JP2002011782A - 結晶性熱可塑性樹脂シートの成形方法とそれに用いる成形金型および成形された成形品 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂シートの成形方法とそれに用いる成形金型および成形された成形品

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JP2002011782A JP2000194784A JP2000194784A JP2002011782A JP 2002011782 A JP2002011782 A JP 2002011782A JP 2000194784 A JP2000194784 A JP 2000194784A JP 2000194784 A JP2000194784 A JP 2000194784A JP 2002011782 A JP2002011782 A JP 2002011782A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型不良に起因する種々の不良の発生を抑制
して、成形品製造の歩留まりをこれまでよりも向上でき
る結晶性熱可塑性樹脂シートの成形方法と、それに用い
る成形金型と、上記成形方法によって成形された、外観
が美麗でしかも高級感のある艶消し面に仕上げられてお
り、なおかつトップシールフィルムのシール不良を生じ
にくい成形品とを提供する。 【解決手段】 本発明の成形方法は、成形品S1と接触
する面が、中心線平均粗さRa=4〜18μm、最大高
さRmax=40〜170μmの微細な凹凸面に仕上げら
れた上型21と下型22とを有する本発明の成形金型2
を用いて、結晶性熱可塑性樹脂のシートSを加熱成形す
る工程W2を有する。成形品S1は、上記凹凸面と接触
していた表面が、中心線平均粗さRa=3〜8μm、最
大高さRm ax=30〜80μmの艶消し面に仕上げられ
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば結晶性熱可
塑性ポリエステル系樹脂等の、結晶性を有する熱可塑性
樹脂のシートを加熱成形しつつ、その結晶化を促進し
て、耐熱性に優れた成形品を得るための成形方法と、そ
れに用いる成形金型、並びに上記成形方法で成形された
成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】結晶性を有する熱可塑性樹脂、例えば結
晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)等の結晶性
熱可塑性ポリエステル系樹脂の、発泡あるいは非発泡の
シートから耐熱性に優れた成形品を得るために、特許第
2849513号公報に記載された成形方法などが一般
的に行われている。この成形方法によって、例えば図4
に断面を示すように、平板状の底部S10aの周囲に、
側部S10bを所定の角度で立ち上げた形状を有する本
体S10と、この本体S10の上部開口の周縁から外方
へ延設したフランジS11とを有する、食品包装容器等
の成形品S1を成形するには、長尺のシートSを図6に
実線の矢印で示す方向に送りながら、まず予熱オーブン
91中で、上下に配置したヒータ911、912と非接
触の状態で予熱して軟化させる(予熱工程W1)。
【0003】次にこの軟化したシートSを、縦横に複数
個配置した成形金型92の、所定の温度に加熱された上
型921と下型922とで挟み、真空成形、圧空成形、
真空−圧空成形、マッチモールド成形、プラグアシスト
成形等の成形方法によって、所定の成形品S1の形状に
成形するとともに、成形金型92内で一定時間、保持し
て樹脂の結晶化を促進させる(加熱成形工程W2)。次
に、成形品S1が成形されたシートSを成形金型92か
ら取り出し、同じく縦横に複数個配置した冷却金型93
の、冷却された上型931と下型932とで挟んで、先
の加熱成形工程W2での離型不良などによる成形品S1
の全体的な歪み、すなわち本体S10のうち、側部S1
0bの立ち上がり角度の不規則な変化、底部S10aの
湾曲、フランジS11の湾曲等や、あるいは局部的なシ
ワ、凹凸などの成形不良を修復するとともに、この冷却
金型93内で一定時間、保持して冷却することで、樹脂
の結晶化が過剰に促進されるのを抑制する(冷却工程W
3)。
【0004】そして、冷却されたシートSを冷却金型9
3から取り出した後、図示しないトリミング工程で成形
品S1をシートSから抜き出すことで、耐熱性に優れ
た、食品包装容器等の成形品が製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のうち加熱成形工
程W2において、例えば真空−圧空成形によってシート
Sを成形する場合には、上記図6、並びに図7に示すよ
うに下型922として、成形品S1の本体S10の外形
に対応した凹部922aを有する雌型が使用され、かつ
上型921として、上記凹部922aを閉塞する平板状
の型が使用される。
【0006】そして、前記のように所定温度に加熱され
た上型921と下型922とでシートSを挟んだ状態
で、下型922の凹部922a内に多数形成したエアー
通気孔922bから、図7および図8(a)に一点鎖線の
矢印で示すように凹部922a内のエアーを吸引し、か
つ上型921に形成したエアー通気孔921aから、図
7に一点鎖線の矢印で示すように凹部922a内にエア
ーを供給することで成形品S1が成形される。
【0007】また成形されたシートSを成形金型92か
ら取り出すには、シートSの、成形品S1が成形された
領域以外の平板状の部分を、図6に示す上下のクランプ
板941、942で挟んで固定した状態で、上下の型9
21、922を開くことにより、成形品S1を上下の型
921、922から強制的に引き剥がして離型させるこ
とが行われる。ところが従来は、上記のように成形品S
1を強制的に離型させる際に、当該成形品S1のうち特
に本体S10が、下型922の凹部922aからきれい
に離型しない離型不良が発生しやすく、かかる離型不良
が発生すると、クランプ板941、942で挟まれてい
ないフリーな状態の成形品S1の全体(すなわち本体S
10およびフランジS11)に引き剥がしの力が集中的
に加わる結果、当該成形品S1に、冷却金型93で挟ん
だだけでは完全に修復できないような大きな歪みやシ
ワ、凹凸等の成形不良が発生する。
【0008】また、このような大きな成形不良が生じた
成形品S1を、冷却工程W3で、冷却型93で挟んで修
復しようとすると、冷却工程W3を経た成形品S1に修
復跡が残る、いわゆるダブルイメージの不良が発生し、
さらにトリミング工程で、冷却後の成形品S1を冷却型
93と同形状の固定型で挟んだ状態で、シートSから抜
き出す際に、成形品S1がずれた状態で固定型に挟まれ
るなどするために、所定の形状にきれいに抜き出せな
い、いわゆるトリミング不良が発生する。
【0009】そしてその結果として、成形品製造の歩留
まりが著しく低下するという問題を生じる。また上記従
来法では、外観が美麗で光沢のある成形品を製造するこ
とはできるものの、美麗でしかも高級感のある艶消しの
成形品を製造することはできない。さらに成形品が、例
えばカップ麺容器等の食品包装容器である場合には、食
品収容後のフランジの上面に、トップシールフィルムを
熱シールするなどして封がされるのであるが、上記従来
法で製造された成形品は、かかるトップシールフィルム
の接着強度が不足する、いわゆるシール不良を生じやす
いという問題もある。
【0010】本発明の主な目的は、上記のような離型不
良に起因する成形不良やダブルイメージ、トリミング不
良などの発生を抑制して、成形品製造の歩留まりをこれ
までよりも向上できる、新規な結晶性熱可塑性樹脂シー
トの成形方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、上記成形不良などの原因である離型不良の発生をこ
れまでよりも低減できる、新規な成形金型を提供するこ
とにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、上記本発明の
成形方法によって製造され、外観が美麗でしかも高級感
のある艶消し面に仕上げられており、なおかつトップシ
ールフィルムのシール不良を生じにくい、新規な成形品
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らはまず成形品の、成形金型からの離型方法
について検討した。そして成形時とは逆に、図7に実線
の矢印で示すように上型921のエアー通気孔921a
から凹部922a内のエアーを吸引するとともに、下型
922のエアー通気孔922bから凹部922a内にエ
アーを供給することで、成形品S1の特に本体S10に
直接に、離型のための圧力を加えて離型する方法を行う
ことを検討した。
【0013】しかしこの方法単独では、加熱されて軟化
した状態で、金型92の表面(特に図に示すように下側
921の凹部922aの内面)に密着している本体S1
0のうち、エアー通気孔922bの周囲の極めて狭い領
域にのみ、集中的にエアーの圧力が加わることになるた
め、それによって、図8(b)に示すように本体S10
の、上記の狭い領域のみが局部的に膨らんで、シワなど
の成形不良の原因になる。
【0014】また本体S10の、エアー通気孔922b
の近傍以外の領域は、エアー供給後も依然として金型表
面と密着していることが多いため、上記の方法単独では
離型が困難で、結果的に、前述したクランプ板941、
942による強制的な離型を併用する必要があり、しか
もこの併用によって強制的に離形した場合には、成形品
S1の全体に無理な力が加わって歪みなどの成形不良が
さらに大きくなるおそれもある。
【0015】そこで発明者らは、成形金型を構成する上
型および下型のうち、少なくとも成形品と接触する面の
表面状態について検討した結果、(a) これらの面が、従
来は平滑面に仕上げられていたため、シートを加熱して
成形された成形品が、かかる平滑面に軟化状態のままで
密着すると、両者の間に高い密着力が生じて離型性が低
下し、それに伴って前記のような種々の問題を生じるこ
と、(b) これに対し、これらの面を微細な凹凸面に仕上
げると、成形品の離型性をこれまでより向上して、前記
のような種々の問題の発生を確実に防止できること、を
見出した。
【0016】すなわち上型および下型の、少なくとも成
形品と接触する面を微細な凹凸面に仕上げると、加熱成
形工程で成形された成形品の表面は、ある程度は上記凹
凸面に追従するものの完全には追従しきれないために、
当該成形品の表面と金型表面との間に、上記凹凸に起因
する微細な隙間が形成される。このため、平滑面同士の
密着に比べて両者の密着力を低減できる上、エアー通気
孔を通して凹凸面にエアーを供給した際に、このエアー
が、上記の隙間を通して広い面積に拡がる結果、エアー
の圧力の、狭い領域への集中を防止することができる。
【0017】しかも拡がったエアーが、成形品と金型表
面との密着力をさらに低下させつつ、成形品の全体を均
等な圧力で、金型表面から離型する方向に加圧するた
め、前述した成形不良などを発生させることなく、成形
品をスムースに離型することが可能となる。また従来の
成形品において、トップシールフィルムの、フランジ上
面へのシールの際にシール不良が発生するのも、当該フ
ランジの上面に対応する金型の表面が、従来は平滑面で
あったことに原因がある。
【0018】すなわち上記のように、フランジの上面に
対応する表面が平滑面である金型を使用して成形した成
形品は、当然ながら、フランジの上面が平滑面となるた
め、トップシールフィルムを熱シールなどした際の接着
面積が小さく、かつ接着剤の濡れ性が低くなり、結果と
して、トップシールフィルムのシール不良が発生する。
それゆえシール不良の問題も、金型の表面を微細な凹凸
面に仕上げることで解消される。
【0019】そこで発明者らは、上記凹凸面の、表面粗
さの好適な範囲についてさらに検討した結果、中心線平
均粗さRa=4〜18μm、最大高さRmax=40〜17
0μmの範囲内であれば、前記の目的を達成できること
を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
の結晶性熱可塑性樹脂シートの成形方法は、結晶性熱可
塑性樹脂のシートを予熱して軟化させる工程と、軟化し
たシートを、上型と下型とを備えた成形金型を用いて加
熱成形しつつ結晶化させて成形品を得る工程とを含み、
上記成形金型を構成する上型および下型として、当該両
型の、少なくとも成形品と接触する面が、中心線平均粗
さRa=4〜18μm、最大高さRmax=40〜170μ
mの微細な凹凸面に仕上げられているとともに、両型の
うち少なくとも一方に、加熱成形された成形品を離型す
るためのエアーを上記凹凸面に供給するエアー通気孔が
形成されたものを用いることを特徴とする。
【0020】また上記の成形方法に使用する本発明の成
形金型は、上型と下型とを備え、当該両型の、少なくと
も成形品と接触する面が、中心線平均粗さRa=4〜1
8μm、最大高さRmax=40〜170μmの微細な凹
凸面に仕上げられているとともに、両型のうち少なくと
も一方に、加熱成形された成形品を離型するためのエア
ーを上記凹凸面に供給するエアー通気孔が形成されたこ
とを特徴とする。かかる本発明の成形方法、および成形
金型において、上型および下型に設けられる微細な凹凸
面の中心線平均粗さRa、および最大高さRmaxが上記の
範囲に限定されるのは、以下の理由による。
【0021】すなわち中心線平均粗さRaが4μm未満
であるか、もしくは最大高さRmaxが40μm未満で
は、このいずれの場合にも、凹凸面の凹凸が小さすぎる
ため、型内での加熱によって軟化した成形品の表面が、
上記凹凸に入り込んで、平滑面の場合と同様に凹凸面に
密着して、両者の間に高い密着力を生じる。このため、
成形品の離型性が低下して、前記のような成形不良など
が発生しやすくなる。また成形品の表面が平滑面に近づ
くため、高級感のある艶消し面にならないという問題も
生じる。
【0022】さらに食品包装容器などの場合は、成形さ
れた成形品のうちフランジの上面が平滑面に近づくた
め、トップシールフィルムを熱シールなどした際の接着
面積が小さく、かつ接着剤の濡れ性が低くなって、トッ
プシールフィルムのシール不良が発生するという問題も
生じる。一方、中心線平均粗さが18μmを超えるか、
もしくは最大高さが170μmを超えた場合には、この
いずれにおいても、成形された成形品の、上記凹凸面に
対応する表面の凹凸が大きくなりすぎるため、当該成形
品の外観が荒れたような状態となって、かえって高級感
のある艶消し面にならないという問題を生じる。
【0023】また本発明の成形品は、上記本発明の成形
金型を使用して、本発明の成形方法によって成形された
ものであって、成形金型を構成する上型および下型の微
細な凹凸面と接触していた表面が、中心線平均粗さRa
=3〜8μm、最大高さRmax=30〜80μmの艶消
し面に仕上げられたことを特徴する。かかる本発明の成
形品は、艶消しの、美麗でかつ高級感のある外観を有し
ている。また開口周縁のフランジの上面が上述した艶消
し面に仕上げられるため、このフランジの上面にトップ
シールフィルムを熱シールなどした際には、当該フラン
ジの艶消し面によるアンカー効果、すなわち接着面積の
増加と、接着剤の濡れ性の改善効果によって、トップシ
ールフィルムの接着強度を向上して、シール不良の問題
を解消することが可能となる。
【0024】なお特開2000−37732号公報に
は、ゴムを加硫成形するための金型の表面にブラスト処
理を施すことで、当該表面に、最大高さRmax=0.1
〜100μmの微細な凹凸面を形成することが記載され
ている。しかしこの発明では、金型の表面に、加硫後の
ゴムの離型を助けるためのオイルを、複数回の加硫成形
を行う間、良好に保持させるべく、上記の凹凸面が形成
されており、凹凸面の有する機能が本発明とは異なって
いる。
【0025】それゆえ上記公報記載の発明では、凹凸面
の、実際に使用可能な具体的な中心線平均粗さRa
0.1〜1μm、最大高さRmaxが1〜10μmに規定
されており、これらの範囲は、前述した本発明における
凹凸面の中心線平均粗さRa、および最大高さRmaxの範
囲とは全く異なっている。公報記載の範囲では、後述す
る実施例、比較例の結果より明らかなように、結晶性熱
可塑性樹脂シートの成形品を、エアーの吹き込みによっ
てきれいに離型することはできない。
【0026】また本発明において、エアーに代えてオイ
ルを使用した場合には、結晶性熱可塑性樹脂シートから
成形された成形品を高温で保持して、その結晶化を進行
させる工程で、当該成形品が高温のオイルと接触するこ
とになるため、樹脂が劣化してかえって強度、例えば衝
撃強度等が低下したり、あるいは樹脂の結晶化が妨げら
れたりするおそれがある。またオイルは、食品包装容器
には使用することができない。
【0027】しかも上記公報記載の発明は、前記のよう
にゴムを加硫成形するための金型に関するものであっ
て、結晶性熱可塑性樹脂のシートを加熱成形することに
ついては一切、記載されていない。したがって上記公報
記載の発明は、本発明を開示も示唆もするものではな
い。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。なお
以下では、成形品S1として、やはり図4に断面を示す
ように、平板状の底部S10aの周囲に、側部S10b
を所定の角度で立ち上げた形状を有する本体S10と、
この本体S10の上部開口の周縁から外方へ延設したフ
ランジS11とを有する食品包装容器を成形する場合に
ついて説明するが、本発明の構成が、他の成形品の成形
に適用できることは言うまでもない。 〈結晶性熱可塑性樹脂シート〉本発明で使用する結晶性
熱可塑性樹脂シートとしては、例えば前記結晶性PET
のシートや、あるいは結晶性ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)のシートなどに代表される結晶性熱可塑性
ポリエステル系樹脂シートが好適に使用される他、ポリ
プロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレ
フィン系樹脂のシートも使用可能である。
【0029】また、結晶性熱可塑性樹脂シートとしては
非発泡シートが使用される他、発泡倍率1.1〜10倍
程度の発泡シートも使用可能である。結晶性熱可塑性樹
脂シートは単層構造であっても良いし、少なくともその
片面に熱可塑性樹脂フィルムなどを積層した、2層以上
の積層構造であってもよい。 〈結晶性熱可塑性樹脂シートの成形方法、および成形金
型〉本発明の成形方法の大まかな工程は、従来法と同様
である。
【0030】すなわち、長尺のシートSを図1に実線の
矢印で示す方向に送りながら、まず予熱オーブン1中
で、上下に配置したヒータ11、12と非接触の状態で
予熱して軟化させる(予熱工程W1)。予熱の温度は、
シートSを形成する樹脂の種類などによって異なるが、
例えば結晶性PETシートの場合は、当該シートの表面
温度が90〜130℃の範囲内となるように予熱を行
う。
【0031】またこの際、次工程である加熱成形工程W
2での熱成形性を極端に損なわない範囲で、シートSの
結晶化度を、およそ5〜15%の範囲まで高めることも
できる。シートSの結晶化度を予めこの範囲に高めるこ
とによって、成形時の伸び率は若干低下するものの、シ
ート表面が化学的に安定になるため、成形品S1の離型
性がさらに向上する。なお予熱は、上述した所定の温度
に加熱された予熱板を、シートの両面に直接に接触させ
て行っても良い。
【0032】次に、この予熱工程W1で予熱されて軟化
したシートSを、縦横に複数個配置した成形金型2の、
所定温度に加熱された上型21と下型22とで挟み、真
空成形、圧空成形、真空−圧空成形、マッチモールド成
形、プラグアシスト成形等の成形方法によって、前記し
た所定の成形品S1の形状に成形するとともに、成形金
型2内で一定時間、保持して樹脂の結晶化を促進させる
(加熱成形工程W2)。
【0033】例えば真空−圧空成形の場合には、上記図
1、並びに図2に示すように下型22として、前記成形
品S1の、本体S10の外形に対応した凹部22aを有
する雌型を使用し、かつ上型21として、上記凹部22
aを閉塞する平板状の型(平型)を使用する。なお、こ
の雌型と平型の組み合わせは、マッチモールド成形、プ
ラグアシスト成形にも適用できる。上記雌型(下型2
2)と平型(上型21)の組み合わせにおいては、少な
くとも成形品S1と接触する面として、下型22のうち ・凹部22aの内面全体(成形品S1のうち、本体S1
0を構成する底部S10aの下面、および側部S10b
の外面に対応)と、 ・上型21と対向する上面22c(成形品S1のうち、
フランジS11の下面に対応)、並びに上型21のうち ・下型22と対向する下面21b(上記フランジS11
の上面に対応)が、それぞれ前述したように中心線平均
粗さRa=4〜18μm、最大高さRmax=40〜170
μmの微細な凹凸面に仕上げられている必要がある。こ
の理由は前記のとおりである。
【0034】なお凹凸面の中心線平均粗さRaは、上記
の範囲内でも特に5〜16μmの範囲内であるのが好ま
しく、10μmを超えて16μm以下の範囲内であるの
がさらに好ましい。また最大高さRmaxは、上記の範囲
内でも特に50〜160μmの範囲内であるのが好まし
く、100μmを超えて160μm以下の範囲内である
のがさらに好ましい。上下両型21、22の各面を、上
述した表面粗さを有する微細な凹凸面とするためには、
例えば被処理面に硬質の微小粒子(ブラスト材)を吹き
付けるショットブラスト法などの、従来公知の種々の方
法がいずれも採用可能である。ショットブラスト法によ
って表面粗さを調整するには、吹き付けるブラスト材の
粒径を調整すればよい。ブラスト材の粒径を大きくする
ほど、表面粗さを粗くすることができる。
【0035】また図3の例では、上記凹凸面に、表面エ
ネルギーの小さい樹脂の層L1がコーティングされてい
る。かかる層L1をコーティングすることにより、成形
品S1の離型性をさらに向上することができる。上記層
L1を構成する、表面エネルギーの小さい樹脂として
は、例えばPTFE、FEP、PFA、ETFEなどの
含フッ素系樹脂や、これらと他の樹脂とを混合した変性
樹脂、あるいはシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0036】凹凸面の上に上記層L1を形成する場合に
は、当該層L1を形成した後の、凹凸面の中心線平均粗
さRa、および最大高さRmaxが前記の範囲内である必要
があり、そのためには、層L1を形成後の表面粗さを考
慮して、下地としての型表面の表面粗さを調整しなけれ
ばならない。なお、層L1を形成後の表面粗さは、型表
面に、樹脂を含む塗布液をスプレー塗布して層L1を形
成する際の条件、特にスプレー塗布時の吹付圧力によっ
ても調整可能である。具体的には、吹付圧力を低くする
ほど、表面粗さを粗くすることができる。
【0037】下型22の凹部22a内には、真空−圧空
成形の際に当該凹部22a内のエアーを吸引し、かつ離
型の際に、凹部22aの凹凸面にエアーを供給するため
の複数本のエアー通気孔22bが形成されている。また
一方、上型21の、面方向の中心位置には、上記と逆に
真空−圧空成形の際に凹部22a内にエアーを供給し、
かつ離型の際に凹部22a内のエアーを吸引するための
1本のエアー通気孔21aが形成されている。
【0038】上記各通気孔21a、22bはそれぞれ、
図示しない弁装置を介して、エアーポンプなどの真空−
圧空源と接続されており、弁装置を切り替えることで、
上記のようにエアーの吸引、および供給に交互に使用可
能とされる。また弁装置には、上記各通気孔21a、2
2bを大気に開放する切り替えを設け、この切り替えに
よって凹部22a内を大気に開放した状態で、型締めや
型開きを行うようにしても良い。
【0039】上記のうち成形品S1と直接に接する下型
22側の通気孔22bは、当該本体S10の表面に跡を
残さないために、凹部22a側の開口部の直径を、0.
5〜1mmの範囲内とするのが好ましい。上記上型21
と下型22とを、前記のように所定の温度に加熱しつ
つ、両型21、22間にシートSを挟んだ状態で、図2
に一点鎖線の矢印で示すように、下型22のエアー通気
孔22bから凹部22a内のエアーを吸引し、かつ上型
21のエアー通気孔21aから凹部22a内にエアーを
供給すると、真空−圧空成形法によって、成形品S1が
成形される。
【0040】上下両型21、22の加熱温度は、結晶性
PETのシートの場合、130〜200℃の範囲内に設
定される。次いで加熱成形後の成形品S1を、そのまま
の温度で所定時間、成形金型2内で保持すると、成形品
S1の結晶化が促進されて耐熱性が付与される。このあ
と、冷却工程W3とトリミング工程とを経て製造される
成形品S1の最終的な結晶化度は、これに限定されない
がおよそ18〜25%の範囲内であるのが好ましく、成
形品の結晶化度がこの範囲内となるように、上記成形金
型2内での、結晶化のための保持時間が設定される。
【0041】次に、図2に実線の矢印で示すように、上
型21のエアー通気孔21aから凹部22a内のエアー
を吸引するか、もしくはエアー通気孔21aを大気に開
放し、かつ下型22のエアー通気孔22bから、凹部2
2aの凹凸面にエアーを供給しつつ両型21、22を開
く。そうすると図3に実線の矢印で示すように、通気孔
22bから供給されたエアーが、成形品S1の本体S1
0と、下型22の凹部22aの表面に形成された凹凸面
との隙間を通して成形品S1の全体に広がって、前述し
たように離型不良に伴う成形不良を生じることなく、ス
ムースに離型が行われる。
【0042】次に、成形品S1が成形されたシートSを
成形金型2から取り出したあとは、当該シートSを、従
来同様に縦横に複数個配置した冷却金型3の、冷却され
た上型31と下型32とで挟んで、先の加熱成形工程W
2で成形品S1に生じた成形不良(殆どないが)を修復
するとともに、この冷却金型3内で一定時間、保持して
冷却することで、結晶化が過剰に促進されるのを抑制す
る(冷却工程W3)。なお本発明では、前記のように成
形不良が殆ど生じないため、冷却金型3を使用せずに成
形品S1を自然放冷するか、もしくは成形品S1に冷却
のためのエアーを吹き付けて冷却しても良い。
【0043】冷却温度は50℃以下であるのが好まし
く、10〜40℃の範囲内であるのがさらに好ましい。
次に、冷却されたシートSを図示しないトリミング工程
に送り、成形品S1をシートSから抜き出すことで、本
発明の成形品が製造される。 〈成形品〉上記の製造方法によって製造された図4の成
形品S1は、前述したように成形金型2を構成する上型
21および下型22の微細な凹凸面と接触していた、本
体S10を構成する底部S10aの下面、および側部S
10bの外面、並びにフランジS11の上下両面が、そ
れぞれ中心線平均粗さRa=3〜8μm、最大高さRmax
=30〜80μmの艶消し面に仕上げられる。中心線平
均粗さRaおよびが最大高さRmaxこの範囲内にあると
き、高級感のある艶消し面であると言える。
【0044】成形品S1の上記各面の中心線平均粗さR
aが3μm未満であるか、または最大高さRmaxが30μ
m未満では、このいずれの場合にも、表面に光沢が出て
しまって、高級感のある艶消し面とすることができな
い。またフランジS11の上面の場合は、後述するよう
にトップシールフィルムを熱シールなどした際に、接着
強度が不足するシール不良を生じる。一方、中心線平均
粗さRaが8μmを超えるか、もしくは最大高さRmax
80μmを超えた場合には、表面が荒れたような外観と
なって、やはり高級感のある艶消し面とすることができ
ない。
【0045】なお艶消し面の中心線平均粗さRaは、上
記の範囲内でも特に5〜8μmの範囲内であるのが好ま
しい。また最大高さRmaxは、上記の範囲内でも特に4
0〜70μmの範囲内であるのが好ましい。かくして製
造された成形品S1を、例えばカップ麺容器等の食品包
装容器として使用する場合は、上記のように食品収容後
の成形品S1の、フランジS11の上面に、トップシー
ルフィルムFを熱シールするなどして封がされる。
【0046】具体的には、まず成形品S1のフランジS
11を、図5(a)(b)に示すように熱シール装置の受け板
H1上に載置し、その上から、トップシールフィルムF
を間に挟んだ状態で、所定の温度に加熱された熱刃H2
を、図(a)中に白矢印で示すように降下させる。そして
重ね合わされたフランジS11とトップシールフィルム
Fとを、熱刃H2と受け板H1とで一定時間、加熱、加
圧すると、図(b)に示すように、トップシールフィルム
FがフランジS11の上面に熱融着されて、成形品S1
の熱シールが完了する。
【0047】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。なお各実施例、比較例で使用した成形金型、
および製造した成形品について、下記の各試験を行っ
た。 〈表面粗さの測定〉(株)東京精密製の表面粗さ計〔ハン
ディーサーフE−30A〕を使用して、日本工業規格J
IS B0651-1984に規定された方法に準じて、カ
ットオフ値:2.5mm、測定長さ:12.5mmの条
件で、各実施例、比較例で使用した成形金型、並びに製
造した成形品の測定を行って、それぞれの中心線平均粗
さR a(μm)、および最大高さRmax(μm)を求め
た。
【0048】測定個所は下記のとおりとした。 成形品:本体の側部外面とフランジ上面。 下型表面:凹部内の、上記側部外面に対応する部位。 上型表面:下型と対向する下面の、上記フランジ上面に
対応する部位。 〈離型性の評価〉各実施例、比較例における、成形品
の、成形金型からの離型性の良否を、下記の3つの評価
方法で得られた結果を総合して評価した。
【0049】(局部的不良発生率)成形金型から成形品
を離型する際に、離型性が悪いものを無理に離型しよう
とすると、先に述べたように成形品の表面に、前記のよ
うにシワや凹凸といった局部的な成形不良が発生する。
そこで、同じ成形金型を使用して連続的に500個の成
形品を製造した際に、表面にシワや凹凸などの局部的不
良が発生した成形品の個数をカウントし、百分率で、局
部的不良発生率を求めた。そして局部的不良発生率が5
%以下のものを離型性良好(○)、5%を超えるものを
離型性不良(×)として評価した。
【0050】(スタック高さのばらつき)離型性が悪い
と、上記シワや凹凸といった局部的な成形不良とは別
に、前述したように、本体の側部の、立ち上がり角度の
不規則な変化や、あるいは本体の底部やフランジの、成
形品の全体にわたる湾曲などが発生する。そこで、同じ
成形金型を使用して連続的に成形した成形品を25個ず
つ重ねてスタック高さを測定する操作を20回、上記5
00個の成形品の全てについて行い、得られた20回分
のスタック高さχ1、χ2、・・・χn-1、χn(n=2
0)の測定結果から、下記式によりスタック高さのばら
つきσn-1を求めた。
【0051】
【数1】
【0052】〔式中、χiはi回目のスタック高さ(m
m)、iは1〜nでかつn=20である。〕 スタック高さがばらつくということは、成形品を重ねた
ときの個々の成形品間の間隔(スタック間隔)が一定に
なっていないということを示す。したがってこのような
成形品をスタックした状態で、例えば食品等の自動充て
ん機に供給すると、充てんのために成形品を1枚づつば
らす工程でうまくばらせないという問題が発生するおそ
れがあるため、スタック高さのばらつきは小さいほど好
ましい。
【0053】それゆえここでは、前記式によって求めら
れるスタック高さのばらつきσn-1が3以下のものを離
型性良好(○)、3を超えるものを離型性不良(×)と
して評価した。 (ダブルイメージ発生率)成形品は、次工程である冷却
工程で、前記のように冷却金型によって再プレスされ
て、歪み、シワ、凹凸等の成形不良が修復されるが、こ
れらの成形不良が大きすぎると、冷却工程を経た成形品
に修復跡が残る場合がある。この修復跡を、前記のよう
にダブルイメージと称するが、このダブルイメージがあ
ると成形品の見栄えが悪いだけでなく、加熱調理時など
に成形品がそこから変形するおそれもある。そこで、前
記500個の成形品のうち、ダブルイメージが見られた
成形品の個数をカウントし、百分率で、ダブルイメージ
発生率を求めた。そしてダブルイメージ発生率が5%以
下のものを離型性良好(○)、5%を超えるものを離型
性不良(×)として評価した。
【0054】(総合評価)上記3つの評価方法で得られ
た結果が全て○であったものを離型性良好(○)、一つ
でも×があったものを離型性不良(×)として評価し
た。 〈成形品の外観評価〉各実施例、比較例で製造した成形
品の外観を目視にて観察して、不良の有無、並びに艶消
しの状態を評価した。 〈トップシール性試験〉各実施例、比較例で製造した成
形品の、フランジの上面に、PETフィルム(20μ
m)/PEフィルム(30μm)/接着剤層(30μ
m)の3層構造を有するトップシールフィルムを、接着
剤層をフランジ側にして、図5(a)(b)に示したように熱
シール装置を用いて熱シールした。この時のシール温度
は180℃、シール時間は2秒とした。
【0055】シール後、全体を23℃程度まで自然冷却
させたのち、トップシールフィルムを剥がす剥離試験を
行い、フランジ上面とトップシールフィルムとの界面で
剥離した場合はシール不良(×)、フランジまたはトッ
プシールフィルムのいずれかに相手側の材料が付着して
剥離した場合、あるいはトップシールフィルムの接着層
が破壊されて剥離した場合はシール良好(○)として評
価した。 実施例1〜3、比較例1〜3 密度0.4g/cm3、発泡倍率3.4倍、厚み1.0
mmの結晶性PET樹脂の発泡シートを用いて、図4に
示す断面形状を有し、本体S10の平面形状が縦173
mm、横113mm(いずれも開口部の外形寸法)の矩
形状で、かつ全体の高さが25mm、フランジS11の
幅が5.0mmである成形品S1を、真空−圧空成形に
よって製造することとし、上記本体S10の外形に対応
した凹部22aを有する下型(雌型)22と、平板状の
上型21とを成形金型2として作製した。
【0056】そして上記のうち下型22の、凹部22a
の内面全体と、上型21と対向する上面22c、並びに
上型21の、下型22と対向する下面21bを、それぞ
れショットブラスト法によって処理するとともに、その
上にPTFEの層をコーティングして、表1に示す表面
粗さを有する凹凸面とした。また下型22の凹部22a
内には、本体S10の底部S10aに対応する底面に、
当該底面に臨む開口の直径が0.9mmであるエアー通
気孔を24本、ほぼ等間隔となるように規則的に配置し
た。一方、上型21の下面21bの、面方向中心位置に
は、当該下面に臨む開口の直径が4.0mmのエアー通
気孔を1本、形成した。
【0057】上記上型21と下型22と組み合わせた成
形金型2を15組用意し、それを図1に示す真空−圧空
成形装置に組み込んで、下記の条件で、連続的に真空−
圧空成形を行った。 予熱温度(シートSの表面温度):115℃ 予熱後のシートSの二次厚み:1.1mm 成形金型2の加熱温度:180℃ 冷却金型3の冷却温度:35℃ 成形品S1の結晶化度:22% そして得られた成形品について、前記の各試験を行っ
て、その特性を評価した。
【0058】結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表より、凹凸面の中心線平均粗さRaが4
μm未満で、かつ最大高さRmaxが40μm未満である
成形金型を用いた比較例1、2の成形方法で製造した成
形品はそれぞれ、上記凹凸面に対応する表面の中心線平
均粗さRa、および最大高さRm axが、元になった上記凹
凸面の中心線平均粗さRa、および最大高さRmaxとほぼ
近い値を示しており、このことから加熱成形時に、成形
品と金型とが殆ど隙間なく密着していたことが判った。
【0061】そしてその結果として比較例1、2で製造
した成形品はいずれも離型性が不良であり、また外観も
光沢が出てしまって高級感のある艶消しになっていない
ことが確認された。さらにフランジの上面も光沢面であ
ったため、トップシールフィルムを熱シールした際のシ
ール性も不良であった。また凹凸面の中心線平均粗さR
aが18μmを超え、かつ最大高さRmaxが170μmを
超える成形金型を用いた比較例3の成形方法で製造した
成形品は、その外観が荒れたような状態となって、やは
り高級感のある艶消し面になっていないことがわかっ
た。
【0062】これに対し、凹凸面の中心線平均粗さRa
が4〜18μmの範囲内で、かつ最大高さRmaxが40
〜170μmの範囲内である成形金型を用いた実施例1
〜3の成形方法で製造した成形品はいずれも、上記凹凸
面に対応する表面の中心線平均粗さRa、および最大高
さRmaxが、元になった上記凹凸面の中心線平均粗さ
a、および最大高さRmaxとの間に大きな差を有してお
り、しかもその差は、上記範囲内で、中心線平均粗さR
a、最大高さRmaxが大きいほど大きくなっていることが
判った。
【0063】そしてこのことから、加熱成形時に、成形
品と金型との間に隙間が確保されていたことが判明し、
その結果として実施例1〜3で製造した成形品はいずれ
も離型性が良好であり、また外観が高級感のある艶消し
になっていることが確認された。しかもフランジの上面
も艶消し面であったため、トップシールフィルムを熱シ
ールした際のシール性も良好であった。
【0064】実施例4、5、比較例4、5 厚み0.35mmの結晶性PET樹脂の非発泡シートを
用いて、図4に示す断面形状を有し、本体S10の底部
S10aの外径が58mm、開口部の外径が75mmの
カップ状で、かつ全体の高さが15mm、フランジS1
1の幅が3.5mmである成形品S1を、真空−圧空成
形によって製造することとし、上記本体S10の外形に
対応した凹部22aを有する下型(雌型)22と、平板
状の上型21とを成形金型2として作製した。
【0065】そして上記のうち下型22の、凹部22a
の内面全体と、上型21と対向する上面22c、並びに
上型21の、下型22と対向する下面21bを、それぞ
れショットブラスト法によって処理するとともに、その
上にPTFEの層をコーティングして、表1に示す表面
粗さを有する凹凸面とした。また下型22の凹部22a
内には、本体S10の底部S10aに対応する底面に、
当該底面に臨む開口の直径が0.7mmであるエアー通
気孔を12本、ほぼ等間隔となるように規則的に配置し
た。一方、上型21の下面21bの、面方向中心位置に
は、当該下面に臨む開口の直径が4.0mmのエアー通
気孔を1本、形成した。
【0066】上記上型21と下型22と組み合わせた成
形金型2を15組用意し、それを図1に示す真空−圧空
成形装置に組み込んで、下記の条件で、連続的に真空−
圧空成形を行った。 予熱温度(シートSの表面温度):121℃ 成形金型2の加熱温度:180℃ 冷却金型3の冷却温度:35℃ 成形品S1の結晶化度:24% そして得られた成形品について、前記の各試験を行っ
て、その特性を評価した。
【0067】結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表より、凹凸面の中心線平均粗さRaが4
μm未満で、かつ最大高さRmaxが40μm未満である
成形金型を用いた比較例4の成形方法で製造した成形品
は、上記凹凸面に対応する表面の中心線平均粗さRa
および最大高さRmaxが、元になった上記凹凸面の中心
線平均粗さRa、および最大高さRmaxとほぼ近い値を示
しており、このことから加熱成形時に、成形品と金型と
が殆ど隙間なく密着していたことが判った。
【0070】そしてその結果として比較例4で製造した
成形品は離型性が不良であり、また外観も光沢が出てし
まって高級感のある艶消しになっていないことが確認さ
れた。さらにフランジの上面も光沢面であったため、ト
ップシールフィルムを熱シールした際のシール性も不良
であった。一方、凹凸面の中心線平均粗さRaが18μ
mを超え、かつ最大高さRmaxが170μmを超える成
形金型を用いた比較例5の成形方法で製造した成形品
は、その外観が荒れたような状態となって、やはり高級
感のある艶消し面になっていないことがわかった。
【0071】これに対し、凹凸面の中心線平均粗さRa
が4〜18μmの範囲内で、かつ最大高さRmaxが40
〜170μmの範囲内である成形金型を用いた実施例
4、5の成形方法で製造した成形品はともに、上記凹凸
面に対応する表面の中心線平均粗さRa、および最大高
さRmaxが、元になった上記凹凸面の中心線平均粗さ
a、および最大高さRmaxとの間に大きな差を有してお
り、しかもその差は、上記範囲内で、中心線平均粗さR
a、最大高さRmaxが大きいほど大きくなっていることが
判った。
【0072】そしてこのことから、加熱成形時に、成形
品と金型との間に隙間が確保されていたことが判明し、
その結果として実施例4、5で製造した成形品はいずれ
も離型性が良好であり、また外観が高級感のある艶消し
になっていることが確認された。しかもフランジの上面
も艶消し面であったため、トップシールフィルムを熱シ
ールした際のシール性も良好であった。
【0073】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
離型不良に起因する成形不良やダブルイメージ、トリミ
ング不良などの発生を抑制して、成形品製造の歩留まり
をこれまでよりも向上できる結晶性熱可塑性樹脂シート
の成形方法と、上記成形不良などの原因である離型不良
の発生をこれまでよりも低減できる成形金型と、そして
上記成形方法によって成形された、外観が美麗でしかも
高級感のある艶消し面に仕上げられており、なおかつト
ップシールフィルムのシール不良を生じにくい成形品と
を提供できるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形方法の、実施の形態の一例を示す
概略図である。
【図2】上記成形方法に使用する、本発明の成形金型の
一例を示す断面図である。
【図3】上記成形金型のうち下型の、凹凸面とされた表
面を拡大した断面図である。
【図4】上記例で製造される本発明の成形品の一例を示
す断面図である。
【図5】同図(a)(b)は、上記成形品のフランジにトップ
シールフィルムを熱シールして、成形品に封をする工程
を示す断面図である。
【図6】従来の成形方法の一例を示す概略図である。
【図7】従来の成形金型の一例を示す断面図である。
【図8】同図(a)(b)は、上記成形金型のうち下型の、エ
アー通気孔の近傍を拡大した断面図である。
【符号の説明】
W1 予熱工程 W2 加熱成形工程 2 成形金型 21 上型 22 下型 21a、22b エアー通気孔 L1 樹脂の層 S シート S1 成形品

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性熱可塑性樹脂のシートを予熱して軟
    化させる工程と、軟化したシートを、上型と下型とを備
    えた成形金型を用いて加熱成形しつつ結晶化させて成形
    品を得る工程とを含む成形方法であって、 上記成形金型を構成する上型および下型として、 当該両型の、少なくとも成形品と接触する面が、中心線
    平均粗さRa=4〜18μm、最大高さRmax=40〜1
    70μmの微細な凹凸面に仕上げられているとともに、 両型のうち少なくとも一方に、加熱成形された成形品を
    離型するためのエアーを上記凹凸面に供給するエアー通
    気孔が形成されたものを用いることを特徴とする結晶性
    熱可塑性樹脂シートの成形方法。
  2. 【請求項2】結晶性熱可塑性樹脂のシートから成形品を
    加熱成形するために使用される成形金型であって、上型
    と下型とを備え、当該両型の、少なくとも成形品と接触
    する面が、中心線平均粗さRa=4〜18μm、最大高
    さRmax=40〜170μmの微細な凹凸面に仕上げら
    れているとともに、両型のうち少なくとも一方に、加熱
    成形された成形品を離型するためのエアーを上記凹凸面
    に供給するエアー通気孔が形成されたことを特徴とする
    成形金型。
  3. 【請求項3】微細な凹凸面に、表面エネルギーの小さい
    樹脂の層がコーティングされたことを特徴とする請求項
    2記載の成形金型。
  4. 【請求項4】請求項1記載の成形方法によって、結晶性
    熱可塑性樹脂のシートを加熱成形して得られた成形品で
    あって、成形金型を構成する上型および下型の微細な凹
    凸面と接触していた表面が、中心線平均粗さRa=3〜
    8μm、最大高さRmax=30〜80μmの艶消し面に
    仕上げられたことを特徴する成形品。
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