JP2002012411A - 塩化水素ガスの回収方法 - Google Patents

塩化水素ガスの回収方法

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JP2002012411A JP2001020556A JP2001020556A JP2002012411A JP 2002012411 A JP2002012411 A JP 2002012411A JP 2001020556 A JP2001020556 A JP 2001020556A JP 2001020556 A JP2001020556 A JP 2001020556A JP 2002012411 A JP2002012411 A JP 2002012411A
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  • Gas Separation By Absorption (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】含塩素樹脂を含む廃棄合成樹脂の熱分解によっ
て生成する排ガスより、配管等の閉塞を回避しつつ、フ
ッ素系化合物の含有量が極めて低い、高度に精製された
塩化水素ガスを長期間安定して回収する。 【解決手段】含塩素樹脂の熱分解によって生成する排ガ
スを、冷却せずに燃焼して、配管閉塞を引き起こす高沸
有機物を炭酸ガスと水に、フッ素系化合物をフッ化水素
に転化した後、水或いは塩酸水溶液よりなる吸収液に吸
収せしめて塩酸水溶液を得、次いで、得られた塩酸から
塩化水素を放散させることにより、フッ素系化合物の含
有量が低下した塩化水素をガス状で回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含塩素樹脂或いは
該含塩素樹脂を含む合成樹脂を熱分解することにより生
成する排ガスより、精製された塩化水素ガスを回収する
新規な方法に関する。詳しくは、該排ガス中のフッ素系
化合物及びその他の不純物を効率よく除去して、フッ化
水素濃度の低下した塩化水素ガスを回収する方法であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、一般廃棄物や産業廃棄物としての
合成樹脂類が急増し、また、こうして廃棄される合成樹
脂中には、含塩素樹脂が平均して約15%程度も含まれ
ている。
【0003】上記含塩素樹脂は、燃焼時の条件によって
はダイオキシンを発生することもあり、燃焼による処分
が制限されつつある。また、一方では、限りある資源の
保護のため、廃棄物の再利用についての社会的な動きが
活発化している。
【0004】このような背景にあって、含塩素樹脂を含
む廃棄合成樹脂、特に廃塩化ビニル樹脂を熱分解により
脱塩化水素処理して実質的に塩素を含有しない炭化物と
して回収し、ダイオキシン等の発生に対して問題のない
燃料として再利用する試みが種々提案されている。
【0005】例えば、含塩素樹脂を含む廃棄合成樹脂を
非燃焼雰囲気下、350℃程度に間接加熱して熱分解を
行うことにより、脱塩化水素された炭化物を得、得られ
た炭化物をセメント製造用燃料、高炉用燃料等の燃料と
して再使用する方法が挙げられる。
【0006】一方、上記含塩素樹脂の熱分解において
は、炭化物と共に塩化水素が生成する。該塩化水素の量
は、塩化ビニル樹脂を例に挙げると、塩化ビニル樹脂1
tにつき0.6tもの塩化水素を含むガス量となる。
【0007】従って、上記塩化水素を回収し、他の塩素
化製品の製造工程に原料として再利用する技術の開発が
望まれる。特に、回収された塩化水素を、オキシクロリ
ネーションによる炭化水素の塩素化用原料、アルコール
類の気相塩素化用原料、珪素の塩素化用原料等として使
用する場合、水を実質的に含まないガス状の塩化水素で
ある必要がある。
【0008】また、上記反応は触媒を使用する反応であ
り、該塩化水素ガス中に含まれる微量成分によっては、
反応率が急速に低下する恐れがある。
【0009】しかしながら、含塩素樹脂の熱分解によっ
て生成する排ガスから、他の塩素化製品の製造工程に原
料として再利用可能なレベルまで精製された状態で塩化
水素をガス状で回収して再利用する技術については殆ど
検討されておらず、ましてや、課題すら開示がないのが
現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記含
塩素樹脂の熱分解によって得られる排ガスを他の塩素化
製品の製造工程に原料として再利用することについて検
討を行う中で、次のような問題が存在することを見い出
した。
【0011】即ち、本発明者らの実験によって、上記方
法で得られた塩化水素ガスを直接オキシクロリネーショ
ンによるエチレンジクロライド(EDC)の製造等にお
ける反応原料として用いる場合、エチレン及び塩化水素
の反応率が急速に悪化することが判明した。
【0012】上記現象は、含塩素樹脂に添加剤として含
まれるフッ素化合物が前記反応の触媒毒として作用する
ことによるものと推定される。
【0013】かかるフッ素化合物が含塩素樹脂に混入す
る経路は、農業用フィルム等のフィルム用途において、
該フィルムに防曇性を付与するために一般に添加される
防曇剤としてフッ素系有機物が使用されることによる場
合が殆どである。また、防曇剤が添加される透明な含塩
素樹脂は着色がないため、含塩素樹脂を使用する各種用
途、例えば、電線被覆材料や建材用等の含塩素樹脂の原
料としてマテリアルリサイクルされることが多く、廃棄
物として回収される殆どの含塩素樹脂において、フッ素
系有機物が含まれている。
【0014】そして、上記含塩素樹脂の熱分解により、
該フッ素系化合物の一部が分解してフッ化水素やテトラ
フルオロエチレン等の低沸フッ化有機物を生じ、塩化水
素ガスを主体とする熱分解ガス中に混入する。
【0015】従って、本発明の目的は、含塩素樹脂を含
む廃棄合成樹脂の熱分解によって生成する排ガスより、
フッ素系化合物の含有量が極めて低い、高度に精製され
た塩化水素ガスを得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために研究を重ねた結果、含塩素樹脂の熱分
解によって生成する排ガスを燃焼して、フッ素系化合物
をフッ化水素に転化せしめて得られた燃焼ガスを、水或
いは塩酸水溶液により吸収する塩化水素吸収工程と該工
程より得られた塩酸水溶液から塩化水素を放散させる塩
化水素ガス放散工程とを組み合わせて処理することによ
り、フッ素系化合物の含有量が低下した塩化水素をガス
状で回収することができることを見い出した。
【0017】また、このようにして得られた塩化水素ガ
スは高純度であり、前記EDC等の製品の原料として十
分使用可能であることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0018】即ち、本発明は、(a)フッ素系化合物を
含有する含塩素樹脂を熱分解して塩化水素を主成分とす
るガス相と炭化物を主成分とする固体相とを得る熱分解
工程、(b)熱分解工程より得られるガス相を燃焼さ
せ、該ガス相中に含まれるフッ素系化合物をフッ化水素
に転化させる燃焼工程、(c)燃焼工程より得られる燃
焼ガスを水又は塩酸水溶液よりなる吸収液と接触せしめ
て、フッ化水素を含む塩酸水溶液を得る塩化水素吸収工
程、及び(d)塩化水素吸収工程より得られる塩酸水溶
液を放散塔に導き、該放散塔塔頂よりフッ化水素濃度の
低下した塩化水素をガス状で回収する塩化水素ガス放散
工程よりなることを特徴とする塩化水素ガスの回収方法
である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、熱分解工程は、
フッ素系界面活性剤等のフッ素化合物を含有する含塩素
樹脂を熱分解して塩化水素を主成分とするガス相と炭化
物を主成分とする固体相とを得る工程である。
【0020】この熱分解工程において処理される含塩素
樹脂は、含塩素樹脂の単独での使用は勿論、該含塩素樹
脂を他の合成樹脂と混合した混合物或いは組成物をも包
含するものである。
【0021】上記含塩素樹脂としては、例えば、塩化ビ
ニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン
等が挙げられる。そのうち、塩化ビニル樹脂が代表的で
あり、本発明の方法において好適に使用される。また、
他の合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類を始め、
ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができる。
【0022】また、上記含塩素樹脂は、通常、廃棄物と
して回収されたものが使用される。かかる廃棄物として
は、例えば、農業用ビニル、各種包装用フィルム、レザ
ー製品、クッションフロアー、壁紙などの等の軟質含塩
素樹脂廃棄物、パイプ、被覆電線等の硬質含塩素樹脂廃
棄物、更にこうした含塩素樹脂を含む廃棄合成樹脂、等
が挙げられる。
【0023】この場合、廃棄物の種類に応じて、破砕、
裁断等の処理を行い、10〜1mm程度の大きさの、グ
ラッシュ状、フラフ状に加工されたものが取り扱いの容
易さから好ましい。
【0024】本発明において、熱分解工程は上記含塩素
樹脂を非酸化条件下に加熱して脱塩化水素反応を行う工
程である。上記熱分解工程には、従来から公知の熱分解
装置を使用した含塩素樹脂の熱分解方法が特に制限なく
採用される。
【0025】上記熱分解方法の代表的な態様を例示すれ
ば、上流端に含塩素樹脂片の投入口を下流端に内容物の
取出口を、また、気相部に排ガスの取出口を有する密閉
式ロータリーキルンタイプの間接加熱炉、含塩素樹脂の
攪拌・移動を、攪拌翼や回転刃で行うようにした間接加
熱炉、排ガスの取出口を有する押出機タイプの間接加熱
炉等の熱分解炉に含塩素樹脂を供給し、所定の温度に加
熱して熱分解する態様が挙げられる。
【0026】熱分解工程における熱分解条件は、炉内部
の温度が250〜450℃になるように調整することに
よって一般に実施される。含塩素樹脂は、炉内で脱塩素
され、炭化物を主成分とする固体相と塩化水素を含むガ
ス相とに分離され、それぞれ取出口より取り出される。
【0027】また、炉の内部は、非酸化性雰囲気とする
ために、不活性ガスとして窒素、アルゴン等の公知の不
活性ガス、又は塩化水素ガスによって予め置換しておく
ことが好ましい。また、含塩素樹脂の熱分解中も、必要
に応じて、上記不活性ガスをキャリアーガスとして供給
しても良い。上記熱分解工程より得られる排ガスは、含
塩素樹脂の熱分解によって生成した塩化水素と共に、該
含塩素樹脂に同伴して供給された水分、有機化合物成分
を含有し、更に、キャリアーガスを供給した場合は該キ
ャリアガスを含有する。
【0028】そのうち、フッ素系化合物は、使用する含
塩素樹脂の種類によって異なるが、一般に塩化水素に対
するフッ素の重量比で100ppm以上、場合によって
は、1000ppm以上にも達する場合がある。これ
は、フッ素系界面活性剤等の含フッ素有機化合物が配合
された含塩素樹脂を熱分解処理することにより生成して
いるものと推定される。
【0029】また、本発明者らの確認によれば、排ガス
に混入する低沸点のフッ素化合物は極めて多種類であ
り、フッ化水素の他に、テトラフルオロエチレンをはじ
め30種類以上にも及ぶ。こうした、テトラフルオロエ
チレン等の低沸フッ素化合物は、塩化水素より低沸点か
ら高沸点まで極めて広い範囲に及ぶため、蒸留等の公知
の方法では分離することが極めて困難である。
【0030】本発明の方法は、上記熱分解工程で得られ
る排ガスを、燃焼工程、塩化水素吸収工程、塩化水素ガ
ス放散工程を通過させることが最大の特徴である。かか
る工程の組合せにより、上記排ガス中の不純物を燃焼工
程により後工程で分離性の良い化合物の形に転化し、塩
化水素吸収工程と塩化水素ガス放散工程との組み合わせ
により、フッ化水素濃度の低下した精製塩化水素ガスを
得ることが可能となる。
【0031】以下、これらの工程についてより詳細に説
明する。
【0032】上記熱分解工程より得られる排ガスは、配
管によって続く燃焼工程に送られるが、この場合、該配
管中の排ガスを、熱ガスの状態を維持したまま送ること
が、ガス中の高沸物の凝縮による配管の閉塞を防止し、
長期間安定して本発明の方法を実施するために好まし
い。
【0033】即ち、上記排ガスには、含塩素樹脂の添加
剤として含まれる高沸有機成分、例えば、ジオクチルフ
タレート(DOP)等のフタル酸エステル類等やその分
解物である無水フタル酸及びフタル酸が、塩化水素に対
する重量比で数千ppm〜数十%もの濃度で含有されて
いる。
【0034】従って、熱分解工程から得られる排ガス
を、かかる高沸有機化合物が固化しない、高温の熱ガス
の状態を維持したまま、燃焼工程に供給することによ
り、前記配管の閉塞を効果的に防止することができる。
【0035】上記排ガスは、熱分解工程より、通常、2
50〜450℃の熱ガスとして得られるが、熱ガスの状
態を維持する操作は、前記高沸点有機化合物の沸点以上
に維持されていれば良く、具体的には250℃以上、好
ましくは、300℃以上、特に、前記熱分解温度と同一
温度に維持することが好ましい。ここで、排ガスを上記
温度に維持する方法は特に制限されない。例えば、排ガ
スの配管を保温する方法、排ガスの配管を加熱する方法
等が一般的である。
【0036】本発明において、燃焼工程は、熱分解工程
よりガス相として得られる排ガスを燃焼することによ
り、該排ガスに含有される有機化合物成分を燃焼せしめ
て除去するための工程である。
【0037】具体的には、燃焼により、ジオクチルフタ
レート(DOP)等のフタル酸エステル類等の高沸点有
機物及びエチレン、塩化ビニルモノマー等の低沸点有機
物を炭酸ガスと水に転化し、フッ素系化合物をフッ化水
素に転化する。
【0038】上記燃焼によって、後工程における不純物
の分離性を改善することができるばかりでなく、熱分解
工程より得られる排ガス中の高沸点有機物が後工程にお
ける配管内で凝縮し、該配管を閉塞する現象をも効果的
に防止することができる。
【0039】また、熱分解工程で発生した多種類のフッ
素系化合物がフッ化水素1種類となるため、特定の後工
程の組合せによる、塩化水素ガスとの分離性を著しく改
善することができる。
【0040】燃焼工程における燃焼方法は、公知の燃焼
炉を使用した燃焼方法が特に制限なく採用される。例え
ば、管内に上記排ガスと空気を流通させ、外管をバーナ
ーで加熱する管式加熱方式も採用できるが、バーナーの
炎に直接上記排ガスを接触させる方法、バーナーに供給
する燃料や空気と上記排ガスを混合した上で炎を形成さ
せる方法等の燃焼方式が好適である。燃焼に用いる燃料
は、液体、気体の燃料を用いることができる。
【0041】上記燃焼方法において、少ない過剰空気率
で完全燃焼せしめ、次の塩化水素吸収工程での吸収装置
が小さくできること、及び、回収した塩化水素を他の塩
素化製品の製造工程に原料として再利用する場合の反応
率の低下を招くおそれがある硫黄成分を実質上含まない
こと等の効果を得るため、気体燃料を用いることが好適
である。かかる気体燃料としては、LPG、プロパン等
が特に好ましい。
【0042】このように燃焼工程より得られる燃焼ガス
は、塩化水素、水蒸気、炭酸ガス、フッ化水素、及び、
熱分解工程でキャリアーガスを用いた場合にはそのキャ
リアーガス、燃焼工程で燃焼方式を用いた場合には過剰
空気、塩化水素の一部から生成する微量の塩素よりなる
熱ガスとして排出される。
【0043】また、燃焼工程より排出される燃焼ガス
は、一般に800℃を越える熱ガスとなるため、塩化水
素吸収工程の効率を勘案すると、燃焼工程と塩化水素吸
収工程の間に、該燃焼ガスから熱を除去する装置、例え
ば、廃熱ボイラーや、水や塩酸を噴霧してガス温を低下
せしめる冷却装置を取付けることが好適である。
【0044】本発明において、塩化水素吸収工程は、燃
焼工程より得られる燃焼ガスを水又は塩酸よりなる吸収
液と接触せしめて、供給ガス相に含まれる塩化水素を該
吸収液に吸収させ、塩酸水溶液を得る工程である。
【0045】上記燃焼ガスに含有される塩化水素は、上
記塩化水素吸収工程で吸収液に吸収されて塩酸水溶液と
なり、水蒸気も凝集して水となる。また、該燃焼ガスに
含まれるフッ化水素も同様に吸収液に吸収される。
【0046】一方、該燃焼ガスに含まれる塩化水素、フ
ッ化水素、水蒸気以外の成分、即ち、炭酸ガス、熱分解
工程のキャリアーガス、燃焼工程の過剰空気、微量塩素
については、該吸収液に実質的に吸収されることなく、
ガス相として分離される。
【0047】従って、上記塩化水素吸収工程では、フッ
化水素以外の、他の不純物の含有量が著しく低減された
塩酸水溶液が得られる。
【0048】本発明の塩化水素吸収工程において、吸収
液として、塩化水素を溶解可能な水又は塩酸水溶液が使
用される。上記吸収液として塩酸水溶液を使用する場
合、その吸収効率を考慮すれば、塩化水素の初期濃度が
25重量%以下、好ましくは20重量%以下のものを使
用することが好ましい。
【0049】また、吸収工程における吸収条件は特に限
定されず、公知の条件が制限なく採用される。例えば、
吸収温度は20〜80℃が、圧力は大気圧近傍が一般的
である。
【0050】更に、吸収に使用する装置は、公知の吸収
塔が特に制限なく使用される。一般には、充填塔やキャ
ップトレー等の棚段塔形式の吸収部を持ち、冷却器を通
して液相を循環させる多段の吸収塔や、濡れ壁形式の吸
収塔等が挙げられる。塩化水素吸収工程より取り出され
る塩酸中の塩化水素濃度は、可及的に高い方が好ましい
が、吸収効率等を考慮すれば、前記吸収液の塩化水素濃
度より高く、且つ、10〜40重量%の塩化水素濃度で
取り出すことが好ましい。特に、続く塩化水素放散工程
の設備費を勘案すると、塩化水素と水の共沸組成以上の
濃度で取り出すことが好ましい。かかる共沸組成は、操
作圧力によっても異なるが、常圧下では20.2重量
%、500Kパスカルゲージでは16重量%である。
【0051】本発明において、塩化水素放散工程は、塩
化水素吸収工程より得られるフッ化水素を同時に溶解す
る塩酸水溶液を放散塔に導入し、該放散塔にて塩化水素
を放散せしめると共に、塔底にフッ化水素を濃縮し、塔
頂よりフッ化水素濃度が低下した塩化水素をガス状で回
収する工程である。
【0052】尚、塩化水素吸収後の塩酸水溶液に燐、硫
黄成分が含まれている場合でも、この塩化水素放散工程
で塔底の液相側に除去される。
【0053】本発明者らは、こうしたフッ化水素が溶解
した塩酸水溶液を放散塔に導いて、塔頂のガス成分を全
量抜きだした場合においても回収される塩化水素ガス中
のフッ化水素濃度を40ppm程度と低濃度にまで低減
できること、また、上記放散において、放散塔の塔頂部
に凝縮器を設け、放散塔より排出されるガスの一部を凝
縮させ、放散塔に還流する、還流操作を行うことによ
り、回収される塩化水素ガス中のフッ化水素濃度を更に
低減し得ることを見い出した。
【0054】本発明において、塩化水素ガス放散工程の
放散塔に供給する塩酸水溶液中にフッ化水素が含有され
る場合、該放散塔において、供給液供給段の上部に蒸留
段を設けることが、得られる塩化水素ガス中のフッ化水
素の量を一層低減せしめるために好ましい。
【0055】より具体的には、塩酸水溶液中のフッ化水
素の濃度が塩化水素に対する重量比で300ppm未満
の場合、放散塔への供給液供給段上部に0段を超える理
論段の蒸留塔を、また、該フッ化水素の濃度が300p
pm以上である場合、1段以上の理論段の蒸留段を設け
ることにより、フッ化水素濃度を塩化水素に対する重量
比で100〜40ppmの範囲に制御した精製塩化水素
ガスが回収可能となる。但し、上記理論段の上限は、経
済性を考慮して10段以下とすることが好ましい。
【0056】また、前記したように、放散塔の塔頂部に
おいて、還流操作を行うことにより、フッ化水素濃度を
塩化水素に対する重量比で40ppm未満、場合によっ
ては、0.2〜15ppm程度まで低減された塩化水素
ガスを得ることができる。
【0057】上記還流操作において、凝縮器の冷却温度
は、凝縮器出口ガス温度が−90〜40℃、好ましくは
−20〜10℃となるように調整することが好ましい。
上記凝縮器にて得られる凝縮液は、その一部或いは全量
を放散塔に還流することが好ましい。
【0058】また、この場合、操作を円滑に行うため
に、凝縮水の氷点以下とならない温度に上記冷却温度を
設定することが好ましい。
【0059】放散塔の形式としては公知の方法が特に制
限なく採用される。例えば、底部にリボイラーを有した
充填塔形式や棚段形式等の放散塔を使用して行うことが
できる。
【0060】上記塩化水素ガス放散工程において、塩化
水素ガスの放散条件は、公知の条件が何等制限されずに
適用できるが、温度90〜150℃、圧力50〜500
Kパスカルゲージが一般的である。
【0061】また、塩化水素ガスの用途において、その
濃度が低くても良い場合、かかる用途に悪影響を及ぼさ
ないキャリアーガスを供給して放散を行うことも可能で
ある。
【0062】また、塩化水素ガス放散工程において、放
散塔塔底の塩酸水溶液は、その一部又は全部を前記塩化
水素吸収工程に循環する塩酸水溶液循環工程を設け、吸
収液の一部又は全部として使用することが好ましい。
【0063】この場合、循環液中のフッ化水素の濃度が
循環とともに高濃度となるため、該循環液を一部パージ
するか、フッ化水素と反応して固体となる薬剤、または
吸着剤とを接触させて、フッ化水素を除去するフッ化水
素除去工程を経て、塩化水素吸収工程に循環することが
好ましい。
【0064】フッ化水素除去工程においては、特に、循
環液の塩酸水溶液を、フッ化水素との反応生成物が固体
である薬剤、または吸着剤とを接触させる方法が、塩化
水素のロスが少ないため好ましい。
【0065】上記工程において使用する薬剤または吸着
剤については、後述するフッ化水素ガス除去工程におい
て例示する薬剤または吸着剤から条件の一致するものを
任意に選択することができる。
【0066】塩化水素ガス放散工程の塔底より取り出さ
れる塩酸水溶液の濃度は、循環時の放散効率等を考慮す
れば、塩化水素濃度15重量%以上が好ましく、特に、
前記大気圧下における塩化水素と水の共沸組成に可及的
に近い塩化水素濃度となるように放散条件を調整するこ
とが好ましい。
【0067】本発明において、塩化水素ガス放散工程の
後には、ガス状で回収される塩化水素から、更にフッ化
水素ガスを除去するためのフッ化水素ガス除去工程を設
けることが、フッ化水素濃度がより低減された精製塩化
水素ガスを得るために好ましい。
【0068】ここで、制御するフッ化水素濃度は、回収
される塩化水素を各種塩素化製品の製造工程の製造原料
として再利用する場合、反応率の低下が、原料とする回
収塩化水素中のフッ化水素の持込み量に依存することが
本発明者らの検討によって明らかとなった。このため、
回収塩化水素ガス中のフッ化水素濃度は可及的に低い方
が好ましく、通常、塩酸とフッ化水素の共沸組成以下、
即ち40ppm以下、好ましくは、30ppm以下、さ
らには10ppm以下、特に、5ppm以下が大量の回
収塩化水素ガスを利用できるため好適である。
【0069】尚、塩化水素放散工程の前に前記フッ化水
素除去工程を設けることも可能である。 フッ化水素ガ
ス除去工程において、フッ化水素を除去する方法として
は、塩化水素ガス放散工程の放散塔の塔頂より得られる
ガス相と、フッ化水素と反応して固体または液体となる
薬剤とを接触させる方法、吸着剤とを接触させる方法、
塩酸または硫酸と接触させる方法、から選択することが
できる。
【0070】フッ化水素と反応して固体または液体とな
る薬剤としては塩化水素と実質的に反応しない公知のも
のが何等制限なく使用することができる。具体的には、
塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、
炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩類、担体にアル
カリ土類金属塩類を担持させたもの、シリカ、シリカア
ルミナ、ゼオライト、活性白土、アルミナ等の固体酸化
物、塩化アルミ、トリメチルクロロシラン等の塩化金属
類、無水硼酸、硼酸、塩素化ピリジン等が挙げられる。
【0071】こうした薬剤は、固体状、水に溶解または
分散させた状態のいずれでも使用することができる。さ
らに、固体状の薬剤は、粒状、破砕状、または成形体の
いずれでも使用することができる。
【0072】また、フッ化水素の吸着剤としては、活性
炭、フッ化カルシウム等を挙げることができる。
【0073】塩酸または硫酸と接触させる場合の濃度
は、特に制限されるものではないが、あまりに薄いと塩
化水素のロスが多くなるため、通常塩酸の場合は10〜
40重量%、特に運転条件における飽和塩化水素の濃
度、硫酸の場合は100〜60重量%の濃度、特に入手
が容易でもあるという理由から98〜70重量%の濃度
であることが好ましい。
【0074】こうした、薬剤のうち、粒状の塩化カルシ
ウム、または硫酸を用いることが、放散させた塩化水素
中の微量水分も除去できるため、特に好適である。
【0075】フッ化水素ガス除去工程における、塩化水
素ガスと上記薬剤等との接触方法は、公知の方法が何等
制限なく採用可能である。例えば、固体状態のまま使用
する場合は充填塔形式、流動床形式、固体を液体に分散
する場合または液体の薬剤を使用する場合は、棚段塔、
静置型ミキサー形式、気泡塔等を挙げることができる。
【0076】接触温度、流速等の接触条件は、各々の薬
剤とフッ化水素の反応速度や吸着速度等を測定し、制御
したい出口塩化水素中のフッ化水素濃度を勘案して決定
することができる。
【0077】このようにして、フッ化水素濃度の低下し
た精製塩化水素ガスを得ることができる。
【0078】以下、本発明の方法を、添付図面に従って
更に具体的に説明するが、本発明はこれらの添付図面に
限定されるものではない。
【0079】図1〜4は、本発明の方法の代表的な態様
を示すフローチャートである。即ち、図1は、熱分解工
程、燃焼工程、塩化水素吸収工程及び塩化水素ガス放散
工程を含む方法であり、図2は、上記工程の塩化水素ガ
ス放散工程の塔底より抜出す塩酸水溶液中の濃縮された
フッ化水素を除去するフッ化水素除去工程を含み、図3
は、上記工程の塩化水素ガス放散工程の塔頂より得られ
る塩化水素ガス中の微量フッ化水素を除去するフッ化水
素ガス除去工程を含み、図4は、これら両方の工程を設
けた態様を示す。また、全ての態様において、塩化水素
ガス放散塔の塔底液を塩化水素吸収塔に循環する循環工
程が設けられている。
【0080】以下、各図について更に詳細に説明する。
【0081】図1において、前記含塩素樹脂は、ライン
2より熱分解装置1に供給され、炭化物よりなる固体相
3とフッ素系化合物や、高沸点有機物、更にはこれらの
分解物等よりなる有機化合物成分を含有し、塩化水素を
主成分とするガス相とを生成する。
【0082】上記固体相は、ライン3より取り出され、
ガス相は、ライン4より、燃焼工程の燃焼装置5に供給
される。燃焼装置ではライン6より供給される燃料とラ
イン7より供給する空気により火炎が形成されており、
ライン4より供給されるガス相は、その中のフッ素系化
合物やフッ素系化合物の分解物がフッ化水素、炭酸ガス
及び水蒸気に、また、高沸点有機物やその分解物、或い
はその他有機化合物は炭酸ガスと水蒸気に分解し、高温
の熱ガスを形成する。
【0083】この熱ガスは、ライン8より取り出され、
冷却装置9に供給される。冷却装置9では、塩化水素吸
収工程の吸収塔塔底より熱交換器で熱交換して抜き出さ
れた塩化水素吸収後の塩酸を冷却剤としてライン15よ
り散布して、熱ガスの熱を除去する。
【0084】次いで、ガス相は、ライン10を経て、塩
化水素吸収工程としての吸収塔11に供給される。吸収
塔11では、ライン12からの吸収液の散布により、塩
化水素、フッ化水素、水蒸気が吸収され、塩酸水溶液と
してライン16より取り出される。
【0085】ここで、取り出された塩酸水溶液の一部は
ライン13を介して吸収塔11に循環使用され、また、
一部はライン15を介して冷却装置9に循環使用され
る。
【0086】尚、塩化水素吸収塔においては、炭酸ガ
ス、燃焼工程の過剰空気、熱分解工程に、キャリアーガ
スを用いた場合は該キャリアーガス等の不純物が吸収塔
11塔頂から分離され、ライン14より取り出される。
このガスは、除害塔等の処理設備に送って処理すればよ
い。
【0087】次いで、ライン16から取り出された塩酸
水溶液は、塩化水素ガス放散工程として設けられた、放
散段19及び蒸留段18よりなる放散塔17に散布され
る。放散塔17では、塔頂のライン20よりフッ化水素
濃度の低下した塩化水素ガスが回収される。
【0088】この時、放散塔に供給される液中のフッ化
水素の濃度が塩化水素に対する重量比で300ppm未
満の場合蒸留段18を0を超える理論段以上に、また、
300ppm以上の場合1段以上の理論段となるように
蒸留段を設けることにより、フッ化水素濃度を塩化水素
に対する重量比で100〜40ppmの低濃度の範囲に
制御した塩化水素ガスが回収される。
【0089】また、図1には示されていないが、放散塔
の塔頂部に凝縮器を取り付け、放散塔塔頂から排出され
るガスの一部を凝縮せしめて凝縮液を放散塔に還流する
ための還流部を設けて還流操作を行うことにより、フッ
化水素濃度を塩化水素に対する重量比で40ppm未
満、場合によっては、0.2〜15ppm程度に低減さ
れた極めて高純度の塩化水素ガスを得ることが可能であ
る。
【0090】一方、放散塔の塔底から得られるフッ化水
素濃度が高まった塩化水素放散後の液は、塩酸水溶液で
ある。
【0091】この塩酸水溶液は、ライン21より取り出
され、一部は塩化水素ガス放散塔の温度を維持するた
め、熱交換器で昇温してライン25より放散塔に戻さ
れ、一部は熱交換器で冷却されてライン26より吸収塔
11に循環使用される。また、更に、他の一部はライン
27よりパージしても良い。
【0092】ライン27よりパージされた塩酸は中和槽
等の除害設備に送って処理すればよい。
【0093】図2は、上記図1に示した態様において、
塩化水素ガス放散工程の放散後の塩酸水溶液から、フッ
化水素を除去するフッ化水素除去工程を付加した態様を
示す。即ち、前記放散塔17の塔底から得られるフッ化
水素濃度が高まった塩化水素放散後の液をライン21よ
り取り出してフッ化水素除去塔24に供給して処理す
る。処理された塩酸水溶液の一部は熱交換器で昇温して
ライン30より放散塔に戻され、一部は熱交換器で冷却
されてライン29より吸収塔11に循環使用される。
【0094】この場合、塩酸水溶液は、フッ化水素除去
塔でフッ化水素が除去されているため、パージライン2
7は必ずしも必要ではない。
【0095】図3は、上記図1の工程において、フッ化
水素除去工程を付加して回収塩化水素中のフッ化水素の
濃度を更に低減させるための態様を示す。即ち、前記塩
化水素ガス放散工程の放散塔17の塔頂から得られる塩
化水素ガスをライン20より取り出し、フッ化水素ガス
除去塔22に供給して、ライン23からフッ化水素濃度
が塩化水素に対する重量比で40ppm以下に制御した
精製塩化水素ガスが回収される。
【0096】図4は、上記図2及び図3の両者の工程を
組み合わせた態様であり、ライン23からフッ化水素濃
度が塩化水素に対する重量比で40ppm以下に制御し
た精製塩化水素ガスが回収される。
【0097】上記図2〜図4の何れの態様においても、
放散塔に還流部を設け、前記還流操作を実施することに
より、得られる塩化水素ガス中のフッ化水素濃度を一層
低減することが可能である。
【0098】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明によれば、含塩素樹脂の熱分解によって生成する排ガ
スより、配管等の閉塞を回避しつつ、フッ素系化合物の
含有量が極めて低い、高度に精製された塩化水素ガスを
長期間安定して回収することが可能である。
【0099】従って、本発明の工業的価値は極めて高い
ものである。
【0100】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるもの
ではない。
【0101】実施例おいて、排ガス中のフッ素系化合物
の分析方法としては、フッ化水素については、水吸収し
夾雑物の影響を排除して、イオンクロマトグラフィーで
分析する方法、有機系フッ素化合物については、酸素及
び水存在下公知のフロン分解触媒と高温で接触させてフ
ッ化水素に分解し、上記方法により分析した。
【0102】実施例1 図1に示す工程に従って含塩素樹脂を含む廃棄合成樹脂
から塩化水素の回収を行った。
【0103】即ち、含塩素樹脂2として、平均粒径5m
mに破砕された廃電線被覆樹脂片を、ロータリーキルン
方式の熱分解装置を使用した熱分解装置1に供給し、窒
素ガスの雰囲気下で、350℃に加熱し、熱分解を行っ
た。
【0104】尚、上記廃電線被覆樹脂の元素分析を行っ
たところ、C;43.1%、H;5.71%、N;0.
49%、O;1.30%、Cl;24.6%、F;0.
025%であった。
【0105】上記熱分解によって得られた炭化物をライ
ン3より回収すると共に、ガスとして塩化水素を含有す
る排ガスを300℃以上に保持したライン4より廃熱ボ
イラー付燃焼装置5に供給し、ライン6よりプロパン、
ライン7より空気を供給して、1200℃の温度で燃焼
させ、燃焼後ガスを廃熱ボイラーにて冷却し、さらに、
燃焼装置を通過したガスをライン8を経て冷却装置9に
供給し、熱交換器を介して65℃に調整した吸収塔11
の塔底より得られる23重量%塩酸水溶液をライン15
より散布して冷却した。
【0106】次いで、冷却装置を通過したガスをライン
10より吸収塔11に供給し、ライン12より20重量
%の塩酸水溶液を散布して、ガス中のフッ化水素及び塩
化水素を吸収させ、フッ化水素を含む塩酸水溶液をライ
ン16より回収した。(塩化水素濃度;23重量%、フ
ッ化水素濃度;810ppm(塩化水素重量に対し
て))。
【0107】次いで、ライン16より得られたフッ化水
素を含む塩酸水溶液を、放散塔17に供給して塩化水素
を放散させた。放散塔17としては、充填材を充填した
充填層を有するものを使用し、供給段より上部が1理論
段のものを用いた。
【0108】放散条件は、塔底温度110℃、大気圧下
とした。塔底より得られる20%の塩酸水溶液を、ライ
ン26を経て、吸収塔11に供給した。
【0109】上記のようにして、放散塔17からのガス
を、ライン20を通して抜きだし、−20℃に冷却した
ガスクーラーに導き、塩化水素ガスを回収した。
【0110】回収された塩化水素中の不純物は、ガスク
ロマトグラフ、イオンクロマトグラフ等で分析した結
果、水分20ppm、フッ化水素63ppmであった。
【0111】13%Cu/アルミナ触媒25gを充填し
た触媒固定層に、回収した塩化水素ガスを塩化水素0.
0328モル/分、エチレン0.0328モル/分、酸
素0.0164モル/分の速度で供給して、215℃の
温度でEDC合成反応を行った。反応開始1時間後及び
20時間後の塩化水素転化率は各々84%、74.3%
であった。
【0112】実施例2〜5 含塩素樹脂2として、表1に示す廃棄物を用いたこと以
外は実施例1と同様に行った結果を表1に示す。
【0113】実施例6〜9 含塩素樹脂2として、表1に示す廃棄物を用いたこと及
び放散塔として供給段より上部が表1に示す理論段のも
のを使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その
結果を表1に示す。
【0114】実施例10〜11 実施例1において、ライン20より得られた塩化水素ガ
スを、図3に示す薬剤として、塩化カルシウム(実施例
10)、98%硫酸(実施例11)を充填したフッ化水
素除去塔22に供給し、ライン23より塩化水素ガスを
取り出したこと以外は実施例1と同様に行った。その結
果を表1に示す。
【0115】また、上記ライン23より取り出された塩
化水素ガスを使用したEDC合成反応を、更に80時間
(計100時間)連続して実施したところ、実施例10
及び11の何れの実施例も70%以上の塩化水素転化率
を維持していた。
【0116】比較例1 実施例1でライン4より得られた熱分解ガスを215℃
に冷却してそのまま使用して実施例1と同条件でEDC
合成反応を行った。
【0117】その結果を表1に示す。
【0118】参考例1 鶴見曹達製塩化水素ガスボンベ(フッ化水素0ppm)
からの塩化水素ガスを使用して実施例1と同条件でED
C合成反応を行った。
【0119】その結果を表1に示す。
【0120】この結果と本発明の実施例の結果との対比
より明らかなように、本発明の方法によって得られた塩
化水素ガスは、EDC合成反応において、市販の高純度
塩化水素と同等に使用することができることが理解され
る。
【0121】
【表1】
【0122】実施例12〜22 実施例1〜11において、放散塔17の塔頂からガスを
取り出すライン20に、凝縮器を設け、該凝縮器出口ガ
ス温度を5℃に調整してガスの一部を凝縮せしめ、該凝
縮器より凝縮液を放散塔に還流しながらガスを取り出し
た以外は、同様にして塩化水素ガスを回収した。
【0123】その結果を表2に示す。
【0124】尚、得られた塩化水素ガスを使用したED
C合成反応の塩化水素転化率について、120時間連続
運転した結果を併せて示す。また、前記参考例1におい
て、120時間連続運転した場合の塩化水素転化率は、
70.8%であった。
【0125】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の代表的な態様を示すフローチャー
【図2】本発明方法の他の代表的な態様を示すフローチ
ャート
【図3】本発明方法の他の代表的な態様を示すフローチ
ャート
【図4】本発明方法の他の代表的な態様を示すフローチ
ャート
【符号の説明】
1 熱分解装置 5 燃焼装置 9 冷却装置 11 吸収塔 17 放散塔 22 フッ化水素ガス除去塔 24 フッ化水素除去塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D012 BA01 BA03 4D020 AA10 BA02 BA06 BA07 BA12 BB03 BB07 CA07 CB08 CB18 CC06 4F301 AA17 AA18 CA09 CA25 CA33 CA52 CA72

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フッ素系化合物を含有する含塩素
    樹脂を熱分解して塩化水素を主成分とするガス相と炭化
    物を主成分とする固体相とを得る熱分解工程、 (b)熱分解工程より得られるガス相を燃焼させ、該ガ
    ス相中に含まれるフッ素系化合物をフッ化水素に転化さ
    せる燃焼工程、 (c)燃焼工程より得られる燃焼ガスを水又は塩酸水溶
    液よりなる吸収液と接触せしめて、フッ化水素を含む塩
    酸水溶液を得る塩化水素吸収工程、及び(d)塩化水素
    吸収工程より得られる塩酸水溶液を放散塔に導き、該放
    散塔塔頂より塩化水素をガス状で回収する塩化水素ガス
    放散工程よりなることを特徴とする塩化水素ガスの回収
    方法。
  2. 【請求項2】 塩化水素ガス放散工程の放散塔におい
    て、供給液供給段の上部に蒸留段を設けた、請求項1記
    載の精製塩化水素ガスの回収方法。
  3. 【請求項3】 更に、(e)塩化水素ガス放散工程の塔
    頂より得られる塩化水素ガス中のフッ化水素ガスを分離
    除去するフッ化水素ガス除去工程を有する、請求項1記
    載の精製塩化水素ガスの回収方法。
  4. 【請求項4】 フッ化水素ガス除去工程が、 フッ化水素との反応生成物が固体又は液体である薬剤
    と塩化水素ガスとを接触させる方法、 吸着剤と塩化水素ガスとを接触させる方法、 塩酸または硫酸と塩化水素ガスとを接触させる方法、 から選ばれる少なくとも1種の方法であることを特徴と
    する請求項3記載の精製塩化水素ガスの回収方法。
  5. 【請求項5】 更に、(f)塩化水素ガス放散工程にお
    ける放散塔の塔底に存在する塩酸水溶液と、フッ化水素
    との反応生成物が固体である薬剤、または吸着剤とを接
    触させて該塩酸水溶液中のフッ化水素を除去するフッ化
    水素除去工程、及び(g)フッ化水素除去工程より得ら
    れる塩化水素水溶液を前記吸収工程の吸収液として循環
    使用する塩酸水溶液循環工程を有する、請求項1〜4の
    いずれかの請求項に記載の精製塩化水素ガスの回収方
    法。
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