JP2008284837A - 樹脂容器の製造方法 - Google Patents

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完治 吉村
Katsuro Sasauchi
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【課題】延伸された樹脂シート材を用い、成形した容器に深い嵌り合いの嵌合部を形成することができ、樹脂シート材の持つ透明性と耐熱性を損なうことなく成形が行える樹脂容器の製造方法を提供する。
【解決手段】凹型6と凸型7の嵌り合い成形隙間を、成形に用いる延伸された樹脂シート材Aの厚みと同等以上に設定し、加熱した凹型6と凸型7間に樹脂シート材Aを投入し、凸型7のプラグ9でこの樹脂シート材Aを凹型6内に押し込んで蓋容器3にプレス成形した際、蓋容器3の曲がり形状に該当する部分の樹脂シート材Aを、凸型7の空気孔11から付加した圧力空気で凹型6に押し付け、同時に凹型6の真空孔12で吸引することにより曲がり形状を成形する。
【選択図】図2

Description

この発明は、延伸により予め結晶化された硬質の樹脂シート材を用い、この樹脂シート材の持つ透明で耐熱性を損なうことなく容器に成形することができる樹脂容器の製造方法に関する。
例えば、スーパーや小売店で惣菜等の食品を販売するために用いられている容器は、中身の食品が見える透明性と、電子レンジ等での食品の加熱が可能となる耐熱性が要求され、このような容器の条件を満たす樹脂シート材として、ポリエチレンテレフタレート(以下単にPETという)に核材と結晶化促進剤を添加し、加熱〜冷却の工程で高速結晶化させるようにした結晶化ポリエチレンテレフタレート(Crystallized PET)(以下単にCPETという)が一般に用いられている。
ところで、上記したPETを延伸させた樹脂シート材は、CPETと同等の機能があるものの、未延伸のPETやCPETに比べて硬質、透明になっており、従って、核材や結晶化促進剤の添加が不要となる利点はあっても、成形性に劣るものであり、後述するように、容器の成形材料に使用するのに困難性がある。
上記CPETは、結晶化により不透明(白化)することになるが、融点(250℃)に近い雰囲気温度でも変形しない耐熱性に優れているので、オーブン、電子レンジ両用の耐熱性食品樹脂容器として用いられている。
このような耐熱性食品樹脂容器は、一般に容器本体と蓋容器の組み合わせからなり、この容器本体と蓋容器の嵌合面には、逆テーパの嵌合部が周面に沿って設けられ、容器本体に取付けた蓋容器が嵌合部の嵌り合いで簡単に外れることのないような構造になっている。
従来、上記のようなCPETシート材を用いた耐熱性食品樹脂容器の成形方法は、柔らかい状態でシートを成形し、この成形時に金型による加熱によって結晶化が生じるため、成形が容易である。
上記のような容器の成形は、加熱金型に凹型と凸型を用い、この、凸型と凹型の嵌り合う部分には嵌合部を成形するために凸部と凹部が設けられており、シート材はこの凸部と凹部で真空圧縮することで逆テーパの嵌合部に成形されることになる。
ところで、延伸によって予め結晶化させた樹脂シート材を用い、金型によって上記したような容器本体と蓋容器を成形しようとした場合、樹脂シート材が硬質であるため成形性が悪く、熱を加えても成形で小さな曲がり部分やコーナ部分を精度よく成形するのが困難となり、従って、浅い逆テーパのような嵌合部は成形できても、例えば、略半円形断面のような深い嵌り合い形状の嵌合部を成形によって成形するのは困難であり、延伸によって予め結晶化させたPETの樹脂シート材を容器の成形に用いることができないのが現状である。
そこで、この発明の課題は、延伸によって予め結晶化させたPETの樹脂シート材を、金型と圧力空気及び真空引きを用いて容器に成形することができるようにし、延伸した樹脂シート材の持つ透明性と耐熱性を生かした樹脂容器の製造方法を提供することにある。
上記のような課題を解決するため、この発明は、凹型と凸型の嵌り合い成形隙間を、成形に用いる樹脂シート材の厚みを圧縮しないシート厚みと同等以上に設定し、加熱した凹型と凸型間に予熱された耐熱性のある樹脂シート材を投入し、凸型でこの樹脂シート材を凹型内に押し込んで成形品にプレス成形した際、成形品の曲がり形状に該当する部分の樹脂シート材を、凹型と凸型の一方から付加した圧力空気で他方に押し付けると同時に、他方から真空引きすることにより曲がり形状を成形する構成を採用したものである。
上記樹脂シート材は、透明で延伸されたポリエチレンテレフタレートのシート材を用い、凹型と凸型の型温を130℃〜210℃の範囲に設定し、上記圧力空気のエア圧力を3気圧以上に設定するようにすることができる。
ここで、上記成形品の曲がり形状に該当する部分とは、容器本体と蓋容器の嵌合面に設けられる嵌合部であり、この嵌合部が例えば蓋容器の場合、断面略半円形で周壁の内面側に突出する突条となり、このような突条を成形するため、金型は凹型と凸型の嵌り合う成形隙間を、成形に用いる樹脂シート材の厚みを圧縮しないシート厚みと同等以上に設定し、前記凹型の内周面に断面略半円形の突起を周設し、凹型と凸型で樹脂シート材を成形した際、凸型に設けた空気孔から突起の部分に臨む樹脂シート材に向けて3気圧以上の圧力空気を供給し、また、凹型に設けた真空孔から樹脂シートを吸引することで、樹脂シート材を突起に圧着させることにより、突起の形状となる突条を成形するものである。
上記のように、金型による蓋容器の成形時に、樹脂シート材を圧力空気(圧空)と吸引(真空)によって突起の部分に圧着させて、突条を成形することにより、延伸により硬質で成形性が悪い樹脂シート材であっても、嵌り合い深さの深い突条の成形が可能になる。
また、凹型内から成形品を離型する場合、上記真空孔から圧力空気を送り込んで成形品を押し、突起から突条を離脱させることにより、離型が円滑に行えることになる。
この発明によると、樹脂シート材に延伸された樹脂シート材を用い、金型の凹型と凸型の嵌り合い成形隙間を、成形に用いる樹脂シート材厚みと同等以上に設定し、加熱した凹型と凸型間に予熱された樹脂シート材を投入して成形品に成形する際、成形品の曲がり形状に該当する部分の樹脂シート材を、凹型と凸型の一方から付加した圧力空気で他方に押し付けると同時に、他方から真空引きすることにより曲がり形状を成形するようにしたので、樹脂シート材を深い曲がり形状に形成することができ、これによって、延伸された硬質の樹脂シート材であっても容器に成形することが可能になる。
また、樹脂シート材を予熱と凹型、凸型の熱によって加熱した状態で、樹脂シート材の成形品における曲がり形状に該当する部分を、凹型と凸型の一方から付加した圧力空気で他方の突起に押し付けることにより曲がり形状に成形するので、容器の嵌合部に金型だけでは成形することのできなかった嵌り合い深さの深い嵌合突条を成形することが可能になり、延伸された樹脂シート材の透明性、耐熱性を生かし、かつ、容器本体と蓋部材による嵌り合い強度の優れた樹脂容器の成形が可能になる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図4は、この発明の製造方法によって成形する樹脂容器の一例を示し、樹脂容器1は、容器本体2と蓋容器3の組み合わせからなり、蓋容器3は、平面的に四隅が円弧で略正方形となり、縦断面が台形状となる蓋頂部3aの下部周縁に外方への張り出し部3bを環状に設け、この張り出し部3bの周囲下部に下向きの周壁部3cを設けて形成されている。
また、容器本体2は、周壁2aの上端部に蓋容器3の周壁部3cが外嵌するようになっており、この容器本体2の周壁2aの上端部と蓋容器3の周壁部3cが嵌合部となり、嵌合部には、蓋容器3の周壁部3cと容器本体2の周壁2aに、縦断面が略半円形となり、内周側に向けて突出する一対の嵌合突条4aと4bが設けられている。
上記蓋容器3及び容器本体2を成形するための樹脂シート材Aは、透明で一軸又は二軸の延伸されたPETの樹脂シート材を用いる。この樹脂シート材Aは、前記延伸によって予め結晶化され、硬質で透明のものである。
図1乃至3は、上記蓋容器3を成形するために用いる金型装置5を示し、凹型(メス型)6と凸型(オス型)7の組み合わせによって構成され、型温が例えば130℃以上210℃までの範囲に設定される。
上記凹型6は、角形で上面がフラットになり、その上面側に蓋容器の成形凹部8が設けられ、この成形凹部8は、蓋頂部3aの成形部8aと、その上部周囲に設けた張り出し部3bの成形部8bと、この成形部8bの周囲に設けた周壁部成形部8cとで形成されている。
また、凸型7は、角形でその下面側に凹型6の成形凹部8に嵌まり込むプラグ9が突設され、このプラグ9は、蓋頂部3aの成形部9aと、その上部周囲に設けた張り出し部3bの成形部9bと、この成形部9bの周囲に設けた周壁部成形部9cとを有し、前記成形凹部8の内形に対して樹脂シート材Aの厚み同等以上の隙間を形成するようになっている。ちなみに、樹脂シート材Aの厚みが0.3mmの場合、成形凹部8とプラグ9間の隙間は、0.3mm以上に設定されている。
上記凹型6と凸型7における周壁部成形部8c、9cは、上記容器本体2と蓋容器3の嵌合部を成形する部分となり、凹型6の周壁部成形部8cの周囲には、図2(b)のように、断面略半円状となって内側に突出する突起10が周設され、また、凸型7のプラグ9における周壁部成形部9cは、前記突起10の頂部との間に樹脂シート材Aの厚みと同等以上の隙間を残して抜き差しすることができるように形成されている。
上記凸型7のプラグ9には、蓋容器3の曲がり形状に該当する部分の位置に、樹脂シート材Aを圧力空気で凹型6に向けて押し付けるための空気孔11が設けられ、この空気孔11を設ける位置としては、蓋容器3の蓋頂部3aの上部弧状部分、蓋頂部3aと周壁部3bの境界部分、凹型6の突起10に対向する部分であり、何れも周方向に沿って複数箇所に設け、圧力空気は、例えば、3気圧以上のエア圧力で樹脂シート材Aを凹型6に向けて押圧するようになっている。
また、上記凹型6には、樹脂シート材Aをこの凹型6の内面に吸着させるための真空孔12が設けられている。この真空孔12を設ける位置は、図2(b)と(c)のように、突起10の近接位置で凹型6内に開口するよう設定し、周方向に沿って複数箇所に設けるようにする。
この真空孔12は、蓋容器3の成形時における成形凹部8の内周と樹脂シート材A間にある空気を排気すると共に、凹型6から蓋容器3を離型するときに圧力空気を供給して樹脂シート材Aを内側に押し、突起10から嵌合突条4bを離脱させて離型を容易にするために用いられる。
次に、上記凹型6と凸型7及び透明な延伸されたPETの樹脂シート材Aを用いた蓋容器3の製造方法を説明する。
上下に対向させた凹型6と凸型7のプラグ9を130℃以上210℃までの範囲の温度に加熱し、凸型7の空気孔11を圧縮空気の供給源と接続した離型状態で、一定の大きさに裁断され、予め所定の温度に予熱された例えば厚みが0.3mmの樹脂シート材Aを凹型6の上面に載置し、凹型6に対して凸型7を下降させることで、プラグ9で樹脂シート材Aを成形凹部8に向けて押し込み、樹脂シート材Aを挟み込むことで、予熱と凹型6と凸型7の熱で軟化した樹脂シート材Aをプレス圧力により蓋容器3に成形する。
上記凹型6と凸型7で蓋容器3をプレス成形した際、凸型7に設けた空気孔11から突起10の部分及び曲がり形状に該当する部分に臨む樹脂シート材Aに向けて3気圧以上の圧力空気を供給し、予熱と凹型6と凸型7の熱で軟化した樹脂シート材Aの突起10及び曲がり形状に臨む部分を、前記圧力空気で凹型6の内面に圧着させ、これと同時に凹型6の真空孔12で樹脂シート材Aの突起10の近傍部分を、凹型6の内周面に吸着させることにより、蓋容器3における突起10及び曲がり形状の成形を行うものである。
上記予備加熱された樹脂シート材Aを、予熱と凹型6と凸型7の熱で軟化させた状態で、圧力空気で凹型6の内面に圧着させ、同時に真空孔12で樹脂シート材Aを凹型6の内周面に吸着させるようにすると、延伸により結晶化して硬質である樹脂シート材Aであっても、突起10及び曲がり形状に沿った形状になるよう正確に成形することができ、特に、突起10の部分においては突起10の形状に沿って樹脂シート材Aを正確に成形することができ、深さが深い断面形状の嵌合突条4bを成形することができる。
蓋容器3の成形後に凸型7を抜き取るが、その際、真空孔12に圧力空気を供給して樹脂シート材Aを内側に押し、突起10から嵌合突条4bを離脱させて離型を容易にする。
また、蓋容器3の離型時に、蓋容器3の表面に冷却空気を吹き付けながら、表面だけを固化して全体が均一に固化しないうちに蓋容器3を凹型6から取出すようにすることもできる。
このように、蓋容器3の表面に冷却空気を吹き付けると、表面が固化しても内側がまだ柔らかい状態にあり、その柔らかい部分によって凹型6からの抜き取りに柔軟に対応できると共に、前記表面の固化した部分が、その内部の柔らかい部分を保護するので、抜き取りの際の突起10からの反作用に抵抗でき、凹型6の突起10から嵌合突条4bを簡単に型崩れすることなく脱型させることが可能になり、抜き取った成形後の蓋容器3は自然固化させる。
上記のように、蓋容器3の成形において、凹型6と凸型7の嵌り合い成形隙間を、成形に用いる樹脂シート材Aの厚みを圧縮しない隙間に設定することにより、樹脂シート材Aの圧縮による組成の変化発生がなく、透明で延伸され樹脂シート材Aのもつ特性を損なうことなく蓋容器3に成形することができ、透明性、耐熱性を備え、収納した食品のオーブンや電子レンジによる直接加熱が可能な蓋容器3を得ることができる。
なお、樹脂容器1として蓋容器3の製造方法を述べたが、容器本体2もこの蓋容器3と同様の手順で成形することができる。容器本体2の成形に用いる金型装置の場合、凹型の成形凹部と凸型のプラグの嵌り合いによって形成される成形隙間は、容器本体の形状に適応したものとし、プラグに嵌合突条を成形するための凹溝を設け、プレス成形時に凹型に設けた空気孔から圧力空気を吹付け、凸型の真空孔から吸引して樹脂シート材を凹溝に押し付けることで嵌合突条を成形すればよい。
樹脂容器の成形に用いる金型装置の凸型を半分切り欠いた状態の平面図 (a)は図1の矢印a−a線に沿って拡大した縦断正面図、(b)は同じく図1の矢印b−b線に沿って拡大した縦断正面図、(c)は同じく図1の矢印c−c線に沿って拡大した縦断正面図 金型装置の凹型と凸型を示す分解した斜視図 樹脂容器を示す一部切り欠き正面図
符号の説明
1 樹脂容器
2 容器本体
3 蓋容器
4a、4b 嵌合突条
5 金型装置
6 凹型
7 凸型
8 成形凹部
9 プラグ
10 突起
11 空気孔
12 真空孔

Claims (2)

  1. 凹型と凸型の嵌り合い成形隙間を、成形に用いる樹脂シート材の厚みを圧縮しないシート厚みと同等以上に設定し、加熱した凹型と凸型間に予熱された耐熱性のある樹脂シート材を投入し、凸型でこの樹脂シート材を凹型内に押し込んで成形品にプレス成形した際、成形品の曲がり形状に該当する部分の樹脂シート材を、凹型と凸型の一方から付加した圧力空気で他方に押し付けると同時に、他方から真空引きすることにより曲がり形状を成形する樹脂容器の製造方法。
  2. 上記樹脂シート材は、透明で延伸されたポリエチレンテレフタレートのシート材を用い、凹型と凸型の型温を130℃〜210℃の範囲に設定し、上記圧力空気のエア圧力を3気圧以上に設定する請求項1に記載の樹脂容器の製造方法。
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