JP2002004965A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定圧力に調圧した燃料を燃料噴射弁から噴
射供給する内燃機関の燃料噴射装置において、燃料調圧
作用の両立と燃料タンクへ流入する燃料の熱量を抑制す
ること。 【解決手段】 燃料供給通路３に接続された電磁式の燃
料噴射弁５と、燃料タンク１から吸入した燃料を上記燃
料噴射弁５に圧送する燃料ポンプ２と、上記燃料ポンプ
２の吐出側と上記燃料噴射弁５との間に位置し、第１設
定圧でもって開弁する第１燃料圧力制御装置６と、上記
第１燃料圧力制御装置６に隣設して位置し、上記第１設
定圧よりも高い第２設定圧でもって開弁する第２燃料圧
力制御装置８と、上記第１燃料圧力制御装置６から排出
される余剰燃料を上記燃料タンク１へ戻す第１戻り通路
７と、上記第２燃料圧力制御装置８から排出される余剰
燃料を上記燃料タンク１へ戻す第２戻り通路９と、上記
第１戻り通路７に介装され、内燃機関の始動時に上記第
１戻り通路７を閉鎖する制御弁10とを備えたことを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、所定圧力に調圧し
た燃料を燃料噴射弁から噴射供給する内燃機関の燃料噴
射装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】高温の燃料噴射弁付近を経由したリター
ン燃料による燃料タンク内の燃料温度の上昇を抑制する
とともに、再始動性の悪化を回避する従来の技術とし
て、例えば特開平６−２６４８３９号公報に開示された
ものがある。

【０００３】図３はその構成を示すもので、燃料タンク
01内に燃料ポンプ02が配設され、燃料供給通路03が接続
される。燃料供給通路03には、燃料噴射弁05が接続さ
れ、その上流側に第１のプレッシャレギュレータ06が、
下流側に第２のプレッシャレギュレータ08がそれぞれ配
置される。第２のプレッシャレギュレータ08の設定圧は
第１のプレッシャレギュレータ06の設定圧よりも高い。
第１，第２のプレッシャレギュレータ06，08からそれぞ
れ燃料タンク01へ至る第１，第２のリターン通路07，09
が設けられる。そして第１のリターン通路07に、始動時
に閉じる制御弁010が介装されている。

【０００４】通常の運転状態では、制御弁010が開いて
おり、第１のプレッシャレギュレータ06から第１のリタ
ーン通路07を経由して燃料を排出することができる。つ
まり、第１のプレッシャレギュレータ06による調圧作用
が可能な状態となり、燃料噴射弁05近傍の燃料圧力は第
１設定圧に調圧される。このとき、第２のプレッシャレ
ギュレータ08の第２設定圧は、第１設定圧よりも高く設
定されているため、第２のプレッシャレギュレータ08は
実質的に作用せず、燃料供給通路03先端を第２のプレッ
シャレギュレータ08が閉塞した状態となる。

【０００５】したがって、燃料噴射弁05側へ圧送された
燃料は、全量が噴射供給され、燃料タンク01へは戻らな
い。なお、第１のプレッシャレギュレータ06から第１の
リターン通路07を経由して戻るリターン燃料は、機関の
熱を比較的受けないので、燃料タンク01へ流入する熱量
が抑制される。

【０００６】また耐熱再始動時などには、制御弁010で
第１のリターン通路07を閉塞する。これにより第１のプ
レッシャレギュレータ06の調圧作用が阻止され、燃料噴
射弁05近傍の燃料圧力は第２のプレッシャレギュレータ
08により第２設定圧に維持されるようになる。この状態
では、余剰燃料が第２のプレッシャレギュレータ08から
第２のリターン通路09を経由して燃料タンク01へ戻るよ
うになり、その燃料流により燃料噴射弁05近傍のベーパ
ロックが抑制される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の燃料噴射装
置においては、内燃機関の始動時、特に再始動時に第２
のプレッシャレギュレータ08から第２のリターン通路09
を経由して燃料タンク01に戻される燃料は、機関からデ
リバリパイプが熱を受けているので、温度が高く、燃料
タンク01内の燃料温度が上昇する。したがって、燃料タ
ンク01内の燃料の気化量が増え、始動後の通常の運転状
態における燃料系統内のベーパロックが発生しやすい。

【０００８】本発明は、燃料調圧作用の両立と、燃料タ
ンクへ流入する燃料の熱量を抑制することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段および効果】本発明は、前
記従来の課題を解決するために、燃料供給通路に接続さ
れた電磁式の燃料噴射弁と、燃料タンクから吸入した燃
料を上記燃料噴射弁に圧送する燃料ポンプと、上記燃料
ポンプの吐出側と上記燃料噴射弁との間に位置し、第１
設定圧でもって開弁する第１燃料圧力制御装置と、上記
第１燃料圧力制御装置に隣設して位置し、上記第１設定
圧よりも高い第２設定圧でもって開弁する第２燃料圧力
制御装置と、上記第１燃料圧力制御装置から排出される
余剰燃料を上記燃料タンクへ戻す第１戻り通路と、上記
第２燃料圧力制御装置から排出される余剰燃料を上記燃
料タンクへ戻す第２戻り通路と、上記第１戻り通路に介
装され、内燃機関の始動時に上記第１戻り通路を閉鎖す
る制御弁とを備えたことを特徴とするものである。

【００１０】本発明は前記のとおり構成されているの
で、内燃機関の高温始動時に燃料噴射圧力を高くするこ
とにより、燃料系統でのベーパロックを抑制することが
できる。

【００１１】本発明ではまた、設定圧の異なる２つの燃
料圧力制御装置が隣接して配置されるので、燃料圧力制
御装置の前後に生じる燃料の圧力損失を小さく抑制する
ことができ、燃料供給通路内の圧力を精度よく制御する
ことができる。また燃料供給通路（特に燃料分配管）に
おける設定制御圧の精度を向上させることができる。

【００１２】さらに本発明では、制御された圧力下に燃
料分配管が配置されるから、燃料分配管内の燃料を安定
して昇圧でき、燃料噴射弁から安定した圧力で噴射でき
る。加えて、燃料タンクへ流入する燃料の熱量を減少さ
せ、燃料タンク内で発生する燃料蒸気の量を低減して、
燃料系統でのベーパの発生を抑制することができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は本発明の実施の一形態を示
す構成図である。この図において、燃料タンク１内に燃
料ポンプ２が配され、燃料供給通路３へ燃料を圧送する
ようになっている。上記燃料供給通路３の終端部には燃
料分配管４を介して複数の電磁式燃料噴射弁５が接続さ
れている。上記燃料供給通路３の燃料ポンプ２吐出側と
上記燃料分配管４との間には第１燃料圧力制御装置６と
第２燃料圧力制御装置８が隣接して直列に介装されてい
る。７は上記第１燃料圧力制御装置６から排出される余
剰燃料を上記燃料タンク１へ戻す第１戻り通路、９は上
記第２燃料圧力制御装置８から排出される余剰燃料を燃
料タンク１へ戻す第２戻り通路である。

【００１４】上記第１燃料供給制御装置６，第２燃料供
給制御装置８は既存のプレッシャレギュレータであるの
で、構造は特に図示しないが、２つの燃料供給制御装置
６，８は同一の構成であり、ともに前記従来の技術に開
示された第１のプレッシャレギュレータ06と同じであ
る。すなわち、ケーシング内はダイヤフラムによって燃
料室と圧力室とに隔離されており、燃料室の両側面には
燃料供給通路３に接続される燃料入口と燃料出口が設け
られる。燃料室の底面には、各戻り通路７，９に接続さ
れる余剰燃料出口が設けられ、ダイヤフラムに支持され
た弁体によって開閉される。圧力室には吸気管の圧力が
導かれ、圧力室内に収納されたセットスプリングにより
ダイヤフラムに所定の荷重（設定圧）を付加する。

【００１５】そして上記第１燃料圧力制御装置６は、第
１設定圧Ｐ１、例えば２．５５ｋｇ／ｃｍ²で開弁して
燃料供給通路３と第１戻り通路７を連通するようになっ
ている。また上記第２燃料圧力制御装置８は、上記第１
設定圧Ｐ１よりも高い第２設定圧Ｐ２、例えば４〜５．
０ｋｇ／ｃｍ²で開弁して燃料供給通路３を第２戻り通
路９へ連通するようになっている。

【００１６】上記第１戻り通路７には制御弁10が介装さ
れ、内燃機関の始動時に第１戻り通路７を閉鎖するよう
になっている。11はその制御弁10の制御装置である。

【００１７】このような燃料噴射装置において、通常の
運転状態では制御弁10が開いており、第１燃料圧力制御
装置６と燃料タンク１が第１戻り通路７を介して連通し
ている。したがって、第１燃料圧力制御装置６による調
圧作用が可能な状態であり、燃料噴射弁５を備えた燃料
供給通路３内の燃料圧力が第１燃料圧力制御装置６によ
って第１設定圧Ｐ１に調圧される。そして、燃料ポンプ
２から圧送された燃料のうち余剰量の燃料が、第１燃料
圧力制御装置６から第１戻り通路７を経て燃料タンク１
に戻される。

【００１８】このとき、第２燃料圧力制御装置８は、そ
の設定圧Ｐ２が第１設定圧Ｐ１よりも高く設定されてい
るので、常に閉状態となる。すなわち、燃料供給通路３
と第２戻り通路９との間は遮断されており、第１燃料圧
力制御装置６を経て第２燃料圧力制御装置８側へ第１設
定圧Ｐ１で圧送された燃料の全量が燃料噴射弁５から内
燃機関へ噴射供給される。

【００１９】次に、内燃機関の始動時には、制御装置11
により制御弁10が閉じられ、第１戻り通路７が閉塞す
る。そうすると、第１燃料圧力制御装置６から第１戻り
通路７へ燃料がリリーフされないので、第１燃料圧力制
御装置６の調圧作用が実質的に停止する。したがって、
燃料供給通路３内の燃料は、第２燃料圧力制御装置８の
調圧作用により第１設定圧Ｐ１よりも高い第２設定圧Ｐ
２に調圧され、燃料噴射弁５から内燃機関へ噴射供給さ
れる。そして、第２燃料圧力制御装置８において余剰と
なった燃料は、第２戻り通路９を経由して燃料タンク１
へ戻される。

【００２０】本実施形態においては、内燃機関の高温始
動時に燃料噴射圧力を高くすることにより、燃料系統で
のベーパロックを抑制することができる。

【００２１】本実施形態ではまた、設定圧の異なる２つ
の燃料圧力制御装置６，８が隣接して配置されるので、
燃料圧力制御装置の前後に生じる燃料の圧力損失を小さ
く抑制することができ、燃料供給通路３内の圧力を精度
よく制御することができる。また燃料供給通路３（特に
燃料分配管４）における設定制御圧の精度を向上させる
ことができる。

【００２２】さらに本実施形態では、制御された圧力下
に燃料分配管４が配置されるから、燃料分配管４内の燃
料を安定して昇圧でき、燃料噴射弁５から安定した圧力
で噴射できる。加えて、燃料タンク１へ流入する燃料の
熱量を減少させ、燃料タンク１内で発生する燃料蒸気の
量を低減して、燃料系統でのベーパの発生を抑制するこ
とができる。

【００２３】また、本実施形態において、２つの燃料圧
力制御装置６，８をエンジンルームの外に配置すれば、
エンジンルーム内の雰囲気温度の影響を受けないので、
燃料タンク１に戻される戻り燃料の温度上昇をさらに抑
制することができる。さらに、燃料タンク１の近傍に配
置することにより、戻り通路７，９の配管も短くでき、
組付け、取廻しも容易となる。

【００２４】本実施形態では、燃料供給通路３の途中の
上流側から下流側へ設定圧の低い燃料圧力制御装置と設
定圧の高い燃料圧力制御装置とが順次配置されている
が、２つの燃料圧力制御装置の配置順については特に限
定されるものではなく、この順序を逆にしても、本実施
形態と同様の作用効果が得られる。また本実施形態で
は、第１戻り通路７と第２戻り通路９がそれぞれ独立し
て燃料タンク１に戻されているが、これらを制御弁10の
下流で合流させて、燃料タンク１へ戻すようにしてもよ
い。

【００２５】次に、図２は、本発明の実施の他の形態を
示す構成図である。この実施形態でも、燃料タンク１内
に燃料ポンプ２が配されて、燃料供給通路３へ燃料を圧
送するようになっており、その燃料供給通路３の終端部
には、燃料分配管４を介して複数の電磁式燃料噴射弁５
が接続されている。そして、燃料ポンプ２の吐出側と燃
料分配管４との間の燃料供給通路３に、前記第１の実施
形態と同様、第１燃料圧力制御装置６と第２燃料圧力制
御装置８が隣接して介装されているが、本実施形態で
は、第１燃料圧力制御装置６と第２燃料圧力制御装置８
の配置が並列配置となっている。

【００２６】第１燃料圧力制御装置６から排出される余
剰燃料を燃料タンク１へ戻す第１戻り通路７と、第２燃
料圧力制御装置８から排出される余剰燃料を燃料タンク
１へ戻す第２戻り通路９が設けられていること、一方の
第１燃料圧力制御装置６が第１設定圧Ｐ１で開弁し、他
方の第２燃料圧力制御装置８が第１設定圧Ｐ１よりも高
い第２設定圧Ｐ２で開弁すること、さらに設定圧が低い
方の第１燃料圧力制御装置６の第１戻り通路７に、制御
装置11で開閉される制御弁10が介装されていることは、
前記第１の実施形態と同様である。

【００２７】そして、本実施形態においても、前記第１
の実施形態と全く同様の作用効果を奏することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施の一形態を示す構成図であ
る。

【図２】図２は本発明の実施の他の形態を示す構成図で
ある。

【図３】図３は従来の内燃機関の燃料噴射装置の一例を
示す構成図である。

【符号の説明】

１…燃料タンク、２…燃料ポンプ、３…燃料供給通路、
４…燃料分配管、５…燃料噴射弁、６…第１燃料圧力制
御装置、７…第１戻り通路、８…第２燃料圧力制御装
置、９…第２戻り通路、10…制御弁、11…制御装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料供給通路に接続された電磁式の燃料噴
   射弁と、燃料タンクから吸入した燃料を上記燃料噴射弁
   に圧送する燃料ポンプと、上記燃料ポンプの吐出側と上
   記燃料噴射弁との間に位置し、第１設定圧でもって開弁
   する第１燃料圧力制御装置と、上記第１燃料圧力制御装
   置に隣設して位置し、上記第１設定圧よりも高い第２設
   定圧でもって開弁する第２燃料圧力制御装置と、上記第
   １燃料圧力制御装置から排出される余剰燃料を上記燃料
   タンクへ戻す第１戻り通路と、上記第２燃料圧力制御装
   置から排出される余剰燃料を上記燃料タンクへ戻す第２
   戻り通路と、上記第１戻り通路に介装され、内燃機関の
   始動時に上記第１戻り通路を閉鎖する制御弁とを備えた
   ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。