JP2002012422A - チタニア膜形成用液及びそれを用いた膜形成方法 - Google Patents

チタニア膜形成用液及びそれを用いた膜形成方法

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JP2002012422A
JP2002012422A JP2000190564A JP2000190564A JP2002012422A JP 2002012422 A JP2002012422 A JP 2002012422A JP 2000190564 A JP2000190564 A JP 2000190564A JP 2000190564 A JP2000190564 A JP 2000190564A JP 2002012422 A JP2002012422 A JP 2002012422A
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forming
titania film
titania
titanium
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JP2000190564A
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Shinichi Komiya
真一 小宮
Mutsuro Kawamoto
睦郎 川元
Isato Ishibashi
勇人 石橋
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Towa Chemical Industry Co Ltd
BASF Japan Ltd
Original Assignee
Towa Chemical Industry Co Ltd
BASF NOF Coatings Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布時に水分に触れたとしても、酸化チタン
や水酸化チタンを生成してゲル化の生じることなく、チ
タニア膜を形成し得る、安定なチタニア膜形成用液を提
供する。 【解決手段】 4価のチタン塩及び/又は一般式Ti
(OR)4(Rはアルキル及び/又はアリール)で表さ
れる4価のチタン化合物とポリオールとを含有したチタ
ニア膜形成用液を利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容易に調製され、
湿気に対して安定なために、塗布時の取扱が容易で、均
一な塗膜を得やすく、かつ密着性に優れる膜を低温で形
成させることができるチタニア膜形成用液、及び、それ
を用いたチタニア膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】チタニ
ア膜形成方法としては、高真空中で酸化チタンからなる
ターゲットをスパッタリングして、基体上に膜を形成さ
せるスパッター法、有機金属やハロゲン化物を揮発させ
て、電気炉中で分解させて基体上に膜を形成させるCV
D法、固体粒子を大気中で発生させたプラズマ中で溶融
させて、基体表面にたたきつけるプラズマ溶射法、酸化
チタンの粉末からなるスラリーや、金属アルコキシドの
加水分解で得られたゾル、又は、金属アルコキシドその
ものを基体に塗布後焼成させる塗布法等がある。
【0003】しかしながら、スパッター法やCVD法
は、高真空に耐え得る装置を必要とする上、成膜に長い
時間がかかり、また緻密な膜を得る為には基体を数百度
の高温にする必要がある。また、プラズマ溶射法は、成
膜速度は速いが、緻密で密着性のよい塗膜を生成させる
ことが難しかった。
【0004】一方、塗布法は、これらの中では、一番簡
単に塗膜を形成させることができる点で望ましいが、酸
化チタンの粉末や、テトラアルコキシチタンの加水分解
等から得られたチタン酸ゾルを用いる場合には、塗布後
に非常に高温(400℃以上)で焼成する必要がある。
またテトラアルコキシチタンそのものを用いる場合、テ
トラアルコキシチタンは、最終的には基体に塗布した
後、水分と反応して目的の酸化チタン(チタニア)を形
成するものではあるが、テトラアルコキシチタンは水分
に対して不安定なために、塗布前に水分に触れると反応
して、酸化チタンや水酸化チタンを生成してゲル化した
りしてしまい、均一に塗布することができなくなるた
め、通常の環境では塗布が難しく、塗布時の湿度管理に
注意を払う必要があった。また、基体に塗布されたテト
ラアルコキシチタンは、空気中の水分と反応しながら膜
を形成し、更に焼成されることになるが、空気中の水分
量(湿度)は変わりやすく、従って膜形成のコントロー
ルも難しい。膜形成のコントロールのためには、予め膜
形成に必要な水分をテトラアルコキシチタンに添加して
おくことができるのが望ましが、テトラアルコキシチタ
ンの上記した性質から当然ながら不可能であるため、テ
トラアルコキシチタンそのものを用いて、簡単に優れた
塗膜を形成させることは非常に難しかった。
【0005】本発明者等は、鋭意検討した結果、4価の
チタン化合物とポリオールを組み合わせて用いること
で、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0006】
【課題を解決する手段】即ち、本発明の課題を解決する
ための手段は、次のとおりである。第1に、4価のチタ
ン化合物とポリオールとを含有することを特徴とする、
チタニア膜形成用液。第2に、4価のチタン化合物とポ
リオールと水とを含有することを特徴とする、チタニア
膜形成用液。第3に、4価のチタン化合物が、4価のチ
タン塩及び一般式Ti(OR)4(但し、Rはアルキル及
び/又はアリールであり、一部又は全部が同じであって
も、異なっていてもよい。)からなることを特徴とす
る、上記第1又は2に記載のチタニア膜形成用液。第4
に、4価のチタン化合物が、一般式Ti(OR)4(但
し、Rはアルキル及び/又はアリールであり、一部又は
全部が同じであっても、異なっていてもよい。)で表さ
れる物質から本質的になり、酸が配合されていることを
特徴とする、上記第1又は2に記載のチタニア膜形成用
液。第5に、4価のチタン化合物が、4価のチタン塩か
ら本質的になり、アルカリが配合されていることを特徴
とする、上記第1又は2に記載のチタニア膜形成用液。
第6に、4価のチタン化合物が4価のチタン塩の水溶液
であることを特徴とする、上記第1に記載のチタニア膜
形成用液。第7に、ポリオールが、最終のチタニア膜形
成用液中の全チタン化合物に対して、等モル以上含有さ
れていることを特徴とする、上記第1〜6のいずれか一
つに記載のチタニア膜形成用液。第8に、一般式Ti
(OR)4(但し、Rはアルキル及び/又はアリールであ
り、一部又は全部が同じであっても、異なっていてもよ
い。)で表される化合物が、チタニア膜形成用液中の全
チタン化合物の50〜99モル%であり、4価のチタン
塩が、1〜50モル%であることを特徴とする、上記第
3に記載のチタニア膜形成用液。第9に、酸が、チタニ
ア膜形成用液のチタン化合物に対して、0.01〜0.
5当量配合されていることを特徴とする、上記第4に記
載のチタニア膜形成用液。第10に、アルカリが、チタ
ニア膜形成用液のチタン化合物に対して、0.5〜1.
0当量配合されていることを特徴とする、上記第5に記
載のチタニア膜形成用液。第11に、基体に、上記第1
〜10のいずれか一つに記載のチタニア膜形成用液を塗
布した後、100℃以上に加熱することを特徴とする、
チタニア膜の形成方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、4価のチタン化
合物としては、4価のチタン塩及び/又は一般式Ti
(OR)4(但し、Rはアルキル及び/又はアリールであ
り、一部又は全部が同じであっても、異なっていてもよ
い。)で表される化合物、Ti(acac)3 (チタン
とアセチルアセトンの化合物)等のチタンのキレート化
合物等が挙げられる。
【0008】4価のチタン塩としては、四塩化チタン、
四臭化チタン等のハロゲン化チタン、チタンアシレート
等が挙げられ、特に四塩化チタンが取扱性に優れ、入手
しやすいために好ましい。また、一般式Ti(OR)
4(但し、Rはアルキル及び/又はアリールである。)
で表される化合物としては、様々なものが挙げられる
が、Rは一部又は全部が同じであっても、異なっていて
もよく、例えば、テトラメトキシチタン、テトライソプ
ロポキシチタン、テトラブトキシチタン等が挙げられ、
テトライソプロポキシチタンが入手のしやすさと、単位
重量当たりのチタン含有量が高いという理由でより好ま
しい。
【0009】本発明のチタニア膜形成用液には、更に少
なくとも1種類以上のポリオールが含有させられる。ポ
リオールを含有させることによって、チタニア膜形成用
液が安定なものとなる。尚、ポリオールは、膜形成後
に、加熱して揮発させることによって除去するか、水洗
によって容易に除去されて、膜内に残らないものであ
る。これらポリオールとしては、グリセリン、エリスリ
トール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、
マンニトール、ズルシトール、マルチトール、ラクチト
ール、パラチニット、還元澱粉糖化物等の糖アルコー
ル、ブドウ糖、乳糖、マンノース、キシロース、アラビ
ノース、ガラクトース、マルトース、トレハロース等の
糖類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
【0010】ポリオールは、チタニア膜形成用液の安定
化に寄与するとともに、その溶媒としても働くので、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン
等の常温で液体であるものを使用するのが好ましく、特
には人体に対する低刺激性、低沸点等の理由でプロピレ
ングリコールが最も好ましい。糖アルコール等の常温で
固体の物質を使用する場合は、予め常温で液体の上記し
たプロピレングリコール等をベースとして用いて、それ
に溶解させてから混合するのが好ましい。糖アルコール
の中では、ソルビトールを使用するのが良い。
【0011】ポリオールは、本発明のチタニア膜形成用
液中の全チタン化合物のモル数に対して、等モル以上含
まれているのが好ましく、ポリオールが等モル未満であ
ると、湿度が高い場合等に白濁を起こすことがあるので
余り好ましくない。また、ポリオールとして糖アルコー
ルを使用する場合、糖アルコールは、グリコール類以上
にチタンを安定化させる反面、多く用いすぎると膜強度
が落ちる傾向があるので、糖アルコールは、全チタン化
合物に対して、5モル%以下、より好ましくは1モル%
以下と少な目にして、上記した様に、常温で液体の物質
と糖アルコールを併せて、チタニア膜形成用液中の全チ
タンに対して、等モル以上含有させるのが好ましい。但
し、後述される、4価のチタン化合物が4価のチタン塩
の水溶液である場合には、非水系と比較して、水溶液が
非常に不安定であるので、糖アルコール以外のポリオー
ルでは充分に液を安定化させることが難しいため、得ら
れる膜の強度に多少問題があるものの、糖アルコールを
多めに使用して、液を安定にさせることが非常に有効で
ある。
【0012】4価のチタン化合物が、一般式Ti(OR)
4(但し、Rはアルキル及び/又はアリールであり、一
部又は全部が同じであっても、異なっていてもよい。)
で表される化合物から本質的になる場合、ポリオールと
混合する前に、4価のチタン塩、又は、酸との組成物を
形成し、ポリオールと混合するのが、安定性の面で好ま
しい。尚、酸を用いる場合は、この組成物中には、Ti
(OR)4化合物以外に、酸(以下の説明を判りやすくす
るために便宜上HnXとする。式中、Hは水素であり、
Xはハロゲン等であり、nは1以上の整数である。)と
反応してその混合比によりTiX(OR)3、TiX2(O
R)2、TiX3(OR)等の形のものも存在することとな
る。この酸としては、酢酸、塩化水素(塩酸を含む)、
臭化水素(臭化水素酸を含む)、硫酸等が挙げられる
が、塗布後の加熱時に酸が膜中に残らないようにするた
めに、揮発性の酸が好ましく、特には酢酸、塩化水素等
が好ましい。
【0013】4価のチタン塩を用いる場合は、4価のチ
タン塩は、チタニア膜形成用液中の、全チタン化合物の
1〜50モル%、好ましくは2〜10モル%で、Ti
(OR) 4化合物はチタニア膜形成用液中の、全チタン化
合物の50〜99モル%、好ましくは90〜98モル%
の割合で混合されるのが望ましい。4価のチタン塩が、
上記範囲未満であると、調製液を安定させる効果が小さ
く、またポリオールを混合した際に一部に凝固を生じる
傾向がある。逆に上記範囲を超えると、成膜がスムーズ
に行なわれにくくなり、またポリオールを混合した際
に、酸が大量に遊離してしまい、膜形成は可能である
が、塗布基体の材質により、基体そのものにダメージを
与えてしまうために、基体が限定されることになる傾向
があるので好ましくない。酸を使用する場合には、酸
は、チタニア膜形成用液中のチタン化合物に対して、
0.01〜0.5当量、好ましくは0.02〜0.1当
量配合されるのが好ましい。尚、ここで言う酸1当量と
は、チタン化合物のアニオン(Cl等)と、理論的に過
不足なく反応する量である。Ti(OR)4化合物に対し
て、加える酸が上記範囲未満であると、ポリオールの混
合時に、一部に凝固が生じる傾向があり、逆に上記範囲
を超えると、ポリオール混合時に、酸が大量に遊離して
しまい、膜形成は可能であるが、塗布基体の材質によっ
ては、基体そのものにダメージを与えてしまうために、
基体が限定されることになる傾向があるので好ましくな
い。
【0014】4価のチタン化合物が、4価のチタン塩で
あり、アルカリが併用して使用される場合に、アルカリ
としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド等の金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム等の水酸
化物、酢酸ナトリウムなどの塩類、アンモニア、トリエ
チルアミン等のアミン類等が挙げられるが、特に限定さ
れるものでない。しかし、ナトリウムメトキシド、水酸
化ナトリウムをアルカリとして使用することが好まし
い。混合方法は、4価のチタン塩をアルカリと混合して
から、ポリオールと混合してもよいし、アルカリとポリ
オールを混合してから、4価のチタン塩と混合してもよ
いが、この組成物中には、使用したアルカリの種類によ
って、様々な形態の物質が存在することになる。例え
ば、金属アルコキシド類を使用した場合、使用された4
価のチタン塩(TiX4とする。)と金属アルコキシド
(MORとする。但し、Mは金属、Rはアルキル基を表
す。)とが反応してできる、TiXn(OR)4-n(式中、
nは1〜3の整数である。)の形のものや、MX等の塩
が存在することとなる。
【0015】4価のチタン塩とアルカリとの組成物を用
いる場合、アルカリが、チタニア膜形成用液のチタン化
合物に対して、0.5〜1.0当量、好ましくは0.9
〜0.98当量になるように混合されるのが好ましい。
尚、ここで言うアルカリ1当量とは、チタン化合物のア
ニオン(Cl等)と、理論的に過不足なく反応する量で
ある。アルカリが上記範囲未満であると、ポリオール混
合時に、酸が大量に遊離してしまい、上記したのと同様
に塗布基体の材質により、基体そのものにダメージを与
えてしまうために、基体が限定されることになる傾向が
あるので好ましくない。逆に上記範囲を超えると、金属
とチタンが反応してチタン酸塩を生成し沈殿を起こした
り、形成されるチタン膜の強度が落ちる傾向があるので
好ましくない。
【0016】また、4価のチタン化合物は、4価のチタ
ン塩の水溶液として用いてもよい。通常、チタン塩水溶
液は、安定化させるために過剰の酸を加える必要がある
が、本発明においては、ポリオールを使用するために、
これらの酸を用いずとも安定なチタン塩水溶液とするこ
とができる。このため、幅広いpH範囲におけるチタン
塩水溶液の調製が可能となる。調製は、チタン塩水溶液
に、ポリオールを混合させるだけであるが、所望のpH
に調整するために、水酸化ナトリウムやアンモニア水等
を添加することもできる。チタン塩水溶液としては、四
塩化チタン水溶液が入手しやすく好ましい。このチタン
塩水溶液に組み合わされるポリオールとしては、上記し
たのと同様のポリオールを使用することができるが、水
溶液は非水系と比べて不安定であるために、安定化作用
の強いポリオール、好ましくは糖アルコール類、より好
ましくは単糖の糖アルコールである、ソルビトールを使
用するのが好ましい。酸性領域からアルカリ性領域ま
で、幅広いpH範囲で安定なチタン塩水溶液を得るため
には、ポリオールは、全チタンに対して、2倍モル以
上、より好ましくは3倍モル以上混合されるのが好まし
い。混合されるポリオールが上記範囲未満であるとpH
の上昇に伴いゲル化、ゾル化を起こす傾向があり好まし
くない。
【0017】チタニア膜形成用液を、塗布・焼成後に、
その膜に光触媒作用を持たせたい場合には、光触媒活性
を有するアナターゼチタンをチタニア膜形成用液に含有
させてもよい。また、基体との密着性を向上させるため
に界面活性剤を含有させてもよい。上記した以外にも、
本発明のチタニア膜形成用液には、本発明の効果を損な
わない程度に、各種添加剤を含有させることができ、例
えば、脱泡剤、塗布表面の改質剤等が挙げられる。
【0018】本発明においては、上記した通りのチタニ
ア膜形成用液をそのまま、若しくは、粘度が高くそのま
までは塗布が困難な場合はアルコール、特に長鎖のアル
コール、ケトン、エステル等の溶媒に溶解させてから、
基体に塗布した後、100℃以上に加熱することによっ
て、チタニア膜を形成させることができる。この方法に
おいて、加熱温度は、100℃以上、より緻密で密着性
の高いチタニア膜を得るには160℃以上が好ましく、
加熱温度の上限は基体の材質に左右される。塗布される
基体としては、特に限定されるものではないが、ガラ
ス、金属、セラミックス、塗料塗装表面等が挙げられ
る。また、基体への塗布厚は、限定されるものではない
が、0.05〜200μm、好ましくは0.1〜30μ
mの範囲内で所望の厚みが選択される。
【0019】本発明においては、単独では水に対して非
常に不安定な4価のチタン化合物を用いるものの、共存
させるポリオールの適度なキレート作用により、安定な
状態になるもののと考えられる。そのため、水を予め調
製液に含有させても(水溶液であっても)、チタニア膜
形成用液は安定であるので、空気中の湿気に頼らずに、
安定的にコントロールしながら、膜を形成させ得る液を
調製することも可能になるものと考えられる。従って、
空気中の水分では反応が充分に進まず、目的の酸化チタ
ンを生成させるのに長時間を要すると考えられる場合
や、安定に反応を進行させたい場合には、適宜水を含有
させて、チタニア膜形成用液とするのが好ましい。尚、
本発明のチタニア膜形成用液(水溶液の場合を除く)
に、予め水を含有させる場合には、最終のチタニア膜形
成用液の全チタン化合物に対して、2倍モル以下添加さ
れるのが好ましい。本発明においては、塗布後加熱する
ことによって、ポリオールのキレートによる安定化作用
が弱まると同時に、水との反応で生成した酸化チタンが
膜を形成するものと考えられる。尚、ポリオールは、こ
の加熱で揮発してしまうか、糖アルコール等の100℃
では揮発しないポリオールを使用した場合には、酸化チ
タン膜形成後に洗浄することによって、容易に除去され
る。
【0020】本発明によって得られるチタニア膜は、限
定されるものではないが、光触媒用塗料基材、紫外線カ
ット被膜等の様々な分野に利用することができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて更に具体的に本発明を
説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に制限され
るものではない。また、以下の実施例において、%は特
に断りのない限り、重量%によるものとする。
【0022】実施例1 四塩化チタン20mlとテトライソプロポキシチタン5
1.8gを混合した。冷却後、この混合物のうち55.
2gとプロピレングリコール86.4gを混合してチタ
ニア膜形成用液を調製した。得られた調製液を、特に除
湿等を行なっていない通常の環境下で、ガラスの平板に
ガラス棒を用いて、薄く塗布し、これを180℃で30
分加熱処理した。そして冷却後温水で洗浄を行った。乾
燥後のガラス表面には、無色のチタニア膜の形成が確認
された。
【0023】実施例2 実施例1で得られた調製液1gに、市販のアナターゼチ
タン粉末1gを混合し、ポリエステル塗装表面に塗膜を
形成させた。これにより、ポリエステル塗装表面にアナ
ターゼチタンを固定することができた。
【0024】実施例3 プロピレングリコールに代えて、グリセリンを150g
使用した以外は、実施例1と同様に調製し、実施例1と
同様に塗膜を形成させた。
【0025】実施例4 テトライソプロポキシチタン48.5gと四塩化チタン
1mlを混合し、これにプロピレングリコール135g
を加えた。更にこれに水5.8mlを加え、チタニア膜
形成用液を調製した。その後、実施例1と同様に塗膜を
形成させた。
【0026】実施例5 実施例1でテトライソプロポキシチタンを使用しない以
外は、実施例1と同様に液を調製しようとしたところ、
大量の塩酸が発生したので、塩酸の発生がおさまった後
に、塗膜を形成させた。
【0027】比較例1 プロピレングリコールを用いない以外は、実施例1と同
様に調製し、同様に塗膜を形成させた。
【0028】比較例2 四塩化チタンのみを用いて実施例1と同様に塗膜を形成
しようとしたが、膜を形成することができなかった。
【0029】比較例3 テトライソプロポキシチタンのみを用いて、塗布しよう
としたところ、塗布中に一部凝固が生じてしまった。
【0030】実施例6 テトライソプロポキシチタン48.5gに酢酸2.0g
を加え、混合した。これにプロピレングリコール140
gを加え、チタニア膜形成用液を調製した。得られた調
製液を、実施例1と同様に塗膜を形成させたところ、同
様にガラス表面には、無色のチタニア膜の形成が確認さ
れた。
【0031】実施例7 プロピレングリコール210gに四塩化チタン50gを
発熱に注意しながら加えた。さらに市販の28%ナトリ
ウムメトキシド199.5g(1.01モル、0.96
当量)をゆっくり加え、反応させた。そして沈殿した塩
化ナトリウムをろ別し、チタニア膜形成用液を調製し
た。尚、実施例5に記載される、プロピレングリコール
と四塩化チタンの組合せでは、多量の塩酸が発生した
が、本実施例では、ナトリウムメチラートの添加によ
り、それが押えられたものと考えられる。実施例1と同
様に塗膜を形成させた。
【0032】実施例8 市販の四塩化チタン水溶液(チタンとして約17%含
む)50gに、粉末のソルビトール(東和化成工業社製
商品名ソルビットDP−50)31g及びプロピレン
グリコール26gを加えて、溶解させた。これに水を加
えて全量を100mlとし、チタニア膜形成用液を調製
した。この液をガラスの平板に塗布し、100℃で1時
間、その後170℃で1時間加熱して、冷却後水洗し
た。乾燥後ガラス表面には、無色からやや白色を帯たチ
タニア膜の形成が確認された。
【0033】実施例9 市販の四塩化チタン水溶液(チタンとして約17%含
む)82.3gに、粉末のソルビトール(東和化成工業
社製 商品名ソルビットDP−50)40gを加えて、
溶解させた。そしてこれを水冷却下で、激しく撹袢しな
がら、25%水酸化ナトリウムを加え、pHを6に調整
して、透明のチタニア膜形成用液を調製した。実施例7
と同様に塗膜を形成させた。
【0034】比較例4 実施例6で、ポリオールを用いない以外は同様に調製
し、実施例1と同様に塗膜を形成しようしたところ、塗
布時にガラス表面上で、酸化チタンの凝固が起こり、均
一に塗布することができなかった。
【0035】比較例5 実施例7で、ポリオールを用いない以外は同様に調製
し、同様に塗膜を形成しようしたところ、塗布時にガラ
ス表面上で、酸化チタンの凝固が起こり、均一に塗布す
ることができなかった。
【0036】比較例6 市販の四塩化チタン水溶液から、同様の塗膜を形成しよ
うとしたところ、塗膜は形成されたものの、非常に剥離
しやすいものであった。
【0037】比較例7 実施例9で、ポリオールを用いない以外は同様に調製し
ようと水酸化ナトリウムを加えたところ、水酸化チタン
のゲルが沈殿し調整することができなかった。
【0038】下記表に、上記実施例・比較例で用いた物
質及び評価を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】4価のチタン化合物とポリオールの両方を
含有する実施例の液は、比較例のものと比べて、安定
で、塗布時の湿度等気にすることなく扱えるのに対し
て、ポリオールを使用しない各比較例では、空気中の湿
気により塗布中に酸化チタンの凝固が起こり、均一に塗
布することが困難であった。
【0042】
【発明の効果】本発明によって、非常に不安定な4価の
チタン化合物とポリオールを組み合わせてチタニア膜形
成用液とすることで、塗布前に水分に触れたとしても、
酸化チタンや水酸化チタンを生成してゲル化の生じない
安定な液を非常に簡単に調製することができるようにな
った。かかるチタニア膜形成溶液は予め水を含有させる
こともできる程の優れた安定性のために、特に湿度調整
を行った室内でなくても容易に取り扱うことができ、通
常の環境でも均一な塗面を得やすいなど、成膜のコント
ロールもし易い。通常の環境で取り扱えるということ
は、塗装設備に関る投資を低く押さえることにもつなが
り、工業的にも非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 勇人 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町473−408 Fターム(参考) 4G047 CA02 CB05 CC01 CD02 4J038 AA011 DM021 HA096 HA121 HA156 HA176 HA306 HA376 JA20 JA21 JA23 JA26 JA37 JA45 JB03 JC38 KA06 MA07 MA09 NA12 NA23 NA26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4価のチタン化合物とポリオールとを含
    有することを特徴とする、チタニア膜形成用液。
  2. 【請求項2】 4価のチタン化合物とポリオールと水と
    を含有することを特徴とする、チタニア膜形成用液。
  3. 【請求項3】 4価のチタン化合物が、4価のチタン塩
    及び一般式Ti(OR)4(但し、Rはアルキル及び/又
    はアリールであり、一部又は全部が同じであっても、異
    なっていてもよい。)からなることを特徴とする、請求
    項1又は2に記載のチタニア膜形成用液。
  4. 【請求項4】 4価のチタン化合物が、一般式Ti(O
    R)4(但し、Rはアルキル及び/又はアリールであり、
    一部又は全部が同じであっても、異なっていてもよ
    い。)で表される物質から本質的になり、酸が配合され
    ていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のチタ
    ニア膜形成用液。
  5. 【請求項5】 4価のチタン化合物が、4価のチタン塩
    から本質的になり、アルカリが配合されていることを特
    徴とする、請求項1又は2に記載のチタニア膜形成用
    液。
  6. 【請求項6】 4価のチタン化合物が4価のチタン塩の
    水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載のチタ
    ニア膜形成用液。
  7. 【請求項7】 ポリオールが、最終のチタニア膜形成用
    液中の全チタン化合物に対して、等モル以上含有されて
    いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに
    記載のチタニア膜形成用液。
  8. 【請求項8】 一般式Ti(OR)4(但し、Rはアルキ
    ル及び/又はアリールであり、一部又は全部が同じであ
    っても、異なっていてもよい。)で表される化合物が、
    チタニア膜形成用液中の全チタン化合物の50〜99モ
    ル%であり、4価のチタン塩が、1〜50モル%である
    ことを特徴とする、請求項3に記載のチタニア膜形成用
    液。
  9. 【請求項9】 酸が、チタニア膜形成用液のチタン化合
    物に対して、0.01〜0.5当量配合されていること
    を特徴とする、請求項4に記載のチタニア膜形成用液。
  10. 【請求項10】 アルカリが、チタニア膜形成用液のチ
    タン化合物に対して、0.5〜1.0当量配合されてい
    ることを特徴とする、請求項5に記載のチタニア膜形成
    用液。
  11. 【請求項11】 基体に、請求項1〜10のいずれか一
    つに記載のチタニア膜形成用液を塗布した後、100℃
    以上に加熱することを特徴とする、チタニア膜の形成方
    法。
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