JP2002004494A - 突起付h形鋼 - Google Patents
突起付h形鋼Info
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Abstract
鋼材として使用する突起付H形鋼について、鋼材断面内
の軸応力分布を均一にし、付着伝達による力を受ける側
のコンクリート等の経時固化材料も含めて、その耐荷性
能ならびに付着性能を向上させる。 【解決手段】 フランジ外面およびウェブ両面に複数の
突起3を有する突起付H形鋼1について、フランジ部の
断面積の総和をAf 、ウェブ部の断面積をAw、一定長
さ内におけるフランジ部およびウェブ部の各々に対する
各突起3の形鋼長手方向投影面積の総和を、それぞれa
f ,aw で表したとき、af /aw =α(Af /
Aw )、0.7≦α≦1.3となるようにする。
Description
物を鋼材と経時固化材料との合成構造で構築する場合等
に用いる突起付H形鋼に関するものである。
では、コンクリート、モルタル、ソイルセメントなどが
用いられることが多いので、以下、コンクリートで代表
させて説明する)とを断面内で合成させた合成構造では
耐荷性能、変形能の観点から鋼材とコンクリートとが
一体化していることが望ましい。
常の形鋼は異形鉄筋に比べて付着性能が低いので、構造
物に作用する外力が増大すると形鋼とコンクリートの間
のずれが大きくなり、力学性能のみならず、ひび割れ耐
久性が低下するという問題点がある。
昭56−54245号公報には、鉄骨とコンクリートと
の接触面積を突起のせん断方向への総投影面積の8〜2
0倍とすることで付着強度、並びに付着に関する変形能
を向上させた鉄骨が記載されている。
示された技術の範囲では、実際には、H形鋼のフランジ
面とウェブ面の突起配分比率がアンバランスであり、柱
部材などの軸方向鋼材として使用すると、H形鋼の断面
内の軸応力分布が不均一になってしまい、H形鋼とコン
クリートの一体化により本来得られるべき耐荷性能なら
びに付着性能が低下するという課題がある。
め込んで軸方向鋼材として使用する突起付H形鋼につい
て、鋼材断面内の軸応力分布を均一にし、付着伝達によ
る力を受ける側のコンクリート等の経時固化材料も含め
て、その耐荷性能ならびに付着性能を向上させることを
目的としている。
明は、フランジ外面およびウェブ両面に複数の突起が設
けられている突起付H形鋼において、フランジ部の断面
積の総和をAf 、ウェブ部の断面積をAw 、一定長さ内
における前記フランジ部および前記ウェブ部の各々に対
する各突起の形鋼長手方向投影面積の総和を、それぞれ
af ,aw で表したとき、 af /aw =α(Af /Aw ) 0.7≦α≦1.3 となるようにしたことを特徴とするものである。
付着により結合させる場合、コンクリートが付着破壊し
ない応力レベルであれば、両者のずれに対する抵抗力で
ある付着力、並びに付着力を付着面積で除した付着応力
度は、ずれ量に比例して増大することが知られている。
鋼材を用いる場合や、鋼材の付着面積が異なる場合に
は、付着力はずれ方向への突起投影面積の総和にも比例
して増大することが知られている。
あり、フランジ外面およびウェブ両面に突起を有するH
形鋼を対象とし、その主な用途は合成構造における軸方
向鋼材である。
が離散配置される鋼材を想定し、軸力として引張力また
は圧縮力が作用する状態を想定している。
面およびウェブ両面に突起を有するH形鋼において、フ
ランジ、ウェブの突起投影面積比af /aw とフラン
ジ、ウェブの断面積比Af /Aw が次式の関係を満足す
るように突起を配置することである。
突起の形鋼長手方向への投影面積の総和 aw :H形鋼の一定長さについて求めたウェブ両面の突
起の形鋼長手方向への投影面積の総和 Af :H形鋼フランジ部の有効断面積の総和(突起部を
除く) Aw :H形鋼ウェブ部(フイレットを含む)の有効断面
積(突起部を除く) これにより、合成構造の軸方向鋼材として突起付形鋼を
使用した場合に生じる形鋼断面内における軸応力の偏り
の問題を解消する。
て使用する場合、その付着性能が高いことは勿論のこ
と、使用状態の形鋼断面を取り出して考えた場合、以下
のような理由から、断面内の軸応力分布には偏りがない
ことが望ましい。 軸力を受ける突起付H形鋼の耐荷力の上限値は、H
形鋼断面の全塑性軸力として計算できるが、断面内の軸
応力に偏りがあると、全塑性軸力に到達する以前に断面
内の一部の領域が塑性化し、H形鋼は弾性的な挙動を示
さなくなる。これは、見かけ上、H形鋼の降伏耐力、降
伏点が低下することに相当する。 さらに、降伏した鋼材の近傍では、付着強度が大幅
に低下してしまうことが知られており(島,周,岡村:
異形鉄筋の鉄筋降伏後における付着特性,土木学会論文
集,第378号/V−6,pp213−220,198
7年)、このことから、のように鋼材が部分的に降伏
してしまうと、コンクリートと鋼材との相対ずれ量が急
激に増大したり、H形鋼の定着耐力が低下してしまうと
いう付着性能に関する問題も予想される。
付H形鋼の断面内に生じる軸応力に偏りが生じる原因と
しては、H形鋼の構成要素であるフランジ、ウェブの断
面積比Af /Aw と、フランジ、ウェブの突起投影面積
比af /aw の間に大きな隔たりがあることが挙げら
れ、軸応力の偏りを解消するには、Aw /Af とaf /
aw を近づければ良い。
ルで説明する。突出部に作用する軸力をP、フランジ2
枚分の軸力をNf 、ウェブの軸力をNw とすると、次の
関係が成り立つ。
けるフランジの平均軸応力をσf (z)、同様にウェブ
の平均軸応力をσw (z)で表す。任意の深さについ
て、H形鋼の断面内応力分布が均一である状態は、次式
で表される。
される。ここで、AfとAw はそれぞれフランジ(2枚
分)とウェブの断面積である。
ら、σf (0)、σw (0)を消去すると、次の関係が
得られる。
突起付鋼材の付着力はずれ量と突起投影面積に比例して
増大する。そこで、埋め込み部において、2枚のフラン
ジ外面に生じる付着力の和をFf 、ウェブ両面に生じる
付着力をFw 、H形鋼の抜出し量をδ、フランジ突起投
影面積をaf 、ウェブ突起投影面積をa w と表すと、次
の関係が導かれる。
コンクリートの拘束圧に関連したものである。このβの
値は付着実験などから特定できる。
る。 Ff /Fw =af /aw … (9) 次に、図2から、H形鋼の構成要素である、フランジ、
ウェブの個々について力の釣り合いを考えると、 Nf /2=Ff /2−S … (10) Nw =Fw +2S … (11) 式(10)、式(11)のSは、フランジとウェブの接続部に生
じるせん断力である。
(3) が成立するためには、深さzによらず断面内にせん
断応力が生じてはならないので、S=0が満足される必
要がある。
0)、式(11)から次の関係が導かれる。 α=(af /aw )/(Af /Aw )=1 … (12) 以上により、任意の深さについて、H形鋼断面内の軸応
力分布を均一化するための条件が導かれた。
深さzに対してフランジ、ウェブの軸応力が完全に一致
する場合に対応している。また、αが1から離れるほ
ど、フランジ、ウェブの接続部に生じるせん断力Sが増
加し、フランジの平均軸応力とウェブの平均軸応力の差
が大きくなる。
ランジ、ウェブの接続部に生じるせん断力があまり大き
くなければ、H形鋼断面内の軸応力分布の偏りもさはど
大きくはならない。
は、横拘束筋が配筋されるのが一般的であるが、横拘束
筋の配筋方法によってはコンクリートのH形鋼に対する
拘束度が、フランジ面とウェブ面で若干異なる場合があ
る。本願発明では、このような横拘束筋量の異方性も考
慮し、αの実用的な範囲として式(1) を決定している。
付H形鋼と従来の突起付H形鋼の相違を明確にするた
め、従来の突起付H形鋼について、Af /Aw とaf /
aw の関係を求め、本願発明の範囲と比べた結果を図3
に示す。
付H形鋼であるが、断面寸法が明確でないものについて
は、次の要領でAf /Aw とaf /aw を推定した。 Aw /Af は突起のない通常のH形鋼の各サイズ
(広幅系列、中幅系列、細幅系列)について算定した。 上記で選んだ各サイズについて、af /aw =b
f /bw とした。ただし、bf はフランジ幅、bw はH
形鋼全高からフランジ板厚の2倍と、フィレットサイズ
の2倍を減じた長さである。
示した本願発明のαの範囲を大きく外れており、単にH
形鋼の外径寸法や板厚を変化させただけでは、既に述べ
たH形鋼断面内における軸応力の偏りを解決できないこ
とが明らかである。
について、前記H形鋼のウェブ厚がフランジ厚以上であ
る場合を限定したものである。
る突起付H形鋼について、前記突起が鋼材長手直交方向
に連続した線状突起である場合を限定したものである。
に連続したものの他、鋼材長手直交方向に複数に分断さ
れたものも含む。
突起付H形鋼について、前記フランジ外面および/また
は前記ウェブ両面の突起高さが2.0mm以上である場
合を限定したものである。
1、2、3または4記載の突起付H形鋼を、コンクリー
ト等の経時固化材料との合成構造における部材軸方向鋼
材として用いる場合を限定したものである。
の一実施形態を示したものである。図4の突起付H形鋼
1は、フランジ外面に線状突起3を有しており、この線
状突起3はフランジ全幅に渡って設けられている。
られている。線状突起3の形鋼長手方向の配置間隔は、
式(1) の関係を満足するように、フランジ面とウェブ面
で変化させている。
したものの変形例であり、線状突起3を角形突起に置き
換えたものである。
ウェブの板厚を増加させてフランジよりも厚肉とした例
である。
くして曲げ強度を確保するため、ウェブ板厚がフランジ
板厚より小さいものがほとんどであるが、本願発明では
突起付H形鋼1を軸方向鋼材として使用することを考え
ているので、ウェブ板厚はフランジ板厚より大きくても
良い。この場合、ウェブの板厚を増加させることで、H
形鋼1全体の断面積を増加させ、さらにウェブへの突起
付与量も増やすことができる。
ジ、ウェブで同一とし、式(1) を満足させるために、フ
ランジ外面並びにウェブ両面の突起幅により突起投影面
積比を調整した例である。
べて小さくなり過ぎる恐れがあるので、そのような場合
は、突起3を分割して板幅方向に分散させるのが好まし
い。また、図7の突起3間の副次的な利用法として、例
えば、この部分にスタッドジベルを溶植することなどが
可能である。付着面にスタッドジベルを追加する場合、
スタッドジベルが鋼材とコンクリートの肌離れを抑制す
るので、付着の変形能が向上するという効果がある。
で最適化した例である。本願発明はH形鋼1の寸法や、
外形によらず適用することができる。
明の突起付H形鋼1の表面に設ける突起3の高さは、
2.0mm以上とすることが好ましい。
着力の作用方向への突起配置間隔pの関係は、付着に関
するじん性を確保するために、p/hを10程度以上と
することが多いが、この場合、突起高さを2.0mm以
上とすれば、突起間隔は20mm以上確保でき、突起間
にスタッドジベル等の補助部材を取り付けたり、運搬用
の金具を取り付けたりすることが容易になる。従って、
この点からすれば、フランジ外面およびウェブ両面の両
者について、突起3の高さを2.0mm以上とすること
がより好ましい。
構造部材に適用した場合の一実施形態を示したものであ
る。本願発明の突起付H形鋼1は、軸方向鋼材として使
用するのに適しているので、特に、断面寸法が大きい橋
脚4などに用いれば、橋脚4の耐荷性能を高めることが
でき、また、施工面でも鉄筋配筋作業が軽減されるなど
の利点がある。
ート(ハッチング省略)、5は主鉄筋、6は帯鉄筋(横
拘束筋)、7は中間帯鉄筋(横拘束筋)、8は中空部で
ある。
有するH形鋼の突起配置を、本願発明で規定する範囲に
設定することで、H形鋼断面内に生じる軸応力分布の偏
りを解消することができ、軸応力分布の偏りに起因して
生じるH形鋼の耐荷性能並びに付着性能の低下を防ぐこ
とができる。
が引き抜き力を受ける場合の力の釣り合いを示す説明図
である。
が引き抜き力を受ける場合のフランジ部およびウェブ部
の個々の力の釣り合いを示す説明図である。
ブの断面積比と突起投影面積比の関係を示したグラフで
ある。
たもので、(a) は側面図、(b) は正面図である。
したもので、(a) は側面図、(b) は正面図である。
態を示したもので、(a) は側面図、(b) は正面図であ
る。
態を示したもので、(a) は側面図、(b) は正面図であ
る。
態を示したもので、(a) は側面図、(b) は正面図であ
る。
柱に適用した場合の水平断面図である。
橋脚、5…主鉄筋、6…帯鉄筋(横拘束筋)、7…中間
帯鉄筋(横拘束筋)、8…中空部
Claims (5)
- 【請求項1】 フランジ外面およびウェブ両面に複数の
突起が設けられている突起付H形鋼において、フランジ
部の断面積の総和をAf 、ウェブ部の断面積をAw 、一
定長さ内における前記フランジ部および前記ウェブ部の
各々に対する各突起の形鋼長手方向投影面積の総和を、
それぞれaf ,aw で表したとき、 af /aw =α(Af /Aw ) 0.7≦α≦1.3 となるようにしたことを特徴とする突起付H形鋼。 - 【請求項2】 前記H形鋼のウェブ厚がフランジ厚以上
であることを特徴とする請求項1記載の突起付H形鋼。 - 【請求項3】 前記突起が鋼材長手直交方向に連続した
線状突起であることを特徴とする請求項1または2記載
の突起付H形鋼。 - 【請求項4】 前記フランジ外面および/または前記ウ
ェブ両面の突起高さが2.0mm以上であることを特徴
とする請求項1、2または3記載の突起付H形鋼。 - 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の突起付
H形鋼を、経時固化材料との合成構造における部材軸方
向鋼材として用いていることを特徴とする合成構造部
材。
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