JP2002012125A - エアバッグインフレータ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コスト低減、あるいは軽量化に適したエ
アバッグインフレータを提供する。 【解決手段】 インフレータ１は、長尺円筒状のボディ
３を備えている。ボディ３の内部には、円盤状の隔壁
（パーテーション）５が設けられている。ボディ３内部
は、この隔壁５により、大容積の左燃焼室Ｇ１と小容積
の右燃焼室Ｇ２とに仕切られている。ボディ３の、隔壁
５の外周部に対応する（挟む）部分には、縮径加工（ｃ
ｒｉｍｐ）が加えられて、隔壁５を挟む２ヶ所において
縮径された谷３ａが形成されている。隔壁５の外周近傍
部の両側面には、リング状溝５ａがコイニング加工によ
り形成されている。その結果、隔壁５の外周は、拡径さ
れてボディ３の内周面に密着している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグを膨張
展開するためのガスを発生するインフレータ及びその製
造方法に関する。特には、製造コストを低減できる等の
利点を有するエアバッグインフレータとその製造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】インフ
レータは、エアバッグ展開用のガス発生器である。イン
フレータには、複数のガス発生剤燃焼室を有するものが
ある。複数の燃焼室の点火の有無やタイミングを調整す
ることにより、エアバッグ展開時のガス発生形態をコン
トロールでき、事故の重大さや乗員の状態に合わせた、
より好ましいエアバッグ展開を実現することができる。

【０００３】この種のインフレータの従来例として、例
えば特開平１０−３２９６３８号公報に開示されたもの
を挙げることができる。図５は同号に開示されたエアバ
ッグモジュールの内部構造を示す断面図である。図５に
示すエアバッグモジュールは、ガス発生器（インフレー
タ）１０４と、このガス発生器１０４の放出するガスに
より展開するエアバッグ１０２が装備されている。イン
フレータ１０４は、モジュールケース１０３に収められ
ている。エアバッグ１０２は、図では折り畳まれた状態
である。モジュールケース１０３内面とガス発生器１０
４外周面間には、バッグ展開時にガス流路となる空間Ｓ
１が存在する。

【０００４】ガス発生器１０４は、円筒状の外筒１２１
を備えている。外筒１２１の両端部は、それぞれ蓋部材
１２９Ａ（左端側）、１２９Ｂ（右端側）により塞がれ
ている。外筒１２１内の中央部には、円盤状の仕切部材
１２２が固定されている。仕切部材１２２は、中心円盤
部１２２ａと、この中心円盤部１２２ａの外周面から突
出したフランジ部１２２ｂとからなる。仕切部材１２２
は、外筒１２１の絞り加工部（クリンプ部）１３１にカ
シメ固定されている。同仕切部材１２２により、外筒１
２１内部は、小容積の第１燃焼室Ｇ１と、大容積の第２
燃焼室Ｇ２とに仕切られている。外筒１２１には、各燃
焼室Ｇ１、Ｇ２のそれぞれに対応して、ガス放出孔１２
８ａが複数形成されている。これらガス放出孔１２８ａ
は、通常時はバーストプレート１３３により塞がれてい
る。

【０００５】外筒１２１の各燃焼室Ｇ１、Ｇ２内には、
それぞれフィルタ筒１１５Ａ、１１５Ｂが配置されてい
る。フィルタ筒１１５Ａ、１１５Ｂは、内筒１２５と、
この内筒１２５の内側に密着したフィルタ１２４からな
る。外筒１２１内面とフィルタ筒１１５Ａ、１１５Ｂ外
面間には、ガス流路となる隙間Ｓ２が存在する。各フィ
ルタ筒１１５Ａ、１１５Ｂの内側のスペースには、ガス
発生剤１２３が充填されている。内筒１２５には、フィ
ルタ１２４と隙間S2を連通する複数のガス通過孔１２５
ａが形成されている。フィルタ筒１１５Ａの左端（図５
における左端部）は、蓋部材１２９Ａ内側の凸部１２９
ａに係合している。一方、フィルタ筒１１５Ｂの右端
（図５における右端部）は、蓋部材１２９Ｂ内側の凸部
１２９ｂに係合している。そして、両フィルタ筒１２４
Ａ、１２５Ｂ間で、仕切部材１２２のフランジ部１２２
ｂを挟んでいる。

【０００６】フィルタ筒１２４Ａ、１２５Ｂと仕切部材
１２２のフランジ部１２２ｂ間には、環状シール１３２
が介装されている。この環状シール１３２により、両フ
ィルタ筒１２４Ａ、１２４Ｂ相互間で、ガスの流出入及
び熱の伝達が遮断される。仕切部材１２２の中心円盤部
１２２ａ表面には、クッション部材１３４が設けられて
いる。このクッション部材１３４により、ガス発生剤１
２３の粉化防止が図られるとともに、両燃焼室Ｇ１、Ｇ
２間の熱伝達が遮断される。これら環状シール１３２及
びクッション部材１３４は、断熱性を有する素材からな
る。

【０００７】外筒１２１両端の蓋部材１２９Ａ、１２９
Ｂのそれぞれには、点火装置１２６Ａ、１２６Ｂが具備
されている。点火装置１２６Ａ、１２６Ｂは、伝火剤１
３５と点火具１３６からなる。伝火剤１３５は、蓋部材
１２９内側の凸部１２９ａに嵌め込まれたキャップ１３
７内に収容されている。点火具１３６が点火されると伝
火材１３５が着火し、キャップ１３７の孔（図示され
ず）から燃焼室内に火炎が噴出される。この火炎によ
り、ガス発生剤１２３が着火されて燃焼し、高温高圧の
ガスが発生する。このガスは、フィルタ１２４に流入し
てスラグ捕集・冷却され、内筒１２５のガス通過孔１２
５ａから隙間Ｓ２に流入する。燃焼室内が所定圧力に達
すると、バーストプレート１３３が破裂してガス放出孔
１２８ａから空間Ｓ１にガスが放出される。このガスが
エアバッグ１０２内に流入してバッグが膨張展開され
る。

【０００８】ここで、上述のガス発生器１０４は、２つ
の燃焼室Ｇ１、Ｇ２を有することにより、以下のように
エアバッグ１０２の展開をコントロールすることができ
る。 （１）衝突が重大な場合 この場合は、２つの点火装置１２６Ａ、１２６Ｂが同時
に点火される。これにより、第１及び第２燃焼室Ｇ１及
びＧ２内のガス発生剤１２３が同時に着火されて燃焼
し、大量のガスが放出されるので、エアバッグ１０２は
瞬時に膨張展開される。

【０００９】（２）衝突の度合いが中程度の場合 この場合は、容積が大きくガス発生量の多い第２燃焼室
Ｇ２側の点火装置１２７が先に点火され、微小時間経過
後、容積が小さくガス発生量の少ない第１燃焼室Ｇ１側
の点火装置１２６が点火される。エアバッグ１０２は、
初期段階では第２燃焼室Ｇ２内で発生したガスによりゆ
っくり膨張展開し、途中から両燃焼室Ｇ１、Ｇ２内のそ
れぞれで発生したガスの合流ガスにより急速に展開す
る。

【００１０】（３）衝突が軽微な場合 この場合は、第２燃焼室Ｇ２側の点火装置１２７のみを
点火させる。あるいは、点火装置１２７の点火後に時間
差を大きく取って、第１燃焼室Ｇ１側の点火装置１２６
をも点火させる。この場合、エアバッグ１０２は、比較
的長時間にわたって緩やかに膨張展開する。

【００１１】ところで、上記従来のガス発生器１０４
は、以下のような欠点がある。すなわち、両燃焼室Ｇ
１、Ｇ２内のガス発生剤１２３の片方が着火されたとき
に仕切部材１２２に大きな差圧がかかるが、仕切部材１
２２は、外筒１２１のクリンプ部で単にカシメ固定する
構造であるため、部材１２２の厚みが大きいわりには両
室Ｇ１、Ｇ２間のシール性が悪い。

【００１２】両燃焼室間のシール性を向上させるため、
図６に示すように、仕切部材外周面と外筒内面間にＯリ
ングやガスケット等のシール材を介装してクリンプ固定
するものも知られている。図６（A）〜（C）は、従来の
ガス発生器における仕切部材と外筒の固定・シール形態
の例を説明するための断面図である。

【００１３】図６（Ａ）に示すものは、仕切部材１５２
外周面と外筒１５１内面間にガスケット１５５が介装さ
れ、仕切部材１５２の厚み方向中央部１５２ｘでクリン
プ固定されている。図６（Ｂ）に示す仕切部材１６２
は、厚み方向中央部において外周面にＯリング溝１６２
ｘが掘り込まれており、このＯリング溝１６２ｘにＯリ
ング１６５が嵌め込まれている。そして、このような仕
切部材１６２のＯリング１６５が嵌め込まれた部分でク
リンプ固定されている。図６（Ｃ）に示す仕切部材１６
２は、図６（Ｂ）と同様のＯリング１６５シールの例で
あるが、この場合は、仕切部材１６２の両側を２箇所で
クリンプ固定されている。

【００１４】ところが、図６の各図に示すものは、ガス
ケット１５５やOリング１６５といったシール部材を用
いているため、シール部材がガス発生器のプロペラント
の燃焼熱により分解し、バッグ展開ガス中に混ざること
がある。又は、プロペラントの燃焼時に生じる熱風によ
り、シール部材のリークが起こる可能性がある。さら
に、図６（B）及び（C）のように、仕切部材１６２にO
リング溝１６２ｘを形成する場合は、溝幅を確保しなけ
ればならないため隔壁が厚くなる。したがって、加工費
が高くなって製造コストもアップするとともに、ガス発
生器の小型軽量化の妨げとなっている。

【００１５】さらに、上述した従来例とは別に、特願平
１１−３４４１５号（同一出願人による未公開公報）の
ガス発生器がある。図７は同号のガス発生器の構成を示
す断面図である。なお、このガス発生器については、仕
切部材（隔壁）と外筒（ハウジング）に関してのみ説明
し、他の部分（点火器、ガス発生剤、フィルタ等）につ
いての説明は省略する。このガス発生器の外筒（ハウジ
ング）２０１は円筒体である。ハウジング２０１内に
は、ほぼ円盤状の隔壁２０３が設けられている。この隔
壁２０３の外周端部には、張出端部２０５が形成されて
いる。同張出端部２０５は、外周端に向けて徐々に幅が
広がっており、断面が三角形状になっている。

【００１６】ハウジング２０１内への隔壁２０３の固定
は、以下のように行う。まず、ハウジング２０１内の所
定位置に隔壁２０３を配置し、パンチ等の工具（図示さ
れず）をハウジング２０１の両側から挿入する。この工
具の先端には先細状のテーパ面が設けられており、この
工具の先端で隔壁２０３の両面を押圧するとともに外周
端部を塑性変形させて、隔壁２０３の外周面をハウジン
グ２０１の内周面に密着させる。この図７のガス発生器
の隔壁固定方法は有用であるが、高い圧力（内圧）がか
かる場合は隔壁が厚くなるため、上記押圧加工時の加工
性がそれほど良くない。また、隔壁外周の張出端部２０
５の厚さが厚くなるため、外筒２０１のクリンプ加工と
の併用に難があった。

【００１７】さらに別の方法では、２つの圧力容器を作
り、溶接によって一体とするもの（特開平１１−２６３
１８５号）もある。しかし、この方法では、溶接時に高
精度を求められるため、コスト高となる。

【００１８】本発明は、上記の諸問題に鑑みてなされた
ものであって、製造コスト低減、あるいは軽量化に適し
たエアバッグインフレータを提供することを目的とす
る。また、このようなインフレータの製造方法を提供す
ることを目的とする。

【００１９】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】上
記課題を解決するため、本発明のエアバッグインフレー
タは、内部隔壁によって複数のガス発生剤燃焼室に区分
された筒状のボディを備え、 前記隔壁外周部に対応す
る前記ボディの部分に、縮径加工（ｃｒｉｍｐ）が加え
られているとともに、該隔壁の拡径加工によって、該隔
壁外周部と前記ボディ内部との間がシールされており、
前記隔壁の拡径加工が、該隔壁外周近傍部の少なくと
も一側面に溝が形成されたコイニング加工であることを
特徴とする。

【００２０】このようなインフレータは、加工が比較的
簡単でありながら、隔壁のシール性を確保でき、隔壁と
ボディの固定を一層強固にできる。なお、コイニング加
工による溝の形状は、リング状や十字状、放射状等に形
成することができる。

【００２１】本発明のエアバッグインフレータの製造方
法は、エアバッグを展開するためのガスを発生するイン
フレータの製造方法であって； 筒状のボディ内部を複
数のガス発生剤燃焼室に隔壁で区分し、 前記隔壁外周
部に対応する前記ボディの部分に、縮径加工（ｃｒｉｍ
ｐ）を加え、 該隔壁を拡径加工することによって該隔
壁外周部と前記ボディ内部との間をシールし、 前記隔
壁外周近傍部の少なくとも一側面に溝を形成するコイニ
ング加工により前記隔壁の拡径加工を行うことを特徴と
する。また、本発明のエアバッグインフレータの製造方
法においては、前記縮径加工を加えた後に、前記コイニ
ング加工を行うことが好ましい。

【００２２】以下、図面を参照しつつ説明する。図１
は、本発明の１実施例に係るエアバッグインフレータの
内部構造を示す断面図である。図２は、図１のインフレ
ータのボディと隔壁を拡大して示す断面図である。図３
は、本発明に係るインフレータのボディに隔壁を固定す
るための加工手順を説明する工程図である。なお、以下
の説明における上下左右とは、図１における上下左右方
向を指す。

【００２３】図１には、２つの燃焼室を有するPassenge
r Dual Inflatorの例を示している。この例のインフ
レータ１は、長尺円筒状のボディ３を備えている。ボデ
ィ３の内部には、円盤状の隔壁（パーテーション）５が
設けられている。ボディ３内部は、この隔壁５により、
大容積の左燃焼室Ｇ１と小容積の右燃焼室Ｇ２とに仕切
られている。左右の燃焼室Ｇ１、Ｇ２は、軸方向の寸法
が異なることを除いて基本的には同じ構造を有する。ボ
ディ３は、鋼製の深絞り品や溶接構造品等からなる。ボ
ディ３の側壁には、ガス噴出孔（図示されず）が形成さ
れている。

【００２４】図２に分かり易く示すように、ボディ３
の、隔壁５の外周部に対応する（挟む）部分には、縮径
加工（ｃｒｉｍｐ）が加えられて、隔壁５を挟む2ヶ所
において縮径された谷３ａが形成されている。隔壁５の
外周近傍部の両側面には、リング状溝５ａがコイニング
加工により形成されている。その結果、隔壁５の外周
は、拡径されてボディ３の内周面に密着している。この
ようなボディ３の縮径加工と隔壁５のコイニングによる
拡径加工により、隔壁５がボディ３に強固に固定される
とともに、隔壁５の外周部とボディ３内部との間がシー
ルされる。

【００２５】次に、図３を参照して、上述したボディ３
と隔壁５の加工手順について説明する。 （第１工程）図３（A）に示すように、ボディ３の開口
部から隔壁５（コイニング加工を行う前の状態）を挿入
して所定位置に配置する。この後、隔壁５を挟む２ヶ所
において、ボディ３をクリンプ（縮径）する。このクリ
ンプにより、ボディ３には２つの谷３ａが形成される。
この２つの谷３ａに挟まれて隔壁５はボディ３に固定さ
れる。

【００２６】（第２工程）図３（B）に示すように、ボ
ディ３の両開口部からパンチＰ１、Ｐ２を挿入する。こ
れらパンチＰ１、Ｐ２の先端の外周縁には、環状突起ｔ
が設けられている。パンチＰ１、Ｐ２を隔壁５に押し当
てることにより、パンチＰ１、Ｐ２の環状突起ｔが隔壁
５の両側面の外周近傍部にめり込み、コイニングが行わ
れる。このコイニングにより、隔壁５の外径が拡径さ
れ、隔壁５の外周がボディ３の内面に押し当てられる。
（第３工程）図３（C）に示すように、パンチＰ１、Ｐ
２をボディ３内から抜く。これで、ボディ３内への隔壁
５の固定が完了する。

【００２７】次に、隔壁５のコイニング加工とボディ３
のクリンプに関する具体的な数値例について述べる。な
お、文中のＡ〜Ｋは、図３の各部の寸法を示す。この例
で用いたボディ３と隔壁５の寸法は、次の通りである； ボディ３の外径Ａ＝５１．８ｍｍ ボディ３の内径Ｂ＝４６．８６ｍｍ 隔壁５のコイニング前の外径＝４６．６５ｍｍ 隔壁５の板厚＝５．１５ｍｍ 隔壁５の外周端部面取り半径＝０．３ｍｍ

【００２８】このようなボディ３と隔壁５を本発明の加
工方法により加工した場合、次のような結果が得られ
た；上記第１工程（図３（Ａ）参照）においてボディ３
をクリンプして谷３ａを形成した後のボディ３の谷径Ｆ
＝４８．５３ｍｍであり、ボディ３の隔壁５配置位置の
外径Ｊ＝５１．５１ｍｍである。上記第２工程（図３
（Ｂ）参照）において隔壁５をパンチＰ１、Ｐ２でコイ
ニングした後には、隔壁５の外径は約０．５ｍｍ大きく
なる。コイニングの後、ボディ３の谷径Ｇ＝４９．０２
ｍｍとなり、ボディ３の隔壁５配置位置の外径Ｋ＝５
１．８５ｍｍとなった。

【００２９】このようなコイニング加工は、パンチの押
圧力が比較的低く加工性が良いわりに、隔壁の拡径量を
ある程度確保できる。さらに、ボディ３にクリンプ加工
を加えることで、隔壁５とボディ３の固定を一層強固に
できる。なお、上述した例においては、隔壁５をボディ
３の径方向に沿って配置した場合について説明したが、
隔壁５は、ボディ３の径方向に対して傾いた状態で固定
してもよい。

【００３０】再び図１を参照してインフレータ１の他の
部分の構造について説明する。ボディ３の外側端部３Ａ
は、内向きかつ中央向きに折り返された形に加工されて
いる。同外周端部３Ａの内側には、クロージャー（蓋）
１２の周縁部が当接している。クロージャー１２は、各
燃焼室Ｇ１、Ｇ２の外端部を塞ぐ蓋である。クロージャ
ー１２の外周には、ガスケット１３を嵌め込む環状溝１
２ａが切り込まれている。クロージャー１２の周縁部外
側は、リング状に隆起した隆起部１２ｂが形成されてい
る。この隆起部１２ｂは、ボディ３の外周端部３Ａの内
側に当接する。

【００３１】クロージャー１２の中央内部には、イニシ
エータ装着部１２ｄが設けられている。イニシエータ装
着部１２ｄには、ガスケット１９を介してイニシエータ
１１が固定されている。このイニシエータ１１は、電気
的な点火信号を受けてボディ３の奥方向に発火炎を出
す。クロージャー１２のイニシエータ装着部１２ｄより
も奥側には、スペースを有する有底筒部１２ｃが形成さ
れている。この有底筒部１２ｃのスペース内には、粒状
のブースタープロペラント（点火剤）２４が収められて
いる。このブースタープロペラント２４は、イニシエー
タ１１からの発火炎により点火される。

【００３２】クロージャー１２の奥側の開口端部１２ｅ
内側には、蓋状のプレート１６が係止されている。プレ
ート１６の中心には、孔１６ａが開けられている。同プ
レート１６の内側には、スタンドオフ１８が取り付けら
れている。このスタンドオフ１８には、複数の孔１８ａ
が開けられている。ブースタープロペラント２４が点火
されると、クロージャー１２のスペース１２ｃ内の圧力
が上がり、スタンドオフ１８の孔１８ａ及びプレート１
６の孔１６ａを経て、ブースタープロペラント２４の燃
焼火炎が燃焼室Ｇ１又はＧ２内に吹き出す。

【００３３】各燃焼室Ｇ１、Ｇ２内には、円筒状のクー
リングフィルター１７が配置されている。このクーリン
グフィルター１７はスチールウール等からなり、燃焼ガ
スから固形物を取り除くとともに、燃焼ガスの温度を下
げる働きをする。クーリングフィルター１７内側におい
て、クロージャー１２の奥には錠剤状のブースタープロ
ペラント３１が充填されている。このブースタープロペ
ラント３１の奥には、リテーナ３２を介して円筒状をし
たウエハプロペラント３３が備えられている。ウエハプ
ロペラント３３は、軸心に沿った燃焼ガス通過孔３３ａ
を有する。

【００３４】ウエハプロペラント３３の奥には、スプリ
ング３５が備えられている。このスプリング３５は、ウ
エハプロペラント３３やブースタープロペラント３１の
動きを押さえるためのものである。このスプリング３５
と隔壁５間には、イグニッションカップ３７が配置され
ている。イグニッションカップ３７内には、錠剤状のブ
ースタープロペラント３９が収容されている。イグニッ
ションカップ３７は、ブースタープロペラント３９の容
器である。ブースタープロペラント３９及び３１によ
り、ウエハプロペラント３３を左右両側から燃焼させる
ことができる。

【００３５】ボディ３の内面には、アルミ箔等からなる
シール２２が貼り付けられている。このシール２２は、
ボディ３のガス噴出口（図示されず）を軽く塞ぐ。シー
ル２２により、ボディ３内部への外気の進入が阻止され
る。これにより、プロペラントが湿気を吸引せず、性能
低下が防止される。左右の燃焼室Ｇ１、Ｇ２内のプロペ
ラントが燃焼して内圧が高まると、シール２２は初期内
圧を保持した後に破れて、ガスが噴出口（図示されず）
からエアバッグ（図示されず）の内部に吹き出す。

【００３６】次に、上記の構成からなるエアバッグイン
フレータ１の作用について説明する。車両の衝突時に制
御装置（図示されず）から電気的な点火信号が発信さ
れ、この点火信号に基づきイニシエータ１１が点火され
る。すると、クロージャー１２の有底筒部１２ｃ内のブ
ースタープロペラント２４が同時に着火されて燃焼し、
ガスが発生する。このガスは、スタンドオフ１８の孔１
８ａ及びプレート１６の孔１６ａを経て燃焼室内に放出
される。この放出されたガスは、ブースタープロペラン
ト３１ｂに着火するとともに、ウエハプロペラント３３
にも着火する。さらに、ガスはウエハプロペラント３３
の燃焼ガス通過孔３３ａを通ってブースタープロペラン
ト３９にも着火する。左右のブースタープロペラント３
１、３９が着火されて燃焼すると、ウエハプロペラント
３３が左右両側からも燃焼する。

【００３７】この燃焼ガスは、クーリングフィルター１
７で固形物が取り除かれるとともに冷却され、ボディ３
のガス通過孔（図示されず）からエアバッグ内に供給さ
れる。これにより、バッグが膨張展開する。なお、燃焼
時の各燃焼室Ｇ１、Ｇ２内の燃焼圧力は、４０から６０
ＭＰａ程度であり、各プロペラントの燃焼温度は２千数
百℃程度である。

【００３８】本実施例のエアバッグインフレータ１で
は、車両の事故の重大さや乗員の状態に合わせて、以下
のようにエアバッグの展開をコントロールすることがで
きる。 （１）衝突が重大な場合は、左右のイニシエータ１１が
同時に点火される。 （２）衝突の度合いが中程度の場合は、容積が大きくガ
ス発生量の多い左燃焼室Ｇ１側のイニシエータ１１が先
に点火され、約４０ｍｓ経過後、容積が小さくガス発生
量の少ない右燃焼室Ｇ２側のイニシエータ１１が点火さ
れる。この場合、エアバッグは、初期段階ではゆっくり
膨張展開し、途中から急速に展開する。 （３）衝突が軽微な場合は、左燃焼室Ｇ１側のイニシエ
ータ１１のみを点火させる。あるいは、このイニシエー
タ１１の点火後に約１２０ｍｓ開けて、右燃焼室Ｇ２側
のイニシエータ１１をも点火させる。この場合、エアバ
ッグは、比較的長時間にわたって緩やかに膨張展開す
る。

【００３９】なお、図４には、本実施例のインフレータ
１におけるボディ３内の隔壁５の耐圧試験の方法を示し
ている。この耐圧試験は水圧試験である。図４において
は、ボディ３と隔壁５を上記図３の方法により形成し、
ボディ３内にクロージャー１２、クーリングフィルター
１７及びイグニッションカップ３７を配置したものを示
している。このようなボディ３をサポートＳで上下から
固定し、クロージャー１２の開口から隔壁５に向けてウ
ォーターポートＷから水を噴射する。

【００４０】このような水圧試験は、隔壁５の二つのサ
ンプルについて３回実施した。各サンプルの具体的な数
値は次の通りである； サンプルＡ：外径＝４６．６５ｍｍ、板厚＝５．１５ｍ
ｍ、外周端部面取り半径＝０．３ｍｍ サンプルＢ：外径＝４６．３ｍｍ、板厚＝４．８５ｍ
ｍ、外周端部面取り半径＝０．７ｍｍ 以上のサンプルＡ、Ｂを用いて、図４に示すように、ウ
ォーターポートＷから水を噴射し、逆側の室内（図にお
いて隔壁より左側の室内）に水が漏れ始めたときの水圧
を測定した。

【００４１】次に、試験結果について述べる。サンプル
Ａに対しては、水の漏れ始め圧力は、第１回目９３ＭＰ
ａ、第２回目８８．１ＭＰａ、第３回目９５．５ＭＰａ
であった。サンプルＢに対しては、水の漏れ始め圧力
は、第１回目８１ＭＰａ、第２回目８３．６ＭＰａ、第
３回目８３．８ＭＰａであった。このように、いずれの
サンプルＡ、Ｂであっても、約８０ＭＰａまでの圧力に
は耐え得ることがわかった。

【００４２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、製造コスト低減、あるいは軽量化に適したエ
アバッグインフレータを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例に係るエアバッグインフレー
タの内部構造を示す断面図である。

【図２】図１のインフレータのボディと隔壁を拡大して
示す断面図である。

【図３】本発明に係るインフレータのボディに隔壁を固
定するための加工手順を説明する工程図である。

【図４】本実施例のインフレータにおけるボディ内の隔
壁の耐圧試験の方法を示す図である。

【図５】特開平１０−３２９６３８号公報に開示された
エアバッグモジュールの内部構造を示す断面図である。

【図６】図６（A）〜（C）は、従来のガス発生器におけ
る仕切部材と外筒の固定・シール形態の例を説明するた
めの断面図である。

【図７】特願平１１−３４４１５号のガス発生器の構成
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ インフレータ ３ ボディ ３ａ 谷 ５ 隔壁（パーテーション） ５ａ リング
状溝 １１ イニシエータ １２ クロー
ジャー １７ クーリングフィルター ２４、３１ ブースタープロペラント ３３ ウエハプロペラント ３５ スプリ
ング Ｇ１ 左燃焼室 Ｇ２ 右燃焼
室 Ｐ１、Ｐ２ パンチ ｔ 環状突起

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアバッグを展開するためのガスを発生
   するインフレータであって；内部隔壁によって複数のガ
   ス発生剤燃焼室に区分された筒状のボディを備え、 前記隔壁外周部に対応する前記ボディの部分に、縮径加
   工（ｃｒｉｍｐ）が加えられているとともに、該隔壁の
   拡径加工によって、該隔壁外周部と前記ボディ内部との
   間がシールされており、 前記隔壁の拡径加工が、該隔壁外周近傍部の少なくとも
   一側面に溝が形成されたコイニング加工であることを特
   徴とするエアバッグインフレータ。
2. 【請求項２】 エアバッグを展開するためのガスを発生
   するインフレータの製造方法であって；筒状のボディ内
   部を複数のガス発生剤燃焼室に隔壁で区分し、 前記隔壁外周部に対応する前記ボディの部分に縮径加工
   （ｃｒｉｍｐ）を加え、 該隔壁を拡径加工することによって該隔壁外周部と前記
   ボディ内部との間をシールし、 前記隔壁外周近傍部の少なくとも一側面に溝を形成する
   コイニング加工により前記隔壁の拡径加工を行うことを
   特徴とするエアバッグインフレータの製造方法。
3. 【請求項３】 前記縮径加工を加えた後に、前記コイニ
   ング加工を行うことを特徴とする請求項２記載のエアバ
   ッグインフレータの製造方法。