JP2002013054A - 不織布及びそれを用いたフィルター - Google Patents

不織布及びそれを用いたフィルター

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JP2002013054A
JP2002013054A JP2000190568A JP2000190568A JP2002013054A JP 2002013054 A JP2002013054 A JP 2002013054A JP 2000190568 A JP2000190568 A JP 2000190568A JP 2000190568 A JP2000190568 A JP 2000190568A JP 2002013054 A JP2002013054 A JP 2002013054A
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styrene
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JP2000190568A
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Toshihiro Kanemitsu
敏弘 金光
Michiaki Yamazaki
亨明 山崎
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐熱水性に優れる不織布、及びその
ような不織布を含有する高温下で使用可能なフィルター
を提供する。 【解決手段】 主としてシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体を原料とする繊維を含有する不織布
であって、該繊維のX線回折パターンが、入射X線とし
てCuKα線を用い、方位角90度における散乱角2θ
=5.5〜7.0度と2θ=19.6〜21.2度に現
れる回折ピークの相対強度の比が1.0以上であり、か
つ方位角0度おける散乱角2θ=5.5〜7.0度と2
θ=19.6〜21.2度に現れる回折ピークの相対強
度の比が0.1以下である不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布及びそれを
用いたフィターに関し、詳しくは耐熱性、耐熱水性に優
れた不織布、及びそのような不織布を用いる高温下で使
用できるフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】シンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体(以下「SPS」と略称することがある。)
は、元来耐熱性が高いため、これを用いた不織布は耐熱
性が高いことが期待されている。
【0003】しかし、不織布を利用するフィルターには
各種の用途があり、例えば高い耐熱性や耐熱水性が必要
とされる用途で使用可能とするためには、使用時におけ
収縮の小さいものが好ましいが、従来得られていたSP
Sの不織布では使用環境下での寸法安定性が十分でなか
ったり、強度が十分でないことがあった。高い耐熱性や
耐熱水性を有する不織布があれば、バグフィルター、I
C製造に用いられた薬液の濾過フィルター、コーヒー用
の濾過フィルター、クリーンルーム用エアフィルター、
薬液用フィルター、自動車のエンジンオイル用フィルタ
ー等に使用でき、さらに用途が広がることになる。
【0004】したがって、さらに耐熱性に優れるSPS
を用いた不織布とそのような不織布を用いるフィルター
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、SPSを用いた耐熱性、耐熱水
性に優れる不織布、及びそのような不織布を含有する高
温下で使用可能なフィルターを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のX線回
折パターンを有するSPS繊維を含有する不織布が、本
発明の目的を効果的に達成できることを見出し発明を完
成したものである。即ち、本発明は、 [1] 主としてシンジオタクチック構造を有するスチ
レン系重合体を原料とする繊維を含有する不織布であっ
て、該繊維のX線回折パターンが、入射X線としてCu
Kα線(波長0.1542nm)を用い、方位角90度
における散乱角2θ=5.5〜7.0度に現れる回折ピ
ークの相対強度(Ih1)と2θ=19.6〜21.2度
に現れる回折ピークの相対強度(Ih0)の比( Ih1
h0)が1.0以上であり、かつ方位角0度における
散乱角2θ=5.5〜7.0度に現れる回折ピークの相
対強度(Iv1)と2θ=19.6〜21.2度に現れる
回折ピークの相対強度(Iv0)の比( Iv1/ Iv0
が0.1以下であることを特徴とする不織布。 [2] 不織布に含まれる繊維の平均径が0.1〜10
0μmである前記[1]に記載の不織布。 [3] 121℃、5時間のスチーム試験による収縮率
が、面積比で10%以下である前記[1]又は[2]に
記載の不織布。 [3] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布
を含有するフィルター。を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明は、主としてSPSを原料とする繊
維を含有する不織布であって、その繊維が特定のX線回
折パターンを有する不織布である。
【0008】以下、これらについて説明する。 1.不織布が含有する繊維のX線回折パターン まず、本発明の不織布が含有する繊維のX線回折パター
ンにおいては、方位角90度と方位角0度における回折
ピーク強度に着目している。本発明においては、この方
位角90度での測定とは、X線回折装置の繊維試料台の
面を入射ビームに対して垂直に置き、その状態で、繊維
の長さ方向が鉛直になるようにそろえて固定し、回折X
線を赤道面上で測定することを指す。また、方位角0度
での測定とは、方位角90度の状態から、繊維試料台の
面内でサンプルを90度回転させ、回折X線を赤道面上
で測定することを指す。
【0009】そして、上記測定条件における、方位角9
0度においてシンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体に由来する、散乱角2θ=5.5〜7.0度に
現れる回折ピークに対する相対強度(Ih1)と2θ=1
9.6〜21.2度に現れる回折ピークに対する相対強
度(Ih0)の比(= Ih1/ Ih0)が1.0以上であ
り、且つ方位角0度おいて散乱角2θ=5.5〜7.0
度に現れる回折ピークに対する相対強度(Iv1)と2θ
=19.6〜21.2度に現れる回折ピークに対する相
対強度(Iv0)の比(= Iv1/ Iv0)が0.1以下
である繊維を含有することを特徴とする不織布は優れた
耐熱性を有していることを見出したものである。
【0010】即ち、この、Ih1/ Ih0が1.0未満で
あるか、Iv1/ Iv0が0.1を超える場合、繊維中で
のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の
配向が十分でなく、力学的強度が不十分であったり、熱
収縮が大きい場合があり、結果として、耐熱性の優れた
不織布が得られないのである。
【0011】2.不織布が含有する繊維の原料 本発明の不織布が含有する繊維は、主としてSPSを原
料とする。このSPSは、SPSのみを原料としてもよ
いし、必要に応じてSPSとともに他の配合剤や各種添
加剤を加えたSPS組成物であってもよい。このSPS
又はSPS組成物を原料として繊維を形成し、不織布を
製造すればよい。以下、SPS、他の配合剤及び各種添
加剤について説明する。
【0012】2−1 SPS SPSについては特には制限はなく、公知のものが使用
できる。SPSにおけるシンジオタクチック構造とは、
立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭
素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル
基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するもので
あり、そのタクティシティ−は同位体炭素による核磁気
共鳴法(13C−NMR)により定量される。13C−NM
R法により測定されるタクティシティ−は、連続する複
数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイア
ッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッ
ドによって示すことができるが、本発明に言うシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体とは、通常は
ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以
上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましく
は50%以上のシンジオタクティシティ−を有するポリ
スチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン
化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、
ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エ
ステル)、これらの水素化重合体およびこれらの混合
物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を指称す
る。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、
ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポ
リ(イソロピルスチレン)、ポリ(タ−シャリ−ブチル
スチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニル
ナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)などがあり、ポ
リ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチ
レン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチ
レン)などがある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルス
チレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)な
ど、また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ
(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)など
がある。
【0013】なお、これらのうち特に好ましいスチレン
系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルス
チレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−タ
−シャリ−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレ
ン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオ
ロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単
位を含む共重合体が挙げられる。このスチレン系重合体
は分子量について特に制限はないが、重量平均分子量が
10,000以上、好ましくは50,000以上であ
る。さらに、分子量分布についてもその広狭は制約がな
く、様々なものを充当することが可能である。ここで、
重量平均分子量が10,000未満のものでは、得られ
る組成物あるいは成形品の熱的性質、機械的性質が低下
し好ましくない。
【0014】このようなSPSは、チタン化合物及び水
とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒とし
て、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応す
る単量体)を重合することにより製造することができる
(特開昭62−187708号公報)。また、ポリ(ハ
ロゲン化アルキルスチレン)については特開平1−46
912号公報、これらの水素化重合体は特開平1−17
8505号公報記載の方法などにより得ることができ
る。
【0015】また、SPSのメルトインデックス(M
I)については特に制限はないが、微細な繊維をえるた
めには、MIが、4g/10分以上、300g/10分
以下のものが好適であり、さらに好ましくは、6g/1
0分以上250g/10分以下のものが好適である。こ
こで、MIが4g/10分未満の場合には、細い繊維と
なりにくく、また、300g/10分を越えるような場
合は、繊維の強度が小さいものとなり、実用に供しにく
くなる。このMIは、300℃、荷重1.2kgで測定
した値である。
【0016】2−2 他の配合剤 本発明の繊維の原料には、目的に応じて種々の配合剤を
配合しても良いが、配合剤としては、例えば熱可塑性樹
脂、ゴム状弾性体、相溶化剤などを挙げることができ
る。これらの配合量は特に制限されるものではないが、
通常原料成分中、これら配合剤の合計が0〜90質量
%、好ましくは0〜85質量%の範囲で配合する。配合
剤の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0017】熱可塑性樹脂 本発明のSPSに配合してもよい熱可塑性樹脂として
は、例えば、アイソタクチックポリスチレン(IP
S),アタクチックポリスチレン(GPPS)、ハイイ
ンパクトポリスチレン(HIPS),アクリルニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレ
ン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチ
ックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレ
ン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレ
ン、ポリブテン、1,2−ポリブタジエン、環状ポリオ
レフィン、ポリ−4−メチルペンテンをはじめとするポ
リオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリト
リメチレンテレフタレート(PTT)をはじめとするポ
リエステル系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6を
はじめとするポリアミド系樹脂、PPS、ポリフェニレ
ンエーテル(PPE)等のポリエーテル類などの公知の
ものから任意に選択して用いることができる。なお、こ
れらの熱可塑性樹脂は一種のみを単独で、または、二種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】ゴム状弾性体 本発明のSPSに配合してもよいゴム状弾性体として
は、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ポリイソブチレン、ネオプレン(登録商標)、ポリ
スルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレ
タンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水
素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SE
B,SEBC)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロ
ック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン
−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加ス
チレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SI
S)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体(SEPS)、エチレンプロピレンゴム(E
PM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、
あるいはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コ
アシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタ
ジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチル
メタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コア
シェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジ
エン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキ
ルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチ
レン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチ
レン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレー
ト−ブチルアクリレート−シロキサンをはじめとするシ
ロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒
子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が挙げられ
る。このうち特に、SBR、SEB、SBS、SEB
S、SIR、SEP、SIS、SEPS、コアシェルゴ
ム、EPM、EPDMまたはこれらを変性したゴムが好
ましく用いられる。なお、これらのゴム状弾性体は一種
のみを単独で、または、二種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0019】相溶化剤 本発明のSPSに配合してもよい相溶化剤としては、種
々のものが使用可能であり、例えば、SPSと熱可塑性
樹脂やゴム状弾性体と相溶性又は親和性を有し、かつ極
性基を有する重合体が挙げられる。具体例としては、酸
無水物で変性したゴム、例えば無水マレイン酸変性SE
BS,無水マレイン酸変性SEPS、無水マレイン酸変
性SEB、無水マレイン酸変性SEP、無水マレイン酸
変性EPR,スチレン−無水マレイン酸共重合体(SM
A),スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、
末端カルボン酸ポリスチレン、末端エポキシ変性ポリス
チレン、末端オキサゾリン変性ポリスチレン、末端アミ
ン変性ポリスチレン、スルホン化ポリスチレン、スチレ
ン系アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレートグ
ラフトポリマー、(スチレン−グリシジルメタクリレー
ト)−メチルメタクリレートグラフトポリマー、酸変性
アクリル−スチレン−グラフトポリマー、(スチレン−
グリシジルメタクリレート)−スチレングラフトポリマ
ー、ポリブチレンテレフタレート−ポリスチレングラフ
トポリマー、さらには、無水マレイン酸変性シンジオタ
クチックポリスチレン、フマル酸変性シンジオタクチッ
クポリスチレン、グリシジルメタクリレート変性シンジ
オタクチックポリスチレン、アミン変性シンジオタクチ
ックポリスチレンなどの変性スチレン系ポリマー、(ス
チレン−無水マレイン酸)−ポリフェニレンエーテルグ
ラフトポリマー、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエ
ーテル、フマル酸変性ポリフェニレンエーテル、グリシ
ジルメタクリレート変性ポリフェニレンエーテル、アミ
ン変性ポリフェニレンエーテルなどの変性ポリフェニレ
ンエーテル系ポリマーなどが挙げられる。これらについ
ては一種用いてもよいし、二種以上を組合せて用いても
よい。 2−3 各種添加剤 本発明のSPSに配合してもよい添加剤としては、例え
ば酸化防止剤、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助
剤、顔料、染料、カ−ボンブラック、帯電防止剤などが
挙げられる。これらは、それぞれ必要に応じて公知のも
のを配合すればよく、その配合量は、通常例原料成分
中、各々0〜50質量%の範囲で配合する。公知の酸化
防止剤と核剤の具体例を挙げると以下のようである。 酸化防止剤 酸化防止剤としてはリン系、フェノール系、イオウ系等
公知のものから任意に選択して用いることができる。こ
れらの酸化防止剤は一種のみを単独で、または、二種以
上を組み合わせて用いることができる。 核剤 核剤としては、例えばアルミニウムジ(p−t−ブチル
ベンゾエ−ト)をはじめとするカルボン酸の金属塩、メ
チレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノ−ル)アシ
ッドホスフェ−トナトリウムをはじめとするリン酸の金
属塩、タルク、フタロシアニン誘導体等、公知のものか
ら任意に選択して用いることができる。これらの核剤は
一種のみを単独で、または、二種以上を組み合わせて用
いることができる。 3.不織布及びその製造方法 本発明の不織布の製造方法としては、特に制限はなく公
知の方法で行えばよい。例えば前記した主としてSPS
原料から繊維を形成し、その繊維を用いて繊維ウエブを
形成し、次いで不織布を形成すればよい。
【0020】ここで、SPS原料から繊維を得る方法に
ついては、公知の方法で紡糸すればよく、必要に応じて
その後延伸する。通常1.5〜6倍延伸するのが好まし
い。この延伸によって、SPSが適度に配向し、繊維の
耐熱性が向上する。
【0021】また、繊維から繊維ウエブ(不織布の絡合
又は結合前のもの)を形成する方法としては、例えば、
カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法、スパンボ
ンド法、メルトブロー法などが好適である。なお、カー
ド法により繊維ウエブを形成する場合、配向方向が交差
した繊維を含んでいると、たて方向とよこ方向の強度差
が小さくなるので、好適な繊維ウエブが得られ、また、
メルトブロー法を用いると微細な繊維が得られやすい。
【0022】このような繊維ウエブから不織布を形成す
る方法としては、例えば、繊維ウエブを水流やニードル
などの作用によって絡合させる方法、繊維の熱融着性成
分を融着して結合する方法、バインダーによって結合す
る方法、あるいはこれらの方法を組み合わせる方法など
がある。スパンボンド法、メルトブロー法によって得ら
れた繊維ウエブをそのまま不織布として使用しても構わ
ない。
【0023】この水流による絡合方法としては、例え
ば、ノズル径0.05〜0.3mm、より好ましくは、
0.10〜0.18mm、ピッチ0.2〜3mm、より
好ましくは、0.4〜1.2mmで一列に配列したノズ
ルプレートや、ノズルを格子状、千鳥状などの二列以上
に配列したノズルプレートを使用し、水圧1〜30MP
a(10〜300kg/cm2)の水流で、繊維ウエブ
の片面又は両面から処理する。以上のようにして得られ
る繊維シート状物の厚さには特に制限はなく、目的に応
じて様々な厚みのものが使用できる。
【0024】なお、本発明の不織布においては、主とし
てSPSを原料とする繊維を用いるが、これと共に他の
繊維を用いてもよく、例えば6−ナイロン、66−ナイ
ロンなどのナイロン系の繊維や、エチレン−ビニルアル
コール共重合体繊維や、ポリエチレンテレフタレート、
ポリトリメチレンエレフタレート等のポリエステル繊
維、液晶ポリマー(LCP)繊維、アラミド繊維、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペ
ンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブ
テン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系の繊
維と混紡しても良いし、積層しても良い。
【0025】また、本発明の主としてSPSを原料とす
る繊維を含有する不織布は、その繊維が、目的に応じて
様々な処理をほどこしたものであってもよく、例えばス
ルホン化したものであってもよく、あるいはエレクトレ
ット化したものであっても良い。
【0026】さらに、その繊維の断面形状についても制
限はなく公知の方法により様々な断面を有する繊維が充
当できる。例えば、繊維断面において、同心状又は偏心
状の芯鞘型、或いは一成分1を他成分2の間に配した菊
花型、一成分1と他成分2とを交互に2層以上に積層し
た多層型のものを使用できる。
【0027】SPSを含む不織布をフィルターとする場
合、公知の種々の方法で作成することができる。そのと
き、SPSを含む不織布を単独で用いても良いし、SP
S以外の熱可塑性樹脂からなる不織布と積層あるいは混
紡しても良い。更には、SPSを含む不織布をSPSあ
るいはSPS以外の熱可塑性樹脂の繊維からなる織布と
積層しても良い。 4.不織布の性能と用途 前記した本発明の不織布は、耐熱性、耐熱水性が高い。
例えば、イオン交換水を入れたプレッシャークッカーに
不織布を入れて121℃で5時間保持した場合(121
℃、5時間でのスチーム試験)の収縮率が小さく、面積
比で10%以下の不織布を得ることも可能である。
【0028】したがって本発明の不織布を含有するフィ
ルターは、例えばスチーム存在下での実用上耐熱性を有
するフィルターとして有用である。また、上記の不織布
をフィルターとして利用する場合は、不織布が含有する
繊維の平均繊維径が 0.1〜100μmであることが
好ましく、0.1〜40μmであることがより好まし
い。平均繊維径が 0.1μm未満であれば、不織布の
強度が不十分となり、100μmを超えると濾過能力が
十分でないことがあって不都合となる場合がある。
【0029】このようなフィルタは、酸性、塩基性の液
体を濾過するためのフィルター、有機溶剤を濾過するた
めのフィルター、自動車のエンジンオイルのフィルタ
ー、あるいはエアフィルター等として利用でき、特に、
例えばバグフィルター、IC製造に用いられた薬液の濾
過フィルター、コーヒー用の濾過フィルター、クリーン
ルーム用エアフィルター、薬液用フィルター等に使用で
きる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定される
ものではない。 〔回折ピークの測定用の試料〕繊維試料台に、繊維の長
さ方向が鉛直になるようにそろえて固定した場合を、方
位角90度と定義した。そして、散乱角2θ=5.5〜
7.0度に現れる回折ピークに対する相対強度(Ih1
と2θ=19.6〜21.2度に現れる回折ピークに対
する相対強度(Ih0)の比(= Ih1/ Ih0)を求め
た。次に、方位角90度の状態から、繊維試料台の面内
でサンプルを90度回転させた状態を方位角0度と定義
し、このときに散乱角2θ=5.5〜7.0度に現れる
回折ピークに対する相対強度(Iv1)と2θ=19.6
〜21.2度に現れる回折ピークに対する相対強度(I
v0)の比(= Iv1/ Iv0)を求めた。 〔回折強度の読取り〕第1図を例に説明する。第2図以
下も同様である。 a.第1図で、ピーク0とピーク4がつくる谷間dと、
ピーク0とピーク5がつくる谷間eを結ぶ接線をベース
ラインdeとしたとき、散乱角2θ=19.6〜21.
2度の回折ピーク0のベースラインdeからの強度を、
方位角90度の場合をIh0とし、方位角0度のときをI
v0とする。 b.第1図において、ピーク1の両側の裾野a,bを結
ぶ接線をベースラインabとしたとき、ピーク1のベー
スラインabからの強度を、方位角90度の場合をIh0
とし、方位角0度のときをIv0とする。
【0031】なお、各ピーク読取りについて次の点に注
意する。第3図や第4図のようにピーク4の強度が弱
く、ピークがノイズと区別できなくなりベースラインが
取れない場合、ベースラインdeのd点として、c点を
用いることとする。 〔スチーム試験〕スチーム試験は、10cmX10cm
(=100cm2)の正方形に不織布を切り取りサンプ
ルとし、イオン交換水を入れたプレッシャークッカーを
用いて121℃で5時間保持した。試験後に不織布サン
プルを取り出し、面積を測定し、初期の面積(=100
cm2)で除した値を100から引いたものを面積収縮
率とし%で記載した。 〔実施例1〕 SPS1[シンジオタクチックポリスチレン、出光石油
化学社製「ザレック300ZC」(MI=30g/10
分)]を紡糸温度310℃、紡糸速度600m/分で紡
糸し、これにより得た未延伸糸を2.5倍の延伸倍率で
160℃の熱板上で延伸を行った。得られた繊維の繊維
径は27μmであり、繊度は5デニールであり、強度は
2.2g/デニールであり、伸度は24%であり、DS
C(示差走査熱分析機、DSC−7:パーキンエルマー
社製)を用い昇温速度20℃/分で測定したところ、2
71℃に融解ピークが見られた。この繊維を切断して繊
維長51mmとし、カーディングし、クロスレイヤーに
より繊維の配向方向を交差させて繊維ウエブを形成した
後、温度130℃、線圧80kg/cmでカレンダー処
理して、目付50g/m2、厚さ1mmの不織布を得
た。
【0032】次いで、この不織布から繊維を取り出し、
繊維の長さ方向が鉛直となるようにそろえて、繊維試料
台に取り付け、広角X線測定を行った。方位角90度お
よび方位角0度の散乱曲線をそれぞれ図1および図2に
示す。それぞれの図より、 Ih1/ Ih0 =1.55 Iv1/ Iv0 =0.05 であった。次いで、この不織布についてスチーム試験を
行った。試験後に不織布のサンプルを取り出し、面積を
測定したところ93cm2であり、面積収縮率は7%で
あった。
【0033】〔実施例2〕 SPS[シンジオタクチックポリスチレン、出光石油化
学社製「ザレック141AC」(MI=14g/10
分)]を310℃に設定したダイから押し出し、400
℃の空気気流を用いてメルトブロー法で繊維マットを作
成した。次いで、得られた繊維マットの両面からウォー
タージェットをあて水流交絡させ不織布を作成した。こ
のときのウォータージェットの圧力は、表面が5MPa
(50kg/cm2)であり、裏面が9MPa(90k
g/cm2)であり、繊維マットの繰り出し速度は3m
/minであった。得られた不織布の目付は100g/
2であり繊維径は7μmであり、DSCによる測定
で、241℃に融解ピークが見られた。次いで、この不
織布から繊維を取り出し、繊維の長さ方向が鉛直となる
ようにそろえて、繊維試料台に取り付け、広角X線測定
の結果より、 Ih1/ Ih0 =1.96 Iv1/ Iv0 =0.03 であった。次いで、この不織布についてスチーム試験を
行った。試験後に不織布サンプルを取り出し、面積を測
定したところ95cm2であり、面積収縮率は5%であ
った。
【0034】〔比較例1〕実施例1において、延伸倍率
を1.3倍とした以外は同様にして繊維を作成し、その
繊維を用いて不織布を作成した。繊維径は40μmであ
り、繊度は11デニールであり、DSCによる測定で、
271℃に融解ピークが見られた。方位角90度および
方位角0度の散乱曲線をそれぞれ図3および図4に示
す。それぞれの図より、 Ih1/ Ih0 =0.12 Iv1/ Iv0 =0.11 であった。
【0035】次いで、この不織布についてスチーム試験
を行った。試験後に不織布サンプルを取り出し、面積を
測定したところ82cm2であり、面積収縮率は18%
であった。
【0036】
【発明の効果】本発明の特定のX線回折パターンを有す
る繊維を含有する不織布は、耐熱性あるいは耐熱水性が
高く、この不織布を含有するフィルタは耐熱性、耐熱水
性が要求されるフィルタとして有効である。
【0037】したがって、本発明の不織布は、酸性、塩
基性の液体を濾過するためのフィルターや有機溶剤を濾
過するためのフィルター、自動車のエンジンオイルのフ
ィルター、あるいはエアフィルター等として利用でき、
特に、例えばバグフィルタ、IC製造に用いられた薬液
の濾過フィルタ、コーヒー用の濾過フィルター、クリー
ンルーム用エアフィルター、薬液用フィルター等の各種
フィルターとして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明における繊維のX線強度読取
り方法を説明するためのX線回折のパターン例を示す図
である。
【図2】第2図は、本発明の実施例1の不織布が含有す
る繊維のX線回折のパターンを示す。
【図3】第3図は、本発明の実施例2の不織布が含有す
る繊維のX線回折のパターンを示す。
【図4】第4図は、本発明の比較例1の不織布が含有す
る繊維のX線回折のパターンを示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主としてシンジオタクチック構造を有す
    るスチレン系重合体を原料とする繊維を含有する不織布
    であって、該繊維のX線回折パターンが、入射X線とし
    てCuKα線(波長0.1542nm)を用い、方位角
    90度における散乱角2θ=5.5〜7.0度に現れる
    回折ピークの相対強度(Ih1)と2θ=19.6〜2
    1.2度に現れる回折ピークの相対強度(Ih0)の比
    ( Ih1/Ih0)が1.0以上であり、かつ方位角0度
    における散乱角2θ=5.5〜7.0度に現れる回折ピ
    ークの相対強度(Iv1)と2θ=19.6〜21.2度
    に現れる回折ピークの相対強度(Iv0)の比( Iv1
    v0)が0.1以下であることを特徴とする不織布。
  2. 【請求項2】 不織布に含まれる繊維の平均径が0.1
    〜100μmである請求項1に記載の不織布。
  3. 【請求項3】 121℃、5時間のスチーム試験による
    収縮率が、面積比で10%以下である請求項1又は2に
    記載の不織布。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の不織布
    を含有するフィルター。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004243314A (ja) * 2003-01-22 2004-09-02 Toyo Roki Mfg Co Ltd 自動変速機又はエアクリーナ用濾材及びその製造方法
JP2017520394A (ja) * 2014-06-10 2017-07-27 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー エアフィルタバッグ

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