態)の断面図。
【図8】更に他の実施形態(第4実施形態)の断面図。
【図9】ケース1の断面図。
【図10】ケース2の断面図。
【図11】ケース3の断面図。
【図12】解析概要図。
【図13】解析データの温度−経過時間曲線。
【符号の説明】
1…コンクリート充填鋼管柱(CFT柱)、2…防火
壁、3…防火区画体、5…断熱版、10…鋼管、11…
コンクリート
フロントページの続き (72)発明者 小野 徹郎 大阪府大阪市此花区伝法4丁目3番55号 株式会社鴻池組内 (72)発明者 小橋 創一 大阪府大阪市此花区伝法4丁目3番55号 株式会社鴻池組内 Fターム(参考) 2E001 DD01 DE01 FA02 FA03 GA07 GA52 GA62 HA01 HA03 HA04 HA21 HA32 HA33 HB02 LA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空の柱状の鋼管内にコンクリートが充填
    打設されてなるコンクリート充填鋼管柱と該コンクリー
    ト充填鋼管柱に連設され不燃あるいは難燃性素材からな
    る防火壁とからなり、火災の延焼を遮断する防火区画体
    において、 前記コンクリート充填鋼管柱と前記防火壁との接合部位
    の全高にわたって、該コンクリート充填鋼管柱と該防火
    壁の該コンクリート充填鋼管柱への対向端部との間に所
    定の熱伝導率と厚さを有する不燃性素材の断熱版が、前
    記コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面及び前記防火壁
    に密接状態を保って配され、 前記コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面に密接する前
    記断熱版及び防火壁の端面の当接区間を、火災時に鋼管
    に伝導する高温が鋼管内のコンクリートに放熱される放
    熱区間となし、 この放熱区間の距離は前記防火壁の幅を超え、かつ少な
    くとも300mmに保つとともに、 次の条件: 鋼管の厚さ:50mm以下 断熱版の熱伝導率:0.2kcal/m ・ h ・℃以下 断熱版の厚さ:20mm以上 を採る、ことを特徴とするコンクリート充填鋼管柱を有
    する防火区画体における延焼防止構造。
  2. 【請求項2】防火壁の端面がコンクリート充填鋼管柱の
    鋼管の表面に当接する態様においては、実効放熱区間は
    断熱版と該防火壁を含む請求項1に記載のコンクリート
    充填鋼管柱を有する防火区画体における延焼防止構造。
  3. 【請求項3】防火壁の端面が断熱版に当接する態様にお
    いては、実効放熱区間は断熱版のみによる請求項1に記
    載のコンクリート充填鋼管柱を有する防火区画体におけ
    る延焼防止構造。
  4. 【請求項4】断熱版の素材部材として、ケイカル板、グ
    ラスウール板、ロックウール板、石膏ボード、無機繊維
    強化石膏ボード、繊維強化セメント板、はっ水性パーラ
    イト板のいずれかの1つが選択される請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載のコンクリート充填鋼管柱を有する防
    火区画体における延焼防止構造。
  5. 【請求項5】断熱版の鋼管への固着は耐熱性の接着剤を
    もってなされる請求項1〜3のいずれか1項に記載のコ
    ンクリート充填鋼管柱を有する防火区画体における延焼
    防止構造。
  6. 【請求項6】所要の厚さの中空の柱状の鋼管内にコンク
    リートが充填打設されてなるコンクリート充填鋼管柱と
    該コンクリート充填鋼管柱に連設され不燃あるいは難燃
    性素材からなる防火壁とからなる防火区画体により防火
    区画を形成し、 前記コンクリート充填鋼管柱と前記防火壁との接合部位
    の全高にわたって、該コンクリート充填鋼管柱と該防火
    壁の該コンクリート充填鋼管柱への対向端部との間に所
    定の熱伝導率と厚さを有する不燃性素材の断熱版を、前
    記コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面及び前記防火壁
    に密接状態を保って配し、 前記コンクリート充填鋼管柱の鋼管の表面に密接する前
    記断熱版及び防火壁の端面の当接区間を所要の長さに保
    持し、 前記当接区間において、前記断熱版により火災時に生じ
    る外方からの火災熱を遮断し、かつ、火災側の鋼管から
    伝導する高温を鋼管内のコンクリートに放熱させる、こ
    とを特徴とするコンクリート充填鋼管柱を有する防火区
    画体における延焼防止方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012136838A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Takenaka Komuten Co Ltd コンクリート充填鋼管柱
US8484915B1 (en) 2012-07-11 2013-07-16 King Saud University System for improving fire endurance of concrete-filled steel tubular columns
CN103321347A (zh) * 2013-06-28 2013-09-25 浙江月宫冷链设备有限公司 一种气调库库板
CN110685566A (zh) * 2019-10-30 2020-01-14 湖南千源铝业有限公司 一种防火隔热铝型材
CN111042373A (zh) * 2019-12-16 2020-04-21 张效思 建筑房屋用装配式钢管混凝土-木组合墙及其制造方法

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