JP2004315037A - 発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法および製造された成形容器本体 - Google Patents

発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法および製造された成形容器本体 Download PDF

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宏 藤永
Kazunari Onishi
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Abstract

【課題】発泡樹脂シートからなる容器内面の口元スタック部全周囲にわたって環状の凸部を容易に形成でき、汁漏れ防止機能を有する発泡容器本体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】発泡樹脂シートをオーブン内で加熱して成形可能な状態に軟化させたのち、成形ゾーンにおいて雌雄金型嵌合の賦形によって容器本体形状に成形し、発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法であって、発泡樹脂シートを雌雄金型の嵌合により賦形しつつ、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部となるようにシート外側の窪み部を賦形することを特徴とする発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法および該方法により製造された容器本体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法および該方法により製造された成形容器本体に関する。さらに詳しくは、容器本体と蓋体との嵌合性に優れる、いわゆる内嵌合といわれる麺類、惣菜などの汁分を含む内容物を充填する際に用いられる、汁漏れのない発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法、および該方法によって得られた成形容器本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンビニエンスストアの発展にともない、麺類・惣菜などの調理済み加工食品の普及は近年著しい。これら加工済み食品を美味しく食するためには、煮汁などの汁を付ける必要があり、このような加工食品を収容して販売する容器としては汁が漏れないことが求められる。
【0003】
また、コンビニエンスストアなどにおいては、より美味しく食するように加工食品を電子レンジで加熱して客に提供するのが一般的となりつつあるため、電子レンジ加熱にも耐える耐熱性を有することも必須条件となりつつある。このような汁をともなう加工食品の容器としてはフィラー入りポリプロピレン系樹脂(以下、PP系樹脂という)シート製の蓋付容器がよく知られている。この容器は、図5に示されているように、非発泡樹脂容器本体9の口元スタック部が上に向かって閉じる逆テーパーを有する形状であり、非発泡樹脂容器蓋体10にも同様な逆テーパー部を設け、非発泡樹脂容器本体9内側の側壁部と密着することにより、蓋体10が不用意に外れることや汁漏れを防止できるようになっている。
【0004】
ところが、このようなPP系樹脂シート成形容器は断熱性に劣るため、中身の食品を電子レンジで加熱したとき、手で持てないほどに容器が熱くなるという欠点を有している。
【0005】
このような問題を解消できる容器として、発泡樹脂シート成形容器本体を使用した容器がある。
【0006】
発泡樹脂シート成形容器本体は断熱性があり、中身の食品を電子レンジで加熱しても容器はそれほど熱くならず好ましい。また、このような発泡樹脂シートに用いられる基材樹脂としては、電子レンジ加熱時などに加工食品から油分が溶出するため、耐油性に優れたPP系樹脂が望ましい。
【0007】
しかしながら、このような発泡樹脂シート成形容器本体は、発泡樹脂シートの厚さが厚く、加熱成形時のシートの流動性が低いなどの理由からPP系樹脂シートのように雌型のみを使用する真空または圧空成形を行なうことができない。このため、雌雄金型によるプレス成形(嵌合成形)が採用されているが、このような雌雄金型によるプレス成形では、型開きの関係から、図5に示されているように、容器本体の口元部の形状を上に向かって閉じる逆テーパー形状にできない。
【0008】
この問題を解消する方法として、図6に示されているように、発泡樹脂容器本体12の口元部をテーパー形状にし、容器本体内面の口元部全周に窪み部13を形成させ、樹脂製容器蓋体11の対応する位置に凸部を設けることにより嵌合を可能にする方法が提案されている(特許文献1)。
【0009】
しかしながら、窪み部13の肉厚が成形時に薄くなり、容器本体の強度が不足したり、発泡樹脂シートの破れなどの成形不良を起こすことがある。また、窪み部13の肉厚が薄いため、蓋体11との嵌合力が弱く、通常の取り扱いや電子レンジ加熱時の内圧の高まりに対して蓋体11が外れる、内容する食品の汁分が容器より漏れる、などの問題がおこりやすく、充分な嵌合性を有する容器が得られ難いことがある。とくに、PP系樹脂を基材とする発泡樹脂シートの成形において、そのような問題は顕著に表われる。PP系樹脂発泡シートは、製造時に用いた発泡剤が発泡シートセル内にはほとんど残存せず、成形加熱時の2次発泡による厚さの増大がほとんどないため、窪み部のような部分での発泡シートの破れや薄肉化が表われやすい。この問題はPP系樹脂発泡シートに限らず、近年はコストを低減する目的で目付の少ない発泡樹脂シートを用いることが多いため、その他の発泡樹脂シートにおいても同様の問題が生じる。
【0010】
また、PP系樹脂発泡シートは、基材樹脂が結晶性樹脂であるため、成形に適する温度巾が非常に狭く、この条件を外れると容器強度が低下したり、発泡シートの破れや薄肉化を惹き起こしやすい。このような問題を解決するためにオーブンでの加熱方法を規定し、シート表面温度を保持しながら成形する方法(特許文献2)が提案されているが、このような方法を用いても、加熱が終わり成形するまでのあいだに発泡樹脂シートが冷却されたり、成形時の金型への接触によって発泡樹脂シートが冷却されるため、前記の窪み部のような部分では、発泡樹脂シートの薄肉化を防ぐことは難しい。
【0011】
以上のような理由で発泡樹脂シートの成形容器において、発泡樹脂シートの種類を問わず、容器本体の実用上の強度を満たし、充分な嵌合性を有し、汁漏れのない容器を安定的に得ることは困難である。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−248853号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開平6−218805号公報(第2〜6頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のごとき問題を解決した容器本体と容器蓋体との嵌合性に優れ、汁漏れのない内嵌合可能な発泡樹脂シート成形容器本体を製造し、提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、容器本体と容器蓋体との嵌合性に優れ、汁漏れのない発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法を見出し、本発明を完成するにいたった。
【0015】
すなわち、本発明は、
発泡樹脂シートをオーブン内で加熱して成形可能な状態に軟化させたのち、成形ゾーンにおいて雌雄金型嵌合の賦形によって容器本体形状に成形し、発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法であって、発泡樹脂シートを雌雄金型の嵌合により賦形しつつ、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部となるようにシート外側の窪み部を賦形することを特徴とする発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法(請求項1)、
少なくとも、雌型より圧縮空気を噴きつける位置に相対する雄型の位置に設けられた細孔から金型間の発泡樹脂シートを真空減圧により吸引しながら賦形する請求項1記載の製造方法(請求項2)、
発泡樹脂シートの基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項1または2記載の製造方法(請求項3)、および
請求項1、2または3記載の方法によって製造された発泡樹脂シート成形容器本体(請求項4)に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、発泡樹脂シートをオーブン内で加熱して成形可能な状態に軟化させたのち、成形ゾーンにおいて雌雄金型嵌合の賦形によって容器本体形状に成形し、発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法である。
【0017】
前記発泡樹脂シートとしては、たとえばポリスチレン、ポリプロピレンなどのプロピレン単位を60重量%(以下、%という)以上含有するポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンおよびスチレンを主体とし、スチレンと共重合し得るブタジエン、無水マレイン酸、メタクリル酸などの共重合体からの発泡シートなどがあげられる。これらのうちではポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡樹脂シートが本発明の効果を好適に得ることができる点から好ましい。
【0018】
前記発泡樹脂シートは、片面または両面にポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、耐熱ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる非発泡樹脂フィルムを積層したものであってもよい。
【0019】
前記発泡樹脂シートをオーブン内で加熱して成形可能な状態に軟化させる温度、加熱時間などには特別な限定はなく、従来から採用されている各基材樹脂の発泡樹脂シートなどに適用されている温度、加熱時間などを採用すればよい。
【0020】
前記成形可能な状態に軟化せしめられた発泡樹脂シートは、そののち成形ゾーンに移送され、雌雄金型嵌合の賦形によって容器本体形状に成形され、発泡樹脂シート成形容器本体が製造される。
【0021】
本発明では、前記発泡樹脂シート成形容器本体を製造する際に、発泡樹脂シートを雌雄金型の嵌合により賦形しつつ、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部となるようにシート外側に窪み部が賦形される。
【0022】
前記のごとく、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて、シート外側に窪み部が賦形されるとともに容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部が形成されるため、シートの厚さにはほとんど影響を与えることなく、容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部を形成することができ、たとえば特開平9−248853号公報で製造される容器本体に窪み部を設けた場合のように、肉厚が成形時に薄くなり、容器本体の強度が不足したり、発泡樹脂シートの破れなどの成形不良を起こすことがない。また、特開平9−248853号公報で製造される容器本体における、形成される窪み部の肉厚が薄いため、蓋体との嵌合力が弱く、通常の取り扱いや電子レンジ加熱時の内圧の高まりに対して蓋体が外れる、内容する食品の汁分が容器より漏れる、などの問題がおこりにくく、充分な嵌合性を有する容器が得られやすい。
とくに、PP系樹脂発泡シートのように、製造時に用いた発泡剤が発泡シートセル内にはほとんど残存せず、成形加熱時の2次発泡による厚さの増大がほとんどない場合でも、窪み部のような部分での発泡シートの破れや薄肉化が表われにくい。PP系樹脂発泡シートに限らず、近年はコストを低減する目的で目付の少ない発泡樹脂シートを用いることが多いため、その他の発泡樹脂シートにおいても同様の効果が得られる。
【0023】
前記圧縮空気としては、圧力が0.005〜0.5MPa、さらには0.02〜0.2MPaの範囲のものを適宜使用するのが望ましい。0.005MPaより低いと、発泡樹脂シートを動かす力が弱く、本発明の効果を得ることが難しく、0.5MPaより高いと、加熱により軟化した発泡樹脂シートが押しつぶされ、この部分での肉厚が薄くなり、容器本体強度を低下させることがある。また、圧縮空気は常温のもの、あるいは加熱したものであってもよい。
【0024】
前記圧縮空気を吹きつけるタイミングは、嵌合部の形状や発泡樹脂シートの性質などによって嵌合直前や嵌合と同時、あるいは嵌合直後など選択することができる。
【0025】
前記発泡樹脂シートを雌雄金型の嵌合により賦形しつつ、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部となるようにシート外側に窪み部を賦形する際に、雌型より圧縮空気を噴きつける位置に相対する雄型の位置に設けた細孔から金型間の発泡樹脂シートを真空減圧により吸引しながら賦形してもよく、この場合には、金型の形状転写性を向上させることができる。また、前記圧縮空気の噴きつけと同時期に金型間の発泡樹脂シートを真空減圧により吸引しながら賦形することによって、賦形時のシート流動を円滑にし、肉厚を保ちながら、窪み部の形状転写を向上させることで、剛性や嵌合の充分な容器本体を得ることができる。
【0026】
このようにして、たとえば図1に示すような、本発明の発泡樹脂シート成形容器本体2が製造され、樹脂製容器蓋体3とともに発泡樹脂シート成形容器1を形成する。なお、図1は、本発明の発泡樹脂シート成形容器1の断面説明図である。
【0027】
以下、本発明の発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法を、本発明の実施態様の一例に基づき説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
本発明の効果を得るための雌雄嵌合金型を用いた加熱成形によって得られる成形容器本体において、蓋体と嵌合する位置(以下、蓋嵌合部と称す)に相当する部分の一例を図2に示す。
【0029】
この例では、蓋嵌合部において、嵌合成形用雄型(金型)4の容器口元スタック部最上部のクリアランスを2.0mm、上部より2.5mmの位置のクリアランスを1.5mmとなるようにクリアランスの傾斜を雄型に設けている。加えて、嵌合成形用雌型5の蓋嵌合部に相当する位置に圧縮空気を噴きつけるための圧空孔7を設けてある。
【0030】
6は真空孔、8は発泡樹脂シートである。
【0031】
発泡樹脂シート成形容器本体の内面側への凸部の高さは、要求される蓋体との嵌合度合いで決まるが、0.3〜1.0mm程度であるのが望ましい。0.3mm以下では嵌合度合いが緩く、1.0mmをこえると、発泡樹脂シートの伸びが大きくなり、延伸されることにより肉厚が薄くなり、容器本体の剛性が不足する傾向が生じる。
【0032】
図2では、嵌合成形用雄型4の容器口元スタック部最上部のクリアランスを2.0mm、上部より2.5mmの位置のクリアランスを1.5mmとなるようにクリアランスの傾斜を雄型に設けているため、この部分の発泡樹脂シートは逆テーパー状になっているが、雌型の圧空吹き付けにより発泡樹脂シート8が雄型に沿うように押され、雄型の真空吸引により発泡樹脂シート8が嵌合成形用雄型側に吸引されており、嵌合成形用雌型5と発泡樹脂シート8との間に空間が生じている。嵌合成形用雄型4を外す場合、逆テーパー部の嵌合成形用雄型4は、発泡樹脂シート8と接触しながら引き抜かれるため、容器口元スタック部最上部が嵌合成形用雌型5側に押され、嵌合成形用雄型4を取り外すことができる。
【0033】
このようにして、発泡樹脂シートを使用した容器本体を嵌合成形用雄型4および嵌合成形用雌型5を使用して製造する場合にも、逆テーパー状の容器口元スタック部を有する容器本体を製造することができる。
【0034】
図3は、本発明の効果を得るための雌雄嵌合金型を用いた加熱成形によって得られる成形容器本体において、蓋体と嵌合する位置(以下、蓋嵌合部と称す)に相当する部分の別の一例を示す説明図である。
【0035】
図3において、4、5、7、8は、図2と同様である。
【0036】
この例では、蓋嵌合部において、嵌合成形用雄型4の容器口元スタック部最上部が半円形にくびれており、この部分の最大クリアランスは2.0mmであり、上部より3.3mmの位置のクリアランスが1.5mmとなるようにクリアランスを設けている。加えて、嵌合成形用雌型5の蓋嵌合部に相当する位置に圧縮空気を噴きつけるための圧空孔7を設けている。
【0037】
図3の場合、発泡樹脂シート8が圧空孔7からの空気により嵌合成形用雄型側に押し出される。この結果、この部分の発泡樹脂シートは容器本体の内側に凸部が形成され、容器蓋体との嵌合部が形成される。
【0038】
図3の場合も、図2の場合と同様に、嵌合成形用雌型5と発泡樹脂シート8との間に空間が生じている。嵌合成形用雄型4を外す場合、嵌合成形用雄型4は、発泡樹脂シート8と接触しながら引き抜かれるため、容器口元スタック部の凸部が嵌合成形用雌型5側に押され、嵌合成形用雄型4を取り外すことができる。
【0039】
本発明の方法によれば、実用上の強度を満たし、容器蓋体との嵌合性に優れ、汁漏れのない発泡樹脂シート成形容器本体を安定的に製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を具体的な実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
本実施例および比較例ともに、坪量280g/m、厚さ1.8mm、密度0.15g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いて容器本体を成形した。容器本体の容積は415ccであった。蓋体は厚さ0.25mmのポリスチレン系樹脂シートを用いて成形した。
【0042】
実施例1
長径20cm、短径15cm、深さ3cm、通常部クリアランス1.5mm、スタック高さ5.0mmのオーバル形状容器を成形する金型において、図2に示すように雄型金型の容器口元スタック部最上部のクリアランスを2.0mm、上部より2.5mmの位置のクリアランスを1.5mmとなるようにクリアランスの傾斜を雄型に設けた(雌型には傾斜を設けていない)。前記発泡樹脂シートを用い、シート表面温度が140℃以上155℃以下となるように、単発成形機(センバシステム社製VAS66−4.5T)のオーブンで加熱したのち、雄雌の金型で嵌合し、成形する際に雌型の口元スタック最上部に設けた孔より0.2MPaの圧力で圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけた。また、対応する雄型の口元スタック部最上部に設けた孔よりシートを真空吸引し、容器口元スタック部に0.5mm高さの凸部を有する逆テーパーをもつ容器本体を得た。前記とは別に雌型金型底部の孔から発泡樹脂シートを真空吸引し、発泡樹脂シートを金型に密着させて容器本体の表面性を付与した。
【0043】
また、前記容器本体に対応する逆テーパーをもつ蓋体を成形した。
【0044】
得られた容器本体に汁分を含む食品(おでん)400gを充填し、蓋体を付けたのち容器をさかさまにして汁漏れがないかを評価した。汁漏れは蓋付の容器をさかさまにして3秒置き、汁が漏れなかったものを○、明らかに漏れたものを×、滲む程度のものを△と評価した。
【0045】
さらに、500Wレンジで5分間加熱して取り出した際に容器がたわまないかどうかの剛性感を評価した。剛性感は、容器を片手持ちにした際に容器のたわみが5mm未満であれば○、5〜10mmであれば△、10mm超であれば×と評価した。
【0046】
また、レンジ加熱の際に蓋体が外れないかどうかの嵌合性を評価した。
【0047】
結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
長径20cm、短径15cm、深さ3cm、通常部クリアランス1.5mm、スタック高さ5.0mmのオーバル形状容器を成形する金型において、図3に示すように、雄型金型の容器口元スタック部最上部より2.0mmの位置を中心にクリアランスが2.0mmとなる部分を、半径2.0mmで容器内側に突起の高さが0.5mmとなるように雄型に設けた。前記発泡樹脂シートを用い、シート表面温度が140℃以上155℃以下となるように、単発成形機のオーブンで加熱したのち、成形する際に雄型の口元スタック部の最上部から2.0mmの位置に設けた孔より0.2MPaの圧力で圧縮空気を発泡シートに噴きつけ、容器口元スタック部に内側に突起をもつ容器本体を得た。
【0049】
また、前記突起に対応する窪みをもつ蓋体を成形した。
【0050】
得られた容器を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0051】
比較例1
実施例1と同様に、長径20cm、短径15cm、深さ3cm、通常部クリアランス1.5mm、スタック高さ5.0mmのオーバル形状容器を成形する金型において、図4に示すように雄型金型の容器口元スタック部最上部より2.5mmの位置を中心にクリアランスが1.0mmとなる突起部分を半円状に設けた。
前記発泡樹脂シートを用い、シート表面温度が140℃以上155℃以下となるように、単発成形機のオーブンで加熱したのち、通常の真空成形により容器口元スタック部内側に窪みをもつ容器本体を得た。
【0052】
また、前記窪みに対応する突起をもつ蓋体を成形した。
【0053】
得られた容器を実施例1と同様に評価した。結果表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 2004315037
【0055】
【発明の効果】
本発明によると、局部的に強度低下の要因となる容器内面窪み部を設けることなく、内嵌合可能な容器、すなわち、剛性感と汁漏れのない容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡樹脂シート成形容器本体を用いた発泡樹脂シート成形容器を説明するための断面説明図である。
【図2】実施例1で用いた金型の容器口元スタッグ部付近を説明するための断面説明図である。
【図3】実施例2で用いた金型の容器口元スタッグ部付近を説明するための断面説明図である。
【図4】比較例1で用いた金型の容器口元スタッグ部付近を説明するための断面説明図である。
【図5】従来の非発泡樹脂シート成形容器を説明するための断面説明図である。
【図6】従来の発泡樹脂シート成形容器の容器本体と蓋体とが嵌合する部分を説明するための断面説明図である。
【符号の説明】
1 発泡樹脂シート成形容器
2 発泡樹脂容器本体
3 樹脂製容器蓋体
4 嵌合成形用雄型
5 嵌合成形用雌型
6 真空孔
7 圧空孔
8 発泡樹脂シート
9 非発泡樹脂容器本体
10、11 樹脂製容器蓋体
12 従来の発泡樹脂容器本体
13 窪み部

Claims (4)

  1. 発泡樹脂シートをオーブン内で加熱して成形可能な状態に軟化させたのち、成形ゾーンにおいて雌雄金型嵌合の賦形によって容器本体形状に成形し、発泡樹脂シート成形容器本体を製造する方法であって、発泡樹脂シートを雌雄金型の嵌合により賦形しつつ、雌型の容器口元スタック部に設けられた細孔より圧縮空気を発泡樹脂シートに噴きつけて容器口元スタック部全周に容器本体内面側へ凸部となるようにシート外側の窪み部を賦形することを特徴とする発泡樹脂シート成形容器本体の製造方法。
  2. 少なくとも、雌型より圧縮空気を噴きつける位置に相対する雄型の位置に設けられた細孔から金型間の発泡樹脂シートを真空減圧により吸引しながら賦形する請求項1記載の製造方法。
  3. 発泡樹脂シートの基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 請求項1、2または3記載の方法によって製造された発泡樹脂シート成形容器本体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007331774A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Ginpoo Pack:Kk 容器、及び容器のプレス成形装置、プレス成形方法
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KR102443552B1 (ko) * 2021-08-30 2022-09-15 주식회사 에스지엠 할로우 베이스를 생성하기 위한 진공 성형 장치

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